富士フイルムから、かねてから噂のあった1億画素の最新モデル「GFX100」が発表されました。6月下旬発売、店頭予想価格は税別122万5,000円です。

 

富士フイルム・異次元の高画質を実現!世界最高1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載 高速・高精度AF、ボディ内手ブレ補正、4K動画撮影も可能な革新的ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」新発売https://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1423.html

 



デジカメWatch富士フイルム、1億画素の中判ミラーレス「GFX100」正式発表
https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1186018.html

スペック

スペックはリーク通り、1億画素・5.5段手振れ補正・像面位相差AF、秒5コマ連写、4k/30p動画、瞳・顔認識AFなど、最新のフルサイズデジタル一眼と比較して遜色のない「機動性」「速写性」のスペックを盛り込みながら、1億画素のラージフォーマットという「最高画質」を実現しています。

これは凄い。みんな欲しいぞ。「みんなが欲しくなるカメラ」が出るのは、カメラ業界的には実に久しぶりのような気がします。

価格

ではお値段はいかほどに?

天リフでは「一声120万」と予測しましたが、見事にビンゴでした^^ 賞品としてGFX100をプレゼント、ってなる・・・わけないですね^^

しかし、120万という値付けは非常に野心的です。誰もが買える値段ではありませんが、500万円越えのPhase Oneの中判機よりは現実的で、「本気で一点集中すれば、誰もが買えるといえなくもない」価格です。かつてフルサイズの冷却CCDカメラが200万円近くしたことを考えれば、ガチ天文マニアなら十分射程範囲といえるでしょう。

16bit Rawの威力やいかに?

注目したいのが「16bit raw/tiff対応」というスペック。デジタルカメラの場合、これまでは14bitが最大でした。14bitで表現できる数値は0〜16383まで。これが0〜65535まで拡大することになります。

実際のところ、読み出しノイズの低さを生かした短秒・多数枚の撮影の場合、16bitのダイナミックレンジは(14bitですらも)必須ではありませんが、16bitの冷却CCDとの差をまたひとつ埋めるスペックであるとはいえるでしょう(*)。

(*)もしかしたら全部埋まったかも・・・

採用センサーは公表されていませんが、中判1億画素に相当するソニー製センサーはIMX461。このセンサーなのかもしれまんし、違うかもしれません。IMX461の場合、fullwellは4.9e(4万9千電子)あるので、16bitのダイナミックレンジを生かすポテンシャルは十分あるといえるでしょう。

天体用途としてどうか

触りもしていないカメラなのでただの憶測です。

そりゃぁ、スゴイんじゃないですか?

1億画素3.7μのピクセルピッチがあれば大抵のレンズには負けない。赤に強いフジ、天体改造しなくてもたぶん使える。Gレンズは高いけど、FSQ106EDやVSDのイメージサークルを生かせるし、キヤノンEFをアダプタ経由で使えばそれなりにイケるはず。



しかも、普通のカメラとしても十分使えるサイズと機動性です。10年使い続けるつもりなら、決して高い買い物ではないかもしれません。(レンズが間違いなく高くつきますが・・・)

ネガティブ要素はファイルサイズがでかすぎるであろうことと、EFマウントアダプタ経由で使用した場合のケラレの心配くらいでしょうか。お金があれば絶対欲しい。そんなカメラであることは間違いありません。

もうひとつ懸念要素を指摘しておきます。ボディ重量が1.4kg。これはかなり重いです。D810Aの980gより重く、「漬け物石」と勝手に筆者が呼んでいるEOS 1Dシリーズ並みの重量級です。ヤワな接眼部には着けられないし、しっかりした赤道儀で撮影する前提になるでしょう。でもまあ、冷却CCDよりは軽いでしょうが・・・

3.7μのピクセルピッチは小さすぎないのか?

高画素のカメラが出るたびに天文マニアから指摘されるのが「そんなに画素を細かくしないで、サイズを大きいままにして高感度に強くして欲しい」という声です。

しかし、この指摘は「理論的理想」に照らせば正しくないと筆者は考えています。本来画素サイズは「小は大を兼ねる」はずなのです。小さな画素はビニングすれば大きな画素と同じ。1画素に光子が1個くるかこないかくらいの低照度なら違うかもしれませんが、そうでなければ受光面積の和が同じであれば低照度性能は大きく違わないはです。

この「理論的理想」が満たされなかった理由は、センサー間のギャップ(配線やアンプなどの回路で実質的受光部が狭くなる)や、画素が「井戸底」状態になって光を十分受光できないような制約があるからです(*)。裏面照射型によってこの問題が改善されるというのが定説ですが、筆者はセンサー画素の顕微鏡写真を見たことはないので推測にしかすぎませんが、小さい画素なのにfullwellが4.9Kもあるんだから、きっと受光面積のロスは小さいでしょう(適当^^;;)。

(*)CCDの場合は読み出しノイズの問題もあります。

だらだら書きましたが、たぶん「3.7μ」の画素サイズは、デメリットよりもメリットの方が大きいはずです。

QHY461もあるでよ

ところで、GFX100だけでなく、中判ラージフォーマットの天体用CMOSカメラ「QHY461」の存在を、改めて指摘しておきます。

このカメラ、4月のNEAFで発表されただけで未発売ですが、1億画素のソニー製センサーIMX461を搭載しています。価格はいくらになるのかわかりませんが、発売されればGFX100と同じ意味で「天体撮影専用」の最終兵器となることでしょう。

ラージフォーマット

ちなみに、GFXのセンサーサイズ(33mm×44mm)がどのくらい大きいかを示す図を作ったので貼っておきます。

フジのプレスリリース中の画像が若干「さば読み」だったので、誤解のないように作成しました^^;;

まとめ・GFXは天体写真をどう変えるか?

Twitterで「GFX100」がトレンド入りするなど、ひさびさに「全カメヲタが湧いた」ニュースでしたね!発売されれば、あんな人とかこんな人が速攻で買うんじゃないかと期待しています。その方の作例次第では、さらに天文ガチ界隈が熱くなるかも知れません。

そう、GFX100が期待通りであれば、天体写真のリザルトというよりも、まず天文ガチ界隈が熱くなる!そんな気がします^^

期待しましょう。(筆者はもちろん買えませんorz)

https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/05/ffnr1423_01-941x1024.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/05/ffnr1423_01-150x150.jpg編集部デジタルカメラ富士フイルムから、かねてから噂のあった1億画素の最新モデル「GFX100」が発表されました。6月下旬発売、店頭予想価格は税別122万5,000円です。   富士フイルム・異次元の高画質を実現!世界最高1億2百万画素のラージフォーマットセンサーを搭載 高速・高精度AF、ボディ内手ブレ補正、4K動画撮影も可能な革新的ミラーレスデジタルカメラ「FUJIFILM GFX100」新発売https://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1423.html   デジカメWatch富士フイルム、1億画素の中判ミラーレス「GFX100」正式発表 https://dc.watch.impress.co.jp/docs/news/1186018.html スペック スペックはリーク通り、1億画素・5.5段手振れ補正・像面位相差AF、秒5コマ連写、4k/30p動画、瞳・顔認識AFなど、最新のフルサイズデジタル一眼と比較して遜色のない「機動性」「速写性」のスペックを盛り込みながら、1億画素のラージフォーマットという「最高画質」を実現しています。 これは凄い。みんな欲しいぞ。「みんなが欲しくなるカメラ」が出るのは、カメラ業界的には実に久しぶりのような気がします。 https://twitter.com/883_Enif/status/1131497526740185088 価格 ではお値段はいかほどに? 天リフでは「一声120万」と予測しましたが、見事にビンゴでした^^ 賞品としてGFX100をプレゼント、ってなる・・・わけないですね^^ https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1131022230157025280 しかし、120万という値付けは非常に野心的です。誰もが買える値段ではありませんが、500万円越えのPhase Oneの中判機よりは現実的で、「本気で一点集中すれば、誰もが買えるといえなくもない」価格です。かつてフルサイズの冷却CCDカメラが200万円近くしたことを考えれば、ガチ天文マニアなら十分射程範囲といえるでしょう。 16bit Rawの威力やいかに? 注目したいのが「16bit raw/tiff対応」というスペック。デジタルカメラの場合、これまでは14bitが最大でした。14bitで表現できる数値は0〜16383まで。これが0〜65535まで拡大することになります。 実際のところ、読み出しノイズの低さを生かした短秒・多数枚の撮影の場合、16bitのダイナミックレンジは(14bitですらも)必須ではありませんが、16bitの冷却CCDとの差をまたひとつ埋めるスペックであるとはいえるでしょう(*)。 (*)もしかしたら全部埋まったかも・・・ 採用センサーは公表されていませんが、中判1億画素に相当するソニー製センサーはIMX461。このセンサーなのかもしれまんし、違うかもしれません。IMX461の場合、fullwellは4.9e(4万9千電子)あるので、16bitのダイナミックレンジを生かすポテンシャルは十分あるといえるでしょう。 天体用途としてどうか 触りもしていないカメラなのでただの憶測です。 そりゃぁ、スゴイんじゃないですか? 1億画素3.7μのピクセルピッチがあれば大抵のレンズには負けない。赤に強いフジ、天体改造しなくてもたぶん使える。Gレンズは高いけど、FSQ106EDやVSDのイメージサークルを生かせるし、キヤノンEFをアダプタ経由で使えばそれなりにイケるはず。 しかも、普通のカメラとしても十分使えるサイズと機動性です。10年使い続けるつもりなら、決して高い買い物ではないかもしれません。(レンズが間違いなく高くつきますが・・・) ネガティブ要素はファイルサイズがでかすぎるであろうことと、EFマウントアダプタ経由で使用した場合のケラレの心配くらいでしょうか。お金があれば絶対欲しい。そんなカメラであることは間違いありません。 もうひとつ懸念要素を指摘しておきます。ボディ重量が1.4kg。これはかなり重いです。D810Aの980gより重く、「漬け物石」と勝手に筆者が呼んでいるEOS 1Dシリーズ並みの重量級です。ヤワな接眼部には着けられないし、しっかりした赤道儀で撮影する前提になるでしょう。でもまあ、冷却CCDよりは軽いでしょうが・・・ 3.7μのピクセルピッチは小さすぎないのか? 高画素のカメラが出るたびに天文マニアから指摘されるのが「そんなに画素を細かくしないで、サイズを大きいままにして高感度に強くして欲しい」という声です。 しかし、この指摘は「理論的理想」に照らせば正しくないと筆者は考えています。本来画素サイズは「小は大を兼ねる」はずなのです。小さな画素はビニングすれば大きな画素と同じ。1画素に光子が1個くるかこないかくらいの低照度なら違うかもしれませんが、そうでなければ受光面積の和が同じであれば低照度性能は大きく違わないはずです。 この「理論的理想」が満たされなかった理由は、センサー間のギャップ(配線やアンプなどの回路で実質的受光部が狭くなる)や、画素が「井戸底」状態になって光を十分受光できないような制約があるからです(*)。裏面照射型によってこの問題が改善されるというのが定説ですが、筆者はセンサー画素の顕微鏡写真を見たことはないので推測にしかすぎませんが、小さい画素なのにfullwellが4.9Kもあるんだから、きっと受光面積のロスは小さいでしょう(適当^^;;)。 (*)CCDの場合は読み出しノイズの問題もあります。 だらだら書きましたが、たぶん「3.7μ」の画素サイズは、デメリットよりもメリットの方が大きいはずです。 QHY461もあるでよ ところで、GFX100だけでなく、中判ラージフォーマットの天体用CMOSカメラ「QHY461」の存在を、改めて指摘しておきます。 このカメラ、4月のNEAFで発表されただけで未発売ですが、1億画素のソニー製センサーIMX461を搭載しています。価格はいくらになるのかわかりませんが、発売されればGFX100と同じ意味で「天体撮影専用」の最終兵器となることでしょう。 ラージフォーマット ちなみに、GFXのセンサーサイズ(33mm×44mm)がどのくらい大きいかを示す図を作ったので貼っておきます。 フジのプレスリリース中の画像が若干「さば読み」だったので、誤解のないように作成しました^^;; https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1131488151078297600 まとめ・GFXは天体写真をどう変えるか? Twitterで「GFX100」がトレンド入りするなど、ひさびさに「全カメヲタが湧いた」ニュースでしたね!発売されれば、あんな人とかこんな人が速攻で買うんじゃないかと期待しています。その方の作例次第では、さらに天文ガチ界隈が熱くなるかも知れません。 そう、GFX100が期待通りであれば、天体写真のリザルトというよりも、まず天文ガチ界隈が熱くなる!そんな気がします^^ 期待しましょう。(筆者はもちろん買えませんorz) https://twitter.com/hiropon_hp2/status/1131511008764223489編集部発信のオリジナルコンテンツ