みなさんこんにちは!

Sharpstar社のフラッグシップ鏡筒Askar SQA85、「天リフ読者レビュー企画」が始まりました!天リフ読者の方々で天文機材を順にレビューいただく「リレーレビュー企画」です。

5/6 全てのレビューが完結しました!ご参加いただいた皆様、機材をご提供いただいたサイトロンジャパン様、ありがとうございました!



本記事では4月下旬まで、計5名の方にリレーされていくプロセスと同時並行で、それぞれのレビューア様が発信された情報を随時更新していきます。ぜひお見守りください!!

レビューアー様ご紹介とレビュー状況

5/6 レビュー結果を更新しました!

「meade16inch」さん(4月上旬〜4月下旬)

SQA85到着!

SQA85到着!
https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27385821.html
https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27385821.html

ついに順番がやってまいりました。自前のFSQ 106EDと並べてもなかなかの存在感。否が応でも期待値MAXです(笑)
カメラを取り付けてみるとさらにかっこいい😎

meade16inchiさんは、ふだんは「FSQ106ED」を使用されていますが、それと並べてみてもなかなかの存在感ですね^^ ちなみにSQA85の重量はバンド・プレート込で4.62kgですから、FSQ106ED(ファインダー込・バンドプレート別で7.0kg)よりはだいぶ軽量です。

ファーストライト

SQA85撮ってみた
https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27439700.html
IC1396 D810A,STC Duo Clip type filtter,iso1600  120sec *120
https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27439700.html

ピント合わせの時から星像の小ささ、シャープさに期待高まりまくりでした。

ファーストライトはIC1396。ニコンの天体用一眼レフD810Aに、クリップタイプのナローバンドフィルターを装着して自宅からの撮影。

SQA85は、鏡筒部にフィルターを装着する場所がありません。近年天文ファンの間で多用されている天体用CMOSカメラの場合はカメラ側に装着することが可能なので問題ないのですが、一眼レフ機で運用する場合は要注意です(*)。

(*)SQA85は基本的にはピントが出ればバックフォーカスを調整必要がないため、裏技的な運用としてフィルター枠がM48の「2枚重ね」できるタイプの場合は、M48のアダプタリングとM48のカメラアダプタの間にフィルターを入れる方法があります。ただし、フィルター枠の仕様に依存するため現物確認しておくのが吉でしょう。

mead16inchiさんは、このフィルター問題はボディ側に装着する「クリップタイプフィルター」を使用することで解決されていますが、元記事にあるとおりフィルター枠による翳りが出るため若干のトリミングを必要としたようです。

ナローバンドで北アメリカ星雲

SQA85でのNGC7000仕上げました
https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27506019.html
SQA85でNGC7000&IC5070を撮ったよ!
https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27473151.html
Askar SQA85 Astro D850 iso1600 120sec x79fr Askar colormagicD1 6nm kenko EQ6Pro Guide by ASI AIR Puls https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27506019.html

セカンドライトは北アメリカ星雲。クリップフィルターによるケラレを回避するため「Central DS Astro D850」をご使用。このカメラは冷却機能が追加された上にセンサー部をボディの外側に出すことでミラーボックスのケラレも回避し、48mmフィルターも装着できる構造になっています。

このカメラはNikon D850をベースにローパスフィルターを天文用にして冷却機構を設け、さらにはCMOS部分をカメラボディより外に出してミラーボックスの影響までなくした文字だけではよくわからないカメラです。

私は自宅にてナローバンドで撮ることが多いのですが屈折式望遠鏡で撮るときに一つ気になるのが各波長でのピント位置です。連続光であるブロードバンドではRGBのピント位置が多少ずれていてもさほど気にはならないのですがナローバンドでRGBがずれると間の波長が抜けている分、RGBの星像のサイズとして現れて赤ハロや青ハロの原因となります。

ナローバンド撮影の場合、ほんのわずかでもOIIIとHa(SIII)のピント位置の違いがあると、RGBの星像径の違いとして現れてしまうため、赤ハロや青ハロの発生原因となります。mead16inchiさんが気にされていたこの問題は、SQA85ではどうだったのでしょうか?

https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27473151.html

微恒星は同じ大きさです。ナローバンド撮影をカラーカメラでも安心して楽しめそうです。

SQA85は「最周辺まで点像」であるのはもちろんのこと、軸上色収差も極限まで補正されています。このため、ナローバンドにおける星像径の差もほとんどないようですね!元記事にはBXT処理なしの素の試写画像も掲載されていますので、ガッツリチェックしたい方は是非リンク先もご参照ください。

https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27506019.html

北アメリカ星雲の一部分を拡大しています。この大きさまで拡大しても十分な解像度だと思います。光害地のナローバンドでも非常に使いやすい鏡筒でした。今回は限られた条件での撮影ですので性能を引き出せたとは思えませんが十分なポテンシャルを感じました。空の良いところでじっくるとってみたい鏡筒です。

トリミング自在なのも超高性能鏡筒の魅力の1つ。かなり思い切ったトリミングで拡大しても、解像感が失われません(*)。素晴らしい星像ですね!

(*)逆に、トリミングしないと本来の解像を発揮できないくらいだと、天リフ編集長は感じています。

番外編・冷却CCDで

SQA85で撮ったよ!番外編
https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27554807.html
最新の望遠鏡と20年前のカメラの組み合わせ。シルバー同士でいい感じです。 https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27554807.html

SBIG 製の冷却CCDカメラ「STL11000M」でも撮影いただきました。フラット補正なしの撮影とのことで「番外扱い」を希望されていますのでリザルトはここには貼りませんが、リンク先でぜひごらんください^^

9μmの画素ピッチではSQA85の高解像度は活かしきれませんがdrizzleなどを用いれば現代でも楽しめました。結論から申し上げるとSQA85は、フルサイズまでのカメラであれば冷却カメラや一眼レフ、ミラーレス問わずに性能を発揮する鏡筒だと思います。

ポイントは「ピクセルピッチ9μm」という、光学系に対して明らかにアンダーサンプリングなカメラを使用したにもかかわらず、充分満足できるリザルトが得られたこと。

現在の長焦点システムがなくても小型の対象も楽しめる時代が来るかもしれません。システムのダウンサイジングも可能性を考えると天文界隈の高齢化にも希望となるかもしれません(笑)。

小型・短焦点の屈折鏡筒でも、銀河などの小さな対象を楽しむことができる(*)。mead16inchiのご指摘は、超高性能屈折鏡筒の1つの可能性を示したものではないでしょうか。

(*)もちろん、総光子数的には大口径が有利という事実には変わりありません。露光時間さえ延ばせば充分な解像を得ることができる、という意味です。

mead16inchiさん、素晴らしいレビューをありがとうございました!

meade16inchさんのご紹介

本来ならば空の良いところで撮るべき鏡筒ですがあえて光害地のナローバンドでどんな性能を見せてくれるか興味があります。

宅撮り天体写真のブログ
https://ibuki05006.livedoor.blog/
Twitter(現X) meade16inch
@hanahanamaron13

Meade16inchさんは主に「そこそこ光害地」なご自宅から、ディープスカイや太陽を撮影されています。今回のレビュー着眼点も「光害地のナローバンドで、超高性能鏡筒Askar SQA85はどんな性能を見せてくれるか」です。

実は天リフ編集長は「超高性能鏡筒の光害地でのナローバンド撮影」はあまり実写経験がありません。チリのリモートではずいぶん撮っているのですが・・はたしてどんな結果になるでしょうか(*)?!

(*)ある程度の仮説は持ってはいるのですが、それが的を射たものなのかどうか、Meade16inchさんのリザルトには大いに期待しています!

「Hiro」さん(3月中旬〜4月上旬)

4/8 レビュー結果を更新しました!

ファーストライト・超シャープな星像

ASKAR SQA85 レビュー参加
https://bloghiro.exblog.jp/34494256/
カモメ星雲、Askar SQA85 408mm F4.8 赤道儀:ZWOAM5  カメラ & ガイド:ASI2600MC DUO QBPフィルター 2025/3/14 19:47~ 3min x 26枚(1時間18分)Gain 100

SQA85の第一印象は、星像のシャープさです。
(中略)
フラッグシップなのできれきれであることは予想していましたが、それ以上でした。VSDもシャープでしたが、SQAはそれを上回ると感じました。VSDの画像の第一印象はどこまでもフラットであることでした。その違いは以下のスペックの違いにありそうです。

hiroさんは昨年のVSD90SSリレーレビュー企画に続いてのご参戦です。フラッグシップ鏡筒の撮り比べの結果、非常に興味深いご指摘をされています。

SQAの星像の鋭さはF4台の明るさに由来すると感じます。

無収差の光学系の場合、星像径の大きさはF値で決まります。いわゆる「エアリーディスク」の径は波長550nmの場合、F4.8の光学系なら6.44μm。F5.5の場合は7.38μmとなります。従来レベルの天体望遠鏡では(*)現れてこなかった「F値による星像径の理論限界」が、SQA85のような超高性能鏡筒では可視化されるということなのでしょう。

(*)イメージセンサーのピッチも関係します。ピクセルサイズ3.76μmのASI2600MCのような微細センサーカメラの登場も大きいものと考えられます。

SQA85の超シャープな画像は良い意味で裏切ってくれました。しばらく堪能させていただきます。

というわけで、続きます^^

1″センサーカメラで対象を大きく撮る

ASKAR SQA85 レビュー その2(系外星雲 M65, 66, NGC3628)
https://bloghiro.exblog.jp/34500458/
Askar SQA85 408mm F4.8 赤道儀:ZWOAM5  カメラ :ASI533MC PRO ガイド:ASI120MM 2025/3/17 20:27~ 3min x 99枚(4時間57分)Gain 100 Pixinsight(spcc. bxt) , Photoshop

星をより小さく明るく撮れる特性を生かして小さめの1”センサーで星雲を大きく捉えました。

理論限界に近い性能をたたき出せるSQA85の場合、小サイズ・微細ビクセルのセンサーを搭載したカメラも有効です。ASI533MCP(*)で撮影されたしし座トリオ。焦点距離408mmとは思えない解像ですね!

(*)ASI533MCPのピクセルピッチはASI2600MCと同じ3.76μmです。2600で撮影してトリミングしてもおそらく同じ結果になるでしょうが、どうせトリミングするならデータ量が小さく画像処理が軽く済む533をチョイスするのは充分に合理性のある判断でしょう。

2夜に渡る撮影で便利だったのはドローチューブの目盛環です。ASIAIRで前日の写真の画角に合わすよう指示して導入するとずれた角度が表示されます。その通りの角度を目盛環を見ながら回転させるとぴったり修正されます。

ドロチューブの目盛環が便利であるとのご感想を頂戴しました。プレートソルブ以前の世界では「この目盛、どう使うの?」という感覚もありましたが、写野回転角がプレートソルブで簡単に把握できる現在では非常に有効ですね!

ASKAR SQA85 レビュー その3(系外星雲 M81, 82)
https://bloghiro.exblog.jp/34502523/
Askar SQA85 408mm F4.8 赤道儀:ZWOAM5  カメラ :ASI533MC PRO ガイド:ASI120MM 2025/3/22 19:34~ 3min x 76枚(3時間48分)Gain 100 Pixinsight(SPCC. BXT, GHS) , Photoshop

こちらはM81とM82。画角的にはフルサイズ換算約1100mmですが、銀河を撮るにはちょうどいい大きさかもしれませんね。

ASKAR SQA85 レビュー その4(系外星雲M51)
https://bloghiro.exblog.jp/34503266/
skar SQA85 408mm F4.8 赤道儀:ZWOAM5  カメラ :ASI533MC PRO ガイド:ASI120MM 2025/3/23 19:50~ 3min x 107枚(5時間21分)Gain 100 Pixinsight(SPCC. BXT, GHS) , Photoshop

ASKAR SQA85はトリミングに耐えるので春の系外星雲でも使用可能と感じました。1本でオールシーズン撮りきることが可能と思います。

こちらはM51子持ち銀河です。従来、焦点距離500mm前後の短焦点の鏡筒は、銀河のような小さな天体には不向きと認識されていましたが(*)、SQA85なら春の系外星雲も充分守備範囲になります。オールシーズン使えるアストログラフといえるでしょう。

(*)春は撮る対象が少なく「お休み」状態になる方も多かったかもしれません。

Fの小ささは正義・網状星雲

ASKAR SQA85 レビュー その5 最終(網状星雲)
https://bloghiro.exblog.jp/34514542/
2025/4/4,5  300秒 x 36枚(3時間)  GAIN100 -10℃ DARK、FLATあり、デザリング、drizzle x2 ASKAR 85 400mm ASI2600MC DUO L-Ultimate フィルター ガイド鏡135mm ASI120MM ASIAIR AM5 Pixinsight SPCC MGC BXT, Photoshop

最後のリザルトは網状星雲。VSD90SSでも同じ対象を撮影されていて、BXT処理を行わない画像の比較もされています。どのくらい違うのか違わないのかは、ぜひリンク先で元画像をご確認ください!(*)

(*)天リフ編集長の感想としては「どっちも素晴らしい」です^^

ASKAR SQA85を使ってみて良いと感じたのはF4.8の明るさです。
(中略)
「F値の小ささは正義」です。

大事なことなので繰り返しますが「F値の小ささは正義」という言説に、今回新らしい意味が追加されたものと感じています。より明るくなることで総露光時間を短くできる「ハイスピード性能」だけでなく、超高性能鏡筒においてはF値が小さいほど星像径が小さくなる。というメリットもあるのですね!

hiroさん、気合の入った多数の作例をありがとうございました!

Hiroさんのご紹介

Hiroさんの最新機材はタカハシFCT-65D。https://bloghiro.exblog.jp/34310073/

SQA85と仕様が似ている国内フラグシップのVSD90SSとの画質比較を行いたい。比較画像は前回試用時に撮影した網状星雲、サドル付近(三日月星雲)を使用。他にSQA85の商品性も見たいです。また余裕があれば仕様差があるが手持ちのFCT65Dとの画質比較もしてみたい。

hiroのフィールドノート plus
https://bloghiro.exblog.jp/

Hiroさんは以前「VSD90SSリレーレビュー」にもご参加いただきました。Redcat91だけでなく(元)VSD90SSユーザーもご参加とは、天リフとしては心配で夜も眠れません!?こちらも結果に大注目!(*)

(*)実際のところ、これくらいの超高性能になるとピントの決まり具合やシーイング、ガイド誤差など、さまざまな結像阻害要因があるため、非常に短いレビュー期間(約3週間)による結果は「全てではない」ことをご了承ください。レビューサーの皆様におかれても、プレッシャーやバイアスなく、率直なご感想をいただければと思います。

「智-」さん(2月下旬〜3月中旬)

3/16 レビュー結果を更新しました!

SQA85の外観

SQA85リレーレビュー①【外観編】
https://tomo-ht.fc2.net/blog-entry-125.html

 細かい部分で気になる点はありますが、「軽くて取り回しが良い」というのが総評です。セミハードケースが付属していて、あとはカメラアダプタを追加で用意するだけで色々と考える必要が無いのは良いことだと思います。

まずは外観。詳細は上記リンク先をご参照いただくとして、まとめると以下の通り。

【長所】

  • <軽量で取り回しがよい>
  • <フラットナー(補正レンズ)不要>
  • <EAF取り付けに追加パーツ不要>

【短所】

  • <鏡筒バンドが持ちづらい>
  • <鏡筒とドブテイルバーの隙間がない>

短所については補足すると、鏡筒バンドは別売の「ハンドル」を装着すれば解決するのですが、ハンドルを装着すると専用ケースに入らないのが悲しいところ。ハンドルが出っ張ることでケースの外形が大きくなってしまうなど難しいところはあるのは理解できるのですが、何かよい案があるとよいのですが。

鏡筒とドブテイルバー(アリガタ)の隙間についても、別売の「The Heightening Section」を装着すれば解決するのですが、こちらもケースへの収納の問題があります。そもそもEAFを装着する時点で専用ケースへの収納はあきらめざるを得ないのですが、、、ワガママなユーザーのニーズをなんとか解決してもらえると嬉しいですね!

SQA85 撮影編

SQA85リレーレビュー②【撮影編】
https://tomo-ht.fc2.net/blog-entry-126.html
ZWO ASI2600MC Pro(APS-C) iOptron HEM15 ゲイン:100 冷却温度:-10℃ 3min×24枚(総露光:72分) PixInsight1.9.2 BXT等のDeconvolution系の処理はしていません

 庭撮りの短時間ということでSQA85の真価まで確認できたとはいえませんが、「解像度が高く気持ちのいい画が得られる」という印象を受けました。新月期の観望地で長時間露光をしたらどんな画像が得られるのだろう、と思わずにはいられません。

上の作例は「馬頭星雲」。「天候不良のため泣く泣く庭撮り」とのことです(*)。フィルターの記載はありませんが、燃える木星雲の色や反射星雲の写りから推測するとあまり帯域の狭くない光害カット系のフィルターの使用でしょうか。

3.19訂正)ノーフィルターだそうです。早合点しすみませんでした・・・

(*)むしろご自宅の庭でSQM20.7とは、羨ましい限り^^

燃える木星雲の50%切り出し画像。「これだけ解像してくれるのであれば十分でしょう」とコメントされているとおり、素晴らしい解像感ですね!



ディベイヤー後にオートストレッチのみ 3min 1枚

APS-Cなので見るまでもなく、という感じですが周辺までまん丸です。

中心と四隅200pixelの切り出し画像。「どこが隅でどこが中央なのか区別が付かない」系です。最新のフラッグシップ鏡筒の性能はスゴい。

SQA85もまた購入して後悔のない鏡筒だと思います。価格はそれなりにしますが、それに見合ったもしくはそれ以上の世界を見せてくれるでしょう。焦点距離400mm前後で「コンパクトで取り回しがよい、且つ最高性能の鏡筒が欲しい」という方は選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

「価格はそれなり(にお高い)」ですが、性能は最高レベル。「見合ったもしくはそれ以上の世界」を手にしたいなら、、いつかはSQA85ですね。

星割れは口径食が原因で後玉の大きさやアダプタなどによるケラレが影響する、とのことですので構造上どうしようもないものと割り切るしかありません。

ただし、上の画像のように輝星を隅に持っていくと少し星割れが出ます。大騒ぎするレベルでは全くないのですが(*)、事実として若干の口径食と星割れが存在することは認識しておいた方がよいでしょう。

(*)どちらかといえば、優秀な部類といえます。

VS RedCat91

これはどちらも同じような解像力で、正直に甲乙付けられないのでもうお好きな方をどうぞとしか。何か気の利いた比較コメントを付けようかと思ったんですが比較しようがありません、お手上げです。

結論を言いましょう。

 
 
どちらを買っても幸せになれるから好きな方を買え!
 
 

(終)

天リフ編集長が一番気を揉んでいた比較。「甲乙付けられない」結果となって良かった^^;;;(*)

(*)通常のレビュー記事では、直接機種名を挙げて比較することは基本的にやらないのですが、ユーザー様がご所有の機材と比較することは避けることができません。

設計上ほぼ無収差の2つの鏡筒の描写性能(星像径)は、口径もF値もほぼ同じであれば「ほぼ同じ」になって当然。差が付くとすれば製造品質・ピントの追い込み・シーイングの差異などの要素がありますが、サイドバイサイドでの比較でこの結果ということは、どちらも製造品質も素晴らしいということなのでしょう。

(編集部注)画像の縮尺が異なることに注意。実際は右のRedCat51の方が大きいです。

ただし、外形上は「口径5mmの差」がけっこう効いてきます。重量はSQA85が4.6kgであるのに対してReadCat91は6.3kg。重量は37%増し(*1)。「取り回しの良さ」ではSQA85に軍配が上がるでしょう。その一方で価格的にはRedCat91のほうが17%ほど低価格になっています(*2)。

(*1)仮にSQA85を全てのパーツを相似に拡大し口径91mmにすると、重量は23%増しになります。

(*2)記事執筆時点。詳細価格は販売店により異なる場合があります。価格は為替レートなどの要因で変動することがあります。

こうして選択肢が増えるということは、各メーカーでより良い鏡筒を出そうと良い方向での競争が起こってユーザ側としても盛り上がるでしょうから、良い流れなのでは思います。

「ほぼ無収差」の超高性能屈折鏡筒は、いまや一番の激戦区。「SQA85は素晴らしい」「良いモノは良い(RedCat91も素晴らしい)」「SQA85は取り回しのよい鏡筒」。そして、

ごちゃごちゃ考えるな、好きな方を買え!

天リフとしては、クライアント様にご協賛いただいている立場でもあるのですが、ユーザー目線では一番よい結論になったと感じています。

レビュー記事を書くにあたり改めて色々と調べてみて知見が広がったということもあり、私にとって良い経験となりました。私のような初心者の方こそこういうレビュー企画に参加すると、色々と得られるものも多く良いのではないでしょうか、と思った次第です。

最後に。智-さんが「初心者」かどうかは議論の余地がありますが(^^)、素晴らしいレポートをありがとうございました!

智-さんのご紹介

Askar SQA85と性能の似た「とある鏡筒」を購入予定なのでサイドバイサイドの比較を出来たらと思います。

天文初心者の備忘録
https://tomo-ht.fc2.net/
Twitter(現X)
@tomo_h_t

智-さんはプロファイルに記載されている通り、どちらかといえば小型の鏡筒でディープスカイを撮影されています。なんとAskar SQA85と性能の似た「とある鏡筒」をご購入予定とのこと。

結果がどうなるのか「ものすごく」気になるところですが、、これはガチ天クラスタ注目のレビューになりそうな予感が!?(*)

(*)天リフ編集長が一番ビビっております^^;;;

「カイトゥー」さん(2月上旬〜2月下旬)

3/6 レビュー結果を更新しました!

電視観望

クリックでInstagramにリンクします。 https://www.instagram.com/p/DGTrvuczzT2/?img_index=1

晴れ間をぬって電視観望。カイトゥーさんが所属されている部で所有する、某社の口径85mm鏡筒との比較です。結果はいかに・・・

クリックでInstagramにリンクします。https://www.instagram.com/p/DGTrvuczzT2/?img_index=2

左がSQA85、右が某社口径85mm鏡筒(レデューサー使用)。口径は同じでもF値が異なるなど、このリザルトだけで鏡筒の優劣が判断できるものではありませんが、明らかにSQA85の方が星が小さくシャープですね!

ナローバンドで

クリックでInstagramにリンクします。https://www.instagram.com/p/DGZEDiZTm-j/?img_index=1

レビュー最後の週末。祈りが通じたのか晴れ!モノクロカメラASI533MM Proを使用し、SHOナローバンドで「勾玉星雲」と「くらげ星雲」を撮影。

中央と四隅で見分けがつかないほど周辺部の星像が良いです。

上の画像は勾玉星雲の四隅中央拡大です。SQA85が素晴らしいのは「四隅も中央も同じくらい良像」であること。お天気の巡り合わせが良くなく長時間の露光に至らなかったのは残念ですが、SQA85の高性能を体験いただけて良かったです!

今回はリレーレビューへのご参加ありがとうございました!

カイトゥーさんのご紹介

https://www.instagram.com/ancient_enough/

最近大学の部で所有しているFSQ85EDを使って電視観望をしています!電視観望を始めてから3ヶ月ほどしか経っていませんが、すでに個人用で性能の良い屈折が欲しくてたまりません。この企画でSQAの威力を存分に味わいたいです。

Instagram ancient_enough
https://www.instagram.com/ancient_enough/

カイトゥーさんは某大学に在学中。以前スマート望遠鏡学生モニタープログラムにもご参加いただきました^^ 電視観望を始めてまだ3ヶ月とのことですが、Askar SQA85は若いエネルギーにもじゅうぶん応えてくれる鏡筒だと思います!ぜひ電視観望だけでなくディープスカイ撮影にもチャレンジしてみてくださいね!

「Tarkun」さん(1月中旬〜2月上旬)

2/5 レビュー結果を更新しました!

ファーストライト・機材の印象

SQA85リレーレビュー 1回目
https://tarkungh.net/sqa85%e3%83%aa%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%ac%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc-1%e5%9b%9e%e7%9b%ae/

全体として、SQA85の性能には非常に満足しています。軽量コンパクトで取り回しやすく、フルサイズカメラでも簡単にシャープな描写を実現できました。

ファーストライトでは晴天を求めて各地を転々。到着1時の4カ所目で、ようやく晴天となったそうです。この粘り、頭が下がります。

EAFの取り付け 説明書通りに取り付けは簡単でしたが、アリガタとの干渉を考慮する必要がありました。

EAFもご使用いただきました。アリガタとの干渉には注意が必要だそうです。SharpStar社のHPには鏡筒バンドとアリガタの間に装着しクリアランスを大きくする「Heightening Section」の情報があるのですが(*)、こちらを使用すれば干渉の考慮は楽になるかもしれません。

(*)2/5現在、シュミットのHPには鏡筒ハンドル含め、まだ記載がないようでした。

オフアキも試していただいたようです。実は天リフ編集長はオフアキ未経験だったりするのですが、こういう注意も必要なのですね。なるほどです。

OAGを装着後、斜めに見ながらカメラを取り付けたことでスケアリングが狂った可能性があります。次回は取り付け確認を徹底し、再検証します。

残念ながらカメラ装着の際に若干スケアリングが決まっていなかったようで、片ボケが出る結果になりました。星像の評価にはPixInsightの「FWHMEccentricity」機能を使用されています。次のセカンドライトではバッチリ決まって本来の性能が発揮されたようです!

セカンドライト・SQA85が魅せる星空の世界

NGC1333, IC348とその周辺。分子雲が、特に大掛かりな処理をしなくても素直に浮き上がってきました。この結果には大満足です。星の処理はBlurXTerminatorの”Correct Only”モードのみを使用しました。NGC1333,IC348 AskerSQA85 ASI6200MCPro Gain100 -10℃ NoFilter:93x300s (内33枚 1/21小石原川ダムで撮影)PixInsight1.8.9-3
SQA85リレーレビュー 2回目
https://tarkungh.net/sqa85%e3%83%aa%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%ac%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc-2%e5%9b%9e%e7%9b%ae/

セカンドライトはほぼ無風の好条件。2夜・8時間近くの露光時間で分子雲のモクモクが。

Markarian’sChain 銀河の色合いを十分に引き出せたと感じており、個人的には大満足の一枚です。ミニチュアのような小さな銀河も繊細に写し出され、SQA85の性能を改めて実感しました。 AskerSQA85 ASI6200MCPro Gain100 -10℃ NoFilter:28x300s PixInsight1.8.9-3

こちらはマルカリアンチェーン。高性能鏡筒で銀河の多い領域を撮影すると、小さな銀河がまさに「繊細に写しだされ」ます。ひとつひとつの形状や大きさの違いを辿るのが楽しいですね!

NGC1333_IC348.fitsデータダウンロード
Markrian’sChain.fitsデータダウンロード

そこで今回、撮影データをダウンロードできるようにしました。データ容量は700MBと大きいですが、試してみてください。それぞれのデータはPixInsightで前処理を終えただけのx1DrizzleFitsファイルです。ぜひ画像処理に挑戦していただき、SQA85の素晴らしさを感じてもらえたら嬉しいです。

上記2作例の強調前のfits画像もご提供いただきました!

サードライト・ナローバンド撮影

【SHO】かもめ星雲、かぶと星雲 AskerSQA85 ASI6200MCPro Gain100 -10℃ NoFilter:11x300s D1:36x300s D2:31x300s PixInsight1.8.9-3
SQA85リレーレビュー 3回目
https://tarkungh.net/sqa85%e3%83%aa%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%ac%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc-%ef%bc%93%e5%9b%9e%e7%9b%ae/

サードライトはナローバンドで。フィルターは「Asker Color Magic Filter」です。このフィルターは「Ha+OIII」「SII+OIII」の2種類のフィルターのセットで、カラーカメラでもSHOナローバンドの撮影が可能な製品。

こちらもfits画像付き。元記事のリンクよりダウンロードして、ぜひSQA85の実力ととくとごらんください!

まとめ「とても素晴らしい望遠鏡です」

SQA85リレーレビュー まとめ
https://tarkungh.net/sqa85%e3%83%aa%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%83%ac%e3%83%93%e3%83%a5%e3%83%bc-%e3%81%be%e3%81%a8%e3%82%81/

これまでのレビューを通じて、Askar SQA85の卓越した光学性能と使いやすさを実感してきました。特に、分子雲や銀河の微細なディテールを鮮明に捉える能力には感嘆しました。さらに、ナローバンド撮影においても、その高い解像力と光学性能により、淡い星雲のディテールを鮮明に描き出し、微光天体の観測にも優れたポテンシャルを発揮しました。とても素晴らしい望遠鏡です。

「優れた光学性能」はもちろんのこと「軽量コンパクトな設計」や「ナローバンド撮影への適応性」「画像処理の容易さ」など、まさにコンパクト・フラッグシップと呼べるものでしょう。しかも価格的にも、決してお安くはないものの他社の同クラスの鏡筒よりもお値頃感があります。

最後に、Askar SQA85のレビューを通じて得た知見が、皆様の天体撮影ライフに少しでもお役立ていただければ幸いです。ご愛読、誠にありがとうございました。

こちらこそ、ありがとうございました!撮影リザルトだけでなく、セットアップや使い勝手、撮像結果の分析評価方法など、多くの読者の参考になるものと思います!

Tarkunさんのご紹介

私は、普段からAskerFRA600を使用し、星雲や銀河などの天体写真を撮影している天文愛好家です。

現在使用している機材との比較を含め、SQA85の性能や特徴を生かした具体的なレビューを作成できると考えております。また、星雲や星団を対象とした撮影における実用性についても、詳細なレポートを提供いたします。これにより、他の天文愛好者の方々にも有益な情報をお届けできれば幸いです。

星降る場所を求めて
https://tarkungh.net/
Twitter(現X)
@tarkungh

トップバッターはTarkunさん。Tarkunさんは3年ほど前から天体写真に取り組まれていて、ブログ「星降る場所を求めて」に、撮影リザルトやかなり突っ込んだ画像処理のプロセスや機材のインプレッションなどを多数発信されています。

Askar SQA85とは?

 

Askar SQA85は2024年11月に株式会社サイトロンジャパンから発売された、Sharpstar Optics社の「Askar」ブランドの天体望遠鏡です。SDレンズ(スーパーEDレンズ)を2枚使用したペッツバール構成の5枚玉で、スポット径は設計値で中心1.6μm、フルサイズ(イメージサークル44mm)の最周辺でも2.5μmと、驚異的な結像性能です。

【予告】Askar SQA85鏡筒リレーレビュー企画【レビューア募集!】

Askar SQA85の詳細については、この天リフ記事と天体望遠鏡販売店「シュミット」の商品ページをぜひご参照ください!

シュミット・Askar SQA85鏡筒
https://www.syumitto.jp/SHOP/SHA0098.html

今回のレビュー企画の概要

ざっくり今回のレビュー企画の流れは以下のようなものです。

  1. メーカー様は、レビュー対象製品を一定期間天リフに貸与する
  2. 天リフが対象製品に対するレビューアーを募る
  3. 天リフからレビューアー様に一定期間製品を貸与
  4. レビューアー様はレビュー結果を自分のブログ・SNS等にアップ、ないしはレビュー結果を天リフにレポート
  5. 天リフはレビューアー様のリザルトを適宜記事化する

メーカー様のメリットは「評価してほしい製品を貸し出す」だけで、様々な視点のレビュー記事がネットに放流されること。レビューアー様のメリットは、興味のある製品を実際に試すことができること。天リフのメリットは、読者に広く製品紹介を発信できることです。まさに「win-win-win」のスキーム!(*)

(*)このようなレビュー企画の実施をご希望されるメーカー・販売店様、ご興味がございましたら天リフ編集部までお問い合わせください!

まとめ

Askar SQA85でハート&ソウル星雲を撮影中。和歌山県太地町にて。

いかがでしたか?

ここ数年で、設計性能が「フルサイズのイメージサークル内全てでエアリーディスク径以下の収差補正(*)」である「超高性能なアストログラフ(天体望遠鏡)」が各社から登場してきました。AskarのSQAシリーズもその1つです。

(*)天体望遠鏡の理論的な限界性能は回折によるボケが存在する限り、それ(エアリーディスク径)以上には上がりませんが、これまでは補正しきれない各種の収差がエアリーディスク径を上回る状態でした。その限界が打ち破られたといえます。

矢継ぎ早に新製品を展開するSharpstar社の製品群の中でも、Askar SQAシリーズはまさにフラッグシップ。ほとんど完璧といえる結像性能がもたらす撮影体験を、ぜひ5人のレビューアー様の生の声でお届けしたいと思います。お楽しみに!Clear Sky!


  • 本記事は株式会社サイトロンジャパン様より機材貸与と協賛を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
  • 記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。
  • 製品の購入およびお問い合わせはメーカー様・販売店様にお願いいたします。
  • 本記事によって読者様に発生した事象については、その一切について編集部では責任を取りかねますことをご了承下さい。
  • 記事中の製品仕様および価格は執筆時(2025年1月)のものです。
  • 記事中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。
https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2025/01/f0a9639500b808975469c7d1ed63d19a-1024x576.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2025/01/f0a9639500b808975469c7d1ed63d19a-150x150.jpg編集部望遠鏡望遠鏡Askar,SQA85みなさんこんにちは! Sharpstar社のフラッグシップ鏡筒Askar SQA85、「天リフ読者レビュー企画」が始まりました!天リフ読者の方々で天文機材を順にレビューいただく「リレーレビュー企画」です。 5/6 全てのレビューが完結しました!ご参加いただいた皆様、機材をご提供いただいたサイトロンジャパン様、ありがとうございました! 本記事では4月下旬まで、計5名の方にリレーされていくプロセスと同時並行で、それぞれのレビューア様が発信された情報を随時更新していきます。ぜひお見守りください!! レビューアー様ご紹介とレビュー状況 5/6 レビュー結果を更新しました! 「meade16inch」さん(4月上旬〜4月下旬) SQA85到着! SQA85到着!https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27385821.html ついに順番がやってまいりました。自前のFSQ 106EDと並べてもなかなかの存在感。否が応でも期待値MAXです(笑)カメラを取り付けてみるとさらにかっこいい😎 meade16inchiさんは、ふだんは「FSQ106ED」を使用されていますが、それと並べてみてもなかなかの存在感ですね^^ ちなみにSQA85の重量はバンド・プレート込で4.62kgですから、FSQ106ED(ファインダー込・バンドプレート別で7.0kg)よりはだいぶ軽量です。 ファーストライト SQA85撮ってみたhttps://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27439700.html ピント合わせの時から星像の小ささ、シャープさに期待高まりまくりでした。 ファーストライトはIC1396。ニコンの天体用一眼レフD810Aに、クリップタイプのナローバンドフィルターを装着して自宅からの撮影。 SQA85は、鏡筒部にフィルターを装着する場所がありません。近年天文ファンの間で多用されている天体用CMOSカメラの場合はカメラ側に装着することが可能なので問題ないのですが、一眼レフ機で運用する場合は要注意です(*)。 (*)SQA85は基本的にはピントが出ればバックフォーカスを調整必要がないため、裏技的な運用としてフィルター枠がM48の「2枚重ね」できるタイプの場合は、M48のアダプタリングとM48のカメラアダプタの間にフィルターを入れる方法があります。ただし、フィルター枠の仕様に依存するため現物確認しておくのが吉でしょう。 mead16inchiさんは、このフィルター問題はボディ側に装着する「クリップタイプフィルター」を使用することで解決されていますが、元記事にあるとおりフィルター枠による翳りが出るため若干のトリミングを必要としたようです。 ナローバンドで北アメリカ星雲 SQA85でのNGC7000仕上げましたhttps://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27506019.html SQA85でNGC7000&IC5070を撮ったよ!https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27473151.html セカンドライトは北アメリカ星雲。クリップフィルターによるケラレを回避するため「Central DS Astro D850」をご使用。このカメラは冷却機能が追加された上にセンサー部をボディの外側に出すことでミラーボックスのケラレも回避し、48mmフィルターも装着できる構造になっています。 私は自宅にてナローバンドで撮ることが多いのですが屈折式望遠鏡で撮るときに一つ気になるのが各波長でのピント位置です。連続光であるブロードバンドではRGBのピント位置が多少ずれていてもさほど気にはならないのですがナローバンドでRGBがずれると間の波長が抜けている分、RGBの星像のサイズとして現れて赤ハロや青ハロの原因となります。 ナローバンド撮影の場合、ほんのわずかでもOIIIとHa(SIII)のピント位置の違いがあると、RGBの星像径の違いとして現れてしまうため、赤ハロや青ハロの発生原因となります。mead16inchiさんが気にされていたこの問題は、SQA85ではどうだったのでしょうか? 微恒星は同じ大きさです。ナローバンド撮影をカラーカメラでも安心して楽しめそうです。 SQA85は「最周辺まで点像」であるのはもちろんのこと、軸上色収差も極限まで補正されています。このため、ナローバンドにおける星像径の差もほとんどないようですね!元記事にはBXT処理なしの素の試写画像も掲載されていますので、ガッツリチェックしたい方は是非リンク先もご参照ください。 北アメリカ星雲の一部分を拡大しています。この大きさまで拡大しても十分な解像度だと思います。光害地のナローバンドでも非常に使いやすい鏡筒でした。今回は限られた条件での撮影ですので性能を引き出せたとは思えませんが十分なポテンシャルを感じました。空の良いところでじっくるとってみたい鏡筒です。 トリミング自在なのも超高性能鏡筒の魅力の1つ。かなり思い切ったトリミングで拡大しても、解像感が失われません(*)。素晴らしい星像ですね! (*)逆に、トリミングしないと本来の解像を発揮できないくらいだと、天リフ編集長は感じています。 番外編・冷却CCDで SQA85で撮ったよ!番外編https://ibuki05006.livedoor.blog/archives/27554807.html SBIG 製の冷却CCDカメラ「STL11000M」でも撮影いただきました。フラット補正なしの撮影とのことで「番外扱い」を希望されていますのでリザルトはここには貼りませんが、リンク先でぜひごらんください^^ 9μmの画素ピッチではSQA85の高解像度は活かしきれませんがdrizzleなどを用いれば現代でも楽しめました。結論から申し上げるとSQA85は、フルサイズまでのカメラであれば冷却カメラや一眼レフ、ミラーレス問わずに性能を発揮する鏡筒だと思います。 ポイントは「ピクセルピッチ9μm」という、光学系に対して明らかにアンダーサンプリングなカメラを使用したにもかかわらず、充分満足できるリザルトが得られたこと。 現在の長焦点システムがなくても小型の対象も楽しめる時代が来るかもしれません。システムのダウンサイジングも可能性を考えると天文界隈の高齢化にも希望となるかもしれません(笑)。 小型・短焦点の屈折鏡筒でも、銀河などの小さな対象を楽しむことができる(*)。mead16inchiのご指摘は、超高性能屈折鏡筒の1つの可能性を示したものではないでしょうか。 (*)もちろん、総光子数的には大口径が有利という事実には変わりありません。露光時間さえ延ばせば充分な解像を得ることができる、という意味です。 mead16inchiさん、素晴らしいレビューをありがとうございました! meade16inchさんのご紹介 本来ならば空の良いところで撮るべき鏡筒ですがあえて光害地のナローバンドでどんな性能を見せてくれるか興味があります。 宅撮り天体写真のブログhttps://ibuki05006.livedoor.blog/ Twitter(現X) meade16inch@hanahanamaron13 Meade16inchさんは主に「そこそこ光害地」なご自宅から、ディープスカイや太陽を撮影されています。今回のレビュー着眼点も「光害地のナローバンドで、超高性能鏡筒Askar SQA85はどんな性能を見せてくれるか」です。 実は天リフ編集長は「超高性能鏡筒の光害地でのナローバンド撮影」はあまり実写経験がありません。チリのリモートではずいぶん撮っているのですが・・はたしてどんな結果になるでしょうか(*)?! (*)ある程度の仮説は持ってはいるのですが、それが的を射たものなのかどうか、Meade16inchさんのリザルトには大いに期待しています! 「Hiro」さん(3月中旬〜4月上旬) 4/8 レビュー結果を更新しました! ファーストライト・超シャープな星像 ASKAR SQA85 レビュー参加https://bloghiro.exblog.jp/34494256/ SQA85の第一印象は、星像のシャープさです。(中略)フラッグシップなのできれきれであることは予想していましたが、それ以上でした。VSDもシャープでしたが、SQAはそれを上回ると感じました。VSDの画像の第一印象はどこまでもフラットであることでした。その違いは以下のスペックの違いにありそうです。 hiroさんは昨年のVSD90SSリレーレビュー企画に続いてのご参戦です。フラッグシップ鏡筒の撮り比べの結果、非常に興味深いご指摘をされています。 SQAの星像の鋭さはF4台の明るさに由来すると感じます。 無収差の光学系の場合、星像径の大きさはF値で決まります。いわゆる「エアリーディスク」の径は波長550nmの場合、F4.8の光学系なら6.44μm。F5.5の場合は7.38μmとなります。従来レベルの天体望遠鏡では(*)現れてこなかった「F値による星像径の理論限界」が、SQA85のような超高性能鏡筒では可視化されるということなのでしょう。 (*)イメージセンサーのピッチも関係します。ピクセルサイズ3.76μmのASI2600MCのような微細センサーカメラの登場も大きいものと考えられます。 SQA85の超シャープな画像は良い意味で裏切ってくれました。しばらく堪能させていただきます。 というわけで、続きます^^ 1'センサーカメラで対象を大きく撮る ASKAR SQA85 レビュー その2(系外星雲 M65, 66, NGC3628)https://bloghiro.exblog.jp/34500458/ 星をより小さく明るく撮れる特性を生かして小さめの1”センサーで星雲を大きく捉えました。 理論限界に近い性能をたたき出せるSQA85の場合、小サイズ・微細ビクセルのセンサーを搭載したカメラも有効です。ASI533MCP(*)で撮影されたしし座トリオ。焦点距離408mmとは思えない解像ですね! (*)ASI533MCPのピクセルピッチはASI2600MCと同じ3.76μmです。2600で撮影してトリミングしてもおそらく同じ結果になるでしょうが、どうせトリミングするならデータ量が小さく画像処理が軽く済む533をチョイスするのは充分に合理性のある判断でしょう。 ドロチューブの目盛環が便利であるとのご感想を頂戴しました。プレートソルブ以前の世界では「この目盛、どう使うの?」という感覚もありましたが、写野回転角がプレートソルブで簡単に把握できる現在では非常に有効ですね! ASKAR SQA85 レビュー その3(系外星雲 M81, 82)https://bloghiro.exblog.jp/34502523/ こちらはM81とM82。画角的にはフルサイズ換算約1100mmですが、銀河を撮るにはちょうどいい大きさかもしれませんね。 ASKAR SQA85 レビュー その4(系外星雲M51)https://bloghiro.exblog.jp/34503266/ ASKAR SQA85はトリミングに耐えるので春の系外星雲でも使用可能と感じました。1本でオールシーズン撮りきることが可能と思います。 こちらはM51子持ち銀河です。従来、焦点距離500mm前後の短焦点の鏡筒は、銀河のような小さな天体には不向きと認識されていましたが(*)、SQA85なら春の系外星雲も充分守備範囲になります。オールシーズン使えるアストログラフといえるでしょう。 (*)春は撮る対象が少なく「お休み」状態になる方も多かったかもしれません。 Fの小ささは正義・網状星雲 ASKAR SQA85 レビュー その5 最終(網状星雲)https://bloghiro.exblog.jp/34514542/ 最後のリザルトは網状星雲。VSD90SSでも同じ対象を撮影されていて、BXT処理を行わない画像の比較もされています。どのくらい違うのか違わないのかは、ぜひリンク先で元画像をご確認ください!(*) (*)天リフ編集長の感想としては「どっちも素晴らしい」です^^ ASKAR SQA85を使ってみて良いと感じたのはF4.8の明るさです。(中略)「F値の小ささは正義」です。 大事なことなので繰り返しますが「F値の小ささは正義」という言説に、今回新らしい意味が追加されたものと感じています。より明るくなることで総露光時間を短くできる「ハイスピード性能」だけでなく、超高性能鏡筒においてはF値が小さいほど星像径が小さくなる。というメリットもあるのですね! hiroさん、気合の入った多数の作例をありがとうございました! Hiroさんのご紹介 SQA85と仕様が似ている国内フラグシップのVSD90SSとの画質比較を行いたい。比較画像は前回試用時に撮影した網状星雲、サドル付近(三日月星雲)を使用。他にSQA85の商品性も見たいです。また余裕があれば仕様差があるが手持ちのFCT65Dとの画質比較もしてみたい。 hiroのフィールドノート plushttps://bloghiro.exblog.jp/ Hiroさんは以前「VSD90SSリレーレビュー」にもご参加いただきました。Redcat91だけでなく(元)VSD90SSユーザーもご参加とは、天リフとしては心配で夜も眠れません!?こちらも結果に大注目!(*) (*)実際のところ、これくらいの超高性能になるとピントの決まり具合やシーイング、ガイド誤差など、さまざまな結像阻害要因があるため、非常に短いレビュー期間(約3週間)による結果は「全てではない」ことをご了承ください。レビューサーの皆様におかれても、プレッシャーやバイアスなく、率直なご感想をいただければと思います。 「智-」さん(2月下旬〜3月中旬) 3/16 レビュー結果を更新しました! SQA85の外観 SQA85リレーレビュー①【外観編】https://tomo-ht.fc2.net/blog-entry-125.html  細かい部分で気になる点はありますが、「軽くて取り回しが良い」というのが総評です。セミハードケースが付属していて、あとはカメラアダプタを追加で用意するだけで色々と考える必要が無いのは良いことだと思います。 まずは外観。詳細は上記リンク先をご参照いただくとして、まとめると以下の通り。 【長所】 <軽量で取り回しがよい> <フラットナー(補正レンズ)不要> <EAF取り付けに追加パーツ不要> 【短所】 <鏡筒バンドが持ちづらい> <鏡筒とドブテイルバーの隙間がない> 短所については補足すると、鏡筒バンドは別売の「ハンドル」を装着すれば解決するのですが、ハンドルを装着すると専用ケースに入らないのが悲しいところ。ハンドルが出っ張ることでケースの外形が大きくなってしまうなど難しいところはあるのは理解できるのですが、何かよい案があるとよいのですが。 鏡筒とドブテイルバー(アリガタ)の隙間についても、別売の「The Heightening Section」を装着すれば解決するのですが、こちらもケースへの収納の問題があります。そもそもEAFを装着する時点で専用ケースへの収納はあきらめざるを得ないのですが、、、ワガママなユーザーのニーズをなんとか解決してもらえると嬉しいですね! SQA85 撮影編 SQA85リレーレビュー②【撮影編】https://tomo-ht.fc2.net/blog-entry-126.html  庭撮りの短時間ということでSQA85の真価まで確認できたとはいえませんが、「解像度が高く気持ちのいい画が得られる」という印象を受けました。新月期の観望地で長時間露光をしたらどんな画像が得られるのだろう、と思わずにはいられません。 上の作例は「馬頭星雲」。「天候不良のため泣く泣く庭撮り」とのことです(*)。フィルターの記載はありませんが、燃える木星雲の色や反射星雲の写りから推測するとあまり帯域の狭くない光害カット系のフィルターの使用でしょうか。 3.19訂正)ノーフィルターだそうです。早合点しすみませんでした・・・ (*)むしろご自宅の庭でSQM20.7とは、羨ましい限り^^ 燃える木星雲の50%切り出し画像。「これだけ解像してくれるのであれば十分でしょう」とコメントされているとおり、素晴らしい解像感ですね! APS-Cなので見るまでもなく、という感じですが周辺までまん丸です。 中心と四隅200pixelの切り出し画像。「どこが隅でどこが中央なのか区別が付かない」系です。最新のフラッグシップ鏡筒の性能はスゴい。 SQA85もまた購入して後悔のない鏡筒だと思います。価格はそれなりにしますが、それに見合ったもしくはそれ以上の世界を見せてくれるでしょう。焦点距離400mm前後で「コンパクトで取り回しがよい、且つ最高性能の鏡筒が欲しい」という方は選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。 「価格はそれなり(にお高い)」ですが、性能は最高レベル。「見合ったもしくはそれ以上の世界」を手にしたいなら、、いつかはSQA85ですね。 ただし、上の画像のように輝星を隅に持っていくと少し星割れが出ます。大騒ぎするレベルでは全くないのですが(*)、事実として若干の口径食と星割れが存在することは認識しておいた方がよいでしょう。 (*)どちらかといえば、優秀な部類といえます。 VS RedCat91 結論を言いましょう。     どちらを買っても幸せになれるから好きな方を買え!     (終) 天リフ編集長が一番気を揉んでいた比較。「甲乙付けられない」結果となって良かった^^;;;(*) (*)通常のレビュー記事では、直接機種名を挙げて比較することは基本的にやらないのですが、ユーザー様がご所有の機材と比較することは避けることができません。 設計上ほぼ無収差の2つの鏡筒の描写性能(星像径)は、口径もF値もほぼ同じであれば「ほぼ同じ」になって当然。差が付くとすれば製造品質・ピントの追い込み・シーイングの差異などの要素がありますが、サイドバイサイドでの比較でこの結果ということは、どちらも製造品質も素晴らしいということなのでしょう。 ただし、外形上は「口径5mmの差」がけっこう効いてきます。重量はSQA85が4.6kgであるのに対してReadCat91は6.3kg。重量は37%増し(*1)。「取り回しの良さ」ではSQA85に軍配が上がるでしょう。その一方で価格的にはRedCat91のほうが17%ほど低価格になっています(*2)。 (*1)仮にSQA85を全てのパーツを相似に拡大し口径91mmにすると、重量は23%増しになります。 (*2)記事執筆時点。詳細価格は販売店により異なる場合があります。価格は為替レートなどの要因で変動することがあります。 こうして選択肢が増えるということは、各メーカーでより良い鏡筒を出そうと良い方向での競争が起こってユーザ側としても盛り上がるでしょうから、良い流れなのでは思います。 「ほぼ無収差」の超高性能屈折鏡筒は、いまや一番の激戦区。「SQA85は素晴らしい」「良いモノは良い(RedCat91も素晴らしい)」「SQA85は取り回しのよい鏡筒」。そして、 ごちゃごちゃ考えるな、好きな方を買え! 天リフとしては、クライアント様にご協賛いただいている立場でもあるのですが、ユーザー目線では一番よい結論になったと感じています。 レビュー記事を書くにあたり改めて色々と調べてみて知見が広がったということもあり、私にとって良い経験となりました。私のような初心者の方こそこういうレビュー企画に参加すると、色々と得られるものも多く良いのではないでしょうか、と思った次第です。 最後に。智-さんが「初心者」かどうかは議論の余地がありますが(^^)、素晴らしいレポートをありがとうございました! 智-さんのご紹介 Askar SQA85と性能の似た「とある鏡筒」を購入予定なのでサイドバイサイドの比較を出来たらと思います。 天文初心者の備忘録https://tomo-ht.fc2.net/ Twitter(現X)@tomo_h_t 智-さんはプロファイルに記載されている通り、どちらかといえば小型の鏡筒でディープスカイを撮影されています。なんとAskar SQA85と性能の似た「とある鏡筒」をご購入予定とのこと。 結果がどうなるのか「ものすごく」気になるところですが、、これはガチ天クラスタ注目のレビューになりそうな予感が!?(*) (*)天リフ編集長が一番ビビっております^^;;; 「カイトゥー」さん(2月上旬〜2月下旬) 3/6 レビュー結果を更新しました! Askar SQA85リレーレビュー企画。2人目の「カイトゥー」さんに機材が届きました!レポート楽しみにしています!https://t.co/dm9HLeffif pic.twitter.com/qGgFtyl851 — 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) February 4, 2025 電視観望 晴れ間をぬって電視観望。カイトゥーさんが所属されている部で所有する、某社の口径85mm鏡筒との比較です。結果はいかに・・・ 左がSQA85、右が某社口径85mm鏡筒(レデューサー使用)。口径は同じでもF値が異なるなど、このリザルトだけで鏡筒の優劣が判断できるものではありませんが、明らかにSQA85の方が星が小さくシャープですね! ナローバンドで レビュー最後の週末。祈りが通じたのか晴れ!モノクロカメラASI533MM...編集部発信のオリジナルコンテンツ