ならまち糞虫館訪問記
今回は天文とは全く関係ない話です。
話題のならまち糞虫館なう。 pic.twitter.com/rTAOY29rVU
— 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) October 6, 2018
昨日、奈良市の「ならまち糞虫館」に行ってきました。
ならまち糞虫館
https://hunchu.jimdo.com
動物の糞を食べて生きる「糞虫」。「ファーブル昆虫記」でのフンコロガシはご存じの方も多いのではないでしょうか。この糞虫ですが、実は奈良公園一帯は「日本3大糞虫生息地」としてその筋では超有名なエリア。
その奈良公園にほど近い、観光スポットとしても最近脚光を浴びている「ならまち」に、今年7月にオープンしたのが「ならまち糞虫館」なのです。
「フン虫王子」中村圭一さん
ならまち糞虫館・プロフィール
https://hunchu.jimdo.com/サブメニュー1/
このならまち糞虫館を設立したのが館長の中村圭一さん。奈良県出身。中学生の頃理科の課題の「昆虫採集」で友人から糞虫というものの存在を知らされたことをきっかけに奈良公園の糞虫の採集と研究に没頭。その後大手金融機関に就職されましたが糞虫愛のあまり2016年に早期退職し「糞虫館」の設立を目指して奔走。その成果が実って今回の「ならまち糞虫館」の設立にこぎつけられました。
奈良に住んでみました・糞虫の聖地・奈良に誕生した私設博物館『ならまち糞虫館』
http://small-life.com/archives/18/07/2620.php
「ならまち糞虫館」は実は「ひそかに話題を呼ぶ」レベルを越えて、さまざまなメディアに取り上げられ、大きな話題になっています。
つい先日(10/3)には「メジャーの登竜門」とでも呼ぶべきYahoo!トップにも登場。「ならまち糞虫館」でぜひ検索してみてください。「糞虫の何がスゴイのか」「影で役に立っている糞虫」「なぜ糞虫館を設立したのか」などの、糞虫王子の熱いメッセージがそこかしこで見られるはずです。
旧友中村圭一さん
なぜ天リフで「ならまち糞虫館」?
実は中村圭一さんと編集子は中高大の同級生。お互いまっとうな?サラリーマン時代は顔を合わせる機会はほとんどありませんでしたが、今年の冬にひさびさに再会しました。以来、「糞虫」「天文」それぞれまったく別の分野ですが、世の中的にはマイナーなこと、自分の好きなことを仕事にするという意味で、同志でありライバルです^^
ならまち糞虫館のオリジナルTシャツ、買いました^^ デザインはこれまた同級生の某有名デザイナーによるもの。彼女はロゴやポスター、展示エリアなど、ならまち糞虫館全体のデザインもプロデュースしていて、成功の半分(以上?w)に貢献していると感じました。
館内探訪
「糞虫はジュエリーである」というコンセプトで統合された展示室。これは良コンセプト。昆虫の展示施設としてはとても斬新なスタイル。若い女性にも、カップルにも楽しめます。「宙ガール」ならぬ、「糞(虫)ガール」が流行るかも。いや、流行らないか^^;;
糞虫の殻はまさに宝石のよう。丸い玉は「糞玉」をイメージしているのですが、この配色センスがすばらしい。自分なら黄土色と茶色にしてしまいますねw(明るい色にすればいいんじゃーー、とか主張しそうw)
こちらは海外の糞虫。殻の色だけでなく、芸術的なカーブを描く角も糞虫の特徴。虫眼鏡とLEDライトも添えられていて、光を当てて拡大して見ると微妙な殻の風合いの部位による違いに驚きます。ここは○ヅキルーペのような双眼の拡大鏡をご提案すべきかも^^
展示室は2つに分かれていて、もうひとつのエリアは「マニア向け」スペースになっています。米粒のような小さな糞虫からカブトムシのように大きい糞虫まで、数多くの標本箱にびっしり。中村さんは「隣の部屋には置かせてもらえなかった」と不満そうでしたが、マニア層とライト層をうまく隔離するという戦略は天文系にも通じるものがあるかもしれませんね。
そんな中、昆虫素人の編集子のマニア魂を深くえぐったのがこの標本箱。「オオセンチコガネ」という糞虫は、生息する場所によって微妙に色がちがうそうで(*)、その違いがグラデーションになるように配置したもの。何度も何度もガン見しちゃいましたよ。
(*)殻そのものには色はないそうなのですが、その上のごく薄い透明な層の違いによって色の差が現れるとのことでした。レンズのコーティングみたいですね。
マニアエリア(と勝手に名付けてしまいましたが^^)では、若い才能の輝きが随所に見られました。こちらは篠田結一朗さんの糞虫観察研究レポートですが、中身はこの表紙の20倍ぐらいのインパクトがあります。ちょっと泣きそうになるくらい感激しました。凄い。一部の理科系変態マインドを持つ人にとっては、これを見るためだけでも糞虫館に来る価値があります。あぷらなーとさん、これ見ないと死ねませんよ?!そうでなくても、純粋に昆虫の生態画としてもすごく力のある作品です。
中村さんに「弟子の育成もぬかりないねー」と軽口をたたくと、半分真面目な顔で「オレのほうが弟子や」とのこと。篠田さんのほかにも、昆虫好きの中学生、高校生の凄い標本と研究が展示されています。
まとめ・「誰もやっていないことをはじめる」ことについて
中村館長を含め、全ての人の予想を大きく裏切って絶好調のスタートを切ったならまち糞虫館。入場料は大人300円。奈良公園、東大寺、正倉院展など奈良に観光に訪れたら「もう寄るしかない」スポットです。当日も、全国各地から訪れた虫好き、糞虫好き、そして「テレビで知って面白いなと思った」普通の方まで、ひっきりなしに入館者が訪れていました。
中村さんは現在平日は専門職としてお仕事をされつつ土日は糞虫館をされていますが、この先事業として発展させていくためにはさまざまな「次の課題」をクリアしてかなくてはなりません。入館者が途切れた合間に今後の構想や、「誰もやっていない(やっていなかった)ことをはじめた」を始めた者同士の情報交換。天リフとは分野もモデルも全く違いますが、おおいに刺激になった時間でした。
中村さんによると、糞虫が鹿の糞を食べてくれるお陰で、奈良公園の清掃コスト低減に年間100億円のオーダーで貢献しているそうです(桁レベルの誤差はご容赦^^)。「糞を食べる」という選択をした時点で、糞虫はオンリーワンでしかも生態系の維持に貢献する確実な「ニッチ」を手にしました。現代のグローバル社会の中でもそういったまだ見ぬ「ニッチ」なポジションがあるはず。
そこに生き残りと社会貢献をかけてチャレンジする「ならまち糞虫館」をぜひお見知りおきいただき、奈良に立ち寄りの際はぜひ行ってみてください!(現在開館は土日のみの13-18時になります。詳細はホームページでご確認ください。)
ちなみに、すぐ近くにはギークでエッジな「会員制無人&キャッシュレス書店」「ふうせんかずら」もあります。こちらにお立ち寄りの方は糞虫館も行くべきです!
ふうせんかずら
http://narabook.space
https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/10/07/6637/https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/10/43247226_2106850272711833_5697107915794546688_o-1024x683.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/10/43247226_2106850272711833_5697107915794546688_o-150x150.jpgカルチャー今回は天文とは全く関係ない話です。
https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1048434348838465536
昨日、奈良市の「ならまち糞虫館」に行ってきました。
ならまち糞虫館
https://hunchu.jimdo.com
動物の糞を食べて生きる「糞虫」。「ファーブル昆虫記」でのフンコロガシはご存じの方も多いのではないでしょうか。この糞虫ですが、実は奈良公園一帯は「日本3大糞虫生息地」としてその筋では超有名なエリア。
その奈良公園にほど近い、観光スポットとしても最近脚光を浴びている「ならまち」に、今年7月にオープンしたのが「ならまち糞虫館」なのです。
「フン虫王子」中村圭一さん
ならまち糞虫館・プロフィール
https://hunchu.jimdo.com/サブメニュー1/
このならまち糞虫館を設立したのが館長の中村圭一さん。奈良県出身。中学生の頃理科の課題の「昆虫採集」で友人から糞虫というものの存在を知らされたことをきっかけに奈良公園の糞虫の採集と研究に没頭。その後大手金融機関に就職されましたが糞虫愛のあまり2016年に早期退職し「糞虫館」の設立を目指して奔走。その成果が実って今回の「ならまち糞虫館」の設立にこぎつけられました。
奈良に住んでみました・糞虫の聖地・奈良に誕生した私設博物館『ならまち糞虫館』
http://small-life.com/archives/18/07/2620.php
「ならまち糞虫館」は実は「ひそかに話題を呼ぶ」レベルを越えて、さまざまなメディアに取り上げられ、大きな話題になっています。
つい先日(10/3)には「メジャーの登竜門」とでも呼ぶべきYahoo!トップにも登場。「ならまち糞虫館」でぜひ検索してみてください。「糞虫の何がスゴイのか」「影で役に立っている糞虫」「なぜ糞虫館を設立したのか」などの、糞虫王子の熱いメッセージがそこかしこで見られるはずです。
旧友中村圭一さん
なぜ天リフで「ならまち糞虫館」?
実は中村圭一さんと編集子は中高大の同級生。お互いまっとうな?サラリーマン時代は顔を合わせる機会はほとんどありませんでしたが、今年の冬にひさびさに再会しました。以来、「糞虫」「天文」それぞれまったく別の分野ですが、世の中的にはマイナーなこと、自分の好きなことを仕事にするという意味で、同志でありライバルです^^
ならまち糞虫館のオリジナルTシャツ、買いました^^ デザインはこれまた同級生の某有名デザイナーによるもの。彼女はロゴやポスター、展示エリアなど、ならまち糞虫館全体のデザインもプロデュースしていて、成功の半分(以上?w)に貢献していると感じました。
館内探訪
「糞虫はジュエリーである」というコンセプトで統合された展示室。これは良コンセプト。昆虫の展示施設としてはとても斬新なスタイル。若い女性にも、カップルにも楽しめます。「宙ガール」ならぬ、「糞(虫)ガール」が流行るかも。いや、流行らないか^^;;
糞虫の殻はまさに宝石のよう。丸い玉は「糞玉」をイメージしているのですが、この配色センスがすばらしい。自分なら黄土色と茶色にしてしまいますねw(明るい色にすればいいんじゃーー、とか主張しそうw)
こちらは海外の糞虫。殻の色だけでなく、芸術的なカーブを描く角も糞虫の特徴。虫眼鏡とLEDライトも添えられていて、光を当てて拡大して見ると微妙な殻の風合いの部位による違いに驚きます。ここは○ヅキルーペのような双眼の拡大鏡をご提案すべきかも^^
展示室は2つに分かれていて、もうひとつのエリアは「マニア向け」スペースになっています。米粒のような小さな糞虫からカブトムシのように大きい糞虫まで、数多くの標本箱にびっしり。中村さんは「隣の部屋には置かせてもらえなかった」と不満そうでしたが、マニア層とライト層をうまく隔離するという戦略は天文系にも通じるものがあるかもしれませんね。
そんな中、昆虫素人の編集子のマニア魂を深くえぐったのがこの標本箱。「オオセンチコガネ」という糞虫は、生息する場所によって微妙に色がちがうそうで(*)、その違いがグラデーションになるように配置したもの。何度も何度もガン見しちゃいましたよ。
(*)殻そのものには色はないそうなのですが、その上のごく薄い透明な層の違いによって色の差が現れるとのことでした。レンズのコーティングみたいですね。
マニアエリア(と勝手に名付けてしまいましたが^^)では、若い才能の輝きが随所に見られました。こちらは篠田結一朗さんの糞虫観察研究レポートですが、中身はこの表紙の20倍ぐらいのインパクトがあります。ちょっと泣きそうになるくらい感激しました。凄い。一部の理科系変態マインドを持つ人にとっては、これを見るためだけでも糞虫館に来る価値があります。あぷらなーとさん、これ見ないと死ねませんよ?!そうでなくても、純粋に昆虫の生態画としてもすごく力のある作品です。
中村さんに「弟子の育成もぬかりないねー」と軽口をたたくと、半分真面目な顔で「オレのほうが弟子や」とのこと。篠田さんのほかにも、昆虫好きの中学生、高校生の凄い標本と研究が展示されています。
まとめ・「誰もやっていないことをはじめる」ことについて
中村館長を含め、全ての人の予想を大きく裏切って絶好調のスタートを切ったならまち糞虫館。入場料は大人300円。奈良公園、東大寺、正倉院展など奈良に観光に訪れたら「もう寄るしかない」スポットです。当日も、全国各地から訪れた虫好き、糞虫好き、そして「テレビで知って面白いなと思った」普通の方まで、ひっきりなしに入館者が訪れていました。
中村さんは現在平日は専門職としてお仕事をされつつ土日は糞虫館をされていますが、この先事業として発展させていくためにはさまざまな「次の課題」をクリアしてかなくてはなりません。入館者が途切れた合間に今後の構想や、「誰もやっていない(やっていなかった)ことをはじめた」を始めた者同士の情報交換。天リフとは分野もモデルも全く違いますが、おおいに刺激になった時間でした。
中村さんによると、糞虫が鹿の糞を食べてくれるお陰で、奈良公園の清掃コスト低減に年間100億円のオーダーで貢献しているそうです(桁レベルの誤差はご容赦^^)。「糞を食べる」という選択をした時点で、糞虫はオンリーワンでしかも生態系の維持に貢献する確実な「ニッチ」を手にしました。現代のグローバル社会の中でもそういったまだ見ぬ「ニッチ」なポジションがあるはず。
そこに生き残りと社会貢献をかけてチャレンジする「ならまち糞虫館」をぜひお見知りおきいただき、奈良に立ち寄りの際はぜひ行ってみてください!(現在開館は土日のみの13-18時になります。詳細はホームページでご確認ください。)
ちなみに、すぐ近くにはギークでエッジな「会員制無人&キャッシュレス書店」「ふうせんかずら」もあります。こちらにお立ち寄りの方は糞虫館も行くべきです!
ふうせんかずら
http://narabook.space編集部山口
千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
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