こんにちは!天リフ編集部です。西オーストラリア遠征記第2回目は「南半球の極軸合わせ」です。初の南半球で極軸がちゃんと合わせられるのか?ドキドキヒヤヒヤでしたが、結果としてはなんとか無事クリアすることができました!(*)

(*)実は運良くあっさり合わせられてドヤ顔だったんですが^^v

でも、南半球での極軸合わせは確かに一筋縄ではいかないものだと実感しました。事前にきちんと下調べしておかないと絶対に無理!!これだけは断言できます。北半球の極軸合わせが恵まれすぎているのです。その調子で南半球に行くと間違いなくハマります。「2回くらい遠征すればすぐに合わせられるようになる」というのはけだし名言。難しさのレベルを認識して準備さえすれば、初めてでも大丈夫です。



当方のたった1回の経験からではありますが、読者のみなさまが南半球で戸惑うことがないように、体験したノウハウをまとめてみました!これだけ読めば南半球の極軸合わせは大丈夫!

はちぶんぎの台形を探せ!

はちぶんぎの台形と「σ(シグマ)のヒゲ」

スカイガイドより作成 https://itunes.apple.com/jp/app/スカイ-ガイド/id576588894?mt=8

これがはちぶんぎの台形です。南半球に行く前に、この星並びを毎日眺めて頭にたたきこみましょう。

ここで問題は、「台形」という星並びがあまりにありふれたものであること。実際に星空を流して見ると、台形っぽい並びがいたるところにあります。

そこで、台形の短い方の端の「はちぶんぎ座σ(シグマ)星」の横にちょんとある、小さな星(HIP112355)を目印にしましょう。この星並びを「台形のヒゲ」または「σのヒゲ」と名付けることにします。このヒゲ、大事です。このパターンが頭に入っていると、一発で台形が認識できるようになります。

ちなみに、台形で一番重要なのはこのσ(シグマ)星です。いってみれば南極星。どんな極軸望遠鏡のパターンであってもσ星は必ず使用します。台形のσ、ヒゲのσ、シグマとヒゲをお忘れなく。

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では、小テストです^^上の画像からはちぶんぎの台形を探してみましょう^^4月中旬の薄明終了直後の状態です。

 

 

 

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はい、答はこちら。まあ最初は無理ですね^^ でもこの図から台形を見つけられるようになるまで練習しましょう^^

はちぶんぎの台形の見つけ方・小マゼランからたどる方法

北極星は2等星。よほどの光害地でなければ、普通に見つかります。ところが、はちぶんぎの台形を構成する星は5等星以下。光害地や薄明下では肉眼では見えません。これが南半球での極軸合わせを難しくしている最大の原因なのです。

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俗に「みなみじゅうじの縦棒を伸ばせば天の南極」「アケルナル(α Eri)と南十字を結んだ線の真ん中あたりが天の南極」と言われています。このことは極軸合わせの必須知識。しっかり記憶に刻んでおく必要があります。

しかしこの見つけ方は、実戦的極軸合わせにとっては荒っぽすぎるため、はちぶんぎの台形を見つけるのはまず無理。肉眼で5等星4個の星並びである台形の視認は困難です。極軸望遠鏡では視野1個ほどずれている上に天の南極からは30°以上離れています。台形を捕まえるのには、みなみじゅうじ座とアケルナルをを頼りにするのは難しいのです。

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一番見つけやすい探し方は、小マゼラン星雲からスターホッピングすること。見やすい目印が3つあり、極軸望遠鏡程度の視野なら比較的簡単にたどることができます。しかも、ベストシーズンである4月ごろなら、薄明終了時点で小マゼランはほぼ天の南極と同じくらいの地平高度なので、赤道儀(三脚)を水平にずらして簡単に捕まえられるのです。(筆者はそのパターンで楽しました)^^

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拡大図。みずへび座β星は2.8等。明るいです。はちぶんぎ座γ(ガンマ)1〜γ3は5等星で暗いですが、特徴的な3つの星ならびですぐわかります。ここから視野もう一つ分ではちぶんぎの台形です。