こんにちは!天リフ編集部です。来週から編集部総出で(笑)、筆者の人生初南半球、西オーストラリアに行ってきます。天リフ編集部の社運を賭けた?大紀行になる予定で、旅費を回収?すべく、一大連載として一部始終をレポートしていきます!

今回はその予告編。いつ、どんなところに行って何をしてくる予定かを、簡単にレポートします。

いつどこに行くのか

今回のツアーは、九州の某天文ショップ関係者様が企画された、9日間撮影6泊・総勢12名のプライベートなツアーです。宿泊先の「Waddi Bush Resort」にツアー期間中ずっと滞在して撮影する人、移動を交えながら西豪を観光する人、その両方(筆者はこれ)など、参加者の志向はいろいろ。



西オーストラリア、ワディってどんなところ?

https://www.lightpollutionmap.info/ ワディと日本の時差は1時間。経度は八重山諸島と同じくらい。ほとんど時差がないのもオーストラリアのいいところ。

こんなところです^^ Lightpolutionmap.infoより。左下の明るい都市が飛行機で到着するパース。ここから北へざっくり150キロ強北上したところがメインの滞在地(*)のワディ(Waddi)。

(*)ワディからさらに北に400キロほど移動すると、めちゃめちゃ空の暗いスポットがあるそうで、そこにも行ってくる予定です。

しかしオーストラリア、真っ暗ですねえ。同じ縮尺で日本を見るとこんな感じですよ。

https://www.lightpollutionmap.info/

オーストラリアはこの広大な国土に人口2500万人。人口密度は日本の1/100です。まあ乱暴に言うと光害も1/100。暗くて当然ですね^^

https://www.lightpollutionmap.info/

もう少し拡大して比較してみました。左が九州、右が西オーストラリア。広大なオーストラリアとはいえ、都市部に人が密集していますから、パースはけっこう明るいです。ワディの南天はこの都市光の影響は普通にあるでしょう。しらびそでの名古屋圏の灯りの1/4くらいでしょうか(かなり適当^^;;)。でも、そんな環境が普通のリゾート宿泊スポットで得られるのは凄いことですね!

ちなみに「Waddi Bush Resort」は、日本の天文アマチュアの間では知る人ぞ知る有名スポットです。毎新月期には多くの天文ファンが訪れているようです。前の新月期には●●さんが、次の新月期には◎◎さんが、という情報も漏れ聞いております^^

テーマ1:南半球の星空を体感する

ここに黄道光がからむとどうなるのかも楽しみ。ステライメージ9より画面キャプチャ。

まずはこれ。天の川の中心部が天頂を通過するところ。薄明開始の直前。この風景をたっぷり見てきます(普通の天候なら4晩くらいは晴れるでしょう、とのことなのでかなり期待しています)。

ワディの南緯は30度ちょっと。銀河中心の赤緯は約-29度なので、銀河中心がほぼドンピシャで天頂を通過するのです。すごいね。いて座Aからの電波を脳天で受けてきます^^

また、知人から「天の川で影ができるのかどうかを見てきて!」というリクエストを受けたので、白い紙を持っていって影ができるのかどうかを確認してきます。

https://itunes.apple.com/jp/app/スカイ-ガイド/id576588894?mt=8

もうひとつ。南半球では、北天の星空が全部がさかさまになります。上の画像は星々が輝き出す薄明終了30分前の北の空。オリオン座がさかさま。そして、オリオンは左手にむかって沈んでゆくのです。そう、日周運動の回転方向も逆。「おお、地球が回っている。しかも逆回転に!」南半球ならではのこのさまを体験してきます!

テーマ2:シグマ105mmArtでひたすら銀河を撮る

撮影機材をどうするか、いろいろ思案した結果、メインはシグマ105mmF1.4Artに絞り込んで、ひたすら天の川とその周辺を撮りまくることにしました。

ちょっと雑な予定図ですが、力の限り撮ってモザイクします。南天の天の川を大小マゼラン雲が入る広さで、銀河に沿って撮りまくり。この通り撮れば65フレームのモザイクになります。10分露出で11時間。これはちょっと欲をかき過ぎなので、もう少し領域を絞り込むかもしれませんが。ナローは使わず潔くRGBです。

Sky Guideのマイクロ波画像より

天の南極付近には、北天分子雲と同じようにけっこう分子雲がモクモクしています。一番取りたいのは、大小マゼラン雲から南十字星・ηカリーナ星雲までの間の分子雲+天の川なのですが、4月はマゼラン星雲の高度があまり高くなく、ワディが南緯30度とけっこう北寄りであることからも、南天分子雲的にはあまり条件がよくありません。中途半端にやると玉砕しそうなので、今回は見送って明るい銀河周辺に徹するかもしれません。最初の晩の写り具合で決める感じですかね。



SWAT赤道儀とシグマ105mmF1.4Art。レンズの絞りは、明るさ重視でF2.0で撮る予定。カメラはEOS6D(SEO-SP4)。

赤道儀はSWAT-310。「最強の海外遠征赤道儀AP」のフォトガイダー構成も考えたのですが、目盛環を重視して今回はこちらをセレクト。なんで目盛環かというと、モザイク撮影のためです。中望遠でのモザイクには目盛環は最強。極軸さえしっかり合わせれば、後は目盛環のみで構図を決めることができます。

さらに今回は「銀河座標」でのモザイクを試してみることにしました。BORGの35度アングルプレートを上の画像のように取り付けて、パノラマ雲台の軸をちょうこくしつ座の銀河座標の南極の方向に向け(*)、後はパノラマ雲台側でモザイクのシフト角を設定します。

(*)実は35度だと、実際の銀河座標の南極よりも8度ほど南向きになってしまい、銀河がまっすぐではなく円弧になってしまうのですが、今回はこれでよしとします。銀河の円弧はICEで補正する想定です。

あとは何晩晴れるか。仮に4晩晴れれば撮影タイムは36時間。フレーム当たり30分露光でも60フレームは撮れる勘定ですが・・・さてどうなることでしょう^^

https://itunes.apple.com/jp/app/スカイ-ガイド/id576588894?mt=8

一応Bプランも。悪天で撮影時間が取れなかった場合、この領域を第一優先で撮ることにします。105mmなら2フレームのモザイク。STC Astro Duoも持参するので、4時間晴れればRGB+ナローで十分な画像が撮れることでしょう。

テーマ3:南半球らしい星景を撮る

105mmのモザイク撮影がけっこう忙しいことが予測されるのですが、その合間に「南半球らしい星景」を撮りたいと思います。

https://itunes.apple.com/jp/app/スカイ-ガイド/id576588894?mt=8

ヘルクレスさん、直立状態。北半球では、下になった頭に血が上っている悲しい彼を、本来の姿勢で^^

https://itunes.apple.com/jp/app/スカイ-ガイド/id576588894?mt=8

これは新星景で撮りたい。沈む大小マゼランとηカリーナ、みなみじゅうじ。

 

https://itunes.apple.com/jp/app/スカイ-ガイド/id576588894?mt=8

「みんな大好き夏銀河」もひっくり返って左上に向かって昇ってきます。でもさそりが先導するのは同じ。銀河中心が昇る直前の「じらしタイム」の南半球版を。

https://itunes.apple.com/jp/app/スカイ-ガイド/id576588894?mt=8

北の地平線すれすれの北斗七星。南緯26度のモンキーマイアでの設定。M51もM101もM106もM97も満足な高さにはならないオーストラリアで、天文ファンはこの低い北天の星々にどんな思いを抱いているのでしょうか。

実は「地平線すぐ上の北アメリカ星雲」も撮ってみたいのですが、こちらは季節が悪く今回はノーチャンス。季節は春なので、北天の天の川が見られないのが残念。

テーマ4:星空を楽しむ人たちをスナップする

http://k-astec.cocolog-nifty.com/main/2018/01/post-3.html

ワディでの撮影風景。今回同行するグループはこの広いエリアのあちこちに機材を展開することになります。いずれの方もその道のガチ派。そういった方々の機材や撮影風景を「星空記念写真」として撮りまくってきます。高感度番長のα7Sは、主にこの用途に専念させる予定です。回りが暗すぎないかと若干心配なのですが、こちらは出たとこ勝負。ツアー後半は上弦前の月が残るので、そこでうまく月明かりを使いたいところ。

テーマ5.眼視

同行する方がPENTAXの105mmを持って行かれます。また、現地には各種望遠鏡があるそうなので、他力本願ですが眼視にも期待しています。大小マゼラン星雲、ηカリーナ星雲、ω星団など定番は抑えるとして、南半球でしかみられない散開星団・球状星団・惑星状星雲など、観望対象をリストアップ中。天頂付近で見るM8やさそり座のμ1,μ2付近など、日本では条件の良くない対象も楽しみ^^

まとめ

いやー、書いているにつれ、どんどん臨場感が高まってきました!後はお天気がどうなるかですね!気になる極軸合わせとか、荷物が30kg+手持ち7kgに収まるのかとか、328も持っていこうかどうしようかとか、まだ思案することはあるのですが、出発まであと1週間!楽しみですね!!!

現地からは、随時途中経過などをTwitter/facebookなどで可能なかぎりレポートする予定です。ネット環境があまりよくないことや途中移動などもありますので、天リフのピックアップなどの更新頻度は下がるかもしれません。ブログ等の自動配信は平常運転です。

それでは、帰国後のレポートにご期待ください。「これを読んだら貴方もオーストラリアに行きたくなる」記事が目標です! https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/03/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/03/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-150x150.jpg編集部天文紀行こんにちは!天リフ編集部です。来週から編集部総出で(笑)、筆者の人生初南半球、西オーストラリアに行ってきます。天リフ編集部の社運を賭けた?大紀行になる予定で、旅費を回収?すべく、一大連載として一部始終をレポートしていきます! 今回はその予告編。いつ、どんなところに行って何をしてくる予定かを、簡単にレポートします。 いつどこに行くのか 今回のツアーは、九州の某天文ショップ関係者様が企画された、9日間撮影6泊・総勢12名のプライベートなツアーです。宿泊先の「Waddi Bush Resort」にツアー期間中ずっと滞在して撮影する人、移動を交えながら西豪を観光する人、その両方(筆者はこれ)など、参加者の志向はいろいろ。 西オーストラリア、ワディってどんなところ? こんなところです^^ Lightpolutionmap.infoより。左下の明るい都市が飛行機で到着するパース。ここから北へざっくり150キロ強北上したところがメインの滞在地(*)のワディ(Waddi)。 (*)ワディからさらに北に400キロほど移動すると、めちゃめちゃ空の暗いスポットがあるそうで、そこにも行ってくる予定です。 しかしオーストラリア、真っ暗ですねえ。同じ縮尺で日本を見るとこんな感じですよ。 オーストラリアはこの広大な国土に人口2500万人。人口密度は日本の1/100です。まあ乱暴に言うと光害も1/100。暗くて当然ですね^^ もう少し拡大して比較してみました。左が九州、右が西オーストラリア。広大なオーストラリアとはいえ、都市部に人が密集していますから、パースはけっこう明るいです。ワディの南天はこの都市光の影響は普通にあるでしょう。しらびそでの名古屋圏の灯りの1/4くらいでしょうか(かなり適当^^;;)。でも、そんな環境が普通のリゾート宿泊スポットで得られるのは凄いことですね! ちなみに「Waddi Bush Resort」は、日本の天文アマチュアの間では知る人ぞ知る有名スポットです。毎新月期には多くの天文ファンが訪れているようです。前の新月期には●●さんが、次の新月期には◎◎さんが、という情報も漏れ聞いております^^ テーマ1:南半球の星空を体感する まずはこれ。天の川の中心部が天頂を通過するところ。薄明開始の直前。この風景をたっぷり見てきます(普通の天候なら4晩くらいは晴れるでしょう、とのことなのでかなり期待しています)。 ワディの南緯は30度ちょっと。銀河中心の赤緯は約-29度なので、銀河中心がほぼドンピシャで天頂を通過するのです。すごいね。いて座Aからの電波を脳天で受けてきます^^ また、知人から「天の川で影ができるのかどうかを見てきて!」というリクエストを受けたので、白い紙を持っていって影ができるのかどうかを確認してきます。 もうひとつ。南半球では、北天の星空が全部がさかさまになります。上の画像は星々が輝き出す薄明終了30分前の北の空。オリオン座がさかさま。そして、オリオンは左手にむかって沈んでゆくのです。そう、日周運動の回転方向も逆。「おお、地球が回っている。しかも逆回転に!」南半球ならではのこのさまを体験してきます! テーマ2:シグマ105mmArtでひたすら銀河を撮る 撮影機材をどうするか、いろいろ思案した結果、メインはシグマ105mmF1.4Artに絞り込んで、ひたすら天の川とその周辺を撮りまくることにしました。 ちょっと雑な予定図ですが、力の限り撮ってモザイクします。南天の天の川を大小マゼラン雲が入る広さで、銀河に沿って撮りまくり。この通り撮れば65フレームのモザイクになります。10分露出で11時間。これはちょっと欲をかき過ぎなので、もう少し領域を絞り込むかもしれませんが。ナローは使わず潔くRGBです。 天の南極付近には、北天分子雲と同じようにけっこう分子雲がモクモクしています。一番取りたいのは、大小マゼラン雲から南十字星・ηカリーナ星雲までの間の分子雲+天の川なのですが、4月はマゼラン星雲の高度があまり高くなく、ワディが南緯30度とけっこう北寄りであることからも、南天分子雲的にはあまり条件がよくありません。中途半端にやると玉砕しそうなので、今回は見送って明るい銀河周辺に徹するかもしれません。最初の晩の写り具合で決める感じですかね。 赤道儀はSWAT-310。「最強の海外遠征赤道儀AP」のフォトガイダー構成も考えたのですが、目盛環を重視して今回はこちらをセレクト。なんで目盛環かというと、モザイク撮影のためです。中望遠でのモザイクには目盛環は最強。極軸さえしっかり合わせれば、後は目盛環のみで構図を決めることができます。 さらに今回は「銀河座標」でのモザイクを試してみることにしました。BORGの35度アングルプレートを上の画像のように取り付けて、パノラマ雲台の軸をちょうこくしつ座の銀河座標の南極の方向に向け(*)、後はパノラマ雲台側でモザイクのシフト角を設定します。 (*)実は35度だと、実際の銀河座標の南極よりも8度ほど南向きになってしまい、銀河がまっすぐではなく円弧になってしまうのですが、今回はこれでよしとします。銀河の円弧はICEで補正する想定です。 あとは何晩晴れるか。仮に4晩晴れれば撮影タイムは36時間。フレーム当たり30分露光でも60フレームは撮れる勘定ですが・・・さてどうなることでしょう^^ 一応Bプランも。悪天で撮影時間が取れなかった場合、この領域を第一優先で撮ることにします。105mmなら2フレームのモザイク。STC Astro Duoも持参するので、4時間晴れればRGB+ナローで十分な画像が撮れることでしょう。 テーマ3:南半球らしい星景を撮る 105mmのモザイク撮影がけっこう忙しいことが予測されるのですが、その合間に「南半球らしい星景」を撮りたいと思います。 ヘルクレスさん、直立状態。北半球では、下になった頭に血が上っている悲しい彼を、本来の姿勢で^^ これは新星景で撮りたい。沈む大小マゼランとηカリーナ、みなみじゅうじ。   「みんな大好き夏銀河」もひっくり返って左上に向かって昇ってきます。でもさそりが先導するのは同じ。銀河中心が昇る直前の「じらしタイム」の南半球版を。 北の地平線すれすれの北斗七星。南緯26度のモンキーマイアでの設定。M51もM101もM106もM97も満足な高さにはならないオーストラリアで、天文ファンはこの低い北天の星々にどんな思いを抱いているのでしょうか。 実は「地平線すぐ上の北アメリカ星雲」も撮ってみたいのですが、こちらは季節が悪く今回はノーチャンス。季節は春なので、北天の天の川が見られないのが残念。 テーマ4:星空を楽しむ人たちをスナップする ワディでの撮影風景。今回同行するグループはこの広いエリアのあちこちに機材を展開することになります。いずれの方もその道のガチ派。そういった方々の機材や撮影風景を「星空記念写真」として撮りまくってきます。高感度番長のα7Sは、主にこの用途に専念させる予定です。回りが暗すぎないかと若干心配なのですが、こちらは出たとこ勝負。ツアー後半は上弦前の月が残るので、そこでうまく月明かりを使いたいところ。 テーマ5.眼視 同行する方がPENTAXの105mmを持って行かれます。また、現地には各種望遠鏡があるそうなので、他力本願ですが眼視にも期待しています。大小マゼラン星雲、ηカリーナ星雲、ω星団など定番は抑えるとして、南半球でしかみられない散開星団・球状星団・惑星状星雲など、観望対象をリストアップ中。天頂付近で見るM8やさそり座のμ1,μ2付近など、日本では条件の良くない対象も楽しみ^^ まとめ いやー、書いているにつれ、どんどん臨場感が高まってきました!後はお天気がどうなるかですね!気になる極軸合わせとか、荷物が30kg+手持ち7kgに収まるのかとか、328も持っていこうかどうしようかとか、まだ思案することはあるのですが、出発まであと1週間!楽しみですね!!! 現地からは、随時途中経過などをTwitter/facebookなどで可能なかぎりレポートする予定です。ネット環境があまりよくないことや途中移動などもありますので、天リフのピックアップなどの更新頻度は下がるかもしれません。ブログ等の自動配信は平常運転です。 それでは、帰国後のレポートにご期待ください。「これを読んだら貴方もオーストラリアに行きたくなる」記事が目標です!編集部発信のオリジナルコンテンツ