「一家に一台、天体望遠鏡」クラウドファウンディングへの疑問

本件に関して様々な議論がわき起こっています。状況として「誰得」な様相も見え始めていてそれについては苦しい思いをされている方も多いと伝え聞きます。



元記事を投下した当事者として、状況を簡単に整理し、いくつかコメントしたいと思います。

クラウドファウンディングは成功裏に終了

2つのクラウドファウンディング(以下、「今回のプロジェクト」と呼びます)は、それぞれ目標金額を「ハイ達成」する結果になりました。ひとつめのプロジェクトは達成率137%247万円、ふたつめのプロジェクトは達成率144%87万円。合計334万円の寄付が集まりました。

これは「子供たちに天体望遠鏡を届ける」というコンセプトが、広く多くの人に訴えかける力のあるメッセージであった結果でしょう。おめでとうございます。「天文普及」「天文(理科)教育」に対する世間の関心は高く、視線は暖かであることがわかりました。

これは、よいことです。

そもそもの問題は何だったのか

しかし、弊サイトで指摘したことも含めて、このプロジェクトにはいくつかの問題がありました。(当事者にその意図がなかったとしても、結果として)「既存の天体望遠鏡は十分には見えない」という誤った認識が、今回のプロジェクトによって世間に発信されてしまいました(*)。

(*)冷静に考えると実害は少ないと推測します。誰もそんなこと覚えちゃいません。

これは、企業経営としては非常に厳しい中、努力を重ねて本当に良い製品を世に送り出してきた一部の企業にとっては、忸怩たる・憤懣やるかたないことです。天文普及のことを第1に考えてがんばってきたのに、なぜ今「天文普及」の大義名分の下、自分たちが貶められるのか。もっともな反応です。

また、今回のプロジェクトとそれ以降のビジネススキームについて憶測を呼ばざるを得ない状況がありました。「民業圧迫ではないか」という意見です。「既存の製品よりも安く、しかも優れたものを開発する」という大正義の旗印、民衆もお国も味方につけて、しかも大将は高名な天文学者です。

「悪意」は誰にも存在しない・今ある残念な状況

これらの問題については、一つだけはっきりしておくべきことがあります。今回のプロジェクトとそこから巻き起こったことについて、「悪意」や「利益誘導」を企む人は誰もいない、ということです。

縣先生は情報のミスリードはあったものの、誰よりも天文普及への情熱と行動を持たれています。縣先生は数少ない「一般社会と天文界を強い力でつなぐ」ことができる方です。今回の件で、縣先生そのものを否定するようなことは決してあってはなりません。

今回のプロジェクトの製造委託を受けるビクセン社は、他社を出し抜いて儲ける意図など微塵もなく、他社が静観する中、縣先生の熱意に動かされて引き受けられたと漏れ聞きます。

低価格天体望遠鏡では最も良い製品を世に送り出している企業のひとつであるスコープテック社の大沼社長はかなりお怒りで(これは当然のことだと思います)、SNS上でそれを表明されています。一方で、大沼さんにも事実誤認と見受けられる点もあり、周辺ではネット炎上でよくある「善意の慰め・同調・そして過剰批判」や「尻馬」、「天に向かった非難の乱射」など、残念な感じも見受けられます。

禁断のネットの果実と毒リンゴ

前の記事で、クラウドファウンディングに潜む「善意の焼き畑農業」的側面に触れました。10秒で共感できる大正義。クリック一つで私もいい人。やらぬ偽善よりやる偽善。なにより、お金があっさり集められます。「共感醸成のプロ」もサポートしてくれます。

しかし、これは毒リンゴの側面もあります。「共感醸成のプロ」は時には事実を歪曲し、都合の悪いことや本質的な問題を隠蔽してしまいます。しかもそれは悪意などまるでない、ビジネス案件のオペレーションの一つ。さまざまな個別事情は置き去りに「だれもが共感するテンプレート」に当てはめてしまうのです。

その結果、よくない方向に向き始めているのが今回のプロジェクトの現状ではないでしょうか。

ネットを、メディアを、もっとシタタカに利用する

星見る感動を子どもたちに
https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/news/20180831-OYTNT50110.html

この読売新聞の記事は、多数の事実誤認を含んでいて、今回のプロジェクトの悲しい結果の一つでした。記者の能力やメディアの姿勢を否定する意見もありますが「またマスゴミが」と叫んでも何も解決しません。

大手マスコミは、実のところ天文のようなニッチの極北のような分野においては、本質的には昔から何も変わっていないのではないでしょうか。マスコミは「嘘を書きたい」とも「(完全に)正確な事実を読者に伝えたい」とも思っていないのではないでしょうか。大手マスコミもまた、「だれもが分かった気になる共感テンプレート」の上に成り立っているのです。

しかし絶望してはいけません。マスコミを利用するのです。厳密に正確でなくても、一般の人が読んでなるほどと思うことであれば、マスコミは取り上げてくれます。どうせ事実誤認されるのなら、こちらに都合良く事実誤認させようではありませんか(*)。

(*)経済面・企業面の記事では、日常の光景です。

読売の記事は、私ならこう書きます。または、こう書いてもらえるように話を誘導します。(事実でない事象も含みますのでご注意下さい)


星見る感動を子どもたちに

天体望遠鏡開発進める…国立天文台・縣あがた准教授ら

子どもたちが手軽に天体観測をできるようにしたい――。そんな志を抱く天文学者らが、高性能で安価な天体望遠鏡の開発を進めている。来春までの完成を目指しており、「天文教育の普及に役立てたい」と意気込む。費用の一部をクラウドファンディングで賄い、販売価格も抑える予定だ。

「宇宙を体験する機会を子供たちに作ることが使命」



■「一家に一台」の天体望遠鏡を目指して

開発に携わるのは、国立天文台(三鷹市)准教授の縣(あがた)秀彦さん(57)ら、天文学者の有志でつくる「子どもたちに天体望遠鏡を届ける会」。

「太陽や月の表面、金星の満ち欠けなどをもっと多くの子供たちに見てもらいたい」。懸さんは約10年間、そんな思いに駆られてきた。安価な市販の天体望遠鏡を使い、各国で観測イベントなどを開いてきたが、集まる子供たちの絶対数は限られてしまう。「すべての子供たちに土星の輪を見た感動を届けるにはどうすればいいか」と限界を感じていた。

日本国内でも、天体望遠鏡は学校に1台ある程度で、児童や生徒が手に取る機会は少ない。「十分な性能を持つ天体望遠鏡が、絵の具セットくらいの値段で手に入るようにならなければ」。新しい天体望遠鏡の開発に取りかかった。

縣さんの目標は「一家に一台の天体望遠鏡」。そのためには、大量生産による低価格が必須だ。「実のところ、現時点でも3000円で土星の輪が見える天体望遠鏡は手に入るのです」と縣さんは語る。しかし、その多くは小規模な事業者で、今すぐ大量生産できる状態ではない。「良い製品を作るだけでは一家に一台を実現することはできません。」と縣さんは語る。

■国内メーカーと一丸に

効率良く量産するにはどうすればいいのか。国内メーカーの協力も得て、プラモデルのような組み立て式が最適だとの結論に達した。そのためには「金型」に大きな初期投資が必要になる。この資金調達のために2種類のクラウドファンディングも実施した。

「民業圧迫ではないか」そんな意見も業界内からは出てきた。日本の天体望遠鏡製品は世界トップクラスの品質。しかし、天文ファンの高齢化や性能の向上を追求するあまり「子供向け」の低価格製品は空洞化していく一方。「子供たちでも使える」低価格の製品を手がけるメーカーは、一部の小規模事業者しか存在しないのが現状だ。

「これまでより一桁大きなビジネスを目指しませんか」と縣さんは業界に訴え続けた。当初は誰もが半信半疑。「学者さんのビジネスがうまくいくはずがない」そんな冷ややかな声もあった。しかし、今年の夏の火星大接近で空気が変わってきたという。大きな天文イベントは業界にとっては「書き入れ時」。しかし今回は15年前の火星大接近のような倉庫が空になるような盛り上がりは少なかったという。

■製品開発がゴールではない

縣さんは語る。「科学教育現場の危機感と、天体望遠鏡業界の危機感は、おなじ根っこにあるはずなのです。」減っていく若年人口。若者の科学離れ。根本的にある問題意識を共有していくにつれ、賛同者が増えてきた。

3回の作り直しを経た現在の試作品は、筒状部の長さが約50センチ。組み立てに要する時間も半分以下になり、教育現場の負担減も期待できるという。レンズは倍率15倍と50倍60倍の(*)2種類で、観測には十分な倍率だ。資金集めと量産化に向けた準備を進め、国内の小中学校に年間10万台規模・単価4000円未満で提供することが目標だという。

(*)元記事では50倍ですが実際は60倍だそうです。

クラウドファンディングの窓口を務める三鷹市の第3セクター「まちづくり三鷹」の富樫孝之さん(44)は「三鷹市は天文教育に力を入れている。安価な天体望遠鏡で、さらに促進したい」と話す。まちづくり三鷹では、完成した望遠鏡を市内の小中学校に配布することも計画している。

「製品開発は最初のステップに過ぎません。」と縣さん。今後はさらに国内メーカーの協力を得て、既存製品も含めた共同プロモーションと活用方法の検討プロジェクトも立ち上げる。また、三鷹市をモデルケースに、天文教育現場での事例共有を進めてゆくという。

原記事)2018年08月31日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
改稿)2018年09月5日 Copyright © Reflexions Media

※この文章はフィクションです。文章の位置づけを踏まえ登場する人物・団体は実在のものを含みますが、緑字は全て天文リフレクション編集部の創作です。

追記)

創作の作文ですのでエビデンスはありません。前回の盛り上がりがむしろ異常だったともいえるので、倉庫が空になることは誰も予想していなかったとは思いますが「理科離れ」で「空に興味を持つ人が少なくなった」というのは確かにこじつけです。

星空に対して純粋に「美しい」という立ち位置で楽しむ人はむしろ増えています。その層を天体望遠鏡の購買につなげていくよう努力されている販売店様に失礼な表現であったとすれば、お詫びいたします。


 

まとめ

本件については、当事者間の理解を進める必要があると感じています。「悪者探し」をするようなことにだけはならないよう、少なくとも本サイト読者にお願いしたいと思います。 https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/07/8874a2adebe75f4bb6c9a25ee2a66d3e-1024x901.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/07/8874a2adebe75f4bb6c9a25ee2a66d3e-150x150.jpg編集部天文コラムhttps://reflexions.jp/tenref/orig/2018/07/29/5919/ 本件に関して様々な議論がわき起こっています。状況として「誰得」な様相も見え始めていてそれについては苦しい思いをされている方も多いと伝え聞きます。 元記事を投下した当事者として、状況を簡単に整理し、いくつかコメントしたいと思います。 クラウドファウンディングは成功裏に終了 2つのクラウドファウンディング(以下、「今回のプロジェクト」と呼びます)は、それぞれ目標金額を「ハイ達成」する結果になりました。ひとつめのプロジェクトは達成率137%247万円、ふたつめのプロジェクトは達成率144%87万円。合計334万円の寄付が集まりました。 これは「子供たちに天体望遠鏡を届ける」というコンセプトが、広く多くの人に訴えかける力のあるメッセージであった結果でしょう。おめでとうございます。「天文普及」「天文(理科)教育」に対する世間の関心は高く、視線は暖かであることがわかりました。 これは、よいことです。 そもそもの問題は何だったのか しかし、弊サイトで指摘したことも含めて、このプロジェクトにはいくつかの問題がありました。(当事者にその意図がなかったとしても、結果として)「既存の天体望遠鏡は十分には見えない」という誤った認識が、今回のプロジェクトによって世間に発信されてしまいました(*)。 (*)冷静に考えると実害は少ないと推測します。誰もそんなこと覚えちゃいません。 これは、企業経営としては非常に厳しい中、努力を重ねて本当に良い製品を世に送り出してきた一部の企業にとっては、忸怩たる・憤懣やるかたないことです。天文普及のことを第1に考えてがんばってきたのに、なぜ今「天文普及」の大義名分の下、自分たちが貶められるのか。もっともな反応です。 また、今回のプロジェクトとそれ以降のビジネススキームについて憶測を呼ばざるを得ない状況がありました。「民業圧迫ではないか」という意見です。「既存の製品よりも安く、しかも優れたものを開発する」という大正義の旗印、民衆もお国も味方につけて、しかも大将は高名な天文学者です。 「悪意」は誰にも存在しない・今ある残念な状況 これらの問題については、一つだけはっきりしておくべきことがあります。今回のプロジェクトとそこから巻き起こったことについて、「悪意」や「利益誘導」を企む人は誰もいない、ということです。 縣先生は情報のミスリードはあったものの、誰よりも天文普及への情熱と行動を持たれています。縣先生は数少ない「一般社会と天文界を強い力でつなぐ」ことができる方です。今回の件で、縣先生そのものを否定するようなことは決してあってはなりません。 今回のプロジェクトの製造委託を受けるビクセン社は、他社を出し抜いて儲ける意図など微塵もなく、他社が静観する中、縣先生の熱意に動かされて引き受けられたと漏れ聞きます。 低価格天体望遠鏡では最も良い製品を世に送り出している企業のひとつであるスコープテック社の大沼社長はかなりお怒りで(これは当然のことだと思います)、SNS上でそれを表明されています。一方で、大沼さんにも事実誤認と見受けられる点もあり、周辺ではネット炎上でよくある「善意の慰め・同調・そして過剰批判」や「尻馬」、「天に向かった非難の乱射」など、残念な感じも見受けられます。 禁断のネットの果実と毒リンゴ 前の記事で、クラウドファウンディングに潜む「善意の焼き畑農業」的側面に触れました。10秒で共感できる大正義。クリック一つで私もいい人。やらぬ偽善よりやる偽善。なにより、お金があっさり集められます。「共感醸成のプロ」もサポートしてくれます。 しかし、これは毒リンゴの側面もあります。「共感醸成のプロ」は時には事実を歪曲し、都合の悪いことや本質的な問題を隠蔽してしまいます。しかもそれは悪意などまるでない、ビジネス案件のオペレーションの一つ。さまざまな個別事情は置き去りに「だれもが共感するテンプレート」に当てはめてしまうのです。 その結果、よくない方向に向き始めているのが今回のプロジェクトの現状ではないでしょうか。 ネットを、メディアを、もっとシタタカに利用する 星見る感動を子どもたちに https://www.yomiuri.co.jp/local/tokyotama/news/20180831-OYTNT50110.html この読売新聞の記事は、多数の事実誤認を含んでいて、今回のプロジェクトの悲しい結果の一つでした。記者の能力やメディアの姿勢を否定する意見もありますが「またマスゴミが」と叫んでも何も解決しません。 大手マスコミは、実のところ天文のようなニッチの極北のような分野においては、本質的には昔から何も変わっていないのではないでしょうか。マスコミは「嘘を書きたい」とも「(完全に)正確な事実を読者に伝えたい」とも思っていないのではないでしょうか。大手マスコミもまた、「だれもが分かった気になる共感テンプレート」の上に成り立っているのです。 しかし絶望してはいけません。マスコミを利用するのです。厳密に正確でなくても、一般の人が読んでなるほどと思うことであれば、マスコミは取り上げてくれます。どうせ事実誤認されるのなら、こちらに都合良く事実誤認させようではありませんか(*)。 (*)経済面・企業面の記事では、日常の光景です。 読売の記事は、私ならこう書きます。または、こう書いてもらえるように話を誘導します。(事実でない事象も含みますのでご注意下さい) 星見る感動を子どもたちに 天体望遠鏡開発進める…国立天文台・縣あがた准教授ら 子どもたちが手軽に天体観測をできるようにしたい――。そんな志を抱く天文学者らが、高性能で安価な天体望遠鏡の開発を進めている。来春までの完成を目指しており、「天文教育の普及に役立てたい」と意気込む。費用の一部をクラウドファンディングで賄い、販売価格も抑える予定だ。 「宇宙を体験する機会を子供たちに作ることが使命」 ■「一家に一台」の天体望遠鏡を目指して 開発に携わるのは、国立天文台(三鷹市)准教授の縣(あがた)秀彦さん(57)ら、天文学者の有志でつくる「子どもたちに天体望遠鏡を届ける会」。 「太陽や月の表面、金星の満ち欠けなどをもっと多くの子供たちに見てもらいたい」。懸さんは約10年間、そんな思いに駆られてきた。安価な市販の天体望遠鏡を使い、各国で観測イベントなどを開いてきたが、集まる子供たちの絶対数は限られてしまう。「すべての子供たちに土星の輪を見た感動を届けるにはどうすればいいか」と限界を感じていた。 日本国内でも、天体望遠鏡は学校に1台ある程度で、児童や生徒が手に取る機会は少ない。「十分な性能を持つ天体望遠鏡が、絵の具セットくらいの値段で手に入るようにならなければ」。新しい天体望遠鏡の開発に取りかかった。 縣さんの目標は「一家に一台の天体望遠鏡」。そのためには、大量生産による低価格が必須だ。「実のところ、現時点でも3000円で土星の輪が見える天体望遠鏡は手に入るのです」と縣さんは語る。しかし、その多くは小規模な事業者で、今すぐ大量生産できる状態ではない。「良い製品を作るだけでは一家に一台を実現することはできません。」と縣さんは語る。 ■国内メーカーと一丸に 効率良く量産するにはどうすればいいのか。国内メーカーの協力も得て、プラモデルのような組み立て式が最適だとの結論に達した。そのためには「金型」に大きな初期投資が必要になる。この資金調達のために2種類のクラウドファンディングも実施した。 「民業圧迫ではないか」そんな意見も業界内からは出てきた。日本の天体望遠鏡製品は世界トップクラスの品質。しかし、天文ファンの高齢化や性能の向上を追求するあまり「子供向け」の低価格製品は空洞化していく一方。「子供たちでも使える」低価格の製品を手がけるメーカーは、一部の小規模事業者しか存在しないのが現状だ。 「これまでより一桁大きなビジネスを目指しませんか」と縣さんは業界に訴え続けた。当初は誰もが半信半疑。「学者さんのビジネスがうまくいくはずがない」そんな冷ややかな声もあった。しかし、今年の夏の火星大接近で空気が変わってきたという。大きな天文イベントは業界にとっては「書き入れ時」。しかし今回は15年前の火星大接近のような倉庫が空になるような盛り上がりは少なかったという。 ■製品開発がゴールではない 縣さんは語る。「科学教育現場の危機感と、天体望遠鏡業界の危機感は、おなじ根っこにあるはずなのです。」減っていく若年人口。若者の科学離れ。根本的にある問題意識を共有していくにつれ、賛同者が増えてきた。 3回の作り直しを経た現在の試作品は、筒状部の長さが約50センチ。組み立てに要する時間も半分以下になり、教育現場の負担減も期待できるという。レンズは倍率15倍と50倍60倍の(*)2種類で、観測には十分な倍率だ。資金集めと量産化に向けた準備を進め、国内の小中学校に年間10万台規模・単価4000円未満で提供することが目標だという。 (*)元記事では50倍ですが実際は60倍だそうです。 クラウドファンディングの窓口を務める三鷹市の第3セクター「まちづくり三鷹」の富樫孝之さん(44)は「三鷹市は天文教育に力を入れている。安価な天体望遠鏡で、さらに促進したい」と話す。まちづくり三鷹では、完成した望遠鏡を市内の小中学校に配布することも計画している。 「製品開発は最初のステップに過ぎません。」と縣さん。今後はさらに国内メーカーの協力を得て、既存製品も含めた共同プロモーションと活用方法の検討プロジェクトも立ち上げる。また、三鷹市をモデルケースに、天文教育現場での事例共有を進めてゆくという。 原記事)2018年08月31日 Copyright © The Yomiuri Shimbun 改稿)2018年09月5日 Copyright © Reflexions Media ※この文章はフィクションです。文章の位置づけを踏まえ登場する人物・団体は実在のものを含みますが、緑字は全て天文リフレクション編集部の創作です。 追記) https://twitter.com/loupe_studio_jp/status/1037261071717814272 創作の作文ですのでエビデンスはありません。前回の盛り上がりがむしろ異常だったともいえるので、倉庫が空になることは誰も予想していなかったとは思いますが「理科離れ」で「空に興味を持つ人が少なくなった」というのは確かにこじつけです。 星空に対して純粋に「美しい」という立ち位置で楽しむ人はむしろ増えています。その層を天体望遠鏡の購買につなげていくよう努力されている販売店様に失礼な表現であったとすれば、お詫びいたします。   まとめ 本件については、当事者間の理解を進める必要があると感じています。「悪者探し」をするようなことにだけはならないよう、少なくとも本サイト読者にお願いしたいと思います。編集部発信のオリジナルコンテンツ