光害カットの究極・デュアル/トリプルナローバンドフィルター
OPT社・TRIAD Filter
ブログ「夜空の星狩り」で、米国OPTで販売されている「TRIAD Filter」を使用して撮影されたはくちょう座の網状星雲の画像がアップされています。TRIAD Filterは、HαとOIII・Hβの輝線のみを鋭く通す「ナローバンドフィルター」です。
夜空の星狩り・NGC6990 画像追加処理(RGB分解、強調後再合成
http://yozoranohoshigari.blog.fc2.com/blog-entry-283.html
遠征しないでここまでできれば、ISOを抑えて長時間露出することにより、もっと細部まで表現できるような気がします。
天城高原まで往復5時間以上かかることを考慮すると自宅でもいいかなあと思っちゃいますね♪
遠征しないでここまで撮れる。Hα3nm、OIII・Hβ18nmのナローバンドフィルター、TRIAD Filter。東京稲城市で撮影した網状星雲。
「夜空の星狩り」よりピックアップ。https://t.co/ngcnnHuYtG
— 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) August 30, 2018
このフィルターは、いわゆる「光害カットフィルター」よりもさらにカットする波長域が広く、星雲の輝線スペクトル「だけ」を通すことに特化したナローバンドフィルターです。一回の撮影でカラー画像を得られるため、AOOナローバンドをデジタルカメラで撮影することができます。
夜空の星狩り・来たあ~~! USAから羨望の品物が届いた!
http://yozoranohoshigari.blog.fc2.com/blog-entry-277.html
フィルターの仕様は以下の通りです。
サイズ:2インチ(マウントはM48)
Hα(656.3nm)半値幅 3nm OⅢ~Hβ(493nm)半値幅18nm *透過率は各々90%以上
その他の波長域 UV~IR(1100nm)は透過率0.01%でほぼブロックされています。
TRIAD Filterの分光特性グラフ。Hαがこの通り3nmだとすると凄い。一方でOIII・Hβは18nm。これだと背景はほぼGとBになりますね。
OPT・TRIAD TRI-BAND NARROWBAND FILTER
https://optcorp.com/products/opt-triad-tri-band-narrowband-filter?variant=12368374759488
OPTの商品ページ(英語)。2インチサイズで775ドル、1.25インチサイズは375ドル。お値段はかなり張りますね。天体CMOSカメラなら1.25インチでもいけるのでそれもひとつの狙い目でしょうか(*)。
(*)カラーセンサー限定。モノクロセンサーだと色を分離できません^^;;
光害カットフィルターの比較
「ホシミスト3013の天体撮影記」に、光害カットフィルターLPR-NとCLS-CCDを網状星雲で実写比較した記事がアップされています。各社クリップタイプが税別49,800円、48mmタイプが 同54,800円です。
「ホシミスト3013の天体撮影記」光害カットフィルターの比較 CLS-CCD vs LPR-N (2)
https://plaza.rakuten.co.jp/aabckenfuji/diary/201808280000/
光害カットフィルター比較。光害輝線のみカットするLPR-N、Hα、OIIIを含む赤と緑以外をばっさり切るCLS-CCD。その違いを詳しく解説した記事。STCのデュアルナローバンドはCLS-CCDをさらに狭くし、Hα、OIIIに特化したもの。
「ホシミスト3013の天体撮影記」よりピックアップ。https://t.co/II83A04dud— 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) August 29, 2018
実写画像に加えて、光源の種類による「光害」のスペクトルの違い、2つの光害カットフィルターの分光特性の違いが詳しく解説されていて大いに参考になるページです。
さらに、光害カットフィルターの弱点ともいえる「星の色の崩れ」にも言及されています。光害カットフィルターは特定の波長域を通さないため、カットする波長域が広くなるほど、色の階調表現はノーマルのRGBより悪くなります。
最初にご紹介した「TRIAD Filter」は、これらの比較でいうと「CLS-CCD」フィルターの透過波長域をさらに極端に狭めたものである、ともいえます。
STC デュアルナローバンドフィルター
TRIAD Filterと同じ位置づけの製品に、台湾STC社の「Astoro Duoデュアルナローバンドフィルター」があります。
「TRIAD Filter」と比較すると、Hαが若干広く、Hβは半分以上カットする形ですね。背景の明るさはこれを見るかぎりではRとGBで同じくらい。
この「Astoro Duoナローバンドフィルター」ですが、実は日本の総代理店のよしみカメラ様より天リフ編集部がお借りしている最中。ある程度まとまったらレビュー記事を書く予定です。
追記8/31)
よしみカメラ様の商品ページが公開されています。
STC Astro Duo ナローバンドフィルター
http://yoshimi.ocnk.net/product/182
STCのデュアルナローバンドフィルター。月明かり無用。晴れ次第レビュー予定です。 pic.twitter.com/44YfU2MsQ3
— 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) August 22, 2018
お借りしているのは一眼レフのミラボックス内に挿入するクリップタイプ。48mm径のタイプもあるそうです。
はくちょう座の網状星雲。満月の夜をものともせず。これぞナローバンドの威力。HαとOIIIの輝線のみを通す「STCデュアルナローバンドフィルター」使用。EOS6D、400mmF2.8解放、30秒×80枚コンポジット。次は暗夜でチャレンジ! pic.twitter.com/DkipqG2BmR
— 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) August 27, 2018
こちらは満月の晩に撮影した網状星雲。総露出40分。市街地でもこのくらいは写せることでしょう。暗夜にたっぷり露出するとどうなるかも見て見たいものです。
ちなみに、AOOナローバンドで一番撮りやすい・効果が分かりやすいのはこの網状星雲。HαとOIIIでの形状が明らかに異なる上にOIII成分が強いためです。
まとめ
フィルターワークは天体写真の醍醐味の一つ。うまく使えば、赤や青の星雲を強調したり、光害地でも遠征地とあまり遜色のない撮影をすることができます。
これまで使用されていた「弱めの光害カットフィルター」LPR-N(LPS-P2、LPS-D1などもこれに相当)、「強めの光害カットフィルター」CLS-CCD(LPS-V4などもこれに相当)に加えて、TRIAD FilterやAstro Duoなどの「カラー撮影向けのナローバンドフィルター」が広まってくると、ますます撮影のバリエーションが広がりそうですね。
https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/08/30/6211/光害カットの究極・デュアル/トリプルナローバンドフィルターhttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/08/20180829223543b9b-1024x764.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/08/20180829223543b9b-150x150.jpgフィルターOPT社・TRIAD Filter ブログ「夜空の星狩り」で、米国OPTで販売されている「TRIAD Filter」を使用して撮影されたはくちょう座の網状星雲の画像がアップされています。TRIAD Filterは、HαとOIII・Hβの輝線のみを鋭く通す「ナローバンドフィルター」です。 夜空の星狩り・NGC6990 画像追加処理(RGB分解、強調後再合成 http://yozoranohoshigari.blog.fc2.com/blog-entry-283.html 遠征しないでここまでできれば、ISOを抑えて長時間露出することにより、もっと細部まで表現できるような気がします。 天城高原まで往復5時間以上かかることを考慮すると自宅でもいいかなあと思っちゃいますね♪ https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1034966805343662080 このフィルターは、いわゆる「光害カットフィルター」よりもさらにカットする波長域が広く、星雲の輝線スペクトル「だけ」を通すことに特化したナローバンドフィルターです。一回の撮影でカラー画像を得られるため、AOOナローバンドをデジタルカメラで撮影することができます。 夜空の星狩り・来たあ~~! USAから羨望の品物が届いた! http://yozoranohoshigari.blog.fc2.com/blog-entry-277.html フィルターの仕様は以下の通りです。 サイズ:2インチ(マウントはM48) Hα(656.3nm)半値幅 3nm OⅢ~Hβ(493nm)半値幅18nm *透過率は各々90%以上 その他の波長域 UV~IR(1100nm)は透過率0.01%でほぼブロックされています。 TRIAD Filterの分光特性グラフ。Hαがこの通り3nmだとすると凄い。一方でOIII・Hβは18nm。これだと背景はほぼGとBになりますね。 OPT・TRIAD TRI-BAND NARROWBAND FILTER https://optcorp.com/products/opt-triad-tri-band-narrowband-filter?variant=12368374759488 OPTの商品ページ(英語)。2インチサイズで775ドル、1.25インチサイズは375ドル。お値段はかなり張りますね。天体CMOSカメラなら1.25インチでもいけるのでそれもひとつの狙い目でしょうか(*)。 (*)カラーセンサー限定。モノクロセンサーだと色を分離できません^^;; 光害カットフィルターの比較 「ホシミスト3013の天体撮影記」に、光害カットフィルターLPR-NとCLS-CCDを網状星雲で実写比較した記事がアップされています。各社クリップタイプが税別49,800円、48mmタイプが 同54,800円です。 「ホシミスト3013の天体撮影記」光害カットフィルターの比較 CLS-CCD vs LPR-N (2) https://plaza.rakuten.co.jp/aabckenfuji/diary/201808280000/ https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1034951298217439232 実写画像に加えて、光源の種類による「光害」のスペクトルの違い、2つの光害カットフィルターの分光特性の違いが詳しく解説されていて大いに参考になるページです。 さらに、光害カットフィルターの弱点ともいえる「星の色の崩れ」にも言及されています。光害カットフィルターは特定の波長域を通さないため、カットする波長域が広くなるほど、色の階調表現はノーマルのRGBより悪くなります。 最初にご紹介した「TRIAD Filter」は、これらの比較でいうと「CLS-CCD」フィルターの透過波長域をさらに極端に狭めたものである、ともいえます。 STC デュアルナローバンドフィルター TRIAD Filterと同じ位置づけの製品に、台湾STC社の「Astoro Duoデュアルナローバンドフィルター」があります。 https://stcoptics.com/ja/astro_duo_narrowband/ 「TRIAD Filter」と比較すると、Hαが若干広く、Hβは半分以上カットする形ですね。背景の明るさはこれを見るかぎりではRとGBで同じくらい。 この「Astoro Duoナローバンドフィルター」ですが、実は日本の総代理店のよしみカメラ様より天リフ編集部がお借りしている最中。ある程度まとまったらレビュー記事を書く予定です。 追記8/31) よしみカメラ様の商品ページが公開されています。 STC Astro Duo ナローバンドフィルター http://yoshimi.ocnk.net/product/182 https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1032086895566544897 お借りしているのは一眼レフのミラボックス内に挿入するクリップタイプ。48mm径のタイプもあるそうです。 https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1033988055751749632 こちらは満月の晩に撮影した網状星雲。総露出40分。市街地でもこのくらいは写せることでしょう。暗夜にたっぷり露出するとどうなるかも見て見たいものです。 ちなみに、AOOナローバンドで一番撮りやすい・効果が分かりやすいのはこの網状星雲。HαとOIIIでの形状が明らかに異なる上にOIII成分が強いためです。 まとめ フィルターワークは天体写真の醍醐味の一つ。うまく使えば、赤や青の星雲を強調したり、光害地でも遠征地とあまり遜色のない撮影をすることができます。 これまで使用されていた「弱めの光害カットフィルター」LPR-N(LPS-P2、LPS-D1などもこれに相当)、「強めの光害カットフィルター」CLS-CCD(LPS-V4などもこれに相当)に加えて、TRIAD FilterやAstro Duoなどの「カラー撮影向けのナローバンドフィルター」が広まってくると、ますます撮影のバリエーションが広がりそうですね。 編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
一枚だけスタック数と撮影秒が出ているが、他の画像はISOもどんな望遠鏡を使ったかも出ていない。
TRIAD Filterは写りだけで細かく出てない。
LPR-NとCLS-CCDはナローバンドで無いのでナローバンド同士の比較が見えない。