アストロアーツHPで星ナビ2023年12月号の内容が告知されています。発売は11月4日 土曜日です。

今月の内容は!?

特別付録「星空カレンダー2024」は星空を感じながら1年を楽しむのにぴったり。特集は「リモート天文台」で楽しむ天体写真撮影です。

星ナビ12月号は特別付録「星空カレンダー2024」と「リモート天文台で天体写真撮影」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13323_hoshinavi

■表紙

今回の表紙は渡部 剛さん撮影の「秋の準備」(星ナビギャラリーへの応募作品)。ススキの穂とオリオン座が秋らしい作品です。

今月の表紙はベテラン渡部さん撮影の玉ボケ星景写真。本誌記事との連動ではなく、ギャラリー応募作品からの掲載。ススキと東の空のオリオン座という、秋の気配を感じさせる秀作ですね!

■綴じ込み特別付録「星空カレンダー2024」

毎年恒例のカレンダーが特別付録。表紙は静岡県の浜名湖に浮かぶ「礫島のカノープス」。富士山や花火、桜や天の川、ふたご座流星群など、過去1年間の「星ナビギャラリー」掲載作から季節感あふれる9点をピックアップしました。

12月号恒例の特別付録「星空カレンダー2024」。11月スタートでいますぐ使えるのが嬉しいところ^^ 星ナビギャラリー掲載の9作品です。



天文関係では「星ナビ」「ビクセン」「サイトロンジャパン」など、公募された作品の中から掲載されるカレンダーがいくつかありますが、カレンダーに掲載されることはステータスの意味だけでなく、1ヶ月ないしは2ヶ月、数多くの天文ファンやその家族などが眼にすることになります。自慢の力作を多くの人に見てもらえるという意味でも、星空カレンダー掲載は意義あることだといえるでしょう。

■自宅にいながら天体写真撮影 リモート天文台で大望遠鏡をレンタル (解説・作例/雑賀康隆)

遠隔地の天体望遠鏡を操作する「リモート天文台」を使って天体写真を撮影し、星ナビギャラリーに作品を投稿している雑賀康隆さんによるレポート。世界の主な施設、実際の使用方法、天体画像の取得方法までを紹介します。

最近増えてきた「リモート天文台」の活用。個人はもとより、グループで天文台を建設・設置するのもけっこう大変なパワーが必要。海外のホスティングサービスの利用もありますが、こちらもそれなりの初期投資が必要で敷居が高いのが現状です。

そこで、より手軽にリモートを利用する手段として「レンタル」サービスがあります。本記事はアムステルダム在住のアマチュア天文愛好家雑賀康隆さんによる、レンタル型のリモート天文台の紹介。なんと12ページものボリュームで詳しく解説されています。

リモート天文台の課金システムは種々ありますが、時間単位でレンタルできるSkyGemsリモート天文台の場合、口径50cmのCDK500で1時間45ユーロ(約7000円)だそうです(*)。

(*)100時間露光すれば70万円なので大変な価格ですが、CDK500はカタログ価格で5.6万ドル。個人で購入するのは不可能に近い機材を手軽に利用できるのは、大いに意義ありではないでしょうか。

記事では撮像画像の著作権や、フォトコンでの公平性などリモート天文台の利用倫理にまで言及されています。リモート天文台という新しい手段は「その利点を大いに利用すればいいことで是非を問う問題ではない」という雑賀さんのご意見には、大いに賛同するものがありました。

◎天リフ独断ピックアップ

■広告ピックアップ・William Optics RedCat61

星ナビギャラリーの見開き左側に登場。製品名が広告になくわかりにくい?ですが、「STARS CATCHER」のコンセプトを掲げた、RedCatシリーズの真ん中、RedCat61の広告です。製造元のWilliam Optics社によるご出広。

RedCat61
https://williamoptics.com/redcat-61

天体写真において、小口径・短焦点の高性能鏡筒のメリットは同社の「RedCat51」で広く認知されました。その後、F値「4.9」の口径71mmモデルの「RedCat71」が発売され、今夏発売されたのが口径61mmモデルの「RedCat61」です。

4枚玉構成のペッツバール構成の光学系はフルサイズ周辺までシャープ。インターフォーカスなど、斬新な要素を取り入れた製品です。

■日食カウンドダウン・アメリカ縦断皆既食帯の概要(解説/石井馨)

次の皆既日食まであと5ヶ月。北米大陸を縦断する2024年4月8日の皆既日食は、ダラスをはじめ人口の多い都市が数多く皆既帯に含まれています。本記事では各地での観測条件を解説。

好天の可能性が高いといわれるメキシコ・トレオンでは、標高1130m、継続時間4分13秒、地平高度70°と絶好の条件です。

さて、当日のお天気や盛り上がりはどうなるでしょうか?楽しみですね!

■ネットよ今夜もありがとう

今月は「倉敷天文台」。先々月の「星尋山荘」の大野智久さんからの「本田實さん繋がり」です。

倉敷天文台
http://kuraten.jp/

2026年に百周年を迎える倉敷天文台は、倉敷紡績(クラボウ、現クラレ)の役員も務めた実業家の故・原澄治さんが私財で設立した日本初の「民間天文台」です。初代台長は故・山本一清博士、本田實さんは倉敷天文台の天文台主事を長く務められ、ここを拠点に数多くの新天体を発見されました。



現在の倉敷天文台は公益財団法人の形で運営され、施設の維持管理や天文普及などさまざまな活動が行われています。

■星ナビギャラリー

今回のトップ下はK林さんの「彩りの競演」。表紙と同じくオリオン座を配置した玉ボケ星景です。選評に「(玉ボケ星景の中では)これまでの中でも一番(*)の傑作ではないか」とあるように、色彩も構図も、たいへん素晴らしく整った作品ですね。

(*)「表紙の作品と共に、どちらもこれまでで一番」とのことです。表紙掲載作の選定理由は「縦構図」「星ナビロゴやタイトル文字を載せやすい余白の存在」などの理由があったそうです。

個人的イチオシはY田さんの「NGC7009」。口径40cmの自動追尾ドブソニアンによる撮影ですが、選評にあるように「とんでもなく解像」しています。1コマ当たりの露光時間が1/4〜1/2秒と「本当のラッキーイメージング」によるもの。大気の揺らぎによる解像の悪化を最小に抑えるには数秒程度の露光時間でもまだ長い、ということでしょうか(*)。

(*)選評には「この手法での惑星状星雲の撮り直しを期待する」という愛のムチが振るわれております^^

■ 川端康成が描いた天の川を訪ねて 名作「雪国」の星空 (考察/梅本真由美)

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」この有名な書き出しで知られる小説『雪国』。実は天文ファンとしても注目したい作品です。クライマックスでは、川端の鋭い観察眼による圧巻の天の川描写がラストまで続きます。舞台である越後湯沢を訪ね、川端の足跡と資料から、単なる背景にとどまらない星空の意味するところを読み解いていきます。

これは濃い。川端康成の名作「雪国」に描写された天の川の謎を解き明かす10ページ。梅本真由美さんによるルポルタージュ形式ですが、「雪国」という小説の文学論考でもあります。さらに上のイラストの作者である沼澤茂美さんの地元新潟への思いも綴られています。

天リフ編集長は実は「雪国」は未読なのですが、ぜひちゃんと読んでからもう一度この記事を読んでみたいと思いました。

■小惑星による1等星食 ベテルギウス消失? それとも減光? (解説/早水 勉)

12月12日、オリオン座の主星ベテルギウスが小惑星レオーナに隠されるという誰も見たことのない現象が起こります。今回の現象は恒星の理解が大きく進展する千載一遇のチャンスと期待されています。観測から期待できる成果と研究について解説していきます。

2023年12月12日。まだ誰も眼にしたことのないであろう天文現象「小惑星(レオーナ:319)による1等星(ベテルギウス)食」が見られます。残念ながら日本では見られないのですが、中央アジアからトルコ、ギリシャ、スペイン、そして大西洋を経てフロリダ・メキシコへと恒星食帯が続きます。

この現象は「1等星が消える?!」というだけでなく、小惑星レオーナと赤色巨星であるベテルギウスの視直径がほぼ同じであるため、実際のところ「どれほど減光するか予想がつかない」というスリリングなものです。「最も暗くなる皆既食」の場合は13.7等の減光でほぼ消失し、「金環食」の場合は1.1等の減光にとどまります。しかも小惑星の形状と視直径によっては「金環でもなく皆既でもない」食となり、不規則な光度変化を示すかもしれません。

本記事では、当日現地への遠征観測を予定されている早水勉さんによる、本現象の詳細と観測方法や観測的意義の解説。当日、観測が可能な方はぜひご参考にしていただき、本現象で新たな科学の扉を開いてみませんか?

まとめ

 

いかがでしたか?

今月号はそれぞれ専門的ではあるものの、濃い記事が3本もありいつも以上に読み応えのあるものでした。作者と編集、そして読者の3つが相互に絡み合うことで、生きた情報がコミュニティにインパクトを与えるという雑誌メディアの一つの存在意義を示したものではないかと感じました。

そんな中でも毎日一度は天文リフレクションズ、今月は4日の天文雑誌!1月号も楽しみですね!

星ナビ12月号は特別付録「星空カレンダー2024」と「リモート天文台で天体写真撮影」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13323_hoshinavi

※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。

天文ガイドも合わせて読みたいですね!!

 

  https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2023/11/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1024x529.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2023/11/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-150x150.jpg編集部雑誌・書籍星ナビアストロアーツHPで星ナビ2023年12月号の内容が告知されています。発売は11月4日 土曜日です。 今月の内容は!? 特別付録「星空カレンダー2024」は星空を感じながら1年を楽しむのにぴったり。特集は「リモート天文台」で楽しむ天体写真撮影です。 星ナビ12月号は特別付録「星空カレンダー2024」と「リモート天文台で天体写真撮影」https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13323_hoshinavi ■表紙 今月の表紙はベテラン渡部さん撮影の玉ボケ星景写真。本誌記事との連動ではなく、ギャラリー応募作品からの掲載。ススキと東の空のオリオン座という、秋の気配を感じさせる秀作ですね! ■綴じ込み特別付録「星空カレンダー2024」 12月号恒例の特別付録「星空カレンダー2024」。11月スタートでいますぐ使えるのが嬉しいところ^^ 星ナビギャラリー掲載の9作品です。 天文関係では「星ナビ」「ビクセン」「サイトロンジャパン」など、公募された作品の中から掲載されるカレンダーがいくつかありますが、カレンダーに掲載されることはステータスの意味だけでなく、1ヶ月ないしは2ヶ月、数多くの天文ファンやその家族などが眼にすることになります。自慢の力作を多くの人に見てもらえるという意味でも、星空カレンダー掲載は意義あることだといえるでしょう。 ■自宅にいながら天体写真撮影 リモート天文台で大望遠鏡をレンタル (解説・作例/雑賀康隆) 最近増えてきた「リモート天文台」の活用。個人はもとより、グループで天文台を建設・設置するのもけっこう大変なパワーが必要。海外のホスティングサービスの利用もありますが、こちらもそれなりの初期投資が必要で敷居が高いのが現状です。 そこで、より手軽にリモートを利用する手段として「レンタル」サービスがあります。本記事はアムステルダム在住のアマチュア天文愛好家雑賀康隆さんによる、レンタル型のリモート天文台の紹介。なんと12ページものボリュームで詳しく解説されています。 リモート天文台の課金システムは種々ありますが、時間単位でレンタルできるSkyGemsリモート天文台の場合、口径50cmのCDK500で1時間45ユーロ(約7000円)だそうです(*)。 (*)100時間露光すれば70万円なので大変な価格ですが、CDK500はカタログ価格で5.6万ドル。個人で購入するのは不可能に近い機材を手軽に利用できるのは、大いに意義ありではないでしょうか。 記事では撮像画像の著作権や、フォトコンでの公平性などリモート天文台の利用倫理にまで言及されています。リモート天文台という新しい手段は「その利点を大いに利用すればいいことで是非を問う問題ではない」という雑賀さんのご意見には、大いに賛同するものがありました。 ◎天リフ独断ピックアップ ■広告ピックアップ・William Optics RedCat61 星ナビギャラリーの見開き左側に登場。製品名が広告になくわかりにくい?ですが、「STARS CATCHER」のコンセプトを掲げた、RedCatシリーズの真ん中、RedCat61の広告です。製造元のWilliam Optics社によるご出広。 RedCat61https://williamoptics.com/redcat-61 天体写真において、小口径・短焦点の高性能鏡筒のメリットは同社の「RedCat51」で広く認知されました。その後、F値「4.9」の口径71mmモデルの「RedCat71」が発売され、今夏発売されたのが口径61mmモデルの「RedCat61」です。 4枚玉構成のペッツバール構成の光学系はフルサイズ周辺までシャープ。インターフォーカスなど、斬新な要素を取り入れた製品です。 ■日食カウンドダウン・アメリカ縦断皆既食帯の概要(解説/石井馨) 次の皆既日食まであと5ヶ月。北米大陸を縦断する2024年4月8日の皆既日食は、ダラスをはじめ人口の多い都市が数多く皆既帯に含まれています。本記事では各地での観測条件を解説。 好天の可能性が高いといわれるメキシコ・トレオンでは、標高1130m、継続時間4分13秒、地平高度70°と絶好の条件です。 さて、当日のお天気や盛り上がりはどうなるでしょうか?楽しみですね! ■ネットよ今夜もありがとう 今月は「倉敷天文台」。先々月の「星尋山荘」の大野智久さんからの「本田實さん繋がり」です。 倉敷天文台http://kuraten.jp/ 2026年に百周年を迎える倉敷天文台は、倉敷紡績(クラボウ、現クラレ)の役員も務めた実業家の故・原澄治さんが私財で設立した日本初の「民間天文台」です。初代台長は故・山本一清博士、本田實さんは倉敷天文台の天文台主事を長く務められ、ここを拠点に数多くの新天体を発見されました。 現在の倉敷天文台は公益財団法人の形で運営され、施設の維持管理や天文普及などさまざまな活動が行われています。 ■星ナビギャラリー 今回のトップ下はK林さんの「彩りの競演」。表紙と同じくオリオン座を配置した玉ボケ星景です。選評に「(玉ボケ星景の中では)これまでの中でも一番(*)の傑作ではないか」とあるように、色彩も構図も、たいへん素晴らしく整った作品ですね。 (*)「表紙の作品と共に、どちらもこれまでで一番」とのことです。表紙掲載作の選定理由は「縦構図」「星ナビロゴやタイトル文字を載せやすい余白の存在」などの理由があったそうです。 個人的イチオシはY田さんの「NGC7009」。口径40cmの自動追尾ドブソニアンによる撮影ですが、選評にあるように「とんでもなく解像」しています。1コマ当たりの露光時間が1/4〜1/2秒と「本当のラッキーイメージング」によるもの。大気の揺らぎによる解像の悪化を最小に抑えるには数秒程度の露光時間でもまだ長い、ということでしょうか(*)。 (*)選評には「この手法での惑星状星雲の撮り直しを期待する」という愛のムチが振るわれております^^ ■ 川端康成が描いた天の川を訪ねて 名作「雪国」の星空 (考察/梅本真由美) これは濃い。川端康成の名作「雪国」に描写された天の川の謎を解き明かす10ページ。梅本真由美さんによるルポルタージュ形式ですが、「雪国」という小説の文学論考でもあります。さらに上のイラストの作者である沼澤茂美さんの地元新潟への思いも綴られています。 天リフ編集長は実は「雪国」は未読なのですが、ぜひちゃんと読んでからもう一度この記事を読んでみたいと思いました。 ■小惑星による1等星食 ベテルギウス消失? それとも減光? (解説/早水 勉) 2023年12月12日。まだ誰も眼にしたことのないであろう天文現象「小惑星(レオーナ:319)による1等星(ベテルギウス)食」が見られます。残念ながら日本では見られないのですが、中央アジアからトルコ、ギリシャ、スペイン、そして大西洋を経てフロリダ・メキシコへと恒星食帯が続きます。 この現象は「1等星が消える?!」というだけでなく、小惑星レオーナと赤色巨星であるベテルギウスの視直径がほぼ同じであるため、実際のところ「どれほど減光するか予想がつかない」というスリリングなものです。「最も暗くなる皆既食」の場合は13.7等の減光でほぼ消失し、「金環食」の場合は1.1等の減光にとどまります。しかも小惑星の形状と視直径によっては「金環でもなく皆既でもない」食となり、不規則な光度変化を示すかもしれません。 本記事では、当日現地への遠征観測を予定されている早水勉さんによる、本現象の詳細と観測方法や観測的意義の解説。当日、観測が可能な方はぜひご参考にしていただき、本現象で新たな科学の扉を開いてみませんか? まとめ   いかがでしたか? 今月号はそれぞれ専門的ではあるものの、濃い記事が3本もありいつも以上に読み応えのあるものでした。作者と編集、そして読者の3つが相互に絡み合うことで、生きた情報がコミュニティにインパクトを与えるという雑誌メディアの一つの存在意義を示したものではないかと感じました。 そんな中でも毎日一度は天文リフレクションズ、今月は4日の天文雑誌!1月号も楽しみですね! 星ナビ12月号は特別付録「星空カレンダー2024」と「リモート天文台で天体写真撮影」https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13323_hoshinavi ※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。 天文ガイドも合わせて読みたいですね!!    編集部発信のオリジナルコンテンツ