写真投稿・交流サイトのGANREFで、pashaさんが「リアル星景」という記事をアップされています。

あの時見たものを忘れないうちに、実際の星空を再現してみる。
これを勝手に「リアル星景」と私は呼ぶことにした。

GANREF pashaさんのページ・リアル星景
https://ganref.jp/m/pasha_m/reviews_and_diaries/diary/38705

「実際に見たもの」と「カメラが記録したもの」は違う

https://ganref.jp/m/pasha_m/reviews_and_diaries/diary/38705

名もなき丘から、北斗七星の下方通過を望む。
これは「作品」として仕上げたものだが、実際にこんな風に見えたわけではない。

満天の星の下、カメラを向けて十数秒間露出する。シャッターが閉じると液晶モニタに素晴らしい星空が浮かび上がってくる。星空撮影の醍醐味ともいえる瞬間ですが、モニタに浮かび上がった星空は貴方が今そこで見た星空そのものでしたか?

初めて星空にカメラを向けた時、カメラが映し出す無数の星々に感動されたことでしょう。でも、眼で見た以上に、はるかに星の数は多くなかったですか?天の川は濃くなかったですか?星も風景も色鮮やかではなかったですか?

「すごく良く写っている!」そんな感動が、ある事実をひっそりと覆い隠してしまいます。カメラが写しだした映像は、今自分の眼で見た星空と、大きくかけ離れていたことを・・・

https://ganref.jp/m/pasha_m/reviews_and_diaries/diary/38705

「作品」を作っているうちに、実際の光景がどんな感じだったか自分でも忘れてしまう。

上の画像は、pashaさんが「自分がその場で見た印象」を再現されたものです。星空も風景もごく暗く、ほとんど色のない世界。

星空の写真を含めて、デジタルカメラによる「写真作品作り」は、レタッチという「後工程」なしでは、ほぼ成り立たないくらいになってきています。レタッチによって、星空の写真はどんどん「見た印象」から離れていきます。

星の写真を現像する時に、見た印象から逸脱しないようにやった方が良い、というのは嘘です。
光を溜めている時点で自分が見た光景とは別物ですから。
でも想像以上の画が出来上がる、それが星の写真の醍醐味でもあります。

ごく弱い星の光であっても、長時間露出することでカメラは光を蓄積することができます。一方で、人間の眼はその瞬間の短い時間の光しかとらえられない上に、暗所では色の検知能力も解像度も大幅に低下していまいます。

リアル星景と私が勝手に名付けた試みは、たぶん誰もやっていないでしょう。
アンチテーゼとしてやってみたら、少し面白くなってきました。

おそらくpashaさんは、自在すぎるほどの写真の後処理からいったん離れるために、肉眼の印象を忠実に再現する試みを始められたのでしょう。そしてやってみると「少し面白い」。画像加工技術としての面白さもありますが、その本質は「自分が何を見ていたのか、そして何を見ていなかったのか(*)」が明らかになることではないでしょうか。

(*)自分に照らして考えてみると、そこにある星を見ていたのではなく、主にモニタに映る画像を見ていたのかもしれません。

「実際に見たもの」を再現するには

【リアル星景 作り方のコツ】

①きちんと適正露出で撮影する。
②RAW現像の際に明度と彩度は大きく落とすが、黒潰れはさせない。
③肉眼で見えない微光星は消す。
④逆に輝星は強調する。

pashaさんの処理レシピ。こらら①〜④の全てが、人間の眼の特性に基づいたものになっています。

①は露出不足による「荒れ」は肉眼の印象には存在しないノイズだから。②星空は人間の眼は暗くにしか見えないけど、そんなシャドウの中に豊かな階調がある。③と④は人間の眼は暗い星に対しては解像力が低くなり背景に埋もれて見えなくなる一方で、明るい星の光芒がぼやけて大きくなるため。

実は筆者もつい最近「実際に見た印象の再現」にトライし始めたところでもあり、大いに参考になります。2つ加えるとすると、星雲や天の川などの星以外の天体はガウスぼかしをかけてディテールを消してしまうとより肉眼の印象に近づきます。赤い星雲も肉眼ではほとんど見えないので、RチャンネルはBなりGなりで置き換えてしまってもいいかもしれません。

まとめ

所詮、星の写真なんて上手な嘘。
光を溜めている時点で、目で見た光景とは違う。
ナチュラル仕上げとか、派手な仕上げとか、それは程度の差でしかない。

いかがでしたか?

「限りなく盛れる」。写真の後処理にはそんな批判もありますが、いざ肉眼の印象を忠実に再現してみると、なんと「星の写真って撮って出しの時点でもう盛ってるじゃないの」。「自然かどうか」にこだわるなら、まずは「肉眼の印象」に立ち返ることも重要ではないでしょうか。

過度な強調に対して感じる「違和感」は、いったい何に対する違和感なのか、どんな理由の違和感なのか。#リアル星景 の映像には、そんな私たちの感性と審美眼をゆさぶる何かがありそうです。

 

https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2022/08/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1024x682.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2022/08/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-150x150.jpg編集部特選ピックアップリアル星景写真投稿・交流サイトのGANREFで、pashaさんが「リアル星景」という記事をアップされています。 あの時見たものを忘れないうちに、実際の星空を再現してみる。 これを勝手に「リアル星景」と私は呼ぶことにした。 GANREF pashaさんのページ・リアル星景 https://ganref.jp/m/pasha_m/reviews_and_diaries/diary/38705 「実際に見たもの」と「カメラが記録したもの」は違う 名もなき丘から、北斗七星の下方通過を望む。 これは「作品」として仕上げたものだが、実際にこんな風に見えたわけではない。 満天の星の下、カメラを向けて十数秒間露出する。シャッターが閉じると液晶モニタに素晴らしい星空が浮かび上がってくる。星空撮影の醍醐味ともいえる瞬間ですが、モニタに浮かび上がった星空は貴方が今そこで見た星空そのものでしたか? 初めて星空にカメラを向けた時、カメラが映し出す無数の星々に感動されたことでしょう。でも、眼で見た以上に、はるかに星の数は多くなかったですか?天の川は濃くなかったですか?星も風景も色鮮やかではなかったですか? 「すごく良く写っている!」そんな感動が、ある事実をひっそりと覆い隠してしまいます。カメラが写しだした映像は、今自分の眼で見た星空と、大きくかけ離れていたことを・・・ 「作品」を作っているうちに、実際の光景がどんな感じだったか自分でも忘れてしまう。 上の画像は、pashaさんが「自分がその場で見た印象」を再現されたものです。星空も風景もごく暗く、ほとんど色のない世界。 星空の写真を含めて、デジタルカメラによる「写真作品作り」は、レタッチという「後工程」なしでは、ほぼ成り立たないくらいになってきています。レタッチによって、星空の写真はどんどん「見た印象」から離れていきます。 星の写真を現像する時に、見た印象から逸脱しないようにやった方が良い、というのは嘘です。 光を溜めている時点で自分が見た光景とは別物ですから。 でも想像以上の画が出来上がる、それが星の写真の醍醐味でもあります。 ごく弱い星の光であっても、長時間露出することでカメラは光を蓄積することができます。一方で、人間の眼はその瞬間の短い時間の光しかとらえられない上に、暗所では色の検知能力も解像度も大幅に低下していまいます。 リアル星景と私が勝手に名付けた試みは、たぶん誰もやっていないでしょう。 アンチテーゼとしてやってみたら、少し面白くなってきました。 おそらくpashaさんは、自在すぎるほどの写真の後処理からいったん離れるために、肉眼の印象を忠実に再現する試みを始められたのでしょう。そしてやってみると「少し面白い」。画像加工技術としての面白さもありますが、その本質は「自分が何を見ていたのか、そして何を見ていなかったのか(*)」が明らかになることではないでしょうか。 (*)自分に照らして考えてみると、そこにある星を見ていたのではなく、主にモニタに映る画像を見ていたのかもしれません。 「実際に見たもの」を再現するには 【リアル星景 作り方のコツ】 ①きちんと適正露出で撮影する。 ②RAW現像の際に明度と彩度は大きく落とすが、黒潰れはさせない。 ③肉眼で見えない微光星は消す。 ④逆に輝星は強調する。 pashaさんの処理レシピ。こらら①〜④の全てが、人間の眼の特性に基づいたものになっています。 ①は露出不足による「荒れ」は肉眼の印象には存在しないノイズだから。②星空は人間の眼は暗くにしか見えないけど、そんなシャドウの中に豊かな階調がある。③と④は人間の眼は暗い星に対しては解像力が低くなり背景に埋もれて見えなくなる一方で、明るい星の光芒がぼやけて大きくなるため。 実は筆者もつい最近「実際に見た印象の再現」にトライし始めたところでもあり、大いに参考になります。2つ加えるとすると、星雲や天の川などの星以外の天体はガウスぼかしをかけてディテールを消してしまうとより肉眼の印象に近づきます。赤い星雲も肉眼ではほとんど見えないので、RチャンネルはBなりGなりで置き換えてしまってもいいかもしれません。 まとめ 所詮、星の写真なんて上手な嘘。 光を溜めている時点で、目で見た光景とは違う。 ナチュラル仕上げとか、派手な仕上げとか、それは程度の差でしかない。 いかがでしたか? 「限りなく盛れる」。写真の後処理にはそんな批判もありますが、いざ肉眼の印象を忠実に再現してみると、なんと「星の写真って撮って出しの時点でもう盛ってるじゃないの」。「自然かどうか」にこだわるなら、まずは「肉眼の印象」に立ち返ることも重要ではないでしょうか。 過度な強調に対して感じる「違和感」は、いったい何に対する違和感なのか、どんな理由の違和感なのか。#リアル星景 の映像には、そんな私たちの感性と審美眼をゆさぶる何かがありそうです。  編集部発信のオリジナルコンテンツ