天リフ眼視推進委員会がお送りする「アイピース探訪」シリーズ。第4回はリコーイメージング製のペンタックスXWシリーズ、「XW40-R」、「XW30-R」、「XW20」です!

天体望遠鏡としてのペンタックス

リコーイメージング株式会社・双眼鏡・望遠鏡
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/binoculars/
ペンタックス天体望遠鏡総合カタログより。 http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/support/catalog/pdf/telescope200812.pdf

ペンタックス(旧社名は旭光学工業)は、1970年代以降、ハイエンドの高性能な天体望遠鏡をアマチュアや公共天文台などに提供していました。上の画像は2008年版の最後の天体望遠鏡総合カタログですが、現在でも十分通用する名機が多数含まれていて、特にオールド天文ファンの間ではペンタックスの天体望遠鏡は非常に高く評価されています。

多くの天リフ読者にはご紹介するまでもないのですが、さまざまな再編を経てペンタックスは現在は「リコーイメージング株式会社」の1大ブランドとして、デジタルカメラや光学製品の製造・販売を行っています。ここでは、特に若い世代に対して、改めて「ペンタックス(PENTAX)ブランドの天体望遠鏡」の存在を銘記したいと思います。

リコーイメージング・天体撮影から考える Why PENTAX?
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/photo-life/astro/

ペンタックスは2008年に天体望遠鏡の製造販売から撤退していますが、デジタル一眼レフの「アストロトレーサー」や、天体改造なしでもHαの赤い星雲が良く写るイメージセンサー、星景写真を想定したヒーターの熱が回りやすい構造のレンズのような、天文ファンを強く意識した製品開発を行っているのも、この「天体望遠鏡のDNA」が脈々と流れているからでしょう。

復刻された40mmと30mm

天体望遠鏡用アイピース『smc PENTAX XW』シリーズ2機種~ユーザーからの要望に応えて再発売~ 
http://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2019/20191206_028231.html
http://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2019/20191206_028231.html

天体望遠鏡本体からは撤退したものの、今回ご紹介する「XWシリーズアイピース」は現在も継続して製造・販売されています。しかし、その中の長焦点タイプ「XW30(mm)」と「XW40(mm)」は製造が中止されていました。製造中止以降、この2つの製品はヤフオクなどで高値で売買されるなど、依然として高い人気を博していました。

そんな中、昨年末にペンタックスからXW30とXW40の再発売がアナウンスされました。筆者は実はXW20ユーザーで、現在も一番稼働率の高いアイピース。今回、リコーイメージング様のご厚意で製品をお借りすることができ、この「アイピース探訪」で取り上げることになった次第です。

非常に高い期待値で迎え入れた2本のアイピースですが、結論から言って期待通りでした。いいアイピースで見る星空はやっぱり違います。以下、その詳細のレビューをお届けします。

外観

比較に使用した他のアイピースと並べてみました。前列左から「XW40-R」「XW30-R」「XW20」セレストロンプローセル25mm。後列左から、イーソス17mm、ニコンNAV-HW12.5mm、SWAN40mm、中国製28mm。

XWシリーズは見ての通り、他社の製品と一目で違う、統一されたデザインです。ごらんの通り、30mmと40mmはうり二つの兄弟(*)。鏡胴部が太めである反面、100°アイピースと比較すると長さが短めに抑えられています。

(*)写真では目当て位置調節の関係で40mmの方が長く見えますが、同じ条件では30mmのほうがほんのすこし長いです。

使いやすいゴム貼り

再発売された製品は「XW40-R」「XW30-R」という製品名となっていますが、基本的に設計仕様は同じものです。

XW40-RとXW20の大きさの比較。高性能・広視界・長焦点のアイピースはみなデカくてかさばるのですが^^; XW30-R/40-Rの存在感もなかなかのものです。本体部分はスリーブ部以外はゴム張りになっていて、持ちやすく冬場でも冷たくないのがいいところ(*)。

(*)例えば前出の画像の一番左、テレビューのイーソスの場合、ゴムのローレット部が細いため、どうしても金属部に指が触れてしまうのですが、XWの場合は雑につかんでも金属部に指が触れることがありません。この違いは厳冬期に使ってみて痛切に感じました。

外装のゴム貼りは、収納・運搬・使用時にぶつかり合ってキズを付ける心配が少ないのも良いところです。アイピースは使ってなんぼ。雑に扱えというわけではないのですが、気を遣わなくて済むに越したことはありません。

かなりの存在感^^

重量を比較してみました。イーソス17mmやニコンNAV-HW 12.5mmよりは軽いですが、それでも600g後半。お値段的にも気楽に手を出すクラスの製品ではないのですが、サイズもお手軽というには大きく、それなりの覚悟が必要です。しかし後述しますが、それだけの価値はじゅうぶんにあります。

低反射率のコーティングと行き届いた内面反射対策

右下の小さなアイピースはシングルコート、当然ではありますが違いは歴然。

XWシリーズの美点の一つが、反射率の低いスーパーマルチコーティングが施されていること。最近の高級アイピースでは全面マルチコートは当たり前ではあるのですが、マルチコートといってもいろいろなレベルがあります(*)。手持ちの他の製品と比較しても、最高レベルの低反射率(ライトの反射が暗い)でした。

(*)ちなみに、6群構成(反射面12面)のレンズの透過率は、コートなし(1面当たり反射率5%)で54%、シングルコート(同2%)で78%、マルチコート(同1%)で89%、マルチコート(同0.5%)で94%、マルチコート(同0.2%)で98%となります。枚数の多い光学系では、「1面当たりの反射率が1%をどれくらい下回るか」が大きく効いてきます。

裏側からみたところ。スリーブ内の内面反射処理も極めて上質で、文句のつけどころのない造りです。ちなみに、2インチスリーブの対物側は48mmのネジになっていて、48mm径(2インチ)フィルターを装着可能になっています。

アイレリーフ20mm・使いやすい目当て部

目当て側のリングを回転させて、メガネ着用が基本なら低く、裸眼が前提なら高くしてアイポイントが適切になるように調整します。

XWシリーズは全ラインナップでアイレリーフが20mmという、メガネ着用時でもストレスを感じない長さに統一されています。さらに、ゴム製の目当ての構造が覗きやすく、アイポイント位置を無段階で簡単に調整することができるのも大きな美点。

さらに、径の大きな目当て部とその内縁が絞り環のように働き、環境光がアイレンズに全く当たらない構造になっているのも隠れた美点(*)。

(*)単純な皿状のアイカップでは、視線方向からの光は遮蔽できても、真横や斜め後ろから入射する光は遮蔽しにくく、街灯など明るい光が近隣にあると、アイレンズやスリーブ内縁で反射して邪魔になることがあります。

この目当て部は外せるようになっています。外すと中には43mmP0.75規格のネジが切ってあり、汎用品のT2マウントアダプタなどを装着して拡大撮影を行うことも可能。この仕様はXWシリーズ全てで共通です。

30mmと40mmの違い

うり二つの30mmと40mmですが、30mmはフィールドレンズが浅い位置にあります。逆に40mmはレンズ面が奥まっているので、汚れたときのクリーニングはちょっと面倒かもしれません(2インチスリーブ部は簡単には外せない感じでした)。

長めのスリーブ

スリーブ先端のテーパーも他社製品よりも大きく面取りされています。筆者の環境では差は感じませんでしたが、キチキチ内筒の場合は差し込みやすいかもしれません。

細かい話なのですが、手持ちの製品と比較すると、上の画像のように2インチスリーブが若干長め。

天頂プリズムなどの製品によっては、スリーブを奥まで差し込むことができず若干浮く場合がありました。まあだからといって何か困るわけではないのですが、光路長がぎりぎりの場合には留意するべきでしょう。

ちなみにXW30-RとXW40-Rは同焦点位置になっています。実視でもピント位置の違いは全く感じられませんでした。

特徴と設計コンセプト

XWシリーズのレンズ構成

ペンタックス天体望遠鏡総合カタログより。 http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/support/catalog/pdf/telescope200812.pdf

HPで公開されているカタログPDFにレンズ構成図が掲載されています。クラシックなプローセルやハイゲンスのようなアイピースと違って、広視野の高性能アイピースは「〜型」という類型化は存在せず、各社が独自の設計を凝らしています。

光学設計の素人である筆者がこの図を見て何がわかるというわけではないのですが、1.25インチスリーブ仕様(3.5mm〜20mm)ではアイレンズ側の4枚がほぼ共通で、その前にスマイスレンズ(バロー)を入れることで焦点距離を変えている設計と見て取れます。

それに対して2インチスリーブ仕様(30/40mm)は、短焦点の設計を単にスケールアップしたのではなく、1.25インチ仕様とは全く別のレンズ設計であることが伺えます。実際に見比べてみても、XW40-R/30-Rは、XW20よりも1ランク上の周辺像でした。

見かけ視界70°

アイピースの見かけ視野別の見え方のイメージ。70度は円い視野全体を無理なく見渡せますが、100度は広すぎて視野全体を見渡すのが難しくなってきます。これは「見える範囲全部が星」という没入感をもたらしますが、視点をぐるりと回さないと視野の端までは見えないのが普通です。

XWの見かけ視界70°というスペックは、100°アイピースが一般化した現在では決して「超広視野」ではありませんが、覗きやすく広いクリアな視界は気持ちの良いものでした。現実問題として、30mmを越える長焦点アイピースの場合、2インチスリーブで100°を実現するのは物理的に困難(*)。「30(40)mm・70°」は2インチサイズアイピースとしては物理限界に近い広さだといえます。

(*)テレビューの100°アイピース「イーソス」は21mmが最長で重量は1kgを越える巨大なものです。3インチスリーブでは30mmの100°アイピースが存在しますが、2.3kgもある超巨大なものになります。

同焦点

XWシリーズは、同一スリーブ径では焦点位置も同じ(同焦点)です。1本だけでも十分よく見える高性能アイピースですが、複数本を併用する場合、このメリットはより大きくなるに違いありません(*)。

(*)接眼レンズを交換したときにピントを合わせ直すのはけっこう面倒なものです。特に100°アイピースは焦点位置が大きく違うものが多いのが残念なところ。これは不便なだけでなく「対象に合わせていろいろなアイピースで楽しむ」という動機を削いでしまうという意味で、大きな障害になると感じています。

瞳の球面収差を考慮

高倍率時の「視野の陰り」の例。スマホでコリメート撮影する際、こんなふうに視野が陰って全体の明るさを一様にするのが難しいものですが、眼視でもそれは同じです。F5ニュートン反射でスマイス入り3mmアイピースを使用。

HPの説明文には「特に瞳の球面収差を考慮し、視野からのブラックアウトを軽減させた」とありますが、これは特に高倍率時に問題になる上の画像のような「エンドウマメ現象」のことです。スマイスレンズを使用したハイアイ(アイレリーフの長い)アイピースでは、眼の位置が少しずれただけで視野が陰ってしまい、眼位置を決めるのに神経を使ってしまうことがあるのです。

ただし、長焦点アイピースの場合は短焦点ほどには問題になりません。今回は短焦点モデルは使用していないので確認できていませんが、機会があれば比較してみたいと思います。

ランタン系高屈折率低分散ガラスを採用

高屈折率・低分散のランタン系硝材の屈折率とアッベ数。コトバンクより引用。https://kotobank.jp/word/光学ガラス-61592

XWアイピースでは、ランタン系の高屈折率低分散ガラスが採用されています。希土類(レアアース)元素の一つであるランタンを配合した硝子材は、屈折率が高い割に分散が少ないため、収差補正に有利に働きます。コストも高いのですが、高性能な光学製品ではEDガラスと並んで広く採用されるようになっています。

防水構造

こんなふうに霜がびっしり降りるようなことは野外では日常茶飯事。防水対応なら安心です。

XWシリーズはJIS防水4級。これは「飛沫に対する保護」で、「水しぶきがかかっても大丈夫だが圧力のかかった噴流に耐えるまではいかない」という基準。夜露でびしょ濡れになることもあるアイピースでは、このレベルの防水性能があれば安心でしょう(*)。

(*)当然ですが積極的に濡らしてしまうようなことは避けましょう^^ 

実視レビュー

毎度、前置きが長くなりましたが、実視レビューです。今回、いろいろな望遠鏡の組み合わせで楽しむことができました。その印象をまとめてみました。

長焦点アイピースの存在意義

フラットフィールドの屈折アポ、FSQ106ED。1.6倍のエクステンダーを入れてF8、XW40-Rで21倍、瞳径5mm、エクステンダーなしならXW30-Rで18倍、瞳径6mmです。

焦点距離30mm、40mmという長焦点アイピースの存在意義は何か。それは勿論、低倍率で星を見るためにあります。近年よく耳にする、気持ちよく星を見ることができる最低倍率(*)である「瞳径5mm」となるアイピースの焦点距離は、F8の鏡筒では40mm、F6の鏡筒で30mmになります。XW30-RとxW40-Rは、F値の大きな鏡筒で瞳径5〜7mmで使うためにあるのです。

(*)人間の瞳孔は最大7mm程度まで開くのでもう少し低倍率でも光は無駄にならないのですが、日本の郊外のような街灯りの影響のある空では7mmでは背景が明るくなりすぎるため5mmくらいが適切ではないか、という説。ちなみに、瞳径は「アイピースの焦点距離÷F値」で簡単に計算できます。

見かけ視野70°で20倍なら実視野は約3.5°。オリオン座の3つ星が3つとも視野に収まります。天の川の中に散らばる散開星団を流したり、バラ星雲のような淡い対象を気合を入れて見るのに最適な倍率です。

オリオン大星雲の眼視イメージをできるだけ忠実に再現してみました。XW40-Rで21倍、FSQ106ED(F8)で観望したときの印象。

F8のアポ屈折でM42を見てみました。倍率21倍、瞳径5mmです。残念ながら筆者の裸眼はあまり性能がよろしくなく、特に左目では中心でもメガネで矯正しても非点収差(乱視)のため星像が点になりません。大きな瞳径の状態での光学性能をチェックするには若干問題のある眼である(*)ことをあらかじめお断りしておきます。

(*)カメラレンズの絞りを開けるほど収差の影響が大きくなるのと同じように、人間の眼も瞳径が大きい方が眼そのものの収差(乱視など)の影響を大きくうけます。

そんなヘボな眼ではあるものの、XW30-R/40Rの星像は素晴らしいものでした。クリアでシャープな中心像、広い視界と良像範囲。所有している他社の40mm70°アイピースとはあきらかに違いました。やっぱりいいアイピースで星を見ると違います。

XW40-Rで40倍、C8(口径20cmF8)で観望したときの印象。

シュミカセのようなFの大きな大口径望遠鏡では、25mmのアイピースでは80倍にもなってしまいます。もちろんこの倍率で楽しめる天体はたくさんあるのですが、大きな天体や淡い天体ではもう少し低倍率で見たいもの。上の画像は20cmF10のシュミカセでオリオン大星雲を見た印象ですが、大星雲の広がりを見るにはちょうど良い倍率です。見かけ視野は1.4°。これくらいの広さがあれば、手動導入にもあまり苦にならないでしょう。

XW30-R/40-RでC8でM42を見ましたが、良像範囲は主に対物側で決まってきている印象でした。周辺部にいくほど像面湾曲+その他の収差でピントが甘くなります。しかし、この「周辺の甘さ」を感じるのは周辺に明るい星がある場合で、暗い対象を見る場合にはほとんど気になりません。

天文マニア・機材マニアはとかく周辺像を気にしてしまうものですが、よほどひどいものではないかぎり、観望における「実害」というのは実は限定的なようです。

周辺像

フラットフィールドな光学系とそうでない光学系の比較のイメージ図。左の画像は、右の画像をPSで「ぼかし・放射状」をかけて、円形のグラデーションマスクをかけたものです。

必然的に低倍率・広視野となるXW30-RやXW40-Rの場合、対物光学系の性能、特に周辺像が大きく影響してきます。

一般に、天体望遠鏡は中心部で最高の性能を発揮するように設計されていて、周辺では像面湾曲と非点収差(光学系によってはさらにコマ収差)が大きく残っているのが普通です(*)。そこで、周辺像の細かなチェックには、フラットフィールドであるタカハシのFSQ106EDに1.6倍のエクステンダーを装着した状態で行いました。

(*)2枚玉、3枚玉の屈折望遠鏡、ニュートン反射、カセグレン、シュミットカセグレンなど。

XW30-R/40-Rともに周辺の半径1/4〜1/5くらいまでは良像といって良いでしょう。像面湾曲もわずかに残ってはいますがほぼフラットフィールドといって差し支えのないレベルです。それに対して、XW20は半径1/3〜1/4までが良像で、像面湾曲もXW30-R/40-Rよりも大きくなっています。周辺像の観点ではあきらかな差がありました。

XW30-R/40Rの性能をフル発揮するには

周辺像チェックに使用したシステム構成。筆者の個人的一番のお気に入りは、エクステンダーとXW40-Rの組み合わせ。F8屈折とXW40-Rは、瞳径5mmの最高の天の川スコープです。実はこのために一度売ってしまった「エクステンダー1.6x」を中古で再購入してしまいました^^

前項の結果からわかるように、XW30-R/40-Rの本来の性能を最高に発揮するには、フラットフィールドな対物光学系(*)が望ましいといえます。これはXWに限らずすべての光学系で言えることなのですが、より低倍率で実視界が広くなるXW30-R/40-Rでは、それがより顕著になるのでしょう。

(*)パラコアのようなコマコレを使用したニュートン反射、FSQのようなフラットフィールドなフォト鏡筒。εもフラットですが、F値が明るいので30mmでも倍率が低すぎになります。屈折用のフラットナーは写真用途しか想定しない製品がほとんどなのが若干残念ではあります。

とはいえ「フラットフィールドでない光学系」であっても、はっきり言ってじゅうぶんに楽しめます。前項の画像を拡大して、目を思い切り近づけて見てみてください。人間の眼は70度もある視野のはしっこでは、少々ボケていても気にならないものです^^

最高の結像を求めるならプリズムではなくミラー

苦しい姿勢ですが、直視で。結像性能をきちんと評価するにはプリズム・ミラーを使わない「直視」でも見ておかなくてはなりません^^;; この実機ではミラーと直視はほぼ同じ見え方でしたが、正立プリズムでは明瞭な差を感じました。

地平高度の高い対象を見るためには、天頂プリズムのような「90°視」ツールが必要になりますが、これによって像が悪化することがあるのに注意が必要です。十分精度の高い「ミラー」なら心配ありませんが、ガラスの中を光が通る「プリズム」の場合は像が悪化することがあります(*)

(*)逆に組み合わせによっては対物側の収差を打ち消す方向にはたらき、よりよく見えることがある、という意見も聞いたことがあります。

特に高倍率の場合、プリズムによる色収差で像が虹色に滲んでしまうことがあるのは良く知られていますが、最低有効倍率付近ではどうなるのでしょうか。

今回フラットフィールドのFSQ106ED(エクステンダー入り・F8)で見比べてみたところ、より高倍率(40倍)となるXW20の場合はほとんどミラーとプリズムの差が感じられない一方で、XW40-R(20倍)では、正立プリズムでは周辺像の悪化(主に非点収差による同心方向の流れ)が明瞭に感じられました(*)。

(*)XW20とXW40では、像面の平坦性・周辺像ともにそれなりの差があります。より周辺像が優秀で視野が広い場合は、プリズムによる像の悪化が顕在化するのではないでしょうか。

「低倍率なら正立プリズムによる像の悪化は心配ない」と思っていたのですが、認識を新たにしました。最高の性能を求めるなら、高倍率でも低倍率でも、ミラーの方がベターであるといえます(*)。

(*)一方で、コマコレなしのニュートン反射やFの明るいフラットナーなしの屈折など、元々周辺像がそれなりに悪化する鏡筒なら、その差はほとんど感じられないでしょう。

強い糸巻型の歪曲は広視野アイピースの「特性」

FSQ106ED エクステンダー1.6使用 iPhone6Sでコリメート撮影。見かけ視野70度のXWシリーズはスマホでは視野がはみ出してしまいますし、あくまで参考程度にごらんください。

昼間の風景も見てみました。昼間のような明るい環境では人間の瞳は2mm程度にまで小さくなってしまうため、瞳径が大きくなる低倍率でのアイピースの「結像性能評価」をするにはあまり向いた対象とは言えませんが(*)、ビルの壁などで歪曲収差をチェックするのには向いています。

(*)口径を瞳径の分だけ絞ったのと同じ結果になるため、対物・接眼ともに収差の出方が変わってしまいます。

上の画像はXW40-Rで、スマホのコリメートで撮影したもの。一目、強い糸巻き型の歪曲収差が出ていますが、広視野の「天体用」アイピースではこれが一般的な傾向です(*)。

(*)広視野アイピースでカメラレンズのように「直線が曲がらない」ように歪曲収差を補正してしまうと、逆に周辺部での「別の」ゆがみが顕著になってしまい、不自然に感じることがあるというのがテレビュー社の見解ですが、筆者はこれには半分以上同意します。天体では直線の対象はほとんどありません。惑星が楕円になる方が気持ち悪いと感じますし、無理に歪曲を補正するくらいなら他の収差を補正してほしいと思います。

FSQ106ED エクステンダー1.6使用 iPhone6Sでコリメート撮影。上の画像では顕著に曲がって見えるのですが、肉眼で見た場合は曲がりの大きな部分は視野の端っこになるため、ここまで曲がっては感じません。

こちらはXW30-Rで。歪曲の傾向は40mmとほぼ同じです。この歪曲がイヤなら、歪曲収差を抑えた別の設計コンセプトの製品(北軽井沢観測所のLavenduraシリーズや、賞月観星のUFシリーズなど)を選ぶべきでしょう。

いろいろな機材で

今回、そのほか、いろいろな望遠鏡の組み合わせで楽しむことができました。その印象をまとめてみました。

セレストロン・C8シュミットカセグレン(F10)

焦点距離約2000mm。XW40-Rで50倍、瞳径4mm、XW30-Rで67倍、瞳径3mmです。


F10と焦点距離の長いシュミカセでは、低倍率を得るのには長い焦点距離のアイピースが必要になります。淡い対象・広がった対象の場合はもう少し長焦点が欲しくはなりますが、見かけ視界70°のXWはシュミカセで最も広い視野が得られるチョイスといえるでしょう。

XW40-R、XW30-Rだけでなく、他にもいろいろなアイピースで見てみましたが、周辺部ではアイピース側の収差よりもむしろ対物側のコマと像面湾曲の影響でそれなりに像は乱れます。まあこれは対物側の仕様なのでしようのないことでしょう。こだわり抜くなら、シュミカセであればEdge-800のような補正レンズ入りの光学系がベターです。

とはいえ、大口径の威力はすごい。圧巻はM42オリオン大星雲です。XW-40Rの50倍では、完全に分離したトラペジウムや台形に輝く中心部と入り組んだ暗黒部、広がった2本の羽根など、いやーいいものを見たよ、的な印象。

他にM36/37/38やM46/47も見ました。中倍率以上で見ると散開星団は星がまばらになって寂しい印象になるのですが、40mmの50倍ならまばら感もあまり感じません。20cmの大口径で見る散開星団は輝星の輝きと色の差、微光星の大群が素晴らしい眺めでした。XW30-R/40-Rはシュミカセでも大いにオススメです。

XW20を使用すると100倍、瞳径2mm。この倍率になるとM42の中心部の拡大像はさらに迫力です。小あれい星雲M76も特徴的な形がよく見えました。20cm・100倍は惑星状星雲や球状星団を見るスタンダードとして好適でしょう。

笠井GINJI200(F4)

焦点距離800mm、XW40-Rで20倍、瞳径10mm、XW30-Rで27倍、瞳径7.5mmです。コマコレは非使用。

口径20cmのF4ニュートン反射、GINJI。F4の対物光学系でXW30-R/40-Rを組み合わせると、最低有効倍率より低倍率になってしまうため若干光量を損してしまう組み合わせですが、これがなかなかよく見えました。

周辺像もなぜかシュミカセよりも良好で(*)、コマや像面湾曲もあまり気になりません。瞳径が大きいせいで背景の空が明るめですが、シュミカセよりも倍率が低いため、散開星団を見るにはさらに良い感じです。

(*)この結果には未だに納得がいっていません。。。カセグレン系の像面湾曲は同一F値ではニュートン反射よりもずっと大きくなります。尾は引くものの星像に「芯」のあるコマ収差よりも、全体的にボケる像面湾曲の方が、眼視では影響が大きいということなのでしょうか。

F4〜F5のニュートンにXW30-Rは、ネビュラフィルター(OIIIやQBP、Hβなど)の組み合わせも面白そうです。ネビュラフィルターで背景を暗くすれば、瞳径7mm前後で極限に淡い対象にチャレンジできるでしょう、。

ケンコー・スカイエクスプローラーSE120(F5)

姿勢がちょっと苦しい^^;;

口径12cmのF5アクロマート屈折、スカイエクスプローラSE120。XW40-Rで15倍、瞳径8mm、XW30-Rで20倍、瞳径6mmです。ディープスカイの眼視なら、アクロマートの色収差はF5でも問題にはなりません。こちらも対物側の収差のため周辺像は若干乱れますが、30mmで天の川を流すのはなかなかの眺め。

この鏡筒で見る場合は、XW30/40Rよりも、XW20のほうが周辺像はより良好に感じられました(*)。

(*)XW20では接眼レンズ側の像面湾曲が若干残っている(周辺ほどピント位置が対物側になる)のが、対物側の収差を打ち消す方向に働いたのでしょうか。

XWシリーズのその他のラインナップ

リコーイメージング株式会社・アイピースXWシリーズ
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/binoculars/scope/xw/
ペンタックスHPの総合カタログPDFより抜粋。http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/support/catalog/pdf/telescope200812.pdf

XWシリーズのラインナップは√2倍の焦点刻みで全8本。今回レビューした40mm、30mm、20mmに加えて、14mm、10mm、7mm、5mm、3.5mmがラインナップされています。

同焦点・同一見かけ視界・同一アイレリーフでここまでの広い焦点域が揃っているのも、ペンタックスXWシリーズの大きな特長といえます。

特筆すべきは同社のスポッティングスコープ(フィールドスコープ)。ペンタックスのスポッティングスコープは、接眼レンズの規格が1.25インチスリーブのため、XWシリーズの接眼レンズを使用することができます(*)。

(*)XW7,XW10,XW14,XW20の4本。

どんな人に向いているか

「アイピース探訪」では初登場、脳内ユーザーの声です。年齢、コメントは編集部が創作したもので、登場する人物とは全く関係ありません。フリー素材「PAKUTASO」を使用しています。https://www.pakutaso.com

長焦点光学系の低倍率レンジ用として

XW30-R/40-Rは、数少ない長焦点の広視野アイピースです。F6〜8クラスの鏡筒をお持ちの方には、最低倍率用として1本いかがでしょうか。この倍率で楽しいのはなんといっても天の川。より広く明るくしたいならXW40-Rを、すこし大きめにじっくり見たいときはXW-30Rのセレクトがいいでしょう。8cmF8なら40mmで16倍。5cmクラスの双眼鏡よりも1ランク上の星空流しが楽しめるでしょう。

F4クラスのニュートンでも、撮影用の2インチスリーブエクステンダーを使えばXW30-Rで瞳径5mm強、フラットフィールドな眼視観望を楽しめることでしょう(*)。

(*)製品の組み合わせによってはピントがでない可能性もあります。合焦可能かどうかは販売店にお問い合わせ下さい。

若い人にこそ見て欲しい低倍率

50歳も半ばを越えた筆者からの、若い人たちへのメッセージです。低倍率は若さの特権です。年齢を重ねると低倍率の観望クオリティは残念ながら下がる一方。「視野の端まで針で突いたような、星また星に埋もれた眺め」を、ぜひ若いうちに体験してほしいものです。筆者が若い頃は残念ながらこんな良いアイピースはまだありませんでした。ぜひ筆者の代わりに^^体験してほしいと思います。

オールラウンド眼視

最近は安価でよく見えるアイピースが各社から出てはいるのですが、眼視デビューの最初の1本には「XW20」がオススメです。狭すぎず、広すぎず。クリアでシャープな70°の視界。写真派の方も、撮影前のウォーミングアップ?や放置撮影の合間のお気軽観望はいかがでしょう。そんな用途にも、かさばらないXW20は最高のパートナーとなるでしょう。

同焦点の利便性を生かしてフル/ハーフセット運用で

魅力的な各社の製品を「バラ」で買い集めてしまうと、大きさや使い勝手、そして焦点位置の異なるいろんなアイピースが増えてしまいます。「一丁、眼視をどっぷり初めてみるか!」という向きには、XWシリーズで揃えてしまうのも手です^^

まとめ

XW30Rでオリオン大星雲M42を観望中。実は中〜高倍率のほうが面白い対象なのですが、低倍率でネビュラフィルタを入れて「どこまで淡い外部が見られるか」にチャレンジ中。

いかがでしたか?

ペンタックスのXW30-R/40-Rアイピースは、F値の長めの鏡筒における低倍率用として、プレミアムコースの決定版ともいえる製品だと感じました。低倍率用として、この2本のどちらか(ないしは両方^^)を揃えれば、貴方の「Quality Of 観望ライフ」はきっと1ランクアップするはずです。

それ以外の「1.25インチスリーブ」のペンタックスのXWシリーズも、見かけ視野70°・アイレリーフ20mm、そして焦点位置が全ラインナップで統一され、とても使いやすいのが特徴。しかもすっきりよく見える。筆者はXW20を購入して丸5年使っていますが、一番稼働率の高いアイピースになっています。なんといっても全てのバランスが最高。無人島に1本持って行くなら間違いなくXW20を持って行きます!

XW30-R/40-Rの実売税込価格は5万円強、1.25インチシリーズで実売税込3万弱と決して安い製品ではありませんが、高品質のアイピースはほとんど一生モノです。望遠鏡を買い増ししてもそのまま使える、1粒で鏡筒の本数分嬉しいのがアイピース。XWシリーズは、観望にこだわりのある天文ファンにオススメできる良い製品でした!。


  • この記事はリコーイメージング株式会社様に機材貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で執筆したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
  • 本記事は極力客観的に実視をもとに作成していますが、本記事によって発生した読者様の事象についてはその一切について責任を負いかねますことをご了承下さい。
  • アイピースは使用する鏡筒や接続環、プリズムなどによってピントが出ない場合があります。購入をされる場合は十分に検討ください。接続の組み合わせについてのお問い合わせは、機材をご購入ないしはご購入予定の販売店様にお願いいたします。
  • 参考文献:「天文アマチュアのための望遠鏡光学・屈折編」 1989 吉田正太郎
  • 機材の価格・仕様は執筆時(2020年1月)のものです。

 

 

http://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2020/01/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-1024x538.jpghttp://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2020/01/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-150x150.jpg編集部HOT!アイピース探訪天リフ眼視推進委員会がお送りする「アイピース探訪」シリーズ。第4回はリコーイメージング製のペンタックスXWシリーズ、「XW40-R」、「XW30-R」、「XW20」です! 天体望遠鏡としてのペンタックス リコーイメージング株式会社・双眼鏡・望遠鏡 http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/binoculars/ ペンタックス(旧社名は旭光学工業)は、1970年代以降、ハイエンドの高性能な天体望遠鏡をアマチュアや公共天文台などに提供していました。上の画像は2008年版の最後の天体望遠鏡総合カタログですが、現在でも十分通用する名機が多数含まれていて、特にオールド天文ファンの間ではペンタックスの天体望遠鏡は非常に高く評価されています。 多くの天リフ読者にはご紹介するまでもないのですが、さまざまな再編を経てペンタックスは現在は「リコーイメージング株式会社」の1大ブランドとして、デジタルカメラや光学製品の製造・販売を行っています。ここでは、特に若い世代に対して、改めて「ペンタックス(PENTAX)ブランドの天体望遠鏡」の存在を銘記したいと思います。 リコーイメージング・天体撮影から考える Why PENTAX? http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/photo-life/astro/ ペンタックスは2008年に天体望遠鏡の製造販売から撤退していますが、デジタル一眼レフの「アストロトレーサー」や、天体改造なしでもHαの赤い星雲が良く写るイメージセンサー、星景写真を想定したヒーターの熱が回りやすい構造のレンズのような、天文ファンを強く意識した製品開発を行っているのも、この「天体望遠鏡のDNA」が脈々と流れているからでしょう。 復刻された40mmと30mm 天体望遠鏡用アイピース『smc PENTAX XW』シリーズ2機種~ユーザーからの要望に応えて再発売~  http://news.ricoh-imaging.co.jp/rim_info/2019/20191206_028231.html 天体望遠鏡本体からは撤退したものの、今回ご紹介する「XWシリーズアイピース」は現在も継続して製造・販売されています。しかし、その中の長焦点タイプ「XW30(mm)」と「XW40(mm)」は製造が中止されていました。製造中止以降、この2つの製品はヤフオクなどで高値で売買されるなど、依然として高い人気を博していました。 そんな中、昨年末にペンタックスからXW30とXW40の再発売がアナウンスされました。筆者は実はXW20ユーザーで、現在も一番稼働率の高いアイピース。今回、リコーイメージング様のご厚意で製品をお借りすることができ、この「アイピース探訪」で取り上げることになった次第です。 非常に高い期待値で迎え入れた2本のアイピースですが、結論から言って期待通りでした。いいアイピースで見る星空はやっぱり違います。以下、その詳細のレビューをお届けします。 外観 XWシリーズは見ての通り、他社の製品と一目で違う、統一されたデザインです。ごらんの通り、30mmと40mmはうり二つの兄弟(*)。鏡胴部が太めである反面、100°アイピースと比較すると長さが短めに抑えられています。 (*)写真では目当て位置調節の関係で40mmの方が長く見えますが、同じ条件では30mmのほうがほんのすこし長いです。 使いやすいゴム貼り XW40-RとXW20の大きさの比較。高性能・広視界・長焦点のアイピースはみなデカくてかさばるのですが^^; XW30-R/40-Rの存在感もなかなかのものです。本体部分はスリーブ部以外はゴム張りになっていて、持ちやすく冬場でも冷たくないのがいいところ(*)。 (*)例えば前出の画像の一番左、テレビューのイーソスの場合、ゴムのローレット部が細いため、どうしても金属部に指が触れてしまうのですが、XWの場合は雑につかんでも金属部に指が触れることがありません。この違いは厳冬期に使ってみて痛切に感じました。 外装のゴム貼りは、収納・運搬・使用時にぶつかり合ってキズを付ける心配が少ないのも良いところです。アイピースは使ってなんぼ。雑に扱えというわけではないのですが、気を遣わなくて済むに越したことはありません。 かなりの存在感^^ 重量を比較してみました。イーソス17mmやニコンNAV-HW 12.5mmよりは軽いですが、それでも600g後半。お値段的にも気楽に手を出すクラスの製品ではないのですが、サイズもお手軽というには大きく、それなりの覚悟が必要です。しかし後述しますが、それだけの価値はじゅうぶんにあります。 低反射率のコーティングと行き届いた内面反射対策 XWシリーズの美点の一つが、反射率の低いスーパーマルチコーティングが施されていること。最近の高級アイピースでは全面マルチコートは当たり前ではあるのですが、マルチコートといってもいろいろなレベルがあります(*)。手持ちの他の製品と比較しても、最高レベルの低反射率(ライトの反射が暗い)でした。 (*)ちなみに、6群構成(反射面12面)のレンズの透過率は、コートなし(1面当たり反射率5%)で54%、シングルコート(同2%)で78%、マルチコート(同1%)で89%、マルチコート(同0.5%)で94%、マルチコート(同0.2%)で98%となります。枚数の多い光学系では、「1面当たりの反射率が1%をどれくらい下回るか」が大きく効いてきます。 裏側からみたところ。スリーブ内の内面反射処理も極めて上質で、文句のつけどころのない造りです。ちなみに、2インチスリーブの対物側は48mmのネジになっていて、48mm径(2インチ)フィルターを装着可能になっています。 アイレリーフ20mm・使いやすい目当て部 XWシリーズは全ラインナップでアイレリーフが20mmという、メガネ着用時でもストレスを感じない長さに統一されています。さらに、ゴム製の目当ての構造が覗きやすく、アイポイント位置を無段階で簡単に調整することができるのも大きな美点。 さらに、径の大きな目当て部とその内縁が絞り環のように働き、環境光がアイレンズに全く当たらない構造になっているのも隠れた美点(*)。 (*)単純な皿状のアイカップでは、視線方向からの光は遮蔽できても、真横や斜め後ろから入射する光は遮蔽しにくく、街灯など明るい光が近隣にあると、アイレンズやスリーブ内縁で反射して邪魔になることがあります。 この目当て部は外せるようになっています。外すと中には43mmP0.75規格のネジが切ってあり、汎用品のT2マウントアダプタなどを装着して拡大撮影を行うことも可能。この仕様はXWシリーズ全てで共通です。 30mmと40mmの違い うり二つの30mmと40mmですが、30mmはフィールドレンズが浅い位置にあります。逆に40mmはレンズ面が奥まっているので、汚れたときのクリーニングはちょっと面倒かもしれません(2インチスリーブ部は簡単には外せない感じでした)。 長めのスリーブ 細かい話なのですが、手持ちの製品と比較すると、上の画像のように2インチスリーブが若干長め。 天頂プリズムなどの製品によっては、スリーブを奥まで差し込むことができず若干浮く場合がありました。まあだからといって何か困るわけではないのですが、光路長がぎりぎりの場合には留意するべきでしょう。 ちなみにXW30-RとXW40-Rは同焦点位置になっています。実視でもピント位置の違いは全く感じられませんでした。 特徴と設計コンセプト XWシリーズのレンズ構成 HPで公開されているカタログPDFにレンズ構成図が掲載されています。クラシックなプローセルやハイゲンスのようなアイピースと違って、広視野の高性能アイピースは「〜型」という類型化は存在せず、各社が独自の設計を凝らしています。 光学設計の素人である筆者がこの図を見て何がわかるというわけではないのですが、1.25インチスリーブ仕様(3.5mm〜20mm)ではアイレンズ側の4枚がほぼ共通で、その前にスマイスレンズ(バロー)を入れることで焦点距離を変えている設計と見て取れます。 それに対して2インチスリーブ仕様(30/40mm)は、短焦点の設計を単にスケールアップしたのではなく、1.25インチ仕様とは全く別のレンズ設計であることが伺えます。実際に見比べてみても、XW40-R/30-Rは、XW20よりも1ランク上の周辺像でした。 見かけ視界70° XWの見かけ視界70°というスペックは、100°アイピースが一般化した現在では決して「超広視野」ではありませんが、覗きやすく広いクリアな視界は気持ちの良いものでした。現実問題として、30mmを越える長焦点アイピースの場合、2インチスリーブで100°を実現するのは物理的に困難(*)。「30(40)mm・70°」は2インチサイズアイピースとしては物理限界に近い広さだといえます。 (*)テレビューの100°アイピース「イーソス」は21mmが最長で重量は1kgを越える巨大なものです。3インチスリーブでは30mmの100°アイピースが存在しますが、2.3kgもある超巨大なものになります。 同焦点 XWシリーズは、同一スリーブ径では焦点位置も同じ(同焦点)です。1本だけでも十分よく見える高性能アイピースですが、複数本を併用する場合、このメリットはより大きくなるに違いありません(*)。 (*)接眼レンズを交換したときにピントを合わせ直すのはけっこう面倒なものです。特に100°アイピースは焦点位置が大きく違うものが多いのが残念なところ。これは不便なだけでなく「対象に合わせていろいろなアイピースで楽しむ」という動機を削いでしまうという意味で、大きな障害になると感じています。 瞳の球面収差を考慮 HPの説明文には「特に瞳の球面収差を考慮し、視野からのブラックアウトを軽減させた」とありますが、これは特に高倍率時に問題になる上の画像のような「エンドウマメ現象」のことです。スマイスレンズを使用したハイアイ(アイレリーフの長い)アイピースでは、眼の位置が少しずれただけで視野が陰ってしまい、眼位置を決めるのに神経を使ってしまうことがあるのです。 ただし、長焦点アイピースの場合は短焦点ほどには問題になりません。今回は短焦点モデルは使用していないので確認できていませんが、機会があれば比較してみたいと思います。 ランタン系高屈折率低分散ガラスを採用 XWアイピースでは、ランタン系の高屈折率低分散ガラスが採用されています。希土類(レアアース)元素の一つであるランタンを配合した硝子材は、屈折率が高い割に分散が少ないため、収差補正に有利に働きます。コストも高いのですが、高性能な光学製品ではEDガラスと並んで広く採用されるようになっています。 防水構造 XWシリーズはJIS防水4級。これは「飛沫に対する保護」で、「水しぶきがかかっても大丈夫だが圧力のかかった噴流に耐えるまではいかない」という基準。夜露でびしょ濡れになることもあるアイピースでは、このレベルの防水性能があれば安心でしょう(*)。 (*)当然ですが積極的に濡らしてしまうようなことは避けましょう^^  実視レビュー 毎度、前置きが長くなりましたが、実視レビューです。今回、いろいろな望遠鏡の組み合わせで楽しむことができました。その印象をまとめてみました。 長焦点アイピースの存在意義 焦点距離30mm、40mmという長焦点アイピースの存在意義は何か。それは勿論、低倍率で星を見るためにあります。近年よく耳にする、気持ちよく星を見ることができる最低倍率(*)である「瞳径5mm」となるアイピースの焦点距離は、F8の鏡筒では40mm、F6の鏡筒で30mmになります。XW30-RとxW40-Rは、F値の大きな鏡筒で瞳径5〜7mmで使うためにあるのです。 (*)人間の瞳孔は最大7mm程度まで開くのでもう少し低倍率でも光は無駄にならないのですが、日本の郊外のような街灯りの影響のある空では7mmでは背景が明るくなりすぎるため5mmくらいが適切ではないか、という説。ちなみに、瞳径は「アイピースの焦点距離÷F値」で簡単に計算できます。 見かけ視野70°で20倍なら実視野は約3.5°。オリオン座の3つ星が3つとも視野に収まります。天の川の中に散らばる散開星団を流したり、バラ星雲のような淡い対象を気合を入れて見るのに最適な倍率です。 F8のアポ屈折でM42を見てみました。倍率21倍、瞳径5mmです。残念ながら筆者の裸眼はあまり性能がよろしくなく、特に左目では中心でもメガネで矯正しても非点収差(乱視)のため星像が点になりません。大きな瞳径の状態での光学性能をチェックするには若干問題のある眼である(*)ことをあらかじめお断りしておきます。 (*)カメラレンズの絞りを開けるほど収差の影響が大きくなるのと同じように、人間の眼も瞳径が大きい方が眼そのものの収差(乱視など)の影響を大きくうけます。 そんなヘボな眼ではあるものの、XW30-R/40Rの星像は素晴らしいものでした。クリアでシャープな中心像、広い視界と良像範囲。所有している他社の40mm70°アイピースとはあきらかに違いました。やっぱりいいアイピースで星を見ると違います。 シュミカセのようなFの大きな大口径望遠鏡では、25mmのアイピースでは80倍にもなってしまいます。もちろんこの倍率で楽しめる天体はたくさんあるのですが、大きな天体や淡い天体ではもう少し低倍率で見たいもの。上の画像は20cmF10のシュミカセでオリオン大星雲を見た印象ですが、大星雲の広がりを見るにはちょうど良い倍率です。見かけ視野は1.4°。これくらいの広さがあれば、手動導入にもあまり苦にならないでしょう。 XW30-R/40-RでC8でM42を見ましたが、良像範囲は主に対物側で決まってきている印象でした。周辺部にいくほど像面湾曲+その他の収差でピントが甘くなります。しかし、この「周辺の甘さ」を感じるのは周辺に明るい星がある場合で、暗い対象を見る場合にはほとんど気になりません。 天文マニア・機材マニアはとかく周辺像を気にしてしまうものですが、よほどひどいものではないかぎり、観望における「実害」というのは実は限定的なようです。 周辺像 必然的に低倍率・広視野となるXW30-RやXW40-Rの場合、対物光学系の性能、特に周辺像が大きく影響してきます。 一般に、天体望遠鏡は中心部で最高の性能を発揮するように設計されていて、周辺では像面湾曲と非点収差(光学系によってはさらにコマ収差)が大きく残っているのが普通です(*)。そこで、周辺像の細かなチェックには、フラットフィールドであるタカハシのFSQ106EDに1.6倍のエクステンダーを装着した状態で行いました。 (*)2枚玉、3枚玉の屈折望遠鏡、ニュートン反射、カセグレン、シュミットカセグレンなど。 XW30-R/40-Rともに周辺の半径1/4〜1/5くらいまでは良像といって良いでしょう。像面湾曲もわずかに残ってはいますがほぼフラットフィールドといって差し支えのないレベルです。それに対して、XW20は半径1/3〜1/4までが良像で、像面湾曲もXW30-R/40-Rよりも大きくなっています。周辺像の観点ではあきらかな差がありました。 XW30-R/40Rの性能をフル発揮するには 前項の結果からわかるように、XW30-R/40-Rの本来の性能を最高に発揮するには、フラットフィールドな対物光学系(*)が望ましいといえます。これはXWに限らずすべての光学系で言えることなのですが、より低倍率で実視界が広くなるXW30-R/40-Rでは、それがより顕著になるのでしょう。 (*)パラコアのようなコマコレを使用したニュートン反射、FSQのようなフラットフィールドなフォト鏡筒。εもフラットですが、F値が明るいので30mmでも倍率が低すぎになります。屈折用のフラットナーは写真用途しか想定しない製品がほとんどなのが若干残念ではあります。 とはいえ「フラットフィールドでない光学系」であっても、はっきり言ってじゅうぶんに楽しめます。前項の画像を拡大して、目を思い切り近づけて見てみてください。人間の眼は70度もある視野のはしっこでは、少々ボケていても気にならないものです^^ 最高の結像を求めるならプリズムではなくミラー 地平高度の高い対象を見るためには、天頂プリズムのような「90°視」ツールが必要になりますが、これによって像が悪化することがあるのに注意が必要です。十分精度の高い「ミラー」なら心配ありませんが、ガラスの中を光が通る「プリズム」の場合は像が悪化することがあります(*)。 (*)逆に組み合わせによっては対物側の収差を打ち消す方向にはたらき、よりよく見えることがある、という意見も聞いたことがあります。 特に高倍率の場合、プリズムによる色収差で像が虹色に滲んでしまうことがあるのは良く知られていますが、最低有効倍率付近ではどうなるのでしょうか。 今回フラットフィールドのFSQ106ED(エクステンダー入り・F8)で見比べてみたところ、より高倍率(40倍)となるXW20の場合はほとんどミラーとプリズムの差が感じられない一方で、XW40-R(20倍)では、正立プリズムでは周辺像の悪化(主に非点収差による同心方向の流れ)が明瞭に感じられました(*)。 (*)XW20とXW40では、像面の平坦性・周辺像ともにそれなりの差があります。より周辺像が優秀で視野が広い場合は、プリズムによる像の悪化が顕在化するのではないでしょうか。 「低倍率なら正立プリズムによる像の悪化は心配ない」と思っていたのですが、認識を新たにしました。最高の性能を求めるなら、高倍率でも低倍率でも、ミラーの方がベターであるといえます(*)。 (*)一方で、コマコレなしのニュートン反射やFの明るいフラットナーなしの屈折など、元々周辺像がそれなりに悪化する鏡筒なら、その差はほとんど感じられないでしょう。 強い糸巻型の歪曲は広視野アイピースの「特性」 昼間の風景も見てみました。昼間のような明るい環境では人間の瞳は2mm程度にまで小さくなってしまうため、瞳径が大きくなる低倍率でのアイピースの「結像性能評価」をするにはあまり向いた対象とは言えませんが(*)、ビルの壁などで歪曲収差をチェックするのには向いています。 (*)口径を瞳径の分だけ絞ったのと同じ結果になるため、対物・接眼ともに収差の出方が変わってしまいます。 上の画像はXW40-Rで、スマホのコリメートで撮影したもの。一目、強い糸巻き型の歪曲収差が出ていますが、広視野の「天体用」アイピースではこれが一般的な傾向です(*)。 (*)広視野アイピースでカメラレンズのように「直線が曲がらない」ように歪曲収差を補正してしまうと、逆に周辺部での「別の」ゆがみが顕著になってしまい、不自然に感じることがあるというのがテレビュー社の見解ですが、筆者はこれには半分以上同意します。天体では直線の対象はほとんどありません。惑星が楕円になる方が気持ち悪いと感じますし、無理に歪曲を補正するくらいなら他の収差を補正してほしいと思います。 こちらはXW30-Rで。歪曲の傾向は40mmとほぼ同じです。この歪曲がイヤなら、歪曲収差を抑えた別の設計コンセプトの製品(北軽井沢観測所のLavenduraシリーズや、賞月観星のUFシリーズなど)を選ぶべきでしょう。 いろいろな機材で 今回、そのほか、いろいろな望遠鏡の組み合わせで楽しむことができました。その印象をまとめてみました。 セレストロン・C8シュミットカセグレン(F10) F10と焦点距離の長いシュミカセでは、低倍率を得るのには長い焦点距離のアイピースが必要になります。淡い対象・広がった対象の場合はもう少し長焦点が欲しくはなりますが、見かけ視界70°のXWはシュミカセで最も広い視野が得られるチョイスといえるでしょう。 XW40-R、XW30-Rだけでなく、他にもいろいろなアイピースで見てみましたが、周辺部ではアイピース側の収差よりもむしろ対物側のコマと像面湾曲の影響でそれなりに像は乱れます。まあこれは対物側の仕様なのでしようのないことでしょう。こだわり抜くなら、シュミカセであればEdge-800のような補正レンズ入りの光学系がベターです。 とはいえ、大口径の威力はすごい。圧巻はM42オリオン大星雲です。XW-40Rの50倍では、完全に分離したトラペジウムや台形に輝く中心部と入り組んだ暗黒部、広がった2本の羽根など、いやーいいものを見たよ、的な印象。 他にM36/37/38やM46/47も見ました。中倍率以上で見ると散開星団は星がまばらになって寂しい印象になるのですが、40mmの50倍ならまばら感もあまり感じません。20cmの大口径で見る散開星団は輝星の輝きと色の差、微光星の大群が素晴らしい眺めでした。XW30-R/40-Rはシュミカセでも大いにオススメです。 XW20を使用すると100倍、瞳径2mm。この倍率になるとM42の中心部の拡大像はさらに迫力です。小あれい星雲M76も特徴的な形がよく見えました。20cm・100倍は惑星状星雲や球状星団を見るスタンダードとして好適でしょう。 笠井GINJI200(F4) 口径20cmのF4ニュートン反射、GINJI。F4の対物光学系でXW30-R/40-Rを組み合わせると、最低有効倍率より低倍率になってしまうため若干光量を損してしまう組み合わせですが、これがなかなかよく見えました。 周辺像もなぜかシュミカセよりも良好で(*)、コマや像面湾曲もあまり気になりません。瞳径が大きいせいで背景の空が明るめですが、シュミカセよりも倍率が低いため、散開星団を見るにはさらに良い感じです。 (*)この結果には未だに納得がいっていません。。。カセグレン系の像面湾曲は同一F値ではニュートン反射よりもずっと大きくなります。尾は引くものの星像に「芯」のあるコマ収差よりも、全体的にボケる像面湾曲の方が、眼視では影響が大きいということなのでしょうか。 F4〜F5のニュートンにXW30-Rは、ネビュラフィルター(OIIIやQBP、Hβなど)の組み合わせも面白そうです。ネビュラフィルターで背景を暗くすれば、瞳径7mm前後で極限に淡い対象にチャレンジできるでしょう、。 ケンコー・スカイエクスプローラーSE120(F5) 口径12cmのF5アクロマート屈折、スカイエクスプローラSE120。XW40-Rで15倍、瞳径8mm、XW30-Rで20倍、瞳径6mmです。ディープスカイの眼視なら、アクロマートの色収差はF5でも問題にはなりません。こちらも対物側の収差のため周辺像は若干乱れますが、30mmで天の川を流すのはなかなかの眺め。 この鏡筒で見る場合は、XW30/40Rよりも、XW20のほうが周辺像はより良好に感じられました(*)。 (*)XW20では接眼レンズ側の像面湾曲が若干残っている(周辺ほどピント位置が対物側になる)のが、対物側の収差を打ち消す方向に働いたのでしょうか。 XWシリーズのその他のラインナップ リコーイメージング株式会社・アイピースXWシリーズ http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/products/binoculars/scope/xw/ XWシリーズのラインナップは√2倍の焦点刻みで全8本。今回レビューした40mm、30mm、20mmに加えて、14mm、10mm、7mm、5mm、3.5mmがラインナップされています。 同焦点・同一見かけ視界・同一アイレリーフでここまでの広い焦点域が揃っているのも、ペンタックスXWシリーズの大きな特長といえます。 特筆すべきは同社のスポッティングスコープ(フィールドスコープ)。ペンタックスのスポッティングスコープは、接眼レンズの規格が1.25インチスリーブのため、XWシリーズの接眼レンズを使用することができます(*)。 (*)XW7,XW10,XW14,XW20の4本。 どんな人に向いているか 長焦点光学系の低倍率レンジ用として XW30-R/40-Rは、数少ない長焦点の広視野アイピースです。F6〜8クラスの鏡筒をお持ちの方には、最低倍率用として1本いかがでしょうか。この倍率で楽しいのはなんといっても天の川。より広く明るくしたいならXW40-Rを、すこし大きめにじっくり見たいときはXW-30Rのセレクトがいいでしょう。8cmF8なら40mmで16倍。5cmクラスの双眼鏡よりも1ランク上の星空流しが楽しめるでしょう。 F4クラスのニュートンでも、撮影用の2インチスリーブエクステンダーを使えばXW30-Rで瞳径5mm強、フラットフィールドな眼視観望を楽しめることでしょう(*)。 (*)製品の組み合わせによってはピントがでない可能性もあります。合焦可能かどうかは販売店にお問い合わせ下さい。 若い人にこそ見て欲しい低倍率 50歳も半ばを越えた筆者からの、若い人たちへのメッセージです。低倍率は若さの特権です。年齢を重ねると低倍率の観望クオリティは残念ながら下がる一方。「視野の端まで針で突いたような、星また星に埋もれた眺め」を、ぜひ若いうちに体験してほしいものです。筆者が若い頃は残念ながらこんな良いアイピースはまだありませんでした。ぜひ筆者の代わりに^^体験してほしいと思います。 オールラウンド眼視 最近は安価でよく見えるアイピースが各社から出てはいるのですが、眼視デビューの最初の1本には「XW20」がオススメです。狭すぎず、広すぎず。クリアでシャープな70°の視界。写真派の方も、撮影前のウォーミングアップ?や放置撮影の合間のお気軽観望はいかがでしょう。そんな用途にも、かさばらないXW20は最高のパートナーとなるでしょう。 同焦点の利便性を生かしてフル/ハーフセット運用で 魅力的な各社の製品を「バラ」で買い集めてしまうと、大きさや使い勝手、そして焦点位置の異なるいろんなアイピースが増えてしまいます。「一丁、眼視をどっぷり初めてみるか!」という向きには、XWシリーズで揃えてしまうのも手です^^ まとめ いかがでしたか? ペンタックスのXW30-R/40-Rアイピースは、F値の長めの鏡筒における低倍率用として、プレミアムコースの決定版ともいえる製品だと感じました。低倍率用として、この2本のどちらか(ないしは両方^^)を揃えれば、貴方の「Quality Of 観望ライフ」はきっと1ランクアップするはずです。 それ以外の「1.25インチスリーブ」のペンタックスのXWシリーズも、見かけ視野70°・アイレリーフ20mm、そして焦点位置が全ラインナップで統一され、とても使いやすいのが特徴。しかもすっきりよく見える。筆者はXW20を購入して丸5年使っていますが、一番稼働率の高いアイピースになっています。なんといっても全てのバランスが最高。無人島に1本持って行くなら間違いなくXW20を持って行きます! XW30-R/40-Rの実売税込価格は5万円強、1.25インチシリーズで実売税込3万弱と決して安い製品ではありませんが、高品質のアイピースはほとんど一生モノです。望遠鏡を買い増ししてもそのまま使える、1粒で鏡筒の本数分嬉しいのがアイピース。XWシリーズは、観望にこだわりのある天文ファンにオススメできる良い製品でした!。 この記事はリコーイメージング株式会社様に機材貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で執筆したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。 本記事は極力客観的に実視をもとに作成していますが、本記事によって発生した読者様の事象についてはその一切について責任を負いかねますことをご了承下さい。 アイピースは使用する鏡筒や接続環、プリズムなどによってピントが出ない場合があります。購入をされる場合は十分に検討ください。接続の組み合わせについてのお問い合わせは、機材をご購入ないしはご購入予定の販売店様にお願いいたします。 参考文献:「天文アマチュアのための望遠鏡光学・屈折編」 1989 吉田正太郎 機材の価格・仕様は執筆時(2020年1月)のものです。    編集部発信のオリジナルコンテンツ