キヤノンから「EOS R」システムが正式発表されました。以下、天文目線でのスペックレビューです。



注)今回からキヤノン公式サイトでのMTFチャートの「F8」時の表示がなくなっています。そのせいか、昨日(9/5)時点では凡例が古いままになっていました。本記事の画像も一部古い誤った凡例がありますが、正しくは上の画像のものです。

EOS Rボディ

価格は20万円台前半

スペックのサプライズはなし。ちなみに、センサーはEOS 5D mk4と同じ30MPセンサーだそうです。しかし価格が23.75万、攻めてますね。「まあまあ、皆さん、とにかく買いなはれ」的設定。細かいところではいろいろな声があるでしょうが、まあ売れるでしょうね。天文用途ならEFマウント専用と割り切っても価値がありそう。天体改造が問題なくできるかの情報が待たれます。

センサー駆動手振れ補正は非搭載

「5軸ボディ内手振れ補正搭載」は誤りです。「デュアルセンシングIS」は動画専用の機能で、レンズ側のIS駆動情報をボディに渡し、ボディ側の動画映像と合わせて解析し、動画画像を電子的に手振れ補正するしくみのようです。

「静止画ではデュアルセンシングIS非対応」なのかどうかは、実のところ判然としません。キヤノンのHPには対応レンズ(RFの2本のIS付きレンズ)では「静止画撮影時で五段」という記述もあり、静止画の場合でもライブビュー画像から手振れ補正情報をレンズ側にフィードバックする機構なのかもしれません。いずれにせよ「センサー物理駆動型の補正」についてはどこにも言及はありません。新たな情報がわかれば追記します。

天体用途には関係ないといえばないのですが、一般撮影と併用する場合や、暗所の撮影風景スナップでは有効な機能です。

センサーのホコリ対策

電源をOFFにするとセンサー前のシャッターが閉まり、ゴミ・ホコリを防ぐ機構。フィールドでのレンズ交換が多い星景写真では特にこれは良さそうですね。

そのほか天文関連スペック

バッテリ関連では、撮影枚数は常温で370枚。ミラーレスでは仕方ないでしょう。動画の連続撮影枚数は常温で2時間10分、少なくともこの時間くらいの長秒撮影は可能でしょう。USB(3.1、マイクロ)から充電できるようになりましたが、充電中は撮影不能。バッテリーフリーの運用はできません。これは残念。

シャッター速度の上限はバルブを除けば相変わらず30秒。これも残念。デジタルなのですから、もっと長いシャッター速度を使用できるようにしてほしいものです。

EF-RFマウントアダプタ

ドロップインフィルター マウントアダプター EF-EOS R ドロップイン 円偏光フィルター A付
https://cweb.canon.jp/eos/rf/lineup/adp-dif-ef-eosr-pl/

フィルターが差し込み可能なマウントアダプタですが、こちらは期待外れ。現時点では使用できるフィルターは「可変NDフィルター」と「円偏光フィルター」に限られてしまいます。出目金レンズにソフトフィルターとか、光害カット・ナローバンドフィルターが使いたいのですが、現状ではどうなるのか不明。

お値段は円偏光タイプで4.5万、何もなしのアダプタ1.5万円と比べてもかなり割高。しかも発売は来年2月。様子見といったところです。

RF50mmF1.2L

税別32.5万、気合満点のレンズですが、最近のキヤノンらしく「そこそこ」な感じ。BR素子は使用していないようです。

各社HPより画面キャプチャ。

新旧モデル、シグマ50mmF1.4ArtとのMTF、レンズ構成図の比較。新旧モデルの性能差は圧倒的です。EFマウントでも50mmレンズはF1.0が可能なので「ショートフランジバックだから実現した」とは必ずしもいえません。「この機会に気合い入れてみました」みたいな。前玉があまり大きくなく、口径食はそれなりにあるのかもしれませんが、後玉が前玉と同じくらい大きく、この予想は違っているかもしれません。実機レビューが待たれます。

シグマとの比較では、MTFはより良好そう。掲載していませんが、otusには若干負けます。重量は950gと大型ですが、最近のカメラマンはこの程度の重量は気にしないでしょう^^;;;

RF28-70mmF2L

注目のF2通しズーム。42万円、1430gと超弩級。これは「ショートフランジバックだから実現した!」系のズームです。

MTFとレンズ構成図のEF24-70mmF2.8との比較。MTFは若干改善してはいますが、圧倒的差ではありません(F2であることを考慮すると凄いのですが)。

天文用途としては星景用ですが、28mmは少し長め、この重さではちょっと辛そう。逆に単焦点レンズの存在価値が際立ちます^^;;;



RF-24-105mmF4L IS

一番の売れ筋になるであろう標準ズームレンズ、24-105mmF4L。価格はEFの現行モデルと同じ15.5万、重量は95g減の700g。ソニーの同レンジ製品の重量は663g、それよりは少し重いですがまあ誤差の範囲でしょう。


MTFとレンズ構成のEFモデルとの比較。どちらもそっくり。広角端の周辺は若干改善していますが、S/M較差はやや増大気味。SONYの同等製品のS/Mがよく一致しているのと比較すると若干負けている感がありますが、スペック厨レベルではあります。

既存のレンズの設計をできるだけ流用し、フランジバックを短くする改良を行ったような形になっています。キヤノンらしい尖らないソツのない?まとめ方です。

このレンズも天文用途ではあまり人気がありませんが、星景からディープスカイまでカバーできる焦点距離。若干暗いですが低価格のキットレンズよりはずっと高性能。このレンズを既に買っている人を天体写真・星景写真に誘導するアプローチをかけていきたいものです。

RF35mmF1.8 マクロIS STM(*)

こちらはEFの非LレンズEF35mmF2のミラーレス版、RF35mmF1.8です。レンズ構成は全く異なっており、新規設計だと推測されます。一方、MTFはEF版とほぼ同じ、若干改善程度。尖った性能ではなくガチ天体用ではありませんが、1/2倍マクロ・軽量・EFよりも安価など1本買ってしまいたくなるまとめ方。さすがキヤノン。

(*)この製品の公式HPでは商品名から「IS」の文字が抜けています。MTFの凡例もそうですが、突貫工事感がひしひし^^;; 

EF400mmF2.8L IS III、EF600mmF4L IS III

かねてから噂のあった白レンズの後継機種も同時に発表されました。驚いたのは重量。1キロ以上軽量化され、ソニーよりもさらに軽くなっています。

レンズ構成図とMTFをII型と比較してみました。MTFはほとんど同じ。レンズレイアウトはSONYの400mmF2.8と同様、前群の大きなレンズを1枚きりとした構成。軽量化に決定的に効いている部分です。

紫のフローライトレンズ(なぜか図に注記がない)をかなり小さくできるためコストダウンにも寄与するはずなのですが、価格は従来品よりもはるかに高い168万円。一般アマチュアではもはや手が出ないレベル。

600mmF4のIII型も基本的には400mmF2.8と同じコンセプト。鳥屋さんはどう動くのでしょうね^^

天文用途にはますます手が出にくくなるIII型ですが、大事な補足を一つ。フォーカシングが電子式になりました。3段階にMF時のリングスピードが変えられるのは便利ですが、冷却CCDなどレンズ側に給電する機構を持たないカメラではピント合わせもできないことになります。

DRAGONFLY・ヨンニッパ48本アレイの迫力

ちなみに最近紹介したトロント大学の「DRAGONFLY」は428のII型を24本並べたものですが、冷却CCDを使用しているのでIII型では使えないはずです。価格的にもII型は継続的に併売されるべきだと思いますが、どうなるのでしょうか。

まとめ

デジタル一眼の大変革期。レンズ群の魅力は天体用途としては乏しく、ニコンZに軍配があがりますが、長い眼で見ると勝負はまだ始まったばかり。デジタル一眼カメラ市場がさらに盛り上がるといいですね!

それにしても・・・

aモデル」はまだかーーー!!

https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/09/canon.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/09/canon-150x150.jpg編集部デジタルカメラキヤノンから「EOS R」システムが正式発表されました。以下、天文目線でのスペックレビューです。 注)今回からキヤノン公式サイトでのMTFチャートの「F8」時の表示がなくなっています。そのせいか、昨日(9/5)時点では凡例が古いままになっていました。本記事の画像も一部古い誤った凡例がありますが、正しくは上の画像のものです。 EOS Rボディ https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037267075125788673 価格は20万円台前半 スペックのサプライズはなし。ちなみに、センサーはEOS 5D mk4と同じ30MPセンサーだそうです。しかし価格が23.75万、攻めてますね。「まあまあ、皆さん、とにかく買いなはれ」的設定。細かいところではいろいろな声があるでしょうが、まあ売れるでしょうね。天文用途ならEFマウント専用と割り切っても価値がありそう。天体改造が問題なくできるかの情報が待たれます。 センサー駆動手振れ補正は非搭載 https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037500592690610176 「5軸ボディ内手振れ補正搭載」は誤りです。「デュアルセンシングIS」は動画専用の機能で、レンズ側のIS駆動情報をボディに渡し、ボディ側の動画映像と合わせて解析し、動画画像を電子的に手振れ補正するしくみのようです。 「静止画ではデュアルセンシングIS非対応」なのかどうかは、実のところ判然としません。キヤノンのHPには対応レンズ(RFの2本のIS付きレンズ)では「静止画撮影時で五段」という記述もあり、静止画の場合でもライブビュー画像から手振れ補正情報をレンズ側にフィードバックする機構なのかもしれません。いずれにせよ「センサー物理駆動型の補正」についてはどこにも言及はありません。新たな情報がわかれば追記します。 天体用途には関係ないといえばないのですが、一般撮影と併用する場合や、暗所の撮影風景スナップでは有効な機能です。 センサーのホコリ対策 https://twitter.com/GAGAMBO_Photo/status/1037240083827453952 電源をOFFにするとセンサー前のシャッターが閉まり、ゴミ・ホコリを防ぐ機構。フィールドでのレンズ交換が多い星景写真では特にこれは良さそうですね。 そのほか天文関連スペック バッテリ関連では、撮影枚数は常温で370枚。ミラーレスでは仕方ないでしょう。動画の連続撮影枚数は常温で2時間10分、少なくともこの時間くらいの長秒撮影は可能でしょう。USB(3.1、マイクロ)から充電できるようになりましたが、充電中は撮影不能。バッテリーフリーの運用はできません。これは残念。 シャッター速度の上限はバルブを除けば相変わらず30秒。これも残念。デジタルなのですから、もっと長いシャッター速度を使用できるようにしてほしいものです。 EF-RFマウントアダプタ ドロップインフィルター マウントアダプター EF-EOS R ドロップイン 円偏光フィルター A付 https://cweb.canon.jp/eos/rf/lineup/adp-dif-ef-eosr-pl/ https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037268745968746496 フィルターが差し込み可能なマウントアダプタですが、こちらは期待外れ。現時点では使用できるフィルターは「可変NDフィルター」と「円偏光フィルター」に限られてしまいます。出目金レンズにソフトフィルターとか、光害カット・ナローバンドフィルターが使いたいのですが、現状ではどうなるのか不明。 お値段は円偏光タイプで4.5万、何もなしのアダプタ1.5万円と比べてもかなり割高。しかも発売は来年2月。様子見といったところです。 RF50mmF1.2L https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037271431141240832 税別32.5万、気合満点のレンズですが、最近のキヤノンらしく「そこそこ」な感じ。BR素子は使用していないようです。 新旧モデル、シグマ50mmF1.4ArtとのMTF、レンズ構成図の比較。新旧モデルの性能差は圧倒的です。EFマウントでも50mmレンズはF1.0が可能なので「ショートフランジバックだから実現した」とは必ずしもいえません。「この機会に気合い入れてみました」みたいな。前玉があまり大きくなく、口径食はそれなりにあるのかもしれませんが、後玉が前玉と同じくらい大きく、この予想は違っているかもしれません。実機レビューが待たれます。 シグマとの比較では、MTFはより良好そう。掲載していませんが、otusには若干負けます。重量は950gと大型ですが、最近のカメラマンはこの程度の重量は気にしないでしょう^^;;; RF28-70mmF2L https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037273068215754752 注目のF2通しズーム。42万円、1430gと超弩級。これは「ショートフランジバックだから実現した!」系のズームです。 MTFとレンズ構成図のEF24-70mmF2.8との比較。MTFは若干改善してはいますが、圧倒的差ではありません(F2であることを考慮すると凄いのですが)。 天文用途としては星景用ですが、28mmは少し長め、この重さではちょっと辛そう。逆に単焦点レンズの存在価値が際立ちます^^;;; RF-24-105mmF4L IS https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037275681107791872 一番の売れ筋になるであろう標準ズームレンズ、24-105mmF4L。価格はEFの現行モデルと同じ15.5万、重量は95g減の700g。ソニーの同レンジ製品の重量は663g、それよりは少し重いですがまあ誤差の範囲でしょう。 MTFとレンズ構成のEFモデルとの比較。どちらもそっくり。広角端の周辺は若干改善していますが、S/M較差はやや増大気味。SONYの同等製品のS/Mがよく一致しているのと比較すると若干負けている感がありますが、スペック厨レベルではあります。 既存のレンズの設計をできるだけ流用し、フランジバックを短くする改良を行ったような形になっています。キヤノンらしい尖らないソツのない?まとめ方です。 このレンズも天文用途ではあまり人気がありませんが、星景からディープスカイまでカバーできる焦点距離。若干暗いですが低価格のキットレンズよりはずっと高性能。このレンズを既に買っている人を天体写真・星景写真に誘導するアプローチをかけていきたいものです。 RF35mmF1.8 マクロIS STM(*) https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037274421411512323 こちらはEFの非LレンズEF35mmF2のミラーレス版、RF35mmF1.8です。レンズ構成は全く異なっており、新規設計だと推測されます。一方、MTFはEF版とほぼ同じ、若干改善程度。尖った性能ではなくガチ天体用ではありませんが、1/2倍マクロ・軽量・EFよりも安価など1本買ってしまいたくなるまとめ方。さすがキヤノン。 (*)この製品の公式HPでは商品名から「IS」の文字が抜けています。MTFの凡例もそうですが、突貫工事感がひしひし^^;;  EF400mmF2.8L IS III、EF600mmF4L IS III https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037264365630631937 かねてから噂のあった白レンズの後継機種も同時に発表されました。驚いたのは重量。1キロ以上軽量化され、ソニーよりもさらに軽くなっています。 レンズ構成図とMTFをII型と比較してみました。MTFはほとんど同じ。レンズレイアウトはSONYの400mmF2.8と同様、前群の大きなレンズを1枚きりとした構成。軽量化に決定的に効いている部分です。 紫のフローライトレンズ(なぜか図に注記がない)をかなり小さくできるためコストダウンにも寄与するはずなのですが、価格は従来品よりもはるかに高い168万円。一般アマチュアではもはや手が出ないレベル。 https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037265303476916224 600mmF4のIII型も基本的には400mmF2.8と同じコンセプト。鳥屋さんはどう動くのでしょうね^^ https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037280635428061184 天文用途にはますます手が出にくくなるIII型ですが、大事な補足を一つ。フォーカシングが電子式になりました。3段階にMF時のリングスピードが変えられるのは便利ですが、冷却CCDなどレンズ側に給電する機構を持たないカメラではピント合わせもできないことになります。 https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/09/02/6251/ ちなみに最近紹介したトロント大学の「DRAGONFLY」は428のII型を24本並べたものですが、冷却CCDを使用しているのでIII型では使えないはずです。価格的にもII型は継続的に併売されるべきだと思いますが、どうなるのでしょうか。 まとめ https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1037277828268478464 デジタル一眼の大変革期。レンズ群の魅力は天体用途としては乏しく、ニコンZに軍配があがりますが、長い眼で見ると勝負はまだ始まったばかり。デジタル一眼カメラ市場がさらに盛り上がるといいですね! それにしても・・・ 「aモデル」はまだかーーー!!編集部発信のオリジナルコンテンツ