@cryptrhythmさんのツイート。トロント大学の「ドラゴンフライ(DRAGONFLY)」プロジェクトの画像が紹介されています。



キヤノンの400mmF2.8L II ISに冷却CCD(SBIG製でしょうか)を24本並べた「力づく」のシステム。これがもう1セットあるそうです。レンズだけで5000万円ほどになりますが、天文学(研究)的なスケールで見ると、極めて安価なシステムともいえるでしょう。

「DRAGONFLY(トンボ)」という名前は、トンボの「複眼」から命名されたそうです。

トロント大学・DRAGONFLY
http://www.dunlap.utoronto.ca/instrumentation/dragonfly/ 画像キャプチャ:編集部

このシステムは最初3台のアレイから始まり、徐々に本数を増やして今に至るそうです。その過程を示す画像。

このシステムが観測目標にしているのは、「極めて輝度の低い銀河」の可視光域での観測。最新の宇宙モデルでは、小さな銀河が合体して大きな銀河を形成するプロセスの研究がホットですが、このようなモデルの証拠を、我が銀河系(天の川銀河)、M31銀河などの比較的近い銀河の周辺の淡い流れやフィラメント構造から見いだそうというものです。



M101の近くに発見された7つの極めて輝度の低い銀河
http://inspirehep.net/record/1299939

この画像は、M101の周辺に発見された極めて淡い銀河。銀河と銀河の衝突ではじき出された「銀河の破片」のようなものなのでしょうか。(編集子の想像です^^;;)

 

一般のアマチュアではさすがにこれほどまでのシステムを構築するのは難しいですが、それでもアマチュアレベルの機材で、地上からの可視光による撮影で、最先端の天文学的に寄与するような発見が可能であるというのは、夢のあることではないでしょうか。

画像提供:三本松尚雄氏 Opt.:TAKAHASHI ε130D Camera HKIR6D Mount 90S 6min*28

M110のハローも面白いです。本体は南北(横方向)に伸びた形ですが、ハローは北西から南東、つまりM31に対して直交しているように見えるのは、M31の重力による影響なのでしょうか。

こちらは分子雲の大家、アマチュア天体写真家の三本松尚雄さんが撮影されたM31。シングルシステムですが^^;、430mmF3.3。DRAGONFLYの一本分と同じくらいのスペック。氏はM110をとりまくハロー構造に言及されていますが、このような「極めて淡く広がった」対象については、最新の天文学でもまだ十分に解き明かされていない領域のようです。

アマチュアの天体撮影においても、まだまだ研究レベルのでの可能性が秘められているのかもしれませんね。 https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/09/88efdb3e8d407b44005514fd58cf255f-1024x605.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/09/88efdb3e8d407b44005514fd58cf255f-150x150.jpg編集部天体写真@cryptrhythmさんのツイート。トロント大学の「ドラゴンフライ(DRAGONFLY)」プロジェクトの画像が紹介されています。 https://twitter.com/cryptrhythm/status/1035487978619985922 キヤノンの400mmF2.8L II ISに冷却CCD(SBIG製でしょうか)を24本並べた「力づく」のシステム。これがもう1セットあるそうです。レンズだけで5000万円ほどになりますが、天文学(研究)的なスケールで見ると、極めて安価なシステムともいえるでしょう。 「DRAGONFLY(トンボ)」という名前は、トンボの「複眼」から命名されたそうです。 トロント大学・DRAGONFLY このシステムは最初3台のアレイから始まり、徐々に本数を増やして今に至るそうです。その過程を示す画像。 このシステムが観測目標にしているのは、「極めて輝度の低い銀河」の可視光域での観測。最新の宇宙モデルでは、小さな銀河が合体して大きな銀河を形成するプロセスの研究がホットですが、このようなモデルの証拠を、我が銀河系(天の川銀河)、M31銀河などの比較的近い銀河の周辺の淡い流れやフィラメント構造から見いだそうというものです。 M101の近くに発見された7つの極めて輝度の低い銀河 http://inspirehep.net/record/1299939 この画像は、M101の周辺に発見された極めて淡い銀河。銀河と銀河の衝突ではじき出された「銀河の破片」のようなものなのでしょうか。(編集子の想像です^^;;)   一般のアマチュアではさすがにこれほどまでのシステムを構築するのは難しいですが、それでもアマチュアレベルの機材で、地上からの可視光による撮影で、最先端の天文学的に寄与するような発見が可能であるというのは、夢のあることではないでしょうか。 M110のハローも面白いです。本体は南北(横方向)に伸びた形ですが、ハローは北西から南東、つまりM31に対して直交しているように見えるのは、M31の重力による影響なのでしょうか。 こちらは分子雲の大家、アマチュア天体写真家の三本松尚雄さんが撮影されたM31。シングルシステムですが^^;、430mmF3.3。DRAGONFLYの一本分と同じくらいのスペック。氏はM110をとりまくハロー構造に言及されていますが、このような「極めて淡く広がった」対象については、最新の天文学でもまだ十分に解き明かされていない領域のようです。 アマチュアの天体撮影においても、まだまだ研究レベルのでの可能性が秘められているのかもしれませんね。編集部発信のオリジナルコンテンツ