「Astrowl」PCレスで使える電視デバイス
ブログ「天体写真はじめるよ」で、Cloudy Nightsのフォーラムで話題になっている「Astrowl」が紹介されています。高感度のCMOSセンサとモニタを搭載し、接眼レンズの代わりに差し込み、WiFi経由で操作、PCレスで使える「電視デバイス」です。
天体写真はじめるよ・IMX462搭載、PCレスのコンパクトな電視デバイス
https://tentaip.space/astrowl/
Cloudy Nights・Astrowl Project : Highly portable EEA
https://www.cloudynights.com/topic/820165-astrowl-project-highly-portable-eea/
Astrowlとは?
フランスにお住まいのVendorさんは、18インチドブソニアンをお使いになっていらして、眼視を中心に活動中。大きなカメラやパソコン、でっかいバッテリーなんか持って行きたくないなぁと感じたのだそう。そんなVendorさんが開発中の電視(EEA)デバイスがAstrowlです。Astro(宇宙)とowl(フクロウ)を組み合わせた造語でしょう。
開発したのはフランスの「Vendor(*)」さん。センサーにはIMX462を使用し、ラズパイ4と4インチモニタを3Dプリンタで製作した筐体に収納し重量は300g。1.25インチスリーブで接眼部に装着します。
(*)「Vender」はCloudy Nights上のアカウント名です。
設定はWiFi接続したWebブラウザ画面から行い、撮像データの取得とスタッキングなどの処理はラズパイで行われ、最終画像はスマホにダウンロードが可能。
Venderさんは高速撮影、簡単なセットアップ、高感度センサーの恩恵という3点がコンパクトな筐体に統合されていることのメリットを強調されていました。
もっと簡単に、軽装備で電視観望を楽しみたい。既に持っている大口径や明るい光学系を生かしたい。「Astrowl」は、そんな要求に答えるべく開発(自作?)されたデバイスのようです。3Dプリンタとラズパイがあれば、個人ベースでもこういったデバイスを自作できる時代になったといえるでしょう。
今後の電視観望の可能性〜専用デバイス化
eVscopeやらAstroidやらASI AIR やらを見ていると、天文機材の方向性の一つに、撮像手段の電子デバイス化があるように思えます。CMOSカメラが一通り普及したら、新カテゴリとして同様のデバイスの商品化が一斉に始まるかもしれませんね。
Venderさんのプロジェクトが将来どのような方向に進むのかは不明ですが(*)、ニーズが存在して個人レベルでもこういうことができるということは、類似の商品化が始まるというのは納得感のある予測です。
(*)元記事とコメントに現状の解説と将来の可能性についての議論があります。
「デジタルファインダー」にフォーカスして製品化されたのが「Astroid」。
元記事にも書かれていますが、SharpCapのようなPCソフトウェアでの電視の運用は、電源やらケーブルやら設定やら、持っていくものもやるべきこともけっこう多くなります。より純粋に「星を見て楽しめる」ようなプロダクト化の方向はアリアリではないでしょうか。
個人的にはeVscope2のように「接眼レンズをのぞき込む」ような形で、肉眼視用の接眼レンズと換装して使えるような「電視接眼レンズ」が欲しいなあと思います。デジタルならズームも簡単ですし、1本で接眼レンズ何本分もの代わりになるなら、それなりの価格でも購入する人はいるでしょう。
まとめ
全てをシームレスに「オールインワン」で実現したのがeVscopeのアプローチ。しかし、これは電視観望の唯一無二の最適解では、たぶんありません。
いかがでしたか?
eVscope、Astroid、Revolution Imager R2、Astroberry、ASI AIR。ライブスタッキングで天体を見ることができる「電視観望デバイス」はさまざまな製品化が始まった段階。今後どんな風に進化していくのでしょうか?
鍵になるのは、どんな機能をひとまとめにするのかの「パッケージング」と、使いやすく便利なユーザーインターフェース、そしてユーザーニーズを素早く実現できるソフトウェア開発プロセスにあると予測します。
主要な機能のオープンソース化が進んでゆけば、アマチュアレベルでも手を出せる領域になる可能性もあります。今後出てくるであろう、ユニークで面白い製品が楽しみですね!
https://reflexions.jp/tenref/orig/2022/09/05/14475/https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2022/09/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2022/09/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-150x150.jpg特選ピックアップ電視観望ブログ「天体写真はじめるよ」で、Cloudy Nightsのフォーラムで話題になっている「Astrowl」が紹介されています。高感度のCMOSセンサとモニタを搭載し、接眼レンズの代わりに差し込み、WiFi経由で操作、PCレスで使える「電視デバイス」です。 天体写真はじめるよ・IMX462搭載、PCレスのコンパクトな電視デバイス https://tentaip.space/astrowl/ Cloudy Nights・Astrowl Project : Highly portable EEA https://www.cloudynights.com/topic/820165-astrowl-project-highly-portable-eea/ Astrowlとは? フランスにお住まいのVendorさんは、18インチドブソニアンをお使いになっていらして、眼視を中心に活動中。大きなカメラやパソコン、でっかいバッテリーなんか持って行きたくないなぁと感じたのだそう。そんなVendorさんが開発中の電視(EEA)デバイスがAstrowlです。Astro(宇宙)とowl(フクロウ)を組み合わせた造語でしょう。 開発したのはフランスの「Vendor(*)」さん。センサーにはIMX462を使用し、ラズパイ4と4インチモニタを3Dプリンタで製作した筐体に収納し重量は300g。1.25インチスリーブで接眼部に装着します。 (*)「Vender」はCloudy Nights上のアカウント名です。 設定はWiFi接続したWebブラウザ画面から行い、撮像データの取得とスタッキングなどの処理はラズパイで行われ、最終画像はスマホにダウンロードが可能。 Venderさんは高速撮影、簡単なセットアップ、高感度センサーの恩恵という3点がコンパクトな筐体に統合されていることのメリットを強調されていました。 もっと簡単に、軽装備で電視観望を楽しみたい。既に持っている大口径や明るい光学系を生かしたい。「Astrowl」は、そんな要求に答えるべく開発(自作?)されたデバイスのようです。3Dプリンタとラズパイがあれば、個人ベースでもこういったデバイスを自作できる時代になったといえるでしょう。 今後の電視観望の可能性〜専用デバイス化 eVscopeやらAstroidやらASI AIR やらを見ていると、天文機材の方向性の一つに、撮像手段の電子デバイス化があるように思えます。CMOSカメラが一通り普及したら、新カテゴリとして同様のデバイスの商品化が一斉に始まるかもしれませんね。 Venderさんのプロジェクトが将来どのような方向に進むのかは不明ですが(*)、ニーズが存在して個人レベルでもこういうことができるということは、類似の商品化が始まるというのは納得感のある予測です。 (*)元記事とコメントに現状の解説と将来の可能性についての議論があります。 https://starbase.hatenablog.jp/entry/2022/03/16/170000 「デジタルファインダー」にフォーカスして製品化されたのが「Astroid」。 元記事にも書かれていますが、SharpCapのようなPCソフトウェアでの電視の運用は、電源やらケーブルやら設定やら、持っていくものもやるべきこともけっこう多くなります。より純粋に「星を見て楽しめる」ようなプロダクト化の方向はアリアリではないでしょうか。 個人的にはeVscope2のように「接眼レンズをのぞき込む」ような形で、肉眼視用の接眼レンズと換装して使えるような「電視接眼レンズ」が欲しいなあと思います。デジタルならズームも簡単ですし、1本で接眼レンズ何本分もの代わりになるなら、それなりの価格でも購入する人はいるでしょう。 まとめ https://reflexions.jp/tenref/navi/goods/telescope/11011/ 全てをシームレスに「オールインワン」で実現したのがeVscopeのアプローチ。しかし、これは電視観望の唯一無二の最適解では、たぶんありません。 いかがでしたか? eVscope、Astroid、Revolution Imager R2、Astroberry、ASI AIR。ライブスタッキングで天体を見ることができる「電視観望デバイス」はさまざまな製品化が始まった段階。今後どんな風に進化していくのでしょうか? 鍵になるのは、どんな機能をひとまとめにするのかの「パッケージング」と、使いやすく便利なユーザーインターフェース、そしてユーザーニーズを素早く実現できるソフトウェア開発プロセスにあると予測します。 主要な機能のオープンソース化が進んでゆけば、アマチュアレベルでも手を出せる領域になる可能性もあります。今後出てくるであろう、ユニークで面白い製品が楽しみですね! 編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
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