ここ数日、「美しい星空」というキーワードでいくつかのニュース記事が出ていました。

毎日新聞
「星空見やすさ」全国ランク作成へ 光害減少狙い

 og:imgリンク
山形・秋田県境の鳥海山で2016年8月、佐藤伸撮影

屋外照明など人工の光が夜空を照らすことで生じる「光害」を減らそうと、環境省は近く、同一条件で撮影したデジタルカメラの画像を使って「星空の見やすさ」をランク分けする全国統一の指標作りを始める。各地の夜空がどの程度暗く保たれているかを客観的な指標で評価し、自治体の光害対策などに役立てる狙いがある。

環境省が、「星空の見やすさをランク分けする全国統一の指標作り」を、専門家を交えて今秋までに行うそうです。

担当者の弁は「各自治体が光害対策に取り組むきっかけになれば。星空の美しさを観光の売りにしている自治体は客観的なPR材料として役立ててほしい」とのこと。



いま初めて聞くと、おお、素晴らしい試みが始まった!のように見えますが、類似の取組は昭和末期からあったそう。

星空公団【プレスリリース】
全国星空継続観察の休止に伴う暫定調査結果について
星空公団では、環境省が25年間にわたって続けてきた全国星空継続観察が休止となることから、その代わりとなる星空公団独自の暫定調査を実施いたしました。これは、これまで25年間連続してきた夜空の明るさのデータがいったん途切れることを防ぎ、継続的なデータの蓄積につなげていくための試みとして、全国のみなさまにデータ提供の協力を呼びかけ、実施したものです。

2015年10月、「星空公団」のプレスリリース。
「全国星空継続観察」は環境省が実施してきた事業なのですが、事業仕分けのため予算がカットされ、平成25年で一度終了したとのこと。その一部を今後星空公団が引き継いでいく、という旨のリリースです。

HPによると、「星空公団」は2007年に設立された団体で、観望会の主催や夜空の明るさの調査研究、夜空の明るさを測定するための機器やソフトウェアの開発を行っているとのこと。

不勉強ながら編集子はこの団体の存在を知りませんでした。
代表や所在地を特に定めず、ユニークな運営をされているようです。

星空公団による「デジカメ星空診断」の測定結果はこちら。
https://dcdock.kodan.jp/map.html



 産経West
「星取県」を推進へ 鳥取県知事、星空保全条例制定を表明
鳥取県の平井伸治知事は18日の定例記者会見で、県の美しい夜空をPRして観光振興などを図る「星取県」の事業に関連し、光の害を防止する星空保全条例の制定に向けて検討を始める考えを示した。

「星取県」の愛称で鳥取県のPRを進めている鳥取商工会議所青年部が、制定を提言。環境省の調査で何回も星空の美しさ全国一になった県の夜空を保全し、観光などの地域振興につなげることを目的にする。

環境省の調査で過去何度も「星空の美しさ日本一」になった鳥取県。その財産を「星取県」の愛称で、さまざまな地域振興につなげようという試みは、最近時折ネットでもみかけるようになりました。

この動きが、いよいよ知事の定例会見で具体的に語られ、条例案制定の検討まで進んでいるようです。

参考リンク)
鳥取県HP 知事定例記者会見(2017年5月18日)
星取県推進に向けて
http://www.pref.tottori.lg.jp/266159.htm#6


いかがでしたか?

掘り下げの浅いまとめになりましたが、「星空を守る」という活動が、「自然保護」という観点から、観光資源のような地方の魅力の一つとしてとらえる方向に変わってきたのかもしれません。

事業の建て付けの変遷はともかく、「美しい星空」が持つ価値とそれをいたずらに損なわない意義について、認識が広まってきたのは喜ばしいことです。

参考リンク)
毎日新聞 今どきサイエンス
LEDが招く「光害」=鴨志田公男
http://mainichi.jp/articles/20160728/ddm/016/070/010000c

天文リフレクションズ」では、天文ファンにはおなじみの「光害マップ」のようなツールなど、「どこからどのくらい星が見えるのか」という情報を今後整理してお伝えできればと考えています。 編集部天文コラムここ数日、「美しい星空」というキーワードでいくつかのニュース記事が出ていました。 毎日新聞 「星空見やすさ」全国ランク作成へ 光害減少狙い  og:imgリンク 山形・秋田県境の鳥海山で2016年8月、佐藤伸撮影 屋外照明など人工の光が夜空を照らすことで生じる「光害」を減らそうと、環境省は近く、同一条件で撮影したデジタルカメラの画像を使って「星空の見やすさ」をランク分けする全国統一の指標作りを始める。各地の夜空がどの程度暗く保たれているかを客観的な指標で評価し、自治体の光害対策などに役立てる狙いがある。 環境省が、「星空の見やすさをランク分けする全国統一の指標作り」を、専門家を交えて今秋までに行うそうです。 担当者の弁は「各自治体が光害対策に取り組むきっかけになれば。星空の美しさを観光の売りにしている自治体は客観的なPR材料として役立ててほしい」とのこと。 いま初めて聞くと、おお、素晴らしい試みが始まった!のように見えますが、類似の取組は昭和末期からあったそう。 星空公団【プレスリリース】 全国星空継続観察の休止に伴う暫定調査結果について 星空公団では、環境省が25年間にわたって続けてきた全国星空継続観察が休止となることから、その代わりとなる星空公団独自の暫定調査を実施いたしました。これは、これまで25年間連続してきた夜空の明るさのデータがいったん途切れることを防ぎ、継続的なデータの蓄積につなげていくための試みとして、全国のみなさまにデータ提供の協力を呼びかけ、実施したものです。 2015年10月、「星空公団」のプレスリリース。 「全国星空継続観察」は環境省が実施してきた事業なのですが、事業仕分けのため予算がカットされ、平成25年で一度終了したとのこと。その一部を今後星空公団が引き継いでいく、という旨のリリースです。 HPによると、「星空公団」は2007年に設立された団体で、観望会の主催や夜空の明るさの調査研究、夜空の明るさを測定するための機器やソフトウェアの開発を行っているとのこと。 不勉強ながら編集子はこの団体の存在を知りませんでした。 代表や所在地を特に定めず、ユニークな運営をされているようです。 星空公団による「デジカメ星空診断」の測定結果はこちら。 https://dcdock.kodan.jp/map.html  産経West 「星取県」を推進へ 鳥取県知事、星空保全条例制定を表明 鳥取県の平井伸治知事は18日の定例記者会見で、県の美しい夜空をPRして観光振興などを図る「星取県」の事業に関連し、光の害を防止する星空保全条例の制定に向けて検討を始める考えを示した。 「星取県」の愛称で鳥取県のPRを進めている鳥取商工会議所青年部が、制定を提言。環境省の調査で何回も星空の美しさ全国一になった県の夜空を保全し、観光などの地域振興につなげることを目的にする。 環境省の調査で過去何度も「星空の美しさ日本一」になった鳥取県。その財産を「星取県」の愛称で、さまざまな地域振興につなげようという試みは、最近時折ネットでもみかけるようになりました。 この動きが、いよいよ知事の定例会見で具体的に語られ、条例案制定の検討まで進んでいるようです。 参考リンク) 鳥取県HP 知事定例記者会見(2017年5月18日) 星取県推進に向けて http://www.pref.tottori.lg.jp/266159.htm#6 いかがでしたか? 掘り下げの浅いまとめになりましたが、「星空を守る」という活動が、「自然保護」という観点から、観光資源のような地方の魅力の一つとしてとらえる方向に変わってきたのかもしれません。 事業の建て付けの変遷はともかく、「美しい星空」が持つ価値とそれをいたずらに損なわない意義について、認識が広まってきたのは喜ばしいことです。 参考リンク) 毎日新聞 今どきサイエンス LEDが招く「光害」=鴨志田公男 http://mainichi.jp/articles/20160728/ddm/016/070/010000c 「天文リフレクションズ」では、天文ファンにはおなじみの「光害マップ」のようなツールなど、「どこからどのくらい星が見えるのか」という情報を今後整理してお伝えできればと考えています。編集部発信のオリジナルコンテンツ