ビクセンAP三脚にSX赤道儀は搭載可能か・ビクセン三脚仕様まとめ
ビクセンのAP三脚(APP-TL130)の仕様がマイナーチェンジされ、物理的にはSX赤道儀が搭載可能になっています。(耐荷重的には推奨はされないとのことです。実際の運用はユーザー側の責任になることをご注意ください。)
AP三脚とは
ビクセンHP・Vixen 天体望遠鏡 APP-TL130三脚
https://www.vixen.co.jp/product/25191_9/
AP三脚(APP-TL130)は、ビクセンのAP赤道儀と同時に発売された三脚。同社のオンラインストア価格は税込19,980円とお手頃な価格ながら、なかなか堅牢な作り(*)でワンタッチ式の3段伸縮も使いやすく、マニアの間でも非常に評価の高い製品です。
(*)架頭部がカメラ三脚とは一線を画する堅牢さです。
重量は3.0kgで、同クラスのカメラ用カーボン三脚よりは1kgほど重いのですが、実際に使ってみると1kgの重量差は車遠征では特に苦にならず、実に具合がよいもの。編集部では1台ビクセン様からお借りしているのですが、もう一台自費購入してしまったほどです。
AP三脚の架頭部のマイナーチェンジ
左が昨年12月に購入したAP三脚。右がビクセン様からお借りしているAP三脚。マイナーチェンジ前は架頭部には「ツノ」を入れる場所が一つしかありませんでした。マイナーチェンジ後は「AP」と刻印された穴と「SX」と刻印された穴の2つが空いています。また、架台と接する面は段差のないツライチになっていて、SX赤道儀を載せた場合でもしっかり固定できるようになっています。
製品のパッケージには「仕様変更」を知らせる紙がはいっていました。しかし「SX赤道儀で使えます」とは一言も書いていません。この件について問い合わせてみたところ、今回のマイナーチェンジは同社の新製品である「ASG-CB90」三脚のタイミングで架頭部を共通化したことによるもので、APP-TL130でSX赤道儀を使用することは推奨はしない、とのことでした。
実際にSX赤道儀を載せてみた
メーカー的には非推奨ではありますが、自己責任で試してみました^^; SX赤道儀を使用する場合は「ツノ」をAP側からSX側に換装します。購入時にSXの穴に入っているイモネジは六角レンチで簡単に外せます。
SXPを載せてみました。おお。よい感じです^^
若干トップヘビーで、SXPの搭載限界レベルの鏡筒を載せるにはさすがに無理目な感じですね。小型の鏡筒なら普通に使える感覚ではありますが、ユーザー目線でもあくまで自己責任でという感じです。
ハーフピラーも使ってみました。でもこれはさすがに重心が高くなりすぎて不安定になります。架台を指でツンツンすると、三脚が少したわむのがわかります(*)。3段目まで延ばすのは怖くてやっていません。1段でも試してみましたが、今度は設置半径が狭くなりすぎて倒れそうで危ないです。
(*)三脚の先端はゴムとスパイクの切替が可能になっています。一般的な話ですが、三脚の先端をゴムにすると重量機材の場合は弾力でたわみます。あくまで室内など床を傷つけたくない場合限定と考えるべきでしょう。
ASG-CB90について
ビクセンHP・Vixen 天体望遠鏡 ASG-CB90三脚
https://www.vixen.co.jp/product/25164_3/
APP-TL130ではSX赤道儀の性能を100%発揮することは難しそうですが、上位機種のASG-CB90なら無問題でしょう。こちらは2段伸縮のカーボン・アルミハイブリッドの三脚。重量は3.4kgで、3.0kgのAPP-TL130とあまり変わりません。
この三脚は、SX赤道儀の上位機種AXJ用として発売されたものですが、SX赤道儀でも、AP赤道儀でも使用できます。SXP/AP赤道儀の両ユーザーとしては「こっちにしても良かったな」と思ってしまいました^^
ビクセン三脚のラインナップ
ビクセンの三脚のスペックを一覧にしてみました。表にして改めて認識したのですが、今回のAP三脚の仕様変更で、ビクセンの三脚の架頭仕様は、AXD用のTR102を除いて全て同一になります。AXD赤道儀以外は、使用する三脚としてHAL130、APP-TL130、ASG-CB90の3つが選べるわけです(*)。
(*)AXJとSXは、別売アダプタ使用でさらにTR102三脚も使用可能。
HAL130三脚にAP赤道儀を載せてみました。なんだ、普通にイケるじゃないですか。重いけど^^;;
いろいろ使い回せるのはイイですね。HAL130は実質1万円くらいで手に入れられるので、安く上げたいならもってこいです。
まとめ
大事なことなので二度言いますが、今回のAP三脚の仕様変更で、ビクセンの三脚の架頭仕様は、AXD用のTR102を除いて全て同一になります。三脚と赤道儀の組み合わせの自由度が大きく広がりました。
「(最新の)AP三脚は、物理的にSX赤道儀を載せることができる」とはいえ、実際に使用する際はさまざまな要素が絡むため、折れたり倒れたりするような危険性も含めて、メーカーとしてはなかなか積極的に推奨できないのは納得できる話です。
SX赤道儀とAP三脚の組み合わせでいえば、見るからに「無理目」ではありますが、軽量な鏡筒しか使わない場合などは「よりコンパクトなAP三脚」を使うのはアリな選択かもしれません(*)。
(*)個人的には・・・一度遠征でSXPのHAL三脚を忘れたことがありまして・・・そんな時にAP三脚で代用できるのであればこれは福音^^でもそれなら、奮発してASG-CB90でもよかったかなという気も。
いずれにしても三脚の選択肢が増えることはいいことです。三脚も、鏡筒や赤道儀と同様に適材適所。1つで全てのニーズを満たすことは不可能です。スマートに使い分けたいものですね(*)。今後もAP三脚を多彩に活用していきたいと考えています。
(*)やたらと三脚が増殖するのは困りものですが・・・・^^;;
機材協力:(株)ビクセン [APP-TL130三脚(前モデル)]
https://reflexions.jp/tenref/orig/2019/01/18/7710/https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/01/IMG_0383-1-1024x544.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/01/IMG_0383-1-150x150.jpgマウントビクセンのAP三脚(APP-TL130)の仕様がマイナーチェンジされ、物理的にはSX赤道儀が搭載可能になっています。(耐荷重的には推奨はされないとのことです。実際の運用はユーザー側の責任になることをご注意ください。) AP三脚とは ビクセンHP・Vixen 天体望遠鏡 APP-TL130三脚 https://www.vixen.co.jp/product/25191_9/ AP三脚(APP-TL130)は、ビクセンのAP赤道儀と同時に発売された三脚。同社のオンラインストア価格は税込19,980円とお手頃な価格ながら、なかなか堅牢な作り(*)でワンタッチ式の3段伸縮も使いやすく、マニアの間でも非常に評価の高い製品です。 (*)架頭部がカメラ三脚とは一線を画する堅牢さです。 重量は3.0kgで、同クラスのカメラ用カーボン三脚よりは1kgほど重いのですが、実際に使ってみると1kgの重量差は車遠征では特に苦にならず、実に具合がよいもの。編集部では1台ビクセン様からお借りしているのですが、もう一台自費購入してしまったほどです。 AP三脚の架頭部のマイナーチェンジ 左が昨年12月に購入したAP三脚。右がビクセン様からお借りしているAP三脚。マイナーチェンジ前は架頭部には「ツノ」を入れる場所が一つしかありませんでした。マイナーチェンジ後は「AP」と刻印された穴と「SX」と刻印された穴の2つが空いています。また、架台と接する面は段差のないツライチになっていて、SX赤道儀を載せた場合でもしっかり固定できるようになっています。 製品のパッケージには「仕様変更」を知らせる紙がはいっていました。しかし「SX赤道儀で使えます」とは一言も書いていません。この件について問い合わせてみたところ、今回のマイナーチェンジは同社の新製品である「ASG-CB90」三脚のタイミングで架頭部を共通化したことによるもので、APP-TL130でSX赤道儀を使用することは推奨はしない、とのことでした。 実際にSX赤道儀を載せてみた メーカー的には非推奨ではありますが、自己責任で試してみました^^; SX赤道儀を使用する場合は「ツノ」をAP側からSX側に換装します。購入時にSXの穴に入っているイモネジは六角レンチで簡単に外せます。 SXPを載せてみました。おお。よい感じです^^ 若干トップヘビーで、SXPの搭載限界レベルの鏡筒を載せるにはさすがに無理目な感じですね。小型の鏡筒なら普通に使える感覚ではありますが、ユーザー目線でもあくまで自己責任でという感じです。 ハーフピラーも使ってみました。でもこれはさすがに重心が高くなりすぎて不安定になります。架台を指でツンツンすると、三脚が少したわむのがわかります(*)。3段目まで延ばすのは怖くてやっていません。1段でも試してみましたが、今度は設置半径が狭くなりすぎて倒れそうで危ないです。 (*)三脚の先端はゴムとスパイクの切替が可能になっています。一般的な話ですが、三脚の先端をゴムにすると重量機材の場合は弾力でたわみます。あくまで室内など床を傷つけたくない場合限定と考えるべきでしょう。 ASG-CB90について ビクセンHP・Vixen 天体望遠鏡 ASG-CB90三脚 https://www.vixen.co.jp/product/25164_3/ APP-TL130ではSX赤道儀の性能を100%発揮することは難しそうですが、上位機種のASG-CB90なら無問題でしょう。こちらは2段伸縮のカーボン・アルミハイブリッドの三脚。重量は3.4kgで、3.0kgのAPP-TL130とあまり変わりません。 この三脚は、SX赤道儀の上位機種AXJ用として発売されたものですが、SX赤道儀でも、AP赤道儀でも使用できます。SXP/AP赤道儀の両ユーザーとしては「こっちにしても良かったな」と思ってしまいました^^ ビクセン三脚のラインナップ ビクセンの三脚のスペックを一覧にしてみました。表にして改めて認識したのですが、今回のAP三脚の仕様変更で、ビクセンの三脚の架頭仕様は、AXD用のTR102を除いて全て同一になります。AXD赤道儀以外は、使用する三脚としてHAL130、APP-TL130、ASG-CB90の3つが選べるわけです(*)。 (*)AXJとSXは、別売アダプタ使用でさらにTR102三脚も使用可能。 HAL130三脚にAP赤道儀を載せてみました。なんだ、普通にイケるじゃないですか。重いけど^^;; いろいろ使い回せるのはイイですね。HAL130は実質1万円くらいで手に入れられるので、安く上げたいならもってこいです。 まとめ 大事なことなので二度言いますが、今回のAP三脚の仕様変更で、ビクセンの三脚の架頭仕様は、AXD用のTR102を除いて全て同一になります。三脚と赤道儀の組み合わせの自由度が大きく広がりました。 「(最新の)AP三脚は、物理的にSX赤道儀を載せることができる」とはいえ、実際に使用する際はさまざまな要素が絡むため、折れたり倒れたりするような危険性も含めて、メーカーとしてはなかなか積極的に推奨できないのは納得できる話です。 SX赤道儀とAP三脚の組み合わせでいえば、見るからに「無理目」ではありますが、軽量な鏡筒しか使わない場合などは「よりコンパクトなAP三脚」を使うのはアリな選択かもしれません(*)。 (*)個人的には・・・一度遠征でSXPのHAL三脚を忘れたことがありまして・・・そんな時にAP三脚で代用できるのであればこれは福音^^でもそれなら、奮発してASG-CB90でもよかったかなという気も。 いずれにしても三脚の選択肢が増えることはいいことです。三脚も、鏡筒や赤道儀と同様に適材適所。1つで全てのニーズを満たすことは不可能です。スマートに使い分けたいものですね(*)。今後もAP三脚を多彩に活用していきたいと考えています。 (*)やたらと三脚が増殖するのは困りものですが・・・・^^;; 機材協力:(株)ビクセン 編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
コメントを残す