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みなさんこんにちは!

CP+2020中止残念企画、第三弾はサイトロンジャパン編。日本有数の天体望遠鏡ショップ「シュミット」を擁し、Sky-Watcherをはじめ、大陸発の熱い製品群の日本への橋渡し役でもあります。昨年まではセレストロン社の日本総代理店でもあったのですが、それがビクセンに移行したのは前回もご紹介したとおり。両輪の一つを失う結果にはなりましたが、依然「日本で一番セレストロンを知るショップ」でもあります。

そんなサイトロンジャパンの本社を、2月27日に訪問してきました!いろんな意味で「新」が続々です!

CP+2020出展予定商品の数々

ESPRIT(エスプリ)4兄弟・Sky-Watherのフラグシップ鏡筒

四兄弟の下から二番目、ESPRIT100。口径100mm。F5.5の3枚玉アポクロマートです。

では早速、サイトロンジャパン社のCP+2020出展予定だった商品をご紹介していきましょう。トップバッターはSky-Watcherのフラグシップ鏡筒「ESPRIT(エスプリ)」シリーズです。3月3日からすでにシュミットで予約受付を開始しています。



シュミット・ESPRIT(エスプリ)
https://www.syumitto.jp/SHOP/1024636/1120764/list.html

レンズ構成は未公表ですが、ED硝材使用の3枚玉とのことで、性能には大いに期待できそうです。口径80mmから150mmまで、4つのラインナップ。150と120がF7、100がF5.5、80がF5。このスペックを見るだけで「フラグシップ」として、他社の「あの鏡筒」や「この鏡筒」を強く意識していると感じさせます。

これまで「激安」の印象だったSky-Watcher製品としては、価格もフラグシップ。しかし、細部を見ていくと大いに価格競争力のある製品に仕上がっています。

左の円筒が付属の2枚構成の専用フラットナー。ファインダーは口径5cmの正立仕様。

接眼部は太い3インチ仕様、デュアルフォーカサー付属。接眼部の回転機構はクランプネジで締める形式ではなく、FSQ106EDのように太いリングを回転して締め込む仕様です。このあたりの機構もこれまでのSky-Watcher製品になかった仕様になっています。

ESPRITシリーズは全て「専用フラットナー」が付属しています。他にも専用のキャリングケース、M48のEFマウントカメラアダプタ、鏡筒バンド、アリガタ、大口径(5cm)の正立ファインダー、2インチ天頂ミラーなど、撮影と眼視に必要なパーツが一式付属。実視・実写性能が明らかになってくれば、今シーズンの「台風の眼」になる可能性があるのではないでしょうか。

EVOLUX62ED・最安ガチ屈折鏡筒

作例は周辺まで点像でかなりびっくり。「わずかに色ハロが残っているので、画像処理にはいろいろ工夫しました」とのこと。腕を磨くにも最適?

こちらは国内未発表、2枚玉のアポ鏡筒「EVOLUX 62ED」です。口径62mm、焦点距離400mm、専用レデューサで焦点距離360mm。この鏡筒で撮影された、印刷したての実写作例も見せていただきましたが「おお!」と唸る星像。「かなりお手頃なお値段になる予定(*)」とのことで「最安のガチ鏡筒」の期待が持てますね^^

(*)海外サイトでは300〜400ユーロのプライスタグが付いていました。

もう一回り大きな「EVOLUX 82ED」も。このクラスの小型屈折鏡筒は実は焦点距離が重要。360mmで撮れる対象と500mmで撮れる対象は、かなり違うものになってきます。機材のコンパクトさを生かしつつ、撮りたい対象によって焦点距離をセレクトし、口径に見合った露出時間をたっぷりかけるのが鍵でしょう。

その意味でも、手ごろな価格の小型鏡筒は、ユーザーの楽しみ方の選択肢を拡大してくれるはず。正式発表に大いに期待が持てますね!

口径70mm4枚玉アポ鏡筒

こちらはもう一段明るい、口径7cmF5、4枚玉のアポ鏡筒。昨年大流行した「赤い鏡筒」を彷彿させる外観。

カメラマウント部にはスケアリング調整機構が。F5といえども、周辺像が良くなればなるほど、スケアリングの追い込みが重要になってきます。天体写真で極限の性能を出すためには、このような調整機構も必要になってくるのでしょう。

こちらも具体的な発売はまだ未定だそうですが、大いに楽しみな製品です。

赤外線スコープ

個人的に一番興味深かったのがこの製品。赤外線スコープです。使い方はとても簡単。スイッチを入れて覗くだけ。

左)スタッフの渡邊耕平さん 右)宇宙一BORGを知る男、中川昇室長。おふたりの熱量にも違いはなく、どちらも「熱い」模様^^ メガネは熱赤外線を通しにくいようで、サングラスをかけているかのように見えます。

何が見えるかというと・・・「熱」の分布が見えるのです。人間の体温なら黄色。少し温度が下がると赤色。冷たいところは青色。

これを使えば、テーブルに手を置いておくと、離してもしばらく手形が残っているのがわかります。これって、もしかして鏡筒の温度分布とか、露よけヒーターの熱の回り方とか、CMOSセンサーの熱分布とかも、とらえられるのでは?!月の欠け際とかオリオン大星雲のような明るい天体でどうなるかとか、天文用途的も夢が膨らみますね(*)。

(*)実際にやってみたわけではないので、どうなるかはわかりません^^;;実際、BK-7は2μより長い赤外線は透過しにくいようです。アルミは赤外線をよく反射するのでコリメーション光学系を解決すれば・・・

どのくらいのお値段になるかもチラッとお聞きしたのですが、先鋭的アイテムにしてはお値頃な価格。すでにサイトロンジャパンのロゴ入りの形になっているので、販売開始はそんなに遠い先ではないと予測しました。楽しみですね^^

防振双眼鏡

双眼鏡の昨今の最新トレンドが防振タイプ。特に「コンサートで推しメンを大きくはっきり見たい!」というニーズに後押しされ、各社が意欲的に新製品を出している状況です。

この製品は口径21mmと双眼鏡としては小口径なのですが、逆に防振機構を含めても小型軽量。防振モードはスイッチ式なので、何かボタンを押し続ける必要はありません。水平にパンしてもギクシャクすることがなく、まったく自然に使うことができました。

星空用途としては口径・倍率のスペックが若干ズレますが、防振双眼鏡は今後ますます広がってくるだろうと感じるに十分な完成度でした。

ハイクラスのダハ双眼鏡

ED硝材使用のダハ式双眼鏡。ある程度値段が張っても「気持ちよく見える双眼鏡が欲しい」ユーザー層向け。中国ではこのクラスが大人気で、品薄傾向が続いているそうです(*)。

(*)そこそこでもある程度我慢?できるのも双眼鏡なのですが、一度よく見える世界を知ってしまうと、なかなか逆戻りできない怖い世界?でもあります。

特筆すべきは口径50mm版。口径42mmより一回り大きいのに他の製品と比較すると小型軽量。ダハ式の「大口径」の主流である42mmと同じくらいの手軽さで、ワンランク上の見え方を実現するコンセプト。「50mm10倍」は星見用に特に魅力的なスペックですね!

BORG72FL+SWAT赤道儀



BORGといえば「宇宙一BORGを知る男」中川昇さん(中川光学研究室室長)。最新モデルの「BORG72FL」も展示中。前モデルより口径が1mm大きくなり、セル外環がテーパー形状になりました。より安定してレンズを保持し、光軸の安定性が向上しています。

そしてBORGといえばSWAT。「マルチ赤緯ブラケット」にBORG72FLを搭載したところ。この製品の「超・剛性」感はぜひ実機で体験してほしいと思います。CP+2020は中止になりましたが、シュミットに行けばいつでも見ることができます。

スケルトン型小型反射望遠鏡

昨年の星まつりでも展示されていた、小型の反射望遠鏡。奥がニュートン式、手前はマクストフ式です。スケルトン構造になっていて、主鏡と副鏡がどんな構造になっているのかを一目で見ることができます。見え方も侮り難し。反射式なのでもちろん色収差なし。価格も諭吉を余裕で切るあたりになるそうで、「一家に一台望遠鏡」の最右翼かも?と思ってしまいました^^(*)

(*)このクラスの小型望遠鏡で「高倍率」を実現するには、屈折式では鏡筒が長くなりすぎ、三脚の強度がついてこなくなってしまいます。鏡筒が短い反射望遠鏡ならブレにも強くなり、なかなかいい組み合わせではないかと感じました。

これはアイデア商品。「すりガラス」式の直焦点アイピース(*)。これなら小さな子供でも覗きやすい。月を見るには実は一番いいアイテムかも。

(*)スケルトン型望遠鏡の専用付属品で、単体販売の予定は現時点ではないとのことです。

スコープテックコラボ「AZ-ZERO」経緯台

ロゴシールが「サイトロン仕様」になっています。https://www.syumitto.jp/SHOP/ST0001.html

スコープテックとのコラボ、3月発売予定の新型経緯台がシュミットの店頭に展示中、絶賛予約受付中。注目はその剛性感。7kgの鏡筒を搭載しても「ヤワ感」を感じません。フォークアームの角度が簡単に可変できるので、死角が最小になるように簡単に調整できます。三脚・鏡筒の装着は汎用規格(*)のため、さまざまな他社パーツを活用できます。

(*)1/4、3/8カメラネジ、35mm間隔M8/M6ネジ2点止めに対応。鏡筒側には標準でビクセンアリミゾが装着されています。

天リフでも実機を現在お借りしていてレビュー中なのですが、片持ちフォーク式経緯台の「ゼット(*)一歩手前」な製品と感じています。こちらの詳細レビュー記事もお楽しみに!

(*)天リフでは「次バージョンが不要なくらい完成度が高い製品」を、リスペクトを込めて「ゼットな製品」と呼称します。AZ-ZEROに「一歩手前」と付けているのは、野心的な製品である分(ZEROという名前はゼロから考え直した意欲的な製品、という意味も込められています)、当初想定以上のさらに高レベルの改良や拡張性の要望が、今後出てくる可能性があるだろう、との推測からです。

AZ-EQ AVANT

AZ-GTi」「AZ-PRONT」に続く「AZ」シリーズの最新作。昨年発売済みの製品ですが、税込6,380円の1軸モータードライブが加わりました。シンプルに割り切った大胆な仕様はSky-Watcherの得意とするところ(*)。

(*)「ゼットを目指す」のも一つの方向ですが、「Aから始める、Aから攻める」のもまた重要ですね^^

EQ8赤道儀新モデル

こちらは既存製品の「EQ8」ですが、改良された新モデルが準備中とのこと。横に飛び出した駆動系が極軸方向にまとめられるなど、よりすっきりした構成となり、エンコーダー系にも変更が加わるとのことです。

サイトロンジャパン最新動向

新戦力を加えたスタッフ

新メンバーが続々加入中のサイトロンジャパンとシュミット。最近入社された若手の面々。左は「シュミットブログ」でおなじみになった稲山さん。右はシュミットブログや中川室長ブログのガチ作例でしばしば登場する渡邊耕平さん。お二方とも「ガチ天文ファン」です。

もうすっかり「サイトロンジャパンの」BORGの顔になられた中川昇室長(左)と、シュミット店長の橋本さん(中)。エネルギッシュな若者と経験豊富な中高年スタッフのタッグ。右は最近入社された吉田さん。経験豊富なベテラン天文ファンです。

どちらかというと、ゆっくりと時間が流れてゆく天文業界界隈ですが、着実に新しい血が加わって、次の世代へと続いていくことを実感しました!

最新カタログ

こちらは校正中のサイトロンジャパン総合カタログ。今年からはユーザー事例紹介のページが大幅に追加され、読み物としても楽しく読めるものになっています。正式版がリリースされれば「シュミットブログ」などでアナウンスされることでしょう。こちらも楽しみですね!

セレストロンの国内総代理店の移行

サイトロンジャパンの渡邉晃社長に「セレストロンの国内総代理店移行」の件でお話をお伺いしました。今回の件は、サイトロンジャパンとしてはもちろんWelcomeなことではなかったのですが、それはそれでビジネスの話。サイトロンジャパンは引き続き「日本で一番、セレストロンを販売した会社・セレストロンを知る会社」であり、これまで販売してきたセレストロン製品のユーザーには、できる限りこれまでと変わらないサポートを提供していきたい、とのことでした。

ユーザーの立場からすると、よりよい製品がより安く提供され、信頼できるサポートが将来にわたって継続することが何より大事です。その意味でも、多彩な製品を広く扱うサイトロンジャパンの存在は、これまで以上に天文界にとって重要になってくるものと感じました。

まとめ

いかがでしたか?

続々と新製品が登場するSky-Watcherブランドを筆頭に、海外の優れた製品を日本市場に投入するサイトロンジャパン。大陸製品が「安かろう、悪かろう」だった時代はもう終わっています。ユーザーのニーズ・市場のニーズにどう対応できるか、その中でいかに利益を確保しつつ事業を拡大・維持するか。特殊な部分もある天文業界ですが、マーケットとしての原則は変わりません。

シュミットという店舗を核に、サイトロンジャパンが今後も天文ファンを熱くしてくれることを、大いに期待したいですね!

なお、本記事でご紹介した製品の多くは、天文ショップ「シュミット」で実際に見ることができます。ぜひ実店舗で製品に直接触れられてみてください!

 


  • 本記事は株式会社サイトロンジャパン様に取材協力いただき、天文リフレクション編集部が独自の費用と責任で企画・制作したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
  • 本記事で紹介した商品はCP+2020で出展予定だったものですが、参考出品の製品も含まれます。公式に発表済みでない商品は、発売の有無・発売時期については未決定であることをお断りします。
  • 公式に発表済みでない商品の画像・仕様は最終商品と異なる場合があります
  • 記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。
  • 本記事は極力客観的に実視をもとに作成していますが、本記事によって発生した読者様の事象についてはその一切について責任を負いかねますことをご了承ください。
  • 文中の商品名・会社名は各社の商標および登録商標です。
  • 記事中の価格・仕様は執筆時(2020年3月)のものです。
  • 特に注記のない画像は編集部で撮影したものです。
https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2020/03/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-1024x683.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2020/03/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-150x150.jpg編集部イベントCP+2020みなさんこんにちは! CP+2020中止残念企画、第三弾はサイトロンジャパン編。日本有数の天体望遠鏡ショップ「シュミット」を擁し、Sky-Watcherをはじめ、大陸発の熱い製品群の日本への橋渡し役でもあります。昨年まではセレストロン社の日本総代理店でもあったのですが、それがビクセンに移行したのは前回もご紹介したとおり。両輪の一つを失う結果にはなりましたが、依然「日本で一番セレストロンを知るショップ」でもあります。 そんなサイトロンジャパンの本社を、2月27日に訪問してきました!いろんな意味で「新」が続々です! CP+2020出展予定商品の数々 ESPRIT(エスプリ)4兄弟・Sky-Watherのフラグシップ鏡筒 では早速、サイトロンジャパン社のCP+2020出展予定だった商品をご紹介していきましょう。トップバッターはSky-Watcherのフラグシップ鏡筒「ESPRIT(エスプリ)」シリーズです。3月3日からすでにシュミットで予約受付を開始しています。 シュミット・ESPRIT(エスプリ) https://www.syumitto.jp/SHOP/1024636/1120764/list.html レンズ構成は未公表ですが、ED硝材使用の3枚玉とのことで、性能には大いに期待できそうです。口径80mmから150mmまで、4つのラインナップ。150と120がF7、100がF5.5、80がF5。このスペックを見るだけで「フラグシップ」として、他社の「あの鏡筒」や「この鏡筒」を強く意識していると感じさせます。 これまで「激安」の印象だったSky-Watcher製品としては、価格もフラグシップ。しかし、細部を見ていくと大いに価格競争力のある製品に仕上がっています。 接眼部は太い3インチ仕様、デュアルフォーカサー付属。接眼部の回転機構はクランプネジで締める形式ではなく、FSQ106EDのように太いリングを回転して締め込む仕様です。このあたりの機構もこれまでのSky-Watcher製品になかった仕様になっています。 ESPRITシリーズは全て「専用フラットナー」が付属しています。他にも専用のキャリングケース、M48のEFマウントカメラアダプタ、鏡筒バンド、アリガタ、大口径(5cm)の正立ファインダー、2インチ天頂ミラーなど、撮影と眼視に必要なパーツが一式付属。実視・実写性能が明らかになってくれば、今シーズンの「台風の眼」になる可能性があるのではないでしょうか。 EVOLUX62ED・最安ガチ屈折鏡筒 こちらは国内未発表、2枚玉のアポ鏡筒「EVOLUX 62ED」です。口径62mm、焦点距離400mm、専用レデューサで焦点距離360mm。この鏡筒で撮影された、印刷したての実写作例も見せていただきましたが「おお!」と唸る星像。「かなりお手頃なお値段になる予定(*)」とのことで「最安のガチ鏡筒」の期待が持てますね^^ (*)海外サイトでは300〜400ユーロのプライスタグが付いていました。 もう一回り大きな「EVOLUX 82ED」も。このクラスの小型屈折鏡筒は実は焦点距離が重要。360mmで撮れる対象と500mmで撮れる対象は、かなり違うものになってきます。機材のコンパクトさを生かしつつ、撮りたい対象によって焦点距離をセレクトし、口径に見合った露出時間をたっぷりかけるのが鍵でしょう。 その意味でも、手ごろな価格の小型鏡筒は、ユーザーの楽しみ方の選択肢を拡大してくれるはず。正式発表に大いに期待が持てますね! 口径70mm4枚玉アポ鏡筒 こちらはもう一段明るい、口径7cmF5、4枚玉のアポ鏡筒。昨年大流行した「赤い鏡筒」を彷彿させる外観。 カメラマウント部にはスケアリング調整機構が。F5といえども、周辺像が良くなればなるほど、スケアリングの追い込みが重要になってきます。天体写真で極限の性能を出すためには、このような調整機構も必要になってくるのでしょう。 こちらも具体的な発売はまだ未定だそうですが、大いに楽しみな製品です。 赤外線スコープ 個人的に一番興味深かったのがこの製品。赤外線スコープです。使い方はとても簡単。スイッチを入れて覗くだけ。 何が見えるかというと・・・「熱」の分布が見えるのです。人間の体温なら黄色。少し温度が下がると赤色。冷たいところは青色。 これを使えば、テーブルに手を置いておくと、離してもしばらく手形が残っているのがわかります。これって、もしかして鏡筒の温度分布とか、露よけヒーターの熱の回り方とか、CMOSセンサーの熱分布とかも、とらえられるのでは?!月の欠け際とかオリオン大星雲のような明るい天体でどうなるかとか、天文用途的も夢が膨らみますね(*)。 (*)実際にやってみたわけではないので、どうなるかはわかりません^^;;実際、BK-7は2μより長い赤外線は透過しにくいようです。アルミは赤外線をよく反射するのでコリメーション光学系を解決すれば・・・ どのくらいのお値段になるかもチラッとお聞きしたのですが、先鋭的アイテムにしてはお値頃な価格。すでにサイトロンジャパンのロゴ入りの形になっているので、販売開始はそんなに遠い先ではないと予測しました。楽しみですね^^ 防振双眼鏡 双眼鏡の昨今の最新トレンドが防振タイプ。特に「コンサートで推しメンを大きくはっきり見たい!」というニーズに後押しされ、各社が意欲的に新製品を出している状況です。 この製品は口径21mmと双眼鏡としては小口径なのですが、逆に防振機構を含めても小型軽量。防振モードはスイッチ式なので、何かボタンを押し続ける必要はありません。水平にパンしてもギクシャクすることがなく、まったく自然に使うことができました。 星空用途としては口径・倍率のスペックが若干ズレますが、防振双眼鏡は今後ますます広がってくるだろうと感じるに十分な完成度でした。 ハイクラスのダハ双眼鏡 ED硝材使用のダハ式双眼鏡。ある程度値段が張っても「気持ちよく見える双眼鏡が欲しい」ユーザー層向け。中国ではこのクラスが大人気で、品薄傾向が続いているそうです(*)。 (*)そこそこでもある程度我慢?できるのも双眼鏡なのですが、一度よく見える世界を知ってしまうと、なかなか逆戻りできない怖い世界?でもあります。 特筆すべきは口径50mm版。口径42mmより一回り大きいのに他の製品と比較すると小型軽量。ダハ式の「大口径」の主流である42mmと同じくらいの手軽さで、ワンランク上の見え方を実現するコンセプト。「50mm10倍」は星見用に特に魅力的なスペックですね! BORG72FL+SWAT赤道儀 BORGといえば「宇宙一BORGを知る男」中川昇さん(中川光学研究室室長)。最新モデルの「BORG72FL」も展示中。前モデルより口径が1mm大きくなり、セル外環がテーパー形状になりました。より安定してレンズを保持し、光軸の安定性が向上しています。 そしてBORGといえばSWAT。「マルチ赤緯ブラケット」にBORG72FLを搭載したところ。この製品の「超・剛性」感はぜひ実機で体験してほしいと思います。CP+2020は中止になりましたが、シュミットに行けばいつでも見ることができます。 スケルトン型小型反射望遠鏡 昨年の星まつりでも展示されていた、小型の反射望遠鏡。奥がニュートン式、手前はマクストフ式です。スケルトン構造になっていて、主鏡と副鏡がどんな構造になっているのかを一目で見ることができます。見え方も侮り難し。反射式なのでもちろん色収差なし。価格も諭吉を余裕で切るあたりになるそうで、「一家に一台望遠鏡」の最右翼かも?と思ってしまいました^^(*) (*)このクラスの小型望遠鏡で「高倍率」を実現するには、屈折式では鏡筒が長くなりすぎ、三脚の強度がついてこなくなってしまいます。鏡筒が短い反射望遠鏡ならブレにも強くなり、なかなかいい組み合わせではないかと感じました。 これはアイデア商品。「すりガラス」式の直焦点アイピース(*)。これなら小さな子供でも覗きやすい。月を見るには実は一番いいアイテムかも。 (*)スケルトン型望遠鏡の専用付属品で、単体販売の予定は現時点ではないとのことです。 スコープテックコラボ「AZ-ZERO」経緯台 スコープテックとのコラボ、3月発売予定の新型経緯台がシュミットの店頭に展示中、絶賛予約受付中。注目はその剛性感。7kgの鏡筒を搭載しても「ヤワ感」を感じません。フォークアームの角度が簡単に可変できるので、死角が最小になるように簡単に調整できます。三脚・鏡筒の装着は汎用規格(*)のため、さまざまな他社パーツを活用できます。 (*)1/4、3/8カメラネジ、35mm間隔M8/M6ネジ2点止めに対応。鏡筒側には標準でビクセンアリミゾが装着されています。 天リフでも実機を現在お借りしていてレビュー中なのですが、片持ちフォーク式経緯台の「ゼット(*)一歩手前」な製品と感じています。こちらの詳細レビュー記事もお楽しみに! (*)天リフでは「次バージョンが不要なくらい完成度が高い製品」を、リスペクトを込めて「ゼットな製品」と呼称します。AZ-ZEROに「一歩手前」と付けているのは、野心的な製品である分(ZEROという名前はゼロから考え直した意欲的な製品、という意味も込められています)、当初想定以上のさらに高レベルの改良や拡張性の要望が、今後出てくる可能性があるだろう、との推測からです。 AZ-EQ AVANT 「AZ-GTi」「AZ-PRONT」に続く「AZ」シリーズの最新作。昨年発売済みの製品ですが、税込6,380円の1軸モータードライブが加わりました。シンプルに割り切った大胆な仕様はSky-Watcherの得意とするところ(*)。 (*)「ゼットを目指す」のも一つの方向ですが、「Aから始める、Aから攻める」のもまた重要ですね^^ EQ8赤道儀新モデル こちらは既存製品の「EQ8」ですが、改良された新モデルが準備中とのこと。横に飛び出した駆動系が極軸方向にまとめられるなど、よりすっきりした構成となり、エンコーダー系にも変更が加わるとのことです。 サイトロンジャパン最新動向 新戦力を加えたスタッフ 新メンバーが続々加入中のサイトロンジャパンとシュミット。最近入社された若手の面々。左は「シュミットブログ」でおなじみになった稲山さん。右はシュミットブログや中川室長ブログのガチ作例でしばしば登場する渡邊耕平さん。お二方とも「ガチ天文ファン」です。 もうすっかり「サイトロンジャパンの」BORGの顔になられた中川昇室長(左)と、シュミット店長の橋本さん(中)。エネルギッシュな若者と経験豊富な中高年スタッフのタッグ。右は最近入社された吉田さん。経験豊富なベテラン天文ファンです。 どちらかというと、ゆっくりと時間が流れてゆく天文業界界隈ですが、着実に新しい血が加わって、次の世代へと続いていくことを実感しました! 最新カタログ こちらは校正中のサイトロンジャパン総合カタログ。今年からはユーザー事例紹介のページが大幅に追加され、読み物としても楽しく読めるものになっています。正式版がリリースされれば「シュミットブログ」などでアナウンスされることでしょう。こちらも楽しみですね! セレストロンの国内総代理店の移行 サイトロンジャパンの渡邉晃社長に「セレストロンの国内総代理店移行」の件でお話をお伺いしました。今回の件は、サイトロンジャパンとしてはもちろんWelcomeなことではなかったのですが、それはそれでビジネスの話。サイトロンジャパンは引き続き「日本で一番、セレストロンを販売した会社・セレストロンを知る会社」であり、これまで販売してきたセレストロン製品のユーザーには、できる限りこれまでと変わらないサポートを提供していきたい、とのことでした。 ユーザーの立場からすると、よりよい製品がより安く提供され、信頼できるサポートが将来にわたって継続することが何より大事です。その意味でも、多彩な製品を広く扱うサイトロンジャパンの存在は、これまで以上に天文界にとって重要になってくるものと感じました。 まとめ いかがでしたか? 続々と新製品が登場するSky-Watcherブランドを筆頭に、海外の優れた製品を日本市場に投入するサイトロンジャパン。大陸製品が「安かろう、悪かろう」だった時代はもう終わっています。ユーザーのニーズ・市場のニーズにどう対応できるか、その中でいかに利益を確保しつつ事業を拡大・維持するか。特殊な部分もある天文業界ですが、マーケットとしての原則は変わりません。 シュミットという店舗を核に、サイトロンジャパンが今後も天文ファンを熱くしてくれることを、大いに期待したいですね! なお、本記事でご紹介した製品の多くは、天文ショップ「シュミット」で実際に見ることができます。ぜひ実店舗で製品に直接触れられてみてください!   本記事は株式会社サイトロンジャパン様に取材協力いただき、天文リフレクション編集部が独自の費用と責任で企画・制作したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。 本記事で紹介した商品はCP+2020で出展予定だったものですが、参考出品の製品も含まれます。公式に発表済みでない商品は、発売の有無・発売時期については未決定であることをお断りします。 公式に発表済みでない商品の画像・仕様は最終商品と異なる場合があります。 記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。 本記事は極力客観的に実視をもとに作成していますが、本記事によって発生した読者様の事象についてはその一切について責任を負いかねますことをご了承ください。 文中の商品名・会社名は各社の商標および登録商標です。 記事中の価格・仕様は執筆時(2020年3月)のものです。 特に注記のない画像は編集部で撮影したものです。編集部発信のオリジナルコンテンツ