みなさんこんにちは!天文趣味にはいろいろな楽しみ方がありますが、やはり自分の眼で生の星空を見る眼視観望を外すわけにはいきません!

天体写真・星景写真全盛の昨今ですが、ガリレオ以来400年の歴史があるのが眼視観望。淡く暗い光を天体望遠鏡で集め、人間の「視覚」で感じ取る。ディープでコアな楽しみ方ですが、今回はそんな眼視フリークの集まりである「双望会同窓会」のレポートです。

双望会同窓会とは

会場内の通称「芝生広場」。この日に限って特別に車の乗り入れが許可され大型機材が集結します。夜半を過ぎて雲が晴れてきました。2018年双望会同窓会で。

「双望会同窓会」とは、その名の通り「双望会(そぼえorそうぼうえ)」というスターパーティ(2008年〜2017年)の「同窓会」です。今年で2回目。その前身は「双眼鏡・望遠鏡サミット(1998年〜2007年)」。全部合わせると20年以上の歴史のある、熱い・濃い・深いの3拍子揃った、今でいう「変態」(昔ならヲタク)の集まりです。

筆者は双望会の最後の年(2017年)から参加した新参者なので、昔のことはホームページを検索して得られる情報しか知りません。

あすとろけいの 星 花 鳥 や動物達・第9回双眼鏡・望遠鏡サミット
http://www91.sakura.ne.jp/~kay2/reports/summit06/summit06-1.htm

たとえば、「双眼鏡・望遠鏡サミット」で検索すると見つかるこのページや、

ビノテクノ・スターパーティ双望会in御園
http://binotechno.com/soboe/report.html

上のリンクの過去10回分の双望会のアーカイブ(*)をごらん頂ければ、その長い歴史を垣間見ることができるでしょう。

(*)10年分の膨大な情報量、これらを毎年まとめられた幹事の方々の仕事には頭が下がります。「サミット」の時代から運営に携わっておられた服部さんが代表を務めるビノテクノ社のサイトに置かれています。

個人的には、先人達の歴史に圧倒されつつ、新参者ゆえの「みなさん昔はこんなに若かったのね^^」という感想も抱くのですが、本稿の趣旨はそこではありません。綿々と続いてきた「変態の系譜」ではなく、このような熱い・濃い・深い場を20年間ドライブしてきた「何か」をお伝えしたいと思っています。

双望会の4つのカルチャー

筆者が双望会に初めて参加したのは2017年。「双望会」という名前で開催された最後の年です(以降2018年からが「双望会同窓会」)。林立する巨大な望遠鏡群と集まった人たちの「熱さ・濃さ・深さ」に驚きと発見の連続でした。

「自作派」のお一人、Civetさんの30cmドブソニアン。さりげなく「高知家」のロゴが入っているのが渋い郷土愛^^ 2017年双望会で。

その場で双望会のベテランメンバーのお一人である「Civetさん」に伺ったお話が、今でも強く印象に残っています。

  • 双望会はいろんな指向と価値観を持った人たちの集まり
  • 共通するのは自分の眼で星を見ることが大好きであること
  • 大きく分けて4つの方向性がある
  • 一つ目は「双望会」の名前の通り「双眼視」の究極を求める方向
  • 二つ目は「より大口径の望遠鏡」での体験を求める方向
  • 三つ目はアイデアと工夫を凝らした「望遠鏡の自作」
  • 最後に「メンバーとの年に1回の交流を楽しむ」方向
  • 皆、それぞれの方向性で目一杯に楽しんでいるのエキスパートばかりなので、あなたもたっぷり楽しんでくださいね

このお話は、3年経った今、まさにその通りだと合点のいくものでした。筆者が誰かに「双望会」について語るときも、きっと同じように語ることでしょう。

それでは、その「双望会の4つのカルチャー」を具体的に見ていきましょう。

双眼

口径104mmの3枚玉アポクロマート望遠鏡FOT104の双眼仕立て。後の人物がオーナーの「きたかる」さん。双望会同窓会の幹事代表、FOT104のプロデューサでもあります。覗いているのは当時小学生の「ふくくん」。今年からは中学生、声変わりされていました^^ 2018年双望会同窓会で。

人間の眼はなぜ2つあるのか。その理由は双眼望遠鏡で星空を見た瞬間に実感できることでしょう。2つの目で見ると脳内で左右の映像が補完され、よりリアルで生々しい星空の姿が飛び込んできます(*)。

(*)個人的な意見ですが、双眼望遠鏡で一番楽しいのは、低倍率での天の川流しではないでしょうか。双望会が開催される11月ごろでいえば、広視界・低倍率で見る二重星団やプレアデス星団は圧巻です。

小さなマーケットのニッチな製品ではあるものの、この感覚に魅せられた人たちの手によって、双眼望遠鏡の世界は進化してきました。双望会同窓会に集まるメンバーには、この双眼望遠鏡のパイオニア・アーリーアダプタとして、双眼望遠鏡の世界を開拓してきた人たちが多く含まれています(*)。

(*)双眼望遠鏡のパイオニアである鳥取の松本さんが参加されればもうレジェンド勢揃いですね^^ 

口径20cmの屈折双眼望遠鏡。このサイズになると、車は移動手段であると同時に「収納ケース」としても機能します。人それぞれの収納の工夫を見るのも楽しみの一つ。2018年双望会同窓会で。(初出時に口径25cmと誤って記載していました。訂正しお詫びいたします)

「双眼病」がエスカレートしてくると、こんな機材を振り回すようになります。1本の鏡筒に「双眼装置」を装着して使うのも別の方法なのですが、ここに集まる人たちは「2本」にこだわる人が多いようです^^

毎回「機材シート」が配布され、持込機材に簡単な説明を書いて近くに置くのが習わし。2017年双望会で。

もちろん、大口径ばかりではありません。「普通の」双眼鏡も数知れず。参加者の平均双眼鏡保有台数はいったい何台になるのでしょうか^^;; 激安のジャンク品から超高級品まで、ありとあらゆる双眼鏡が会場には集結しています。それらを見比べながら巡るのも「異様に楽しい」ひとときです。

大口径

この場では、口径40cmクラスはごく普通、50cmオーバーもごろごろしています。体よりもはるかに太いドブソニアンで観望中。2019双望会同窓会で。

口径の暴力」。会場のあちこちで、感嘆の声とともによく聞かれる言葉です。大口径で見るディープスカイの姿を一度経験すると、「もっと大きな口径で見てみたい」という欲求が頭の中にこびりついて離れなくなります。

40cm、50cmオーバーの大口径の望遠鏡を覗く機会があれば、一番オススメしたい天体は「網状星雲」。青白いフィラメントがよじれながら墨流しのように空に流れ、細くなって消えていくありさまは筆舌に尽くしがたい美しさです(*)。

(*)OIIIなどのネビュラフィルターを付けても十分な光量が確保できるのが「大口径の暴力」の一つ。網状星雲の場合はノーフィルターでもけっこう良く見えますが。

「デカイ鏡筒ですね」「いえそちらこそ」そんな会話はたぶんされていません^^ 2017年双望会で。

会場であるスターフォレスト御園は奥三河の山深く。遠く名古屋・浜松の光害があるものの、周囲に人工光はほとんどなく、第一級の星空が楽しめる空の暗さ。大型機材を多数展開できるという意味でも、日本屈指のディープスカイ観望エリアだといえるでしょう。

そんな素晴らしい環境で「口径の暴力」を堪能できる。眼視マニアにとってはまさに天国のような世界です。

自作

双望会同窓会、ほそさんの40cm/50cm双眼反射。ぱっと見ただけでは「何が起きているのかわからない」構成。口径違いの2台という発想も、リレーレンズで40cmの光路が50cmの上を横断するというのも想像の斜め上。倍率の違いはズームアイピースで調整。

「自作」は、かつては双眼の世界でも大口径の世界でも、必要に迫られた必然でもありました。今でこそ大型の双眼望遠鏡も50cmオーバーの大口径ドブソニアンも市販製品がありますが、それでも「欲しいものがなければ自分で作る」「あれこれ自分なりの工夫を凝らした自作が楽しい」というカルチャーはこの場では健在。自作派にとって、双望会は「年に一度の自作発表会」でもあります。

眼視・写真の両刀使い、津村さんの自作50cmドブ。この口径で組み立てわずか2分。天頂を見る際でも脚立不要。「稼働率を上げて多くの天体をこの眼で見る」ための工夫が随所に。いや、全部に。2017年双望会で。

その「工夫」と「発想」は、「なるほど!」と合点のいくものだけでなく、想像の斜め上をいく奇抜な構想など含めて多種多様。そのコンセプトとプロセスをご本人の口から聞くことができるのも大きな楽しみ。

交流

あいにくの雲の多い天気の中、晴れ間をぬって星を追い続けます。ベタ曇りになっても、雨が降り出すまでは人影が絶えない会場。2017年双望会で。

晴れた日も曇った日でも、会場では夜遅くまで笑い声が絶えません。星を見る時間、星を語る時間を共有する楽しみ。年に一度、この場に行けば楽しいメンバー達にまた会える。そんな気持ちがこのスターパーティを20年も続けさせてきたのでしょう。

絶対に晴れそうにない晩。安心して?深夜まで続く宴会。2017年双望会で。

晴れの日もあれば雨の日も。2泊3日の集まりですが、晴れが続くと今度は体が保ちません^^;;; 天気が悪いときは喜んで宴会。話は尽きません。2019年からは新たな企画として「晴れない晩用の講演プログラム」も追加されました。来年はあなたの番かも?

10年一昔といいますが、天文機材は年月が経っても色あせないもの。2008年、第1回双望会で。

恒例のフリーマーケット、夜更かしで疲れたメンバーの目が妖しく光るひととき。お宝品・お買い得品が多数並びます。たぶんヤフオクよりも安い。ここで取引された商品は、数年後(あるいは翌年?)このマーケットに「再放流」されてメンバーの間をぐるぐる回っているという説もあります^^

眼視観望・双望会の背骨

「父子合作」の45.7cmドブを操るutoさん。筆者は、眼視観望の面白さを軽妙な文体で語るutoさんのブログをいつも楽しみにしています。

眼視派のスターパーティ、全員の指向の背骨は何といっても「眼視」。この眼で宇宙の光を捉えることに無上の喜びを感じる人たちです。M31やM42といったメジャー天体はもちろん、誰も知らないようなマイナーな天体の面白さを自分の機材で「主張」するのも楽しみの一つ。

眼視・写真の両刀使いの津村さんの「ε180ED」。一般には写真専用のアストログラフと認識されていますが、広い視野に周辺まで点像、眼視性能も侮れません。タカハシのシステムチャートにもちゃんと眼視用の構成が掲載されています。イーソス21mmで実視野約4度、24倍、瞳径7mmの構成。QBPフィルターで北アメリカ星雲が。ノーフィルターでは倍率を少し上げてイーソス13mmで倍率38倍、瞳径4.3mm。M31や二重星団が見事でした。2019年双望会同窓会で。

口径18cmが「小口径」というわけではありませんが、大口径でない機材もそれならではの長所があります。特に二重星団や北アメリカ星雲、バラ星雲のような大きく広がった天体には倍率が上がりすぎない「小口径」が最適(*)。

(*)そういえば会場では「FSQ130ED」を見かけませんでした。どなたか来年、この場に持ち込んでみませんか?APQ130とのガチ勝負を見てみたいもの^^

脚立の上に立って下界を睥睨。大口径のドブでは天頂付近を見るには脚立必須になることも。脚立の階段を昇るときのワクワク感がたまりません。2019年双望会同窓会で。

そして眼視の「覇道」が大口径ドブ。口径65cmなら集光力は約8500倍。圧倒的な光量を瞳に導き、ディープスカイの姿を映し出します。

とはいえ、このクラスになると本体に加えて(*)、車がほぼ専用格納箱になること、現場での組立と撤収の労力など、とうてい「一般向け」とはいえません。

(*)本体は140万円くらいからと比較的安価?で、高級超望遠カメラレンズとあまり変わらない価格です。

しかし、この場に来ればその世界を垣間見ることができます。筆者的には、もうそれだけでも遠方から駆けつけた甲斐があったというもの。これからもおそらく毎年参加しつづけることでしょう。

日本ではまだ数が少ない自動導入経緯台「TTS-160」に搭載された「ツァイスAPQ100/1000」。

とにかく、双望会には眼視観望の楽しみのほとんど全て(*)がある。そしてそれを120%楽しむ人たちがいる。そのことは力強く断言できます。

(*)実のところ「全て」とも言い切れないのが眼視の世界の奥深さ。この場とはまた違うコアなスターパーティも存在します。

双望会同窓会のこれから

2003年、第6回「双眼鏡・望遠鏡サミット」。 自作双眼望遠鏡「宇宙を頂きます!」より。 http://kikuta.o.oo7.jp/49-sonota.htm

「双眼鏡・望遠鏡サミット」の時代から含めて20年、双望会はクローズドでコアな趣味人の集まりでした。会場のキャパシティの限界もあり参加者の上限数は最大80人程度。多いときには申込開始から数分で定員が埋まってしまうこともありました。

参加者が皆「自分たちの楽しみの場」を大事に守っていきたいという、強い気持ちがあったせいかもしれません。大手メディアで宣伝したり紹介されたりすることもほとんどなく「知る人ぞ知るマニアの集まり」として認知されていました。

2017年、最後の「双望会」で、幹事代表の服部さん。長い間お疲れ様でした!後のリヤカーは機材運搬用。

そして参加者の多くは20年分歳を取り、白いものや地肌も増えてゆく中、2017年に双望会は転換期を迎えます。「第10回双望会」をもってその歴史を閉じることが幹事グループから発表されたのです。それでも、その後「この場をなんとか続けたい」という有志によって運営が引き継がれ「同窓会」という形で2018年、2019年と開催されています。

3年連続最年少参加者の「ふくくん兄妹」、兄のふくくん。タカハシI型反射で華麗に手動導入。2017年双望会で。

2020年からは、「双望会同窓会」から新たに名前を変えて開催する方向で、幹事グループで検討されています。実は今回の2019年からは「過去の双望会参加者の紹介があれば参加できる」形になっていたのですが、それよりもさらにオープンな参加枠を設けることになるかもしれません。

現在の日本では、あらゆる趣味の世界で高齢化が進んでいる現実があります。双望会も例外ではないのですが、新しい人を継続的に・積極的に受け入れて(呼び込んで)いくことが、20年以上続いている「この場」を継続する上で必然的な選択なのでしょう。

一見、ライトな宙ガール記念写真のように見えますが、指差しているのはディープな天体(のはず^^;;)。双望会同窓会2018で。

眼視観望は、永遠に不滅です。

筆者の推測ではありますが「コアな眼視観望」のマーケットは、小さいながらも時代に大きく左右されず、将来にわたって続いていくものだと考えています。自転車よりも遅くても人が走ることを止めないように、AIに勝てなくなっても将棋が指されるように、ちっとも写真のようには見えなくても人は星を見つめ続け、3万円で買える望遠鏡をそれ以上の費用をかけて改造しているはずです。

2019双望会同窓会の一番人気、Nickさんの「ナイトビジョン双眼with Hα」。バラ星雲はおろか、バーナードループ・エリダヌスバブルまでが眼視で見えてしまうという凄いアイテム。

興味のある方は、ぜひ来年の「この場」に参加申込をしてください。ずいぶんヲタクな世界ではありますが、刺さる人には心の奥底まで深く刺さることでしょう。

スターフォレスト御園について

朝。幾重にも重なった見事な虹がかかりました。なお、通常はこの「芝生広場」に駐車することはできません。2019年双望会同窓会で。
東栄町HP・スターフォーレスト御園
http://www.town.toei.aichi.jp/1302.htm

会場して利用させて頂いている「スターフォレスト御園」について簡単に補足しておきます。

正式名称は「東栄町森林体験交流センター スターフォーレスト御園」。愛知県東栄町の町営施設で、6mドームのプラネタリウム、口径60cmの反射望遠鏡、貸出可能な(有料)大小様々の天体望遠鏡、宿泊施設(一泊大人3,210円、定員6名のバンガローが一棟12,820円、食事別)、バーベキューハウスなどを備えています。

山深い奥三河の標高650mの地は周辺に目立った灯りはなく、第一級の星空が楽しめる最高の星空スポットの一つです(*)。チェックアウトが最大12時までなので、徹夜で星を楽しんで翌朝遅くまで寝ていることも可能。家族連れ・少人数のグループ・双望会のような大人数での「合宿」など、さまざまな利用方法が考えられそうです。

(*)宿泊者以外の夜間の敷地内への立入は禁止されています。

詳細はHPの「パンフレット」「施設利用案内」をご参照ください。

まとめ

双望会の会場、人工光ほぼ皆無スターフォレスト御園では、安全のためのケミカルライトが要所要所に配置されています。

いかがでしたか?

宇宙をあなたの網膜で感じてみませんか?宇宙を網膜で感じる人は好きですか?そんな人たちと会話してみませんか?幹事・メンバー一同、みなさんのご参加をお待ちしています。

http://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/12/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1024x576.jpghttp://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/12/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-150x150.jpg編集部天文イベントみなさんこんにちは!天文趣味にはいろいろな楽しみ方がありますが、やはり自分の眼で生の星空を見る眼視観望を外すわけにはいきません! 天体写真・星景写真全盛の昨今ですが、ガリレオ以来400年の歴史があるのが眼視観望。淡く暗い光を天体望遠鏡で集め、人間の「視覚」で感じ取る。ディープでコアな楽しみ方ですが、今回はそんな眼視フリークの集まりである「双望会同窓会」のレポートです。 双望会同窓会とは 「双望会同窓会」とは、その名の通り「双望会(そぼえorそうぼうえ)」というスターパーティ(2008年〜2017年)の「同窓会」です。今年で2回目。その前身は「双眼鏡・望遠鏡サミット(1998年〜2007年)」。全部合わせると20年以上の歴史のある、熱い・濃い・深いの3拍子揃った、今でいう「変態」(昔ならヲタク)の集まりです。 筆者は双望会の最後の年(2017年)から参加した新参者なので、昔のことはホームページを検索して得られる情報しか知りません。 あすとろけいの 星 花 鳥 や動物達・第9回双眼鏡・望遠鏡サミット http://www91.sakura.ne.jp/~kay2/reports/summit06/summit06-1.htm たとえば、「双眼鏡・望遠鏡サミット」で検索すると見つかるこのページや、 ビノテクノ・スターパーティ双望会in御園 http://binotechno.com/soboe/report.html 上のリンクの過去10回分の双望会のアーカイブ(*)をごらん頂ければ、その長い歴史を垣間見ることができるでしょう。 (*)10年分の膨大な情報量、これらを毎年まとめられた幹事の方々の仕事には頭が下がります。「サミット」の時代から運営に携わっておられた服部さんが代表を務めるビノテクノ社のサイトに置かれています。 個人的には、先人達の歴史に圧倒されつつ、新参者ゆえの「みなさん昔はこんなに若かったのね^^」という感想も抱くのですが、本稿の趣旨はそこではありません。綿々と続いてきた「変態の系譜」ではなく、このような熱い・濃い・深い場を20年間ドライブしてきた「何か」をお伝えしたいと思っています。 双望会の4つのカルチャー 筆者が双望会に初めて参加したのは2017年。「双望会」という名前で開催された最後の年です(以降2018年からが「双望会同窓会」)。林立する巨大な望遠鏡群と集まった人たちの「熱さ・濃さ・深さ」に驚きと発見の連続でした。 その場で双望会のベテランメンバーのお一人である「Civetさん」に伺ったお話が、今でも強く印象に残っています。 双望会はいろんな指向と価値観を持った人たちの集まり 共通するのは自分の眼で星を見ることが大好きであること 大きく分けて4つの方向性がある 一つ目は「双望会」の名前の通り「双眼視」の究極を求める方向 二つ目は「より大口径の望遠鏡」での体験を求める方向 三つ目はアイデアと工夫を凝らした「望遠鏡の自作」 最後に「メンバーとの年に1回の交流を楽しむ」方向 皆、それぞれの方向性で目一杯に楽しんでいるのエキスパートばかりなので、あなたもたっぷり楽しんでくださいね このお話は、3年経った今、まさにその通りだと合点のいくものでした。筆者が誰かに「双望会」について語るときも、きっと同じように語ることでしょう。 それでは、その「双望会の4つのカルチャー」を具体的に見ていきましょう。 双眼 人間の眼はなぜ2つあるのか。その理由は双眼望遠鏡で星空を見た瞬間に実感できることでしょう。2つの目で見ると脳内で左右の映像が補完され、よりリアルで生々しい星空の姿が飛び込んできます(*)。 (*)個人的な意見ですが、双眼望遠鏡で一番楽しいのは、低倍率での天の川流しではないでしょうか。双望会が開催される11月ごろでいえば、広視界・低倍率で見る二重星団やプレアデス星団は圧巻です。 小さなマーケットのニッチな製品ではあるものの、この感覚に魅せられた人たちの手によって、双眼望遠鏡の世界は進化してきました。双望会同窓会に集まるメンバーには、この双眼望遠鏡のパイオニア・アーリーアダプタとして、双眼望遠鏡の世界を開拓してきた人たちが多く含まれています(*)。 (*)双眼望遠鏡のパイオニアである鳥取の松本さんが参加されればもうレジェンド勢揃いですね^^  「双眼病」がエスカレートしてくると、こんな機材を振り回すようになります。1本の鏡筒に「双眼装置」を装着して使うのも別の方法なのですが、ここに集まる人たちは「2本」にこだわる人が多いようです^^ もちろん、大口径ばかりではありません。「普通の」双眼鏡も数知れず。参加者の平均双眼鏡保有台数はいったい何台になるのでしょうか^^;; 激安のジャンク品から超高級品まで、ありとあらゆる双眼鏡が会場には集結しています。それらを見比べながら巡るのも「異様に楽しい」ひとときです。 大口径 「口径の暴力」。会場のあちこちで、感嘆の声とともによく聞かれる言葉です。大口径で見るディープスカイの姿を一度経験すると、「もっと大きな口径で見てみたい」という欲求が頭の中にこびりついて離れなくなります。 40cm、50cmオーバーの大口径の望遠鏡を覗く機会があれば、一番オススメしたい天体は「網状星雲」。青白いフィラメントがよじれながら墨流しのように空に流れ、細くなって消えていくありさまは筆舌に尽くしがたい美しさです(*)。 (*)OIIIなどのネビュラフィルターを付けても十分な光量が確保できるのが「大口径の暴力」の一つ。網状星雲の場合はノーフィルターでもけっこう良く見えますが。 会場であるスターフォレスト御園は奥三河の山深く。遠く名古屋・浜松の光害があるものの、周囲に人工光はほとんどなく、第一級の星空が楽しめる空の暗さ。大型機材を多数展開できるという意味でも、日本屈指のディープスカイ観望エリアだといえるでしょう。 そんな素晴らしい環境で「口径の暴力」を堪能できる。眼視マニアにとってはまさに天国のような世界です。 自作 「自作」は、かつては双眼の世界でも大口径の世界でも、必要に迫られた必然でもありました。今でこそ大型の双眼望遠鏡も50cmオーバーの大口径ドブソニアンも市販製品がありますが、それでも「欲しいものがなければ自分で作る」「あれこれ自分なりの工夫を凝らした自作が楽しい」というカルチャーはこの場では健在。自作派にとって、双望会は「年に一度の自作発表会」でもあります。 その「工夫」と「発想」は、「なるほど!」と合点のいくものだけでなく、想像の斜め上をいく奇抜な構想など含めて多種多様。そのコンセプトとプロセスをご本人の口から聞くことができるのも大きな楽しみ。 交流 晴れた日も曇った日でも、会場では夜遅くまで笑い声が絶えません。星を見る時間、星を語る時間を共有する楽しみ。年に一度、この場に行けば楽しいメンバー達にまた会える。そんな気持ちがこのスターパーティを20年も続けさせてきたのでしょう。 晴れの日もあれば雨の日も。2泊3日の集まりですが、晴れが続くと今度は体が保ちません^^;;; 天気が悪いときは喜んで宴会。話は尽きません。2019年からは新たな企画として「晴れない晩用の講演プログラム」も追加されました。来年はあなたの番かも? 恒例のフリーマーケット、夜更かしで疲れたメンバーの目が妖しく光るひととき。お宝品・お買い得品が多数並びます。たぶんヤフオクよりも安い。ここで取引された商品は、数年後(あるいは翌年?)このマーケットに「再放流」されてメンバーの間をぐるぐる回っているという説もあります^^ 眼視観望・双望会の背骨 眼視派のスターパーティ、全員の指向の背骨は何といっても「眼視」。この眼で宇宙の光を捉えることに無上の喜びを感じる人たちです。M31やM42といったメジャー天体はもちろん、誰も知らないようなマイナーな天体の面白さを自分の機材で「主張」するのも楽しみの一つ。 口径18cmが「小口径」というわけではありませんが、大口径でない機材もそれならではの長所があります。特に二重星団や北アメリカ星雲、バラ星雲のような大きく広がった天体には倍率が上がりすぎない「小口径」が最適(*)。 (*)そういえば会場では「FSQ130ED」を見かけませんでした。どなたか来年、この場に持ち込んでみませんか?APQ130とのガチ勝負を見てみたいもの^^ そして眼視の「覇道」が大口径ドブ。口径65cmなら集光力は約8500倍。圧倒的な光量を瞳に導き、ディープスカイの姿を映し出します。 とはいえ、このクラスになると本体に加えて(*)、車がほぼ専用格納箱になること、現場での組立と撤収の労力など、とうてい「一般向け」とはいえません。 (*)本体は140万円くらいからと比較的安価?で、高級超望遠カメラレンズとあまり変わらない価格です。 しかし、この場に来ればその世界を垣間見ることができます。筆者的には、もうそれだけでも遠方から駆けつけた甲斐があったというもの。これからもおそらく毎年参加しつづけることでしょう。 とにかく、双望会には眼視観望の楽しみのほとんど全て(*)がある。そしてそれを120%楽しむ人たちがいる。そのことは力強く断言できます。 (*)実のところ「全て」とも言い切れないのが眼視の世界の奥深さ。この場とはまた違うコアなスターパーティも存在します。 双望会同窓会のこれから 「双眼鏡・望遠鏡サミット」の時代から含めて20年、双望会はクローズドでコアな趣味人の集まりでした。会場のキャパシティの限界もあり参加者の上限数は最大80人程度。多いときには申込開始から数分で定員が埋まってしまうこともありました。 参加者が皆「自分たちの楽しみの場」を大事に守っていきたいという、強い気持ちがあったせいかもしれません。大手メディアで宣伝したり紹介されたりすることもほとんどなく「知る人ぞ知るマニアの集まり」として認知されていました。 そして参加者の多くは20年分歳を取り、白いものや地肌も増えてゆく中、2017年に双望会は転換期を迎えます。「第10回双望会」をもってその歴史を閉じることが幹事グループから発表されたのです。それでも、その後「この場をなんとか続けたい」という有志によって運営が引き継がれ「同窓会」という形で2018年、2019年と開催されています。 2020年からは、「双望会同窓会」から新たに名前を変えて開催する方向で、幹事グループで検討されています。実は今回の2019年からは「過去の双望会参加者の紹介があれば参加できる」形になっていたのですが、それよりもさらにオープンな参加枠を設けることになるかもしれません。 現在の日本では、あらゆる趣味の世界で高齢化が進んでいる現実があります。双望会も例外ではないのですが、新しい人を継続的に・積極的に受け入れて(呼び込んで)いくことが、20年以上続いている「この場」を継続する上で必然的な選択なのでしょう。 眼視観望は、永遠に不滅です。 筆者の推測ではありますが「コアな眼視観望」のマーケットは、小さいながらも時代に大きく左右されず、将来にわたって続いていくものだと考えています。自転車よりも遅くても人が走ることを止めないように、AIに勝てなくなっても将棋が指されるように、ちっとも写真のようには見えなくても人は星を見つめ続け、3万円で買える望遠鏡をそれ以上の費用をかけて改造しているはずです。 興味のある方は、ぜひ来年の「この場」に参加申込をしてください。ずいぶんヲタクな世界ではありますが、刺さる人には心の奥底まで深く刺さることでしょう。 スターフォレスト御園について 東栄町HP・スターフォーレスト御園 http://www.town.toei.aichi.jp/1302.htm 会場して利用させて頂いている「スターフォレスト御園」について簡単に補足しておきます。 正式名称は「東栄町森林体験交流センター スターフォーレスト御園」。愛知県東栄町の町営施設で、6mドームのプラネタリウム、口径60cmの反射望遠鏡、貸出可能な(有料)大小様々の天体望遠鏡、宿泊施設(一泊大人3,210円、定員6名のバンガローが一棟12,820円、食事別)、バーベキューハウスなどを備えています。 山深い奥三河の標高650mの地は周辺に目立った灯りはなく、第一級の星空が楽しめる最高の星空スポットの一つです(*)。チェックアウトが最大12時までなので、徹夜で星を楽しんで翌朝遅くまで寝ていることも可能。家族連れ・少人数のグループ・双望会のような大人数での「合宿」など、さまざまな利用方法が考えられそうです。 (*)宿泊者以外の夜間の敷地内への立入は禁止されています。 詳細はHPの「パンフレット」「施設利用案内」をご参照ください。 まとめ いかがでしたか? 宇宙をあなたの網膜で感じてみませんか?宇宙を網膜で感じる人は好きですか?そんな人たちと会話してみませんか?幹事・メンバー一同、みなさんのご参加をお待ちしています。編集部発信のオリジナルコンテンツ