赤けりゃいい訳ではない/赤ランプの功罪
星景写真における、赤いヘッドランプによる被りの影響が話題になっています。
赤けりゃいいというものではない。ヘッドライト、カメラの動作中LEDなど、灯りを出すものは全て何かの影響がある。 https://t.co/tq9xMCcQ56
— 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) August 19, 2018
誤解を招きかねない点もあるので、少し長くなりますがこの問題を整理します。
目次
天文の世界では眼に刺激を与えにくい「赤いライト」が推奨されている。
暗い場所では人間の眼は「暗順応」と呼ばれる「高感度モード」に移行します。星を良く見るためにはこの暗順応状態を維持する方が有利なのですが、白い強い光を受けると人間の眼は「暗順応」状態から通常モードに戻ってしまい、再び暗順応状態になるには数分〜数十分の時間を要します。
一方、赤い光(波長640nmより長い光)は「暗順応」状態に影響をあまり与えません。このため、天文の世界では古くから「赤いライト」が推奨されています。
星景写真では、肉眼では気がつかないほど暗い赤いライトでも、大きく赤被りする
これが今回指摘されている問題です。元ツイートの画像がその例です。赤いヘッドライトを被写体の反対側に向けていたそうですが、それでもはっきり赤く被ってしまっています(*)。
「赤いライトは、眼で見た感覚よりもはるかに、写真では顕著な影響が出ることがある」この事実は、もっと広く認識されるべきではないでしょうか。
(*)天体用に改造したカメラは通常のカメラよりはるかに赤い光の感度が高いこと、赤色LEDは人間の眼の感度の低い640nmより長い波長でより強く光っていることもこの問題に関連しています。
眼で見えるものだけが真実ではない
くどいようですが、赤ライトに対する人間の感覚と写真での写り方は大きく違います。その例を一つ。
上の画像は、ある眼視観望系オフ会でのスナップです。この環境の中で、参加者は何の問題もなく眼視観望を楽しんでいました。人間の眼の感覚的にはほぼ暗夜であるにもかかわらず、写真で撮るとこのように赤い光で照らされています。
赤いランプの点灯は、人間の眼にとっては問題のないものであったとしても、カメラ(特に赤の感度の高い天体改造カメラ)から見ると白色と何ら変わらない明るい光源なのです(*)。
(*)むしろ、補正が困難なカラーバランスの崩れを招く、より厄介な存在でもあります。
では、どうするべきか?
本記事では、まずは「ライトは赤けりゃいいというものではない」と結論づけたいと思います。この事実は、その理由を含めて、伝統的天文ファンからこれから星景写真を始める人にまで広く知られるべきです。
そこから、どういうマナー・行動・コモンセンスが導かれるのか。それについては、今後の議論を待ちたいと思います。
おまけ)
誰も被写体に突っ込んでくれません(; ・`д・´)
— No.192 (@No192) August 19, 2018
ツイ主様より「誰も被写体に突っ込んでくれない」という嘆きがありました。
ツイ主様の渾身のパフォーマンスにもご注目ください^^
でもこれって・・・ひまわりのコスプレなのでしょうか? ^^;;; https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/08/19/6060/https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/08/4dfe93d211517ca9466b53f312fd76ba-1024x768.pnghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/08/4dfe93d211517ca9466b53f312fd76ba-150x150.png天文コラム星景写真における、赤いヘッドランプによる被りの影響が話題になっています。 https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1030995141421457408 誤解を招きかねない点もあるので、少し長くなりますがこの問題を整理します。 天文の世界では眼に刺激を与えにくい「赤いライト」が推奨されている。 暗い場所では人間の眼は「暗順応」と呼ばれる「高感度モード」に移行します。星を良く見るためにはこの暗順応状態を維持する方が有利なのですが、白い強い光を受けると人間の眼は「暗順応」状態から通常モードに戻ってしまい、再び暗順応状態になるには数分〜数十分の時間を要します。 一方、赤い光(波長640nmより長い光)は「暗順応」状態に影響をあまり与えません。このため、天文の世界では古くから「赤いライト」が推奨されています。 星景写真では、肉眼では気がつかないほど暗い赤いライトでも、大きく赤被りする これが今回指摘されている問題です。元ツイートの画像がその例です。赤いヘッドライトを被写体の反対側に向けていたそうですが、それでもはっきり赤く被ってしまっています(*)。 「赤いライトは、眼で見た感覚よりもはるかに、写真では顕著な影響が出ることがある」この事実は、もっと広く認識されるべきではないでしょうか。 (*)天体用に改造したカメラは通常のカメラよりはるかに赤い光の感度が高いこと、赤色LEDは人間の眼の感度の低い640nmより長い波長でより強く光っていることもこの問題に関連しています。 眼で見えるものだけが真実ではない くどいようですが、赤ライトに対する人間の感覚と写真での写り方は大きく違います。その例を一つ。 上の画像は、ある眼視観望系オフ会でのスナップです。この環境の中で、参加者は何の問題もなく眼視観望を楽しんでいました。人間の眼の感覚的にはほぼ暗夜であるにもかかわらず、写真で撮るとこのように赤い光で照らされています。 赤いランプの点灯は、人間の眼にとっては問題のないものであったとしても、カメラ(特に赤の感度の高い天体改造カメラ)から見ると白色と何ら変わらない明るい光源なのです(*)。 (*)むしろ、補正が困難なカラーバランスの崩れを招く、より厄介な存在でもあります。 では、どうするべきか? 本記事では、まずは「ライトは赤けりゃいいというものではない」と結論づけたいと思います。この事実は、その理由を含めて、伝統的天文ファンからこれから星景写真を始める人にまで広く知られるべきです。 そこから、どういうマナー・行動・コモンセンスが導かれるのか。それについては、今後の議論を待ちたいと思います。 おまけ) https://twitter.com/No192/status/1031001450791415808 ツイ主様より「誰も被写体に突っ込んでくれない」という嘆きがありました。 ツイ主様の渾身のパフォーマンスにもご注目ください^^ でもこれって・・・ひまわりのコスプレなのでしょうか? ^^;;;編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
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