みなさんこんにちは!

一家に一台、双眼鏡。天文ファンもそうでない人も、双眼鏡がひとつ手元にあるだけで、アウトドアライフもインドアライフも、楽しさが20%アップします!(*)。鉄板の「星見」用途から、バードウォッチング・コンサートでの推しメン鑑賞・スポーツ観戦・前線の偵察まで・・・

(*)天リフ独自見解です^^



双眼鏡レビューを集中掲載中の天リフがお送りする、皆様の物欲をそそるアイテムご紹介、今回はフラッグシップクラスの見え味を誇る「日の出光学(ヒノデ)」の双眼鏡をまとめて3つご紹介しましょう。

左から、ヒノデ8×42-D1、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)、ヒノデ5×21-A+(エープラス)

目次

明るい低倍率仕様、バランスのとれたヒノデの双眼鏡

明るい低倍率仕様のプレミアムコンパクト双眼鏡

前回ご紹介した「賞月観星プリンス」シリーズと同様に、今回ご紹介するヒノデの3つの双眼鏡は、低倍率指向の明るい双眼鏡です。明るさを示す「瞳径(*)」は、「ヒノデ8×42D1」が5.3mm、「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」が5mm、ヒノデ5×21-A+(エープラス)が4.2mmです。

(*)瞳径=対物レンズの口径÷倍率。人間の瞳は7mm程度まで開くので、瞳径7mmが一番明るい光学系になります。

正直言ってこれらの低倍率(瞳径4〜5mmクラス)の双眼鏡は、大きな双眼鏡市場の中では「売れ筋」ではありません。双眼鏡市場では残念ながら「高倍率バイアス(*)」が存在し、6倍より8倍、8倍より10倍がよく売れます。それだけでなく、最近はレンズのコーティング技術が進歩し、以前よりも一回り小さな口径で同じ明るさが実現できるようになり、実用上も「瞳径3〜4mm」あれば、暗い対象でない限りある程度満足できるようになってきていることもあります。

(*)「倍率が高いほどよく見える気がしてしまう」という事象に対する天リフの造語です^^;;

星空を見るなら「瞳径5mm」

2018年日本シリーズ第三戦、瞳径5mmの明るさが生きるシーン。オネエサンもアライサンももっと大きく見たい気持ちはやまやまですが^^;; なお、このとき使用した双眼鏡はヒノデ製ではありません^^;;

しかし、暗い対象、特に夜空の星を見る場合に最適な瞳径は5mm(*)。かけるべき手間とコストをかけた「よく見える低倍率の双眼鏡」が生きるシーンは確実にあります。そんな「低倍率で明るく星見に適した双眼鏡」を中心に製品を展開しているのが、今回ご紹介するヒノデ双眼鏡なのです。

(*)諸説あります^^;; 一昔前は「星用は(さらに低倍率の)瞳径7mm」派が主流でしたが、最近は「瞳径5mm派」が優勢になってきました。日本のような市街光の多い場所では、瞳径7mmは背景が少し明るくなりすぎるからです。

瞳径5mmが生きるのは星見だけではありません。星見をしない方でも、双眼鏡の「通」はみな、手ぶれしにくく明るい視野の広がる低倍率の良さを知っています。薄暗い環境にスポットライトが当たったコンサートの舞台のような明暗差の激しい環境では、この「大きな瞳径」が効いてきます。ハイライトの輝きとシャドウのディテールが気持ちよく見るのには、やはり明るい双眼鏡が一番です。

では、前口上はこのくらいにして、3つのヒノデの双眼鏡を順に見ていきましょう。

ヒノデ6×30-B+(ビープラス)・小型軽量のポロ式最高峰

日の出光学・ヒノデ6×30B+
https://bino.hinode-opt.jp/item/bp_630.html

「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」は、ポロ式のプレミアムグレードの双眼鏡です。「口径30mm6倍」「見かけ視界50°(*)」というスペックだけをみると地味なのですが、基本仕様のひとつひとつを双眼鏡のプロが徹底的に極め、500gを切るポロ式としてはコンパクトな筐体に凝縮したのがこの「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」。その特徴を見ていきましょう。

(*)「見かけ視界=倍率×実視界」で計算した場合。ISO 14132-1:2002で定められたより正確な計算式では47.5°です。双眼鏡の世界では、古い製品と新しい製品でこの計算式が変わっていて若干混乱があります。本記事では、見かけ視界=倍率×実視界の表記を使用しています。

良く見える・コンパクトな「ポロ式」

左がヒノデ6×30-B+(ビープラス):482g、右が賞月観星プリンスED6.5×32(730g)。ポロプリズムの大きさの違いが外観からもあきらかです。似たような口径と倍率ですが、設計コンセプトは大きく異なります。

以前にご紹介した「賞月観星プリンスシリーズ」のレビュー記事でも触れたように、ポロ式双眼鏡には「同じコストならダハ式よりも良く見える」というメリットがあります。しかし「安物」を作るためにポロ式を採用するのでは面白くありません。より低コストであるポロ式のメリットを生かし、「浮いたコスト」を他のどこに回して「よりよく見える」双眼鏡をデザインするかが、ポロ式双眼鏡の商品開発側からみたポイントといえるでしょう。

「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」の設計上の最大の特徴は、ポロ式でありながら比較的コンパクトに押さえたサイズにあります。上の画像は同じポロ式の「賞月観星プリンスED6.5×32(730g)」との比較ですが、プリズム部の大きさがまったく違います。

大きなポロプリズムを採用し、重く大きくなっても広い視界(見かけ視界65°〜77°)を優先させたのが「賞月観星ED6.5×32(730g)」。一方の「ヒノデ6×30-B+(482g)」はコンパクト性を重視し、あえて大きなポロプリズムは使用せず、見かけ視界が50°とほどほどに押さえられています。その代わりに最高レベルのマルチコートと、より広い良像範囲を実現する非球面レンズが採用されています。

反射率の低い最高クラスのマルチコーティング

一見して反射率の低いコーティング。対物レンズはもちろんコバ塗り済み。

「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」では、非常に反射率の低い最高クラスの7層〜9層のマルチコーティングが全面に施され、全体での透過率は95%以上。最近の双眼鏡ではマルチコートは当たり前ですが「全ての面に」「7層〜9層」というスペックはこのクラスの製品では極めてまれです。

左:普及品10×42ダハ、中上:賞月観星プリンスED6.5×32、中下:ヒノデ8×42D+、右上:ヒノデ5×21-A+(エープラス)、右下:ヒノデ6×30-B+(ビープラス)。

いろいろな製品のコーティングを比較してみました。この画像からも、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)の反射率が極めて低いことがわかるでしょう。

さらに、対物・接眼側の最外面には「撥水・撥油コート」が施されていて、汚れにくく、汚れても拭き取りやすくなっています。夜露や霜が降りるような環境でも、あまり気を遣わずクロスで拭き取れるのは安心ですね。

ハイブリッド非球面レンズ

https://bino.hinode-opt.jp/item/bp_630.html

収差補正に有効な非球面レンズは、カメラレンズでは近年採用が当たり前になってきましたが、双眼鏡ではまだ採用は少ないようです。ヒノデ6×30-B+(ビープラス)では、接眼レンズに「ハイブリッド非球面レンズ(*)」が採用されています。

(*)ガラスレンズにごく薄い「紫外線硬化型プラスチック」の層を被せたもの。強い非球面の実現はできませんが、比較的低コストで製造が可能です。

次項の実視レビューでも触れますが、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)は周辺部でも崩れや歪みが少なく、非常にスッキリとした像を結びます。見かけ視野50°と欲張っていないことに加えて、この非球面レンズの採用がそれに貢献しているのでしょう。

バランスのとれた設計

小型軽量の双眼鏡で、性能を一番大きく左右するのが接眼レンズです。ヒノデ6×30-B+(ビープラス)の接眼側。アイレリーフ20mmとメガネをかけた状態でも覗きやすいのが特徴。

後述しますが、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)では色収差を低減する「EDレンズ」は採用されていません。「見かけ視野50°」とともに「スペック○×表」的には弱点ですが、双眼鏡のデザインはバランスが大事です。「小さいけれどすごくよく見えて、覗きやすくて使いやすい」のがヒノデ6×30-B+(ビープラス)の真骨頂です。詳細の見え味については後ほどまた触れますが、筆者的にはイチオシの双眼鏡です。

ヒノデ8×42-D1・星見仕様の本格ダハ双眼鏡

日の出光学・ヒノデ8×42D1
https://bino.hinode-opt.jp/item/d1_842.html

ここまで「ポロ式」のメリットをさんざん語ってきましたが、ここで双眼鏡のもう一つの形式、そして現代の双眼鏡の主流である「ダハ式」についても、しっかりお伝えしなければなりません。

このヒノデの双眼鏡「8×42-D1」は、そんな「ダハ式」の代表選手です。さっそく見ていくことにしましょう。

まっすぐ・すっきり・小型軽量のダハ式

右がヒノデ8×42-D1(688g)、左はポロ式で同じ口径・倍率の賞月観星ED8×42(810g)。

ダハ式の外観上の特徴は明快です。すっきり・まっすぐ。対物レンズから接眼レンズまで一直線。中に隠れているプリズムの体積もポロ式より小さいため、出っ張りがすくなくすっきりコンパクト。軽くてかさばらない。いつも持ち歩いても負担にならない。「スマホより重たいものは、すべて重いと感じる現代人(*)」に対して、このシンプルなメリット一点でダハ式は市場の主流になりました。激安品から高級品まで、販売されている双眼鏡の多くはこの「ダハ式」です。

(*)天リフ独自の偏見です^^;;

「ダハ式」はなぜコストがかかるのか

ダハ式のプリズムは2個の異なる形状の組み合わせで、直角2等辺三角形を2個組み合わせるポロ式よりもずっと複雑です。右のアッベ・ケーニッヒ式は超高級グレードの双眼鏡に使用される、さらに高価な形式です。

しかし、ダハ式は「すっきり・まっすぐ・小型軽量」というメリットを除けば、光学的にはポロ式と比較して大きなハンディを負っています。その最大の理由は複雑で高い精度を求められるプリズムにあります。

特に、山形の「ダハ面(上図でいえば上端)」は、極めて正確に「直角」に、そして「鋭く」仕上げなければなりません。ここに少しでも手抜きがあると、反射した光がずれてしまい、正しく結像しなくなってしまいます。

日の出光学HPより。https://bino.hinode-opt.jp/column/dach_porro.html

さらに、プリズムに2つの「細工」をしなければ、ダハ式はポロ式と同じ性能が出せません。一つ目はプリズム面へのメッキ処理。2つのプリズムのうち、補助プリズム(ペシャンプリズム)の2回目の反射面には反射率を高めるメッキ処理(*)が必ず必要になります。

(*)この反射面では入射角が深いため光が「全反射」しないためです。このメッキ処理は普及品ではアルミ蒸着が多いようですが、高級品ではさらに反射率を高めた誘電体多層膜が使用される場合もあります。

もうひとつは、山形の「ダハ面」への位相差コート(フェーズコート*)。普及品では省略されることが普通ですが、シャープな結像が求められる高級機ではほぼ必須の仕様になっています。ここまでのことをやって、はじめてダハ式はポロ式に追いつくことができるのです(**)。

(*)ダハ面の左右で光の位相がずれるため、干渉によって性能が悪化します。

(**)ダハ式の場合プリズム内での反射がポロ式の4面に対して6面あります。プリズムの精度が同じなら(完璧でなければ)、反射面が多いぶん、より像が悪化するリスクが大きくなります。現実的には普通にきっちりつくれば、反射面が多いからといって眼に見えて像が悪化することはありません。「粗悪品がより粗悪になる」というのが最大の問題です。

このような「やるべきこと」を全部しっかりやれば、ダハ式双眼鏡はポロ式と遜色のないものになり、小型軽量のメリットだけが残ります。しかし、それが価格に跳ね返ってくるのは仕方ありません。「高級グレード」であるヒノデ8 ×42はこれらの2つを満たした製品ですが、販売価格は税送込40,800円。このグレードのダハ式双眼鏡としてはじゅうぶんお得感のある価格(*)ではありますが、ポロ式よりもやや高めです。

(*)「全面マルチコート」「広い視野」「位相差コート」「EDレンズ」「防水」などのスペックを満たす、ダハ式の高級グレードの双眼鏡は安くても3万円台から。上は青天井です。

EDレンズの採用

EDレンズを採用していない10倍口径42mmの双眼鏡の例。中心がピントの合った状態、左右はピントをわずかにずらした状態です。EDレンズを使用しない光学系では、色によってピント位置が違ってくることによる「色にじみ」がより大きくなります。

ヒノデ8×42-D1の対物レンズには、色収差(色にじみ)を軽減する「EDレンズ」が採用されています。筆者がこれまで双眼鏡を見てきた経験からいうと、双眼鏡におけるEDレンズの優先順位は「最後」です。双眼鏡はEDレンズの採用以前に、より重要なやるべき要素(*)がいくつもあります。それらを高いレベルでクリアした上で、「さらに一線を越える性能」を実現するために必要になるのがEDレンズだと考えています。

(*)まずは製造と組立の精度を上げること(特にプリズム)、その次がコーティング、接眼レンズ、内面反射防止処理、その次がEDレンズです。高倍率の双眼鏡ほどEDレンズ採用による性能向上効果があるため、この優先度は倍率によっても若干変わります。

逆に、ヒノデ8×42-D1では、EDレンズを採用するに足る基本性能をすでにクリアしています。後ほど詳しく実画像の比較を見ていただきますが、「8倍以上」の高級双眼鏡においてはEDレンズの採用は必然的だといえるでしょう。

「星見仕様」のスペック

ヒノデ8×42-D1を接眼側から見たところ。ボディはマグネシウム合金で精度を上げつつ軽量化を実現しています。

「瞳径5mm(〜7mm)」が星見に最適なスペックであることは前出の通りですが、あと2つ大事なことがあります。一つ目が広い見かけ視界。当然ですが、視野が広いほど数多くの星が眼に入ります。一昔前の双眼鏡は「見かけ視界45°前後」の製品が多かったのですが、現代では少なくとも50°、できれば60°は欲しいところです(*)。

(*)60°あれば少なくとも「狭い」と感じることはないでしょう。70度を超える広視界になると、アイレリーフが短くなったり眼位置に敏感になるなどのデメリットも出てくるため、単純にメリットだけではないトレードオフの要素となってきます。

ヒノデ8×42-D1の見かけ視界は仕様表には記載されていませんが、倍率と実視界から計算(*)すると約60°になり、「ほどよく気持ちよい広さ」といってよいでしょう。

(*)本記事では見かけ視界=倍率×実視界で計算しています。新しい基準ISO 14132-1:2002に基づいた場合は約55度です。JISでは「広視界」は前者の基準では65°、後者の基準では60°以上の製品を指します。

もうひとつはアイレリーフ。メガネ着用で快適に見るためには少なくとも15mmが必要だと一般には言われています(*)。ヒノデ8×42-D1のアイレリーフは18mmですが、この長さならまずメガネ着用で問題になることはないでしょう。

(*)実際には、かなり個人差・メガネの個体差に左右されます。

ヒノデ8×42-D1も、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)同様、「飛び道具」的なスペックはありません。しかし、高級クラスの性能を実現した、星見用のスペックでこの価格。決してお安くはありませんが、これ一台あれば、ほとんどのシーンで幸せな天文ライフが送れるはずです。

ヒノデ5×21-A+(エープラス)・ED仕様、最強のミニポロ双眼鏡

日の出光学・ヒノデ5×21A+
https://bino.hinode-opt.jp/item/ap_521.html

3つ目が「ヒノデ5×21-A+(エープラス)」です。ヒノデの「Aシリーズ」の双眼鏡は、「ミニポロ型」の最高峰を目指した「5倍」という低倍率指向のプレミアムグレード双眼鏡です。

Aシリーズの現行モデルは「ヒノデ5×21A5」ですが、「ヒノデ5×21A+」はその対物レンズにEDレンズを採用した最新バージョンです。定評ある小口径・低倍率の高性能双眼鏡は、EDレンズの採用でどのくらいパワーアップしたのでしょうか!?

低倍率・超コンパクトプレミアム・ヒノデAシリーズ双眼鏡

ヒノデ5×21-A+(エープラス)にストラップを取り付けたところ。A4からA5への改良で取付位置が変更され、首からぶら下げても横向きになることがなくなりました。

EDバージョンの「ヒノデ5×21-A+(エープラス)」に触れる前に、ヒノデAシリーズの特徴をまとめておきましょう。

口径20mmクラスのミニポロ型双眼鏡は多種多様な製品が市場にあふれています。しかし、その多くは10倍クラスの口径に見合わない高倍率だったり、「トイグレード」というべき普及品が多いのが現状。さらに、売れ筋でない低倍率の製品はほとんどありません。

そんな中で、あえて「低倍率」にこだわった製品がヒノデAシリーズです。製造品質、コーティング、接眼レンズはどれも「ヒノデグレード」で手抜き無し。まじめに作れば低倍率の双眼鏡はこれほどによく見えるのだ、ということを実証した製品です。

肉眼のチカラを増幅する、低倍率5倍・広視界11°

肉眼のチカラを増幅する・ヒノデ広視界小型双眼鏡5x20-A4と星座望遠鏡

(*)レビュー記事はひとつ前のバージョン「A4」です。最新バージョンのA5/A+(エープラス)では、「より軽量化(266g→215g)」「ストラップの重心の改良」「ピントノブ形状の改良」などの改良が施されています。

ちなみに、天リフでも一度Aシリーズの双眼鏡「5×20A4」のレビューを掲載しています。メーカーHPには「5倍だからこそよく見える」と表現されていますが、これには筆者も強く同意します。この記事で筆者の抱いたヒノデ5×20A4に対する感想を一言で言えば「肉眼のチカラを増幅する」。肉眼で見る星空を少し拡大して、よりシャープに・よりくっきりと見ることができる体験は、これまでになかったものでした。

画像はイメージです。ヒノデ双眼鏡で撮影したものではありません。

上の画像はそのレビュー記事からの再掲ですが、実視野11度を図示したものです。オリオン座の3つ星と大星雲が余裕ですっぽりとおさまります。この「広さ」は肉眼の延長としてとても使いやすく、自分の眼がズームレンズになったような感覚です(*)。

(*)ちょっと言い過ぎですね^^;;

ヒノデ5×20A4で観望中。片手で余裕で持てる軽さです。A+(エープラス)ではさらに軽量化されています。

何よりも軽い。ポケットから片手で撮りだして、片手でサッと覗けます。じっくり眺めるのもいいのですが、「30秒の合間」の観望がまた楽しい。これがAシリーズの真骨頂でしょう。

EDレンズの採用とコバ塗りの強化

コバ塗りのビフォー・アフター。すりガラスの部分は基本的には眼には直接入らないのですが、光の乱反射を押さえてコントラストを上げる効果があります。

このAシリーズをさらに改良したのがヒノデ5×21-A+(エープラス)です。「一線を越える性能」を実現するために対物レンズにはEDレンズを採用。それだけでなく、レンズだけでなくプリズムにもコバ塗りが施されています。これらの改良による違いは次項以降でご紹介しますが、一言でいうと「普通はわからないかもしれない」けど「わかる人にはきっとわかる違いがある」でした。

外観

サイズの比較

上段:左からヒノデ6×30-B+(ビープラス)、ヒノデ5×21-A5、ヒノデ5×21-A+(エープラス) 下段:左から賞月観星プリンスED8×42、ヒノデ8×42-D1、普及品10×42ダハ。

215gのミニポロ式のヒノデ5×21-A+(エープラス)から、810gの賞月観星プリンスED8×42までを並べてみました。どれも手持ちで使えるサイズと重さですが、ずいぶんと違いがあることがわかります。ダハ式のヒノデ8×42D1はポロ式の口径42mmよりは小ぶりでより軽量。口径30mmのヒノデ6×30-B+(ビープラス)はさらにコンパクトです。ヒノデ5×21-A5/A+(エープラス)に至ってはわずか215gで、194gのiphone11とあまり変わりません。

双眼鏡を選ぶ際は、口径や倍率などのスペックも重要ですが、それ以上に自分の使い方に合ったサイズ・重量なかを見極めることが重要です。大きすぎる双眼鏡は稼働率が落ちてしまいます。自分のスタイルをよく考えて選ぶのが吉です。



使い勝手

見口を最大に伸ばした状態(左)と一番ひっこめた状態(右)の比較。

双眼鏡は「眼幅」「アイポイント(眼位置)」「左右の視度」の3つをしっかり調節しないと左右の像が一致せずよく見えません。これらが軽快に調整できることは重要です。

ヒノデ双眼鏡の眼幅調節と左右の視度調整リングは、どれも回転しやすく適度な抵抗があってスムーズです。アイポイントは見口部分を回転させて伸縮しますが、明瞭なクリック感が3箇所にあり、とても使いやすく感じました。アイレリーフが18mm〜20mmと長いので、メガネ使用と裸眼視用を併用する場合、特にこの調整機構は頻繁に操作することになるので(*)重要です。

(*)筆者の場合、しっかり見たいときはメガネを外すことが多いです。ただし、強度の近視(-10D)なのでこれまで使用した双眼鏡の半分くらいは裸眼ではピントが出ません。残念ながらヒノデの3つの双眼鏡でもそうでした。

ピント合わせは中央繰り出し式。動作は軽くスムーズで、回転角とピント移動量も適切。とても使いやすいフィーリングです。

ちなみに、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)と8×42-D1は「水深3mで3分間」の防水仕様(*)になっています。夜露などでびしょびしょになることもある星見用途では重要なスペックです。

(*)ミニポロ式のヒノデAシリーズは防水ではありません。

内面反射防止処理

定番の「瞳チェック」です。双眼鏡を空に向けて、内面反射の状態を確認してみました。ヒノデ6×30B1とヒノデAシリーズは、ポロ式の宿命ともいえるプリズムの縁の反射がわずかに残っていますが、これは仕方ないでしょう。いずれも、高級双眼鏡としてじゅうぶんに合格範囲です。高級双眼鏡の定番として、プリズムに高屈折率の硝材「BaK4」が使用されているので、四角いカゲリは見られません(*)。

(*)普及品の双眼鏡ではコストの安いBK7がよく使用されますが、屈折率の低いBK7では視野の周辺で光が全反射せず、正面から見ても正方形のカゲリが出てきます。

双眼鏡を販売店などで実際に手にしたとき、このような「瞳チェック」はその製品が「どの程度きちんと作られているのか」を知る一つの目安になります。「瞳が真円であること」「瞳(明るい部分)に陰りがない・少ないこと」はもちろんですが、その周辺の本来暗黒である部分がどの程度暗いか、無駄な反射がどの程度残っているかを見れば、その製品のだいたいの「レベル感」を知ることができます。

その点ではヒノデの双眼鏡はどれも合格、優秀なレベルだといえます。

実視レビュー

それでは、ヒノデの3つの双眼鏡の実際の見え方を比較してみましょう。

見かけ視界と歪曲

RICOH THETA Z1でコリメート撮影。歪曲収差は実視でもほぼ気にならないレベルです。THETA Z1は全天球カメラなので樽形の歪曲収差が若干あるため、実際にはヒノデ双眼鏡も少し糸巻形の歪曲が残っています。

まず、視野全体をコリメート方式で撮影してみました。このチェックは、視野の実際の広さや歪曲収差(直線が直線として見えるかどうか)を比較するよい目安になります。

ヒノデ6×30-B+(ビープラス)とヒノデ5×21Aシリーズの見かけ視界は約50°〜55°。ヒノデ8×42-D1は60°。どれも決して超広視界というわけではありません。以前レビューした賞月観星プリンスED6.5×32と比べると、明らかに一回り小さい視野です。しかし、歪曲収差がよく補正されすっきりと気持ちのよい視界です。

肉眼で実際に見た場合でも、「狭さ」を感じることはまったくありませんでした。視野を欲張らないぶん、良像範囲が70〜80%と広く、最周辺でも像が大きく崩れることがないことも気持ちよさに貢献しています。性能のバランスとしては良い落としどころといえるのではないでしょうか(*)。

(*)これ以上視野を広くするとプリズムなど各部が大型化してしまい、軽快さが失われてしまいます。

コリメート画像による結像比較

オリンパスE-M5、50mm(換算100mm)でコリメート撮影

中心部の結像状況を比較するため、一眼カメラの中望遠レンズ(換算100mm)でコリメート撮影してみました。EDレンズを使用していないヒノデ6×30B+は若干色収差が見られますが、非常にシャープな結像です。ヒノデ8×42-D1と同じダハ式の普及品10×42では、EDレンズの有無に起因する色収差の差も歴然ですが、全体的なシャープ感にも大きな差があることがわかります。

実際に肉眼で見ると、筆者の眼では上記の画像の4つの照明灯は「4つある」ことがなんとか識別できる程度のほんの豆粒くらいの大きさで、この画像のような解像の差は感じることはほぼ不可能なのですが、それでもシャープ感・すっきり感には明らかな差を感じます。前回レビューした賞月観星プリンスシリーズを含めて、ヒノデの双眼鏡の結像は、じゅうぶんに高級グレードであるといえるでしょう。

色収差・EDレンズの有無による違い

オリンパスE-M5、50mm(換算100mm)でコリメート撮影。

では、低倍率の双眼鏡でのEDレンズの効果はどうでしょうか。EDレンズなしのヒノデ5×21A5と、ヒノデ5×21-A+(エープラス)を比較したのが上の画像です。中央の列がピントの合った状態、右と左が少しピントをずらした状態です。

結像状態でもEDレンズの有無で青〜紫のハロに差が見られ、シャープ感にもけっこうな違いがあります。ピントをずらした状態では色づきの差はさらに明瞭です。少なくとも5倍という低倍率の双眼鏡でもEDレンズによる効果はある、といってよいのではないでしょうか。

しかし、肉眼でこの差を判別できるかといえば微妙です。2台を並べて比較しない限り、筆者には違いがわかる自信はまったくありません。上の画像のような小さな格子状・明暗差が激しい対象で、非常に注意深く観察してようやく違いがわかる(気がする?)といったところです。

とはいえ、人間の眼の視力は個人差・年齢差が激しいものです。筆者は年々視力が低下し、矯正しても1.0程度にまで落ちてしまいました。矯正視力が2.0ある人なら、明らかに差を感じることができるかもしれません(*)。

(*)あちこちで何度も書いているのですが、視力がまだ衰えていない若い人にこそ、よい光学製品を体験してほしいというのが筆者の願いです。

EDレンズなしでも健闘しているヒノデ6×30-B+(ビープラス)

オリンパスE-M5、50mm(換算100mm)でコリメート撮影。

あくまでコリメート画像での今回の個体での比較ですが、EDレンズを使用していないヒノデ6×30-B+(ビープラス)が、なかなかの健闘ぶりを示しました。ピントをずらした状態では明らかにEDレンズを使用したヒノデ8×42-D1よりも色にじみが大きいのですが、ピント位置では非常にスッキリした結像です。この例からも、6倍以下の低倍率においてはEDレンズの効果は限定的で、むしろ基本性能がきっちり作り込まれていることが重要だと筆者は感じました。

このことは、EDレンズを使用していないヒノデ5×21-A5が非常に優秀な見え味であることからも感じられます。EDレンズを使用したヒノデ8×42-D1もふくめ、EDレンズはあくまでスペックのひとつであって、最終的な双眼鏡の性能は、ひとつひとつの機能の完成度の積み重ねで決まるというべきでしょう。

ヒノデ5×21-A+(エープラス)のプリズム黒塗りの効果

オリンパスE-M5 50mmレンズでコリメート撮影

ヒノデ5×21-A+(エープラス)は、前述の通りプリズムの縁に黒塗りが施されています。その違いを確かめてみました。空に双眼鏡を向け、少し離れた位置から同一露出条件での比較です。

一見あまり差がないように見えますが、よく見ると対物レンズから左右に出る光芒の強さが、左のA+(エープラス)の方が明らかに少なくなっていることががわかります。

オリンパスE-M5 50mmレンズでコリメート撮影

こちらは夜景での比較。正直いって実視での差は筆者には判別不能でしたが、このように撮影して明るさを極端に持ち上げてみると、乱反射とおぼしきフレアに差があるようです。

光学製品の性能向上は、小さな利得をこつこつ積み上げていくしかありません。一見差がないような違いであっても、その積み重ねが最終的にははっきりとした差になります。外見やスペック表ではわからない仕様をきっちり詰めていくことは重要だと感じました。

星空を見る

ヒノデ6×30-B+(ビープラス)で星空観望中。正直いって、6倍30mmの双眼鏡で星空を見て色収差を感じることはほぼ不可能です。

最後になりましたが、星空を実際に見たレビューです。あまり眼のよくない筆者にとって、星空は双眼鏡の性能テストをするフィールドではありません^^;; ヒノデの双眼鏡は中心像はどれもシャープですし、暗い星空では色収差はほぼ認識不可能です。主に、双眼鏡の倍率と口径、周辺像と視野の広さのバランス、そして覗きやすさの違いをチェックしてみました。

その結果、ヒノデの3つの双眼鏡はどれもが星空に適した製品だと感じました。ほどよい視野の広さはアイポイントに寛容で、手持ちで使用しても視野の隅がかげることも少なく(*)、良像範囲の広さとあいまって非常に気持ちよい操作感です。

(*)手持ちで使用する場合、双眼鏡と対象の間で発生する手ぶれに加えて、眼と双眼鏡の位置関係の微妙なブレによって視野の端が陰ったり左右の視野が一致しなくなることで、快適さを損なう場合があります。

非常に条件の良い空で天の川を見ることができたのですが、5倍21mm・6倍30mm・8倍42mmのいずれもが、暗黒部が複雑に入り組んだ天の川の姿を見せてくれました。違いは実視野の広さだけです。5倍ではいて座の天の川中心部がすっぽり入り、8倍ではバンビの横顔からM8までの姿が迫力。

しかし、天の川の濃さは瞳径で決まりますが、星の輝きは口径に比例します。特にM6/M7のような広がった散開星団は口径が大きいほど迫力が感じられます。星見用に1台手に入れるならどれを選ぶか・・・これはマジ悩みます。できれば3台欲しい^^;;

ヒノデ8×42D+で金星の輝きを。このくらい明るい天体になると、EDレンズの有無による色にじみの差が感じられるようになってきます。一等星の色の差、特にカペラのような白い星が混じりけない白に見える(気がする?)のは、EDレンズを使用した双眼鏡が勝りました。

薄明の空に浮かぶ星と雲を山の稜線まで辿るような場合も、これまた悩ましい選択です。明るさはどれもほぼ同じですが、ピンポイントの迫力は口径が大きい方が、広い範囲を見渡したいなら口径の小さい低倍率広視野が、それぞれいい感じです。

あたらめて口径と倍率の違う双眼鏡を比較してみると、やはりそれぞれに良さと違いがあるというのが実感でした。それも、基本性能が優れた双眼鏡ならではなのでしょう。

双眼鏡の個体差

オリンパスE-M5、50mm(換算100mm)でコリメート撮影。同一縮尺になるようにヒノデの画像は拡大しています。

最後に、双眼鏡はそれなりに個体差が存在する製品であることは明記しておかなくてはなりません。特に激安品では、はっきり酷いレベルのものも存在するようです。

上の画像はヒノデ5×21-A+(エープラス)と激安品の8×21ミニポロ双眼鏡との比較ですが、激安品では左右の結像状況がかなり異なっていることがわかります。左目側はまあまあ健闘しているものの、右眼側の像はピント位置でも色収差が感じられ、像も眠たい感じです。これはプリズム面の傾きによるものと推測されますが、このくらいの差があると肉眼でもはっきりした違いとなって現れてきます。

その一方、ヒノデ5×21-A+(エープラス)も左右の差がないとはいえない(*)ですが、どちらも安定した結像です。今回検証したヒノデの双眼鏡の個体では、明確な左右の差を感じられるものはありませんでした。

(*)誤差の範囲かも知れません。昼間なのでかげろうのような空気のゆらぎがありました。ピントはMFで追い込んではいますが、最適な結像位置からずれているかもしれません。コリメート撮影で光軸は慎重に合わせましたが、ずれがないとはいえません。

今回の検証の中では、ヒノデの双眼鏡を含め数多くの製品をチェックしましたが、上記激安品のようなひどいものは他にはなかったものの、細かく見ると左右で結像状態に違いがある個体はいくつもありました。しかし、肉眼で見るとその違いはまったく判別できませんでした。両目で見る場合はなおさらです(*)。

(*)人間の脳内補正能力は強力なので、よく見える方の性能が見え味を決めるのだと推測しています。

ここから推測できることは、双眼鏡では製造品質が極めて重要であろうということです。たとえ肉眼で検出できないレベルの差であったとしても、実際に差が「ある」のだとすると、その差を生み出す要素があることになります。そして確率的には「明らかにできの悪い」製品(*)が一定比率で出ることになります。

(*)このような製品を検品できちんとはじけているかどうかが、極めて重要になるといえます。

これらの「差」の原因には部品の製造精度・組み立て精度などの要素が考えられますが、スペックに直接現れない「品質」(*)が双眼鏡の性能の多くの部分を決定しているといってよいのではないでしょうか。

(*)おそらく、上で比較した激安品にEDレンズを採用しても、見え味は大して改善しないでしょう。元々の製造品質による劣化の方がEDレンズの効果を上回ってしまうからです。

その意味では、後述するヒノデの「出荷日から一ヶ月間、無条件で返品が可能」というシステムの存在は非常に大きいと感じます。人工星のような厳密な手段で全品をチェックするのは量産品では不可能でしょうが(*)、検品をすり抜けてしまった低品質の製品に当たってしまった場合でも、交換(返品)することが可能であれば、ユーザのリスクは大幅に低減できるはずです。

(*)ヒノデの双眼鏡は現状「全品国内で検品」を行っているそうです。

どんな人に向いているか

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ダハ式の星見スタンダード・ヒノデ8×42-D1

光学製品は全てそうなのですが、「全ての目的に適合する万能双眼鏡」は存在しません。星見においてもそれは同じ。口径20mmにも、口径30mmにも、それぞれの良さと用途があります。

そんな中で「ダハ式8倍42mm」の存在意義は「手持ちで無理なく使える最大口径」だといえるでしょう。10倍では少し手ぶれが辛い。6倍では少し対象が小さい。その間である8倍の双眼鏡は一番宇宙に近づける倍率です。

口径が42mmあれば、一等星は眩しいほどに煌めき、無数の糠星が視野内いっぱいにあふれます。肉眼の延長が「5倍口径21mm」だとすると「8倍口径42mm」は天体望遠鏡の入り口だともいえます。

そのかわり、ある程度の重さは受け入れなくてはなりません。しかし、ダハ式ならポロ式よりも小型軽量に押さえられます。688gという重量は決して軽くはありませんが、長時間使っても疲れないレベルの重量です。

肉眼のチカラを増幅する・ヒノデ5×21A5/A+(エープラス)

双眼鏡の甘いも酸いも味わい尽くしたベテランなら、低倍率・広視野のヒノデAシリーズで新しい体験をしてみるのはいかがでしょうか。ガチ観望の対極、お気楽な星空散歩です。既にお持ちの星用の大型・中型機材とはまったくかぶらないことでしょう。春には北斗七星を順にたどり、夏には濃い天の川のなかにいるか座を見つける。秋はカシオペヤの傍らの二重星団からアンドロメダを眺め、冬には地平線の上のカノープス。星の輝きはやや力不足の口径21mmですが、肉眼の延長と考えるなら口径3倍分のパワーがあります。

星空観望をこれから始める人にも、ちょっとお値段が張ることを覗けばAシリーズは実はオススメできます。肉眼の延長ともいえる11°の実視野なら「導入」という難題とはほぼ無関係。見たい方向に向けるだけで、星座の姿をよりリアルに辿ることができるでしょう。

バランスの取れた星見性能・ヒノデ6×30-B+(ビープラス)

口径30mm、倍率6倍。瞳径5mm、実視界8.4度。何の尖りもないスペックのヒノデ6×30-B+(ビープラス)ですが、逆に最もバランスのとれたスペックだといえます。視野もそこそこ広くて、星の輝きも楽しめる。いつも持ち歩いても苦にならない重量とサイズ。同じスペックでもっと軽量な製品も、もっと視野の視野の広い製品も、もっと大きく見える製品もありますが、肩肘はらずにしっかり星を楽しめるのはヒノデ6×30-B+(ビープラス)です。

こちらも決してお安くはありませんが、。このポロ式のメリットを最大限に生かし、基本性能に徹底的にこだわった見え味は「お値段以上」かもしれません。

「お値段」と引き替えの気持ちよさ

これらの小さな双眼鏡が2万円〜4万円。しかし「最高の見え味」を求める人なら、決して高いものではありません。逆に、そういう価値を双眼鏡に求める人にぜひ手にしてほしい製品です。

もうひとつ、筆者の個人的願いですが、双眼鏡を初めて手にする人にも、このグレードをぜひ体験してほしいと思います。タイムマシンがあれば、まだ20代の自分にハイグレードの双眼鏡をプレゼントしたいといつも思っています。日常・非日常のさまざまなシーンの体験を、よりリアルに美しく眼に焼き付けてくれることと思います。

取扱ショップと「無条件1ヶ月返品保証」

日の出光学・ヒノデ5×21A+
https://bino.hinode-opt.jp/item/ap_521.html

日の出光学の製品は、ホームページやアマゾンなど、主にネットショップで販売されています。実店舗で実際に見え味を比較して買えないのは残念(*)ですが、特徴を持った小規模の事業者が双眼鏡市場で一定のポジションを得るための戦略なのでしょう。

(*)ヒノデ双眼鏡を実際に覗くことが可能なショップに、川崎の「cafe TEMO」があります。

ヒノデ双眼鏡の大きな特徴として「出荷日から一ヶ月間、無条件で返品が可能」というシステムがあります。返送も着払い・返金の際の振込手数料もメーカー負担というかなり思い切ったもの。これは製品に対する自信であり、ネット専業ショップのまたひとつの戦略なのでしょう。ショップで見ることはできなくても、とりあえず1ヶ月使ってから判断することができるのです。

さすがに「騙されたと思ってまずポチしてみたら?」とまでは言いませんが、それに近いシステムです。熟考の価値はあるものと思います^^

まとめ

ヒノデ8×42-D1で観望中。ダハ式は手の小さな女性でも違和感なく使えるサイズです。

いかがでしたか?

双眼鏡にいくらまで出せるか。この価値観は人によってさまざまだと思います。正直、諭吉複数枚の価格は気楽に手出しできる価格ではありません。「とりあえず双眼鏡が欲しい」のなら、まずはもっと安い価格帯の製品を選んで、ある程度使い込んでからさらに良く見える製品を物色するのもアリでしょう。

しかし、このクラスの「よく見える双眼鏡」の体験には、他の何ものにも代えがたい「気持ちよさ」があります。長い人生の中のひとつひとつの体験を「気持ちよく見える双眼鏡」と共に過ごすのか「普通に見える双眼鏡」と過ごすのか。この違いが3万円で得られるなら、決して高いものではないでしょう。

どこにでも持ち歩けるサイズ。小さくてもスッキリ広く見える。基本性能に徹底的にこだわったヒノデ双眼鏡は、一生ものの素晴らしい製品だと感じました!


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星空を見るなら「瞳径5mm」 しかし、暗い対象、特に夜空の星を見る場合に最適な瞳径は5mm(*)。かけるべき手間とコストをかけた「よく見える低倍率の双眼鏡」が生きるシーンは確実にあります。そんな「低倍率で明るく星見に適した双眼鏡」を中心に製品を展開しているのが、今回ご紹介するヒノデ双眼鏡なのです。 (*)諸説あります^^;; 一昔前は「星用は(さらに低倍率の)瞳径7mm」派が主流でしたが、最近は「瞳径5mm派」が優勢になってきました。日本のような市街光の多い場所では、瞳径7mmは背景が少し明るくなりすぎるからです。 瞳径5mmが生きるのは星見だけではありません。星見をしない方でも、双眼鏡の「通」はみな、手ぶれしにくく明るい視野の広がる低倍率の良さを知っています。薄暗い環境にスポットライトが当たったコンサートの舞台のような明暗差の激しい環境では、この「大きな瞳径」が効いてきます。ハイライトの輝きとシャドウのディテールが気持ちよく見るのには、やはり明るい双眼鏡が一番です。 では、前口上はこのくらいにして、3つのヒノデの双眼鏡を順に見ていきましょう。 ヒノデ6×30-B+(ビープラス)・小型軽量のポロ式最高峰 日の出光学・ヒノデ6×30B+ https://bino.hinode-opt.jp/item/bp_630.html 「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」は、ポロ式のプレミアムグレードの双眼鏡です。「口径30mm6倍」「見かけ視界50°(*)」というスペックだけをみると地味なのですが、基本仕様のひとつひとつを双眼鏡のプロが徹底的に極め、500gを切るポロ式としてはコンパクトな筐体に凝縮したのがこの「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」。その特徴を見ていきましょう。 (*)「見かけ視界=倍率×実視界」で計算した場合。ISO 14132-1:2002で定められたより正確な計算式では47.5°です。双眼鏡の世界では、古い製品と新しい製品でこの計算式が変わっていて若干混乱があります。本記事では、見かけ視界=倍率×実視界の表記を使用しています。 良く見える・コンパクトな「ポロ式」 以前にご紹介した「賞月観星プリンスシリーズ」のレビュー記事でも触れたように、ポロ式双眼鏡には「同じコストならダハ式よりも良く見える」というメリットがあります。しかし「安物」を作るためにポロ式を採用するのでは面白くありません。より低コストであるポロ式のメリットを生かし、「浮いたコスト」を他のどこに回して「よりよく見える」双眼鏡をデザインするかが、ポロ式双眼鏡の商品開発側からみたポイントといえるでしょう。 「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」の設計上の最大の特徴は、ポロ式でありながら比較的コンパクトに押さえたサイズにあります。上の画像は同じポロ式の「賞月観星プリンスED6.5×32(730g)」との比較ですが、プリズム部の大きさがまったく違います。 大きなポロプリズムを採用し、重く大きくなっても広い視界(見かけ視界65°〜77°)を優先させたのが「賞月観星ED6.5×32(730g)」。一方の「ヒノデ6×30-B+(482g)」はコンパクト性を重視し、あえて大きなポロプリズムは使用せず、見かけ視界が50°とほどほどに押さえられています。その代わりに最高レベルのマルチコートと、より広い良像範囲を実現する非球面レンズが採用されています。 反射率の低い最高クラスのマルチコーティング 「ヒノデ6×30-B+(ビープラス)」では、非常に反射率の低い最高クラスの7層〜9層のマルチコーティングが全面に施され、全体での透過率は95%以上。最近の双眼鏡ではマルチコートは当たり前ですが「全ての面に」「7層〜9層」というスペックはこのクラスの製品では極めてまれです。 いろいろな製品のコーティングを比較してみました。この画像からも、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)の反射率が極めて低いことがわかるでしょう。 さらに、対物・接眼側の最外面には「撥水・撥油コート」が施されていて、汚れにくく、汚れても拭き取りやすくなっています。夜露や霜が降りるような環境でも、あまり気を遣わずクロスで拭き取れるのは安心ですね。 ハイブリッド非球面レンズ 収差補正に有効な非球面レンズは、カメラレンズでは近年採用が当たり前になってきましたが、双眼鏡ではまだ採用は少ないようです。ヒノデ6×30-B+(ビープラス)では、接眼レンズに「ハイブリッド非球面レンズ(*)」が採用されています。 (*)ガラスレンズにごく薄い「紫外線硬化型プラスチック」の層を被せたもの。強い非球面の実現はできませんが、比較的低コストで製造が可能です。 次項の実視レビューでも触れますが、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)は周辺部でも崩れや歪みが少なく、非常にスッキリとした像を結びます。見かけ視野50°と欲張っていないことに加えて、この非球面レンズの採用がそれに貢献しているのでしょう。 バランスのとれた設計 後述しますが、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)では色収差を低減する「EDレンズ」は採用されていません。「見かけ視野50°」とともに「スペック○×表」的には弱点ですが、双眼鏡のデザインはバランスが大事です。「小さいけれどすごくよく見えて、覗きやすくて使いやすい」のがヒノデ6×30-B+(ビープラス)の真骨頂です。詳細の見え味については後ほどまた触れますが、筆者的にはイチオシの双眼鏡です。 ヒノデ8×42-D1・星見仕様の本格ダハ双眼鏡 日の出光学・ヒノデ8×42D1 https://bino.hinode-opt.jp/item/d1_842.html ここまで「ポロ式」のメリットをさんざん語ってきましたが、ここで双眼鏡のもう一つの形式、そして現代の双眼鏡の主流である「ダハ式」についても、しっかりお伝えしなければなりません。 このヒノデの双眼鏡「8×42-D1」は、そんな「ダハ式」の代表選手です。さっそく見ていくことにしましょう。 まっすぐ・すっきり・小型軽量のダハ式 ダハ式の外観上の特徴は明快です。すっきり・まっすぐ。対物レンズから接眼レンズまで一直線。中に隠れているプリズムの体積もポロ式より小さいため、出っ張りがすくなくすっきりコンパクト。軽くてかさばらない。いつも持ち歩いても負担にならない。「スマホより重たいものは、すべて重いと感じる現代人(*)」に対して、このシンプルなメリット一点でダハ式は市場の主流になりました。激安品から高級品まで、販売されている双眼鏡の多くはこの「ダハ式」です。 (*)天リフ独自の偏見です^^;; 「ダハ式」はなぜコストがかかるのか しかし、ダハ式は「すっきり・まっすぐ・小型軽量」というメリットを除けば、光学的にはポロ式と比較して大きなハンディを負っています。その最大の理由は複雑で高い精度を求められるプリズムにあります。 特に、山形の「ダハ面(上図でいえば上端)」は、極めて正確に「直角」に、そして「鋭く」仕上げなければなりません。ここに少しでも手抜きがあると、反射した光がずれてしまい、正しく結像しなくなってしまいます。 さらに、プリズムに2つの「細工」をしなければ、ダハ式はポロ式と同じ性能が出せません。一つ目はプリズム面へのメッキ処理。2つのプリズムのうち、補助プリズム(ペシャンプリズム)の2回目の反射面には反射率を高めるメッキ処理(*)が必ず必要になります。 (*)この反射面では入射角が深いため光が「全反射」しないためです。このメッキ処理は普及品ではアルミ蒸着が多いようですが、高級品ではさらに反射率を高めた誘電体多層膜が使用される場合もあります。 もうひとつは、山形の「ダハ面」への位相差コート(フェーズコート*)。普及品では省略されることが普通ですが、シャープな結像が求められる高級機ではほぼ必須の仕様になっています。ここまでのことをやって、はじめてダハ式はポロ式に追いつくことができるのです(**)。 (*)ダハ面の左右で光の位相がずれるため、干渉によって性能が悪化します。 (**)ダハ式の場合プリズム内での反射がポロ式の4面に対して6面あります。プリズムの精度が同じなら(完璧でなければ)、反射面が多いぶん、より像が悪化するリスクが大きくなります。現実的には普通にきっちりつくれば、反射面が多いからといって眼に見えて像が悪化することはありません。「粗悪品がより粗悪になる」というのが最大の問題です。 このような「やるべきこと」を全部しっかりやれば、ダハ式双眼鏡はポロ式と遜色のないものになり、小型軽量のメリットだけが残ります。しかし、それが価格に跳ね返ってくるのは仕方ありません。「高級グレード」であるヒノデ8 ×42はこれらの2つを満たした製品ですが、販売価格は税送込40,800円。このグレードのダハ式双眼鏡としてはじゅうぶんお得感のある価格(*)ではありますが、ポロ式よりもやや高めです。 (*)「全面マルチコート」「広い視野」「位相差コート」「EDレンズ」「防水」などのスペックを満たす、ダハ式の高級グレードの双眼鏡は安くても3万円台から。上は青天井です。 EDレンズの採用 ヒノデ8×42-D1の対物レンズには、色収差(色にじみ)を軽減する「EDレンズ」が採用されています。筆者がこれまで双眼鏡を見てきた経験からいうと、双眼鏡におけるEDレンズの優先順位は「最後」です。双眼鏡はEDレンズの採用以前に、より重要なやるべき要素(*)がいくつもあります。それらを高いレベルでクリアした上で、「さらに一線を越える性能」を実現するために必要になるのがEDレンズだと考えています。 (*)まずは製造と組立の精度を上げること(特にプリズム)、その次がコーティング、接眼レンズ、内面反射防止処理、その次がEDレンズです。高倍率の双眼鏡ほどEDレンズ採用による性能向上効果があるため、この優先度は倍率によっても若干変わります。 逆に、ヒノデ8×42-D1では、EDレンズを採用するに足る基本性能をすでにクリアしています。後ほど詳しく実画像の比較を見ていただきますが、「8倍以上」の高級双眼鏡においてはEDレンズの採用は必然的だといえるでしょう。 「星見仕様」のスペック 「瞳径5mm(〜7mm)」が星見に最適なスペックであることは前出の通りですが、あと2つ大事なことがあります。一つ目が広い見かけ視界。当然ですが、視野が広いほど数多くの星が眼に入ります。一昔前の双眼鏡は「見かけ視界45°前後」の製品が多かったのですが、現代では少なくとも50°、できれば60°は欲しいところです(*)。 (*)60°あれば少なくとも「狭い」と感じることはないでしょう。70度を超える広視界になると、アイレリーフが短くなったり眼位置に敏感になるなどのデメリットも出てくるため、単純にメリットだけではないトレードオフの要素となってきます。 ヒノデ8×42-D1の見かけ視界は仕様表には記載されていませんが、倍率と実視界から計算(*)すると約60°になり、「ほどよく気持ちよい広さ」といってよいでしょう。 (*)本記事では見かけ視界=倍率×実視界で計算しています。新しい基準ISO 14132-1:2002に基づいた場合は約55度です。JISでは「広視界」は前者の基準では65°、後者の基準では60°以上の製品を指します。 もうひとつはアイレリーフ。メガネ着用で快適に見るためには少なくとも15mmが必要だと一般には言われています(*)。ヒノデ8×42-D1のアイレリーフは18mmですが、この長さならまずメガネ着用で問題になることはないでしょう。 (*)実際には、かなり個人差・メガネの個体差に左右されます。 ヒノデ8×42-D1も、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)同様、「飛び道具」的なスペックはありません。しかし、高級クラスの性能を実現した、星見用のスペックでこの価格。決してお安くはありませんが、これ一台あれば、ほとんどのシーンで幸せな天文ライフが送れるはずです。 ヒノデ5×21-A+(エープラス)・ED仕様、最強のミニポロ双眼鏡 日の出光学・ヒノデ5×21A+ https://bino.hinode-opt.jp/item/ap_521.html 3つ目が「ヒノデ5×21-A+(エープラス)」です。ヒノデの「Aシリーズ」の双眼鏡は、「ミニポロ型」の最高峰を目指した「5倍」という低倍率指向のプレミアムグレード双眼鏡です。 Aシリーズの現行モデルは「ヒノデ5×21A5」ですが、「ヒノデ5×21A+」はその対物レンズにEDレンズを採用した最新バージョンです。定評ある小口径・低倍率の高性能双眼鏡は、EDレンズの採用でどのくらいパワーアップしたのでしょうか!? 低倍率・超コンパクトプレミアム・ヒノデAシリーズ双眼鏡 EDバージョンの「ヒノデ5×21-A+(エープラス)」に触れる前に、ヒノデAシリーズの特徴をまとめておきましょう。 口径20mmクラスのミニポロ型双眼鏡は多種多様な製品が市場にあふれています。しかし、その多くは10倍クラスの口径に見合わない高倍率だったり、「トイグレード」というべき普及品が多いのが現状。さらに、売れ筋でない低倍率の製品はほとんどありません。 そんな中で、あえて「低倍率」にこだわった製品がヒノデAシリーズです。製造品質、コーティング、接眼レンズはどれも「ヒノデグレード」で手抜き無し。まじめに作れば低倍率の双眼鏡はこれほどによく見えるのだ、ということを実証した製品です。 肉眼のチカラを増幅する、低倍率5倍・広視界11° https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/02/23/3798/#_A4 (*)レビュー記事はひとつ前のバージョン「A4」です。最新バージョンのA5/A+(エープラス)では、「より軽量化(266g→215g)」「ストラップの重心の改良」「ピントノブ形状の改良」などの改良が施されています。 ちなみに、天リフでも一度Aシリーズの双眼鏡「5×20A4」のレビューを掲載しています。メーカーHPには「5倍だからこそよく見える」と表現されていますが、これには筆者も強く同意します。この記事で筆者の抱いたヒノデ5×20A4に対する感想を一言で言えば「肉眼のチカラを増幅する」。肉眼で見る星空を少し拡大して、よりシャープに・よりくっきりと見ることができる体験は、これまでになかったものでした。 上の画像はそのレビュー記事からの再掲ですが、実視野11度を図示したものです。オリオン座の3つ星と大星雲が余裕ですっぽりとおさまります。この「広さ」は肉眼の延長としてとても使いやすく、自分の眼がズームレンズになったような感覚です(*)。 (*)ちょっと言い過ぎですね^^;; 何よりも軽い。ポケットから片手で撮りだして、片手でサッと覗けます。じっくり眺めるのもいいのですが、「30秒の合間」の観望がまた楽しい。これがAシリーズの真骨頂でしょう。 EDレンズの採用とコバ塗りの強化 このAシリーズをさらに改良したのがヒノデ5×21-A+(エープラス)です。「一線を越える性能」を実現するために対物レンズにはEDレンズを採用。それだけでなく、レンズだけでなくプリズムにもコバ塗りが施されています。これらの改良による違いは次項以降でご紹介しますが、一言でいうと「普通はわからないかもしれない」けど「わかる人にはきっとわかる違いがある」でした。 外観 サイズの比較 215gのミニポロ式のヒノデ5×21-A+(エープラス)から、810gの賞月観星プリンスED8×42までを並べてみました。どれも手持ちで使えるサイズと重さですが、ずいぶんと違いがあることがわかります。ダハ式のヒノデ8×42D1はポロ式の口径42mmよりは小ぶりでより軽量。口径30mmのヒノデ6×30-B+(ビープラス)はさらにコンパクトです。ヒノデ5×21-A5/A+(エープラス)に至ってはわずか215gで、194gのiphone11とあまり変わりません。 双眼鏡を選ぶ際は、口径や倍率などのスペックも重要ですが、それ以上に自分の使い方に合ったサイズ・重量なかを見極めることが重要です。大きすぎる双眼鏡は稼働率が落ちてしまいます。自分のスタイルをよく考えて選ぶのが吉です。 使い勝手 双眼鏡は「眼幅」「アイポイント(眼位置)」「左右の視度」の3つをしっかり調節しないと左右の像が一致せずよく見えません。これらが軽快に調整できることは重要です。 ヒノデ双眼鏡の眼幅調節と左右の視度調整リングは、どれも回転しやすく適度な抵抗があってスムーズです。アイポイントは見口部分を回転させて伸縮しますが、明瞭なクリック感が3箇所にあり、とても使いやすく感じました。アイレリーフが18mm〜20mmと長いので、メガネ使用と裸眼視用を併用する場合、特にこの調整機構は頻繁に操作することになるので(*)重要です。 (*)筆者の場合、しっかり見たいときはメガネを外すことが多いです。ただし、強度の近視(-10D)なのでこれまで使用した双眼鏡の半分くらいは裸眼ではピントが出ません。残念ながらヒノデの3つの双眼鏡でもそうでした。 ピント合わせは中央繰り出し式。動作は軽くスムーズで、回転角とピント移動量も適切。とても使いやすいフィーリングです。 ちなみに、ヒノデ6×30-B+(ビープラス)と8×42-D1は「水深3mで3分間」の防水仕様(*)になっています。夜露などでびしょびしょになることもある星見用途では重要なスペックです。 (*)ミニポロ式のヒノデAシリーズは防水ではありません。 内面反射防止処理 定番の「瞳チェック」です。双眼鏡を空に向けて、内面反射の状態を確認してみました。ヒノデ6×30B1とヒノデAシリーズは、ポロ式の宿命ともいえるプリズムの縁の反射がわずかに残っていますが、これは仕方ないでしょう。いずれも、高級双眼鏡としてじゅうぶんに合格範囲です。高級双眼鏡の定番として、プリズムに高屈折率の硝材「BaK4」が使用されているので、四角いカゲリは見られません(*)。 (*)普及品の双眼鏡ではコストの安いBK7がよく使用されますが、屈折率の低いBK7では視野の周辺で光が全反射せず、正面から見ても正方形のカゲリが出てきます。 双眼鏡を販売店などで実際に手にしたとき、このような「瞳チェック」はその製品が「どの程度きちんと作られているのか」を知る一つの目安になります。「瞳が真円であること」「瞳(明るい部分)に陰りがない・少ないこと」はもちろんですが、その周辺の本来暗黒である部分がどの程度暗いか、無駄な反射がどの程度残っているかを見れば、その製品のだいたいの「レベル感」を知ることができます。 その点ではヒノデの双眼鏡はどれも合格、優秀なレベルだといえます。 実視レビュー それでは、ヒノデの3つの双眼鏡の実際の見え方を比較してみましょう。 見かけ視界と歪曲 まず、視野全体をコリメート方式で撮影してみました。このチェックは、視野の実際の広さや歪曲収差(直線が直線として見えるかどうか)を比較するよい目安になります。 ヒノデ6×30-B+(ビープラス)とヒノデ5×21Aシリーズの見かけ視界は約50°〜55°。ヒノデ8×42-D1は60°。どれも決して超広視界というわけではありません。以前レビューした賞月観星プリンスED6.5×32と比べると、明らかに一回り小さい視野です。しかし、歪曲収差がよく補正されすっきりと気持ちのよい視界です。 肉眼で実際に見た場合でも、「狭さ」を感じることはまったくありませんでした。視野を欲張らないぶん、良像範囲が70〜80%と広く、最周辺でも像が大きく崩れることがないことも気持ちよさに貢献しています。性能のバランスとしては良い落としどころといえるのではないでしょうか(*)。 (*)これ以上視野を広くするとプリズムなど各部が大型化してしまい、軽快さが失われてしまいます。 コリメート画像による結像比較 中心部の結像状況を比較するため、一眼カメラの中望遠レンズ(換算100mm)でコリメート撮影してみました。EDレンズを使用していないヒノデ6×30B+は若干色収差が見られますが、非常にシャープな結像です。ヒノデ8×42-D1と同じダハ式の普及品10×42では、EDレンズの有無に起因する色収差の差も歴然ですが、全体的なシャープ感にも大きな差があることがわかります。 実際に肉眼で見ると、筆者の眼では上記の画像の4つの照明灯は「4つある」ことがなんとか識別できる程度のほんの豆粒くらいの大きさで、この画像のような解像の差は感じることはほぼ不可能なのですが、それでもシャープ感・すっきり感には明らかな差を感じます。前回レビューした賞月観星プリンスシリーズを含めて、ヒノデの双眼鏡の結像は、じゅうぶんに高級グレードであるといえるでしょう。 色収差・EDレンズの有無による違い では、低倍率の双眼鏡でのEDレンズの効果はどうでしょうか。EDレンズなしのヒノデ5×21A5と、ヒノデ5×21-A+(エープラス)を比較したのが上の画像です。中央の列がピントの合った状態、右と左が少しピントをずらした状態です。 結像状態でもEDレンズの有無で青〜紫のハロに差が見られ、シャープ感にもけっこうな違いがあります。ピントをずらした状態では色づきの差はさらに明瞭です。少なくとも5倍という低倍率の双眼鏡でもEDレンズによる効果はある、といってよいのではないでしょうか。 しかし、肉眼でこの差を判別できるかといえば微妙です。2台を並べて比較しない限り、筆者には違いがわかる自信はまったくありません。上の画像のような小さな格子状・明暗差が激しい対象で、非常に注意深く観察してようやく違いがわかる(気がする?)といったところです。 とはいえ、人間の眼の視力は個人差・年齢差が激しいものです。筆者は年々視力が低下し、矯正しても1.0程度にまで落ちてしまいました。矯正視力が2.0ある人なら、明らかに差を感じることができるかもしれません(*)。 (*)あちこちで何度も書いているのですが、視力がまだ衰えていない若い人にこそ、よい光学製品を体験してほしいというのが筆者の願いです。 EDレンズなしでも健闘しているヒノデ6×30-B+(ビープラス) あくまでコリメート画像での今回の個体での比較ですが、EDレンズを使用していないヒノデ6×30-B+(ビープラス)が、なかなかの健闘ぶりを示しました。ピントをずらした状態では明らかにEDレンズを使用したヒノデ8×42-D1よりも色にじみが大きいのですが、ピント位置では非常にスッキリした結像です。この例からも、6倍以下の低倍率においてはEDレンズの効果は限定的で、むしろ基本性能がきっちり作り込まれていることが重要だと筆者は感じました。 このことは、EDレンズを使用していないヒノデ5×21-A5が非常に優秀な見え味であることからも感じられます。EDレンズを使用したヒノデ8×42-D1もふくめ、EDレンズはあくまでスペックのひとつであって、最終的な双眼鏡の性能は、ひとつひとつの機能の完成度の積み重ねで決まるというべきでしょう。 ヒノデ5×21-A+(エープラス)のプリズム黒塗りの効果 ヒノデ5×21-A+(エープラス)は、前述の通りプリズムの縁に黒塗りが施されています。その違いを確かめてみました。空に双眼鏡を向け、少し離れた位置から同一露出条件での比較です。 一見あまり差がないように見えますが、よく見ると対物レンズから左右に出る光芒の強さが、左のA+(エープラス)の方が明らかに少なくなっていることががわかります。 こちらは夜景での比較。正直いって実視での差は筆者には判別不能でしたが、このように撮影して明るさを極端に持ち上げてみると、乱反射とおぼしきフレアに差があるようです。 光学製品の性能向上は、小さな利得をこつこつ積み上げていくしかありません。一見差がないような違いであっても、その積み重ねが最終的にははっきりとした差になります。外見やスペック表ではわからない仕様をきっちり詰めていくことは重要だと感じました。 星空を見る 最後になりましたが、星空を実際に見たレビューです。あまり眼のよくない筆者にとって、星空は双眼鏡の性能テストをするフィールドではありません^^;; ヒノデの双眼鏡は中心像はどれもシャープですし、暗い星空では色収差はほぼ認識不可能です。主に、双眼鏡の倍率と口径、周辺像と視野の広さのバランス、そして覗きやすさの違いをチェックしてみました。 その結果、ヒノデの3つの双眼鏡はどれもが星空に適した製品だと感じました。ほどよい視野の広さはアイポイントに寛容で、手持ちで使用しても視野の隅がかげることも少なく(*)、良像範囲の広さとあいまって非常に気持ちよい操作感です。 (*)手持ちで使用する場合、双眼鏡と対象の間で発生する手ぶれに加えて、眼と双眼鏡の位置関係の微妙なブレによって視野の端が陰ったり左右の視野が一致しなくなることで、快適さを損なう場合があります。 非常に条件の良い空で天の川を見ることができたのですが、5倍21mm・6倍30mm・8倍42mmのいずれもが、暗黒部が複雑に入り組んだ天の川の姿を見せてくれました。違いは実視野の広さだけです。5倍ではいて座の天の川中心部がすっぽり入り、8倍ではバンビの横顔からM8までの姿が迫力。 しかし、天の川の濃さは瞳径で決まりますが、星の輝きは口径に比例します。特にM6/M7のような広がった散開星団は口径が大きいほど迫力が感じられます。星見用に1台手に入れるならどれを選ぶか・・・これはマジ悩みます。できれば3台欲しい^^;; 薄明の空に浮かぶ星と雲を山の稜線まで辿るような場合も、これまた悩ましい選択です。明るさはどれもほぼ同じですが、ピンポイントの迫力は口径が大きい方が、広い範囲を見渡したいなら口径の小さい低倍率広視野が、それぞれいい感じです。 あたらめて口径と倍率の違う双眼鏡を比較してみると、やはりそれぞれに良さと違いがあるというのが実感でした。それも、基本性能が優れた双眼鏡ならではなのでしょう。 双眼鏡の個体差 最後に、双眼鏡はそれなりに個体差が存在する製品であることは明記しておかなくてはなりません。特に激安品では、はっきり酷いレベルのものも存在するようです。 上の画像はヒノデ5×21-A+(エープラス)と激安品の8×21ミニポロ双眼鏡との比較ですが、激安品では左右の結像状況がかなり異なっていることがわかります。左目側はまあまあ健闘しているものの、右眼側の像はピント位置でも色収差が感じられ、像も眠たい感じです。これはプリズム面の傾きによるものと推測されますが、このくらいの差があると肉眼でもはっきりした違いとなって現れてきます。 その一方、ヒノデ5×21-A+(エープラス)も左右の差がないとはいえない(*)ですが、どちらも安定した結像です。今回検証したヒノデの双眼鏡の個体では、明確な左右の差を感じられるものはありませんでした。 (*)誤差の範囲かも知れません。昼間なのでかげろうのような空気のゆらぎがありました。ピントはMFで追い込んではいますが、最適な結像位置からずれているかもしれません。コリメート撮影で光軸は慎重に合わせましたが、ずれがないとはいえません。 今回の検証の中では、ヒノデの双眼鏡を含め数多くの製品をチェックしましたが、上記激安品のようなひどいものは他にはなかったものの、細かく見ると左右で結像状態に違いがある個体はいくつもありました。しかし、肉眼で見るとその違いはまったく判別できませんでした。両目で見る場合はなおさらです(*)。 (*)人間の脳内補正能力は強力なので、よく見える方の性能が見え味を決めるのだと推測しています。 ここから推測できることは、双眼鏡では製造品質が極めて重要であろうということです。たとえ肉眼で検出できないレベルの差であったとしても、実際に差が「ある」のだとすると、その差を生み出す要素があることになります。そして確率的には「明らかにできの悪い」製品(*)が一定比率で出ることになります。 (*)このような製品を検品できちんとはじけているかどうかが、極めて重要になるといえます。 これらの「差」の原因には部品の製造精度・組み立て精度などの要素が考えられますが、スペックに直接現れない「品質」(*)が双眼鏡の性能の多くの部分を決定しているといってよいのではないでしょうか。 (*)おそらく、上で比較した激安品にEDレンズを採用しても、見え味は大して改善しないでしょう。元々の製造品質による劣化の方がEDレンズの効果を上回ってしまうからです。 その意味では、後述するヒノデの「出荷日から一ヶ月間、無条件で返品が可能」というシステムの存在は非常に大きいと感じます。人工星のような厳密な手段で全品をチェックするのは量産品では不可能でしょうが(*)、検品をすり抜けてしまった低品質の製品に当たってしまった場合でも、交換(返品)することが可能であれば、ユーザのリスクは大幅に低減できるはずです。 (*)ヒノデの双眼鏡は現状「全品国内で検品」を行っているそうです。 どんな人に向いているか ダハ式の星見スタンダード・ヒノデ8×42-D1 光学製品は全てそうなのですが、「全ての目的に適合する万能双眼鏡」は存在しません。星見においてもそれは同じ。口径20mmにも、口径30mmにも、それぞれの良さと用途があります。 そんな中で「ダハ式8倍42mm」の存在意義は「手持ちで無理なく使える最大口径」だといえるでしょう。10倍では少し手ぶれが辛い。6倍では少し対象が小さい。その間である8倍の双眼鏡は一番宇宙に近づける倍率です。 口径が42mmあれば、一等星は眩しいほどに煌めき、無数の糠星が視野内いっぱいにあふれます。肉眼の延長が「5倍口径21mm」だとすると「8倍口径42mm」は天体望遠鏡の入り口だともいえます。 そのかわり、ある程度の重さは受け入れなくてはなりません。しかし、ダハ式ならポロ式よりも小型軽量に押さえられます。688gという重量は決して軽くはありませんが、長時間使っても疲れないレベルの重量です。 肉眼のチカラを増幅する・ヒノデ5×21A5/A+(エープラス) 双眼鏡の甘いも酸いも味わい尽くしたベテランなら、低倍率・広視野のヒノデAシリーズで新しい体験をしてみるのはいかがでしょうか。ガチ観望の対極、お気楽な星空散歩です。既にお持ちの星用の大型・中型機材とはまったくかぶらないことでしょう。春には北斗七星を順にたどり、夏には濃い天の川のなかにいるか座を見つける。秋はカシオペヤの傍らの二重星団からアンドロメダを眺め、冬には地平線の上のカノープス。星の輝きはやや力不足の口径21mmですが、肉眼の延長と考えるなら口径3倍分のパワーがあります。 星空観望をこれから始める人にも、ちょっとお値段が張ることを覗けばAシリーズは実はオススメできます。肉眼の延長ともいえる11°の実視野なら「導入」という難題とはほぼ無関係。見たい方向に向けるだけで、星座の姿をよりリアルに辿ることができるでしょう。 バランスの取れた星見性能・ヒノデ6×30-B+(ビープラス) 口径30mm、倍率6倍。瞳径5mm、実視界8.4度。何の尖りもないスペックのヒノデ6×30-B+(ビープラス)ですが、逆に最もバランスのとれたスペックだといえます。視野もそこそこ広くて、星の輝きも楽しめる。いつも持ち歩いても苦にならない重量とサイズ。同じスペックでもっと軽量な製品も、もっと視野の視野の広い製品も、もっと大きく見える製品もありますが、肩肘はらずにしっかり星を楽しめるのはヒノデ6×30-B+(ビープラス)です。 こちらも決してお安くはありませんが、。このポロ式のメリットを最大限に生かし、基本性能に徹底的にこだわった見え味は「お値段以上」かもしれません。 「お値段」と引き替えの気持ちよさ これらの小さな双眼鏡が2万円〜4万円。しかし「最高の見え味」を求める人なら、決して高いものではありません。逆に、そういう価値を双眼鏡に求める人にぜひ手にしてほしい製品です。 もうひとつ、筆者の個人的願いですが、双眼鏡を初めて手にする人にも、このグレードをぜひ体験してほしいと思います。タイムマシンがあれば、まだ20代の自分にハイグレードの双眼鏡をプレゼントしたいといつも思っています。日常・非日常のさまざまなシーンの体験を、よりリアルに美しく眼に焼き付けてくれることと思います。 取扱ショップと「無条件1ヶ月返品保証」 日の出光学・ヒノデ5×21A+ https://bino.hinode-opt.jp/item/ap_521.html 日の出光学の製品は、ホームページやアマゾンなど、主にネットショップで販売されています。実店舗で実際に見え味を比較して買えないのは残念(*)ですが、特徴を持った小規模の事業者が双眼鏡市場で一定のポジションを得るための戦略なのでしょう。 (*)ヒノデ双眼鏡を実際に覗くことが可能なショップに、川崎の「cafe TEMO」があります。 ヒノデ双眼鏡の大きな特徴として「出荷日から一ヶ月間、無条件で返品が可能」というシステムがあります。返送も着払い・返金の際の振込手数料もメーカー負担というかなり思い切ったもの。これは製品に対する自信であり、ネット専業ショップのまたひとつの戦略なのでしょう。ショップで見ることはできなくても、とりあえず1ヶ月使ってから判断することができるのです。 さすがに「騙されたと思ってまずポチしてみたら?」とまでは言いませんが、それに近いシステムです。熟考の価値はあるものと思います^^ まとめ いかがでしたか? 双眼鏡にいくらまで出せるか。この価値観は人によってさまざまだと思います。正直、諭吉複数枚の価格は気楽に手出しできる価格ではありません。「とりあえず双眼鏡が欲しい」のなら、まずはもっと安い価格帯の製品を選んで、ある程度使い込んでからさらに良く見える製品を物色するのもアリでしょう。 しかし、このクラスの「よく見える双眼鏡」の体験には、他の何ものにも代えがたい「気持ちよさ」があります。長い人生の中のひとつひとつの体験を「気持ちよく見える双眼鏡」と共に過ごすのか「普通に見える双眼鏡」と過ごすのか。この違いが3万円で得られるなら、決して高いものではないでしょう。 どこにでも持ち歩けるサイズ。小さくてもスッキリ広く見える。基本性能に徹底的にこだわったヒノデ双眼鏡は、一生ものの素晴らしい製品だと感じました! 本記事は「日の出光学」より機材貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。 記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。 製品の購入およびお問い合わせはメーカー様・販売店様にお願いいたします。 本記事によって読者様に発生した事象については、その一切について編集部では責任を取りかねますことをご了承下さい。 特に注記のない画像は編集部で撮影したものです。 記事中の製品仕様および価格は執筆時(2020年4月)のものです。 記事中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。編集部発信のオリジナルコンテンツ