「変態」とは最上級の褒め言葉(3) 街中からの天体写真・HIROPONさん

「変態」さんご紹介シリーズ、3回目。
今回は、東京23区は渋谷新宿10km圏でDSOを撮るという自称「マゾい人」HIROPONさんをご紹介します。

PHD2を使用されている方は、HIROPONさんの公開されている「日本語マニュアル」にお世話になったことがあるかもしれませんね。

星のつぶやき
[天体写真]「春の銀河祭り」継続中
土曜の夜、月が沈む夜半頃から明け方にかけて移動性高気圧に覆われて晴れそうな予報だったので、先週に引き続き「対 系外銀河砲」EdgeHD800を携えていつもの公園へ出撃してきました。

HIROPONさんのいつもの撮影風景。
「車がない」「ベランダが手狭で機材を置けない」という制約から、撮影はいつもご自宅から1.5kmほど離れた公園でされているそうです。

この日の機材はSXPにEdge HD800、DSO狙い。
広々としたよさげな公園ですが、東京23区内、超一等級光害地。

 

星のつぶやき
[天文機材関連][その他]望遠鏡の運搬手段
我が家に庭はなく、ベランダは非常に狭いので望遠鏡を置けません*1。家の前の私道は(特に深夜は)車の通行もほとんどないのでかろうじて使えますが、両脇の建物や電線にさえぎられて視界が非常に狭いのが困りもの。加えて、車の通行がゼロというわけではないので、落ち着いて観測、撮影などなかなかできません。

そこで、せめて視界が良いところまで観測機材一式を運搬せざるをえなくなったわけですが…自動車を持っていないので必然、人力での運搬ということになります(ぉぃ
リヤカーをはじめ、色々と方法は考えたのですが、結局、荷物の状態が常時見えるという安心感から、台車での運搬としました。

この公園まで機材を運搬するために導入された台車。タイヤにはゲルが注入された緩衝性能の高いもの。青い集配ボックスも業務用の大きなもので、台車と合わせた総重量はなんと28kg。機材を積んだ状態の総重量はなんと85kg。

必要に迫られれば、難題にも全力で向き合い解決する。
これは見事な「変態」っぷりです。

それでは、リザルトを三連発でご覧いただきましょう。

星のつぶやき
[天体写真]4年越しのリベンジ
2017年2月4日 ED103S+マルチフラットナー1.08×DG(D103mm, f859mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用, ISO100, 露出900秒×8コマ
ペンシルボーグ(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

しし座のM65、M66、NGC3628、トリオ星雲。

星のつぶやき
[天体写真]まつりのあと
2017年2月26日 EdgeHD800(D203mm, f2032mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
セレストロン オフアキシスガイダー+Lodestar+PHD2によるオートガイド
ステライメージVer.7.1eほかで画像処理

かみのけ座M64黒目銀河。

 

星のつぶやき
[天体写真]夜空のひまわり
2017年1月28日 EdgeHD800(D203mm, f2032mm) SXP赤道儀
Canon EOS Kiss X5 SEO-SP3, ISO100, 露出900秒×8コマ, IDAS/SEO LPS-P2-FF使用
セレストロン オフアキシスガイダー+Lodestar+PHD2によるオートガイド

りょうけん座M63、ひまわり銀河。

これ、23区内からですよ?!

大都会の喧噪と欲望に人々が揉まれている夜に、何千光年も先の宇宙の光は、しっかり地上に届いていたのです!

HIROPONさんの撮影スタイルの特徴は、暗めの長焦点の光学系系、低ISO(なんとISO100です)、長秒(15分)、そして光害カットフィルター。
高ISO単秒多数枚のアプローチとは対極ですが、背景が明るい超1等級光害地で、露出時間をできるだけ長くするというコンセプトからのメソッドだそうです。

最近でこそ、街中での天体撮影に取り組む人は増えてきましたが、早くから独自の発想と問題意識で取り組んでこられたHIROPONさん。自宅から1.5キロの公園まで業務用台車を押して撮影にいそしむHIROPONさん。その苦労の過程がびっしり詰まったこのブログ。ああ、この方も

「ド変態」

です。

 


HIROPONさんのブログは、機材関連記事も充実しています。
特に、恒例のCP+の訪問記はどのサイトよりも天文屋向けに充実しています。

HIROPONさんのホームページ、「Starry Urban Sky」にも、ブログの記事が整理されています。一読の価値ありです。


最後に。
HIROPONさんのホームページのプロファイル欄
に、「都会で星を見る、天体写真を撮るということ」という一節があります。

長いのですが、以下に抜粋させていただきました。
(太字と色・編集部)

Starry Urban Sky
都会で星を見る、天体写真を撮るということ
(前略)

しかし、逆に言えば月、惑星なら都心であっても十二分に楽しめます。また、星雲や星団の類にしても、本来の美しさではないにせよ数百年、数千年の時を経て地上に到達した光を見ていると、その息遣いを感じて何とも言えない神秘的なものを感じてしまうのです。

さらに、こんなひどい光害の中でも、デジタルの力を借りると街の光に埋もれていた本来の星空がわずかながら浮かび上がってきます。昨今のデジタルカメラの性能向上は著しいので、やってみると意外と写るもの。銀塩写真の時代にはとても考えられなかったことです。「あえて悪環境の中、目に見えない対象をいかにしてあぶりだすか」という、いささかマゾヒスティックな楽しみ方ではありますが、光害で見えなくなっていたとしても星は変わらずそこにあるのだ、ということを実感できるのは醍醐味と言えるでしょう。

近年、天文雑誌のフォトコンは常連を中心にどんどん高度化、先鋭化しています。その影響もあるのか、「都心なんかで望遠鏡使ってもムダ」とか、「空の暗いところに遠征しなければ意味がない」とか、「高価な機材を使わないとまともな写真は撮れない」とかいった感じの主張が幅を利かせすぎていて、天文趣味の敷居を無駄に高くしているような印象があります。天文趣味人口の減少がささやかれていますが、この調子ではそれも当たり前です。

誰もが容易に遠征に行けるわけではないですし、百万円単位で機材にポンポン金をつぎ込めるわけでもありません。しかし一方で、誰もがフォトコンを目指す必要もないわけです。他人は他人、自分は自分でマイペースに楽しんでいけばいいのではないかと思います。それを可能にする技術はいまや簡単に手に入るのですから。

僕たちは星に興味を持ち、魅せられ、好きになった。星の本来の美しさは都会では失われてしまったけど、技術の進歩で誰もが簡単に星の姿を写し撮れるようになったはず。
なのに、むしろ敷居が高くなっているように感じるのは何故なんだ?もっと自分なりの方法で楽しんでいこうよ。
「変態」と呼ばれてもいい。いや、むしろ嬉しい。

こんなHIROPONさんの叫びが聞こえてきます。
最後の1行は編集部の独断による推測です^^;;)


 

「天文リフレクションズ」では、キラリと光る変態さんから、周りが引くほどの超ド変態さんまで、変態さん情報を絶賛募集中です。タレコミ情報はkojiro7inukai(アットマーク)gmail.comまでどうぞ!


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