アストロアーツHPで、星ナビ2021年2月号の内容が告知されています。発売は1月5日火曜日です。

今月の内容は!?

2021年も「星ナビ」を読んで夜空を見上げましょう。2月号は天文学・神話・撮影でオリオン座に迫る「オリオン座祭り」です。

星ナビ2月号は「オリオン座祭り」と「SONY α7SIII」
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11785_hoshinavi

■表紙

荒井俊也さんによる「M42とM43 オリオン大星雲核心部」です。冬の王者オリオン大星雲の中心部をクローズアップで狙っています。

 

表紙は荒井俊也さんによるオリオン大星雲。自ら開発したソフト「FlatAidPro」を使用することで、極端な輝度差のある中心部のトラペジウム付近の階調もしっかり表現されています。

古くから多くの人がカメラを向けるオリオン大星雲ですが、今の時代の一つの完成形ともいえる傑作です。新しい技術と工夫で、この姿が将来どう変わっていくかを想像するのも、天体写真の楽しみのひとつかもしれません。



■星雲の宝石箱 オリオンに迫る(解説/塚越 崇)

夜空に美しく輝く「星雲」は天体撮影ファンの間でも人気の天体です。そんな「星雲」がどのように生まれ、どのように輝いているのか知っていますか。M42、馬頭星雲などを有するオリオン座の星雲の面白さを天文学者が紹介します。

そんな「オリオンの星雲」に対する最新の天文学が教える知識をまとめた特集。「反射星雲」「輝線星雲」「暗黒星雲」という3種類の星雲の違いという、可視光線でも見える星雲の「基本」から、赤外線・電波による観測で分かってきた「原始惑星系円盤」や「原始星の形成」のメカニズムまで、さまざまな星雲の謎に迫ります。

「オリオンの星雲」には、それでもまだまだ多くの謎があり、技術が日々アップデートされる中、多くの研究者が「新しい世界」を明らかにすることにチャレンジしています。オリオン座の星雲たちの姿が将来どう解明されていくのかにも、わくわくするものがありますね!

■エーゲ海の風 第18回 冴えない神話のオリオン座ミステリー(解説/早水 勉)

星座の代名詞ともいえるオリオン座。最古の星座解説書といわれる『ファイノメナ』にも記されるほど古い星座ですが、彼の神話は冴えないものばかり。オリオンの英雄らしからぬ地味な神話はどのように生まれたのでしょうか。

名実ともに、冬の・いや全天の王者ともいえるオリオン座。その「オリオン」という存在はどのように人間世界の中で生まれ、神話として語り継がれてきたのでしょうか。この記事ではオリオンにまつわる神話には、「実に様々な伝承が存在」することをつぶさに検証し、その上でオリオン神話は「地域的な民話」の集合体であるという、近代神話学者の推測が紹介されています。

そのオリオン神話の多くは「英雄らしからぬ」「冴えない」もの。その理由として、時代とともに「英雄としてのオリオン神話」は「ヘルクレス神話」に引き継がれてしまい、「英雄にふさわしくない」伝承のみが残った、という説があるそうです。

個人的にはヘルクレス座はでかいだけであまり冴えない気がするのですが^^;; 誰の目にもナンバーワンに見える英雄オリオンが、歴史の中で後進?に道を譲らざるを得なくなるプロセスには、なかなか興味深いものがあります。

■ステラショットで撮らなきゃ損!vol.7 多段階露光でオリオン大星雲(紹介/上山治貴)

冬の天体撮影の定番「オリオン大星雲」。ワンショットで撮影するのが難しいオリオン大星雲を「多段階露光」を使って撮影します。

オリオン祭り協賛?の3本目の記事。オリオン大星雲といえば「多段階露光」。ステラショット2とステライメージ9を使用して、3段階(1コマ30秒、60秒、120秒)の画像を加算平均コンポジットして仕上げるプロセスの解説です。

この手法のポイントは、各段階の画像の「枚数をほぼ同じ」にしてノイズレベルを均等にし、単純に加算平均することで高輝度部の階調と低輝度部のディテールの両立を図ることと、「デジタル現像」によって高輝度部の階調を圧縮し白トビを抑制することの2つにあります。

マスクによる切り貼り重ね合わせによる方法と比較して、階調の復元には限界があるものの、恣意性が減りよりシンプルなプロセスで最終画像が得られるのがメリットといえるでしょう(*)。

(*)表紙の荒井俊也さんの「FlatAidPro」の「飽和復元」による手法は、ごく短秒露出の画像から高輝度部をソフトウェア的に復元することで、恣意性を排除しつつさらに極端な輝度差の階調復元を可能としたものです。

■「はやぶさ2」ミッションレポート#16 “玉手箱”カプセルが地球に帰還!(解説/中野太郎)

2020年12月6日に帰ってきた「はやぶさ2」。多くの報道陣・ファンが見守った「カプセル分離」の1日を臨場感たっぷりにお届け。さらに、気になるカプセルの中身や「はやぶさ2」の次の仕事についても紹介します。

ミッションコンプリート。はやぶさ2のカプセル帰還の詳報です。各種メディアで概要から詳細までレポートされている「はや2カプセル帰還」ですが、本記事では採取された試料の各研究機関への分配比率や、今後の「拡張ミッション」の詳細と「予算獲得(*)」にも言及されています。

(*)拡張ミッションの予算は未確定だそうです。

日本と先進各国の宇宙開発予算の総額には大きな差がある中、日本の宇宙開発をどんな方向に舵取りしていくのか。日本の「叡智」をどう維持し発展させていくのか。10年後、20年後の将来がどうなるのかを、天文ファンとして・納税者として見守っていきたいものです。

◎天リフ独断ピックアップ

■アクアマリンの誌上演奏会/ミマス stage234

星祭りのライブでごらんになったことも多いであろう、音楽ユニット「アクアマリン」の「ミマス」さんの連載記事です。テーマは「素晴らしきマイナー星座の世界」。先日リリースされたアクアマリンの新作アルバム「宇宙の森」に「北極に住むキリン」という曲が収録されているそうですが、これはもちろん「きりん座」のこと。

私は「きりん座」がどこにあるかはわかりますが、星並びを辿ることはできません^^;; 「誰も見向きもしない」そんなマイナー星座に思いを馳せて創られたのが、「北極に住むキリン」という曲。

ミマスさんは「マイナー星座を応援する会(*)」という「誰も知らない会員1人だけの会」を主宰されているそうです。ミマスさんの語る「マイナー星座の天文普及おける役割」について、ぜひ本誌をごらんになってください!

(*)実はミマスさんは2002年7月号のこの連載でも「マイナー星座を応援する会」について書かれています。

■ネットよ今夜もありがとう

今月はあせとあみのふぇん(足立裕樹)さんの「あせとあみのふぇんのブログ」と、demioさんの「上尾の天文日記」です。

若者リレー続く^^ あせとあみのふぇんのブログは天リフでも配信させていただいています。天体撮影やポータブル赤道儀の自作など、ひとつひとつの記事がしっかりと書かれていて「ブログによる情報発信」の良さを大いに発揮されています。

上尾の天文日記は筆者は初見。ブログを拝見すると、10年以上前からがっつり天体写真に取り組まれている方のようです。撮影だけでなく、知人と観望会を定期的に開催されているそうで、コロナで中断しているものの100回も間近。天文趣味は実に息長く楽しめるものですね!

■星ナビギャラリー

今月のトップ下はKさんの「冬のダイヤに月刺さる火球」。ハイクオリティの15mm超広角でとらえた冬のダイヤモンドに「ここしかない」場所に火球が流れました。流星痕を比較明合成で重ねたのも「一生に一度あるかないかの出来事」の中の好判断。

個人的イチオシは今回は特に秀作揃いで絞り込むのが難しいのですが、Oさんの300mm望遠レンズで5時間の比較明合成(ライブコンポジット)による「スカイツリーと星の光跡」が斬新で目を惹きました(上記画像には含まれていません)。星空の表現方法には、出尽くしたようでもまだまだ可能性がたくさんあるものですね!

■令和小説大賞受賞! 天体撮影趣味人が書いた天文青春小説(紹介/遊歩新夢)

小説『星になりたかった君と』は作中には本格的な天体撮影・処理の描写が登場し、物語の中心に新天体発見が関わってきます。天文ファンでもある作者に作品や天文への思いを語っていただきました。

「私設天文台の守り番である大学生・鷲上秀星」が「星になりたい」と願うJK「琴坂那沙(なさ)」と出会うところから始まる青春小説。「天文小説を書いてみたい」という思いから始まった作品誕生のエピソードと、天文への思いを作者の「遊歩新夢」さん自らが語ります。

作品には「聖地・ごまさんスカイタワー(和歌山県護摩壇山)」や「大阪市立科学館(大阪電気科学館)」も登場。主人公の天文台のモデルは兵庫の猪名川天文台。遊歩さん撮影の「網状星雲」と「NGC247」の画像も。

https://www.ntv.co.jp/hoshikimi/

『星になりたかった君と』は日本テレビ系列でドラマ化され、1月4/5日の2話連続で放映されました。あいにく放送されなかった地方も多く見逃し配信もないようですが、huluで配信(*)されています。こちらも要チェック!

(*)「お試し視聴」に登録すれば無料で視聴できます。hulu版、地上波版、小説版はそれぞれストーリーが違っているようです。



遊歩新夢さんのTwitterより。ツイートの端々から「ガチ天」であることが伺えます^^「小説が売れたら南紀に天文台を建てて移住したい」という決意表明?もありました。みなさんもぜひポチして、遊歩さんを応援しましょう!

天リフでも早速注文し読ませていただきました。ラストは涙なしでは読めない、まさに青春小説です!

■マユコの星ナビch 突撃!ラボ訪問 #6 コンピュータで作る銀河系!シミュレーション天文学(紹介/マユコ)

YouTubeチャンネル「アスナロサイエンス」で情報発信を行うマユコさん。今回のゲストは「シミュレーション天文学」の研究者。コンピュータの中で銀河系を作るってどういうこと?

今回のゲストは東京大学理学研究科・天文学専攻准教授の藤井通子さん。コンピュータで星団や銀河の進化をシミュレーションする「シミュレーション天文学」の最先端の研究者です。野望は「天の川銀河の星ひとつひとつを再現すること(*)」。

(*)球状星団ではすでに実現しているそうです。

藤井さんは「女性限定公募」によって採用された、東大天文学専攻の初?の女性教員。女性研究者としてのいわば「ロールモデル」なのです。

(*)原文では「採用当時女性教員はいなかった」とあるので、初ではないかもしれません。

そんな2つの視点での今回のインタビュー。YouTubeで配信される「こぼれ話」もぜひご覧ください!毎回必見クラスの面白さで、いつも楽しみにしています^^

東京大学運動会柔道部公式サイト・藤井通子先輩
http://www.akamonjudo.com/interviewlist/170.html

ちなみに、藤井通子さんは学生時代は柔道部。こんな記事を見つけました。りりしい柔道着姿です^^

■機材セレクション SONYα7SIIIの天体写真適性(解説・作例/北山輝泰)

2020年秋にソニーから発売された「α7SIII」は高感度撮影に特化したラインナップの最新機種です。星景写真撮影に求められる「高感度撮影時の耐性」「ダイナミックレンジの広さ」「暗所での操作性」の3つの観点から、作例を交えながらレポートします。

10月に発売されたソニーの「高感度番長」の最新モデル「α7SIII」のレポート。「高感度撮影の耐性」「ダイナミックレンジの広さ」「暗所での操作性」の3つの観点で、先代α7SIIと現行機種のα7SIIIとの比較を行っています。先代同様の高感度特性にカメラとしての完成度がさらにアップしているのが「α7SIII」だといえます。

一方で、以前から天文界隈で問題視されている「StarEater」や、ディープスカイにおける低画素機の本質的問題ともいえる「GreenStar」について言及されていないところは残念です。そちらについては天リフによるレビュー記事もぜひ併せてご覧ください。

【最強!高感度番長伝説】SONY α7SIII・気になる「StarEater」の問題は?そしてピント拡大4倍に涙・・

天リフ編集部としての見解ですが、「α7SIII」は超高感度の動画機能を生かした「星空動画」と「星空スナップ(*)」で最大の威力を発揮するスペシャルなカメラといえるでしょう。

(*)ボディ内手振れ補正も強力な機能です。欲をいえば、もう少し効いて欲しい気もしますが(^^;;

一方で、StarEaterの問題と画素不足により星の色が緑に転ぶ「GreenStar」の問題があり、カメラレンズを使用した星野写真・星野写真の適性はいまひとつかもしれません。その一方で、高速のAFや最高レベルのEVF、整理されたメニュー体系など、ミラーレス一眼として完成の域に達した操作性が卓越しているといえるでしょう。北山さんの記事にもあるように「ライブビューの拡大が4倍」という非常に残念な弱点もありますが・・

まとめ

 

いかがでしたか?

アマチュア天文家の撮るオリオン大星雲の未来、オリオン座の謎を解き明かす未来、はやぶさ2の未来、「天文小説」の未来、女性天文学者が活躍する未来、そんな歴史の中で語り継がれる神話とその未来。

そんなさまざまな時間レンジの「未来」の1ページ目となる2021年が今年もやってきました。またまた緊急事態宣言の発出と先の見えない状況ですが、平常心と新たな決意で迎えたいものです。

そんな中でも毎日一度は天文リフレクションズ。そして毎月5日は天文雑誌!2月号も楽しみですね!

星ナビ2月号は「オリオン座祭り」と「SONY α7SIII」
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11785_hoshinavi

※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。

天文ガイドも合わせて読みたいですね!!

 

  https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2021/01/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2021/01/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-150x150.jpg編集部雑誌・書籍アストロアーツHPで、星ナビ2021年2月号の内容が告知されています。発売は1月5日火曜日です。 今月の内容は!? 2021年も「星ナビ」を読んで夜空を見上げましょう。2月号は天文学・神話・撮影でオリオン座に迫る「オリオン座祭り」です。 星ナビ2月号は「オリオン座祭り」と「SONY α7SIII」 http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11785_hoshinavi ■表紙   表紙は荒井俊也さんによるオリオン大星雲。自ら開発したソフト「FlatAidPro」を使用することで、極端な輝度差のある中心部のトラペジウム付近の階調もしっかり表現されています。 古くから多くの人がカメラを向けるオリオン大星雲ですが、今の時代の一つの完成形ともいえる傑作です。新しい技術と工夫で、この姿が将来どう変わっていくかを想像するのも、天体写真の楽しみのひとつかもしれません。 ■星雲の宝石箱 オリオンに迫る(解説/塚越 崇) そんな「オリオンの星雲」に対する最新の天文学が教える知識をまとめた特集。「反射星雲」「輝線星雲」「暗黒星雲」という3種類の星雲の違いという、可視光線でも見える星雲の「基本」から、赤外線・電波による観測で分かってきた「原始惑星系円盤」や「原始星の形成」のメカニズムまで、さまざまな星雲の謎に迫ります。 「オリオンの星雲」には、それでもまだまだ多くの謎があり、技術が日々アップデートされる中、多くの研究者が「新しい世界」を明らかにすることにチャレンジしています。オリオン座の星雲たちの姿が将来どう解明されていくのかにも、わくわくするものがありますね! ■エーゲ海の風 第18回 冴えない神話のオリオン座ミステリー(解説/早水 勉) 名実ともに、冬の・いや全天の王者ともいえるオリオン座。その「オリオン」という存在はどのように人間世界の中で生まれ、神話として語り継がれてきたのでしょうか。この記事ではオリオンにまつわる神話には、「実に様々な伝承が存在」することをつぶさに検証し、その上でオリオン神話は「地域的な民話」の集合体であるという、近代神話学者の推測が紹介されています。 そのオリオン神話の多くは「英雄らしからぬ」「冴えない」もの。その理由として、時代とともに「英雄としてのオリオン神話」は「ヘルクレス神話」に引き継がれてしまい、「英雄にふさわしくない」伝承のみが残った、という説があるそうです。 個人的にはヘルクレス座はでかいだけであまり冴えない気がするのですが^^;; 誰の目にもナンバーワンに見える英雄オリオンが、歴史の中で後進?に道を譲らざるを得なくなるプロセスには、なかなか興味深いものがあります。 ■ステラショットで撮らなきゃ損!vol.7 多段階露光でオリオン大星雲(紹介/上山治貴) オリオン祭り協賛?の3本目の記事。オリオン大星雲といえば「多段階露光」。ステラショット2とステライメージ9を使用して、3段階(1コマ30秒、60秒、120秒)の画像を加算平均コンポジットして仕上げるプロセスの解説です。 この手法のポイントは、各段階の画像の「枚数をほぼ同じ」にしてノイズレベルを均等にし、単純に加算平均することで高輝度部の階調と低輝度部のディテールの両立を図ることと、「デジタル現像」によって高輝度部の階調を圧縮し白トビを抑制することの2つにあります。 マスクによる切り貼り重ね合わせによる方法と比較して、階調の復元には限界があるものの、恣意性が減りよりシンプルなプロセスで最終画像が得られるのがメリットといえるでしょう(*)。 (*)表紙の荒井俊也さんの「FlatAidPro」の「飽和復元」による手法は、ごく短秒露出の画像から高輝度部をソフトウェア的に復元することで、恣意性を排除しつつさらに極端な輝度差の階調復元を可能としたものです。 ■「はやぶさ2」ミッションレポート#16 “玉手箱”カプセルが地球に帰還!(解説/中野太郎) ミッションコンプリート。はやぶさ2のカプセル帰還の詳報です。各種メディアで概要から詳細までレポートされている「はや2カプセル帰還」ですが、本記事では採取された試料の各研究機関への分配比率や、今後の「拡張ミッション」の詳細と「予算獲得(*)」にも言及されています。 (*)拡張ミッションの予算は未確定だそうです。 日本と先進各国の宇宙開発予算の総額には大きな差がある中、日本の宇宙開発をどんな方向に舵取りしていくのか。日本の「叡智」をどう維持し発展させていくのか。10年後、20年後の将来がどうなるのかを、天文ファンとして・納税者として見守っていきたいものです。 ◎天リフ独断ピックアップ ■アクアマリンの誌上演奏会/ミマス stage234 星祭りのライブでごらんになったことも多いであろう、音楽ユニット「アクアマリン」の「ミマス」さんの連載記事です。テーマは「素晴らしきマイナー星座の世界」。先日リリースされたアクアマリンの新作アルバム「宇宙の森」に「北極に住むキリン」という曲が収録されているそうですが、これはもちろん「きりん座」のこと。 私は「きりん座」がどこにあるかはわかりますが、星並びを辿ることはできません^^;; 「誰も見向きもしない」そんなマイナー星座に思いを馳せて創られたのが、「北極に住むキリン」という曲。 ミマスさんは「マイナー星座を応援する会(*)」という「誰も知らない会員1人だけの会」を主宰されているそうです。ミマスさんの語る「マイナー星座の天文普及おける役割」について、ぜひ本誌をごらんになってください! (*)実はミマスさんは2002年7月号のこの連載でも「マイナー星座を応援する会」について書かれています。 ■ネットよ今夜もありがとう 今月はあせとあみのふぇん(足立裕樹)さんの「あせとあみのふぇんのブログ」と、demioさんの「上尾の天文日記」です。 若者リレー続く^^ あせとあみのふぇんのブログは天リフでも配信させていただいています。天体撮影やポータブル赤道儀の自作など、ひとつひとつの記事がしっかりと書かれていて「ブログによる情報発信」の良さを大いに発揮されています。 上尾の天文日記は筆者は初見。ブログを拝見すると、10年以上前からがっつり天体写真に取り組まれている方のようです。撮影だけでなく、知人と観望会を定期的に開催されているそうで、コロナで中断しているものの100回も間近。天文趣味は実に息長く楽しめるものですね! ■星ナビギャラリー 今月のトップ下はKさんの「冬のダイヤに月刺さる火球」。ハイクオリティの15mm超広角でとらえた冬のダイヤモンドに「ここしかない」場所に火球が流れました。流星痕を比較明合成で重ねたのも「一生に一度あるかないかの出来事」の中の好判断。 個人的イチオシは今回は特に秀作揃いで絞り込むのが難しいのですが、Oさんの300mm望遠レンズで5時間の比較明合成(ライブコンポジット)による「スカイツリーと星の光跡」が斬新で目を惹きました(上記画像には含まれていません)。星空の表現方法には、出尽くしたようでもまだまだ可能性がたくさんあるものですね! ■令和小説大賞受賞! 天体撮影趣味人が書いた天文青春小説(紹介/遊歩新夢) 「私設天文台の守り番である大学生・鷲上秀星」が「星になりたい」と願うJK「琴坂那沙(なさ)」と出会うところから始まる青春小説。「天文小説を書いてみたい」という思いから始まった作品誕生のエピソードと、天文への思いを作者の「遊歩新夢」さん自らが語ります。 作品には「聖地・ごまさんスカイタワー(和歌山県護摩壇山)」や「大阪市立科学館(大阪電気科学館)」も登場。主人公の天文台のモデルは兵庫の猪名川天文台。遊歩さん撮影の「網状星雲」と「NGC247」の画像も。 『星になりたかった君と』は日本テレビ系列でドラマ化され、1月4/5日の2話連続で放映されました。あいにく放送されなかった地方も多く見逃し配信もないようですが、huluで配信(*)されています。こちらも要チェック! (*)「お試し視聴」に登録すれば無料で視聴できます。hulu版、地上波版、小説版はそれぞれストーリーが違っているようです。 https://twitter.com/Sir_Euphonium_Z/status/1342716169397043201 遊歩新夢さんのTwitterより。ツイートの端々から「ガチ天」であることが伺えます^^「小説が売れたら南紀に天文台を建てて移住したい」という決意表明?もありました。みなさんもぜひポチして、遊歩さんを応援しましょう! 天リフでも早速注文し読ませていただきました。ラストは涙なしでは読めない、まさに青春小説です! ■マユコの星ナビch 突撃!ラボ訪問 #6 コンピュータで作る銀河系!シミュレーション天文学(紹介/マユコ) 今回のゲストは東京大学理学研究科・天文学専攻准教授の藤井通子さん。コンピュータで星団や銀河の進化をシミュレーションする「シミュレーション天文学」の最先端の研究者です。野望は「天の川銀河の星ひとつひとつを再現すること(*)」。 (*)球状星団ではすでに実現しているそうです。 藤井さんは「女性限定公募」によって採用された、東大天文学専攻の初?の女性教員。女性研究者としてのいわば「ロールモデル」なのです。 (*)原文では「採用当時女性教員はいなかった」とあるので、初ではないかもしれません。 https://youtu.be/z2JPyrck0Ls そんな2つの視点での今回のインタビュー。YouTubeで配信される「こぼれ話」もぜひご覧ください!毎回必見クラスの面白さで、いつも楽しみにしています^^ 東京大学運動会柔道部公式サイト・藤井通子先輩 http://www.akamonjudo.com/interviewlist/170.html ちなみに、藤井通子さんは学生時代は柔道部。こんな記事を見つけました。りりしい柔道着姿です^^ ■機材セレクション SONYα7SIIIの天体写真適性(解説・作例/北山輝泰) 10月に発売されたソニーの「高感度番長」の最新モデル「α7SIII」のレポート。「高感度撮影の耐性」「ダイナミックレンジの広さ」「暗所での操作性」の3つの観点で、先代α7SIIと現行機種のα7SIIIとの比較を行っています。先代同様の高感度特性にカメラとしての完成度がさらにアップしているのが「α7SIII」だといえます。 一方で、以前から天文界隈で問題視されている「StarEater」や、ディープスカイにおける低画素機の本質的問題ともいえる「GreenStar」について言及されていないところは残念です。そちらについては天リフによるレビュー記事もぜひ併せてご覧ください。 https://reflexions.jp/tenref/orig/2020/11/04/11933/ 天リフ編集部としての見解ですが、「α7SIII」は超高感度の動画機能を生かした「星空動画」と「星空スナップ(*)」で最大の威力を発揮するスペシャルなカメラといえるでしょう。 (*)ボディ内手振れ補正も強力な機能です。欲をいえば、もう少し効いて欲しい気もしますが(^^;; 一方で、StarEaterの問題と画素不足により星の色が緑に転ぶ「GreenStar」の問題があり、カメラレンズを使用した星野写真・星野写真の適性はいまひとつかもしれません。その一方で、高速のAFや最高レベルのEVF、整理されたメニュー体系など、ミラーレス一眼として完成の域に達した操作性が卓越しているといえるでしょう。北山さんの記事にもあるように「ライブビューの拡大が4倍」という非常に残念な弱点もありますが・・ まとめ   いかがでしたか? アマチュア天文家の撮るオリオン大星雲の未来、オリオン座の謎を解き明かす未来、はやぶさ2の未来、「天文小説」の未来、女性天文学者が活躍する未来、そんな歴史の中で語り継がれる神話とその未来。 そんなさまざまな時間レンジの「未来」の1ページ目となる2021年が今年もやってきました。またまた緊急事態宣言の発出と先の見えない状況ですが、平常心と新たな決意で迎えたいものです。 そんな中でも毎日一度は天文リフレクションズ。そして毎月5日は天文雑誌!2月号も楽しみですね! 星ナビ2月号は「オリオン座祭り」と「SONY α7SIII」 http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11785_hoshinavi ※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。 天文ガイドも合わせて読みたいですね!!    編集部発信のオリジナルコンテンツ