「一家に一台、天体望遠鏡」クラウドファウンディングへの疑問
ご注意)本記事へのコメントは当面承認しません。
詳しくは別記事に書きますが、この記事へのコメントは9/5 11:40以降、承認せず新規分は非公開とします。あしからずご了承下さい。
別記事はこちら。
国立天文台の縣秀彦さん、国立天文台名誉教授の海部宣男さんが中心となったクラウドファインディングプロジェクト「最古の学問「天文学」を世界中の子どもたちに!」がスタートしています。
Academist・最古の学問「天文学」を世界中の子どもたちに!
https://academist-cf.com/projects/76
目標金額は180万円、7/29時点で残り37日、達成率59%。順調に支援者を伸ばしており、おそらく目標金額は達成できるのではないでしょうか。「宇宙への関心を育てたい」というプロジェクトの趣旨には大いに賛同しますし、実際多くの方から賛同のコメントと支援が集まっています。
しかし、天リフではあえてこのプロジェクトに対する疑問を提起したいと思います。
コルキットスピカ(2,800円)じゃだめなの?#一家に1台天体望遠鏡 の趣旨は大賛成だしクラウドファウンディングで話題作りするのもいいけど、なぜ「金型費用の支援」なのか。プロダクトの問題ではないと思うが。https://t.co/7qxVv6Gp7V
ちなみに口径5cmのキットでも4,100円。 https://t.co/7KfihVWbpG— 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) July 26, 2018
なぜ今、低価格の望遠鏡を「開発」するための資金集めなのだろうか?
プロジェクトの趣旨説明では、以下のように書かれています。
新望遠鏡キットの製作のため必要となる製造初期費用(金型の製作)の一部をご支援いただきたいと考え、クラウドファンディングに挑戦します。2008年以降、日本国内や海外にて行われた「君もガリレオ!」ワークショップで用いられたのは、口径4cmの天体望遠鏡キット2種類でした。新天体望遠鏡キットでは、より性能のよい口径5cmのものを製作します。
つまり、「一家に一台を実現するに足る新しい天体望遠鏡の開発が必要で、そのための金型の製作費用の一部に充当する資金を調達する」のがこのプロジェクトの具体的なアクションプランです。
同じ「宇宙への関心を育てたい」という思いを持つもの同士の足を引っ張る積もりは毛頭ありませんし、天下の縣先生、海部先生に喧嘩を売るつもりもないのですが、一言、言わせてください。
いまさら180万そこらの資金を調達するだけで「一家に一台の天体望遠鏡」が実現するのなら、もっと早く何らかの形で予算を取得できなかったのでしょうか?
「プロジェクトの趣旨に適合するような低価格の天体望遠鏡」を実現するためのキーファクターは何なのでしょうか?洒落たデザインの製品を実現することでOKなのでしょうか?
天文・宇宙は、子どもたちの関心・意欲が高い理科分野のひとつです。現在、比較的安価に購入可能な天体望遠鏡キットは複数あり、また日本では、小学校、中学校の理科のカリキュラムに天体観測が組み込まれています。しかし、学校でまとめてあるいは児童・生徒が個々に購入して利用する場合、性能や価格面等で十分とは言えず、授業の中で土星の環や金星の満ち欠けを観測できる生徒は稀です。
実際、低価格で良く見えて教育的効果を期待できる製品は既に世の中に以下のようなものが存在します。しかし、プロジェクトの現状評価では「学校でまとめてあるいは児童・生徒が個々に購入して利用する場合、性能や価格面等で十分とは言えず、」と書かれています。
はたしてそうなのでしょうか?
年間10万台規模で量産できるのであれば、価格はすぐにでも半分にできるでしょう。また「授業の中で土星の環や金星の満ち欠けを観測できる生徒は稀です。」というのは機材の性能の問題ではなく、教育現場で「夜」の活動が成約されることの問題です。若干のすり替え感はいなめません。
オルビイス・コルキットスピカ
http://www.orbys.co.jp/kolkit-jp/index.html
口径4cmの望遠鏡工作キット。税別2,800円。
オルビイス・KT-5cm
http://www.orbys.co.jp/kolkit-jp/kt5cm6cm.html
口径5cmの望遠鏡工作キット。税別3,600円。
スターゲイズ・QV50A120KIT
https://www.stargaze.co.jp/order3/QV50BK/SelfBuild.html
口径5cmの望遠鏡工作キット。写真は塩ビ管付きの「Aセット」、税別4,000円。
口径5cmの完成品天体望遠鏡。価格は約1万円。性能面では十分です。
プロジェクトに寄せられたコメントの中で、唯一「全面賛同」でないコメントを引用します。
「子供たちが少ない予算で宇宙に触れられること」を目標に、既にこれまで多くの人が根気よくビジネスとの両立に取り組んでこられています。それらは皆小規模の会社で「星空を愛している」という強い情熱に支えられて努力し、継続してきています。そして回答には一言、「それも大切なこと」と書かれています。
「一家に一台、天体望遠鏡」の実現に必要なこと
もしかしたらこのプロジェクトには既に相当な金額の予算が付いているか、かなりの確度で見込まれていて、その広報宣伝の一環としてこのクラウドファインディングが戦略的に立ち上げられたのかもしれません。仮にそうであれば、1万円の寄付で望遠鏡1台ですから、コスパはともかく賛同者にとっての収支に問題はないのかもしれませんが、支援者の純粋な気持ちとしてはどうなのかなと思います。
それとも、今回のプロジェクトが成功することを一つの実績として、その価値を国に認めさせて予算を獲得することを目標にしているのかもしれません。ただ、いずれにしてもそういう「善意の焼き畑農業」が継続的に続くのか個人的には疑問です。(これは編集子が単にひねくれているだけかもしれませんし、世にあるクラウドファウンデイングの問題なのかもしれませんが)
いずれにしても「一家に一台、天体望遠鏡」という崇高な理念は、現実にはまだ実現されていませんし、現在の小規模な事業者にとっては遙か遠くの目標です。これまでと同じことをやっているだけでは実現しないでしょう。その実現のために天文学者が立ち上がった、という動きは賞賛されこそすれ、誰も否定できないでしょう。(だからこそ、クラウドファウンディングで賛同者が集まるのだともいえます)
しかし、天体望遠鏡が完成した後、誰が実際に「一家に一台」の世界の実現に尽力するのか。そのためには教育機関側の受け入れ体制の整備など、具体的に何が必要なのか。それは「星空を愛しているという強い情熱」だけで実現可能なのか。少なくとも年間60億程度(*)は見込まれるビジネスを実際に誰がどんな形で運営するのか。
(*)2015年時点での0歳人口は約100万人。今後も減少するとはいえ、1学年100万人と仮定します。望遠鏡が3000円として、年間30億円です。また、この教材を教育現場で運営するために必要な費用を同じ額だけかかると仮定。
正直、それが一番大事なことではないでしょうか。「安くて良い製品がない」ことの半分は事実誤認であり、そもそも解決すべき最大の課題はプロダクトの問題ではありません。支援者に「アカデミック・モデル」のような銘の打たれた望遠鏡が配布されるだけで終わりにならないことを強く願うものです。
寄せられたご意見
追記2018/9/1)
事実誤認多数。権威を盲信し美談調でミスリードを招く典型。「レンズを内蔵した筒状部の先端を左右に回し、ピントを調節するものが多い」「レンズの性能は低い」「太陽や月の表面、金星の満ち欠けなども観察できない」
読売オンラインよりピックアップ。https://t.co/d7d99ffjEU— 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) August 31, 2018
このような明らかな事実誤認が大手マスコミで拡散?されるのはマイナスですね。「これまでの望遠鏡が良くなかったので新しく作ります」という建て付けは一般には受けるかもしれませんが、何も問題を解決しません。
追記2018/9/1終)
SNSなどで本稿に寄せられたご意見を以下にピックアップしておきます。
Facebookへの投稿シェアです。
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あるクラウドファンディングに対する意見。私も投げ銭入れたこともあるし、対象によりけりである。しかし「善意の焼き畑農業」という表現はまさに今のあらゆるクラウドファンディング事業体に感じる印象とぴったりである。https://t.co/mg84nVVKCt
— 高井研 (@1031kentakai) July 29, 2018
聞こえてきたこのプロジェクト、クラウドファンディングに対して抱いた大いなるモヤモヤ感を見事に表現してくれた記事。
その通り、ツールとその技術ではなく運用の問題。https://t.co/JkivN4z65v— JunKim (@JunkimIcy) July 29, 2018
「一家に一台、天体望遠鏡」クラウドファウンディングへの疑問 https://t.co/hqXBRmgRIA
俺もクラウドファンディングにはたまに乗っかってるけど、こういう選球眼は持っておきたい— M.A.F.@執筆をしろ (@M_A_F_) July 29, 2018
https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/07/29/5919/「一家に一台、天体望遠鏡」クラウドファウンディングへの疑問https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/07/8874a2adebe75f4bb6c9a25ee2a66d3e-1024x901.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/07/8874a2adebe75f4bb6c9a25ee2a66d3e-150x150.jpg天文コラムご注意)本記事へのコメントは当面承認しません。 詳しくは別記事に書きますが、この記事へのコメントは9/5 11:40以降、承認せず新規分は非公開とします。あしからずご了承下さい。 別記事はこちら。 https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/09/05/6277/ 国立天文台の縣秀彦さん、国立天文台名誉教授の海部宣男さんが中心となったクラウドファインディングプロジェクト「最古の学問「天文学」を世界中の子どもたちに!」がスタートしています。 Academist・最古の学問「天文学」を世界中の子どもたちに! https://academist-cf.com/projects/76 目標金額は180万円、7/29時点で残り37日、達成率59%。順調に支援者を伸ばしており、おそらく目標金額は達成できるのではないでしょうか。「宇宙への関心を育てたい」というプロジェクトの趣旨には大いに賛同しますし、実際多くの方から賛同のコメントと支援が集まっています。 しかし、天リフではあえてこのプロジェクトに対する疑問を提起したいと思います。 https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1022603869493186565 なぜ今、低価格の望遠鏡を「開発」するための資金集めなのだろうか? プロジェクトの趣旨説明では、以下のように書かれています。 新望遠鏡キットの製作のため必要となる製造初期費用(金型の製作)の一部をご支援いただきたいと考え、クラウドファンディングに挑戦します。2008年以降、日本国内や海外にて行われた「君もガリレオ!」ワークショップで用いられたのは、口径4cmの天体望遠鏡キット2種類でした。新天体望遠鏡キットでは、より性能のよい口径5cmのものを製作します。 つまり、「一家に一台を実現するに足る新しい天体望遠鏡の開発が必要で、そのための金型の製作費用の一部に充当する資金を調達する」のがこのプロジェクトの具体的なアクションプランです。 同じ「宇宙への関心を育てたい」という思いを持つもの同士の足を引っ張る積もりは毛頭ありませんし、天下の縣先生、海部先生に喧嘩を売るつもりもないのですが、一言、言わせてください。 いまさら180万そこらの資金を調達するだけで「一家に一台の天体望遠鏡」が実現するのなら、もっと早く何らかの形で予算を取得できなかったのでしょうか? 「プロジェクトの趣旨に適合するような低価格の天体望遠鏡」を実現するためのキーファクターは何なのでしょうか?洒落たデザインの製品を実現することでOKなのでしょうか? 天文・宇宙は、子どもたちの関心・意欲が高い理科分野のひとつです。現在、比較的安価に購入可能な天体望遠鏡キットは複数あり、また日本では、小学校、中学校の理科のカリキュラムに天体観測が組み込まれています。しかし、学校でまとめてあるいは児童・生徒が個々に購入して利用する場合、性能や価格面等で十分とは言えず、授業の中で土星の環や金星の満ち欠けを観測できる生徒は稀です。 実際、低価格で良く見えて教育的効果を期待できる製品は既に世の中に以下のようなものが存在します。しかし、プロジェクトの現状評価では「学校でまとめてあるいは児童・生徒が個々に購入して利用する場合、性能や価格面等で十分とは言えず、」と書かれています。 はたしてそうなのでしょうか? 年間10万台規模で量産できるのであれば、価格はすぐにでも半分にできるでしょう。また「授業の中で土星の環や金星の満ち欠けを観測できる生徒は稀です。」というのは機材の性能の問題ではなく、教育現場で「夜」の活動が成約されることの問題です。若干のすり替え感はいなめません。 オルビイス・コルキットスピカ http://www.orbys.co.jp/kolkit-jp/index.html 口径4cmの望遠鏡工作キット。税別2,800円。 オルビイス・KT-5cm http://www.orbys.co.jp/kolkit-jp/kt5cm6cm.html 口径5cmの望遠鏡工作キット。税別3,600円。 スターゲイズ・QV50A120KIT https://www.stargaze.co.jp/order3/QV50BK/SelfBuild.html 口径5cmの望遠鏡工作キット。写真は塩ビ管付きの「Aセット」、税別4,000円。 口径5cmの完成品天体望遠鏡。価格は約1万円。性能面では十分です。 プロジェクトに寄せられたコメントの中で、唯一「全面賛同」でないコメントを引用します。 「子供たちが少ない予算で宇宙に触れられること」を目標に、既にこれまで多くの人が根気よくビジネスとの両立に取り組んでこられています。それらは皆小規模の会社で「星空を愛している」という強い情熱に支えられて努力し、継続してきています。そして回答には一言、「それも大切なこと」と書かれています。 「一家に一台、天体望遠鏡」の実現に必要なこと もしかしたらこのプロジェクトには既に相当な金額の予算が付いているか、かなりの確度で見込まれていて、その広報宣伝の一環としてこのクラウドファインディングが戦略的に立ち上げられたのかもしれません。仮にそうであれば、1万円の寄付で望遠鏡1台ですから、コスパはともかく賛同者にとっての収支に問題はないのかもしれませんが、支援者の純粋な気持ちとしてはどうなのかなと思います。 それとも、今回のプロジェクトが成功することを一つの実績として、その価値を国に認めさせて予算を獲得することを目標にしているのかもしれません。ただ、いずれにしてもそういう「善意の焼き畑農業」が継続的に続くのか個人的には疑問です。(これは編集子が単にひねくれているだけかもしれませんし、世にあるクラウドファウンデイングの問題なのかもしれませんが) いずれにしても「一家に一台、天体望遠鏡」という崇高な理念は、現実にはまだ実現されていませんし、現在の小規模な事業者にとっては遙か遠くの目標です。これまでと同じことをやっているだけでは実現しないでしょう。その実現のために天文学者が立ち上がった、という動きは賞賛されこそすれ、誰も否定できないでしょう。(だからこそ、クラウドファウンディングで賛同者が集まるのだともいえます) しかし、天体望遠鏡が完成した後、誰が実際に「一家に一台」の世界の実現に尽力するのか。そのためには教育機関側の受け入れ体制の整備など、具体的に何が必要なのか。それは「星空を愛しているという強い情熱」だけで実現可能なのか。少なくとも年間60億程度(*)は見込まれるビジネスを実際に誰がどんな形で運営するのか。 (*)2015年時点での0歳人口は約100万人。今後も減少するとはいえ、1学年100万人と仮定します。望遠鏡が3000円として、年間30億円です。また、この教材を教育現場で運営するために必要な費用を同じ額だけかかると仮定。 正直、それが一番大事なことではないでしょうか。「安くて良い製品がない」ことの半分は事実誤認であり、そもそも解決すべき最大の課題はプロダクトの問題ではありません。支援者に「アカデミック・モデル」のような銘の打たれた望遠鏡が配布されるだけで終わりにならないことを強く願うものです。 寄せられたご意見 追記2018/9/1) https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1035660262827642880 このような明らかな事実誤認が大手マスコミで拡散?されるのはマイナスですね。「これまでの望遠鏡が良くなかったので新しく作ります」という建て付けは一般には受けるかもしれませんが、何も問題を解決しません。 追記2018/9/1終) SNSなどで本稿に寄せられたご意見を以下にピックアップしておきます。 Facebookへの投稿シェアです。 クリックするとコメントが表示されます。 https://twitter.com/1031kentakai/status/1023506104997752833 https://twitter.com/JunkimIcy/status/1023508378243424256 https://twitter.com/M_A_F_/status/1023509494284734465編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
私が25年前に作って月を見たのはコルキットという名前だったのか
市の天体観測クラブだったか
みんな工夫しながら作ってて、それがもう面白かった
子どもにゲーム機を買い与えられる家庭ならば、望遠鏡キットを無理しなくても買えるだろうなぁ
素晴らしい経験をされたのですね。単レンズであろうとも、自分の手で工夫しながら作る体験は何にも勝ると思います。
コルキットが単レンズ?
このような明らかな事実誤認がネットで拡散されるのはマイナスですね。
天文リフレクションズさんがアンチテーゼ(?)を表明されたことと、それに対する読者の皆様の見識に大いなる健全性を感じます。天文雑誌は日頃の付き合いから相乗りしちゃうのでしょうかね?
アクロマートレンズの設計は発明されたときから全く同じです。「新設計の高性能望遠鏡」と謳われることがあるかもしれませんが、性能は粗悪品でない限りはみな同じです。理科教育云々は本当に教育現場の意見を聞いたのでしょうか? 教育は正義なので一方的にダシに使われことも多く警戒してしまいます。
5cmの対物レンズの工場出荷価格は高くても数百円です。だから満足な性能の安価なキットや完成品の望遠鏡が存在します。コルキットを応援するほうがよほど天文普及につながると思います。
ボコボコになりはしないか、ある意味同業者に異を唱えるのはどうなのか、ずいぶん悩みましたが結局書きました。綺麗事を並べてうっかりクリックを誘うようなクラウドファウンディングへの違和感は多くの方が感じられていたようで、今のところ好意的な受け止め方の方が多いです。
記事には書きませんでしたが、このプロジェクトの前段階の「「君もガリレオ!」プロジェクト」では星の手帖とオルビイスの製品が「認定望遠鏡」になっていて、そういう意味では「コルキットを応援」されていたわけで、なおさら今「5cm望遠鏡の金型」なのかが見えませんでした。
どんな事情があるのか、未だに不明です。
ご意見ありがとうございます。「子どもたちに天体望遠鏡を届ける会」の縣秀彦です。
ご支援に感謝しております。(このサイトで議論いただいていることに気づくのが遅れ、失礼しました。)
私たち国立天文台天文情報センター普及室は
「君もガリレオ!」プロジェクト http://kimigali.jp/ を2008年に立ち上げ、
オルビイスの花岡靖治さん(昨年お亡くなりになりました)や星の手帖社の阿部昭さんなど
多くの方々にご支援いただきながら、国内外で天体望遠鏡工作教室と観望会を実施して
きました。国内では主に小・中学生が学習指導要領「理科」に記載された天体学習内容の
うち、どう、天体望遠鏡を用いた天体観察を実現していくかに注視してきました。
特に中学校3年で必須の金星の満ち欠けの観察は、実際に観察される例は少なく、極めて
問題があると捉えてきました。
今回、新たに口径5㎝の組立式望遠鏡キットを一般社団法人日本望遠鏡工業会や日本天文協議会
のご支援・ご協力を得て作成するのは、主に次の理由からです。
1.国内においては、小学校や中学校の理科の教具として、性能と価格が充分な望遠鏡を供給したい。
2.国外においては、IAU100年記念事業の柱である天体望遠鏡を用いての天体観望を広く実施できるよう
流通が充分な望遠鏡キットを提供したい。
2009年に米国で製造されたThe Galileoscope(口径5㎝、25$)は、性能が充分でしたが、残念ながら
今年3月で製造販売が中止になりました。LLCを立ち上げての事業でしたが、流通経路が不十分でした。
2008年、国立天文台はIAUから10$望遠鏡の製造・配布を要請されましたが、当時、私たちにはそのような
仕組みや能力が無く、多くの市場の望遠鏡を調査・利用した結果、オルビイスと星の手帖社の4cmキットを
「君もガリレオ!」望遠鏡と認定し、この十年使ってきました。年間数万台の出荷を実現しているのではと
推測いたします。
しかし、4㎝では、金星の満ち欠けも、土星の環も子どもたちが作成するレベルでは観察することが出来ません。
君もガリレオ!プロジェクトを推進してきて、その点が私たちにとってはとても申し訳なく思う点でした。
5㎝製品もすでに市場にありますが、価格が1万円近かったり、製作後に壊れやすく、
子供からは扱いが難しかったりと適切なものが国内外で見つかりませんでした。
一方、小学校、中学校での聞き取り調査によると、学校で理科備品としてまとめ買いするなら単価5千円以内、
個人個人に買わせるのなら、3千円程度が限界ということも分かりました。
今回、国立天文台が計画している口径5㎝の望遠鏡キットは、すでに台内予算として420万円を確保しています。
残りの200万円の資金調達によって、金型+1000台の初期製造を実現可能です。資金がさらに集まれば製造単価を
下げていくことが可能です。1000台の製造で製造単価は3千円程度と試算しています。
ところで、通常の市場での販売価格は製造単価の3倍が一般的とのことです。倉庫代、問屋払い、小売り、運送、宣伝などなどが加算されるからです(通販の場合は2倍以上3倍以下)。
現在、3回ほど試作を繰り返し、性能や使い方のチェックをしブラッシュアップしてきた試作品の制作では
私たちのアイデアを(株)ビクセンに発注し製造しましたが、ビクセンさんが本製造をするという前提は
ありません。現在、私たちは寄付金集めと平行して、最終設計、仕様書の作成を進めています。
順調にいけば、9月中に広く日本望遠鏡工業会に加盟している31社ほか関係企業にお声をかけ、
「入札」が行われ、その後、製造業者が決まり、製造等の契約書を国立天文台が交わし、
初期期生産数の確定と発注が行われます。1000台発注の場合、完全納品まで約10か月かかると予想しています。
その間に、本望遠鏡の名称も決めるなど必要な作業や手続きを行い、来年度の初めには
商品委託販売(商品管理を含む)契約を社団法人日本望遠鏡工業会(31社)他、協力して下さる「複数の
業者さん」と結びます。
つまり、国立天文台が直接、売る訳ではありません。複数業者間では、「オープン価格」で
価格競争していただき、なるべく安く国内や国外で販売していただければと希望します。例えば、
ニコン、キャノン、ビクセン、ケンコートキナー他幾つかの業者は海外に支店や販売網をお持ちなので
小売り4000円は無理でしょうが6千-8千円で海外でも売っていただけるとと期待しています。
国内に関しても自由競争ですが、少なくても国立天文台職員有志で立ち上げたLLC科学成果普及機構では
学校へのまとめ買いのみの対応という縛りの範囲に限定してですが、例えば40個まとめ買い(中国で
製造され送られてくる箱をそのまま学校へ送るだけの作業)の場合は、単価4千円を切る金額で学校に
金星の満ち欠けも土星を環も観察可能な性能の望遠鏡キットを提供できると予定しています。
いずれにせよ、国立天文台から関連業界に10年間お願いしてきて実現しなかったことが、今回、ようやく実現
可能なところまで来ているのは、民間では営利目的なので、製造単価に対し販売価格を抑えるのに
限界がある壁を、国立天文台が利益目的では無く、国立大学法人法で定められた
大学共同利用機関法人の業務、同法29条1項4号「当該大学共同利用機関における研究の成果を普及し、
及びその活用を促進すること。」という趣旨にそって製造を担当することと、民間複数業者の協力
によってその壁を崩そうとしているのです。
もちろん、性能が充分で安価な望遠鏡キットが市場に出回れば、問題がすべて解決する訳では決してありません。
三脚や記録のためのタブレットやスマフォのカメラの取り付け方法などの開発は必須です。
または、天体観察を学校ではなく家に機材を持ちかえって各自観察する方針に切り替えるとしても、
その指導法を現場の教員と共有しないとダメで、まずは協力を得た三鷹市内の小中学校で実践研究を
行う予定です。
また、現在市場に出回っている製品も今以上に売れるように配慮すべきでしょう。オルビイスさんや
星の手帖社さん他、近い領域の製品を扱っている業者さんにも、この望遠鏡販売に参加してほしいと
願っていますが、例えば、4cmで1800円で購入できる望遠鏡にはその利点があり、市場が拡大されることで
業会全体が活性化することを期待しています。
私たち国立天文台天文情報センター普及室は、テンプラや小阪淳さんとともに、「一家に1枚宇宙図」を
2007年に発表しほぼ5年置きに改訂版を世に問うています。「一家に1台天体望遠鏡」も、決して文字通りのほど
売れるとは考えていません。
6人に一人が貧困世帯という児童・生徒を取り巻く日本の環境は厳しく、一学年100万人強とはいえ、
家庭で6000円前後のこのキットと数千円の三脚を購入する家庭は多めに見積もっても20-30万人/年では
ないでしょうか? 私たちの主なターゲットは小学校、中学校(+地学開設の高校)と理科教員養成大学です。
理科教育振興法では、顕微鏡は一人1台、天体望遠鏡は4人に1台の割合で配備となっています。
現状そのような学校はほぼありませんが、国立天文台が高等教育のみならず初等中等教育にも力を今後
入れることで、また、日本天文協議会や日本望遠鏡工業会等関係者が、その目的や効果を理解し協力しあう
なかで少しでも現状打破につながればと努力しております。
更なる資金や協力、何よりも社会からの関心が必要です。ご支援をよろしくお願いします。
縣先生、こんにちは。
キット望遠鏡では金星の満ち欠けも、土星のリングも子ども達の製作レベルでは見ることが出来ないと有りますが、確かにコルキットスピカでは、製作者のスキルの差により完成品に大きな性能差が出ることは否めません(それがもちろん教育的な効果も含めてコルキットの利点であるのは別の話として)
しかしながら組み立て天体望遠鏡の35倍は、製作者のスキルの差が性能に影響を与えないキットですよね。口径は4センチですが、自分のやっていた教室でも、組立後の観察会で、子ども達は、金星の満ち欠け、土星のリングは極めて明瞭に、木星の縞模様もじっくり観察すると見えます。
星の手帖社の組立天体望遠鏡先生も、内容もそれはご存知と思います。
4センチのキットでは、子ども達の製作レベルでは金星の満ち欠けや土星のリングは見えないという表現にとても違和感を感じます。このような表現はフェアーでないと考えます。
さらにこれは私見ですが、組立天体望遠鏡の縦割り鏡筒は星の手帖社の実用新案でした。実用新案新案が10年で失効した途端に同じ縦割り鏡筒でキットを企画するのは、私企業としては勝手ですが、縣先生主導でやられた事にショックを受けているのも事実です。
コルキットのオルビィスさん、組立天体望遠鏡の星の手帖社、これまで大手の天体望遠鏡メーカーが低価格品では、まともには見えないそして使えない粗悪な望遠鏡ばかりを供給してきた中で、上記の二社は子ども達によく見える望遠鏡を供給しようと頑張ってきました。今後そのような小さな企業を圧迫することにならないか心配しております。
縣先生の天文普及にかける情熱をいつも感じて尊敬している自分としては、とても言いにくいことですが…敢えて苦言を呈させて頂きました。
株式会社 スコープテック
大沼 崇
縣先生、丁寧なご説明をありがとうございます。
当方の感じた違和感は、先に大沼さんが書かれた内容とほぼ同じです。
当方、今年の3月に口径5cmの小型望遠鏡を4台実際に購入し、詳細を比較し以下のレビュー記事を書いています。
https://reflexions.jp/tenref/orig/category/天文joy/1万円で買える天体望遠鏡/
ここで感じたことは、大手メーカーは低価格の子供向けの天体望遠鏡を本気で作っていないということです。ここでいう「本気」というのは光学系の性能のことではありません。先に高槻さんが指摘されたとおり、光学系はどこもほとんど同じです。違いは「コストダウンの優先順位」と「実際に使う立場に立った工夫」の2点です。
小規模な企業が自らの努力で良い製品を世に出しその結果市場で受け入れられ、土星の輪も金星の満ち欠けも木星の大赤斑も見える望遠鏡は「税込10,800円」まで価格が下がりました。(三脚・アイピース・ガイドブック付きです)
今回企画されている望遠鏡が仮に鏡筒のみで実売6千円だとしても、上記製品に対する競争力はさしてないのではないでしょうか。カメラ三脚に乗せる想定という時点で大いなる不安を感じてしまいます。
本文にも追記しましたが、読売に掲載された記事には大いに違和感を感じます。
https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1035660262827642880
「先端を回す」望遠鏡は少なくとも私はごく一部のファインダーなど以外では見たことがありません。
太陽?あの望遠鏡で太陽を見せるのでしょうか。大丈夫なのでしょうか。
月のクレーターはコルキットでも十分観察できます。
金星の満ち欠けもコルキットで見えるのではないでしょうか。
既製品利用して大量に販売するようにプロジェクトに組み込めばコストは半分に下がるはず、
という天リフさん側の指摘には答えていないような・・・
で、独自企画でやっても目標のコストまで下がっていず、中途半端。???????謎ですね。
自分は中学のとき、学校に配布された「理科教材社」の「学習望遠鏡」とやらのペラペラの
チラシを見てから望遠鏡にハマりましたが、誰もが星に興味があるわけでなく、さらに
星は好きでも望遠鏡に興味がない人もいます。(肉眼視専門の人)
このプロジェクトは社会主義でもないのに押し付けですね。国がかかわるとろくなことが
ないし、失敗します。
理科教材社の望遠鏡は買った友人に見せてもらったら、バカみたいにFが長く色収差など
収差とは無縁なものでした。自分はそれさえ買ってもらえなかったのでスリービーチから
4センチF20のアクロレンズを買って自作しました。
興味ある子供は貧困であっても何年かかっても自分の望遠鏡を手に入れます。
(最近、天文に興味を持って40年以上たってから15センチ屈折を苦労して自作しました)
興味のあるなしにかかわらず、望遠鏡をポンと手渡し、苦労せず手に入るようにする
ことが教育になるのでしょうか?
あのチラシの存在こそ自分にとって(も、他の興味のない人にも)最高の教材であり、教
育だったのです。(ポンと置いて強制しないという、広く告知はするが押し付けない方法)
初老の年齢になった今、望遠鏡の自作を再開しました。根気強さの養成や物事に取り組む
際の姿勢、人間性、結果と過程、挫折しない工夫、生きる意味、、、、などなど物事や人
間の本質にかかわるさまざまなテーマへの考察・・・・自然とそういうものがかかわって
くることが知れました。自分でも新鮮な驚きです。
いうなれば 自己教育、「育自」に望遠鏡自作は自分にとって最適だったのです。
別の視点でのご指摘、編集子も感じるところがあります。
>興味ある子供は貧困であっても何年かかっても自分の望遠鏡を手に入れます。
土星の輪を見て、全ての人が同じように感動するわけでもないし、感動したからといって深みにはまるものでもない、ということです。
「同じように感動することを強制する」ようになるのはよくない気がします。
その一方で。
中学生のころに技術家庭でノコギリ・かんな・ノミ・カナヅチなどの工作セットを全員が購入しました。自分の場合は必然だったのかもしれませんが、まったく自分の視野になかったこれらの道具を、自分のものとして手にしたことは少なからず良い影響があったと感じています。
まず、昔と今とでは、星を見るという衝動に大きな差を感じます。
あくまでも日本での話ですが、今天文ファンといわれる人たちの年齢層の多くが、50歳代〜70歳代くらいではないでしょうか。おおむね戦後の高度経済成長期に生まれ、科学ブームと同時期に最も感受性の高い思春期を過ごしてきた年齢層です。
私も60歳代、ちょうどアポロ11号が月面着陸をした年から天文(望遠鏡)の趣味を始めました。当時の子供を取り巻く自然環境は実に多様性に富み、日常的に興味の対象を見つけてはそれらの発見を仲間や親兄弟達と共有できる、いわば幸せな時代でした。
星に関しても、都心からちょっと離れれば天の川をはっきり見ることができる所も多く、晴れた日は無数の星空を堪能できました。当時の子供や学生が自然に星や望遠鏡に興味を持つ条件は揃っていたように思います。
それに比べて、今はどうか。天の川を見ようにもそんなに簡単に見ることはできません。都心ともなればほとんど星は見えず、本当にひどい状況です。
ただし、今、星を見るという衝動が昔に比べ落ちている原因は空が明るくなったことだけではないと思っています。あらゆる自然現象に対する興味が薄くなっている、感受性自体が落ちてきていることが主因ではないかと自分では感じています。火星にしても土星にしても 周りを取り巻く環境が完備された情報に支配されているため、自分の目で生の天体に接してみたいという気持ちそのものが起こりにくくなっているように思えます。
それを打破するのは容易ではないと思います。それをなんとかしようと、きっかけ作りとしてのプロジェクトとしては、私はこの取り組みは評価しますし、賛同します。
「一家に一台望遠鏡を」というスローガンは望遠鏡を普及させるに当たって一番わかりやすく受け入れやすい表現ではあると思います。と同時に実態とはかけ離れた表現のような気がします。
望遠鏡は電化製品や車、パソコンなどとは違い、あくまでも望遠鏡はその必要性を感じる人だけが自分のものとして欲しいものです。
実際、アマチュア観測家の多くは、一家に一台どころか1人で5台も6台も、さらにそれ以上望遠鏡を持っていて家族に白い目で見られていてもまだ足りない、 もっと欲しい、となる、そして数十年に渡りこれを続けて行く人が多い。だんだんと、星の趣味というよりは望遠鏡そのものを集めるのが趣味になってゆく。しかし当然ながら興味のない人にとっては全くその気持ちがわからない、他の家人にとっては非常に迷惑なだけのものとなるでしょう。特に配偶者はたまったものではないはずです。「一家に一台」と言うのはかなり難しいのではないかと。
このプロジェクトの立案者の先生方もこの点は当然わかっていらっしゃるはずです。その上で「普及させるにはどうしたら良いのか」を散々考えられてとにかくまずわかりやすいスローガンを掲げてやってみようと言う思いで始められたのではないかと思います。日本でこの取り組みが果たして成功するか、あるいは海外ではどうかはわかりませんが、興味深く見守って行きたいと思います。
小澤様
私も同世代、「5台も6台も」ですので大いに共感します^^
「一家に一台」のスローガンがわかりやすいだけに、それを実現する過程や実現したときに何が起きるかの思考を止めてしまいがちな気がしています。
本来の趣旨については私も応援したいですし、いろいろ飲み込んで見守って逝きたいと思います。
5台も6台も……数十年に渡り…….、これ私自身のことです。お恥ずかしいですが。幸いに我が家の場合、妻が理解がありまして助かっており、正々堂々と買っておりましたが、妻には実際苦労かけたと思っております。
しかしもう引退の年齢ですし昨年末で終了としました。
余談はさておき、各論で一点のみ。アクロマートレンズは粗悪品でない限りどれもほとんど変わらないと言うのは確かにそうかもしれませんが、望遠鏡の性能はレンズだけではなく、レンズの組み付け、遮光性能、焦点距離、光軸、剛性など様々な要素で決まります。開発コストの中でこれらをどれだけ反映させ、その範囲内で可能な限り良いものを作っていただきたい、国立天文台監修と言えるにふさわしいものが、求められます。口径5cmのアクロマートならば十分高性能なものが既にあるので、これを実現するのは意外とハードルが高いと言えると思います。
「アイデアを(株)ビクセンに発注し製造した」とのことですが、望遠鏡を作っている会社は国内にたくさんあるのに、どうして(株)ビクセンに発注して製造したの?
私のような一般人からすると、国の機関のビッグネームがビクセンと仲良く手を組んで、「他社のつくった望遠鏡では見えない!」と嘘をついてお金を集めているようにしか見えないんですけど。
現在販売されているキットのアクロマートレンズは、ずっと昔の天文学者たちが使っていた天体望遠鏡よりもはるかに性能を上回っているのではないでしょうか?もちろん当時は今ほどの光害はなかったとはおもいますが、それでも昔の天文学者たちが恒星いがいの惑星や星雲星団銀河などを見つけていたのだから、今販売されているもので申し分ないと私は考えています。
いやむしろコスパいいじゃん。と思います。
また、高槻氏の書いてある通り、現在のアクロマートレンズにはほとんど差がない。というのも納得です。
ほとんど差がないのに、なにで差をつけるの?
口径の問題じゃないと思うんです。5センチでも見えないものや光軸の合わないものはあるでしょう。
フローライトレンズでも使うのでしょうか?それなら欲しいですが。
先生は、望遠鏡をソプラノリコーダーやアルトリコーダーのように教材にするべきだと思っているのでしょうか。
私は持っています、子供の頃に買わされたリコーダー。でも、使ってません。
望遠鏡だって、そうなる可能性はありますね。
それでも絶対に必要なものなの?
ゆすらこさま
ビクセン様が「嘘をついてお金を集める」意図でこの企画に協力されたのではないことだけは、否定したいと思います(確固たるエビデンスはないんですけど)。
でもそうみられかねないのは、ビクセン様にもデメリットですよね。
アルト笛・・・もっと練習して吹けるようになれたら良かった^^無理だっただろうけど。
裁縫セット、書道セット、柔道着、大工道具セット、いろいろ教材買いました。大工道具は嬉しかった^^
個人的にはこの中に「天体望遠鏡」があれば楽しかったろうと思いますが、私にとっての裁縫セットのような位置づけになる人の方が多いのでしょう。
中学生、高校生のような世代の人の意見も聞いてみたいです。
歴30年のアマチュアです。
45cmドブソニアン以下3台の望遠鏡で
自ら星を楽しむ傍ら、一般の人に星を見せることも楽しみにしています。
望遠鏡を安く配給してどうするおつもりなのでしょうね?
望遠鏡は誰でも簡単に扱えるものではありません。
れっきとした光学機器です。
加えて月はまだしも金星等の惑星の導入だって
誰でもできるほど簡単ではありません。
学校の先生もほぼできないのが実態でしょう。
私の知り合いには積極的に一般人向けの
観望会を行い、星を見ることの楽しさを
伝えている人がいます。
(私もお手伝いすることがあります。)
ご覧になられた方々は
皆さん感動されますし、実際にのめりこむ方も少ないながらおられます。
星を見せる活動をされる方々が全国各地におられます。
そういう活動の方が重要ではないですか?
> 天文・宇宙は、子どもたちの関心・意欲が高い理科分野のひとつです。
> 現在、比較的安価に購入可能な天体望遠鏡キットは複数あり、
> また日本では、小学校、中学校の理科のカリキュラムに天体観測が組み込まれています。
> しかし、学校でまとめてあるいは児童・生徒が個々に購入して利用する場合、
> 性能や価格面等で十分とは言えず、授業の中で土星の環や金星の満ち欠けを観測できる生徒は稀です。
そもそもそんなカリキュラムあるのですか?
私が知らないだけかもしれませんが
性能面で十分とは言えない?
確かにそのようなものもありますが、
全てではないです。
全てが悪いみたいな表現は絶対におかしい。
あと縣先生は実際に望遠鏡覗かれたことがあるのですか?
ピント調整機構を工夫した?当たり前の仕組みですよ
絵具セットと望遠鏡を一緒にしないで下さい。
追加コメント、何度も申し訳ありません。
まず言いたいのは、国立天文台の天文学者の先生がアマチュアの星の観察に関わろうとされるのは非常に稀なことだと言うことです。
今から半世紀くらい前に、国立天文台の冨田先生がアマチュアの望遠鏡を天文誌上で点数をつけて評価すると言う企画をしておられましたが、それ以来でしょう。
その時の企画は、すでに売られている望遠鏡を先生自らが購入されて評価すると言うもので、これから望遠鏡の購入を考えているアマチュアにとってはバイブルのような記事でした。もともと望遠鏡に対し非常に興味を持ち、購入を控えている小、中、高校生たちにそれぞれのメーカーの望遠鏡の特徴や個性、利点、欠点と言うものを公正な視点から紹介するといったものでしたが、天文学者の先生がこのような企画を行なったことは今考えてもすごいことだったと思います。
さて、今回のプロジェクトはどうか。 同様に国立天文台の先生方が関わっていますが、冨田先生の活動とは趣向が違います。今回のものは今の子供達が少しでも天文に興味を持つようにと言わば底辺を広げると言った意図を感じます。さらに注目すべき点は望遠鏡までセットで提供する事です。これを国立天文台の天文学者の先生方が企画する、これほど革新的な試みは今までにはなく、全世界でもおそらく初めてではないでしょうか。そのために寄付を集めると言うのも異例ですが、私は純粋な発想から生まれた手段と受け止めて、経過を見届けて行きたく思っております。
小澤さん、お久しぶりです。こんにちは。
今回、批判されているのは、「一家に一台望遠鏡』というプロジェクト自体の目的ではありません。それを実現させるために国立天文台が取っている手段というかやり方です。良質な望遠鏡を普及させ、宇宙に興味を持つ子どもたちに本当の宇宙を良質で使いやすい望遠鏡を普及させたい!それ自体は、良心的なメーカーや、天文普及を真剣に考える人に取って永遠の課題であり目標です。
しかしながら、当初この国立天文台の一家に一台天体望遠鏡プロジェクトは、ひとつのメーカーに選任的に任され、これまで初心者望遠鏡に本当に真剣にコミットしてきた会社は蚊帳の外に置かれていました。色々外部から言われた結果、やっと業界団体の認定をとるべく動きが始まりました。
しかしながら、本来こうしたプロジェクトは、最初から誰の目にもオープンで公平な形でみんなの知恵を集めて行われるべき事ですから、自分自身の見解としては、なにを今更(苦笑)というのが正直なところです。ですから9月中にオープンな形で設計の仕様を公開し、しかるべき時期に入札というのは、あとから批判を受け出てきたことに過ぎません。
素晴らしいプロジェクトは、誰から見ても公平で公正でない産まれません!国家予算を使うプロジェクトが一部メーカーだけを利するものであることは許されません。
こどもたちのために本当に薄利で良質なキット望遠鏡を提供してきた星の手帖社、オルビィス社など、民業圧迫ともとれる先生の発言内容には呆れを通り越して、本心を言うと怒りも覚えています。 後ほど自分の考えや今回の問題点の詳細を記事にしますから今しばらくお待ちください。
(株)スコープテック 大沼 崇
大沼さん、こんばんは。
たしかに、メーカーの選択に関しては僕も疑問を持っています。一方的に行われたならば尚更です。
大量発注ならばどこかのメーカーに依頼するしかない、しかし慣例がなく決めてもない。ならば具体的にどうするかと言うことはとても難しいと思います。
先生方はこの問題に対してどのような基準で決定されたのか、その点は明確に示されるべきとは思います。
公平性の下でのプロジェクトであるべきと言うご意見は、僕も全くその通りと思います。
以下、国立天文台様、
望遠鏡の発注先はもう決定されて変更は不可能なのでしょうか。
私の考えでは、このプロジェクト一旦中断し前に戻って、望遠鏡の発注先を決定するところから再出発すると言うのはいかがでしょうか。今月中に云々とか急がずとも良いように思います。そこから再出発ではいかがでしょうか。発想そのものは良いだけに、誰が見ても納得できる方法で決定した方が良いと私は思います。
NPO法人ギガスター 間瀬康文
今回の議論の中で、天リフ編集部さんが指摘した問題点、特に自分も一番問題だと思った
「一家に一台、天体望遠鏡」の実現に必要なこと
で提起されていた本当の課題のうち、縣先生のコメントの内容でクリアできていないところは何かをフォローしていただけると議論が分かり易いかなと思いました。
あと、全体的な意見ですが、個人的には、今回の活動が画期的だと思うのですが、それは、縣先生の発言を引用させていただくとすれば、
>国内に関しても自由競争ですが、少なくても国立天文台職員有志で立ち上げたLLC科学成果普及機構では
>学校へのまとめ買いのみの対応という縛りの範囲に限定してですが、例えば40個まとめ買い(中国で
>製造され送られてくる箱をそのまま学校へ送るだけの作業)の場合は、単価4千円を切る金額で学校に
>金星の満ち欠けも土星を環も観察可能な性能の望遠鏡キットを提供できると予定しています。
>いずれにせよ、国立天文台から関連業界に10年間お願いしてきて実現しなかったことが、今回、ようやく実現
>可能なところまで来ているのは、民間では営利目的なので、製造単価に対し販売価格を抑えるのに
>限界がある壁を、国立天文台が利益目的では無く、国立大学法人法で定められた
>大学共同利用機関法人の業務、同法29条1項4号「当該大学共同利用機関における研究の成果を普及し、
>及びその活用を促進すること。」という趣旨にそって製造を担当することと、民間複数業者の協力
>によってその壁を崩そうとしているのです。
というところだと思っています。
自分の理解では、縣先生と融資の皆さんが、国立大学法人法で定められた大学共同利用機関法人の業務、同法29条1項4号「当該大学共同利用機関における研究の成果を普及し、及びその活用を促進すること。」という趣旨にそって、LLCを立ち上げ、それによって、
1.過去10年間の活動の実績に基づいて、学校現場が望めば「単価4千円を切る金額で学校に金星の満ち欠けも土星を環も観察可能な性能の望遠鏡キットを提供」できるというソリューションを実現したこと。
2.それを用いた実証試験として三鷹の学校で教育現場への落とし込みの活動を行い、その活用ノウハウも成果として公共の利益に資すること。
3.その結果が良く、他の学校が評価すれば、マーケティングコストは限りなくゼロとなり、LLC科学成果普及機構の事業として、学校へのまとめ納入とう縛りの中で4000円というニーズに応えられること。
ということを実現しようとするプランは、公益性もそなえた、マーケティング的にも優れた、実に明快で、実現可能なプランだと思いました。
ただ大沼さんが指摘されています点については、こうした活動を実施するにあたっての試作の発注先が特定の企業だけだったというのが良いのか悪いのかは私は分かりません。
いずれにしても、この活動の結果、興味関心を高めたお子さんが、その興味関心に合わせて、今回開発する望遠鏡や、民間パワーで提供している市場の素晴らしい望遠鏡などを含めて「望む家には一家に1台の望遠鏡を」の実現を後押しすることになろうかと思います。
コメントの中に、自力開発ではなく市販品の後押しをというコメントがありましたが、市販されている特定のキットを官たる天文台が後押しすることは、それこそできないと感じました。
なので縣さんは、天文台主導の製品開発、その成果の公共の利益とするためのLCCを通じた学校への提供、一般向けには公平な製造委託による民間による実施というアプローチをとられてると理解しています。
ということで、
学校教育の授業の一環で行った体験を通じて、「望む家には一家に1台の望遠鏡を」実現する。
その「ブレークスルー」の「学校現場へのアプローチ」ところは、税金と、市民の善意の資金で実現し、その結果、発生した新たな望遠鏡ニーズに対しては、民業圧迫にならないように配慮して業界全体の底上げも配慮する。
ということで、自分には違和感がないのです・・・。
その後の様々な情報から、僕の理解がまだまだ不十分と感じコメントさせていただきます。まず、望遠鏡の発注に関して、以下の理解でよろしいでしょうか。
①はじめ、試作品はある特定のメーカーに任された
②その後、製造は国立天文台が行い販売は複数のメーカーに分散される予定
最新の私の理解ですとこうなりますが、 まずこれで正しいのかどうか。もし正しいとすれば国立天文台が製造と言うと具体的にどのようなシステムで行うのかが良くわからないので、わかる方がいらっしゃったらお教えいただければ幸いです。
現在もし②の状況でお話が動いていたとするならば、私の前回の国立天文台様に対するコメントは私の理解不足によるもので、取り消させていただきます。
いずれにしろ、1番のネックになる部分がしっかり理解できていないままにコメントを書き込んだことは間違いだったと思います。申し訳ありません。
天体望遠鏡メーカーさんにとっては、このようなプロジェクトは営業妨害の迷惑な話でしょうね。でも、メーカーさんより安くて高品質になるハズもないので競争相手ではないと思いますよ。このことと、新聞に出たミスリード情報(取材の要約ミス?)に関しては今回は言及しないでおきます。
懸先生ご本人の記述と思われる「市販の4cm望遠鏡は見えない」というのと、既存の製品をパクったと思われるプラモデル的な「鏡筒縦割り2分割」について私見を述べます。
最初にクギを刺しておかねばならないのは、アクロマートレンズの性能は粗悪品でない限りはみんな同じで「新設計で高性能」というのはあり得ないということと、既存の製品に対していわれなき悪口を言わせないこと、でしょうか? もちろん粗悪品は存在するし、双眼鏡のレンズを流用したような焦点距離の短い製品は高倍率の性能が悪いですが。
企画文中では「口径4㎝では、金星の満ち欠けも、土星の環も子どもたちが作成する精度レベルでは充分に観察することが出来ません」と言い切っていらっしゃいますね。これが売りたいがためにウソを書いたのではなく体験談だとすれば、調査不足で4cmの粗悪品だけ使ってみたのだと思います。
私はスコープテックさんのラプトル50天体望遠鏡セット(価格 10,800円–税・送料込)を数年前に2台買いました。鏡筒+架台+三脚+接眼レンズ+『星空観察ガイド』 の立派な完成品です。架台は弱いですが見え味は立派なもの! アクロマートの普通の性能です。1台を近所の筋ジストロフィーのお子さんにプレゼントして喜んでもらえましたが、先日「もう必要がなくなったのでお返しします」と戻ってきました。悲しすぎて事情はお聞きできませんでした。—-話題がそれてすみません。
レンズ設計については口径比(F値)が同じ場合は、口径4cmが5cmになると分解能と集光力は20%増え色収差も20%増えます。結果的に「4cmは5cmよりも少し暗く感じるが同じような見え味だなぁ」となります。4cmでは「金星の満ち欠けも、土星の環も観察出来ない」などは絶対にあり得ません。このことは天文ファンはよくご存じと思います。
ゆすらこちゃん様のコメントに「フローライトレンズでも使うのでしょうか?それなら欲しいですが」とありました。国家プロジェクトでやるならコレですね! 大量生産すれば決して不可能ではないでしょう。そのレンズを格安でメーカーさんに供給すれば、それこそ業界の発展につながると思います。
「鏡筒縦割り2分割」でプラモのように簡単に作れる仕組みは、限られた時間で完成させるには悪いことではないと思います。しかし、対物レンズをポンとはめただけでは長焦点の光軸はうまく出ないので何らかの調整機構は必要です。光軸確認装置はとても簡単に作れます。天体望遠鏡を自作するなら光軸調整くらい子供たちにやってもらわないと教育にはなりませよね? 「教育が目的」の様々な企画では、しばしば大人の都合が優先され子供たちが蚊帳の外に置かれてしまいます。