天リフ眼視推進委員会がお送りする「アイピース探訪」シリーズ。第2回は「北軽井沢観測所」製のLavendura(ラベンデュラ)シリーズです。

特徴と設計コンセプト

視野を狭くする代わりに、他の全てを完璧に

Lavenduraの設計コンセプトはとてもシンプル。一言でいえば「視野を広くしない代わりに、他の全てを完璧にする」の一点です。

アイピースの広視野化はめざましく、最近では80度は当たり前、110度という製品まであるくらいです。その反面、広視野化を実現するためにはレンズ枚数は必然的に多くなり、設計の「妥協」の仕方によっては周辺像がそれなりに悪化する製品も見られます。

そこで発想の転換。

  • 広視野の周辺が流れるのが問題なら、視野を狭いままにすればいい。
  • その代わり、視野の中は徹底的に収差を補正し気持ちのよい像にしよう。

これがLavenduraなのです。

プローセル型を改良・Lavenduraのアプローチ

http://www.starcloud.jp/ Lavendura商品ページより

Lavenduraの設計の基本は「プローセル型」アイピース。これは次回ご紹介する予定の同じ北軽井沢観測所の手によるRPL(リアルプローセル)アイピース同様と同じ。プローセル型は全く同じ構造のレンズを反対向きに向き合わせたものですが(*)、レンズ間に距離がある関係で収差が残ってしまいます。

(*)一般に対称型のレンズは前群と後群で反対方向の収差が発生するためそれぞれが打ち消し合うのですが、実際には前群と後群の間に距離があるため収差量は厳密には同じにならず、ある程度の収差が残ることになります。

RPLの場合は2群2枚のレンズ構成の完全対称の縛りをはずして結像性能の改良を図っているのに対して、Lavenduraではアイレンズ側に「対称構成であるが故に残存してしまう収差」を補正する第3群を配置することで性能の改良を図っています。

 

ラインナップ

スタークラウド・Lavendura ラベンデュラアイピース
http://www.starcloud.jp/SHOP/1006668/1006669/list.html

Lavenduraのラインナップは全4本。焦点距離の短い30mm,40mmが25,000円、50mmと63mmが32,500円となっています。(いずれも税抜価格)

特筆すべきは、50mm、63mmという他にはあまり見ない長焦点をカバーしていることと、30mm・40mmがともに1.25インチスリーブであること。細身のスリーブは双眼対応も容易になります。

実視レビュー

Lavenduraを使用して、主にセレストロンC8シュミカセ、FSQ106ED、FOT85を使用して、ディープスカイを中心に様々な天体を見てみました。一言でいうと、Lavenduraの体験は他の高性能アイピースを使用した経験とはかなり異質の、素晴らしい世界でした。

「小さなのぞき窓」から見上げる宇宙の姿

Lavenduraの見かけ視野は42度〜45度。最近の広視野アイピースに慣れている感覚からすると、はっきりいって狭いです。星は視野いっぱいには広がりません。「小さなのぞき窓」を通して見る感覚です。

M101回転花火星雲をLavenduraで見た印象を誇張して画像にしてみました。左は視野が広いが周辺像が悪い場合。右は視野は狭いが全面が良像の場合です。

しかし、その「のぞき窓」に見える星はすべてがほぼ完璧に近い像。像面湾曲もコマ収差も非点収差もほぼ感じられず、見えている星は全てキラキラと、針で突いたように輝いているのです。

100度アイピースで見る世界を巨大な壁画の前に立つ体験とするならば、Lavenduraの世界は柔らかなスポットライトに当たった小さな名作を見るような体験、とでもいいましょうか。

狭い視野だからこそ実現する体験

「視野は広ければ広いほどいい」のは真実なのか。Lavenduraに触れて以来、疑問を持つようになりました。では、狭い視野の良さとは何か。それは「一つの対象に神経を集中する場合」です。

C8に2.5のバローを付けてLavenduraの40mmの125倍でM51を見た時にそれを感じました。42度の小さな丸い視野の中にぽっかりと浮かび上がるM51。視野の外は完全に暗黒。この「視野外の暗黒の広さ」がより対象に対する神経を研ぎ澄ますのです。

一方、ほぼ同じ100度アイピースのイーソス17mmに換装して見ると、こちらは視野一杯に星が広がり、その中にM51が浮かんでいます。これもまた素晴らしい体験なのですが、眼が受ける背景の空の光量がはるかに大きくなるせいなのか、M51そのものの存在感とディテールは薄まってしまうような気がしました。

この感覚の受け止め方は個人差が大きいでしょう。星祭りや観望会などでLavenduraを見る機会があれば、ぜひそれを一度体験してみてほしいと思います。

歪曲収差

Lavenduraの視野の狭さが逆にメリットとなる点に、ほかには歪曲収差の完全補正があります。ここでいう歪曲は「直線がゆがまずに直線として見えるかどうか」の意味です。

http://www.starcloud.jp/ Lavendura商品ページより

追記2018/7/28)歪曲収差の比較画像を編集部でも実写したので追加しています。

全て同一縮尺です。

スマートフォン(iPhone6S)でいくつかのアイピースの実視像をコリメート撮影してみました。iPhone6Sのカメラはほんのわずか糸巻歪曲がありますが比較的よく歪曲が修正されています。また、2枚玉のアクロマート対物レンズはやや糸巻の歪曲があります。このことを考慮した上で上記の画像を評価する必要がありますが、広視野アイピースの糸巻歪曲、クラシックなプローセルの糸巻き歪曲の存在は明白に認められます。

しかし、肉眼で実際にアイピースを覗いた場合は、これほどまでには歪曲を感じませんでした。これはおそらく人間の視覚の補正能力によるものだと推察します。筆者も含め強い近視をメガネで補正していると強い樽型の歪曲が発生していますが、日常生活ではそれがほとんど気にならないことに近いのではないでしょうか。

追記2018/7/28終わり)

歪曲収差はビルなどの建造物を見るとその差は歴然で、多くのアイピースは大なり小なり糸巻型樽型の歪曲が残って(残して(*))いるものです。しかし、天体を見る場合この歪曲はあまり気になりません。宇宙には直線の物体がないからです。

(*)テレビュー社の100度アイピースイーソスでは「惑星の大きさと形状が視野全域で変わらない」ようにするため糸巻状の歪曲を残し「角倍率収差」を補正している、と製品ページで述べられています。

しかし、望遠鏡をクランプフリーにして夜空を「流す」場合には唯一この歪曲を感じることになります。中心の星は真っ直ぐ流れるのに、周辺の星はだんだん曲がって流れる。この現象を気持ち悪いと感じるのなら、歪曲収差がほぼ完全に補正されたLavenduraは素晴らしいアイピースです。その意味では、Lavenduraの双眼視で天の川流しをするのは、無二の体験となることでしょう。

適した用途

低倍率でも高倍率でも。お気に入りの天体をじっくり見る

Lavenduraが一番生きるのは、一つの対象をじっくり眺める用途です。M42、M81/82、トラペジウム、M81/82やM51,M101などを見てみました。低倍率で明るさを生かして淡い部分が見えてくるまで見続けるのもよし、対象が視野一杯になるくらいの倍率まで拡大して細かな構造を楽しむのもよし、どちらのやり方でもそれぞれに楽しめます。

Lavenduraは一番短い焦点距離でも30mm。そのままでは高倍率を出せないため、倍率を上げるにはバローと組み合わせることになります。2.5倍のバローを使えば30mmで12mm相当。Lavenduraをフルセットで揃えるのはさすがに変態度が高すぎですが、まずはお使いの鏡筒で瞳径5mmくらいになるのを選んでバローで2通りに楽しむくらいがよい気がします。

他にない長焦点の63mm

セレストロンのシュミカセC8にLavendura63mmを装着したところ。倍率は約32倍。

シュミカセなどの長焦点の望遠鏡で瞳径7mmの最低有効倍率を得ることのできるアイピースは極めて限られてしまいますが、Lavenduraの63mmではそれが可能です。実際には瞳径7mmは背景が明るすぎてもう少し倍率が高い方が良い場合が多いのですが、最低有効倍率のメリットを最大に生かす方法があります。ネビュラフィルターを使用する場合です。

ネビュラフィルターの効果のイメージ画像。左はフィルターなし、右がフィルターあり。背景と星が暗くなることにより、淡い星雲が浮かび上がります。

実際に口径20cmのセレストロンC8に、Lavendura63mmを付けて約30倍でバラ星雲を見てみました。OIIIフィルターを使うことで、視野をはみ出すバラ星雲の姿を明瞭に視認することができました。北アメリカ星雲や網状星雲、さらにもっと淡い対象にチャレンジするよい組み合わせとなることでしょう。

双眼用途に

前述の通り、視野が狭いことさえ除けばLavenduraは非常に高い双眼適性を持っています。レンズ群が3群となるため「ヌケ」という点では若干不利になるLavenduraですが、より反射率の小さなコーティングを施すことでそれをカバーしています。このヌケの良さ、歪曲の少なさ、ピントの平坦さも相まって、双眼で地上風景を見るときにはLavenduraの右に出るものはそうそうないでしょう。編集子は昨年のあるイベントで口径104mmの3枚玉アポ屈折にLavenduraを付けた双眼望遠鏡を見せていただきましたが、これは最高クラスのヌケと見え味でした。

開発元・販売元のご紹介

北軽井沢観測所

北軽井沢観測所
http://www.geocities.jp/kitakaru_obs/

このアイピースの設計元。Lavenduraの鏡胴には「designed by KITAKARU」の文字が刻印してあります。北軽井沢観測所はLavenduraの他にも「RPL(リアルプローセル)」や「Cosmic Blue」などのユニークなコンセプトの製品をデザインされています。

スタークラウド

スタークラウド
http://www.starcloud.jp

今回のLavenduraアイピース、次回で紹介予定のRPLアイピースをはじめ、北軽井沢観測所の販売代理店となっている天体望遠鏡ショップです。

まとめ

いかがでしたか?

Lavenduraシリーズは実に「尖った」アイピースです。初めて買う1本にはオススメしませんが、ある程度眼視の経験を持つ方にとっては、1本手元に持つことで眼視の楽しみが大きく広がる製品です。

「完璧なアイピースなどといったものは存在しない。完璧な望遠鏡が存在しないようにね。」と誰が言ったかは知りませんが、「視界の広さ」を捨てることで他のほとんど全てを手に入れることができた。そんな「ほとんど完璧」なアイピースといえるでしょう。


  • この記事はスタークラウド様に機材貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の判断で執筆したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
  • 本記事は極力客観的に実視をもとに作成していますが、本記事によって発生した読者様の事象についてはその一切について責任を負いかねますことをご了承下さい。
  • アイピースは使用する鏡筒や接続環、プリズムなどによってピントが出ない場合があります。購入をされる場合は十分に検討ください。接続の組み合わせについてのお問い合わせは、機材をご購入ないしはご購入予定の販売店様にお願いいたします。
  • 参考文献:「天文アマチュアのための望遠鏡光学・屈折編」 1989 吉田正太郎
  • 機材の価格・仕様は執筆時(2018/7/20)のものです。

 

 

【連載】アイピース探訪(2)Lavenduraシリーズhttp://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/07/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-3-1024x538.jpghttp://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/07/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-3-150x150.jpg編集部アイピース探訪レビュー天リフ眼視推進委員会がお送りする「アイピース探訪」シリーズ。第2回は「北軽井沢観測所」製のLavendura(ラベンデュラ)シリーズです。 特徴と設計コンセプト 視野を狭くする代わりに、他の全てを完璧に Lavenduraの設計コンセプトはとてもシンプル。一言でいえば「視野を広くしない代わりに、他の全てを完璧にする」の一点です。 アイピースの広視野化はめざましく、最近では80度は当たり前、110度という製品まであるくらいです。その反面、広視野化を実現するためにはレンズ枚数は必然的に多くなり、設計の「妥協」の仕方によっては周辺像がそれなりに悪化する製品も見られます。 そこで発想の転換。 広視野の周辺が流れるのが問題なら、視野を狭いままにすればいい。 その代わり、視野の中は徹底的に収差を補正し気持ちのよい像にしよう。 これがLavenduraなのです。 プローセル型を改良・Lavenduraのアプローチ Lavenduraの設計の基本は「プローセル型」アイピース。これは次回ご紹介する予定の同じ北軽井沢観測所の手によるRPL(リアルプローセル)アイピース同様と同じ。プローセル型は全く同じ構造のレンズを反対向きに向き合わせたものですが(*)、レンズ間に距離がある関係で収差が残ってしまいます。 (*)一般に対称型のレンズは前群と後群で反対方向の収差が発生するためそれぞれが打ち消し合うのですが、実際には前群と後群の間に距離があるため収差量は厳密には同じにならず、ある程度の収差が残ることになります。 RPLの場合は2群2枚のレンズ構成の完全対称の縛りをはずして結像性能の改良を図っているのに対して、Lavenduraではアイレンズ側に「対称構成であるが故に残存してしまう収差」を補正する第3群を配置することで性能の改良を図っています。   ラインナップ スタークラウド・Lavendura ラベンデュラアイピース http://www.starcloud.jp/SHOP/1006668/1006669/list.html Lavenduraのラインナップは全4本。焦点距離の短い30mm,40mmが25,000円、50mmと63mmが32,500円となっています。(いずれも税抜価格) 特筆すべきは、50mm、63mmという他にはあまり見ない長焦点をカバーしていることと、30mm・40mmがともに1.25インチスリーブであること。細身のスリーブは双眼対応も容易になります。 実視レビュー Lavenduraを使用して、主にセレストロンC8シュミカセ、FSQ106ED、FOT85を使用して、ディープスカイを中心に様々な天体を見てみました。一言でいうと、Lavenduraの体験は他の高性能アイピースを使用した経験とはかなり異質の、素晴らしい世界でした。 「小さなのぞき窓」から見上げる宇宙の姿 Lavenduraの見かけ視野は42度〜45度。最近の広視野アイピースに慣れている感覚からすると、はっきりいって狭いです。星は視野いっぱいには広がりません。「小さなのぞき窓」を通して見る感覚です。 しかし、その「のぞき窓」に見える星はすべてがほぼ完璧に近い像。像面湾曲もコマ収差も非点収差もほぼ感じられず、見えている星は全てキラキラと、針で突いたように輝いているのです。 100度アイピースで見る世界を巨大な壁画の前に立つ体験とするならば、Lavenduraの世界は柔らかなスポットライトに当たった小さな名作を見るような体験、とでもいいましょうか。 狭い視野だからこそ実現する体験 「視野は広ければ広いほどいい」のは真実なのか。Lavenduraに触れて以来、疑問を持つようになりました。では、狭い視野の良さとは何か。それは「一つの対象に神経を集中する場合」です。 C8に2.5のバローを付けてLavenduraの40mmの125倍でM51を見た時にそれを感じました。42度の小さな丸い視野の中にぽっかりと浮かび上がるM51。視野の外は完全に暗黒。この「視野外の暗黒の広さ」がより対象に対する神経を研ぎ澄ますのです。 一方、ほぼ同じ100度アイピースのイーソス17mmに換装して見ると、こちらは視野一杯に星が広がり、その中にM51が浮かんでいます。これもまた素晴らしい体験なのですが、眼が受ける背景の空の光量がはるかに大きくなるせいなのか、M51そのものの存在感とディテールは薄まってしまうような気がしました。 この感覚の受け止め方は個人差が大きいでしょう。星祭りや観望会などでLavenduraを見る機会があれば、ぜひそれを一度体験してみてほしいと思います。 歪曲収差 Lavenduraの視野の狭さが逆にメリットとなる点に、ほかには歪曲収差の完全補正があります。ここでいう歪曲は「直線がゆがまずに直線として見えるかどうか」の意味です。 追記2018/7/28)歪曲収差の比較画像を編集部でも実写したので追加しています。 スマートフォン(iPhone6S)でいくつかのアイピースの実視像をコリメート撮影してみました。iPhone6Sのカメラはほんのわずか糸巻歪曲がありますが比較的よく歪曲が修正されています。また、2枚玉のアクロマート対物レンズはやや糸巻の歪曲があります。このことを考慮した上で上記の画像を評価する必要がありますが、広視野アイピースの糸巻歪曲、クラシックなプローセルの糸巻き歪曲の存在は明白に認められます。 しかし、肉眼で実際にアイピースを覗いた場合は、これほどまでには歪曲を感じませんでした。これはおそらく人間の視覚の補正能力によるものだと推察します。筆者も含め強い近視をメガネで補正していると強い樽型の歪曲が発生していますが、日常生活ではそれがほとんど気にならないことに近いのではないでしょうか。 追記2018/7/28終わり) 歪曲収差はビルなどの建造物を見るとその差は歴然で、多くのアイピースは大なり小なり糸巻型樽型の歪曲が残って(残して(*))いるものです。しかし、天体を見る場合この歪曲はあまり気になりません。宇宙には直線の物体がないからです。 (*)テレビュー社の100度アイピースイーソスでは「惑星の大きさと形状が視野全域で変わらない」ようにするため糸巻状の歪曲を残し「角倍率収差」を補正している、と製品ページで述べられています。 しかし、望遠鏡をクランプフリーにして夜空を「流す」場合には唯一この歪曲を感じることになります。中心の星は真っ直ぐ流れるのに、周辺の星はだんだん曲がって流れる。この現象を気持ち悪いと感じるのなら、歪曲収差がほぼ完全に補正されたLavenduraは素晴らしいアイピースです。その意味では、Lavenduraの双眼視で天の川流しをするのは、無二の体験となることでしょう。 適した用途 低倍率でも高倍率でも。お気に入りの天体をじっくり見る Lavenduraが一番生きるのは、一つの対象をじっくり眺める用途です。M42、M81/82、トラペジウム、M81/82やM51,M101などを見てみました。低倍率で明るさを生かして淡い部分が見えてくるまで見続けるのもよし、対象が視野一杯になるくらいの倍率まで拡大して細かな構造を楽しむのもよし、どちらのやり方でもそれぞれに楽しめます。 Lavenduraは一番短い焦点距離でも30mm。そのままでは高倍率を出せないため、倍率を上げるにはバローと組み合わせることになります。2.5倍のバローを使えば30mmで12mm相当。Lavenduraをフルセットで揃えるのはさすがに変態度が高すぎですが、まずはお使いの鏡筒で瞳径5mmくらいになるのを選んでバローで2通りに楽しむくらいがよい気がします。 他にない長焦点の63mm シュミカセなどの長焦点の望遠鏡で瞳径7mmの最低有効倍率を得ることのできるアイピースは極めて限られてしまいますが、Lavenduraの63mmではそれが可能です。実際には瞳径7mmは背景が明るすぎてもう少し倍率が高い方が良い場合が多いのですが、最低有効倍率のメリットを最大に生かす方法があります。ネビュラフィルターを使用する場合です。 実際に口径20cmのセレストロンC8に、Lavendura63mmを付けて約30倍でバラ星雲を見てみました。OIIIフィルターを使うことで、視野をはみ出すバラ星雲の姿を明瞭に視認することができました。北アメリカ星雲や網状星雲、さらにもっと淡い対象にチャレンジするよい組み合わせとなることでしょう。 双眼用途に 前述の通り、視野が狭いことさえ除けばLavenduraは非常に高い双眼適性を持っています。レンズ群が3群となるため「ヌケ」という点では若干不利になるLavenduraですが、より反射率の小さなコーティングを施すことでそれをカバーしています。このヌケの良さ、歪曲の少なさ、ピントの平坦さも相まって、双眼で地上風景を見るときにはLavenduraの右に出るものはそうそうないでしょう。編集子は昨年のあるイベントで口径104mmの3枚玉アポ屈折にLavenduraを付けた双眼望遠鏡を見せていただきましたが、これは最高クラスのヌケと見え味でした。 開発元・販売元のご紹介 北軽井沢観測所 北軽井沢観測所 http://www.geocities.jp/kitakaru_obs/ このアイピースの設計元。Lavenduraの鏡胴には「designed by KITAKARU」の文字が刻印してあります。北軽井沢観測所はLavenduraの他にも「RPL(リアルプローセル)」や「Cosmic Blue」などのユニークなコンセプトの製品をデザインされています。 スタークラウド スタークラウド http://www.starcloud.jp 今回のLavenduraアイピース、次回で紹介予定のRPLアイピースをはじめ、北軽井沢観測所の販売代理店となっている天体望遠鏡ショップです。 まとめ いかがでしたか? Lavenduraシリーズは実に「尖った」アイピースです。初めて買う1本にはオススメしませんが、ある程度眼視の経験を持つ方にとっては、1本手元に持つことで眼視の楽しみが大きく広がる製品です。 「完璧なアイピースなどといったものは存在しない。完璧な望遠鏡が存在しないようにね。」と誰が言ったかは知りませんが、「視界の広さ」を捨てることで他のほとんど全てを手に入れることができた。そんな「ほとんど完璧」なアイピースといえるでしょう。 この記事はスタークラウド様に機材貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の判断で執筆したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。 本記事は極力客観的に実視をもとに作成していますが、本記事によって発生した読者様の事象についてはその一切について責任を負いかねますことをご了承下さい。 アイピースは使用する鏡筒や接続環、プリズムなどによってピントが出ない場合があります。購入をされる場合は十分に検討ください。接続の組み合わせについてのお問い合わせは、機材をご購入ないしはご購入予定の販売店様にお願いいたします。 参考文献:「天文アマチュアのための望遠鏡光学・屈折編」 1989 吉田正太郎 機材の価格・仕様は執筆時(2018/7/20)のものです。    編集部発信のオリジナルコンテンツ