【新連載・画像処理ワンポイント(1)】「明るさの最小値」で星を小さくする
新連載です!
天体写真の画像処理。深くてしんどい沼ですよね〜みんな悩んで大きくなったり、心が折れて落ち込んだり^^ 凡人である編集子も日々悩みながら苦しんでいるのですが、その悩みと解決のTIPSを少しでも共有しようという目的で「できるだけシンプルな事例に絞り込んで」「作例と手順を明快に」解説した記事を連載することにしました!
名付けて「画像処理ワンポイント」。毎回テーマはたった一つ!第1回のテーマは「明るさの最小値で星を小さくする」です。
追記)本連載で使用しているPhotoshopは、執筆時点のCreative Cloudの最新バージョンになります。使用している機能は、それ以前のバージョンでは実装されていない可能性があります・・・ご了承くださいm(_ _)m
Before作例
こちらがBefore作例です。編集子が「天リフ」の構想を温め、フルタイムの天文ファンとして日々撮影に観望にいそしんでいた2016年頃の作例。個人ブログにアップしたものです。条件の良い空でよく写っているのですが、今振り返って見てみると微妙に残念なところがあります。
なんといっても「微光星がうるさすぎる」こと。中心部が完全に飽和しているところを見ると、トーンカーブとレベル補正でガシガシ強調したためでしょう。それに合わせて微光星も強調され、径が大きくなってしまったのです。
「星マスク」を使用するなど、強調のプロセスで「こうならないようにする」ことも可能だと思うのですが、単純に安直に、このうるさい微光星を押さえ込む方法が、今回ご紹介する「明るさの最小値」です。
After画像
こちらがAfter画像。元画像にPhotoshop CCのフィルター「明るさの最小値」をかけました。違いはそれだけです。うるさかった微光星が小さく暗くなり、星雲の淡い周辺部がよく見えるようになっただけでなく、星の色がよくわかるようになりました。これはなかなか使えますね!
Before/Afterを並べてみました。「明るさの最小値」を適用すると、星が小さくなり、全体的な背景輝度も下がります(トーンカーブが左側に寄る)。目的によっては、さらに強調をかけることも可能になります。
「明るさの最小値」を使うコツ
パラメータは「真円率」「0.2px」で
「明るさの最小値」は、Photoshop CCの「フィルター/その他」メニューにあります。なんだよ、「その他」って。こんなの教えてくれなきゃ見つけられないよ。その通りです。普通は気がつきませんね。
「明るさの最小値」はいくつかパラメータを設定できるのですが、天体で使用する場合はこれしかありません。「保持」を「真円率」にする。「半径」を最小の0.2pixelにする。それだけです。
少しずつ何度も行う
ただし、この設定の場合、ほんのわずかしか効果がかかりません。何度も繰り返すことで、星が少しづつ小さくなってきます(*)。頃合いをみながら適当なところになるまでやってみましょう。上記の作例では6回かけています。
(*)「半径」を大きくすると効果が大きくなるのですが、最小半径の処理を繰り返すよりも粗く汚くなってしまいます。
元画像から、「明るさの最小値」を上記の設定で1回〜10回までかけた画像をアニメーションにしてみました。これを見ると「明るさの最小値」の正体が直感的にわかります。明るさの最小値とは、明暗のエッジの明るい方を削る処理なのです。
明るさの最小値の副作用
「明るさの最小値」は、いわゆるダメージ系の処理です。何かの効果があることの引き換えに、何かを失います。星が小さくなるのはよいのですが、明るい部分が削られディテールを失います。また、逆に暗点が拡大してしまうのがわかります。元画像に暗点ノイズが多いと「明るさの最小値」によってそれが増幅されて汚くなってしまいます。
さらに、この作例の場合「星の色がよくわかるようになる」理由は、実は小さい色ハロが拡大していたにすぎません。色ハロの大きなレンズの場合は、収拾不可能なほどに収差が強調されてしまう可能性もあります。ダメージ系の処理は常に万能ではありません。慎重に効果を見ながら、控えめに行うのが大事です。
まとめ
ほかにもいろいろ書きたいことはあるのですが、あんまり書くと「ワンポイント」でなくなってしまうので止めておきます^^(*)
(*)ちなみにステライメージの「スターシャープ」は原理的には明るさの最小値のようなものです(違ってたらすいません)。また、PixInsightにも(名前はわかりませんが)同様の機能があるはずです。
「明るさの最小値」は、使い方によっては劇的な効果がありますが、その分副作用も大きく、下手にやると眼も当てられない結果になります。一番ライトな使い方は、仕上がり画像に「明るさの最小値」をサクッと(0.2pxで2回くらい)適用すると、副作用もあまり目立たずワンランク締まった画像になります。「最後に味の素を振る」みたいなものですね!
それでは、皆様のご武運をお祈り申し上げます。次回またお会いしましょう!
https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/11/23/6930/https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/11/before_after_t-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/11/before_after_t-150x150.jpg画像処理ワンポイント画像処理新連載です! 天体写真の画像処理。深くてしんどい沼ですよね〜みんな悩んで大きくなったり、心が折れて落ち込んだり^^ 凡人である編集子も日々悩みながら苦しんでいるのですが、その悩みと解決のTIPSを少しでも共有しようという目的で「できるだけシンプルな事例に絞り込んで」「作例と手順を明快に」解説した記事を連載することにしました! 名付けて「画像処理ワンポイント」。毎回テーマはたった一つ!第1回のテーマは「明るさの最小値で星を小さくする」です。 追記)本連載で使用しているPhotoshopは、執筆時点のCreative Cloudの最新バージョンになります。使用している機能は、それ以前のバージョンでは実装されていない可能性があります・・・ご了承くださいm(_ _)m Before作例 こちらがBefore作例です。編集子が「天リフ」の構想を温め、フルタイムの天文ファンとして日々撮影に観望にいそしんでいた2016年頃の作例。個人ブログにアップしたものです。条件の良い空でよく写っているのですが、今振り返って見てみると微妙に残念なところがあります。 なんといっても「微光星がうるさすぎる」こと。中心部が完全に飽和しているところを見ると、トーンカーブとレベル補正でガシガシ強調したためでしょう。それに合わせて微光星も強調され、径が大きくなってしまったのです。 「星マスク」を使用するなど、強調のプロセスで「こうならないようにする」ことも可能だと思うのですが、単純に安直に、このうるさい微光星を押さえ込む方法が、今回ご紹介する「明るさの最小値」です。 After画像 こちらがAfter画像。元画像にPhotoshop CCのフィルター「明るさの最小値」をかけました。違いはそれだけです。うるさかった微光星が小さく暗くなり、星雲の淡い周辺部がよく見えるようになっただけでなく、星の色がよくわかるようになりました。これはなかなか使えますね! Before/Afterを並べてみました。「明るさの最小値」を適用すると、星が小さくなり、全体的な背景輝度も下がります(トーンカーブが左側に寄る)。目的によっては、さらに強調をかけることも可能になります。 「明るさの最小値」を使うコツ パラメータは「真円率」「0.2px」で 「明るさの最小値」は、Photoshop CCの「フィルター/その他」メニューにあります。なんだよ、「その他」って。こんなの教えてくれなきゃ見つけられないよ。その通りです。普通は気がつきませんね。 「明るさの最小値」はいくつかパラメータを設定できるのですが、天体で使用する場合はこれしかありません。「保持」を「真円率」にする。「半径」を最小の0.2pixelにする。それだけです。 少しずつ何度も行う ただし、この設定の場合、ほんのわずかしか効果がかかりません。何度も繰り返すことで、星が少しづつ小さくなってきます(*)。頃合いをみながら適当なところになるまでやってみましょう。上記の作例では6回かけています。 (*)「半径」を大きくすると効果が大きくなるのですが、最小半径の処理を繰り返すよりも粗く汚くなってしまいます。 元画像から、「明るさの最小値」を上記の設定で1回〜10回までかけた画像をアニメーションにしてみました。これを見ると「明るさの最小値」の正体が直感的にわかります。明るさの最小値とは、明暗のエッジの明るい方を削る処理なのです。 明るさの最小値の副作用 「明るさの最小値」は、いわゆるダメージ系の処理です。何かの効果があることの引き換えに、何かを失います。星が小さくなるのはよいのですが、明るい部分が削られディテールを失います。また、逆に暗点が拡大してしまうのがわかります。元画像に暗点ノイズが多いと「明るさの最小値」によってそれが増幅されて汚くなってしまいます。 さらに、この作例の場合「星の色がよくわかるようになる」理由は、実は小さい色ハロが拡大していたにすぎません。色ハロの大きなレンズの場合は、収拾不可能なほどに収差が強調されてしまう可能性もあります。ダメージ系の処理は常に万能ではありません。慎重に効果を見ながら、控えめに行うのが大事です。 まとめ ほかにもいろいろ書きたいことはあるのですが、あんまり書くと「ワンポイント」でなくなってしまうので止めておきます^^(*) (*)ちなみにステライメージの「スターシャープ」は原理的には明るさの最小値のようなものです(違ってたらすいません)。また、PixInsightにも(名前はわかりませんが)同様の機能があるはずです。 「明るさの最小値」は、使い方によっては劇的な効果がありますが、その分副作用も大きく、下手にやると眼も当てられない結果になります。一番ライトな使い方は、仕上がり画像に「明るさの最小値」をサクッと(0.2pxで2回くらい)適用すると、副作用もあまり目立たずワンランク締まった画像になります。「最後に味の素を振る」みたいなものですね! それでは、皆様のご武運をお祈り申し上げます。次回またお会いしましょう! 編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
単に「PhotoShop」と書かれていますがバージョンは?ちなみに私が使えるCS2では「明るさの際小値」は強さのバーと半径しか無くて強さ最低にしても星が全部消えてしまい使えませんでした(涙)
古いバージョンでは使えないのですね(涙)
そこまでケアできていなくて申し訳ありません。注記を追加しました。すみません・・