ZWO社のHPに天体用CMOSカメラASIシリーズの「アンプグロー(*)」の実写画像が公開されています。

(*)英語ではAmp-glow、日本でざっくり「アンプノイズ」と呼ばれているものに含まれますが、厳密には異なるものです。

アンプグローの実画像

ZWO社HP Amp-glowとは何か、その回避法
https://astronomy-imaging-camera.com/usage-performance/what-is-amp-glow/
294センサーのアンプグロー

「アンプ・グロー」はCCD時代に生まれた用語です。 カメラが完全に暗い部屋の下にあっても、画像に輝きを生じさせます。 旧世代のセンサーの場合、文字どおりセンサーの増幅回路によって引き起こされるものでした。

しかし、CMOSカメラの「アンプ・グロー」はアンプからのものではありません。CMOSセンサは、通常、センサダイ上の読み出しエレクトロニクスと完全に統合されています。 そこにはADCとCDSユニットがあります。 最近では、センサダイ自体にクロックジェネレータや電源レギュレータなどのサポート回路が追加されています。
これらのサポート回路は熱を発生させ、あるいは近赤外光を発することさえあり、両方ともアンプ・グローの原因となります。



より長時間露光すると、センサーによってより多くの赤外線が検出され、アンプグローがより明るく見えます。(Google翻訳+編集部訳、文字修飾:編集部)

天体用CMOSカメラをお使いの方は、まさにこのような「アンプグロー」を眼にされたことでしょう。

ここではASI294の画像のみ引用しましたが、リンク先にはASI1600、183、178の画像も出ています。

アンプグローとその原因

今回のZWO社のアナウンスでは、この原因(全ての原因だとは書かれていない)は「センサダイ上にあるサポート回路が発する熱、または近赤外光」であると書かれています。

編集部でもこのダーク画像を見て「光る何かがどこかにあるかも?」と感じていましたが、この情報で腑に落ちました(*)。

(*)これを調べるために暗闇で筐体を開けてセンサーと周辺回路そのものを撮影してみたことがあるのですが、露出時間が不足していたのか全く検出できませんでした。



冷却すると減るのか

回路内の赤外光による「アンプグロー」は冷やしても減らないが「ダークカレント(暗電流、熱ノイズ)」は当然ながら減る、結果的に「アンプグロー」は冷やすと逆に顕著に見えるとあります。

前段ではアンプグローの原因は「熱または赤外光」とあったのに、冷やしても変わらないとあるということは、アンプグローの主要因は赤外光なのでしょうか。

回避方法

回避方法が書かれていますが、特に新しいことはありません。ダークを引くべし(*)。ただし、ちゃんと温度管理したマスターダークを使えば使い回しできるよ、とあります。

(*)一般的な話ですが「合わないダーク(ISO・ゲイン違い、温度差、機種の取り違え、など)」を引いた場合、逆に良くない結果になることもあります。うっかりミスはいろいろありますので注意が必要です。

今回の情報の意義

いわゆる「朗報」でも「悲報」でもない今回のアナウンスですが、ある意味メーカーにとっては「こういう問題(仕様)がある」という話であり、積極的に「言い回りたい」ようなものではないはず。

それがこういう形でちゃんと出てきたことは、ユーザーにとって有益なことではないでしょうか。

元記事中では、「Anti amp-glow function」によってASI224やASI385ではアンプグローがより改善されている、とあるのですがこれの実写画像も欲しかったところ。

ダークを引けば解決するとはいえ、今後さらに改善されてほしいものですね。

  編集部天体用カメラZWO社のHPに天体用CMOSカメラASIシリーズの「アンプグロー(*)」の実写画像が公開されています。 (*)英語ではAmp-glow、日本でざっくり「アンプノイズ」と呼ばれているものに含まれますが、厳密には異なるものです。 アンプグローの実画像 ZWO社HP Amp-glowとは何か、その回避法 https://astronomy-imaging-camera.com/usage-performance/what-is-amp-glow/ 「アンプ・グロー」はCCD時代に生まれた用語です。 カメラが完全に暗い部屋の下にあっても、画像に輝きを生じさせます。 旧世代のセンサーの場合、文字どおりセンサーの増幅回路によって引き起こされるものでした。 しかし、CMOSカメラの「アンプ・グロー」はアンプからのものではありません。CMOSセンサは、通常、センサダイ上の読み出しエレクトロニクスと完全に統合されています。 そこにはADCとCDSユニットがあります。 最近では、センサダイ自体にクロックジェネレータや電源レギュレータなどのサポート回路が追加されています。 これらのサポート回路は熱を発生させ、あるいは近赤外光を発することさえあり、両方ともアンプ・グローの原因となります。 より長時間露光すると、センサーによってより多くの赤外線が検出され、アンプグローがより明るく見えます。(Google翻訳+編集部訳、文字修飾:編集部) 天体用CMOSカメラをお使いの方は、まさにこのような「アンプグロー」を眼にされたことでしょう。 ここではASI294の画像のみ引用しましたが、リンク先にはASI1600、183、178の画像も出ています。 アンプグローとその原因 今回のZWO社のアナウンスでは、この原因(全ての原因だとは書かれていない)は「センサダイ上にあるサポート回路が発する熱、または近赤外光」であると書かれています。 編集部でもこのダーク画像を見て「光る何かがどこかにあるかも?」と感じていましたが、この情報で腑に落ちました(*)。 (*)これを調べるために暗闇で筐体を開けてセンサーと周辺回路そのものを撮影してみたことがあるのですが、露出時間が不足していたのか全く検出できませんでした。 冷却すると減るのか 回路内の赤外光による「アンプグロー」は冷やしても減らないが「ダークカレント(暗電流、熱ノイズ)」は当然ながら減る、結果的に「アンプグロー」は冷やすと逆に顕著に見えるとあります。 前段ではアンプグローの原因は「熱または赤外光」とあったのに、冷やしても変わらないとあるということは、アンプグローの主要因は赤外光なのでしょうか。 回避方法 回避方法が書かれていますが、特に新しいことはありません。ダークを引くべし(*)。ただし、ちゃんと温度管理したマスターダークを使えば使い回しできるよ、とあります。 (*)一般的な話ですが「合わないダーク(ISO・ゲイン違い、温度差、機種の取り違え、など)」を引いた場合、逆に良くない結果になることもあります。うっかりミスはいろいろありますので注意が必要です。 今回の情報の意義 いわゆる「朗報」でも「悲報」でもない今回のアナウンスですが、ある意味メーカーにとっては「こういう問題(仕様)がある」という話であり、積極的に「言い回りたい」ようなものではないはず。 それがこういう形でちゃんと出てきたことは、ユーザーにとって有益なことではないでしょうか。 元記事中では、「Anti amp-glow function」によってASI224やASI385ではアンプグローがより改善されている、とあるのですがこれの実写画像も欲しかったところ。 ダークを引けば解決するとはいえ、今後さらに改善されてほしいものですね。  編集部発信のオリジナルコンテンツ