アストロアーツHPで星ナビ2024年11月号の内容が告知されています。発売は10月4日 金曜日です。

今月の内容は!?

宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」執筆から100年。賢治の世界を旅してみませんか。見ごろが近づく「紫金山・アトラス彗星」の観測や撮影ポイント・最新情報も掲載。

星ナビ11月号は「銀河鉄道の夜から100年」と「紫金山・アトラス彗星」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13722_hoshinavi

■表紙

今回の表紙はKAGAYAさん作の「サウザンクロス」。「銀河鉄道の夜」の中に登場する印象的なシーンのイラストです。

 ああそのときでした。見えない天の川のずうっと川下に青やだいだいや、もうあらゆる光でちりばめられた十字架じゅうじかが、まるで一本の木というふうに川の中から立ってかがやき、その上には青じろい雲がまるいになって後光のようにかかっているのでした。汽車の中がまるでざわざわしました。みんなあの北の十字のときのようにまっすぐに立っておいのりをはじめました。

(青空文庫「銀河鉄道の夜」)



今月の表紙は「サウザンクロス」。今年は宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」の初稿が執筆されてから100年(*)。主人公ジョバンニが銀河鉄道で旅する終着駅が「サウザンクロス」。その強烈な印象を残す1シーンを、KAGAYAさんが描いたイラストです。

(*)刊行されたのは賢治の死後の翌年1934年ですが、初稿は1924年の執筆です。この辺の事情は本誌記事にも詳しく解説されています。

今月号は特別付録と合わせて計28ページの「銀河鉄道の夜」大特集号。KAGAYA通信・編集後記はじめ、強力連載の多くが「銀河鉄道の夜」をモチーフに。KAGAYAワールドとともに宮澤賢治の世界をお楽しみください!

wikipedia 銀河鉄道の夜https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%AE%E5%A4%9C

■「銀河鉄道の夜」から100年 宮沢賢治と星空(解説/加倉井厚夫)

ふたりの少年が銀河鉄道に乗り旅をする物語「銀河鉄道の夜」。作中に散りばめられた天体や星座のモチーフや、美しくも切ないストーリーが今も人々を惹きつけてやみません。作者の宮沢賢治は空を見上げ何を思い、この作品を執筆したのでしょうか。カラー12ページの大特集です。

宮沢賢治と「銀河鉄道の夜」の世界を、賢治の天文趣味への傾倒、執筆のプロセス、作品構成の分析と解釈、「銀河鉄道の夜」に関連する賢治の詩や童話など、広く深くマニアックに掘り下げた大特集。

青空文庫・銀河鉄道の夜

実は天リフ編集長は、今回初めて「銀河鉄道の夜」を通読しました。賢治の描く星空の世界観の美しさと同時に、「ほんとうのみんなのさいわい」に生きる意味と救いを見出そうとする賢治の深い孤独を感じましたが、もし言葉を言葉のまま受け止め想像力で補うことができる少年期に読んでいたとしたら、また別の受け止め方をしたことでしょう。もしかしたらKAGAYAさんが今号で書かれているような「人生はどれほど変わっていただろう」というくらいの影響を受けていたかもしれません。

「銀河鉄道の夜」という、賢治にとって「未完」のまま終わったテキストをどう解釈するのかは、後世の読み手次第です。「銀河鉄道の夜」を読んだことのある方もそうでない方も、ぜひ「銀河鉄道の夜」と合わせて本記事をお読みください。きっと新しい発見があることでしょう。

賢治の事務所
http://www.bekkoame.ne.jp/~kakurai/

本記事を執筆された加倉井厚夫さんのホームページ。開設なんと28周年です。

■いよいよ地球最接近!紫金山・アトラス彗星 夕空の低空に彗星を探し出す (解説/吉本勝己)

発見されて約1年半、ついに紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)が接近してきます。そして、10月12日には地球に最接近し、夕方の西の空低くに見えるようなるでしょう。どうなるのかわからないドキドキ感を持ちながら観測していきましょう。

予想を上回る光度と長い尾で盛り上がっている、紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)の観測ガイドです。本記事公開時には明け方の東空では観測は困難になってきていますが、10月12日以降の夕方の西空が次のチャンスです。

詳しくは本誌をごらんいただくとして、後半戦の観測好機は大きく3つに分かれます。一つめは10月12日から14日まで。彗星の太陽離角は12日でわずか14度、14日で23度。薄明中で彗星は低く、かなりエクストリームなチャレンジですが、彗星本体はかなり明るいことが予想されるので、低空の透明度の高い場所ならワンチャンスあるかもしれません。

二つめは10月15日〜19日まで。15日の薄明終了時の彗星の地平高度は9度、18日は20度。この期間なら、視界が開けていれば彗星の姿はかなり容易に見つけられるでしょう。ただし満月が17日なので、暗夜にはなりません。三つめは20日以降。彗星の高度はさらに高くなり、薄明も月明もない暗夜に彗星を観測することができます。写真ならかなり長いテイルを撮影することができるのではないでしょうか。

一期一会の彗星チャレンジ。ぜひ「大彗星の姿」が見られますように!

■特別付録 天の川銀河沿線の名所をたどる 旅する銀河鉄道(案内/加倉井厚夫)

私たちが見る天の川銀河の流れは、宮沢賢治の名作「銀河鉄道の夜」の鉄道旅の重要なモチーフです。作品の中では、魅力的な沿線風景となって、ジョバンニやカムパネルラの車窓を飾ります。賢治がどのようにして星座や天体を元に旅のアイデアをまとめたのでしょうか。

「銀河鉄道の夜」で描かれる主人公ジョバンニとカムパネルラの「銀河鉄道の旅」を、現実の星座・天体と対照しながら読み解いた労作。

「銀河ステーション」から始まり、白鳥の停車場(はくちょう座)、鷲の停車場(わし座)、小さな停車場(いて座・さそり座・ケンタウルス座)、サウザンクロス(みなみじゅうじ座)を経て石炭袋までを、作品エピソードと実際の天体と対照しつつ、ほぼ全てが網羅されているのがスゴイ。

もし後世の人間たちにこんなに熱く自分の作品が読まれていることを賢治が知ることができたとしたら、いったいどんな感想をもつのでしょうか。もし賢治に最新の天文学の知識を語ることができたら、賢治はどんな風に発想を膨らませ「銀河鉄道の夜」を自らの手で完結させたでしょうか。いろいろ想像が膨らみますね!

◎天リフ独断ピックアップ

■八ヶ岳星と自然のフェスタ(小海星フェス2024)

八ヶ岳星と自然のフェスタ(小海星フェス2024)
https://www.hoshifeskoumi.com/

「小海星フェス」が11月8日(金)〜9日(土)の日程で今年も開催されます。昨年同様、広いスキー場レストハウス「エーデルワイス」を使用した出展社エリア・屋内講習会・アストロカーに加えて、今年は天体望遠鏡で星を見てもらうための星空観望エリアや、星空案内・星空写真教室、会場を案内する「星フェスガイドツアー」など、より一般の方に楽しんでもらえるような企画が追加されます。

天文ファンの皆様におかれましては、ぜひ「一般の方を星空でもてなす」マインドでご参加いただけると嬉しいです。天文リフレクションズも運営ボランティアとして協力しています!

■NewsWatch 夜の教室に広がる宇宙(紹介●梅本真由美)

本誌2024年2月号にインタビュー記事が掲載された伊与原新さんの小説「宙わたる教室」がドラマ化。主演は窪田正孝さん。10月8日スタート、NHK総合・毎週火曜日22:00〜22:45です。原作にないオリジナルエピソードも3話分用意されているとのこと。天文ファンは必見!

「火星のクレーター」を教室に再現!ドラマ「宙わたる教室」が10月放送開始
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13717_sorawataru

こちらは梅本真由美さんによる9月24日に開催された「宙わたる教室」の試写会・記者会見のレポートです。

■ネットよ今夜もありがとう

今月はスターウルフさんの「自己流で始めた天体趣味、そのほか時々瀬戸内カヤック」。ブログタイトルにあるとおり、シーカヤックがご趣味でそのために使われていた双眼鏡を星空に向けてたら「星がいっぱい見えた」のが天文趣味にハマるきっかけとなったそうです。

スターウルフさんは「岡山アストロクラブ」のメンバーですが、入会されるまでは一人で「全て自我流」だったとのこと。「天文趣味の普及を妨げているのは、周りにこの趣味をする人がいないので教えてもらえないこと」というご指摘は正鵠を射ていますね。天リフも頑張ります!



■星ナビギャラリー

今月のトップ下は名古屋大学天体研究会の星さんによる「アルプスに流れ落ちる星の雫」。「山の天気は変わりやすい」ことを逆手にとって入笠山山頂で「流星が降り止まらない最高の星空を独り占め」されたそうです。いわゆる新星景的なスタック処理に流星を比較明合成した画像処理、広角14mmのパースペクティブを生かした構図も秀逸。

個人的イチオシは同じ見開きの大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会の清末さんの「北斗七星とパラボラアンテナ」。リモート・長時間露光による淡物にどっぷり取り組んでいらっしゃる方ですが、星景写真でもさすが!ですね。

さらに、天リフのVSD90SSレビュー企画にエントリいただいた長谷川さん(hiroさん)も、ワンショットナローバンドの網状星雲が掲載されています。自宅でここまで撮れるのは素晴らしいですね!

■Deepな天体写真 ラッキーイメージング3 大量に撮影した画像を効率よく処理する(解説/山田  実)

「ラッキーイメージング」は、数分の1秒から数秒という短い露出時間で何千〜何万枚撮影し、その中から良像をセレクトしてスタックするという撮影手法です。最終回は、画像処理方法を中心に解説します。

光害地でも解像度の高い天体写真を撮影することができる「ラッキーイメージング」。連載第3回目は画像処理編。ラッキーイメージングでは、これまでの天体写真と比較して数桁多いフレーム数(1000〜10万)の露光を行う関係上、スタック処理ではできるだけ高速のマシン・ソフトを使う必要があります。本記事では筆者の山田さんの実体験をもとにした画像処理シーケンスを解説。

また、スタック後のフラット補正やノイズ処理、デコンボリューション処理についても、複数の処理ソフトの特徴と組み合わせ方について解説されていて、実戦的なヒントとなるでしょう。

光害地で星を撮る
https://koropouman.blog.fc2.com/

こちらは記事を執筆された山田実さんのブログです。

■東京大学木曽観測所50周年 105cmシュミットの半世紀(解説/川村 晶)

東京大学が運用する「木曽観測所」が今年10月に開所50周年を迎えました。半世紀の歩みを機器の開発とその成果を軸に振り返ります。

1974年開所の東京大学木曽観測所。現在でも世界最大クラスの口径105cmのシュミット望遠鏡を備えた観測施設ですが、今年10月で開所50周年を迎えるにあたり、半世紀の歩みを解説する6ページ。取材と解説は川村晶さんです。

木曽のシュミット望遠鏡は、元々は36cm角!の巨大な乾板(薄いガラス板に銀塩感光乳剤を塗布したもの)を使用する仕様でしたが、幾度もの変遷を経て、現在では84個ものCMOSセンサーを並べた「トモエゴゼン」が稼働しています。全天を動画で一晩に2回掃天可能な能力を持ち、広い範囲を高い時間分解能で観測することが可能になっています。

さらに、「銀河学校」「星の教室」など様々な教育活動にも注力。これからの木曽観測所の活動と成果に注目です。

デジタル動画観測で生まれ変わる木曽観測所【連載・宇宙県の旅】第2回

こちらの記事は2017年に天リフ編集長が木曽観測所を見学したときのものです。

■ホルスト生誕150年 組曲「惑星」作曲まで 太陽系が奏でる惑星のしらべ(解説/塚田 健)

音楽家グスターヴ・ホルストの生誕から今年で150年。占星術に着想を得た組曲「惑星」を聴きながら、惑星が輝く星空を見上げてみませんか?

天文ファンにもそれ以外にも人気の高いホルストの組曲「惑星」。2024年はホルスト生誕150周年。

ホルストの作曲家としての人生から、没後に作られた「冥王星」「ケレス」・冨田勲による「イトカワとはやぶさ」などの「様々な追加楽章、各楽章の音楽としての解説まで、平塚市博物館の塚田健さんが幅広く解説(*)。

(*)それにしても塚田健さんの博識ぶりには舌を巻きますね^^

今年の秋〜冬は、ホルストの「惑星」を構成する7惑星全てが同一夜に見られるチャンスが2回あるそうです。「惑星」を聴きながら「惑星」を見るのはいかがでしょうか?

まとめ

いかがでしたか?

ついに来たぜ、大彗星!紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3 )で大盛り上がりの天文界隈ですが、ぜひ10月12日からの後半戦に注目・そして実体験しましょう!

さらに、池谷・関彗星(C/1965 S1)に軌道が類似した、ATLAS彗星(C/2024 S1)が10月28日に近日点を通過します。クロイツ群のサングレーザーのため明るく輝くのはごく短い期間ですが、最大で金星級(マイナス4等)との情報もあり(*)、こちらも期待です!

(*)マイナス9等!という予測もあるようですが、、まだ初期段階なので話半分以下で^^;;

そんな中でも毎日一度は天文リフレクションズ、毎月5日は天文雑誌!今月号も楽しみですね!

星ナビ11月号は「銀河鉄道の夜から100年」と「紫金山・アトラス彗星」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13722_hoshinavi

※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。

天文ガイドも合わせて読みたいですね!! https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2024/10/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2024/10/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-150x150.jpg編集部雑誌・書籍星ナビアストロアーツHPで星ナビ2024年11月号の内容が告知されています。発売は10月4日 金曜日です。 今月の内容は!? 宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」執筆から100年。賢治の世界を旅してみませんか。見ごろが近づく「紫金山・アトラス彗星」の観測や撮影ポイント・最新情報も掲載。 星ナビ11月号は「銀河鉄道の夜から100年」と「紫金山・アトラス彗星」https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13722_hoshinavi ■表紙  ああそのときでした。見えない天の川のずうっと川下に青や橙だいだいや、もうあらゆる光でちりばめられた十字架じゅうじかが、まるで一本の木というふうに川の中から立ってかがやき、その上には青じろい雲がまるい環わになって後光のようにかかっているのでした。汽車の中がまるでざわざわしました。みんなあの北の十字のときのようにまっすぐに立ってお祈いのりをはじめました。 (青空文庫「銀河鉄道の夜」) 今月の表紙は「サウザンクロス」。今年は宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」の初稿が執筆されてから100年(*)。主人公ジョバンニが銀河鉄道で旅する終着駅が「サウザンクロス」。その強烈な印象を残す1シーンを、KAGAYAさんが描いたイラストです。 (*)刊行されたのは賢治の死後の翌年1934年ですが、初稿は1924年の執筆です。この辺の事情は本誌記事にも詳しく解説されています。 今月号は特別付録と合わせて計28ページの「銀河鉄道の夜」大特集号。KAGAYA通信・編集後記はじめ、強力連載の多くが「銀河鉄道の夜」をモチーフに。KAGAYAワールドとともに宮澤賢治の世界をお楽しみください! wikipedia 銀河鉄道の夜https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%80%E6%B2%B3%E9%89%84%E9%81%93%E3%81%AE%E5%A4%9C ■「銀河鉄道の夜」から100年 宮沢賢治と星空(解説/加倉井厚夫) 宮沢賢治と「銀河鉄道の夜」の世界を、賢治の天文趣味への傾倒、執筆のプロセス、作品構成の分析と解釈、「銀河鉄道の夜」に関連する賢治の詩や童話など、広く深くマニアックに掘り下げた大特集。 青空文庫・銀河鉄道の夜 実は天リフ編集長は、今回初めて「銀河鉄道の夜」を通読しました。賢治の描く星空の世界観の美しさと同時に、「ほんとうのみんなのさいわい」に生きる意味と救いを見出そうとする賢治の深い孤独を感じましたが、もし言葉を言葉のまま受け止め想像力で補うことができる少年期に読んでいたとしたら、また別の受け止め方をしたことでしょう。もしかしたらKAGAYAさんが今号で書かれているような「人生はどれほど変わっていただろう」というくらいの影響を受けていたかもしれません。 「銀河鉄道の夜」という、賢治にとって「未完」のまま終わったテキストをどう解釈するのかは、後世の読み手次第です。「銀河鉄道の夜」を読んだことのある方もそうでない方も、ぜひ「銀河鉄道の夜」と合わせて本記事をお読みください。きっと新しい発見があることでしょう。 賢治の事務所http://www.bekkoame.ne.jp/~kakurai/ 本記事を執筆された加倉井厚夫さんのホームページ。開設なんと28周年です。 ■いよいよ地球最接近!紫金山・アトラス彗星 夕空の低空に彗星を探し出す (解説/吉本勝己) 予想を上回る光度と長い尾で盛り上がっている、紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)の観測ガイドです。本記事公開時には明け方の東空では観測は困難になってきていますが、10月12日以降の夕方の西空が次のチャンスです。 詳しくは本誌をごらんいただくとして、後半戦の観測好機は大きく3つに分かれます。一つめは10月12日から14日まで。彗星の太陽離角は12日でわずか14度、14日で23度。薄明中で彗星は低く、かなりエクストリームなチャレンジですが、彗星本体はかなり明るいことが予想されるので、低空の透明度の高い場所ならワンチャンスあるかもしれません。 二つめは10月15日〜19日まで。15日の薄明終了時の彗星の地平高度は9度、18日は20度。この期間なら、視界が開けていれば彗星の姿はかなり容易に見つけられるでしょう。ただし満月が17日なので、暗夜にはなりません。三つめは20日以降。彗星の高度はさらに高くなり、薄明も月明もない暗夜に彗星を観測することができます。写真ならかなり長いテイルを撮影することができるのではないでしょうか。 一期一会の彗星チャレンジ。ぜひ「大彗星の姿」が見られますように! ■特別付録 天の川銀河沿線の名所をたどる 旅する銀河鉄道(案内/加倉井厚夫) 私たちが見る天の川銀河の流れは、宮沢賢治の名作「銀河鉄道の夜」の鉄道旅の重要なモチーフです。作品の中では、魅力的な沿線風景となって、ジョバンニやカムパネルラの車窓を飾ります。賢治がどのようにして星座や天体を元に旅のアイデアをまとめたのでしょうか。 「銀河鉄道の夜」で描かれる主人公ジョバンニとカムパネルラの「銀河鉄道の旅」を、現実の星座・天体と対照しながら読み解いた労作。 「銀河ステーション」から始まり、白鳥の停車場(はくちょう座)、鷲の停車場(わし座)、小さな停車場(いて座・さそり座・ケンタウルス座)、サウザンクロス(みなみじゅうじ座)を経て石炭袋までを、作品エピソードと実際の天体と対照しつつ、ほぼ全てが網羅されているのがスゴイ。 もし後世の人間たちにこんなに熱く自分の作品が読まれていることを賢治が知ることができたとしたら、いったいどんな感想をもつのでしょうか。もし賢治に最新の天文学の知識を語ることができたら、賢治はどんな風に発想を膨らませ「銀河鉄道の夜」を自らの手で完結させたでしょうか。いろいろ想像が膨らみますね! ◎天リフ独断ピックアップ ■八ヶ岳星と自然のフェスタ(小海星フェス2024) 八ヶ岳星と自然のフェスタ(小海星フェス2024)https://www.hoshifeskoumi.com/ 「小海星フェス」が11月8日(金)〜9日(土)の日程で今年も開催されます。昨年同様、広いスキー場レストハウス「エーデルワイス」を使用した出展社エリア・屋内講習会・アストロカーに加えて、今年は天体望遠鏡で星を見てもらうための星空観望エリアや、星空案内・星空写真教室、会場を案内する「星フェスガイドツアー」など、より一般の方に楽しんでもらえるような企画が追加されます。 天文ファンの皆様におかれましては、ぜひ「一般の方を星空でもてなす」マインドでご参加いただけると嬉しいです。天文リフレクションズも運営ボランティアとして協力しています! ■NewsWatch 夜の教室に広がる宇宙(紹介●梅本真由美) 本誌2024年2月号にインタビュー記事が掲載された伊与原新さんの小説「宙わたる教室」がドラマ化。主演は窪田正孝さん。10月8日スタート、NHK総合・毎週火曜日22:00〜22:45です。原作にないオリジナルエピソードも3話分用意されているとのこと。天文ファンは必見! 「火星のクレーター」を教室に再現!ドラマ「宙わたる教室」が10月放送開始https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13717_sorawataru こちらは梅本真由美さんによる9月24日に開催された「宙わたる教室」の試写会・記者会見のレポートです。 ■ネットよ今夜もありがとう 今月はスターウルフさんの「自己流で始めた天体趣味、そのほか時々瀬戸内カヤック」。ブログタイトルにあるとおり、シーカヤックがご趣味でそのために使われていた双眼鏡を星空に向けてたら「星がいっぱい見えた」のが天文趣味にハマるきっかけとなったそうです。 自己流で始めた天体趣味、そのほか時々瀬戸内カヤックhttps://ameblo.jp/starwolfiwakuni/ スターウルフさんは「岡山アストロクラブ」のメンバーですが、入会されるまでは一人で「全て自我流」だったとのこと。「天文趣味の普及を妨げているのは、周りにこの趣味をする人がいないので教えてもらえないこと」というご指摘は正鵠を射ていますね。天リフも頑張ります! ■星ナビギャラリー 今月のトップ下は名古屋大学天体研究会の星さんによる「アルプスに流れ落ちる星の雫」。「山の天気は変わりやすい」ことを逆手にとって入笠山山頂で「流星が降り止まらない最高の星空を独り占め」されたそうです。いわゆる新星景的なスタック処理に流星を比較明合成した画像処理、広角14mmのパースペクティブを生かした構図も秀逸。 個人的イチオシは同じ見開きの大阪あすとろぐらふぃ〜迷人会の清末さんの「北斗七星とパラボラアンテナ」。リモート・長時間露光による淡物にどっぷり取り組んでいらっしゃる方ですが、星景写真でもさすが!ですね。 さらに、天リフのVSD90SSレビュー企画にエントリいただいた長谷川さん(hiroさん)も、ワンショットナローバンドの網状星雲が掲載されています。自宅でここまで撮れるのは素晴らしいですね! ■Deepな天体写真 ラッキーイメージング3 大量に撮影した画像を効率よく処理する(解説/山田  実) 光害地でも解像度の高い天体写真を撮影することができる「ラッキーイメージング」。連載第3回目は画像処理編。ラッキーイメージングでは、これまでの天体写真と比較して数桁多いフレーム数(1000〜10万)の露光を行う関係上、スタック処理ではできるだけ高速のマシン・ソフトを使う必要があります。本記事では筆者の山田さんの実体験をもとにした画像処理シーケンスを解説。 また、スタック後のフラット補正やノイズ処理、デコンボリューション処理についても、複数の処理ソフトの特徴と組み合わせ方について解説されていて、実戦的なヒントとなるでしょう。 光害地で星を撮るhttps://koropouman.blog.fc2.com/ こちらは記事を執筆された山田実さんのブログです。 ■東京大学木曽観測所50周年 105cmシュミットの半世紀(解説/川村 晶) 1974年開所の東京大学木曽観測所。現在でも世界最大クラスの口径105cmのシュミット望遠鏡を備えた観測施設ですが、今年10月で開所50周年を迎えるにあたり、半世紀の歩みを解説する6ページ。取材と解説は川村晶さんです。 木曽のシュミット望遠鏡は、元々は36cm角!の巨大な乾板(薄いガラス板に銀塩感光乳剤を塗布したもの)を使用する仕様でしたが、幾度もの変遷を経て、現在では84個ものCMOSセンサーを並べた「トモエゴゼン」が稼働しています。全天を動画で一晩に2回掃天可能な能力を持ち、広い範囲を高い時間分解能で観測することが可能になっています。 さらに、「銀河学校」「星の教室」など様々な教育活動にも注力。これからの木曽観測所の活動と成果に注目です。 https://reflexions.jp/tenref/orig/2017/11/24/2753/ こちらの記事は2017年に天リフ編集長が木曽観測所を見学したときのものです。 ■ホルスト生誕150年 組曲「惑星」作曲まで 太陽系が奏でる惑星のしらべ(解説/塚田 健) 天文ファンにもそれ以外にも人気の高いホルストの組曲「惑星」。2024年はホルスト生誕150周年。 ホルストの作曲家としての人生から、没後に作られた「冥王星」「ケレス」・冨田勲による「イトカワとはやぶさ」などの「様々な追加楽章、各楽章の音楽としての解説まで、平塚市博物館の塚田健さんが幅広く解説(*)。 (*)それにしても塚田健さんの博識ぶりには舌を巻きますね^^ 今年の秋〜冬は、ホルストの「惑星」を構成する7惑星全てが同一夜に見られるチャンスが2回あるそうです。「惑星」を聴きながら「惑星」を見るのはいかがでしょうか? まとめ いかがでしたか? ついに来たぜ、大彗星!紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3 )で大盛り上がりの天文界隈ですが、ぜひ10月12日からの後半戦に注目・そして実体験しましょう! 日出30分前のC/2024 S1の位置をシミュレートしてみた。当初言われていたよりは幾分観測しやすそうではある。あとは明るさがどうなるか。この手のサングレーザーは明るくなるのも急速なら暗くなるのも急速なので、観測に好適な時期は極めて短い。明るくなるといいのだが……。 pic.twitter.com/seBplqnEYc — HIROPON (@hiropon_hp2) October 1, 2024 さらに、池谷・関彗星(C/1965 S1)に軌道が類似した、ATLAS彗星(C/2024 S1)が10月28日に近日点を通過します。クロイツ群のサングレーザーのため明るく輝くのはごく短い期間ですが、最大で金星級(マイナス4等)との情報もあり(*)、こちらも期待です! (*)マイナス9等!という予測もあるようですが、、まだ初期段階なので話半分以下で^^;; そんな中でも毎日一度は天文リフレクションズ、毎月5日は天文雑誌!今月号も楽しみですね! 星ナビ11月号は「銀河鉄道の夜から100年」と「紫金山・アトラス彗星」https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13722_hoshinavi ※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。 天文ガイドも合わせて読みたいですね!!編集部発信のオリジナルコンテンツ