リコーがかねてからアナウンスしていた360°全天カメラ「THETA V」の「プラグインストア」をオープンしています。

THETAとプラグインストア

リコーのTHETAシリーズは360度の全天画像をコンデジ並みに簡単に撮影できる比較的安価(3〜5万円)なカメラです。

一般ユーザにも人気が高いのですが、不動産物件の紹介画像等の業務用のニーズも高く、独自のマーケットと用途を築いている製品ですが、最新バージョンの「THETA V」からカメラのファームウェアがAndroidベースとなり、サードベンダーが開発したさまざまな拡張機能を利用できるオープンな世界を強く指向しています。

紹介した記事は、その「プラグインストア」「パートナープログラム」の紹介。実際にプラグインをダウンロードして使用する方法や、自分でプログラムを開発するにはどうすればいいかが簡単に解説されています。



カメラのオープン化の意義

これまでデジタルカメラは、撮影から画像出力までカメラ内で完全にクローズした「垂直統合型」のシステムとして進化してきました。パソコンでいえばMacのようなもの。一方で、THETA Vのアプローチは、内部アーキテクチャを公開しサードベンダの参入を積極的に受け入れる「水平統合」、パソコンでいえばMS-DOSのようなアプローチといえます。

この2つのどちらが優れているかは一概にはいえず、それを判断するのは未来の歴史家の仕事です。ただ、一ついえることは今のデジタルカメラはオープン指向のアプローチが大きな可能性を秘めているということです。

おそらくTHETA Vのアプローチは一定の成功を収めるでしょう。そして、その流れが一般の一眼デジカメにも波及することに強く期待するものです。

天文用途におけるオープン化のメリット

例えば、デジカメがより密に外部デバイス・ネットワークから制御できるだけで、以下のような可能性が広がるのです。

  • カメラ内でクローズしたセンサー駆動型オートガイド、センサー駆動型ディザリング
  • ピント合わせに特化した専用アプリ(オートフォーカス、マニュアルフォーカスともに可能性あり)
  • 星ならび検出による撮影領域の自動判別、EXIF記録とサーバ上での一元データ管理

上記は内部アーキテクチャに手を出せるのであればすぐにでも実現可能なものもあります。ただ、カメラメーカーにその実装を求めるのはあまりに酷。オープン化されればカメラメーカーの損益と関係なく、これらの機能を他の誰かが実現する可能性が開けるのです。

このような変化は来年に起きるかもしれませんし、10年経っても実現しないかもしれません。ただ一ついえることは、このような真の意味での「ゲームチェンジ」は寡占者側からは決して起きないということ。その意味ではリコー・ペンタックスには大いに期待したいと思っています。

  https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/07/655344937278672df7155e92e27abcf1-1024x514.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/07/655344937278672df7155e92e27abcf1-150x150.jpg編集部デジタルカメラリコーがかねてからアナウンスしていた360°全天カメラ「THETA V」の「プラグインストア」をオープンしています。 https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1021511319877431298 THETAとプラグインストア リコーのTHETAシリーズは360度の全天画像をコンデジ並みに簡単に撮影できる比較的安価(3〜5万円)なカメラです。 一般ユーザにも人気が高いのですが、不動産物件の紹介画像等の業務用のニーズも高く、独自のマーケットと用途を築いている製品ですが、最新バージョンの「THETA V」からカメラのファームウェアがAndroidベースとなり、サードベンダーが開発したさまざまな拡張機能を利用できるオープンな世界を強く指向しています。 紹介した記事は、その「プラグインストア」「パートナープログラム」の紹介。実際にプラグインをダウンロードして使用する方法や、自分でプログラムを開発するにはどうすればいいかが簡単に解説されています。 カメラのオープン化の意義 これまでデジタルカメラは、撮影から画像出力までカメラ内で完全にクローズした「垂直統合型」のシステムとして進化してきました。パソコンでいえばMacのようなもの。一方で、THETA Vのアプローチは、内部アーキテクチャを公開しサードベンダの参入を積極的に受け入れる「水平統合」、パソコンでいえばMS-DOSのようなアプローチといえます。 この2つのどちらが優れているかは一概にはいえず、それを判断するのは未来の歴史家の仕事です。ただ、一ついえることは今のデジタルカメラはオープン指向のアプローチが大きな可能性を秘めているということです。 おそらくTHETA Vのアプローチは一定の成功を収めるでしょう。そして、その流れが一般の一眼デジカメにも波及することに強く期待するものです。 天文用途におけるオープン化のメリット 例えば、デジカメがより密に外部デバイス・ネットワークから制御できるだけで、以下のような可能性が広がるのです。 カメラ内でクローズしたセンサー駆動型オートガイド、センサー駆動型ディザリング ピント合わせに特化した専用アプリ(オートフォーカス、マニュアルフォーカスともに可能性あり) 星ならび検出による撮影領域の自動判別、EXIF記録とサーバ上での一元データ管理 上記は内部アーキテクチャに手を出せるのであればすぐにでも実現可能なものもあります。ただ、カメラメーカーにその実装を求めるのはあまりに酷。オープン化されればカメラメーカーの損益と関係なく、これらの機能を他の誰かが実現する可能性が開けるのです。 このような変化は来年に起きるかもしれませんし、10年経っても実現しないかもしれません。ただ一ついえることは、このような真の意味での「ゲームチェンジ」は寡占者側からは決して起きないということ。その意味ではリコー・ペンタックスには大いに期待したいと思っています。  編集部発信のオリジナルコンテンツ