サイトロンジャパン社のQBP(クワッド・バンドパス)フィルターを入手したので、手持ちのフィルター3種(QBPフィルター、STC AstroDuoナローバンドフィルター、IDAS LPS-V4フィルター)を簡単に試写し比較してみました。

それぞれのフィルターの特徴

今回比較した3つのフィルター、QBP、STC AstroDuo、IDAS LPS-V4の波長特性。緑の「従来の強い光害カットフィルター」がLPS-V4です。



詳細は以下の記事を参照ください。

4波長一気撮り/クワッド・バンドパスQBPフィルター

元画像と撮影条件

今回は時間がなく、30秒露出の1枚画像のみです。鏡筒はFSQ106ED+645レデューサの380mmF3.6。ISO感度は1600です。カメラは天体改造のEOS6D(SEO-SP4)と、無改造のEOS 5DMarkIIIを使用しました。撮影地は福岡市内のやや郊外、それなりに光害のある場所です。光害レベルはフィルターなし画像でご判断ください。

以下、詳細を比較していきます。比較をわかりやすくするために、中央部のみをトリミングした等倍画像で比較しています。

改造6D・無調整画像

現像はPhotoshopのCamera Rawで行い、ホワイトバランスは「昼光」。ノイズ・収差補正などその他の現像パラメータは「なしなし」です。

フィルターなし

光害かぶりでヒストグラムはかなり右寄りです。改造機なのでRが一番右。このヒストグラムが、各フィルターでどう変わっていくのかを以下ご注目です。

LPS-V4

LPS-V4フィルターは、RチャンネルがHα近傍のみを細く通すことが特徴。このため、画像処理でRチャンネルを持ち上げる結果になり、さらに赤が強調されることになります。逆に、Rチャンネルのノイズが目立ち気味になるのが欠点。

光害カット効果は、ノーフィルター画像と比較すると歴然です。

QBP

最初に・・・ピンボケ画像ですみません!!!

雲の襲来間近で、撮り直している時間がありませんでした!!ボケているのは編集子であって、本来他のフィルターと全く変わりない画質であることをお断りしておきます。

QBPフィルターはRチャンネルがより長波長側に伸びていて、Gチャンネルがより狭くなっています。その波長特性通りのヒストグラムになりました。画像処理ではGチャンネルを持ち上げることになりますが、ベイヤーセンサーはG画素がR,Bの2倍あるのでよりノイズに強く、その意味ではデジカメの特性に合わせた巧みな波長特性設定と言えるでしょう。

光害カット効果は、より光害成分の多いGBチャンネルの帯域が狭い分だけ、LPS-V4に勝っています。

Astro Duo

Astro Duoフィルターは、HαとOIIIに特化し、より狭い帯域の光しか通しません。QBPフィルターと比較した背景の暗さの差は歴然です。カラーバランスの崩れもあまり大きくありません。

ただし、QBPにも言えることですが、天体の発する輝線成分の強さは一般にHα>OIIIなので「Hαに混じったOIIIの色を引き出す」のは簡単ではないことが予想されます。

改造6D・露出、ホワイトバランス調整後

4つの画像を、カラーバランスと露光量のみを調整し、背景を極力ニュートラルにして比較してみました。ヒストグラムの山は3/8で揃えました。使用したのはCamera Rawフィルターの「色温度」「色被り補正」「露出補正」のみです。

フィルターなし

色温度-40、色かぶり補正-51、露出補正-1.55

フィルターなしの場合、大星雲の「羽根」の青緑が良く出てきます。

LPS-V4

色温度+43、色かぶり補正+79、露出補正+0.75

LPS-V4の場合、かなりRを持ち上げ(色かぶり補正+79)なければなりません。このため、赤のノイズが浮いてくるのが宿命です。フィルターなしの場合との露出補正差は2.3段分。この値が「露出倍数」に相当すると考えてよいでしょう。



QBP

色温度+4、色かぶり補正-140、露出補正+1.05

QBPフィルターの場合は、LPS-V4フィルターと逆で、緑を極端に持ち上げる(-140)必要があります。しかし、前述したようにG画素はR画素の倍あるので、持ち上げたほどにノイズが浮かないのがいいバランス。Hαが強調されすぎないため、LPS-V4ほど赤一遍倒にならず大星雲の色が出るのも特徴。露出倍数は2.6段。

Astro Duo

色温度-44、色かぶり補正-43、露出補正+3.35

露出倍数は4.9段。予想以上にQBPフィルターとは差がありました。光害カット効果は抜群です。カラーバランスの崩れも一番少ないのですが、よりHαの輝線成分が強調されてきます。背景をニュートラルにすると星雲がほとんど赤になってしまいます。赤以外の色をしっかり出すためには、たっぷり露出して、中・高輝度部の画像処理をていねいに行って色を引き出す必要がありそうです。

露出倍数が大きい分、短い総露出時間ではノイズが多くなります。Astro Duoを使用する場合は、光害地でも非光害地でも、総露出時間を長めにするのが良さそうです。

非改造5D3・無調整画像

非改造機でも比較してみました。「カメラを改造せずに天体写真を撮りたい」というニーズは実は大きいものです。フィルターワークによって、非改造カメラでも赤い星雲を撮ることが可能になれば、多くのライトユーザの福音になることでしょう。

では、実際どうでしょうか?まずは無調整画像。同じく、現像はPhotoshopのCamera Rawで行い、ホワイトバランスは「昼光」。ノイズ・収差補正などその他の現像パラメータは「なしなし」です。

フィルターなし

オリオン大星雲は、Hα以外の輝線成分や連続光も多いので、非改造機でもけっこう良く写る対象です。むしろ、赤が強くなりすぎず、非改造機のほうが色表現が豊かだという気もしますね^^

LPS-V4

LPS-V4の場合、ヒストグラムの赤が極端に左寄りになってしまいました。非改造機は650nmあたりから感度が落ちてくるので、まあ予想どおりの結果ですが。

QBP

QBPの場合は、相対的にGの光量が低いことと、Rの帯域幅が広いせいか、LPS-V4ほどRの感度が落ちてきません。これはなかなかよい感じ。

Astro Duo

AstroDuoは、さらにGBの帯域が狭くなるため、カラーバランスがよりニュートラルに近づきます。これなら・・非改造機でもピンクの大星雲が写せるかも。

非改造5D3・露出、ホワイトバランス調整後

こちらも、カラーバランスと露光量のみを調整しで背景を極力ニュートラルにして比較してみました。同じく、ヒストグラムの山は3/8で揃え、使用したのはCamera Rawフィルターの「色温度」「色被り補正」「露出補正」のみです。

フィルターなし

色温度+2、色かぶり補正-26、露出補正-0.85

非改造機のフィルターなしではHαの赤はあまり出てきませんが、青がしっかり出てきてこれはこれで良い感じです。非改造機でのM42は、もっと撮られてもいい対象ですね!これは一度ガチ撮りしてみたくなります。

LPS-V4

色温度+63、色かぶり補正+138、露出補正+1.3

赤をかなり極端に持ち上げていますが、これは悪くない感じです。改造機のフィルターなしに近い感じになりました。露出倍数は2.15段。

QBP

色温度+119、色かぶり補正+29、露出補正+1.6

元のGがLPS-V4より弱い分だけ、カラーバランスを合わせるとGの比率が増えてLPS-V4より黄色っぽい感じになりました。持ち上げが大きくなった分、ノイズが浮いてきました。昔のリバーサル、さくらカラーのような印象。露出倍数は2.45段。

Astro Duo

色温度+36、色かぶり補正+135、露出補正+4.00

ぱっと見で、これが「非改造機」であるとはなかなか気がつかないのではないでしょうか。露出時間さえ稼げば、ノーマル機でもフィルターワーク次第でそれなりに赤い星雲が写せるということになります。

露出倍数は4.85段。さらにノイズが浮いてきています。Astro Duoのような「ナローバンド」の場合は、星雲が強調される反面、総露出をより多くする必要があることを示しています。

非改造機での作例

非改造機+天体用フィルターの作例を一つ貼っておきます。STC Astro Duoを使用しています。

EOS5D3ノーマル EF 300mmF2.8L IS STC Astro Duoナローバンドフィルター(クリップタイプ) ISO6400 2分×16 ISO800 15秒*18 FlatAidProで飽和復元合成 AP赤道儀(ベルトドライブ改造)福岡県小石原

非改造機で馬頭星雲やM42付近の赤いモクモクを出すのはフィルターなしではかなり難物ですが、天体用フィルターを使用すると意外なほど簡単に出てくれます。ただし「燃える木」星雲が黄色にならず赤っぽくなったり、F2.8の20分露出でもまだ露出不足でシャドーがノイジーだったり、RGBカラーの撮影とはずいぶん勝手が違いますが・・

「自分のカメラは非改造機だから」とディープスカイを敬遠されていた方にこそ、天体用フィルターはオススメできる製品だと思います。どのフィルターを選ぶのかは対象や撮影スタイル、使用機材によっても変わってきます。

このあたりの実践的な解説も今後発信していく予定です!

まとめ

いかがでしたか?

天体用フィルターを活用することで、光害をカットしたり、星雲の輝線成分を強調したり、非改造カメラでもより改造機に近い撮影が可能になります。QBPフィルターやSTC Astro Duoなど、多彩な波長特性を持つフィルターの活用により、天体写真の幅が大きく広がるものと期待しています。

記事中にも書きましたが、天体用フィルターを活用するには、フィルターの波長特性と「撮影対象がどんな光を発しているのか」による組み合わせが重要です。また、帯域の狭いフィルターほど、総露出時間を長くする必要があります。今回は比較的連続光の成分やOIIIの成分が強いM42が対象でした。対象によってはまた異なる結果となることでしょう。本記事はあくまでその参考として読んでいただけると幸いです。

天リフでは今後も、さまざまなフィルターワークについての試写や情報提供を積極的に行っていく予定です。ご期待ください!


  • 本記事は天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
  • 「STC Astro Duoフィルター」は(株)よしみカメラ様より機材の貸与を受けています。他のフィルターは編集部の自費購入です。
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https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/12/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-4-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/12/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-4-150x150.jpg編集部レビューフィルターフィルターサイトロンジャパン社のQBP(クワッド・バンドパス)フィルターを入手したので、手持ちのフィルター3種(QBPフィルター、STC AstroDuoナローバンドフィルター、IDAS LPS-V4フィルター)を簡単に試写し比較してみました。 それぞれのフィルターの特徴 今回比較した3つのフィルター、QBP、STC AstroDuo、IDAS LPS-V4の波長特性。緑の「従来の強い光害カットフィルター」がLPS-V4です。 詳細は以下の記事を参照ください。 https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/11/30/7040/ 元画像と撮影条件 今回は時間がなく、30秒露出の1枚画像のみです。鏡筒はFSQ106ED+645レデューサの380mmF3.6。ISO感度は1600です。カメラは天体改造のEOS6D(SEO-SP4)と、無改造のEOS 5DMarkIIIを使用しました。撮影地は福岡市内のやや郊外、それなりに光害のある場所です。光害レベルはフィルターなし画像でご判断ください。 以下、詳細を比較していきます。比較をわかりやすくするために、中央部のみをトリミングした等倍画像で比較しています。 改造6D・無調整画像 現像はPhotoshopのCamera Rawで行い、ホワイトバランスは「昼光」。ノイズ・収差補正などその他の現像パラメータは「なしなし」です。 フィルターなし 光害かぶりでヒストグラムはかなり右寄りです。改造機なのでRが一番右。このヒストグラムが、各フィルターでどう変わっていくのかを以下ご注目です。 LPS-V4 LPS-V4フィルターは、RチャンネルがHα近傍のみを細く通すことが特徴。このため、画像処理でRチャンネルを持ち上げる結果になり、さらに赤が強調されることになります。逆に、Rチャンネルのノイズが目立ち気味になるのが欠点。 光害カット効果は、ノーフィルター画像と比較すると歴然です。 QBP 最初に・・・ピンボケ画像ですみません!!! 雲の襲来間近で、撮り直している時間がありませんでした!!ボケているのは編集子であって、本来他のフィルターと全く変わりない画質であることをお断りしておきます。 QBPフィルターはRチャンネルがより長波長側に伸びていて、Gチャンネルがより狭くなっています。その波長特性通りのヒストグラムになりました。画像処理ではGチャンネルを持ち上げることになりますが、ベイヤーセンサーはG画素がR,Bの2倍あるのでよりノイズに強く、その意味ではデジカメの特性に合わせた巧みな波長特性設定と言えるでしょう。 光害カット効果は、より光害成分の多いGBチャンネルの帯域が狭い分だけ、LPS-V4に勝っています。 Astro Duo Astro Duoフィルターは、HαとOIIIに特化し、より狭い帯域の光しか通しません。QBPフィルターと比較した背景の暗さの差は歴然です。カラーバランスの崩れもあまり大きくありません。 ただし、QBPにも言えることですが、天体の発する輝線成分の強さは一般にHα>OIIIなので「Hαに混じったOIIIの色を引き出す」のは簡単ではないことが予想されます。 改造6D・露出、ホワイトバランス調整後 4つの画像を、カラーバランスと露光量のみを調整し、背景を極力ニュートラルにして比較してみました。ヒストグラムの山は3/8で揃えました。使用したのはCamera Rawフィルターの「色温度」「色被り補正」「露出補正」のみです。 フィルターなし フィルターなしの場合、大星雲の「羽根」の青緑が良く出てきます。 LPS-V4 LPS-V4の場合、かなりRを持ち上げ(色かぶり補正+79)なければなりません。このため、赤のノイズが浮いてくるのが宿命です。フィルターなしの場合との露出補正差は2.3段分。この値が「露出倍数」に相当すると考えてよいでしょう。 QBP QBPフィルターの場合は、LPS-V4フィルターと逆で、緑を極端に持ち上げる(-140)必要があります。しかし、前述したようにG画素はR画素の倍あるので、持ち上げたほどにノイズが浮かないのがいいバランス。Hαが強調されすぎないため、LPS-V4ほど赤一遍倒にならず大星雲の色が出るのも特徴。露出倍数は2.6段。 Astro Duo 露出倍数は4.9段。予想以上にQBPフィルターとは差がありました。光害カット効果は抜群です。カラーバランスの崩れも一番少ないのですが、よりHαの輝線成分が強調されてきます。背景をニュートラルにすると星雲がほとんど赤になってしまいます。赤以外の色をしっかり出すためには、たっぷり露出して、中・高輝度部の画像処理をていねいに行って色を引き出す必要がありそうです。 露出倍数が大きい分、短い総露出時間ではノイズが多くなります。Astro Duoを使用する場合は、光害地でも非光害地でも、総露出時間を長めにするのが良さそうです。 非改造5D3・無調整画像 非改造機でも比較してみました。「カメラを改造せずに天体写真を撮りたい」というニーズは実は大きいものです。フィルターワークによって、非改造カメラでも赤い星雲を撮ることが可能になれば、多くのライトユーザの福音になることでしょう。 では、実際どうでしょうか?まずは無調整画像。同じく、現像はPhotoshopのCamera Rawで行い、ホワイトバランスは「昼光」。ノイズ・収差補正などその他の現像パラメータは「なしなし」です。 フィルターなし オリオン大星雲は、Hα以外の輝線成分や連続光も多いので、非改造機でもけっこう良く写る対象です。むしろ、赤が強くなりすぎず、非改造機のほうが色表現が豊かだという気もしますね^^ LPS-V4 LPS-V4の場合、ヒストグラムの赤が極端に左寄りになってしまいました。非改造機は650nmあたりから感度が落ちてくるので、まあ予想どおりの結果ですが。 QBP QBPの場合は、相対的にGの光量が低いことと、Rの帯域幅が広いせいか、LPS-V4ほどRの感度が落ちてきません。これはなかなかよい感じ。 Astro Duo AstroDuoは、さらにGBの帯域が狭くなるため、カラーバランスがよりニュートラルに近づきます。これなら・・非改造機でもピンクの大星雲が写せるかも。 非改造5D3・露出、ホワイトバランス調整後 こちらも、カラーバランスと露光量のみを調整しで背景を極力ニュートラルにして比較してみました。同じく、ヒストグラムの山は3/8で揃え、使用したのはCamera Rawフィルターの「色温度」「色被り補正」「露出補正」のみです。 フィルターなし 非改造機のフィルターなしではHαの赤はあまり出てきませんが、青がしっかり出てきてこれはこれで良い感じです。非改造機でのM42は、もっと撮られてもいい対象ですね!これは一度ガチ撮りしてみたくなります。 LPS-V4 赤をかなり極端に持ち上げていますが、これは悪くない感じです。改造機のフィルターなしに近い感じになりました。露出倍数は2.15段。 QBP 元のGがLPS-V4より弱い分だけ、カラーバランスを合わせるとGの比率が増えてLPS-V4より黄色っぽい感じになりました。持ち上げが大きくなった分、ノイズが浮いてきました。昔のリバーサル、さくらカラーのような印象。露出倍数は2.45段。 Astro Duo ぱっと見で、これが「非改造機」であるとはなかなか気がつかないのではないでしょうか。露出時間さえ稼げば、ノーマル機でもフィルターワーク次第でそれなりに赤い星雲が写せるということになります。 露出倍数は4.85段。さらにノイズが浮いてきています。Astro Duoのような「ナローバンド」の場合は、星雲が強調される反面、総露出をより多くする必要があることを示しています。 非改造機での作例 非改造機+天体用フィルターの作例を一つ貼っておきます。STC Astro Duoを使用しています。 非改造機で馬頭星雲やM42付近の赤いモクモクを出すのはフィルターなしではかなり難物ですが、天体用フィルターを使用すると意外なほど簡単に出てくれます。ただし「燃える木」星雲が黄色にならず赤っぽくなったり、F2.8の20分露出でもまだ露出不足でシャドーがノイジーだったり、RGBカラーの撮影とはずいぶん勝手が違いますが・・ 「自分のカメラは非改造機だから」とディープスカイを敬遠されていた方にこそ、天体用フィルターはオススメできる製品だと思います。どのフィルターを選ぶのかは対象や撮影スタイル、使用機材によっても変わってきます。 このあたりの実践的な解説も今後発信していく予定です! まとめ いかがでしたか? 天体用フィルターを活用することで、光害をカットしたり、星雲の輝線成分を強調したり、非改造カメラでもより改造機に近い撮影が可能になります。QBPフィルターやSTC Astro Duoなど、多彩な波長特性を持つフィルターの活用により、天体写真の幅が大きく広がるものと期待しています。 記事中にも書きましたが、天体用フィルターを活用するには、フィルターの波長特性と「撮影対象がどんな光を発しているのか」による組み合わせが重要です。また、帯域の狭いフィルターほど、総露出時間を長くする必要があります。今回は比較的連続光の成分やOIIIの成分が強いM42が対象でした。対象によってはまた異なる結果となることでしょう。本記事はあくまでその参考として読んでいただけると幸いです。 天リフでは今後も、さまざまなフィルターワークについての試写や情報提供を積極的に行っていく予定です。ご期待ください! 本記事は天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。 「STC Astro Duoフィルター」は(株)よしみカメラ様より機材の貸与を受けています。他のフィルターは編集部の自費購入です。 記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。 製品の購入およびお問い合わせは各製品の製造元または販売店にお願いいたします。 本記事によって読者様に発生した事象については、その一切について編集部では責任を取りかねますことをご了承下さい。 特に注記のない画像は編集部で撮影したものです。 記事中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。編集部発信のオリジナルコンテンツ