ASIAIRが次期1.0.9でデジカメ対応
ZWO社の天体撮影用のカメラ・架台制御ツール「ASIAIR」が近日中にDSLR(デジカメ)対応するようです。iOSのβ版テストプラットフォーム「Test Flight」にDSLR対応版の1.0.9(β)がアップロードされています。
Facebookグループ・ZWO ASIAIR
https://www.facebook.com/groups/ASIAIR/
編集部でも早速ダウンロードして、基本操作を試してみました。以下、簡単にレポートします。使用したものはあくまで「β版」であり、画面や機能の詳細は製品版では変わる可能性があることにご注意ください。
DSLR対応の概要
カメラとの接続
カメラ付属のUSBケーブルでカメラとASIAIRの筐体を接続します。カメラが認識されると「Main Camera」にカメラ名が表示されます。レンズの焦点距離は連動していないようで、手動で設定しました。
接続する際には、「マニュアルモード」「画質モードが最高ビット長のraw」である必要があるようです。また、カメラ側がスリープすると接続が切れてしまうので、カメラ側の自動スリープをOFFにするのが推奨です。
DSLRを使用する場合、ZWO社の対応ガイドカメラの接続が必須なようです(ガイドカメラを接続しない状態ではEnter画面の先に進めませんでした)。
カメラの制御
ISO値はカメラ側の設定値がASIAIR側で表示され、ASIAIR側でも変更が可能。絞り値・フォーカスはカメラ側での操作、シャッター速度はASIAIR上で設定します。
シャッター速度はCMOSカメラ使用時と同じ設定になっているようです。最長は300秒です。Preview/Focus/autorunの操作、ビニングの設定などの操作はCMOSカメラ使用時と同じのようです。
画面表示のフレームレートは十分に早く、カメラのピントリングの回転して違和感なく合焦が可能。ただし、表示画面上での拡大表示が最大5倍なのがちょっと残念。retinaディスプレイはかなり細かいので、ディスプレイ上だけででも10倍・20倍程度には拡大したいところ。
データの形式と保存場所
撮影したデータは、カメラ内ではなく、ASIAIRのimageディレクトリ以下に保存されます。データ形式は「ベイヤー復元前」のfits形式です。
追記2019/8/21)
現在のバージョンでは「ガメラ側に画像を残す」設定が選択でき、raw/jpegでも保存可能となっているようです。
天文中年の部屋・ASIAIR+ASI120MMminiのVixen SB10の動作テスト
https://tenmontyu2.exblog.jp/27737028/
追記2019/8/24)
画像ファイルの大きなカメラでAUTORUN撮影する場合、インターバルを長くしないとファイルが保存されず歯抜けになる場合があるようです。上記ブログ主様のレポートでは。D810Aの場合15秒のインターバルが必要とのことです。また、その場合でもASI AIR側にはfitsとjpegが交互に保存されているなど、まだ未解決の不具合が存在するのかもしれません。
デジカメネイティブ使用との比較
ASIAIRを使用する場合、raw現像処理にPhotoshopなどは使用できず、fitsの読み込みとベイヤー復元が可能な、DSS(Deep sky stacker)やステライメージ等を使用する必要があります。これは、カラーバランスやコントラストなどの基本的な「絵作り」に一般写真用のraw現像ソフトを使用できないことを意味します。rawファイルを天体用ソフトでコンポジットしている人には従来と同じですが、photoshopでtif現像して処理しているような人は、従来のワークフロートは異なってくることに注意が必要です(*)。
(*)筆者の場合、まさにこれに該当します。photoshopのcamra rawはホットピクセル除去がかなり強力なのでダーク減算を省略できていたのですが・・ディザガイドを行わない少枚数の撮像の場合は、ダーク撮像が必要になりそうです。
対応機種リスト
ニコンとキャノンの大半の一眼レフカメラに対応しているようです(EOS RとNikon Zシリーズは未対応)。逆に、フジ、ソニー、ペンタックス、パナ、オリンパス(順不同)には対応していません。詳細の機種リストは記事冒頭の星見屋様のFBページをご参照ください。
まとめ
撮像カメラ・ガイドカメラ・架台など、天体撮影のあらゆる要素を1つのアプライアンス機器でコントロールできるASIAIRは、今後の天体写真環境の方向性を示すものといえるでしょう。一方でデジカメネイティブのユーザーにとっては、データファイルがディベイヤー前のfitsになるなど、まだ若干敷居があると感じました。
しかし、デジタルカメラで・PCレスで、Plate Solving(自動の位置解決)やディザリング、撮影シーケンスの自動化が可能になるのは大きな前進です。また、昨年の発表以来、新機能を次々と取り込んで進化を続けるASI AIRには、眼を見張るものがあります。
天リフでも、ASIAIRの機能紹介や使いこなしのレポートに力を入れていく予定です。
https://reflexions.jp/tenref/orig/2019/01/28/7822/https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/01/38272566_1750587801706099_4526158994632343552_n.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/01/38272566_1750587801706099_4526158994632343552_n-150x150.jpg天体用カメラZWO社の天体撮影用のカメラ・架台制御ツール「ASIAIR」が近日中にDSLR(デジカメ)対応するようです。iOSのβ版テストプラットフォーム「Test Flight」にDSLR対応版の1.0.9(β)がアップロードされています。 Facebookグループ・ZWO ASIAIR https://www.facebook.com/groups/ASIAIR/ 編集部でも早速ダウンロードして、基本操作を試してみました。以下、簡単にレポートします。使用したものはあくまで「β版」であり、画面や機能の詳細は製品版では変わる可能性があることにご注意ください。 DSLR対応の概要 カメラとの接続 カメラ付属のUSBケーブルでカメラとASIAIRの筐体を接続します。カメラが認識されると「Main Camera」にカメラ名が表示されます。レンズの焦点距離は連動していないようで、手動で設定しました。 接続する際には、「マニュアルモード」「画質モードが最高ビット長のraw」である必要があるようです。また、カメラ側がスリープすると接続が切れてしまうので、カメラ側の自動スリープをOFFにするのが推奨です。 DSLRを使用する場合、ZWO社の対応ガイドカメラの接続が必須なようです(ガイドカメラを接続しない状態ではEnter画面の先に進めませんでした)。 カメラの制御 ISO値はカメラ側の設定値がASIAIR側で表示され、ASIAIR側でも変更が可能。絞り値・フォーカスはカメラ側での操作、シャッター速度はASIAIR上で設定します。 シャッター速度はCMOSカメラ使用時と同じ設定になっているようです。最長は300秒です。Preview/Focus/autorunの操作、ビニングの設定などの操作はCMOSカメラ使用時と同じのようです。 画面表示のフレームレートは十分に早く、カメラのピントリングの回転して違和感なく合焦が可能。ただし、表示画面上での拡大表示が最大5倍なのがちょっと残念。retinaディスプレイはかなり細かいので、ディスプレイ上だけででも10倍・20倍程度には拡大したいところ。 データの形式と保存場所 撮影したデータは、カメラ内ではなく、ASIAIRのimageディレクトリ以下に保存されます。データ形式は「ベイヤー復元前」のfits形式です。 追記2019/8/21) 現在のバージョンでは「ガメラ側に画像を残す」設定が選択でき、raw/jpegでも保存可能となっているようです。 天文中年の部屋・ASIAIR+ASI120MMminiのVixen SB10の動作テスト https://tenmontyu2.exblog.jp/27737028/ 追記2019/8/24) 画像ファイルの大きなカメラでAUTORUN撮影する場合、インターバルを長くしないとファイルが保存されず歯抜けになる場合があるようです。上記ブログ主様のレポートでは。D810Aの場合15秒のインターバルが必要とのことです。また、その場合でもASI AIR側にはfitsとjpegが交互に保存されているなど、まだ未解決の不具合が存在するのかもしれません。 デジカメネイティブ使用との比較 ASIAIRを使用する場合、raw現像処理にPhotoshopなどは使用できず、fitsの読み込みとベイヤー復元が可能な、DSS(Deep sky stacker)やステライメージ等を使用する必要があります。これは、カラーバランスやコントラストなどの基本的な「絵作り」に一般写真用のraw現像ソフトを使用できないことを意味します。rawファイルを天体用ソフトでコンポジットしている人には従来と同じですが、photoshopでtif現像して処理しているような人は、従来のワークフロートは異なってくることに注意が必要です(*)。 (*)筆者の場合、まさにこれに該当します。photoshopのcamra rawはホットピクセル除去がかなり強力なのでダーク減算を省略できていたのですが・・ディザガイドを行わない少枚数の撮像の場合は、ダーク撮像が必要になりそうです。 対応機種リスト ニコンとキャノンの大半の一眼レフカメラに対応しているようです(EOS RとNikon Zシリーズは未対応)。逆に、フジ、ソニー、ペンタックス、パナ、オリンパス(順不同)には対応していません。詳細の機種リストは記事冒頭の星見屋様のFBページをご参照ください。 まとめ 撮像カメラ・ガイドカメラ・架台など、天体撮影のあらゆる要素を1つのアプライアンス機器でコントロールできるASIAIRは、今後の天体写真環境の方向性を示すものといえるでしょう。一方でデジカメネイティブのユーザーにとっては、データファイルがディベイヤー前のfitsになるなど、まだ若干敷居があると感じました。 しかし、デジタルカメラで・PCレスで、Plate Solving(自動の位置解決)やディザリング、撮影シーケンスの自動化が可能になるのは大きな前進です。また、昨年の発表以来、新機能を次々と取り込んで進化を続けるASI AIRには、眼を見張るものがあります。 天リフでも、ASIAIRの機能紹介や使いこなしのレポートに力を入れていく予定です。 編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
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