【タイプ別まとめ】天体の画像処理はどこまで許されるのか?

天体の画像処理はどこまで許されるのか?

何がありで、何がなしなのか?考え方は人それぞれ。
それは「あなたがお決めになることです(家政婦のミタ風)」

皆が守らなければならない「禁じ手」なんてありませーん
(もちろん「パクリ」のような法律違反はだめですよ)

とはいっても、何らかの「目安」は欲しくなりますね。
そこで、貴方のタイプ別に、どんな画像処理をすればいいか、やってはならないのかをわかりやすくご案内してみました!

素材画像はこれ、夏の天の川です!

EOS6D(IRフィルター除去改造) Tamron15-30mmF2.8 15mm F2.8
ISO3200 60秒 ポラリエ恒星時追尾

撮って出しの画像がこれ。改造機なので赤く転んでいますが^^;



お手軽派

「ややこしいことなんてしたくない」「お手軽が一番!」と考える貴方にはこれがピッタリ!

現像ソフトはキヤノン純正の「DPP」を使用しました。

やることはとってもカンタン!

①ホワイトバランスを「クリックホワイトバランス」で調整
②明るさをお好みに調整
③ピクチャースタイルをお好みで選択

ホワイトバランスは、選択するポイントで異なってくるので、どこでセットするのかはお好みです。また、ピクチャースタイルは「風景」などの濃い目がオススメ。

現像ソフトでできることを普通にやるだけ。
「禁じ手」なんてヤヤコシイことを考える必要はありません。

科学写真派

「天体写真は科学写真である」と考える貴方の場合・・・

再現性のある処理を心がけましょう

科学写真では、いろいろ「やってはいけないこと」があります。コラージュ・コピペは論外、部分的な加工(明るさ・コントラストなど)も×。ほかにもいろいろありますが詳細は割愛。

一番大事なのは「再現性=第三者が元画像から同じ結果を得るための方法が明示されている」こと。元となるRAWデータと処理レシピがあれば、その写真から「恣意性」が排除できるという考え方です。

この「再現性」という考え方は科学写真に限ったものではありません。後で出てくる「ネイチャーフォト」「鑑賞写真」でも再現性を重視する考え方もあります。

マスクやローカル強調などを変に使用せず、素材画像をなるべくそのまま生かせば科学写真的基準を満たすので、「お手軽処理」の延長であれば、あまり難しく考える必要はありません。

この写真をよーく見ると、画面に流星が写ってますね!
時と場合によれば、誰も発見していなかった新しい天体が写っていることも!
1枚の写真が「もしかしたら科学に役に立つことがあるのかもしれない」という可能性を閉じないことが、科学写真の意義。

もう一つ、大事なことに注意しましょう。それは「時刻」をはじめとする撮影データを記録すること。

デジタルの場合ほとんどの情報はEXIFに記録されていますが、「カメラの時計をしっかり合わせておく」と。ものぐさしてると、数分は平気でずれていますから!

ネットにアップするときも時刻ほかのデータ一式の併記を忘れずに!作例のように画像中にデータを埋め込めば、ますます科学写真風の仕上がりになります!

ネイチャー派

天体写真はネイチャーフォトである、と考える貴方の場合・・

「流派」ごとのお作法に注意しましょう!

科学写真は「再現性」が担保されればほぼOKなのですが、ネイチャーフォトの場合は人それぞれ、コミュニティそれぞれで「禁じ手」が違います。

一般的には「ネイチャー写真」は「人工物はダメ」なんだそうです。電線ダメ。ガードレールダメ。道路もだめなんでしょうか?植林した林は?

Yahoo知恵袋・ネイチャー写真って、どう判断したらよいのだ
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1471886329

ネットで調べてみると、明確にこのことを宣言している団体などは見つけられませんでした。知恵袋でご勘弁。

他にも「その道の大家が人工池を取った写真が人工物禁止のコンテストで入選していてどうのこうの」とか「ネーチャーフォトのために人工物を消すレタッチテクニック」とか出てきて、香ばしい一面も・・

注)「ネイチャーフォト人工物禁止」の認識は、もしかしたらもう時代遅れで昔話なのかもしれません。事実誤認がありましたらご指摘ください。

で、まずは「人工物禁止」にのっとった作例。
電線と電波塔、林道をトリミングで外しました。

うーん。何やってるんだろう・・・意味あるのかな?
林の上の街灯りが人工物認定ならアウトだし・・・

「人工物禁止」のようなレギュレーションは、いわば縛りゲーのようなもの。意味がないと言ってしまえばそれまで。でもゲームとルールは常にセット。5-7-5と季語のルールを無くせば俳句ではなくなるのと同じです。

ネーチャー的天体写真では「比較明合成」「コンポジット」「地上と星空の重ね合わせ合成」「過度のレタッチ」「マスク処理」「ライトアップ」「撮影地の公表」などが禁止の対象となることがあります。どれを禁止するのかは流派でそれぞれです。

自分のスタイルにあった流派があればその中で活動するのもよし、どの流派にも属さず独自の道をゆくのもよし。それはまさに貴方がお決めになることです。

鑑賞写真派

星空の美しさを最大に表現したい・・そう考える貴方の場合。

テクニックの限りを尽くしましょう

美しくするためのテクニックは全てありです。(微妙に異論はありますが略)ただし・・・「そこに本来あり得ないものをコラージュする」ことや、「お絵かき」することは禁じ手とされている方がほとんどです。(これを許容するのは後で出てくる「アート派」になります。)

長くなるので行程は全て略しますが、完成画像の一例がこれ。

星空は追尾撮影、風景は固定撮影で複数枚撮影し、コンポジット(重ね合わせ)して切り貼り合成しています。空の明るさも補正して、真っ黒に潰れていた林道を持ち上げています。

手順の詳細は全て省略しますが、実際のところ処理は大変です。「再現性」を担保しようものなら、膨大な手順を併記する必要が・・・

カメラの性能が一桁、いやせめて4倍になれば、こんな苦労はなくなるはずなんですが・・・そうなれば、「鑑賞派」と「お手軽派」の垣根はもっと低くなるはずです!

インスタ派

とにかく「インスタ映え」する写真を撮りたい・・・そう考える貴方の場合。

「掴み」がすべてです。

タイムラインを写真が一瞬で流れて行くインスタの世界。ほんの短い瞬間でいかにして「キレイ」「おしゃれ」「カワイイ」「凄い」と思わせられるかにかかっています。

ここでは、星空写真向けのとっておきのテクニックをご紹介。

PhotoshopのCamera rawフィルターで、以下の調整をやるだけの簡単なお仕事です。

  • 「明瞭度」をMAXに
  • 「彩度」を+40くらい
  • 「色温度」を下げる(青に振る)
  • 「レンズ補正」で「周辺光量補正」を-100
  • 「レベル補正」でグリーンを下げる

後は明るさ・コントラストをお好みに調整してください。

ポイントはこの5つ全部です。インスタ映えする星の写真のほとんど全てが、このテクニックを何らかの形で使っているはず。とにかく「ド派手」「青>赤>緑」「ハイライトは飛ばす」「シャドーを持ち上げる」を心がけましょう。

他にも、インスタ専用の写真加工アプリがいろいろ出ているようなので試してみてはいかがでしょう?これだけでかなりのニーズをカバーできるかも。

【Instagram】おしゃれ加工アプリを伝授♡これであなたもインスタ上級者!
https://www.jgs-media.com/item/11238/

アート派

自分のイマジネーションを写真というツールで表現したい・・そう考える貴方の場合。

表現にルールはありません。

1枚の写真は表現の素材の一つにしか過ぎません。イマジネーションと自由な衝動に忠実に。使えるものは全て使って、感動を表現してみましょう。

でもこの作例は寄せ集めの最低のアート。美しくもなければ感動もありません^^;;

技術と感動を伴わないアート作品はただのゴミであることをお忘れなく。

Photoshopの様々な技法をマスターするだけでは不十分。いくらもっともらしい絵を造ったとしても、その作品に見る者を強く揺さぶる何かがない限り、「よくできた造りもの」以上のものにはなれないのです。

でも、アート写真はまだまだ新しい分野。世の人々の目がまだ肥えていない今なら、レベルの低い合成アートでも注目してもらえるチャンスがたくさんあります!

「Google検索」を使えば、すぐに使える合成テクニックが目白押しです。始めるなら今がチャンスかも!

まとめ

いかがでしたか?貴方はどのタイプでしたか?

ますます広がる写真の世界。その中でどんな作品を目指すのか。自分なりのスタンスとポリシーを持って楽しみましょう!

最後にもう一つ。どんなスタンスとポリシーにせよ、社会人として、人間としてのルールとマナーは守りたいものです写真人口はますます増えていて、異なる考えの人と撮影地で出くわすことは日常茶飯事。それぞれの立場を尊重して、気持ちよく楽しみたいものですね。

 

 


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「【タイプ別まとめ】天体の画像処理はどこまで許されるのか?」への4件のフィードバック

  1. 読んでみて驚きました。実に素晴しい! 実に冷静、実に客観的ですね。
    適切な作例が示されていることも素晴しい!
    自分自身の目も覚めました。
    天体写真の歴史の中でEpochMakingな原稿と思います。
    入門者が最初に読む原稿としても、ある程度の画像処理がこなせるようになった人が読む原稿としても、非常に適切で多くの事柄を示唆していますね。
    こういう原稿が天体写真の書籍に大きく1章設けて加えられるべきです。
    私がまだ現役の編集者ならば、この原稿を根幹として天体写真の撮影シリーズを展開したいくらいです。

    1. ありがとうございました。
      ここ数年自分の中でもやもやしていたことを整理してみたのですが、過分なお褒め言葉をいただき、励まされるとともに身の引き締まる思いです。
      今後ともご指導のほどお願い申し上げます。

  2. こんにちは、お邪魔します。
    前回の記事ではイマイチもやもやしてました。
    今回のはとても分かりやすいです。
    アートを目指したい人の表現は自由であって良いと思います。
    科学を目指したい人は忠実な表現で良いと思います。
    作品の受け手としても送り手としても、いろいろな表現を楽しむことが大切ですね。
    また、表現の否定から入るのではなく、それそれが尊重し合えれば盛り上がるのではないでしょうか?
    もちろん基本的な禁じ手は守るにしても、その中で画像処理方法は私は何でもアリだと思っています。
    最後の作例も、大変賑やかで見ていてわくわくするような写真だなぁと思いました。

    1. ふみすみさん、コメントありがとうございます。
      そうおしゃっていただけて嬉しいです。自分としても今回の記事でとりあえずのもやもやは晴れた気がしています。
      次は、さまざまな表現の方向性が、互いを尊重し合い盛り上がるようになるにはどうすればいいか?ですね。さらにハードルが上がりますが、微力ながら発信していきたいと考えています。

      最後の作例・・・ もう少しマシな作例にしたかったのですが、技術およばず・・大汗です^^;;;;

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