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ブログ「ほんのり光房」で、「月を本当の真正面から見る」という興味深い現象が紹介されています。この現象を「センタームーン(*)」と呼びたいと思います。この非常に珍しい現象が2019年1月21日から22日にかけて見られるそうです。しかも1月21日は「スーパームーン」。名付けて、

スーパーセンタームーン

なのです(*2)。

(*)センタームーンの初出はこちら。鹿角平天文台通信・センタームーン

(*2)「スーパー銭湯」「スーパーホームセンター」みたいな呼び名ですがwww

ほんのり光房・月の『真ん中』を見たことありますか?
http://kuusou.asablo.jp/blog/2019/01/20/9027016
  • 望遠鏡で真の月面センター(月面座標の経緯度が0°の点)を、これまでに見たことがありますか?
  • 真の月面センターが「見かけ上の月面中央」に一致した月を、これまでに見たことがありますか?

追記2019/1/22)

「センタームーン」のわかりやすい説明の一つとして「月が『月面図』の通りに見える」という指摘がありました。ブログ主の「やまのん」様は「センタームーン」の名付け親のお一人でもあります。

鹿角平天文台通信・センタームーンと月面図。
https://kanotuno.at.webry.info/201901/article_8.html

追記2019/1/22)

本記事で「1/21の月はスーパームーン」と書きましたが、2019年の一番大きな満月は来月の満月です。「スーパー」だけあって大安売り中?の「スーパームーン」に便乗してしまいました。このあたりの正確な定義は誰も行っておらず、あまり安易な安売りは良くなかったと反省しております。今後弊サイトでは「1年の中で最も大きな満月の前後24時間」を「スーパームーン」、それ以外の「年間一位ではないが大きな満月」を「準スーパームーン」と呼称することとします。

センタームーンとは何か

「センタームーン」とは「月を真正面から見られる」現象のことです。え?いつも真正面を向いているのじゃないの?

そうなんです。月は地球にいつも「だいたい」同じ面を向けているのですが(このため月の裏側は地球から見ることができません)、細かく見ると、微妙にふらついているのです。ざっくりいって「ふらつき過ぎ」。もうちょっと落ち着いて真正面からこっちを見てよ。そんなレベル。

こちらのアニメーションを再生していただければ、それが直感的に理解できるでしょう。この現象は「秤動」と呼ばれています。「秤動」がなぜ起きるのかは次項に回すとして、ここではその事実をまず確認しておきす。

このため、ある時点で見られる「月の見かけ上のど真ん中」は、「月の本当のど真ん中」であるとは限りません。実はかなり異なっているのです。

上の画像は2019年1月14日の月ですが、見かけ上の月の中心と「月のど真ん中=月面の緯度経度的な中心(*)」はかなりずれています。

(*)そもそも揺れ動いている「月のど真ん中」をどう定義するのか、というのも科学的な問題の一つでした。詳しくは元記事をご参照ください。

上の画像は、地球から見た月の見かけ上の中心の2019年1月の1ヶ月間の動き。赤い線が「地球の中心」からみた場合の中心。青い線は、地球表面のある地点(つくば市)からみた中心です。

赤い線と青い線が違うのは、地球の中心と表面の6400kmの距離差によるものです。地球から月までの距離は平均38.4万km。地球の大きさと比べれば月はかなり近くにあるため、ある時点で見る月の様子は、地球上のどの地点で見るかによってもけっこう異なるのです。

これらの要素がからみあって、月の見かけの中心と月面座標の中央が一致する「センタームーン」はきわめてまれな事象であることがわかります(*)。

(*)今回の1月21日の「センタームーン」も座標中心からわずかにずれています。厳密な「センタームーン」は、皆既日食くらいに見られるエリアが限定されることになります。どこかで「センタームーン情報」を出してくれるところはないでしょうか^^

月の「秤動」について

ここで、月の「秤動」の原因について簡単に解説しておきます。

ウェザーニュース・月の裏側が見えない理由って?
http://weathernews.jp/s/topics/201611/020165/
http://weathernews.jp/s/topics/201611/020165/

「月は地球にいつも同じ面を向けている」というのは、科学的には「月の自転周期=公転周期」という定義に置き換えられます。月が地球を一回転する間に、月自身が一回転する。なので、いつも同じ面を向けることになります。

ところが、月の軌道は正確には真円ではなく楕円。最も地球に近づくときには速く動き、遠ざかると遅くなります。このため、常に一定速度である月の自転とタイミングが合わなくなり、微妙にずれが発生します。(経度秤動)

https://ja.wikipedia.org/wiki/月の軌道

また、月の自転軸は公転面に対して1.5°傾いています。このため、あるときには月の南極側がこちらを向き、またあるときは北極側を向くことを繰り返します。(緯度秤動)

誠文堂新光社刊「天文年鑑1998」P104より

緯度秤動と経度秤動の周期はともに月が地球を一回転する周期と同じになります。この動きが主に前項の赤い線に相当するものです。この動きはかなり複雑で、同じ動きは一つもないほどにずれています。また、中心を通るタイミングはほとんどないことにも注目です。

国立天文台・暦Wiki https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/BBEBBAB9.html

1日周期での秤動もあります。前項で少し出てきた「地心と観測者のずれ」による視差によるもの(日周秤動)です。こんなところにも「地球は丸い」ことを示す証拠があったのか!

最後に、動きは上記の3つよりずっと少なくなりますが、月の物理的な運動そのものの動きの揺らぎもあります(物理秤動)。これは月が完全な球体でないことにより、地球と太陽の重力によって揺れ動くものです。

Wikipedia 秤動
https://ja.wikipedia.org/wiki/秤動

まとめ

いかがでしたか?

「月の満ち欠け」や「月はいつも地球に同じ面を向けている」というのは現代人なら皆知っている常識ですが、それをさらに細かく科学的に紐解いていくと、さまざまな要素が関係して複雑な現象となっていることがわかります。

事象としては別のものですが、最近話題になることが多い(そして天文クラスタは冷淡に見ている^^;;)「スーパームーン」もその一つ。スーパームーンは主に「月の軌道は真円ではなく楕円である」という事実から現れる事象です。

センタームーンの場合、この事実に加えて「潮汐力の存在」「月の自転軸がわずかに傾いている」「月は地球の大きさに比べて無視できないほど近い」「月は完全な球体ではない」という4つの事実がもたらす現象。珍しさ的にも、科学的興味の対象としても、さらに「スゴい」現象といえるのではないでしょうか。

「スーパームーン」であり「センタームーン」でもある今月今夜のこの月。そんな科学的な視点も踏まえて眺めながら、「月が綺麗ですね」とつぶやいてみませんか?


月の「秤動」がもたらす不思議な現象には、月から見られる「地球の出」があります。こちらも合わせてお読み下さい^^

月で「地球の出」は見られるのか

 

1月21日は、スーパー「センタームーン」http://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/01/ac24f6ee24281c9cf5c93b4aeae96ae2-1024x682.jpghttp://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/01/ac24f6ee24281c9cf5c93b4aeae96ae2-150x150.jpg編集部天文現象ガイド特選ピックアップブログ「ほんのり光房」で、「月を本当の真正面から見る」という興味深い現象が紹介されています。この現象を「センタームーン(*)」と呼びたいと思います。この非常に珍しい現象が2019年1月21日から22日にかけて見られるそうです。しかも1月21日は「スーパームーン」。名付けて、 スーパーセンタームーン なのです(*2)。 (*)センタームーンの初出はこちら。鹿角平天文台通信・センタームーン (*2)「スーパー銭湯」「スーパーホームセンター」みたいな呼び名ですがwww ほんのり光房・月の『真ん中』を見たことありますか? http://kuusou.asablo.jp/blog/2019/01/20/9027016 望遠鏡で真の月面センター(月面座標の経緯度が0°の点)を、これまでに見たことがありますか? 真の月面センターが「見かけ上の月面中央」に一致した月を、これまでに見たことがありますか? 追記2019/1/22) 「センタームーン」のわかりやすい説明の一つとして「月が『月面図』の通りに見える」という指摘がありました。ブログ主の「やまのん」様は「センタームーン」の名付け親のお一人でもあります。 鹿角平天文台通信・センタームーンと月面図。 https://kanotuno.at.webry.info/201901/article_8.html 追記2019/1/22) 本記事で「1/21の月はスーパームーン」と書きましたが、2019年の一番大きな満月は来月の満月です。「スーパー」だけあって大安売り中?の「スーパームーン」に便乗してしまいました。このあたりの正確な定義は誰も行っておらず、あまり安易な安売りは良くなかったと反省しております。今後弊サイトでは「1年の中で最も大きな満月の前後24時間」を「スーパームーン」、それ以外の「年間一位ではないが大きな満月」を「準スーパームーン」と呼称することとします。 https://twitter.com/Hoshinavi/status/1087318845109370882 センタームーンとは何か 「センタームーン」とは「月を真正面から見られる」現象のことです。え?いつも真正面を向いているのじゃないの? そうなんです。月は地球にいつも「だいたい」同じ面を向けているのですが(このため月の裏側は地球から見ることができません)、細かく見ると、微妙にふらついているのです。ざっくりいって「ふらつき過ぎ」。もうちょっと落ち着いて真正面からこっちを見てよ。そんなレベル。 https://twitter.com/t2pix/status/1076642959355895809?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1076642959355895809&ref_url=http%3A%2F%2Freflexions.jp%2Ftenref%2Forig%2F2019%2F01%2F15%2F7628%2F こちらのアニメーションを再生していただければ、それが直感的に理解できるでしょう。この現象は「秤動」と呼ばれています。「秤動」がなぜ起きるのかは次項に回すとして、ここではその事実をまず確認しておきす。 このため、ある時点で見られる「月の見かけ上のど真ん中」は、「月の本当のど真ん中」であるとは限りません。実はかなり異なっているのです。 上の画像は2019年1月14日の月ですが、見かけ上の月の中心と「月のど真ん中=月面の緯度経度的な中心(*)」はかなりずれています。 (*)そもそも揺れ動いている「月のど真ん中」をどう定義するのか、というのも科学的な問題の一つでした。詳しくは元記事をご参照ください。 上の画像は、地球から見た月の見かけ上の中心の2019年1月の1ヶ月間の動き。赤い線が「地球の中心」からみた場合の中心。青い線は、地球表面のある地点(つくば市)からみた中心です。 赤い線と青い線が違うのは、地球の中心と表面の6400kmの距離差によるものです。地球から月までの距離は平均38.4万km。地球の大きさと比べれば月はかなり近くにあるため、ある時点で見る月の様子は、地球上のどの地点で見るかによってもけっこう異なるのです。 これらの要素がからみあって、月の見かけの中心と月面座標の中央が一致する「センタームーン」はきわめてまれな事象であることがわかります(*)。 (*)今回の1月21日の「センタームーン」も座標中心からわずかにずれています。厳密な「センタームーン」は、皆既日食くらいに見られるエリアが限定されることになります。どこかで「センタームーン情報」を出してくれるところはないでしょうか^^ 月の「秤動」について ここで、月の「秤動」の原因について簡単に解説しておきます。 ウェザーニュース・月の裏側が見えない理由って? http://weathernews.jp/s/topics/201611/020165/ 「月は地球にいつも同じ面を向けている」というのは、科学的には「月の自転周期=公転周期」という定義に置き換えられます。月が地球を一回転する間に、月自身が一回転する。なので、いつも同じ面を向けることになります。 ところが、月の軌道は正確には真円ではなく楕円。最も地球に近づくときには速く動き、遠ざかると遅くなります。このため、常に一定速度である月の自転とタイミングが合わなくなり、微妙にずれが発生します。(経度秤動) また、月の自転軸は公転面に対して1.5°傾いています。このため、あるときには月の南極側がこちらを向き、またあるときは北極側を向くことを繰り返します。(緯度秤動) 緯度秤動と経度秤動の周期はともに月が地球を一回転する周期と同じになります。この動きが主に前項の赤い線に相当するものです。この動きはかなり複雑で、同じ動きは一つもないほどにずれています。また、中心を通るタイミングはほとんどないことにも注目です。 1日周期での秤動もあります。前項で少し出てきた「地心と観測者のずれ」による視差によるもの(日周秤動)です。こんなところにも「地球は丸い」ことを示す証拠があったのか! 最後に、動きは上記の3つよりずっと少なくなりますが、月の物理的な運動そのものの動きの揺らぎもあります(物理秤動)。これは月が完全な球体でないことにより、地球と太陽の重力によって揺れ動くものです。 Wikipedia 秤動 https://ja.wikipedia.org/wiki/秤動 まとめ いかがでしたか? 「月の満ち欠け」や「月はいつも地球に同じ面を向けている」というのは現代人なら皆知っている常識ですが、それをさらに細かく科学的に紐解いていくと、さまざまな要素が関係して複雑な現象となっていることがわかります。 事象としては別のものですが、最近話題になることが多い(そして天文クラスタは冷淡に見ている^^;;)「スーパームーン」もその一つ。スーパームーンは主に「月の軌道は真円ではなく楕円である」という事実から現れる事象です。 センタームーンの場合、この事実に加えて「潮汐力の存在」「月の自転軸がわずかに傾いている」「月は地球の大きさに比べて無視できないほど近い」「月は完全な球体ではない」という4つの事実がもたらす現象。珍しさ的にも、科学的興味の対象としても、さらに「スゴい」現象といえるのではないでしょうか。 「スーパームーン」であり「センタームーン」でもある今月今夜のこの月。そんな科学的な視点も踏まえて眺めながら、「月が綺麗ですね」とつぶやいてみませんか? 月の「秤動」がもたらす不思議な現象には、月から見られる「地球の出」があります。こちらも合わせてお読み下さい^^ http://reflexions.jp/tenref/orig/2019/01/15/7628/  編集部発信のオリジナルコンテンツ