こんにちは!天リフ編集部です。初の南半球遠征、西オーストラリアから帰ってきました!お天気も良く、やりたかったことをだいたいクリアでき、さらにオマケまで付いた素晴らしい旅になりました。

撮影した画像は4000コマ余。画像処理で死にそうになっていてまだ全部終わっていないのですが、まずは南半球の星空体験をダイジェスト的にお送りしたいと思います!

エピローグ・夜の始まり

日没・グリーンフラッシュ

西オーストラリアでは星空だけではなく、太陽も月も、美しく興味深い対象です。透明な大気と晴天の日が続く4月の西オーストラリアでは、低空まで雲の少ない日が多く、地平線・水平線を見渡せる場所なら「グリーンフラッシュ」のチャンスがあります。



4/10 18:12 EOS5D3 EF300mmF2.8L IS F4 1/8000秒 ISO200

パースの北およそ800kmの西オーストラリア・デナム(Denham)の近く、Little Lagoonで見た夕陽。太陽の上の縁(へり)が緑(みどり)に色づいているのがわかります。

4/10 19:13 EOS5D3 EF300mmF2.8L IS F2.8 1/6400秒 ISO200

日没の直前。少し雲があり透明度が完璧でなかったため「フラッシュ」するまでのグリーンの輝きは残念ながら見ることができませんでしたが、緑色の縁はカメラのファインダー越しにもはっきり見ることができました。

iPhone6S

だだっ広い西オーストラリアでは、海岸や小高い丘を探せば、地平線・水平線に沈む夕陽を見ることができます。あまり夕陽ばっかり追いかけると体が保ちませんが^^; 旅程中に一度は美しい夕陽を眺めてみたいものです。

夜を待つ・夕焼け

iPhone6S

定着地のWaddi Farmで。4月(日本の10月)とはいえ昼間は30度を超える気温ですが、太陽が西に傾くにつれて急速に気温が下がり、過ごしやすくなります。日没間際、めいめいが機材の準備中。

4/8 18:53 EOS5D3 サムヤン35mmF1.4 0.8秒 ISO800

人工光のほぼ皆無なWaddiでは、夕焼けの色の変化だけでも眺めていて飽きないものがあります。旅程中は新月直後から半月前までの月をほぼ毎夕見ることができ、少しづつ太っていくさまを楽しむことができました。

逆向きの月

4/7 18:56 EOS6D(SEO-SP4) SIGMA105mmF1.4Art F1.4 1/50秒 ISO1600

南半球の月は欠け際に注目。北半球では上の画像の状態の月は「明け方の月」になりますが、南半球ではその逆。月はこの後、左下に向かって沈んでゆきます。北半球での天体の運行に慣れた感覚からすると反対側に来たんだという、この非日常感がたまりません。

南半球に遠征する場合、「ジャスト新月」の前後よりも、細い月が見られる時期がオススメです。その意味では今回は絶好の期間設定でした。

4/11 21:40 EOS5D3 サムヤン35mmF1.4 1/8秒〜8秒 ISO3200 カメラ内HDR合成

遠征のはじめの3晩は連日の晴天で「オーストラリアには曇りの日は存在しない!」という気になっていましたが、もちろんそんなことはなく、雲の出る日もありました。が、雲間の月もまた美しい。漆黒の空では、月明かりは心からほっとする存在です。

4/8 19:13 EOS5D3 EF8-15mmF4L F4 15mm 30秒 ISO6400

薄明の中、これから始まる星空劇場を待つ至福の時。次回はこの時間帯から星空の下でワインやアイラウヰスキーを嗜んでみたいと思っています^^

南半球ならではの見どころ

反対回りの星空・逆立ちオリオン

4/7 21:15 α7S サムヤン35mmF1.4 F2 15秒 ISO6400 プロソフトンA 6枚パノラマからトリミング

南半球ではオリオンは逆立ちして沈んでゆきます。北半球では遅くまで西の空に残るポルックス・カストルも、南半球ではオリオンと同時に沈んでゆきます。冬の大三角はきれいな逆三角形。同じ時期の西空であっても、まったく違った感覚。しかも星々は北半球とは逆に右上から左下へと沈んでゆくのです。次回訪れた際には、きっとこの光景を見て「またこっち側に来たよ!」感を味わうことになるのでしょう。

マゼラン雲

4/7 21:20 α7S サムヤン35mmF1.4 F2 15秒 ISO6400 6枚パノラマからトリミング

南の空に眼を向けると大小マゼラン雲が。なんだこれは、まさに雲。大きさはアンドロメダ大星雲の比ではありません。

マゼラン雲は赤経的には4月以降はあまり条件が良くなく、小マゼランは薄明終了時点で既に天の南極よりも低い状態ですが、大マゼランならまだ高度が高くじゅうぶんに楽しめます。

α7S EF300mmF2.8L IS ISO4000 30秒*7 SWAT-310赤道儀

マゼラン雲ははっきりとした構造を感じにくいぼんやりした天体ですが、その中には無数の星雲星団がひしめいています。中央左はその中で最大のタランチュラ星雲。これを望遠鏡で見逃したのは不覚でしたが、次回にとっておくことにしましょう。

上の画像は300mm望遠レンズによるものですが、より長焦点の機材があればマゼラン雲だけでも一晩中楽しめることでしょう(*)。また、30cm級のドブソニアンで星雲をひとつひとつ訪ねてみたいものです。

(*) 季節によっては(12月前後)大マゼラン雲は一晩中撮影することも可能です。

巨大・ω星団

4/8 01:00ごろ EOS6D(SEO-SP4) シグマ105mmF1.4Art F2 ISO800 4分*4モザイク SWAT-310赤道儀

ω星団も、南半球での特筆すべき天体です。日本の低空で見る姿は大きくてもやや頼りない感じですが、天頂付近のω星団は「バカでかい」の一言です。42mm10倍の双眼鏡で見ると、月よりもずっと大きく感じます。肉眼でもはっきり「星とは違う」天体だと認識でき「5.3等級(Wikipediaによる)」というデータはにわかに信じられないくらいです。

ω星団は小口径の屈折望遠鏡(FC76)で見ることができましたが、びっしりと星の集まった姿は圧巻。M13とは格が違う感じです。南半球ではぜひこの「でかいやつ」を体感したいものです(*)。

(*)ω星団は球状星団の中では扁平度が高くはっきり楕円状に見えますが、この扁平の向きが銀河に沿っている(回転軸が天の川銀河と同じ向き)であることにも注目。これが実感できるのも南半球ならでは。

天の川劇場

みなみじゅうじ座の銀河とキラ星たち

4/12 4:30ごろ EOS6D(SEO-SP4) サムヤン35mmF1.4 F2 30秒 ISO6400 プロソフトンA 4枚パノラマよりトリミング

南半球の星空の「銀座4丁目」といえばこのエリア。みなみじゅうじ座とケンタウルスα、βの一角。4つの一等星(*)が集まる、全天一「一等星密度」の高いエリアです。筆者は波照間島でこれらを見たことがあったのですが、南の水平線ぎりぎりで弱々しい光でした。ところがオーストラリアではギラギラとまたたきもせず光っています。パースの空港に着いて外に出た瞬間に、はじめて眼に飛び込んできた姿は忘れられません(*2)。

(*)ケンタウルス座α・βと、みなみじゅうじ座のα・βが一等星です。
(*2)実はこの後「にせ十字」に騙されることになったのですが、そのお話は次回以降に^^;;

4/7 23:04ごろ EOS5D3 シグマ24mmF1.4Art F3.5 3分*5 ISO1600 ポラリエ恒星時追尾

すこし視野を広げてみると、このエリアの天の川がいて座に負けず濃いことがわかります。ηカリーナ付近の青白い銀河、複雑に入り組んだ暗黒星雲。日本では「南に低い」だけの印象だったω星団が、「天の川の外れ」に漂っているのがわかるのも南半球ならでは。初めて眺めるこれらの星々は、肉眼でも全く飽きることがありませんでした。

双眼鏡で流す天の川

4/7 23:04ごろ EOS5D3 シグマ24mmF1.4Art F3.5 3分*5 ISO1600 ポラリエ恒星時追尾

さらに、このエリアを双眼鏡で流すと、これまた素晴らしい眺め。今回は「42mm10倍」のSVBONY双眼鏡を持参しましたが、天の川が上の写真の通りに見えるのです。細く縮れた暗黒星雲が見事で(*)素晴らしい眺めでした。また、ηカリーナ星雲とそれを取り巻く散開星団も素晴らしく、プレアデスに二重星団を5つくらい足したような感じです。

(*)若干○ENTAI寄りですが・・「天の川が手に取るようにわかる」感覚です。

いて座の銀河中心が昇るとき

4/7 22:40ごろ EOS5D3 シグマ24mmF1.4Art F2.5 25秒 ISO3200 2*8パノラマ

日本から見る場合、「どこにも天の川が見えない」状態から、いきなりいて座の天の川中心部と天の川の全体が昇ってきます。俗に言う?「天の川キターーー!」状態。ところが、南半球ではすでにごらんのような「天の川アーチ」が完成した状態になってから、ようやく天の川中心部が昇ってきます。

4/7 22:27 EOS5D3 シグマ24mmF1.4Art F2.5 25秒 ISO3200

この感覚の違いは予想以上でした。東に低い天の川中心部の光は弱々しく、さいだん座付近の濃いエリアに完全に負けています。天の川劇場の最終盤になって「天の川中心部さん、やっと来ましたか」という感覚。

西と東に天の川

4/8 01:04ごろ EOS5D3 シグマ24mmF1.4Art F2.5 25秒 プロソフトンA ISO3200 3枚パノラマ

それでも、だんだんと高くなってくるにつれて輝きを増し、このくらいになると「天の川の一番濃いところ」の面目躍如。天球を横断する天の川が地上をほの明るく照らし出すのもこの時間帯から。

今回は木星が暗黒帯をはさんだ反対側にあり、あたかも木星が銀河中心を照らしているかのようでした。このありさまを次に見られるのは12年後の2031年。その時は絶対にもう一度南半球に行こう、と固く心に誓いました^^

4/8 00:59ごろ EOS5D3 シグマ24mmF1.4Art F2.5 25秒 プロソフトンA ISO3200 2枚パノラマ

眼を西側に向けると、おおいぬ座は足だけを残して沈み、カノープスが木立に隠れる寸前。空の西と東の、まったく性格の異なる天の川の見事な姿に心を奪われます。

天頂の「エッジオン天の川銀河」

4/8 4:30 α7S EF8-15mmF4 F4 30秒 ISO6400

夜明け前。いよいよ天の川の中心部が天頂に。全天180度の巨大なエッジオン銀河、わが銀河系「Milky Way Galaxy」の姿です。私たちの地球が、銀河系の中心を離れた外側の辺境(*)にぽつんと存在する一つの星の、そのまたひとつの惑星であることが体感できる瞬間。この空を寝転んで眺めるのはもう最高です。



(*)地球から天の川銀河中心までは3万光年、天の川銀河の半径は5万光年といわれています。

東の空には金星が顔を出し、黄道光がバンビの横顔まで明るく伸びています。もっと早い時間であれば、銀河を越えてさらに対日照まで伸びているのさえわかります。太陽系の軌道面の円盤が天の川銀河に対して大きく傾いている(*)のがまた不思議。ほんのわずかの予備知識は必要ですが、宇宙の中の太陽系とその中の地球、そして自分という広大なスケール感が、感覚として認識できるのです。この体験は宇宙船から地球を眺めることよりも、実はすごい経験なのかもしれません。

(*)黄道光は太陽系を円盤状に取り巻く微粒子が太陽の光を反射して光っているものです。銀河と黄道光が「クロス」するのは、銀河の回転面と太陽系の惑星群を含む面が傾いているからです。

4/12 3:40ごろ EOS6D サムヤン35mmF1.4 F2全天パノラマ画像から切り出し 60秒 ISO1600 SWAT-310

この「エッジオン天の川銀河」を眼にすると「それをもっと精細にリアルに見てみたい」という衝動にかられるのは自然なこと。35mmの広角レンズによる全天パノラマ画像から切り出してみました。技術的にはいろいろ不満ですが「これだよ、僕が見たかったのはこれなんだよ!」と叫びたくなります。

4/7 22:30〜5:00 EOS6D(SEO-SP4) シグマ105mmF1.4Art F2 4分 ISO800 85枚パノラマ合成より切り出し SWAT-310

人間の欲はさらにエスカレートします。さらに105mmの望遠レンズで80フレームのパノラマ合成。このスケール感で眺めるとさそり座のカラフルタウンやへびつかい座のSh2-27、ガム星雲までが、巨大な天の川銀河の中のほんのひとつの局所構造であったことを感じずにはいられません。私たちがふだん必死をこいて撮っていたものは、天の川銀河の「赤ポチ」に過ぎなかったのです。

それでも凡庸な地球民は天の川に取り憑かれ、明日もまたカメラを向けるのでしょう。南をこの形で撮ってしまった以上、北も含めた残り2/3も撮って1周つなげるしかありませんね。オーストラリア並みの空となるとかなり条件が狭まりますが、ぜひチャレンジしたいと思っています。

プロローグ・夜明け

まぶしいばかりの黄道光

4/8 05:12 α7S EF8-15mmF4L 15mm F4 30秒 ISO6400

天の川の中心が天頂を過ぎ、薄明が始まりました。黄道光と天の川がこの形でクロスする姿が見られるのは南半球ならではの光景。水星(右下の金星のさらに右下)がこれほど輝いているのは初めて見ました。土星と木星は天の川の対岸に並んでいます。この光景も一生の思い出となることでしょう。

夜明けの金星と水星

4/7 05:43 EOS5D3 EF8-15mmF4L F4 1秒 ISO3200

夜明け前の金星と水星。夕方の月と同様、明け方の金星と水星も毎日のように眼を楽しませてくれました。この画像は入豪初日、Waddiの西のピナクルズで撮ったもの。この日は深夜12時すぎにパース空港に到着し、そのままレンタカーで移動してきました。パースを遠ざかるにつれて天の川が濃くなり、移動中に夜明けを迎えました。

4/7 05:42 EOS5D3 EF8-15mmF4L 1秒 ISO3200

光害のない場所ほど薄明は美しい。ほんのかすかに赤く染まった東の空が刻一刻と明るさを増し色を変え、星が一つまた一つ青空の中に消えてゆきます。4月上旬の場合、日没も日の出も6時過ぎ。夜の間連日めいっぱい起きていると体が保ちませんが、朝焼けのフィナーレも一度くらいは見ておきたいものです(*)。

(*)結局この日以外は朝焼けまで起きている体力がなくその前に寝てしまう結果になりました^^;;;

西オーストラリアの空の暗さ

天の川で影はできるのか?

4/13 1:25 EOS5D3 サムヤン35mmF1.4解放 ISO25600 15秒

「オーストラリアでは天の川の光で影ができる」といわれています。本当にそれが見えるのか?実際に試してみました。上の画像はISO25600の超高感度で撮影したもの。ISO3200/F2.8では8分露出に相当します。時刻は1:25、天の川はまだ天頂にはありませんが・・

なんとなく双眼鏡の周囲に影ができているのはわかるのですが、肉眼でははっきり認識することができませんでした。実際のところ、天の川も含めて空全体がぼんやりと明るく、大気光を含めた星明かりで影ができることには納得がいきます。日本ではいて座の銀河中心がひときわ明るいものに感じますが、南半球の天の川はいて座からりゅうこつ座までの天の川は全体として明るく輝いていて、銀河中心は「その中で一番明るいところ」という感じです。

日本の空の明るさとの比較

オーストラリアの空は日本と比較してどのくらい暗いのでしょうか。事前に諸先輩より伺ったお話では「日本より背景は1段〜2段は暗い」というものでした。実際に撮影してみても、同じような「実感値」を感じました。とにかく写りが違います。長時間露出しなくても撮って出しでも、それなりの作品になってしまう感じです。

同一露出条件での日本の空との違いを比較してみました。上の3つが今回のオーストラリア。下の2つは、日本で撮影した中でこれまで最も暗かった部類の、石垣島としらびそ高原です。カメラも露出も(絞りも^^;;)微妙に違うので厳密な比較ではありませんが、いずれもPhotoshopで「F4/ISO3200/90秒」の条件に揃えています。

この画像を見る限りにおいては、日本の空も(特Aクラスの空ですが)それなりに健闘しているという気もします。

同じように強調してみると、むしろ日本の空の方が暗いようにも感じます。しかし「天の川の輝度」が全く異なることを考慮しなくてはならないでしょう。上3枚の対日照と黄道光帯の明るさを見る限りにおいては、画像が明るく見えているのは「天の川によって空が照らされ明るくなっている」という仮説も十分成り立つような気がします。

緯度が違う以上、全く同じ条件で比較するには、日本なら春・南半球なら秋の、天の川が地平線近くにある状態で比較しなくてはならないでしょう。いずれにせよ「少なくとも西オーストラリアの空は日本の最高レベルの空と同等かそれ以上」と言えるのではないかと思います。

西オーストラリアの空を一度経験すると「もう日本で撮る気がなくなるwww」という話もちらほら聞きますが、そんなことはありません。北天は南半球からは見えないし、日本の空もまんざら捨てたものではないはずです。

参考)http://reflexions.jp/blog/star/archives/category/撮影地魚眼コレクション

同行者紹介(1)

今回のツアーで同行した方々を簡単にご紹介していくシリーズです。

K-ASTEC・川野さん

4/8 19:02 EOS5D3 サムヤン35mmF1.4 5秒 ISO800

今回のツアーの首謀者の一人。これまでのオーストラリア遠征回数は数知れず、Waddiで飲むワインを心から楽しみにしている方。天体撮影機材の工房「K-ASTEC」を主宰されていて、ガチ派天体撮影マニアなら一つくらいは機材を持っているかも。今回のツアー参加者の機材は特に比率が高く、まさに「K-ASTEC様ご一行」の趣。

4/12 01:46 α7S サムヤン35mmF1.4 F2 8秒 ISO12800

川野さんのメイン機材はタカハシ90S赤道儀のK-ASTEC改造品(=自作^^;)。機材はRedCat51、GFX50Rなどなど。今回の遠征の成果がフィードバックされた製品がいずれ世に出てくることでしょう。

HOBYM OBSERVATORY・Hwangさん

現地で数日間合流した、韓国HOBYM OBSETVATORYのHwangさんご一行の機材。Hwangさんはあのハーモニックドライブ「CRUXマウント」の開発者でもあります。

4/8 20:19 EOS5D3 EF8-15mmF4L ISO6400 30秒

CRUXマウントのテスト中。今回も機材を持ち込んでさまざまなテストを実施されていました。こちらも遠征の成果が製品にフィードバックされることでしょう。

まとめ

いかがでしたか?!

4月の西オーストラリアは気候も良く晴天率も高く、すばらしい環境でした。滞在先のWaddi Farmは「200km先の200万都市perthの灯りが若干邪魔」という極めて贅沢な環境です。何といっても「人口密度が日本の1/100」ですから、空が暗くないはずはありません。

それに加えて、みなみじゅうじ座・マゼラン雲、天頂の天の川とさそり座、逆回りの星空、反対に欠けた月など「南半球という非日常」が満載です。宇宙の中の地球を実感できる南半球、あなたも是非いかがでしょうか!?

この連載、ネタ的にはあと8回分ほどあるのですが、さていつどこまで続くことやら?次回は南半球遠征の必携アイテム「保存版・南半球極軸合わせガイド」をお送りする予定です。お楽しみに!

追記)このGWに遠征に行かれる方のために速攻版ガイドをアップしておきます。

  • 「はちぶんぎの台形」が極望の視野に入れば「ほとんど勝ち」です。多くの方はここまでのプロセスで苦しんでいます。
  • 4月・5月の夕方なら、一番のオススメは小マゼランからのホッピングです。等間隔・直線の3ステップで、目印も明瞭です。
  • 時間帯によって台形を含む周囲の星並びの傾きが変わることが極軸合わせを難しくしている要因です(北極星は星一個なので意識しないのですが)。事前に「極軸合わせをする予想時刻とその時の星並び」をシミュレーションして頭に入れておくことが重要。
  • みなみじゅうじからのホッピングはけっこう遠くて難しいです。目安にはなりますが、極望を覗いた状態では難しいと思います。
  • 「みなみのさんかく座α」は明るく、よい目印になります。ここから2段階でホッピングするのも使えるでしょう。
  • 「極軸微動」は最後の微調整には便利ですが、ホッピングには向きません。筆者は三脚の南側2本の足を手で少し持ち上げながら動かして探しました。このとき、目印は天の極と水平、ないしは下側にあるのが便利。
  • 双眼鏡(極望より口径が大きければよい)があると大いに役立ちます。双眼鏡で台形を見つけることができれば「負けはない」と思ってOK。
  • 極望の視野内は当然ながら倒立像なので、台形の向きも逆です^^(双眼鏡で台形を視認した後、この事実をうっかりすると戸惑う)

  • 時刻はすべて現地時間です。
  • 注記のない画像はすべて編集部が撮影したものです。
  • α7SはIR改造機、EOS5DMarkIIIは非改造機です。
https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/04/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/04/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-150x150.jpg編集部天文紀行こんにちは!天リフ編集部です。初の南半球遠征、西オーストラリアから帰ってきました!お天気も良く、やりたかったことをだいたいクリアでき、さらにオマケまで付いた素晴らしい旅になりました。 撮影した画像は4000コマ余。画像処理で死にそうになっていてまだ全部終わっていないのですが、まずは南半球の星空体験をダイジェスト的にお送りしたいと思います! エピローグ・夜の始まり 日没・グリーンフラッシュ 西オーストラリアでは星空だけではなく、太陽も月も、美しく興味深い対象です。透明な大気と晴天の日が続く4月の西オーストラリアでは、低空まで雲の少ない日が多く、地平線・水平線を見渡せる場所なら「グリーンフラッシュ」のチャンスがあります。 パースの北およそ800kmの西オーストラリア・デナム(Denham)の近く、Little Lagoonで見た夕陽。太陽の上の縁(へり)が緑(みどり)に色づいているのがわかります。 日没の直前。少し雲があり透明度が完璧でなかったため「フラッシュ」するまでのグリーンの輝きは残念ながら見ることができませんでしたが、緑色の縁はカメラのファインダー越しにもはっきり見ることができました。 だだっ広い西オーストラリアでは、海岸や小高い丘を探せば、地平線・水平線に沈む夕陽を見ることができます。あまり夕陽ばっかり追いかけると体が保ちませんが^^; 旅程中に一度は美しい夕陽を眺めてみたいものです。 夜を待つ・夕焼け 定着地のWaddi Farmで。4月(日本の10月)とはいえ昼間は30度を超える気温ですが、太陽が西に傾くにつれて急速に気温が下がり、過ごしやすくなります。日没間際、めいめいが機材の準備中。 人工光のほぼ皆無なWaddiでは、夕焼けの色の変化だけでも眺めていて飽きないものがあります。旅程中は新月直後から半月前までの月をほぼ毎夕見ることができ、少しづつ太っていくさまを楽しむことができました。 逆向きの月 南半球の月は欠け際に注目。北半球では上の画像の状態の月は「明け方の月」になりますが、南半球ではその逆。月はこの後、左下に向かって沈んでゆきます。北半球での天体の運行に慣れた感覚からすると反対側に来たんだという、この非日常感がたまりません。 南半球に遠征する場合、「ジャスト新月」の前後よりも、細い月が見られる時期がオススメです。その意味では今回は絶好の期間設定でした。 遠征のはじめの3晩は連日の晴天で「オーストラリアには曇りの日は存在しない!」という気になっていましたが、もちろんそんなことはなく、雲の出る日もありました。が、雲間の月もまた美しい。漆黒の空では、月明かりは心からほっとする存在です。 薄明の中、これから始まる星空劇場を待つ至福の時。次回はこの時間帯から星空の下でワインやアイラウヰスキーを嗜んでみたいと思っています^^ 南半球ならではの見どころ 反対回りの星空・逆立ちオリオン 南半球ではオリオンは逆立ちして沈んでゆきます。北半球では遅くまで西の空に残るポルックス・カストルも、南半球ではオリオンと同時に沈んでゆきます。冬の大三角はきれいな逆三角形。同じ時期の西空であっても、まったく違った感覚。しかも星々は北半球とは逆に右上から左下へと沈んでゆくのです。次回訪れた際には、きっとこの光景を見て「またこっち側に来たよ!」感を味わうことになるのでしょう。 マゼラン雲 南の空に眼を向けると大小マゼラン雲が。なんだこれは、まさに雲。大きさはアンドロメダ大星雲の比ではありません。 マゼラン雲は赤経的には4月以降はあまり条件が良くなく、小マゼランは薄明終了時点で既に天の南極よりも低い状態ですが、大マゼランならまだ高度が高くじゅうぶんに楽しめます。 マゼラン雲ははっきりとした構造を感じにくいぼんやりした天体ですが、その中には無数の星雲星団がひしめいています。中央左はその中で最大のタランチュラ星雲。これを望遠鏡で見逃したのは不覚でしたが、次回にとっておくことにしましょう。 上の画像は300mm望遠レンズによるものですが、より長焦点の機材があればマゼラン雲だけでも一晩中楽しめることでしょう(*)。また、30cm級のドブソニアンで星雲をひとつひとつ訪ねてみたいものです。 (*) 季節によっては(12月前後)大マゼラン雲は一晩中撮影することも可能です。 巨大・ω星団 ω星団も、南半球での特筆すべき天体です。日本の低空で見る姿は大きくてもやや頼りない感じですが、天頂付近のω星団は「バカでかい」の一言です。42mm10倍の双眼鏡で見ると、月よりもずっと大きく感じます。肉眼でもはっきり「星とは違う」天体だと認識でき「5.3等級(Wikipediaによる)」というデータはにわかに信じられないくらいです。 ω星団は小口径の屈折望遠鏡(FC76)で見ることができましたが、びっしりと星の集まった姿は圧巻。M13とは格が違う感じです。南半球ではぜひこの「でかいやつ」を体感したいものです(*)。 (*)ω星団は球状星団の中では扁平度が高くはっきり楕円状に見えますが、この扁平の向きが銀河に沿っている(回転軸が天の川銀河と同じ向き)であることにも注目。これが実感できるのも南半球ならでは。 天の川劇場 みなみじゅうじ座の銀河とキラ星たち 南半球の星空の「銀座4丁目」といえばこのエリア。みなみじゅうじ座とケンタウルスα、βの一角。4つの一等星(*)が集まる、全天一「一等星密度」の高いエリアです。筆者は波照間島でこれらを見たことがあったのですが、南の水平線ぎりぎりで弱々しい光でした。ところがオーストラリアではギラギラとまたたきもせず光っています。パースの空港に着いて外に出た瞬間に、はじめて眼に飛び込んできた姿は忘れられません(*2)。 (*)ケンタウルス座α・βと、みなみじゅうじ座のα・βが一等星です。 (*2)実はこの後「にせ十字」に騙されることになったのですが、そのお話は次回以降に^^;; すこし視野を広げてみると、このエリアの天の川がいて座に負けず濃いことがわかります。ηカリーナ付近の青白い銀河、複雑に入り組んだ暗黒星雲。日本では「南に低い」だけの印象だったω星団が、「天の川の外れ」に漂っているのがわかるのも南半球ならでは。初めて眺めるこれらの星々は、肉眼でも全く飽きることがありませんでした。 双眼鏡で流す天の川 さらに、このエリアを双眼鏡で流すと、これまた素晴らしい眺め。今回は「42mm10倍」のSVBONY双眼鏡を持参しましたが、天の川が上の写真の通りに見えるのです。細く縮れた暗黒星雲が見事で(*)素晴らしい眺めでした。また、ηカリーナ星雲とそれを取り巻く散開星団も素晴らしく、プレアデスに二重星団を5つくらい足したような感じです。 (*)若干○ENTAI寄りですが・・「天の川が手に取るようにわかる」感覚です。 いて座の銀河中心が昇るとき 日本から見る場合、「どこにも天の川が見えない」状態から、いきなりいて座の天の川中心部と天の川の全体が昇ってきます。俗に言う?「天の川キターーー!」状態。ところが、南半球ではすでにごらんのような「天の川アーチ」が完成した状態になってから、ようやく天の川中心部が昇ってきます。 この感覚の違いは予想以上でした。東に低い天の川中心部の光は弱々しく、さいだん座付近の濃いエリアに完全に負けています。天の川劇場の最終盤になって「天の川中心部さん、やっと来ましたか」という感覚。 西と東に天の川 それでも、だんだんと高くなってくるにつれて輝きを増し、このくらいになると「天の川の一番濃いところ」の面目躍如。天球を横断する天の川が地上をほの明るく照らし出すのもこの時間帯から。 今回は木星が暗黒帯をはさんだ反対側にあり、あたかも木星が銀河中心を照らしているかのようでした。このありさまを次に見られるのは12年後の2031年。その時は絶対にもう一度南半球に行こう、と固く心に誓いました^^ 眼を西側に向けると、おおいぬ座は足だけを残して沈み、カノープスが木立に隠れる寸前。空の西と東の、まったく性格の異なる天の川の見事な姿に心を奪われます。 天頂の「エッジオン天の川銀河」 夜明け前。いよいよ天の川の中心部が天頂に。全天180度の巨大なエッジオン銀河、わが銀河系「Milky Way Galaxy」の姿です。私たちの地球が、銀河系の中心を離れた外側の辺境(*)にぽつんと存在する一つの星の、そのまたひとつの惑星であることが体感できる瞬間。この空を寝転んで眺めるのはもう最高です。 (*)地球から天の川銀河中心までは3万光年、天の川銀河の半径は5万光年といわれています。 東の空には金星が顔を出し、黄道光がバンビの横顔まで明るく伸びています。もっと早い時間であれば、銀河を越えてさらに対日照まで伸びているのさえわかります。太陽系の軌道面の円盤が天の川銀河に対して大きく傾いている(*)のがまた不思議。ほんのわずかの予備知識は必要ですが、宇宙の中の太陽系とその中の地球、そして自分という広大なスケール感が、感覚として認識できるのです。この体験は宇宙船から地球を眺めることよりも、実はすごい経験なのかもしれません。 (*)黄道光は太陽系を円盤状に取り巻く微粒子が太陽の光を反射して光っているものです。銀河と黄道光が「クロス」するのは、銀河の回転面と太陽系の惑星群を含む面が傾いているからです。 この「エッジオン天の川銀河」を眼にすると「それをもっと精細にリアルに見てみたい」という衝動にかられるのは自然なこと。35mmの広角レンズによる全天パノラマ画像から切り出してみました。技術的にはいろいろ不満ですが「これだよ、僕が見たかったのはこれなんだよ!」と叫びたくなります。 人間の欲はさらにエスカレートします。さらに105mmの望遠レンズで80フレームのパノラマ合成。このスケール感で眺めるとさそり座のカラフルタウンやへびつかい座のSh2-27、ガム星雲までが、巨大な天の川銀河の中のほんのひとつの局所構造であったことを感じずにはいられません。私たちがふだん必死をこいて撮っていたものは、天の川銀河の「赤ポチ」に過ぎなかったのです。 それでも凡庸な地球民は天の川に取り憑かれ、明日もまたカメラを向けるのでしょう。南をこの形で撮ってしまった以上、北も含めた残り2/3も撮って1周つなげるしかありませんね。オーストラリア並みの空となるとかなり条件が狭まりますが、ぜひチャレンジしたいと思っています。 プロローグ・夜明け まぶしいばかりの黄道光 天の川の中心が天頂を過ぎ、薄明が始まりました。黄道光と天の川がこの形でクロスする姿が見られるのは南半球ならではの光景。水星(右下の金星のさらに右下)がこれほど輝いているのは初めて見ました。土星と木星は天の川の対岸に並んでいます。この光景も一生の思い出となることでしょう。 夜明けの金星と水星 夜明け前の金星と水星。夕方の月と同様、明け方の金星と水星も毎日のように眼を楽しませてくれました。この画像は入豪初日、Waddiの西のピナクルズで撮ったもの。この日は深夜12時すぎにパース空港に到着し、そのままレンタカーで移動してきました。パースを遠ざかるにつれて天の川が濃くなり、移動中に夜明けを迎えました。 光害のない場所ほど薄明は美しい。ほんのかすかに赤く染まった東の空が刻一刻と明るさを増し色を変え、星が一つまた一つ青空の中に消えてゆきます。4月上旬の場合、日没も日の出も6時過ぎ。夜の間連日めいっぱい起きていると体が保ちませんが、朝焼けのフィナーレも一度くらいは見ておきたいものです(*)。 (*)結局この日以外は朝焼けまで起きている体力がなくその前に寝てしまう結果になりました^^;;; 西オーストラリアの空の暗さ 天の川で影はできるのか? 「オーストラリアでは天の川の光で影ができる」といわれています。本当にそれが見えるのか?実際に試してみました。上の画像はISO25600の超高感度で撮影したもの。ISO3200/F2.8では8分露出に相当します。時刻は1:25、天の川はまだ天頂にはありませんが・・ なんとなく双眼鏡の周囲に影ができているのはわかるのですが、肉眼でははっきり認識することができませんでした。実際のところ、天の川も含めて空全体がぼんやりと明るく、大気光を含めた星明かりで影ができることには納得がいきます。日本ではいて座の銀河中心がひときわ明るいものに感じますが、南半球の天の川はいて座からりゅうこつ座までの天の川は全体として明るく輝いていて、銀河中心は「その中で一番明るいところ」という感じです。 日本の空の明るさとの比較 オーストラリアの空は日本と比較してどのくらい暗いのでしょうか。事前に諸先輩より伺ったお話では「日本より背景は1段〜2段は暗い」というものでした。実際に撮影してみても、同じような「実感値」を感じました。とにかく写りが違います。長時間露出しなくても撮って出しでも、それなりの作品になってしまう感じです。 同一露出条件での日本の空との違いを比較してみました。上の3つが今回のオーストラリア。下の2つは、日本で撮影した中でこれまで最も暗かった部類の、石垣島としらびそ高原です。カメラも露出も(絞りも^^;;)微妙に違うので厳密な比較ではありませんが、いずれもPhotoshopで「F4/ISO3200/90秒」の条件に揃えています。 この画像を見る限りにおいては、日本の空も(特Aクラスの空ですが)それなりに健闘しているという気もします。 同じように強調してみると、むしろ日本の空の方が暗いようにも感じます。しかし「天の川の輝度」が全く異なることを考慮しなくてはならないでしょう。上3枚の対日照と黄道光帯の明るさを見る限りにおいては、画像が明るく見えているのは「天の川によって空が照らされ明るくなっている」という仮説も十分成り立つような気がします。 緯度が違う以上、全く同じ条件で比較するには、日本なら春・南半球なら秋の、天の川が地平線近くにある状態で比較しなくてはならないでしょう。いずれにせよ「少なくとも西オーストラリアの空は日本の最高レベルの空と同等かそれ以上」と言えるのではないかと思います。 西オーストラリアの空を一度経験すると「もう日本で撮る気がなくなるwww」という話もちらほら聞きますが、そんなことはありません。北天は南半球からは見えないし、日本の空もまんざら捨てたものではないはずです。 参考)http://reflexions.jp/blog/star/archives/category/撮影地魚眼コレクション 同行者紹介(1) 今回のツアーで同行した方々を簡単にご紹介していくシリーズです。 K-ASTEC・川野さん 今回のツアーの首謀者の一人。これまでのオーストラリア遠征回数は数知れず、Waddiで飲むワインを心から楽しみにしている方。天体撮影機材の工房「K-ASTEC」を主宰されていて、ガチ派天体撮影マニアなら一つくらいは機材を持っているかも。今回のツアー参加者の機材は特に比率が高く、まさに「K-ASTEC様ご一行」の趣。 川野さんのメイン機材はタカハシ90S赤道儀のK-ASTEC改造品(=自作^^;)。機材はRedCat51、GFX50Rなどなど。今回の遠征の成果がフィードバックされた製品がいずれ世に出てくることでしょう。 HOBYM OBSERVATORY・Hwangさん 現地で数日間合流した、韓国HOBYM OBSETVATORYのHwangさんご一行の機材。Hwangさんはあのハーモニックドライブ「CRUXマウント」の開発者でもあります。 CRUXマウントのテスト中。今回も機材を持ち込んでさまざまなテストを実施されていました。こちらも遠征の成果が製品にフィードバックされることでしょう。 まとめ いかがでしたか?! 4月の西オーストラリアは気候も良く晴天率も高く、すばらしい環境でした。滞在先のWaddi Farmは「200km先の200万都市perthの灯りが若干邪魔」という極めて贅沢な環境です。何といっても「人口密度が日本の1/100」ですから、空が暗くないはずはありません。 それに加えて、みなみじゅうじ座・マゼラン雲、天頂の天の川とさそり座、逆回りの星空、反対に欠けた月など「南半球という非日常」が満載です。宇宙の中の地球を実感できる南半球、あなたも是非いかがでしょうか!? この連載、ネタ的にはあと8回分ほどあるのですが、さていつどこまで続くことやら?次回は南半球遠征の必携アイテム「保存版・南半球極軸合わせガイド」をお送りする予定です。お楽しみに! 追記)このGWに遠征に行かれる方のために速攻版ガイドをアップしておきます。 「はちぶんぎの台形」が極望の視野に入れば「ほとんど勝ち」です。多くの方はここまでのプロセスで苦しんでいます。 4月・5月の夕方なら、一番のオススメは小マゼランからのホッピングです。等間隔・直線の3ステップで、目印も明瞭です。 時間帯によって台形を含む周囲の星並びの傾きが変わることが極軸合わせを難しくしている要因です(北極星は星一個なので意識しないのですが)。事前に「極軸合わせをする予想時刻とその時の星並び」をシミュレーションして頭に入れておくことが重要。 みなみじゅうじからのホッピングはけっこう遠くて難しいです。目安にはなりますが、極望を覗いた状態では難しいと思います。 「みなみのさんかく座α」は明るく、よい目印になります。ここから2段階でホッピングするのも使えるでしょう。 「極軸微動」は最後の微調整には便利ですが、ホッピングには向きません。筆者は三脚の南側2本の足を手で少し持ち上げながら動かして探しました。このとき、目印は天の極と水平、ないしは下側にあるのが便利。 双眼鏡(極望より口径が大きければよい)があると大いに役立ちます。双眼鏡で台形を見つけることができれば「負けはない」と思ってOK。 極望の視野内は当然ながら倒立像なので、台形の向きも逆です^^(双眼鏡で台形を視認した後、この事実をうっかりすると戸惑う) 時刻はすべて現地時間です。 注記のない画像はすべて編集部が撮影したものです。 α7SはIR改造機、EOS5DMarkIIIは非改造機です。編集部発信のオリジナルコンテンツ