みなさんこんにちは!双眼鏡はお持ちですか?双眼鏡はお好きですか?

一家に一台、双眼鏡。天文ファンもそうでない人も、双眼鏡がひとつ手元にあるだけで、アウトドアライフもインドアライフも、楽しさが20%アップします!(*)。鉄板の「星見」用途から、バードウォッチング・コンサートでの推しメン鑑賞・スポーツ観戦・前線の偵察まで・・・

(*)天リフ独自見解です^^



しかし、限られたおサイフの厚みの中から自分に適した「イイ双眼鏡」を選ぶのは簡単ではありません。そんな貴方のために、今回は「賞月観星プリンス」の4つの双眼鏡をご紹介したいと思います!

ポロ式の逆襲・賞月観星プリンス双眼鏡

左から、賞月観星 プリンスUWA 8.5×42WP、ED6.5×32WP、ED8×42WP、UWA7×35WP

今回ご紹介する4つの双眼鏡。価格は19,800円〜23,800円。価格的には「エントリクラス(普及品)と高級品の間」ですが、スペック・性能的には「堂々たる高級クラス」です。以下、この双眼鏡の位置づけと特長を解説していきましょう。

賞月観星・プリンスED6.5x32WP&8x42WP
http://blog.livedoor.jp/forrest1437/archives/76850170.html
賞月観星プリンス UWA7x35WP&8.5x42WP
http://blog.livedoor.jp/forrest1437/archives/81435269.html

「ポロ式」と「ダハ式」

ポロ式双眼鏡の概念図。https://ja.wikipedia.org/wiki/双眼鏡

「賞月観星プリンス」はポロ式双眼鏡。双眼鏡には、正立像を得るためのプリズムの構造に大きく分けて「ポロ式」と「ダハ式」の2つの形式があります。最近では小型でコンパクトにできるダハ式が主流になってきていますが、ポロ式にもダハ式にないメリットが大きく2つあります。

構造がシンプルなポロ式

https://ja.wikipedia.org/wiki/双眼鏡

(*)ポロ式は反射面が4面で、原理的には同じ2個のプリズムの組み合わせで実現可能。一方ダハ式は反射面が6面で、異なる複雑な形状のプリズムの組み合わせになります。さらにダハ式はプリズムの「ダハ面」に高い精度が要求され、全反射しない面が1面あり金属蒸着などが必要なこともコスト増になります。右のアッベ・ケーニッヒ式はさらにコストがかかりますが、反射面が全て全反射の4面で光学的にさらに高性能な製品が実現可能です。

ひとつは、プリズムの構造が簡単で高い精度を出しやすく、ダハ式と比較して低価格で良く見える製品を製造できることです。このため同じ値段なら、1ランク上の見え味を実現することができます。高級双眼鏡の見え味をより安い価格で。2万円でこの見え味が実現できるのは、ポロ式ならではなのです。

さらに、賞月観星プリンスシリーズでは、見かけ視界を広く取るためにより大型のポロプリズムが使用されています。ポロ式でコストを下げた分をより大きなプリズムに投資するという考え方(*)といえるでしょう。

(*)クルマ雑誌のレビュー記事風に表現すれば「より大型のポロプリズムが奢られている」というところでしょうか^^

ポロ式の「立体感」

ポロ式とダハ式の視差の比較。ダハ式は直線的で小型である反面、ポロ式の方が左右の視差が大きく、実視でも明らかな立体感の差がありました。奥の建物は約400m先です。

もうひとつは、対物レンズの間隔がダハ式よりも長くなるため(*)、より対象をより立体的に見ることができることです。人間の眼は、右と左の眼の「視差」によって遠近(立体感)を感じることができますが、プリズムの存在によって左右の眼の間の距離が長くなったのと同じ効果があるのです。

無限に遠い対象である天体の場合この差は全く出てきませんが、地上を観察する場合、この差は実はかなり効いてきます。満開の桜の枝に止まるメジロ、コンサート会場で躍動する推しメン、アスリートの筋肉と汗。「立体感」と臨場感ある映像はポロ式ならではのものといえます(*)。

(*)上記2つの双眼鏡の場合、ダハ式では筆者の眼幅と同じ66mmでしたがポロ式では122mmと倍近くありました(実測値)。逆に小型のポロ双眼鏡で採用されている「逆ポロ式」ではより立体感が少なくなります。

ぶれない、明るい「低倍率」「広視界」

双眼鏡の口径・倍率・瞳径の関係を図示したもの。瞳径が大きいほど明るくなります。街灯りが若干存在する場所では星を見るのに最適な瞳径は5mm。一般用の双眼鏡は瞳径3〜4mmが多いようです。昼間での使用であっても2mmが下限といえます。手持ちで使う場合倍率は10〜12倍が限界で、それより高いと手ぶれのため使いにくくなります。

「賞月観星プリンス」は、いずれも星見に最適な瞳径5mm前後の「低倍率」仕様。口径3cmクラスなら6倍前後、4cmクラスなら8倍前後です。特筆すべきは広い見かけ視界。プリンスEDシリーズで65°、プリンスUWAシリーズはさらに広い77度です。プリンスUWA7×35では実視界はなんと11°もあります。

天リフの読者の皆様には、星見用双眼鏡ではこのくらい(瞳径5〜7mm)の低倍率が最適であることは、今さらいうまでもありませんよね。背景がほどよく締まった暗さになり、手ぶれしにくく、実視界の広い低倍率双眼鏡は最高の星見ツールです。

付け加えて、この倍率の双眼鏡は、夕焼けから薄暮までの風景や、スポットライトで照らされたコンサート会場のような場合でも、大いに気持ちのよい体験をもたらすことを付け加えておきます。じゅうぶんな光量のある昼間の用途なら、瞳径3mm(口径3cmクラスなら8倍前後)でより機材を小型軽量化するのも一つの戦略ですが、暗い場所では「明るさ」の差は倍率以上に効いてきます。よりオールラウンドな気持ちよさを求めるなら、瞳径5mmがオススメです。

やるべきことを全部やった「高級仕様」

「賞月観星プリンス」は、どれも「気持ちよく見える、ワンランク上のいい双眼鏡」。「低反射率の全面マルチコーティング(最終的な透過率94%)」「視野の隅まで全反射するBaK4プリズム」「広視野(65度以上)・ハイアイポイント(13mm以上)の接眼レンズ」「コバの黒塗り」「ED硝材を使用した対物レンズ」「窒素充填による防水構造(*)」など、高級双眼鏡に求められるスペックは基本的に全てクリアしています。

(*)JIS規格でいうところのどのレベルかの記述はありませんが、短時間(数分以下)・低水深(1m程度)の水没には耐えるレベルであるとのことです。

これらの要件を全て満たした上で、価格は2万円前後と破格。1ランク上の双眼鏡が値ごろな値段で手に入ります。これもポロ式だから実現できたことといえるでしょう。

外観レビュー

パッケージ

賞月観星プリンスUWA7×35のパッケージ。カラーはグリーン、ケースとストラップは本体と同色です。

商品パッケージには、本体に加えてケース・本体とケース用の各ストラップ・レンズ用クロス・前後キャップが付属します。

ケースは内側は柔らかな起毛のある布で裏打ちされています。ストラップとともに、上質なものです。

外装

大型のポロプリズムが使用され、広いみかけ視界を実現しています。本体には「賞月観星」のレリーフが貼り込まれています。

ボディは堅牢なマグネシウム合金で安っぽさは全くありません。手が触れる部分は硬質な樹脂で覆われています。このへんは好みもありますが、表面の仕上げも良好。外装も高級グレードといってよいでしょう。

対物側のキャップはよくある鏡胴にリングで止めておく方式。使用時にはブラブラしますが(*)、なくす心配がありません。接眼側のキャップはこれもよくある「左右ニコイチ」の一体型。

(*)低温下ではゴムが硬化してキャップが垂れ下がってくれずレンズを隠してしまい、使いにくいという面もあります。

コーティング

賞月観星プリンスシリーズの対物側のコーティング。一見して反射率の低そうなコーティングが施されています。

高級クラスの双眼鏡で最も重要なスペックの一つがコーティングです。ポロ式双眼鏡の場合、最低でも反射面が10面あります(*)。対物側が「分離型」で接眼レンズが4群構成になると実に16面。反射率1%のマルチコートの場合、最終的な透過率はぞれぞれ89%、85%にまで下がってしまいます(**)。

(*)対物レンズが1群、ポロプリズムが2群、接眼レンズが2群、計5群、1群あたり2面の反射面。

(**)他にガラス内での光の吸収による損失がありますが、こちらはほぼ無視できるオーダーです。

にもかかわらず、賞月観星プリンスシリーズの透過率は公称94%。8群構成(*)なら1面当たり平均0.4%の反射率のコーティング(*)が施されていることになります。

(*)UWAシリーズは接眼レンズが4群5枚なので全体で8群、プリンスEDシリーズは接眼レンズが3群5枚で全体で7群になります。

(**)最新の技術を駆使すれば平均0.1%も可能ではありますが(その場合8群で透過率98.6%)、ここから先はコストとの兼ね合いです。ちなみに透過率1.5%のシングルコートで7群構成の場合、透過率は78%になります。双眼鏡の「明るい」という評価の大半は、コーティングの差によるものです。

上:賞月観星プリンスED8×42。下:普及クラス(10×42)、緑色がマルチコート面、青白い面はシングルコート。

普及クラス(実売4000円強)の双眼鏡と比較してみました。比較対象の双眼鏡は非常にコスパの高い良い双眼鏡ですが、さすがにマルチコートは全面ではありません。緑色のマルチコートの反射率も賞月観星プリンスよりやや高めに見えます。

賞月観星プリンスの特徴の一つが、赤色(マゼンタ)の「サクラコーティング」です。人間の眼は緑色の感度が一番高いため、緑の反射を最も抑えたマゼンタ・ブルーのコーティングを施すのには理も利もあります(*)。

(*)写真用の場合は色かぶりともからんでくるので一概にはいえないとは思いますが、眼視でしか使用しない双眼鏡なら大いに合理性があります。ただし、全体としてカラーバランスがニュートラルである前提です。

内面反射防止処理

双眼鏡を空に向けて、内面反射の状態を確認してみました。プリズム内での反射がわずかに存在しますが、高級双眼鏡としてもじゅうぶんに合格範囲です(*)。高級双眼鏡の定番として、プリズムに高屈折率の硝材「BaK4(**)」が使用されているので、四角いカゲリは見られません(**)。

(*)細かくいうと完璧ではないのですが、完全な漆黒に丸い円だけが見える双眼鏡は、筆者の経験ではニコンのWXくらいのものです。

(**)普及品の双眼鏡ではBK7がよく使用されますが、この場合は視野の周辺では全反射にならないため、正面から見ても正方形のカゲリが出てきます。BaK4を使用しても、ぎりぎり斜めからみると、ほんのわずかカゲリがでますが、これはほぼ問題にならない量です。

左は実売4000円台の普及品。白く光っているのがレンズの縁で、コバ塗りされていないため白く見えています。右は賞月観星。コバ塗りの効果で内面反射が少なくなっています。

対物側のレンズの縁には「コバ塗り」が施されています。レンズのコバ塗りはコストのかかる作業なので普及品では省略されることが多いのですが、高級品ではほぼマストの仕様といえます。ちなみに、対物レンズはEDレンズを使用した「空気分離型」です。空気分離型では、レンズの曲率の設計自由度が上がるため、収差補正に有利に働きます(*)。

(*)逆にシングルコートの普及品の場合は、貼り合わせ型にすると反射面を減らせるため、光量的には有利に働きます。

使い勝手

中央の大きなリングがピント調節リング。

ピント合わせは中央繰り出し式。動作はスムーズで、全く問題はありません。リングの幅が大きく、回しやすい構造。

写真では少しわかりにくいのですが、右眼側の視度調整リングは二箇所の突起を指で挟んで回す構造になっています。

ただし、右眼側の視度調整リングは少しクセがあります。上の画像のように二箇所の突起を指で回すのですが、片側だけを指で押しても固くて回すことができない場合があります。慣れてしまえばなんということはないのですが、要注意です。

アイポイントの調整機構。左は一番ひっこめた状態、右は一番繰り出した状態。

接眼部のリングを回してアイポイントを調整することができます(*)。メガネ使用時には引っ込めた状態で、裸眼のときは繰り出して使用します。一応3段階?のクリックストップになっているようなのですが、あまりクリック感は明確ではなく、手加減だけでなく実際に覗いて最適な場所に合わせた方がよいでしょう。

(*)普及品ではゴム見口を折りたたんで調整するタイプのものもありますが、寒冷地では固くて折り曲げられなかったり、微調整ができなかったりします。

右は三脚座を使用してビクセンの「モバイルポルタマウント」に搭載したところ。

対物側のセンター接合部のキャップ(通称「陣笠」)を外すと、UNC1/4のネジ穴が現れ、一般的な双眼鏡用の三脚座を装着することができます。このサイズと倍率の双眼鏡は手持ちで使うことが多いとは思いますが、三脚にしっかり固定して使えばまた違った体験ができることでしょう(*)。

(*)観望会などで同じ対象を複数の人に見せたい場合にも役に立ちます。

実視レビュー

昼間の風景を見る

賞月観星プリンス8×42で、遠くの山に積もった残雪を鑑賞中。ふだんは遠征地に着くのは日没後ですが、この日は明るいうちに着いて風景鑑賞を楽しみました^^

晴天時の昼間の風景を見てみました。各種双眼鏡をとっかえひっかえ覗いてみたのですが、賞月観星プリンスシリーズは中央のシャープさ、周辺全体を含めた像の安定度、コントラストどれをとってもすばらしい見え味です。「覗いていて気持ちよい」感覚は、さすが高級双眼鏡です。

左が視野全体(iPhone6Sで撮影)、右が中心部の拡大(オリンパスE-M5 50mmF6.3 で撮影)。実視ではこの照明はほんの豆粒くらいに小さく見えます。

上の画像は自宅のベランダから、500mmほど離れた看板の照明灯をコリメート撮影したものです。双眼鏡の結像チェックを客観的に行うのはなかなか難しいのですが、普及品との差は上の画像でも明らかです。「EDレンズ」を使用している賞月観星プリンスシリーズでは、すっきりとシャープに結像している(*)のに対して、普及品ではエッジがややぼんやりし、赤と緑の色にじみ(色収差)が出ています。

(*)低倍率の双眼鏡では、天体望遠鏡ほど色収差は問題にならないのですが、それでも倍率が高くなるほど「色にじみ」が気になってきます。「賞月観星プリンス」では、全て対物レンズにはEDレンズが使用されています。

上右の拡大画像は、実視で識別できるレベルを超えた細部まで見えているので、おそらく肉眼での「解像力」という意味ではさほど違いはないでしょう。しかし「すっきり感」は明らかに違います。おそらく、誰が見ても違いを感じると思います。

焦点位置を前後させて撮影した画像の比較。(オリンパスE-M5 50mmF6.3 でコリメート撮影)

もうひとつ、ピント位置がずれたときの像の色づきの差があります。上の画像は中心の合焦位置から前後にほんのわずかピントをずらしたものです。合焦位置でも差はありますが、EDレンズを使用していない双眼鏡(上)では、ピントが少しずれただけでもこのような色づきが発生します。一方で、EDレンズを使用した賞月観星プリンスED8×42では格段に色づきが少なく、合焦位置での像もシャープになっています。

星を見るような場合は視野内すべてピントが合った状態を作れますが、遠い対象と近い対象が重なっている地上風景の場合はそうはいきません。その意味ではEDレンズの効果は、地上風景を観察する場合の方がより大きいかもしれません(*)。



(*)暗所では人間の眼は色の識別能力が低下するため、一等星のような明るい星でない限りは、星空の実視でEDレンズの効果を実感することはかなり困難でしょう。

視野の広さと歪曲収差

RICOH THETA Z1でコリメート撮影。

賞月観星プリンスシリーズでは大型のポロプリズムが使用されているため、UWAシリーズでは77°という非常に広い見かけ視界を確保しています。上の画像は見かけ視界58°の普及型ダハ双眼鏡ですが、視野の広さは歴然。

歪曲収差も違いは歴然です。普及品クラスの双眼鏡では、接眼レンズにコストをかけられないため、このように糸巻き型の歪曲収差が強く出る製品が多いようです(*)。

(*)天体望遠鏡用の広角接眼レンズでは歪曲の補正を重視していない製品が多く、こちらも糸巻き型の歪曲が強く出る場合があります。

RICOH THETA Z1でコリメート撮影。

地上の風景も見る双眼鏡では、歪曲収差補正(周辺でも直線が歪まない)は重要な要素です。上の画像を見てもわかるように(*)、賞月観星プリンスシリーズでは歪曲収差はよく補正されています。特にUWAは見かけ視野が77度と広視界にもかかわらず、かなり優秀だといえるでしょう。

(*)上の画像はリコーの全天カメラTHETA Z1で撮影したものなので、実視ではやや糸巻き型の歪曲があります。ほぼ直線になっているのはカメラ側の歪曲と相殺されているからです。同じ意味で、歪曲を評価するときは、メガネで発生する歪曲も考慮する必要があります。筆者の場合は-10Dの近視なので、こちらもメガネの歪曲と相殺してちょうどいい感じです。

夜景を見る

各種双眼鏡をじっくり比較中^^ 一番明るい星が金星、右下は飯塚市の夜景。

夜景やコンサートの舞台のような、輝度差が激しく全体的に暗い対象をキレイにみるには、明るさがじゅうぶんにあること(瞳径3mm以上、できれば5mm)、マルチコートなどの迷光防止処理がしっかり行われていることが重要です。

その点「賞月観星プリンス」シリーズなら、どちらも十分に合格点で優秀なレベルです。金星や夜景を見てみましたが、目立ったゴースト・フレア、明るい光源の色にじみもなく、とてもスッキリした結像でした。

賞月観星プリンスシリーズなら、スポットライトを浴びた舞台のシャドウ部もコントラスト良く鮮明に見えることでしょう。

同一露出、同一現像条件でのコリメート撮影画像。肉眼での印象にできるだけ近づけてあります。ゴーストの位置は双眼鏡と撮像カメラの光軸条件によっても変わります。オリンパスE-M5 50mmF6.3 ISO200 1秒

普及品のダハ式10×42双眼鏡と、賞月観星プリンスED8×42で、明るい光源の夜景を撮影して比較してみました。ダハ式双眼鏡の宿命として、山形の「ダハ面(*)」の縁が視野を2分しているため、それに起因する光条が明瞭に出てしまいます。一方、ポロ式の双眼鏡では光路上にそのような障害物がなく、よりすっきりとした見え方になります。

(*)90°の合わせ鏡のような左右を反転する働きを持った面。一眼レフカメラのペンタプリズム、天体望遠鏡の正立プリズムもダハプリズムの仲間です。

このような光度差の激しい対象を見る場合、コーティングの差が大きく見え味を左右します。普及品ダハ10×42はプリズム面はシングルコートですが、上の画像をみてもわかるように、大きなゴーストが発生しています。さらに、ゴーストの位置が左右で大きく違っています。これはプリズムの製造・ないしは取付が左右で微妙にずれているためだと推測します(*)。

(*)今回のレビューでは数多くの双眼鏡に対してこのチェックを行いましたが、大なり小なり「左右差」は存在するようです。

星空を見る

賞月観星プリンスUWA7×35で星空観望中。

瞳径5mmの低倍率と広視界が生きるのはなんといっても星見でしょう。賞月観星プリンスを持って見晴らしのいい高台まで星見に出かけてみました。

小さい対象を大きく拡大してみる天体望遠鏡とは違って、双眼鏡は肉眼で見上げる広い星空の感覚をそのまま増幅して辿るのが一番の楽しみだと筆者は考えています。オリオン座の三つ星に双眼鏡を向け、青白い光をより力強く感じ、ぼんやりした大星雲の存在をさらに確かめる。右に左に動かして、赤いベテルギウスの輝きや、無数の天の川の星屑を感じる。そしてあちこちに存在する散開星団を発見する。そんな楽しみ方では、賞月観星プリンスシリーズの広い視界と明るくシャープな星の輝きが最大限生きてきます。

賞月プリンス双眼鏡の実視野。ステラナビゲータ11で作成。

筆者がまだ子供だった頃、倍率8倍クラスの双眼鏡でも実視界は6°もあればいいほうでした。それが今では、オリオン座の三つ星と大星雲もすっぽり余裕で収まる8°〜9°、目の前いっぱいに星空が広がってきます。これは素晴らしい^^

細かく星像をチェックすると、中心部ではピシッと点像が決まり、最周辺では大きく崩れてしまうものの良像範囲は60〜70%と広く、広い見かけ視界を十分に生かしたものといえるでしょう(*)。少なくとも「あら探し」をしない限り星像に不満を感じる部分はありませんでした。

(*)77°の広視界では、最周辺は意識して視点を移動しないと細かな結像具合は認識できません。自然に眼に入る見かけ視界50°前後(半径で60%〜70%の範囲)の結像の良し悪しが使用感の大半を決定します。

見かけ視界77度のUWAシリーズと同65度のEDシリーズの差ですが、星見用途ではやはりより広いUWAの方が気持ちよく見えます。ただし、アイポイントがしっかり決まった場合です。UWAはアイレリーフが13mmと短く、アイポイントが微妙にずれた状態では視野の陰りが現れてしまいます。UWAシリーズを選ぶならメガネ非着用で使用することが前提になるでしょう。

その点、覗きやすいのは明らかにEDシリーズです。アイレリーフが20mmあるのでメガネ着用でも楽勝。雑に覗いても楽にアイポイントを決めることができます。

口径42mmと口径32(35mm)の差はどうでしょうか。夏の銀河を中心に星空を流してみました。

今さらながらまず驚いたのは、夏の銀河の入り組んだ暗黒部が、ほとんど写真のままに見える(*)ことです。西オーストラリアで天頂付近の銀河を見たときは感動したものですが、日本でもそれには及ばないものの、天の川の深淵を覗くことが可能だと再認識しました。これは楽しい^^

(*)この晩はひときわ透明度が高く好条件の空でした。

これも今さらですが、この天の川の濃さは口径とは関係ないことも再確認。むしろより広い範囲が見える口径32(35)mmの方が面白いかもしれません。

しかし、星の輝きは口径差の通りです。さそり座のしっぽにある散開星団M6とM7を、まずプリンスED6.5×32で見て無数の星屑にため息をついたのですが、その後プリンスED8×42で見ると明らかに星の輝きが違います。面積を持った銀河や暗黒星雲は「明るさ(瞳径)」で見え方が決まるのに対して、点像である恒星はやはり口径で見え方が決まるのでしょう。

さて、どっちかを選べといわれると悩みます(*)。輝きの42mmか、安定と広さの32(35)mmか。より倍率の低い32(35)mmの方が、手持ちで見る場合はブレが少なく安定感があるのもさらに悩みを増幅しますね^^

(*)「双眼鏡を一台だけ持つならどれか」という文脈と「2台目の双眼鏡としてどれを選ぶか」でもまた変わってきますね。前者の問いなら、自分ならUWA7×35をチョイスします。いや、ED8×42も捨てがたい・・むむむ。

好条件の空で夏の銀河を観望。ずっと眺めていたくなるような美しさです。

「輝きの42mm」に「安定感」をプラスしたいなら、三脚に固定するという手段もあります。手ぶれがなくなり姿勢も安定しまた別の世界が開けてきます。賞月観星プリンスシリーズは、どれも汎用のカメラ三脚固定用アダプタに対応していますので、三脚と雲台があればわずかな投資で三脚固定が可能です。

しかし、「三脚固定」は言葉の上では簡単ですが、実際快適に使用するには、三脚の高さ・椅子の高さ・双眼鏡の可動方法(雲台)など、いろいろな考慮と工夫が必要になってきます(*)。手持ちが辛いほどの大型機ならともかく、このサイズの双眼鏡は「軽快さ」を重視したいところ。安定して見たいなら三脚よりむしろ「一脚」がよりマッチすることでしょう。

(*)上の画像では三脚の上の自由雲台に載せていますが、双眼鏡の向きを変える動作は正直まったく快適ではありませんでした。「ずっと眺める」のは快適なのですが^^;;; 一番いいのはフリーストップの経緯台かジンバル雲台でしょう。

合焦範囲

どんな双眼鏡についてもいえることですが、強い近視または遠視の人がメガネ非着用で使用したい場合、ピントが出るかどうかに注意が必要です。

「賞月観星プリンス」シリーズは、公称仕様ではいずれも「無限遠視度-4D」「最短3m(UWA8.5×42のみ4m)」となっていますが、-10Dの近視である筆者の場合、プリンスEDはメガネなしでは全くピントが出ませんでしたが、プリンスUWAは右目だけならぎりぎりピントが出ました。右眼の視度調節が公称±4Dですから、2Dほど余裕があることになります。

ただし、あくまで筆者が使用した個体の場合です。将来にわたってその通りかどうかはわかりません。このあたりは購買時によく確認しておくべきでしょう。また、製品仕様もより正確な数字を公表してほしいものです。

どんな人に向いているか

天リフレビュー記事の定番、脳内ユーザーの声です。年齢、コメントは編集部が創作したもので、登場する人物とは全く関係ありません。フリー素材「PAKUTASO」を使用しています。https://www.pakutaso.com

「700g」と引き替えの気持ちよさ

各社製品との比較。中央の4つが賞月観星プリンスシリーズ。ポロ式は一般的に筐体が大きくなりがちですが、賞月観星プリンスでは広い視界を確保するために大きなポロプリズムを使用しているため、さらに大きめです。左上:普及品10×42ダハ、左下:ヒノデB+6×30、右上:ビクセンNEW APEX10×28、右下:ヒノデA+ 5×21

「賞月観星プリンス」シリーズの唯一の弱点は重さと大きさ。口径30mmクラスでも700g強、口径42mmでは800g強あります。同一口径・倍率のダハ式と比べて、一回り大きくて重い筐体です。「この重さは辛いなあ」と思うなら、ダハ式などより軽量な製品を選ぶべきでしょう。

しかし、それと引き換えに得られる気持ちよい見え味と立体感は「賞月観星プリンス」ならでは。大きめの筐体はぶ厚い手袋をしたときなどは逆に持ちやすさにもつながり、低倍率とほどよい重さもあいまって手ぶれしにくいメリットもあります。

ハイアイか広視界か、口径30mmクラスか口径40mmか

4つのバリエーションのどれを選ぶかはシンプルなロジックで決まってきます。アイレリーフが長く(20mm)メガネ使用でも覗きやすいのはハイアイタイプのプリンスED。アイレリーフが若干短く(13.5mm)メガネ使用に制限はありますが、視野が広いのは広視界タイプのプリンスUWAです。

メガネ着用で使用することを前提とするならプリンスEDを、裸眼で使用することを前提とするならプリンスUWAをオススメします(*)。

(*)筆者は-10Dの強度の近視ですが、プリンスEDは裸眼ではピントが全く出ません。プリンスUWAは、右目がぎりぎり出ますが、左は出ません。プリンスUWAのアイレリーフは13.5mmですが、筆者のメガネではぎりぎり視野全体を覗くことができましたが、人によっては周辺が陰ることがあるでしょう。

では、口径は30mmクラスと40mmクラスのどちらを選ぶべきでしょうか。実は、プリンスED6.5×32は重量730g。プリンスED8×42は重量810g。口径ほどに重さは変わりません。口径3cmクラスを「より軽い」という理由で選ぶのは、「賞月観星プリンス」ではあまり適切ではありません(*)。

(*)ただし、倍率が低い分手ぶれしにくく、長時間使っても疲れないと感じました。

むしろ「実視界の広さ」を基準に選ぶのがよいでしょう。より広い範囲を見たいなら口径30mmクラス(プリンスED6.5×32:実視界10°、プリンスED7×35:実視界11°)。より大きく見たいなら口径42mm(プリンスED8×42:実視界8.1°、プリンスUWA8.5×42:実視界9.1°)です。

(2021.4.6追記)

ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー・賞月観星プリンス UF 7×32 WP
https://binocularsreview.hatenablog.com/entry/2021/04/05/224604

今回レビューしたモデルとは異なりますが、同じ賞月観星のポロ式双眼鏡「UF 7×32」のレビューです。深い経験と知見を元に書かれていて非常に参考になります。

取扱ショップ

賞月観星・楽天市場店
https://item.rakuten.co.jp/shogetsukansei/10000013/

賞月観星は、楽天のネットショップでの販売がメインで、実物に触れる機会が少ないのが残念なところなのですが、福岡の天体望遠鏡専門ショップ「天文ハウスTOMITA」でも取り扱われています。

天文ハウスTOMITA
http://www.y-tomita.co.jp/shop.html

【天文ショップ訪問】(1)天文ハウスTOMITA(福岡県)

本記事執筆時点では、新型コロナで各地のリアルの天体望遠鏡ショップは休業中ですが、世の中が早く落ち着いて欲しいものですね!

まとめ

夕焼け。「賞月観星プリンス」で見る、太陽が沈む直前の紅く染まった山の端は最高でした^^(太陽は直視してはいけません!)

いかがでしたか?

より小型化が可能なダハ式双眼鏡と比較して、大ぶりになってしまうポロ式双眼鏡ですが、やはり最大のメリットは同一価格帯ならダハ式よりも良く見えること、そして地上を見るときにダハ式では得られない立体視・立体感です。若干重いのがマイナスですが、この気持ちよく広い視界と見え味はそれを差し引いても十分お釣りがくるでしょう。

今回ご紹介した「賞月観星プリンスシリーズ」のどの製品を選んでも、おそらく一生のパートナーになってくれることでしょう。この値段でこの見え味が手に入るのは画期的。イイ時代になったものですね!


  • 本記事は「賞月観星」より機材貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
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  • 記事中の製品仕様および価格は執筆時(2020年4月)のものです。
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https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2020/04/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-1024x684.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2020/04/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-150x150.jpg編集部レビュー双眼鏡双眼鏡みなさんこんにちは!双眼鏡はお持ちですか?双眼鏡はお好きですか? 一家に一台、双眼鏡。天文ファンもそうでない人も、双眼鏡がひとつ手元にあるだけで、アウトドアライフもインドアライフも、楽しさが20%アップします!(*)。鉄板の「星見」用途から、バードウォッチング・コンサートでの推しメン鑑賞・スポーツ観戦・前線の偵察まで・・・ (*)天リフ独自見解です^^ しかし、限られたおサイフの厚みの中から自分に適した「イイ双眼鏡」を選ぶのは簡単ではありません。そんな貴方のために、今回は「賞月観星プリンス」の4つの双眼鏡をご紹介したいと思います! ポロ式の逆襲・賞月観星プリンス双眼鏡 今回ご紹介する4つの双眼鏡。価格は19,800円〜23,800円。価格的には「エントリクラス(普及品)と高級品の間」ですが、スペック・性能的には「堂々たる高級クラス」です。以下、この双眼鏡の位置づけと特長を解説していきましょう。 賞月観星・プリンスED6.5x32WP&8x42WP http://blog.livedoor.jp/forrest1437/archives/76850170.html 賞月観星プリンス UWA7x35WP&8.5x42WP http://blog.livedoor.jp/forrest1437/archives/81435269.html 「ポロ式」と「ダハ式」 「賞月観星プリンス」はポロ式双眼鏡。双眼鏡には、正立像を得るためのプリズムの構造に大きく分けて「ポロ式」と「ダハ式」の2つの形式があります。最近では小型でコンパクトにできるダハ式が主流になってきていますが、ポロ式にもダハ式にないメリットが大きく2つあります。 構造がシンプルなポロ式 (*)ポロ式は反射面が4面で、原理的には同じ2個のプリズムの組み合わせで実現可能。一方ダハ式は反射面が6面で、異なる複雑な形状のプリズムの組み合わせになります。さらにダハ式はプリズムの「ダハ面」に高い精度が要求され、全反射しない面が1面あり金属蒸着などが必要なこともコスト増になります。右のアッベ・ケーニッヒ式はさらにコストがかかりますが、反射面が全て全反射の4面で光学的にさらに高性能な製品が実現可能です。 ひとつは、プリズムの構造が簡単で高い精度を出しやすく、ダハ式と比較して低価格で良く見える製品を製造できることです。このため同じ値段なら、1ランク上の見え味を実現することができます。高級双眼鏡の見え味をより安い価格で。2万円でこの見え味が実現できるのは、ポロ式ならではなのです。 さらに、賞月観星プリンスシリーズでは、見かけ視界を広く取るためにより大型のポロプリズムが使用されています。ポロ式でコストを下げた分をより大きなプリズムに投資するという考え方(*)といえるでしょう。 (*)クルマ雑誌のレビュー記事風に表現すれば「より大型のポロプリズムが奢られている」というところでしょうか^^ ポロ式の「立体感」 もうひとつは、対物レンズの間隔がダハ式よりも長くなるため(*)、より対象をより立体的に見ることができることです。人間の眼は、右と左の眼の「視差」によって遠近(立体感)を感じることができますが、プリズムの存在によって左右の眼の間の距離が長くなったのと同じ効果があるのです。 無限に遠い対象である天体の場合この差は全く出てきませんが、地上を観察する場合、この差は実はかなり効いてきます。満開の桜の枝に止まるメジロ、コンサート会場で躍動する推しメン、アスリートの筋肉と汗。「立体感」と臨場感ある映像はポロ式ならではのものといえます(*)。 (*)上記2つの双眼鏡の場合、ダハ式では筆者の眼幅と同じ66mmでしたがポロ式では122mmと倍近くありました(実測値)。逆に小型のポロ双眼鏡で採用されている「逆ポロ式」ではより立体感が少なくなります。 ぶれない、明るい「低倍率」「広視界」 「賞月観星プリンス」は、いずれも星見に最適な瞳径5mm前後の「低倍率」仕様。口径3cmクラスなら6倍前後、4cmクラスなら8倍前後です。特筆すべきは広い見かけ視界。プリンスEDシリーズで65°、プリンスUWAシリーズはさらに広い77度です。プリンスUWA7×35では実視界はなんと11°もあります。 天リフの読者の皆様には、星見用双眼鏡ではこのくらい(瞳径5〜7mm)の低倍率が最適であることは、今さらいうまでもありませんよね。背景がほどよく締まった暗さになり、手ぶれしにくく、実視界の広い低倍率双眼鏡は最高の星見ツールです。 付け加えて、この倍率の双眼鏡は、夕焼けから薄暮までの風景や、スポットライトで照らされたコンサート会場のような場合でも、大いに気持ちのよい体験をもたらすことを付け加えておきます。じゅうぶんな光量のある昼間の用途なら、瞳径3mm(口径3cmクラスなら8倍前後)でより機材を小型軽量化するのも一つの戦略ですが、暗い場所では「明るさ」の差は倍率以上に効いてきます。よりオールラウンドな気持ちよさを求めるなら、瞳径5mmがオススメです。 やるべきことを全部やった「高級仕様」 「賞月観星プリンス」は、どれも「気持ちよく見える、ワンランク上のいい双眼鏡」。「低反射率の全面マルチコーティング(最終的な透過率94%)」「視野の隅まで全反射するBaK4プリズム」「広視野(65度以上)・ハイアイポイント(13mm以上)の接眼レンズ」「コバの黒塗り」「ED硝材を使用した対物レンズ」「窒素充填による防水構造(*)」など、高級双眼鏡に求められるスペックは基本的に全てクリアしています。 (*)JIS規格でいうところのどのレベルかの記述はありませんが、短時間(数分以下)・低水深(1m程度)の水没には耐えるレベルであるとのことです。 これらの要件を全て満たした上で、価格は2万円前後と破格。1ランク上の双眼鏡が値ごろな値段で手に入ります。これもポロ式だから実現できたことといえるでしょう。 外観レビュー パッケージ 商品パッケージには、本体に加えてケース・本体とケース用の各ストラップ・レンズ用クロス・前後キャップが付属します。 ケースは内側は柔らかな起毛のある布で裏打ちされています。ストラップとともに、上質なものです。 外装 ボディは堅牢なマグネシウム合金で安っぽさは全くありません。手が触れる部分は硬質な樹脂で覆われています。このへんは好みもありますが、表面の仕上げも良好。外装も高級グレードといってよいでしょう。 対物側のキャップはよくある鏡胴にリングで止めておく方式。使用時にはブラブラしますが(*)、なくす心配がありません。接眼側のキャップはこれもよくある「左右ニコイチ」の一体型。 (*)低温下ではゴムが硬化してキャップが垂れ下がってくれずレンズを隠してしまい、使いにくいという面もあります。 コーティング 高級クラスの双眼鏡で最も重要なスペックの一つがコーティングです。ポロ式双眼鏡の場合、最低でも反射面が10面あります(*)。対物側が「分離型」で接眼レンズが4群構成になると実に16面。反射率1%のマルチコートの場合、最終的な透過率はぞれぞれ89%、85%にまで下がってしまいます(**)。 (*)対物レンズが1群、ポロプリズムが2群、接眼レンズが2群、計5群、1群あたり2面の反射面。 (**)他にガラス内での光の吸収による損失がありますが、こちらはほぼ無視できるオーダーです。 にもかかわらず、賞月観星プリンスシリーズの透過率は公称94%。8群構成(*)なら1面当たり平均0.4%の反射率のコーティング(*)が施されていることになります。 (*)UWAシリーズは接眼レンズが4群5枚なので全体で8群、プリンスEDシリーズは接眼レンズが3群5枚で全体で7群になります。 (**)最新の技術を駆使すれば平均0.1%も可能ではありますが(その場合8群で透過率98.6%)、ここから先はコストとの兼ね合いです。ちなみに透過率1.5%のシングルコートで7群構成の場合、透過率は78%になります。双眼鏡の「明るい」という評価の大半は、コーティングの差によるものです。 普及クラス(実売4000円強)の双眼鏡と比較してみました。比較対象の双眼鏡は非常にコスパの高い良い双眼鏡ですが、さすがにマルチコートは全面ではありません。緑色のマルチコートの反射率も賞月観星プリンスよりやや高めに見えます。 賞月観星プリンスの特徴の一つが、赤色(マゼンタ)の「サクラコーティング」です。人間の眼は緑色の感度が一番高いため、緑の反射を最も抑えたマゼンタ・ブルーのコーティングを施すのには理も利もあります(*)。 (*)写真用の場合は色かぶりともからんでくるので一概にはいえないとは思いますが、眼視でしか使用しない双眼鏡なら大いに合理性があります。ただし、全体としてカラーバランスがニュートラルである前提です。 内面反射防止処理 双眼鏡を空に向けて、内面反射の状態を確認してみました。プリズム内での反射がわずかに存在しますが、高級双眼鏡としてもじゅうぶんに合格範囲です(*)。高級双眼鏡の定番として、プリズムに高屈折率の硝材「BaK4(**)」が使用されているので、四角いカゲリは見られません(**)。 (*)細かくいうと完璧ではないのですが、完全な漆黒に丸い円だけが見える双眼鏡は、筆者の経験ではニコンのWXくらいのものです。 (**)普及品の双眼鏡ではBK7がよく使用されますが、この場合は視野の周辺では全反射にならないため、正面から見ても正方形のカゲリが出てきます。BaK4を使用しても、ぎりぎり斜めからみると、ほんのわずかカゲリがでますが、これはほぼ問題にならない量です。 対物側のレンズの縁には「コバ塗り」が施されています。レンズのコバ塗りはコストのかかる作業なので普及品では省略されることが多いのですが、高級品ではほぼマストの仕様といえます。ちなみに、対物レンズはEDレンズを使用した「空気分離型」です。空気分離型では、レンズの曲率の設計自由度が上がるため、収差補正に有利に働きます(*)。 (*)逆にシングルコートの普及品の場合は、貼り合わせ型にすると反射面を減らせるため、光量的には有利に働きます。 使い勝手 ピント合わせは中央繰り出し式。動作はスムーズで、全く問題はありません。リングの幅が大きく、回しやすい構造。 ただし、右眼側の視度調整リングは少しクセがあります。上の画像のように二箇所の突起を指で回すのですが、片側だけを指で押しても固くて回すことができない場合があります。慣れてしまえばなんということはないのですが、要注意です。 接眼部のリングを回してアイポイントを調整することができます(*)。メガネ使用時には引っ込めた状態で、裸眼のときは繰り出して使用します。一応3段階?のクリックストップになっているようなのですが、あまりクリック感は明確ではなく、手加減だけでなく実際に覗いて最適な場所に合わせた方がよいでしょう。 (*)普及品ではゴム見口を折りたたんで調整するタイプのものもありますが、寒冷地では固くて折り曲げられなかったり、微調整ができなかったりします。 対物側のセンター接合部のキャップ(通称「陣笠」)を外すと、UNC1/4のネジ穴が現れ、一般的な双眼鏡用の三脚座を装着することができます。このサイズと倍率の双眼鏡は手持ちで使うことが多いとは思いますが、三脚にしっかり固定して使えばまた違った体験ができることでしょう(*)。 (*)観望会などで同じ対象を複数の人に見せたい場合にも役に立ちます。 実視レビュー 昼間の風景を見る 晴天時の昼間の風景を見てみました。各種双眼鏡をとっかえひっかえ覗いてみたのですが、賞月観星プリンスシリーズは中央のシャープさ、周辺全体を含めた像の安定度、コントラストどれをとってもすばらしい見え味です。「覗いていて気持ちよい」感覚は、さすが高級双眼鏡です。 上の画像は自宅のベランダから、500mmほど離れた看板の照明灯をコリメート撮影したものです。双眼鏡の結像チェックを客観的に行うのはなかなか難しいのですが、普及品との差は上の画像でも明らかです。「EDレンズ」を使用している賞月観星プリンスシリーズでは、すっきりとシャープに結像している(*)のに対して、普及品ではエッジがややぼんやりし、赤と緑の色にじみ(色収差)が出ています。 (*)低倍率の双眼鏡では、天体望遠鏡ほど色収差は問題にならないのですが、それでも倍率が高くなるほど「色にじみ」が気になってきます。「賞月観星プリンス」では、全て対物レンズにはEDレンズが使用されています。 上右の拡大画像は、実視で識別できるレベルを超えた細部まで見えているので、おそらく肉眼での「解像力」という意味ではさほど違いはないでしょう。しかし「すっきり感」は明らかに違います。おそらく、誰が見ても違いを感じると思います。 もうひとつ、ピント位置がずれたときの像の色づきの差があります。上の画像は中心の合焦位置から前後にほんのわずかピントをずらしたものです。合焦位置でも差はありますが、EDレンズを使用していない双眼鏡(上)では、ピントが少しずれただけでもこのような色づきが発生します。一方で、EDレンズを使用した賞月観星プリンスED8×42では格段に色づきが少なく、合焦位置での像もシャープになっています。 星を見るような場合は視野内すべてピントが合った状態を作れますが、遠い対象と近い対象が重なっている地上風景の場合はそうはいきません。その意味ではEDレンズの効果は、地上風景を観察する場合の方がより大きいかもしれません(*)。 (*)暗所では人間の眼は色の識別能力が低下するため、一等星のような明るい星でない限りは、星空の実視でEDレンズの効果を実感することはかなり困難でしょう。 視野の広さと歪曲収差 賞月観星プリンスシリーズでは大型のポロプリズムが使用されているため、UWAシリーズでは77°という非常に広い見かけ視界を確保しています。上の画像は見かけ視界58°の普及型ダハ双眼鏡ですが、視野の広さは歴然。 歪曲収差も違いは歴然です。普及品クラスの双眼鏡では、接眼レンズにコストをかけられないため、このように糸巻き型の歪曲収差が強く出る製品が多いようです(*)。 (*)天体望遠鏡用の広角接眼レンズでは歪曲の補正を重視していない製品が多く、こちらも糸巻き型の歪曲が強く出る場合があります。 地上の風景も見る双眼鏡では、歪曲収差補正(周辺でも直線が歪まない)は重要な要素です。上の画像を見てもわかるように(*)、賞月観星プリンスシリーズでは歪曲収差はよく補正されています。特にUWAは見かけ視野が77度と広視界にもかかわらず、かなり優秀だといえるでしょう。 (*)上の画像はリコーの全天カメラTHETA Z1で撮影したものなので、実視ではやや糸巻き型の歪曲があります。ほぼ直線になっているのはカメラ側の歪曲と相殺されているからです。同じ意味で、歪曲を評価するときは、メガネで発生する歪曲も考慮する必要があります。筆者の場合は-10Dの近視なので、こちらもメガネの歪曲と相殺してちょうどいい感じです。 夜景を見る 夜景やコンサートの舞台のような、輝度差が激しく全体的に暗い対象をキレイにみるには、明るさがじゅうぶんにあること(瞳径3mm以上、できれば5mm)、マルチコートなどの迷光防止処理がしっかり行われていることが重要です。 その点「賞月観星プリンス」シリーズなら、どちらも十分に合格点で優秀なレベルです。金星や夜景を見てみましたが、目立ったゴースト・フレア、明るい光源の色にじみもなく、とてもスッキリした結像でした。 賞月観星プリンスシリーズなら、スポットライトを浴びた舞台のシャドウ部もコントラスト良く鮮明に見えることでしょう。 普及品のダハ式10×42双眼鏡と、賞月観星プリンスED8×42で、明るい光源の夜景を撮影して比較してみました。ダハ式双眼鏡の宿命として、山形の「ダハ面(*)」の縁が視野を2分しているため、それに起因する光条が明瞭に出てしまいます。一方、ポロ式の双眼鏡では光路上にそのような障害物がなく、よりすっきりとした見え方になります。 (*)90°の合わせ鏡のような左右を反転する働きを持った面。一眼レフカメラのペンタプリズム、天体望遠鏡の正立プリズムもダハプリズムの仲間です。 このような光度差の激しい対象を見る場合、コーティングの差が大きく見え味を左右します。普及品ダハ10×42はプリズム面はシングルコートですが、上の画像をみてもわかるように、大きなゴーストが発生しています。さらに、ゴーストの位置が左右で大きく違っています。これはプリズムの製造・ないしは取付が左右で微妙にずれているためだと推測します(*)。 (*)今回のレビューでは数多くの双眼鏡に対してこのチェックを行いましたが、大なり小なり「左右差」は存在するようです。 星空を見る 瞳径5mmの低倍率と広視界が生きるのはなんといっても星見でしょう。賞月観星プリンスを持って見晴らしのいい高台まで星見に出かけてみました。 小さい対象を大きく拡大してみる天体望遠鏡とは違って、双眼鏡は肉眼で見上げる広い星空の感覚をそのまま増幅して辿るのが一番の楽しみだと筆者は考えています。オリオン座の三つ星に双眼鏡を向け、青白い光をより力強く感じ、ぼんやりした大星雲の存在をさらに確かめる。右に左に動かして、赤いベテルギウスの輝きや、無数の天の川の星屑を感じる。そしてあちこちに存在する散開星団を発見する。そんな楽しみ方では、賞月観星プリンスシリーズの広い視界と明るくシャープな星の輝きが最大限生きてきます。 筆者がまだ子供だった頃、倍率8倍クラスの双眼鏡でも実視界は6°もあればいいほうでした。それが今では、オリオン座の三つ星と大星雲もすっぽり余裕で収まる8°〜9°、目の前いっぱいに星空が広がってきます。これは素晴らしい^^ 細かく星像をチェックすると、中心部ではピシッと点像が決まり、最周辺では大きく崩れてしまうものの良像範囲は60〜70%と広く、広い見かけ視界を十分に生かしたものといえるでしょう(*)。少なくとも「あら探し」をしない限り星像に不満を感じる部分はありませんでした。 (*)77°の広視界では、最周辺は意識して視点を移動しないと細かな結像具合は認識できません。自然に眼に入る見かけ視界50°前後(半径で60%〜70%の範囲)の結像の良し悪しが使用感の大半を決定します。 見かけ視界77度のUWAシリーズと同65度のEDシリーズの差ですが、星見用途ではやはりより広いUWAの方が気持ちよく見えます。ただし、アイポイントがしっかり決まった場合です。UWAはアイレリーフが13mmと短く、アイポイントが微妙にずれた状態では視野の陰りが現れてしまいます。UWAシリーズを選ぶならメガネ非着用で使用することが前提になるでしょう。 その点、覗きやすいのは明らかにEDシリーズです。アイレリーフが20mmあるのでメガネ着用でも楽勝。雑に覗いても楽にアイポイントを決めることができます。 口径42mmと口径32(35mm)の差はどうでしょうか。夏の銀河を中心に星空を流してみました。 今さらながらまず驚いたのは、夏の銀河の入り組んだ暗黒部が、ほとんど写真のままに見える(*)ことです。西オーストラリアで天頂付近の銀河を見たときは感動したものですが、日本でもそれには及ばないものの、天の川の深淵を覗くことが可能だと再認識しました。これは楽しい^^ (*)この晩はひときわ透明度が高く好条件の空でした。 これも今さらですが、この天の川の濃さは口径とは関係ないことも再確認。むしろより広い範囲が見える口径32(35)mmの方が面白いかもしれません。 しかし、星の輝きは口径差の通りです。さそり座のしっぽにある散開星団M6とM7を、まずプリンスED6.5×32で見て無数の星屑にため息をついたのですが、その後プリンスED8×42で見ると明らかに星の輝きが違います。面積を持った銀河や暗黒星雲は「明るさ(瞳径)」で見え方が決まるのに対して、点像である恒星はやはり口径で見え方が決まるのでしょう。 さて、どっちかを選べといわれると悩みます(*)。輝きの42mmか、安定と広さの32(35)mmか。より倍率の低い32(35)mmの方が、手持ちで見る場合はブレが少なく安定感があるのもさらに悩みを増幅しますね^^ (*)「双眼鏡を一台だけ持つならどれか」という文脈と「2台目の双眼鏡としてどれを選ぶか」でもまた変わってきますね。前者の問いなら、自分ならUWA7×35をチョイスします。いや、ED8×42も捨てがたい・・むむむ。 「輝きの42mm」に「安定感」をプラスしたいなら、三脚に固定するという手段もあります。手ぶれがなくなり姿勢も安定しまた別の世界が開けてきます。賞月観星プリンスシリーズは、どれも汎用のカメラ三脚固定用アダプタに対応していますので、三脚と雲台があればわずかな投資で三脚固定が可能です。 しかし、「三脚固定」は言葉の上では簡単ですが、実際快適に使用するには、三脚の高さ・椅子の高さ・双眼鏡の可動方法(雲台)など、いろいろな考慮と工夫が必要になってきます(*)。手持ちが辛いほどの大型機ならともかく、このサイズの双眼鏡は「軽快さ」を重視したいところ。安定して見たいなら三脚よりむしろ「一脚」がよりマッチすることでしょう。 (*)上の画像では三脚の上の自由雲台に載せていますが、双眼鏡の向きを変える動作は正直まったく快適ではありませんでした。「ずっと眺める」のは快適なのですが^^;;; 一番いいのはフリーストップの経緯台かジンバル雲台でしょう。 合焦範囲 どんな双眼鏡についてもいえることですが、強い近視または遠視の人がメガネ非着用で使用したい場合、ピントが出るかどうかに注意が必要です。 「賞月観星プリンス」シリーズは、公称仕様ではいずれも「無限遠視度-4D」「最短3m(UWA8.5×42のみ4m)」となっていますが、-10Dの近視である筆者の場合、プリンスEDはメガネなしでは全くピントが出ませんでしたが、プリンスUWAは右目だけならぎりぎりピントが出ました。右眼の視度調節が公称±4Dですから、2Dほど余裕があることになります。 ただし、あくまで筆者が使用した個体の場合です。将来にわたってその通りかどうかはわかりません。このあたりは購買時によく確認しておくべきでしょう。また、製品仕様もより正確な数字を公表してほしいものです。 どんな人に向いているか 「700g」と引き替えの気持ちよさ 「賞月観星プリンス」シリーズの唯一の弱点は重さと大きさ。口径30mmクラスでも700g強、口径42mmでは800g強あります。同一口径・倍率のダハ式と比べて、一回り大きくて重い筐体です。「この重さは辛いなあ」と思うなら、ダハ式などより軽量な製品を選ぶべきでしょう。 しかし、それと引き換えに得られる気持ちよい見え味と立体感は「賞月観星プリンス」ならでは。大きめの筐体はぶ厚い手袋をしたときなどは逆に持ちやすさにもつながり、低倍率とほどよい重さもあいまって手ぶれしにくいメリットもあります。 ハイアイか広視界か、口径30mmクラスか口径40mmか 4つのバリエーションのどれを選ぶかはシンプルなロジックで決まってきます。アイレリーフが長く(20mm)メガネ使用でも覗きやすいのはハイアイタイプのプリンスED。アイレリーフが若干短く(13.5mm)メガネ使用に制限はありますが、視野が広いのは広視界タイプのプリンスUWAです。 メガネ着用で使用することを前提とするならプリンスEDを、裸眼で使用することを前提とするならプリンスUWAをオススメします(*)。 (*)筆者は-10Dの強度の近視ですが、プリンスEDは裸眼ではピントが全く出ません。プリンスUWAは、右目がぎりぎり出ますが、左は出ません。プリンスUWAのアイレリーフは13.5mmですが、筆者のメガネではぎりぎり視野全体を覗くことができましたが、人によっては周辺が陰ることがあるでしょう。 では、口径は30mmクラスと40mmクラスのどちらを選ぶべきでしょうか。実は、プリンスED6.5×32は重量730g。プリンスED8×42は重量810g。口径ほどに重さは変わりません。口径3cmクラスを「より軽い」という理由で選ぶのは、「賞月観星プリンス」ではあまり適切ではありません(*)。 (*)ただし、倍率が低い分手ぶれしにくく、長時間使っても疲れないと感じました。 むしろ「実視界の広さ」を基準に選ぶのがよいでしょう。より広い範囲を見たいなら口径30mmクラス(プリンスED6.5×32:実視界10°、プリンスED7×35:実視界11°)。より大きく見たいなら口径42mm(プリンスED8×42:実視界8.1°、プリンスUWA8.5×42:実視界9.1°)です。 (2021.4.6追記) ジャングルさんの双眼鏡・単眼鏡レビュー・賞月観星プリンス UF 7x32 WP https://binocularsreview.hatenablog.com/entry/2021/04/05/224604 今回レビューしたモデルとは異なりますが、同じ賞月観星のポロ式双眼鏡「UF 7×32」のレビューです。深い経験と知見を元に書かれていて非常に参考になります。 取扱ショップ 賞月観星・楽天市場店 https://item.rakuten.co.jp/shogetsukansei/10000013/ 賞月観星は、楽天のネットショップでの販売がメインで、実物に触れる機会が少ないのが残念なところなのですが、福岡の天体望遠鏡専門ショップ「天文ハウスTOMITA」でも取り扱われています。 天文ハウスTOMITA http://www.y-tomita.co.jp/shop.html https://reflexions.jp/tenref/orig/2017/11/12/2650/ 本記事執筆時点では、新型コロナで各地のリアルの天体望遠鏡ショップは休業中ですが、世の中が早く落ち着いて欲しいものですね! まとめ いかがでしたか? より小型化が可能なダハ式双眼鏡と比較して、大ぶりになってしまうポロ式双眼鏡ですが、やはり最大のメリットは同一価格帯ならダハ式よりも良く見えること、そして地上を見るときにダハ式では得られない立体視・立体感です。若干重いのがマイナスですが、この気持ちよく広い視界と見え味はそれを差し引いても十分お釣りがくるでしょう。 今回ご紹介した「賞月観星プリンスシリーズ」のどの製品を選んでも、おそらく一生のパートナーになってくれることでしょう。この値段でこの見え味が手に入るのは画期的。イイ時代になったものですね! 本記事は「賞月観星」より機材貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。 記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。 製品の購入およびお問い合わせはメーカー様・販売店様にお願いいたします。 本記事によって読者様に発生した事象については、その一切について編集部では責任を取りかねますことをご了承下さい。 特に注記のない画像は編集部で撮影したものです。 記事中の製品仕様および価格は執筆時(2020年4月)のものです。 記事中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。編集部発信のオリジナルコンテンツ