この記事の内容星見屋.com Presents!
小型軽量で高感度。撮影に「電視」に大活躍の「天体用CMOSカメラ」。望遠鏡には2インチスリーブで接続すればOKですが、カメラレンズにはどうやって接続すればいいのでしょうか?

T2マウント/EOSアダプタを使う

取り付けたいレンズがCanonのEFマウントの場合、EOSマウントをASI側のT2マウントに変換するアダプタを使うのが一番簡単です。

星見屋.com EOS-T2アジャスタブルアダプターASIカメラ用http://www.hoshimiya.com/?pid=102286643



カメラ側のマウントはT2マウントなので、適当な既製品で接続することはとりあえず可能ですが、最近のカメラレンズは収差補正がフランジバックに敏感なので、IR改造などでフランジバックがずれると周辺部の収差が大きくなってしまうことがあります。

バックフォーカスをネジで可変調整できる旧モデル。新モデルでは、5mm厚のTマウント延長リング(盤)で2段階にのみ調整するように変わっています。

その点、今回ご紹介するアダプタはフランジバックを調整できるようになっています。

(2018/2/12追記)

最新のバージョンではネジによる「可変」の調整ではなく、アダプタリングを使用した2段階のみの調整機構に変わっています。
可変の調整機構はここぞの追い込みには有用ですが、光学系によって調整し直すのはかなり大変です。現実的には新バージョンの方が使いやすいでしょう。

(2018/2/12追記終わり)

ただし、調整するとカメラとレンズの位置角が変わってしまうので花形フードを使用するレンズなどの場合は要注意。フルサイズ対応のEFレンズを4/3センサーで使用する場合はあまり心配いらないかもしれませんが。

48mmフィルターを装着する

ASIのカメラは基本的に素通し。赤外線にも紫外線にもそれなりに感度があります。このため、通常は「Lフィルター」で赤外をカットする必要があります。

また、最近多くなってきたナローバンド撮影のためにもフィルターワークは重要。モノクロセンサーでLRGBやSAOで撮る場合は「フィルターホイール」の出番ですが、カラータイプの場合はもっと手軽に装着したいもの。

EOS-T2アジャスタブルアダプター」を3つに分解したところ。上の写真の位置に48mmフィルターをねじ込むことができます。(ねじ込みは特に引っかかりもなく最後まで問題なくねじ込めました)

KYOEI大阪・バーダー B366 UV-IRカット「L」フィルター 48mm(2インチ)
http://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/baader-uvir-lflt48.html

筆者が使用しているBaaderのLフィルター。400nm〜690nmまでの光を通し、紫外線と赤外線をカット。

紫外線・紫外線をカットすることで屈折望遠鏡やカメラレンズでありがちな青ハロ・赤ハロを押さえることができます。また、赤外線ではレンズのコーティングや内面反射の黒塗りが最適化されていない場合があり、カットすることでフレアを押さえる効果もあります。

その他のカメラレンズを装着する

星見屋.com NIKON-T2アジャスタブルアダプターASIカメラ用
http://www.hoshimiya.com/?pid=113747371

ニコンFマウントの場合はEFマウントと同じ仕様のマウントアダプタがあります。



星見屋.com ASI-マイクロフォーサーズアダプター
http://www.hoshimiya.com/?pid=101003593


また、M4/3マウント用アダプタもあります。(フランジバック調整機構はありません)

カメラ側がM4/3マウントであれば、ほとんど全てのカメラレンズが、サードベンダのカメラアダプタ経由で装着できることになります。

M4/3マウントの場合、48mmフィルターは使用できないため31.7mm(1.25インチ)のフィルターを使用します。
ASI294MC本体に付属しているT2-1.25インチアダプタをM4/3マウントアダプタのカメラ側にねじ込み、そこにフィルターを装着します。

また、すでに31.7mmのフィルターをお持ちの場合は、T2-1.25インチアダプタを使用すれば上の写真のカメラ部のT2メスネジにねじ込んで使用することもできます。

M4/3アダプタは編集部では実際に使用していないため、フィルター枠の厚みなどの制限がある可能性があります。詳細は販売店様にご確認くださいm(_ _)m。

カメラの固定方法

カメラレンズでASIシリーズを使用する場合、レンズ側に三脚座がないとけっこう困ります。

ASI294MCにSAMYANG35mmF1.4を装着したところ。極端なフロントヘビーです。たわみによるスケアリングが心配になるレベル。これではちょっと実運用は苦しそう。

星見屋.com ASI冷却カメラ専用三脚座付リング
http://www.hoshimiya.com/?pid=100502753

胴長の長い冷却タイプのASIカメラの場合は、ASIカメラボディに装着するバンドが販売されていますが、非冷却タイプは取付部の幅が足りないため使用できません。

そこで「ファインダー脚」を使用してレンズを固定しました。
これならバランスもOK.

ファインダー脚を使用したレンズ固定については以下の記事をご参照ください。

三脚座なしのカメラレンズをファインダー脚で固定する。

もろもろ自己責任でご使用ください!

カメラレンズをマウントアダプタ等で純正ボディ以外で使用する場合の一般的な注意事項を以下にまとめておきます。基本的にはレンズメーカー保証外、自己責任ですので、くれぐれもご注意ください。

  • ASIのカメラには電子接点はありません。電子制御の絞り・フォーカスは動作しません。当然EXIFにも対応しません。
  • レンズ・フィルターの形状などによっては物理的に干渉してレンズ・ASIカメラ・フィルターなどを破損することがあります。
  • 組み合わせによっては無限遠にピントが出ないことがあります。
  • フランジバック長によってはレンズの収差が大きくなる場合があります。

まとめ

これまで天体用CMOSカメラは月や惑星の拡大撮影と、天体望遠鏡による直焦点撮影が主流でしたが、カメラ用の明るい高性能レンズも使用してみたいもの。

4/3サイズのセンサーのASI294の場合、85mmFが170mm相当、135mmならの270mmの画角になります。広がった星雲や天の川で、撮影と電視の両方で検証していきます!結果はこちらで逐次ご報告していきますのでお楽しみに!


※本連載では星見屋.com様に取材協力をいただいていますが、文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。 https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2017/12/PC010005_m-1-768x1024.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2017/12/PC010005_m-1-150x150.jpg編集部レビュー天体用カメラ天体用カメラこの記事の内容星見屋.com Presents! 小型軽量で高感度。撮影に「電視」に大活躍の「天体用CMOSカメラ」。望遠鏡には2インチスリーブで接続すればOKですが、カメラレンズにはどうやって接続すればいいのでしょうか? T2マウント/EOSアダプタを使う 取り付けたいレンズがCanonのEFマウントの場合、EOSマウントをASI側のT2マウントに変換するアダプタを使うのが一番簡単です。 星見屋.com EOS-T2アジャスタブルアダプターASIカメラ用http://www.hoshimiya.com/?pid=102286643 カメラ側のマウントはT2マウントなので、適当な既製品で接続することはとりあえず可能ですが、最近のカメラレンズは収差補正がフランジバックに敏感なので、IR改造などでフランジバックがずれると周辺部の収差が大きくなってしまうことがあります。 その点、今回ご紹介するアダプタはフランジバックを調整できるようになっています。 (2018/2/12追記) 最新のバージョンではネジによる「可変」の調整ではなく、アダプタリングを使用した2段階のみの調整機構に変わっています。 可変の調整機構はここぞの追い込みには有用ですが、光学系によって調整し直すのはかなり大変です。現実的には新バージョンの方が使いやすいでしょう。 (2018/2/12追記終わり) ただし、調整するとカメラとレンズの位置角が変わってしまうので花形フードを使用するレンズなどの場合は要注意。フルサイズ対応のEFレンズを4/3センサーで使用する場合はあまり心配いらないかもしれませんが。 48mmフィルターを装着する ASIのカメラは基本的に素通し。赤外線にも紫外線にもそれなりに感度があります。このため、通常は「Lフィルター」で赤外をカットする必要があります。 また、最近多くなってきたナローバンド撮影のためにもフィルターワークは重要。モノクロセンサーでLRGBやSAOで撮る場合は「フィルターホイール」の出番ですが、カラータイプの場合はもっと手軽に装着したいもの。 「EOS-T2アジャスタブルアダプター」を3つに分解したところ。上の写真の位置に48mmフィルターをねじ込むことができます。(ねじ込みは特に引っかかりもなく最後まで問題なくねじ込めました) KYOEI大阪・バーダー B366 UV-IRカット「L」フィルター 48mm(2インチ) http://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/baader-uvir-lflt48.html 筆者が使用しているBaaderのLフィルター。400nm〜690nmまでの光を通し、紫外線と赤外線をカット。 紫外線・紫外線をカットすることで屈折望遠鏡やカメラレンズでありがちな青ハロ・赤ハロを押さえることができます。また、赤外線ではレンズのコーティングや内面反射の黒塗りが最適化されていない場合があり、カットすることでフレアを押さえる効果もあります。 その他のカメラレンズを装着する 星見屋.com NIKON-T2アジャスタブルアダプターASIカメラ用 http://www.hoshimiya.com/?pid=113747371 ニコンFマウントの場合はEFマウントと同じ仕様のマウントアダプタがあります。 星見屋.com ASI-マイクロフォーサーズアダプター http://www.hoshimiya.com/?pid=101003593 また、M4/3マウント用アダプタもあります。(フランジバック調整機構はありません) カメラ側がM4/3マウントであれば、ほとんど全てのカメラレンズが、サードベンダのカメラアダプタ経由で装着できることになります。 M4/3マウントの場合、48mmフィルターは使用できないため31.7mm(1.25インチ)のフィルターを使用します。 ASI294MC本体に付属しているT2-1.25インチアダプタをM4/3マウントアダプタのカメラ側にねじ込み、そこにフィルターを装着します。 また、すでに31.7mmのフィルターをお持ちの場合は、T2-1.25インチアダプタを使用すれば上の写真のカメラ部のT2メスネジにねじ込んで使用することもできます。 M4/3アダプタは編集部では実際に使用していないため、フィルター枠の厚みなどの制限がある可能性があります。詳細は販売店様にご確認くださいm(_ _)m。 カメラの固定方法 カメラレンズでASIシリーズを使用する場合、レンズ側に三脚座がないとけっこう困ります。 ASI294MCにSAMYANG35mmF1.4を装着したところ。極端なフロントヘビーです。たわみによるスケアリングが心配になるレベル。これではちょっと実運用は苦しそう。 星見屋.com ASI冷却カメラ専用三脚座付リング http://www.hoshimiya.com/?pid=100502753 胴長の長い冷却タイプのASIカメラの場合は、ASIカメラボディに装着するバンドが販売されていますが、非冷却タイプは取付部の幅が足りないため使用できません。 そこで「ファインダー脚」を使用してレンズを固定しました。 これならバランスもOK. ファインダー脚を使用したレンズ固定については以下の記事をご参照ください。 http://reflexions.jp/blog/star/archives/230 もろもろ自己責任でご使用ください! カメラレンズをマウントアダプタ等で純正ボディ以外で使用する場合の一般的な注意事項を以下にまとめておきます。基本的にはレンズメーカー保証外、自己責任ですので、くれぐれもご注意ください。 ASIのカメラには電子接点はありません。電子制御の絞り・フォーカスは動作しません。当然EXIFにも対応しません。 レンズ・フィルターの形状などによっては物理的に干渉してレンズ・ASIカメラ・フィルターなどを破損することがあります。 組み合わせによっては無限遠にピントが出ないことがあります。 フランジバック長によってはレンズの収差が大きくなる場合があります。 まとめ これまで天体用CMOSカメラは月や惑星の拡大撮影と、天体望遠鏡による直焦点撮影が主流でしたが、カメラ用の明るい高性能レンズも使用してみたいもの。 4/3サイズのセンサーのASI294の場合、85mmFが170mm相当、135mmならの270mmの画角になります。広がった星雲や天の川で、撮影と電視の両方で検証していきます!結果はこちらで逐次ご報告していきますのでお楽しみに! ※本連載では星見屋.com様に取材協力をいただいていますが、文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。編集部発信のオリジナルコンテンツ