アストロアーツHPで星ナビ2024年9月号の内容が告知されています。発売は8月5日 月曜日です。

今月の内容は!?

「ペルセウス座流星群」の色鮮やかな姿にときめいてみませんか?「スマホで #天文なう」では、手持ちのスマートフォンを活用して星空生活を充実させる方法を紹介。

星ナビ9月号は「華麗なるペルセ群流星」と「スマホで #天文なう」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13657_hoshinavi

■表紙

今回の表紙は蒔田 剛さん撮影の「NGC4945」(星ナビギャラリー応募作品)。南天を代表する大型銀河・NGC4945をオーストラリア・リモート天文台から撮影した作品です。銀河の構造が鮮明に捉えられています。

今月の表紙は、オーストラリア・サイディングスプリングのリモート天文台サービスを利用したNGC4945銀河。口径なんと50cmのPlanewave CDK50で撮影、総露光は4時間弱。

リモート天文台には、利用者が自前で準備した機材を設置するためのスペースを提供するいわゆる「ピラー貸し」と、リモート天文台サービスが準備した機材を「時間貸し」する形態の大きく2つがありますが、こちらは「時間貸し」によるものです。時間当たりの単価は割高になるものの、機材の準備の手間が不要で使用したい機材を都度選べ、個人ではそう簡単に買えないような超弩級機材を利用できるのが魅力。今後、時間貸しサービスの利用も広がっていくことでしょう。



■ビデオで色鮮やかな姿を記録 華麗なるペルセ群流星 (解説・撮影/杉本 智)

8月のペルセウス流星群は出現数が多いばかりでなく明るい流星が多く、長時間の痕を残す火球の出現もあって最も楽しめる流星群と言えます。なぜ明るい流星が多い?なぜ痕を残すのか?など、動画に撮影して流星の特徴を調べてみましょう。

ペルセウス座流星群の明るい流星の、美しい緑色の痕と激しい光度変化。そのメカニズムについてディープに堀り下げた記事です。天リフ編集長も10年来流星の動画を撮り続けてきましたが、本記事は目からウロコの新事実・新知識ばかりでした。解説と撮影は60年近く流星を追い続けてきた杉本智さんです。

流星を動画で撮影と、スチルで撮影するのとは、まったく違う姿が見えてきます。高度によって様相が異なる大気がその鍵。緑色の発光は酸素原子、オレンジ色の発光は窒素原子の発光ですが、高度100kmを境に酸素と窒素の比率が大きく変わるのだそうです。ぜひ本誌でその詳細をじっくりお読みください!

杉本さんが撮影された動画を含む解説動画。動画で捉えた美しい流星の姿をぜひごらんください!

こちらは天リフがSONY α7Sで撮影した流星動画からの切り出し。高感度の動画カメラをお持ちの方はチャレンジされてみてはいかがでしょうか。焦点距離は長め(35〜50mm)が推奨です。

■星空記録・共有・カジュアル撮影 スマホで #天文なう (解説/山口千宗)

現代人の必須アイテム・スマートフォンはカジュアルな星空・天体撮影や、天文生活の記録・共有にも使うことができます。今回は一般的なシェア率が高く、カメラの性能も向上しているiPhoneにフォーカス。おすすめのアプリや使いこなし方法を紹介しながら、星空生活を充実させる方法を考えていきます。

先月の「スマホで天体写真」「スマホで星景写真」に続き、今月は「スマホで#天文なう(*)」。執筆は不肖・天リフ編集長です^^。

(*)「#天文なう」とは、天文趣味(天文ライフ)を「楽しんでいるさま」をネットでシェアしようという、天リフ開設以来提唱してきたのコンセプトです。星ナビ誌で取り上げていただき感無量であります^^

本記事では、スマホを「カジュアルに星空と天文ライフを記録するツール」として、どんな活用が可能なのかを解説。同時に、星空適性においてはAndorid機に若干?負けるiPhoneの特性についても、ガチめに実写検証しています。

天リフ編集長は昨年11月にiPhoneの最上位機「iPhone15 Pro Max」を導入したのですが(*)、正直いって大いに満足しています。このカメラがあれば、天文ライフのあらゆるシーンをとりあえず「記録」することが可能。皆様もお手持ちのスマホを活用して、天文ライフを充実させてくださいね!

(*)実は不注意で全損させてしまい現在は2代目。先代の「遺影」も掲載されていますので、ご笑覧ください^^;

■Deepな天体写真  短時間露光×大量スタック「ラッキーイメージング」 (解説/山田 実)

シーイングが悪い日本で惑星を鮮明に撮影する方法として、動画で撮影して揺れが止まっている良質な画像のみをスタックするという手法が用いられています。星雲・星団の撮影でも、短時間露光を繰り返し良像のみを大量にスタックする「ラッキーイメージング」という手法が試みられています。3回シリーズの初回はその原理を解説します。

天体写真の最大の敵は「大気」の存在。大気のゆらぎによって天体のディテールがぼやけてしまうのです。惑星や月のような明るい天体に対しては、大気のゆらぎを受けにくい短い露光時間で大量に撮影し、良像のみを取り出してスタックする手法がすでに一般化していますが、その考え方をディープスカイ天体に応用したのが「ラッキーイメージング」です。

本記事ではラッキーイメージングで大きな成果を出されている山田実さんによる三回にわたる連載の第一回。ラッキーイメージングの原理の解説と、その効果を実写画像で詳細に検証。「1フレーム0.5秒露光」で暗い天体がほんとうに写せるのか?という疑問に対しては、本記事をごらんになれば「なるほど!」と納得されることでしょう。

光害地で星を撮る
https://koropouman.blog.fc2.com/

こちらは記事を執筆された山田実さんのブログです。

◎天リフ独断ピックアップ

広告ピックアップ・天体撮影サービスモニター利用募集(株式会社リコー )

株式会社リコーが新規事業として取り組んでいる「天体撮影サービスプロジェクト」。表紙画像で触れたように「時間貸し」のリモート天文台サービスは現在ではかなり一般化していますが、リコーが進めているものは日本人でもとっつきやすい「日本語によるサービス」。本広告は、その「サービスモニター」の利用募集。

モニターとはいえ「有料」。価格は記載されていませんが「有用性評価のための調査」ですから、手の届かない価格にはならないと推測。募集人数は30名。リモート撮影にチャレンジしてみたい方にとっては、検討する価値があるかもしれませんね!

リコーの「天体撮影サービスプロジェクト」は、6月に姫路で開催された「CANP2024」でもプレゼンテーションされています。

■水素の赤い輝線が写る最強星撮りカメラ (解説・作例:北山輝泰)

先月のサプライズ。突如?発表されたOMデジタルの新製品「E-M1 MarkIII ASTRO」。分光特性はいわゆる天体改造とほぼ同等(*1)。カラーバランスは赤に転ぶので一般撮影には推奨されませんが、赤い星雲の写りは最高クラスです。さらに、天体撮影に適したOMデジタルの秘密兵器「手持ちハイレゾショット(*2)」を使えばカメラ内でのスタック処理が実現、リアタイプの光害カットフィルターとソフトフィルターも付属し「ディープに星空を撮る」人向け。

(*1)分光波長特性グラフは公開されていませんが「SII(672nm)までカバー」と謳われています。



(*2)センサーをピクセルレベルでシフトして複数枚の画像を連写し、センサー画素よりも高精細な画像を得ることができる「ハイレゾショット」と呼ばれる機能がまず存在しました。「手持ちハイレゾショット」はその「進化版」の位置づけです。ハイレゾショットでは三脚にカメラを固定して撮影する必要がありましたが、「手持ちハイレゾショット」では画像をカメラ内で「位置合わせ」処理することで、三脚に固定しなくても手持ちで撮影することが可能になりました。この機能を使用し三脚に固定して星空を撮影すると、16コマの連写画像が日周運動を補正した形で加算平均されることになり、より高解像・低ノイズのリザルトが得られます。機能を説明するのにこんなにも長い補足が必要なのですが、手持ちハイレゾショットはスマホカメラのナイトモードにも匹敵する星空撮影のキラー機能だといえます。

 

ニコンのD810AやキャノンのEOS Raなどのメーカー純正天体モデルが終売になる中、本カメラは今現在新品で買える唯一の天体モデル。上記動画では天リフ編集長が一眼カメラのアストロモデルについて解説・提案しています。こちらもご興味があればどうぞ!

■ネットよ今夜もありがとう

今月はNRさんの月夜見命(つくよみのみこと)。「つくよみのみこと」とは『古事記』『日本書紀』に登場する月の神様のことです。天リフ編集長は初見でしたが、岡山アストロクラブに所属されている方のようです。

月夜読命
http://tsukuyominomikoto.seesaa.net/

ブログを拝見すると、最新のエントリはキス釣りと山菜(ホタルブクロ)のお話で思わず垂涎^^ 読みやすい文章と季節感のある画像で、天文だけでなく様々な分野を広く楽しまれている人生の達人とお見受けしました。天文活動はスペクトルや変光星など観測記事が豊富ですが、最近では電視観望が多いそうです。

■星ナビギャラリー

今月のトップ下は神野山天文同好会・新川さんの「M27(亜鈴状星雲)」、またも「星ナビ史上初」。そこそこ大口径の25cmF5.5のニュートン反射による撮影ですが、総露光時間はなんと「わずか」4時間40分。一桁違うんじゃないの?と思ってしまう写りにビックリです。

個人的イチオシも新川さんの「M27(亜鈴状星雲)」。5時間露光でも「星ナビ史上初」が狙えるというのは大きな励みです。ナローバンド撮影はモノクロカメラが有利という先入観がありましたが、ベイヤーセンサーによるデュアルナローバンド撮影は、特にOIII成分の多い天体は不利が少ないのでしょう。

■プラネ100周年で留学「大学院生ドイツへ行く」(レポート/松井瀬奈)

ドイツのプラネタリウムに「留学」中の大学院生・松井さん。前例のないプラネタリウム留学はどのように始まったのでしょうか。滞在先のドイツのプラネタリウムには驚きと発見が待っていました。

プラネタリウム解説者を目指す大学院生、松井瀬奈(@321_Messier79)さんは、現在ドイツのルール大学・ボーフム校に滞在中。瀬奈さんがその熱い思いと前例のない「プラネタリム留学」に至ったプロセス、ドイツのプラネタリウム事情と日本との違いを語る6ページ。

note Sena MATSUI@ドイツ留学中
https://note.com/senamatsui/n/n34120a0efc8a

わたしはこの”プラネタリウム留学”を通して、
・プラネタリウムの中で日本にない文化を取り入れられる人材になること
日本のプラネタリウムならではの良さを世界に発信すること
国際的に活躍できるプラネタリウム解説者、そして宇宙物理学の研究者になること
を目指しています。
https://note.com/senamatsui/n/n34120a0efc8a

瀬奈さんの思いは上記noteからも読むことができますので、ぜひこちらもあわせてどうぞ!

プラネタリウムを見に行こう!プラネタリウムの探し方とこれだけは知っておきたい予備知識

こちらは天リフ記事「プラネタリムを見に行こう!」。日本は世界で二番目にプラネタリウムの設置数が多い国です。瀬奈さんを応援したいという気持ちになった方は、ぜひお近くのプラネタリウムを見に行きましょう!

■歴史に刻まれた大彗星たち(前編) 特異な姿に踊らされる人々 (解説/塚田 健)

今年は「彗星の年」。春にはポン・ブルックス彗星(12P)が比較的立派な姿を見せ、9月から10月にかけては紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)が明るくなると予想されています。その前に文献や資料に残るほど注目された彗星たちを紹介していきます。

「いつかは大彗星」。我々のような天文ファンは大彗星の到来を今か今かと待ちわびていますが、有史以降の人類の歴史の中では「凶兆」として捉えられることがほとんどでした。古今東西の史料を紐解きながら、過去の大彗星とその時の歴史背景・人々のとらえ方を振り返る6ページ。執筆は平塚市博物館の塚田健さんです。

それらの彗星の中で突出しているのはなんといってもハレー彗星(1P)。前回の回帰(1986年)は「過去2000年間で最悪の条件」だったため、現世代の印象は「微妙」なのですが、彗星本体が大きな(*)ハレー彗星はやはり彗星界の大物。

(*)それでも核の直径は10kmほどしかありません。ちなみにヘール・ボップ彗星の核の直径は60km、こちらは「超大物」ですね。

ところで、ハレー彗星の回帰をステラナビゲータで再現するのはなかなか楽しいですよ。特に地球に0.0334天文単位(*)にまで接近した837年の回帰は必見です。

(*)1995年の百武彗星は、最接近時の地心距離は0.1天文単位、核の直径は2.5km。百武彗星を4倍大きくして1/3の距離に置いたことになりますので、いかに明るく大きかったかが想像できるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

今月号は拙稿を含め(自分で言うのも何ですが^^;;)、様々な分野の興味深い記事が多数でとても読み応えがありました。ぜひ書店で・ネット通販で・電子書籍で・図書館で・天文ショップでお手に取って本誌をお読みください!

そんな中でも毎日一度は天文リフレクションズ、毎月5日は天文雑誌!今月号も楽しみですね!

星ナビ9月号は「華麗なるペルセ群流星」と「スマホで #天文なう」
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13657_hoshinavi

※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。

天文ガイドも合わせて読みたいですね!! https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2024/07/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-4-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2024/07/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-4-150x150.jpg編集部雑誌・書籍未分類星ナビアストロアーツHPで星ナビ2024年9月号の内容が告知されています。発売は8月5日 月曜日です。 今月の内容は!? 「ペルセウス座流星群」の色鮮やかな姿にときめいてみませんか?「スマホで #天文なう」では、手持ちのスマートフォンを活用して星空生活を充実させる方法を紹介。 星ナビ9月号は「華麗なるペルセ群流星」と「スマホで #天文なう」https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13657_hoshinavi ■表紙 今月の表紙は、オーストラリア・サイディングスプリングのリモート天文台サービスを利用したNGC4945銀河。口径なんと50cmのPlanewave CDK50で撮影、総露光は4時間弱。 リモート天文台には、利用者が自前で準備した機材を設置するためのスペースを提供するいわゆる「ピラー貸し」と、リモート天文台サービスが準備した機材を「時間貸し」する形態の大きく2つがありますが、こちらは「時間貸し」によるものです。時間当たりの単価は割高になるものの、機材の準備の手間が不要で使用したい機材を都度選べ、個人ではそう簡単に買えないような超弩級機材を利用できるのが魅力。今後、時間貸しサービスの利用も広がっていくことでしょう。 ■ビデオで色鮮やかな姿を記録 華麗なるペルセ群流星 (解説・撮影/杉本 智) ペルセウス座流星群の明るい流星の、美しい緑色の痕と激しい光度変化。そのメカニズムについてディープに堀り下げた記事です。天リフ編集長も10年来流星の動画を撮り続けてきましたが、本記事は目からウロコの新事実・新知識ばかりでした。解説と撮影は60年近く流星を追い続けてきた杉本智さんです。 流星を動画で撮影と、スチルで撮影するのとは、まったく違う姿が見えてきます。高度によって様相が異なる大気がその鍵。緑色の発光は酸素原子、オレンジ色の発光は窒素原子の発光ですが、高度100kmを境に酸素と窒素の比率が大きく変わるのだそうです。ぜひ本誌でその詳細をじっくりお読みください! 杉本さんが撮影された動画を含む解説動画。動画で捉えた美しい流星の姿をぜひごらんください! 【編集長今日の一枚】2017年8月11日、ペルセウス座流星群の連続写真、動画撮影から切り出し。明るい流星は高層の酸素原子による発光で緑色の尾(痕)を引きます。このメカニズムは5日発売の星ナビ9月号で、杉本智さんが詳しく解説されています。 pic.twitter.com/Rb5qo1Z1Qb — 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) July 31, 2024 こちらは天リフがSONY α7Sで撮影した流星動画からの切り出し。高感度の動画カメラをお持ちの方はチャレンジされてみてはいかがでしょうか。焦点距離は長め(35〜50mm)が推奨です。 ■星空記録・共有・カジュアル撮影 スマホで #天文なう (解説/山口千宗) 先月の「スマホで天体写真」「スマホで星景写真」に続き、今月は「スマホで#天文なう(*)」。執筆は不肖・天リフ編集長です^^。 (*)「#天文なう」とは、天文趣味(天文ライフ)を「楽しんでいるさま」をネットでシェアしようという、天リフ開設以来提唱してきたのコンセプトです。星ナビ誌で取り上げていただき感無量であります^^ 本記事では、スマホを「カジュアルに星空と天文ライフを記録するツール」として、どんな活用が可能なのかを解説。同時に、星空適性においてはAndorid機に若干?負けるiPhoneの特性についても、ガチめに実写検証しています。 天リフ編集長は昨年11月にiPhoneの最上位機「iPhone15 Pro Max」を導入したのですが(*)、正直いって大いに満足しています。このカメラがあれば、天文ライフのあらゆるシーンをとりあえず「記録」することが可能。皆様もお手持ちのスマホを活用して、天文ライフを充実させてくださいね! (*)実は不注意で全損させてしまい現在は2代目。先代の「遺影」も掲載されていますので、ご笑覧ください^^; ■Deepな天体写真  短時間露光×大量スタック「ラッキーイメージング」 (解説/山田 実) 天体写真の最大の敵は「大気」の存在。大気のゆらぎによって天体のディテールがぼやけてしまうのです。惑星や月のような明るい天体に対しては、大気のゆらぎを受けにくい短い露光時間で大量に撮影し、良像のみを取り出してスタックする手法がすでに一般化していますが、その考え方をディープスカイ天体に応用したのが「ラッキーイメージング」です。 本記事ではラッキーイメージングで大きな成果を出されている山田実さんによる三回にわたる連載の第一回。ラッキーイメージングの原理の解説と、その効果を実写画像で詳細に検証。「1フレーム0.5秒露光」で暗い天体がほんとうに写せるのか?という疑問に対しては、本記事をごらんになれば「なるほど!」と納得されることでしょう。 光害地で星を撮るhttps://koropouman.blog.fc2.com/ こちらは記事を執筆された山田実さんのブログです。 ◎天リフ独断ピックアップ ■広告ピックアップ・天体撮影サービスモニター利用募集(株式会社リコー ) 株式会社リコーが新規事業として取り組んでいる「天体撮影サービスプロジェクト」。表紙画像で触れたように「時間貸し」のリモート天文台サービスは現在ではかなり一般化していますが、リコーが進めているものは日本人でもとっつきやすい「日本語によるサービス」。本広告は、その「サービスモニター」の利用募集。 モニターとはいえ「有料」。価格は記載されていませんが「有用性評価のための調査」ですから、手の届かない価格にはならないと推測。募集人数は30名。リモート撮影にチャレンジしてみたい方にとっては、検討する価値があるかもしれませんね! 自分の仕事で、好きを引き寄せる武田さんのこだわり#CANP2024 pic.twitter.com/JIp6XBc7Z7 — 宙ねこ (@sora5tm) June 30, 2024 リコーの「天体撮影サービスプロジェクト」は、6月に姫路で開催された「CANP2024」でもプレゼンテーションされています。 ■水素の赤い輝線が写る最強星撮りカメラ (解説・作例:北山輝泰) 先月のサプライズ。突如?発表されたOMデジタルの新製品「E-M1 MarkIII ASTRO」。分光特性はいわゆる天体改造とほぼ同等(*1)。カラーバランスは赤に転ぶので一般撮影には推奨されませんが、赤い星雲の写りは最高クラスです。さらに、天体撮影に適したOMデジタルの秘密兵器「手持ちハイレゾショット(*2)」を使えばカメラ内でのスタック処理が実現、リアタイプの光害カットフィルターとソフトフィルターも付属し「ディープに星空を撮る」人向け。 (*1)分光波長特性グラフは公開されていませんが「SII(672nm)までカバー」と謳われています。 (*2)センサーをピクセルレベルでシフトして複数枚の画像を連写し、センサー画素よりも高精細な画像を得ることができる「ハイレゾショット」と呼ばれる機能がまず存在しました。「手持ちハイレゾショット」はその「進化版」の位置づけです。ハイレゾショットでは三脚にカメラを固定して撮影する必要がありましたが、「手持ちハイレゾショット」では画像をカメラ内で「位置合わせ」処理することで、三脚に固定しなくても手持ちで撮影することが可能になりました。この機能を使用し三脚に固定して星空を撮影すると、16コマの連写画像が日周運動を補正した形で加算平均されることになり、より高解像・低ノイズのリザルトが得られます。機能を説明するのにこんなにも長い補足が必要なのですが、手持ちハイレゾショットはスマホカメラのナイトモードにも匹敵する星空撮影のキラー機能だといえます。   ニコンのD810AやキャノンのEOS Raなどのメーカー純正天体モデルが終売になる中、本カメラは今現在新品で買える唯一の天体モデル。上記動画では天リフ編集長が一眼カメラのアストロモデルについて解説・提案しています。こちらもご興味があればどうぞ! ■ネットよ今夜もありがとう 今月はNRさんの月夜見命(つくよみのみこと)。「つくよみのみこと」とは『古事記』『日本書紀』に登場する月の神様のことです。天リフ編集長は初見でしたが、岡山アストロクラブに所属されている方のようです。 月夜読命http://tsukuyominomikoto.seesaa.net/ ブログを拝見すると、最新のエントリはキス釣りと山菜(ホタルブクロ)のお話で思わず垂涎^^ 読みやすい文章と季節感のある画像で、天文だけでなく様々な分野を広く楽しまれている人生の達人とお見受けしました。天文活動はスペクトルや変光星など観測記事が豊富ですが、最近では電視観望が多いそうです。 ■星ナビギャラリー 今月のトップ下は神野山天文同好会・新川さんの「M27(亜鈴状星雲)」、またも「星ナビ史上初」。そこそこ大口径の25cmF5.5のニュートン反射による撮影ですが、総露光時間はなんと「わずか」4時間40分。一桁違うんじゃないの?と思ってしまう写りにビックリです。 個人的イチオシも新川さんの「M27(亜鈴状星雲)」。5時間露光でも「星ナビ史上初」が狙えるというのは大きな励みです。ナローバンド撮影はモノクロカメラが有利という先入観がありましたが、ベイヤーセンサーによるデュアルナローバンド撮影は、特にOIII成分の多い天体は不利が少ないのでしょう。 ■プラネ100周年で留学「大学院生ドイツへ行く」(レポート/松井瀬奈) プラネタリウム解説者を目指す大学院生、松井瀬奈(@321_Messier79)さんは、現在ドイツのルール大学・ボーフム校に滞在中。瀬奈さんがその熱い思いと前例のない「プラネタリム留学」に至ったプロセス、ドイツのプラネタリウム事情と日本との違いを語る6ページ。 note Sena MATSUI@ドイツ留学中https://note.com/senamatsui/n/n34120a0efc8a わたしはこの'プラネタリウム留学'を通して、・プラネタリウムの中で日本にない文化を取り入れられる人材になること・日本のプラネタリウムならではの良さを世界に発信すること・国際的に活躍できるプラネタリウム解説者、そして宇宙物理学の研究者になることを目指しています。https://note.com/senamatsui/n/n34120a0efc8a 瀬奈さんの思いは上記noteからも読むことができますので、ぜひこちらもあわせてどうぞ! https://reflexions.jp/tenref/navi/enjoy/goout/9972/ こちらは天リフ記事「プラネタリムを見に行こう!」。日本は世界で二番目にプラネタリウムの設置数が多い国です。瀬奈さんを応援したいという気持ちになった方は、ぜひお近くのプラネタリウムを見に行きましょう! ■歴史に刻まれた大彗星たち(前編) 特異な姿に踊らされる人々 (解説/塚田 健) 「いつかは大彗星」。我々のような天文ファンは大彗星の到来を今か今かと待ちわびていますが、有史以降の人類の歴史の中では「凶兆」として捉えられることがほとんどでした。古今東西の史料を紐解きながら、過去の大彗星とその時の歴史背景・人々のとらえ方を振り返る6ページ。執筆は平塚市博物館の塚田健さんです。 それらの彗星の中で突出しているのはなんといってもハレー彗星(1P)。前回の回帰(1986年)は「過去2000年間で最悪の条件」だったため、現世代の印象は「微妙」なのですが、彗星本体が大きな(*)ハレー彗星はやはり彗星界の大物。 (*)それでも核の直径は10kmほどしかありません。ちなみにヘール・ボップ彗星の核の直径は60km、こちらは「超大物」ですね。 ところで、ハレー彗星の回帰をステラナビゲータで再現するのはなかなか楽しいですよ。特に地球に0.0334天文単位(*)にまで接近した837年の回帰は必見です。 (*)1995年の百武彗星は、最接近時の地心距離は0.1天文単位、核の直径は2.5km。百武彗星を4倍大きくして1/3の距離に置いたことになりますので、いかに明るく大きかったかが想像できるでしょう。 まとめ いかがでしたか? 今月号は拙稿を含め(自分で言うのも何ですが^^;;)、様々な分野の興味深い記事が多数でとても読み応えがありました。ぜひ書店で・ネット通販で・電子書籍で・図書館で・天文ショップでお手に取って本誌をお読みください! そんな中でも毎日一度は天文リフレクションズ、毎月5日は天文雑誌!今月号も楽しみですね! 星ナビ9月号は「華麗なるペルセ群流星」と「スマホで #天文なう」https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/13657_hoshinavi ※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。 天文ガイドも合わせて読みたいですね!!編集部発信のオリジナルコンテンツ