本記事は前の記事に含まれている誤りを訂正し、全面的に加筆修正したものです。前記事はリンクは残していますが、検索エンジンからも対象外としています。誤りの含まれる情報を元にした記事を公開してしまったことを深くお詫び申し上げます。




スペースXの「Starlink(スターリンク)」についての前回の記事には多くの反響がありました。スターリンクで何が起きそうか?という意図は多くの方に伝わったものと思います。また、賛否両論、さまざまなご意見がありました。

スペースXの「Starlink」打ち上げ・星空への影響は?



前記事で作成した「想像図」は科学的にはかなり適当で誇張した絵だったのですが、より正確にシミュレーションした上で、スターリンク衛星が星空に与える影響を分析・考察しています。

使用したシミュレーション画像はほんのり光房様よりお送りいただいたものです。このシミュレーション画像は前回掲載したものよりより正確でスターリンク計画の実態により即したものになっています(後述)。そして残念ながら、星空に対してより大きな影響をもたらすという結果になっています。

ただし、最終的な影響については、衛星の地上から見た見かけ上の明るさの推測根拠が乏しいため、現時点では予測される状況と、実際の結果には大きな開きがありうることをご承知ください。

5/28に公開した内容の問題点

5/28に公開した前の記事には以下の問題がありました。

  1. 衛星の高度を全て「550km」と設定しており、Starlink計画の実際よりも影響がより小さく見積もられている
  2. シミュレーション結果が実際よりも影響がより小さく描かれている
  3. 衛星の「見かけの明るさ」に対する想定根拠が明確でない

1.は公開後一部修正していますが、2.の違いがかなり大きく、本記事では全て「ステラナビゲータ10」を使用して再計算しています。3.については今回一定の想定で何とおりかの結果を推測していますが、この推測は第三者による検証を経たものではない、天文リフレクションズ編集部の推定にすぎないことをあらかじめお断りしておきます。

これに伴い、スターリンク計画がもたらす影響についても、大幅に修正しています。前記事は検索エンジンの検索対象外とし、冒頭に注記を明記し誤解が拡散しないように配慮しました。

上空に存在する衛星は星空にどんな影響を与えるか

現在、地球の周りには軌道が把握され追跡されているものだけでも1万個近くの人工衛星が周回しています。これらの衛星は、太陽の光を反射し地上から観察することができます。その明るさは最も明るい「イリジウムフレア」で-8〜9等級。ISS国際宇宙ステーションで-2等級前後。それ以外にも肉眼で見ることのできない暗いもの(6等級以下)も含め、多数の衛星が存在します。

ただし、現状では一般の人たちに「人工衛星が夜空を飛び回っている」という印象を与えるほどには存在感はありません。むしろ、点滅する飛行機の方がはるかに頻度が多く、明るいといえるでしょう。

しかし、夜空を高感度のカメラで撮影すると、一般の人々の肉眼では見えない光度の、はるかに多くの人工衛星が存在することが実感できます。これが現時点での状況です。

(*)特に見かけ上の位置が常に同じ地平高度・方位にある「静止衛星」は長時間露出の天体写真撮影に大きな影響があります。

ところが、スターリンク計画が最終段階を迎えると、地球を周回する人工衛星の数は一気に倍増します。上の画像はスターリンク衛星の軌道をシミュレーションしたものですが、地上340km〜1150kmという低高度の衛星が1.2万個増加します。

このことは、星空にどんな影響を与えるのでしょうか。

ある意味無秩序に打ち上げられている既存の1万個弱の衛星群とは違って、スターリンク衛星は「衛星通信」という目的上、地球を満遍なく広く覆う形になります。上の画像はある時点で空に存在するスターリンク衛星の位置を赤点でプロットしたものです。全ての衛星は刻一刻と移動していきますが、ある衛星が地平線の下に消えても、別の衛星がすぐ現れます。極地を除くほぼ全ての地球上で常に空はこのように衛星で覆われることになります。

地球の影・人工衛星はどんなときに「光って」見えるのか

ただし、人工衛星が空にあるからといって、それが常に光って見えるわけではありません。人工衛星が光って見えるのは、太陽の光を反射しているから。太陽の光が射し込んでいないときは、衛星は暗闇の中の暗点でしかありません。

このことを模式的に示したのが上の図です。太陽が地平線の下θ度まで沈んだ時点で、人工衛星に向かう太陽の光は地球(地球の影)で遮られ、見えなくなります(*)。

(*)より正確には、太陽が点光源ではないこと(0.5度角の直径を持つ円盤)と、地球が完全な球体ではない(回転楕円体)ことを考慮する必要がありますが、おおざっぱな想定では影響は微少です。本記事のシミュレーションは点光源ではないことは考慮していますが(太陽中心ではなく縁までを考慮)、回転楕円体の考慮はされていません。

高度550kmの衛星が天頂に存在するとき、太陽が地平線下22度まで沈んだ時点で、地球の影に入ることになります。太陽が沈んで夜空が完全に暗闇に包まれるのは(天文薄明の終わり)太陽の地平高度が-18度のとき。つまり、夜空が暗闇になってもまだ天頂は地球の影には含まれず、スターリンク衛星は夜空の半分以上を占めることになります。

上の画像は、地平高度60度まで衛星が存在する状態のシミュレーション。太陽が足元まで(地平高度-90度)沈むのであれば、その時点で夜空は全て地球の影に覆われますが、実際には太陽はそんなに深くまで沈んでくれません。北緯35度の日本の場合は、夏至の日で約-32度、冬至の日でも-78度までしか沈まないのです。

「衛星の高度」が「高い」場合と「低い」場合の違い

地球の影の大きさは、衛星の高度によって大きく変わってきます。極端な例は「皆既月食」。地球から約38万km離れた月では、地球の影の直径は1.5度角ほどしかありません。高度が高い衛星ほど地球の影に隠れることが少ない。これは非常に重要なポイントになります。

スターリンク衛星の場合、約2800基の衛星は高度1150kmの軌道を周回しますが、これを前述と同じ計算に当てはめると天頂での太陽の地平高度が約-34度、高度340kmの軌道の場合は地平高度約-18度となります。つまり、夏至の頃はスターリンク衛星は一晩中天頂でも太陽の光を反射することになります。

2020年6月21日東京、日没90分後の空。黄色の点が高度1150kmの2808基、緑の点が高度550kmの1600基、水色の点が高度340kmの7520基です。薄明が終わった時点でも、ほぼ全天に衛星が存在することになります(*)。

(*)この結果が、前回の記事と大きく異なる点です。事実と大きくことなる情報を発信したことを重ねてお詫び申し上げます。

この状況は日没120分後でも大きくは変わりません。夏至の前後は中緯度地方であっても、星空は人工衛星で広く覆われることになるでしょう。ヨーロッパなどの高緯度地方では、その影響はさらに大きくなります。

太陽が深く沈む冬至の前後には、この状況はかなり改善しますが、高度1150kmの衛星の影響は、日没120分後でもまだまだ天頂を越えて現れます。

スペースX社CEO、Elon Musk氏のこのツイートはかなり事実を誤認していると言わざるを得ません(*)。

(*)既報ですがその後イーロンマスク氏は事実を再認識されたのか、スターリンクプロジェクトに反射率低減などの対策を支持したそうです。

スペースXの衛星群、天文学者の「悩みの種」に
https://www.afpbb.com/articles/-/3227596

シミュレーションの想定と計算方法

今回のシミュレーションの前提事項と計算方法について簡単にまとめておきます。

【計算方法】

Starlink衛星がどう全天に配置されるかは無視し、一定の前提をおいて「地球全体をだいたい均一に覆う」想定になっています。

・340km群… 7520機(80軌道*94機)…水色の-1等で描画
・550km群… 1600機(40軌道*40機)…緑色の0等で描画
・1150km群… 2808機(52軌道*54機)…黄色の1等で描画
※合計11928機

・軌道傾斜角は53度。各軌道に等間隔に衛星が配置されている想定。

上記の衛星データ(軌道要素)を機械的に生成し、ステライメージver10で描画しています。

wikipedia スターリンク
https://ja.wikipedia.org/wiki/スターリンク

【星図上の描画方法】
月明かりと地上の人工光は無視し、薄明のみ描画。明るさの設定は実際よりは恐らく明るいはずです(*)。

(*)太陽電池パネルの大きさ・構造・角度、太陽・衛星・観測者の位置関係など、様々な要因によって衛星の光度は大きく変わると推測されますが、それらは加味されていません。また、通常は暗くても「イリジウム衛星」のように突発的に明るく輝く(フレア)可能性も考えられます。

また、地球の影に入った場合は衛星を表示しない(*)ようにしています。高度・方位の目盛は10度です。

(*)この地球の影の計算はステラナビゲータver10の機能に依存していますが、その算出根拠は前述の通りです。



光度別・衛星がもたらす影響の見積もり

では、衛星の明るさは実際どのくらいになるのでしょうか。この結果次第で、状況は非常に大きく変わってくることになります。初期の「銀河鉄道状態」では「2等級前後」という報告がありました。仮に衛星の光度が今後もこの値だとすると、自然環境としての星空は完全に失われる、と言わざるを得ません。

衛星の明るさ 衛星よりも明るい星の数(全天、惑星を除く) 深刻度
0.0等級 4個 ★★★★★

人工衛星が自然の星を完全に圧倒し、星空は完全に失われる。

1.5等級 21個 ★★★★

自然の星よりも人工衛星の存在感がはるかに大きくなる。

3.5等級 265個 ★★★

市街地以外では自然の星と人工衛星の存在感が同程度になり、一部の明るい星で構成された星座を除き、星座の認識が困難になる。

5.5等級 2708個 ★★

市街地の星空には変化はないが、星空が良く見える場所では星の数と同じくらいの数の人工衛星が星空に存在。アマチュア天体写真に対して影響大

7.5等級 24211個

アマチュア天体写真に対して大きな影響あり

参考)https://www.astroarts.co.jp/alacarte/kiso/kiso04-j.shtml

この数字をどう評価するかには大きな個人差があるものと思いますが、衛星の光度が3.5等を越えるようだと、かなり深刻な状況であるように筆者は考えています。5.5等でも、かなりの影響だと思います。7.5等なら、少なくとも肉眼での影響はなくなるため、自然環境的な問題はなくなると見て良いでしょう(*)。

(*)それでもアマチュアの天体写真撮影には多大な影響があると推測します。

天体写真に対する影響

  • 衛星の軌道がランダムであれば、「深宇宙(ディープスカイ)」の撮影においては影響はあるものの限定的なのですが、同一軌道を多数の衛星が周回する場合、衛星の影響を統計的な処理で除去することが難しくなります。
  • 地球の影に含まれるエリアでは影響はありませんが、太陽に近づく彗星のような天体の場合は、常に衛星の影響にさらされてしまうことになります。衛星の明るさが5.5等であっても大きな影響があるでしょう。
  • 星空と風景の写真を撮影する「星景写真」の分野では、衛星の明るさが3.5等を越えるようであればかなり影響を受けると考えられます。特に2月〜4月ごろの「明け方の東空の天の川」は人工衛星の軌跡で埋めつくされてしまうかもしれません。
  • 衛星の明るさが1.5等を越えるようであれば、人工衛星そのものを被写体とする「インスタ映え」的な写真は多くのFAVを集めることになるでしょう。

天体観察(肉眼)に対する影響

  • 天体望遠鏡で星を見るような場合は衛星の光度が1.5等を越えるような場合でも大きな影響はないと予測しますが、数多くの衛星で星並びがわかりにくくなり、目的の天体を捉えにくくなるようなケースは考えられます。また、一般向けの天体観望会は夕方の早い時間に行われることが多いため、星座の解説のプロシージャを大きく変える必要があるかもしれません。
  • 衛星の光度が1.5等を越えるような場合、夜空そのものの背景輝度を上げてしまい「人工衛星薄明」のような状況が起きるかも知れません。
  • 打ち上げ初期に見られる「銀河鉄道」は、一般の人にも相当に受けのよいイベントになるでしょう。すでに「予報」や「観望ガイド」などが各所で発信されていますが、このチャンスを活用しない手はありません。

天文学研究に対する影響

  • 天文学の研究のための観測においては、人工天体の存在はある意味「織り込み済み」ではありますが、木曽観測所の「トモエゴゼン」のような広視野サーベイシステムはかなり大きな影響を受けると推測します。また、電波観測においては通信衛星の発する電波による影響が大きく懸念されているようです。「大気圏外に出るしかない」ような観測分野がより増えてしまうかもしれません。

衛星の光度の見積もり

本当のところ、衛星の明るさはどのくらいになるのか?これに対して、誰も確度の高い予測を出していないのが現状です。そこで、試算をしてみました。詳細は記事末にまとめましたが、素人で考えられる範囲ではなかなか難しいようです。明らかに言えそうなことだけをまとめておきます。

  • 満月(反射率7%)と同じ輝度で2m 角の物体が光るとき、距離550kmでの光度は3.9等級
  • 衛星が天頂にあるとき、高度550kmの衛星と比較して1150kmの衛星は0.8等級暗く、340kmの衛星は0.5等明るい
  • 衛星が地平線上にあるとき、距離の影響だけを見ると衛星は高度340km、550km、1150kmでそれぞれ2.2等級,2.0等級,1.5等級暗い
  • 衛星が月と同じ反射率と仮定すると、太陽との離角が180度のとき(満月と同じ)よりも、離角が90度のとき(半月と同じ)の明るさは2.7等暗くなる。
  • 衛星が白塗り(反射率70%)と黒塗り(反射率2%)の場合、明るさは2.9等暗くなる。逆に、反射防止素材による寄与は最大でも2.9等程度。

今後明らかにすべきことは、地表から見た衛星の見かけ上の形状と大きさ、そして反射率です。また、太陽からの離角別の光度モデルも必要です。楽観的に予測すると、衛星の地上から見た大きさが2m角で、反射率が7%程度で、天頂にある太陽光を横から受けた衛星の光度は、5〜6等ではないでしょうか。太陽側の衛星は、天頂から離れるほど暗くなり、低空ではその影響はかなり低減されるでしょう。

これは、自然環境としての星空にははっきり影響があるが市街地では確認はできない、天体写真にはかなり問題なる、くらいのレベルと推測します。もちろん衛星がもっと大きいとか、反射率がもっと高い場合は、状況は変わってきますが。

イーロン・マスクCEOへのメッセージ

イーロン・マスクCEOには、3つほどメッセージがあります。

星空はかけがえのない地球環境の一つです。それを破壊することがあってはなりません。

夜空に輝く星々の存在は、人類を包含する環境の一つであり、大きな資産です。宇宙開発がそれを破壊することがもしあるとすると、それは重大な損失です。天文学への影響同様に、その影響はスペースX社だけで判断されるものではなく、かかわる人たち全てによって判断されるべきものです。

星空への影響・天文学への影響を推定する根拠を示してください。

「衛星の光度」によってその影響は全く異なります。どんな光度であっても、それを害と感じる人は存在しますが、暗ければ暗いほど影響は少なくなります。衛星の光度を合理的に推測する手段を貴社が提示すれば、それぞれの人が自分の立場での影響を判断できることになり、この問題の改善にむけたアクションがとりやすくなります。

広く英知を結集する

「火星に人類を送り込む」というようなクレージーなチャレンジは、成功すれば人類史最大級の革新となるでしょう。クレージーなチャレンジは、あらゆる場所に想定外の事態が隠れています。より大きな成功を望むのであれば、人類の英知を結集できるような、協力的な関係を多方面と結ぶべきでしょう。

まとめ・新たな宇宙の日常〜すべては衛星の明るさ次第

不確かな状況で結論を下すことは避けておきます。ただ言えることは、人間の活動が環境に与える影響が宇宙にまで及ぶインシデントが今まさに発生しているということです。夜空を明るい衛星が埋めつくすような事態にもしなれば、それはもう元には戻れない変化です。

天文メディアが今さら騒ぐのも「何をしていたのか」という批判を受けてしかるべきことです。日常の様々な事象に対して、絶えず注意と知恵を働かさなくてはならないと痛感しています。

今後にしっかりと注目していきたいと思います。


衛星の光度の見積もり詳細

以下の方法で計算しました。

単位(角)面積当たりの光度を基準とする

地球と人工衛星は、太陽から見るとほぼ同じ距離にあるため、人工衛星の「単位面積当たりの輝度」は地球・衛星間の距離によらず一定と見なします。つまり、衛星の光度は「面積×表面輝度」で決まることになります。ここでの面積は「1平方秒角」とします。

満月の表面輝度を基準とする

便宜的に表面輝度は「満月」をリファレンスとします。満月は半径15分角、254万平方秒角です。満月の明るさを-12.7等級とすると、1平方秒角あたりの光度は3.3等級となります。

ちなみに月の反射率は約7%、白い雲の反射率は70%です。一般に手に入る「真っ黒」な材質の素材・塗装でも1%程度の反射率があります。「白く塗装された外装面」の反射率は70%、黒っぽく塗られた外装面で5%、暗黒に塗られた外装面で1%と仮定します。

衛星の見かけ上の大きさ

https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20190524-00127177/

スターリンク衛星の形状は上のイメージ図から仮定を置きました。大きさは8m×2mと仮定します。太陽電池パネルは衛星から天頂方向に伸びるものと仮定します(この場合、地表面からの見かけの大きさは最小になり、より暗くなる)。このとき地表の方向からの衛星は2m角、4平方メートル。最も明るい場合の1/4の面積(明るさ)になるものと推測されます。

550km上空の2mの物体の見かけ上の大きさは0.75秒角、0.56平方秒角になります。

月と同じ反射率の衛星が天頂にあるとき

以上から、地表から見て2m×2mに見える衛星が満月と同じ輝度で地表から光っているとした場合、その明るさは3.3+0.6=3.9等となります。2m×8mの場合明るさはその4倍、2.4等級となります。衛星の放出直後は太陽電池パネルが水平方向だったとすれば、まあ納得のいく数値かもしれません。

斜めから光が当たる衛星の明るさ

満月の場合、太陽の光が垂直に射し込んだ状態を正面から見ることになりますが、天頂にある衛星は太陽の光を横から受ける形になり、同じ反射率であればより暗く見えるはずです。満月と半月の高度差は2.7等ですが、その通り当てはめると6.6等級となります。

地上高度、地平確度による衛星の明るさの違い

高度が高い衛星ほど地表からは小さく見えるため暗くなります。高度1150kmの衛星は高度550kmの衛星より0.8等暗く、高度340kmの衛星は0.5等明るいはずです。天頂高度をh、地球半径をrとすると、水平線上にある衛星までの距離は√(h^2+2rh)、高度550kmの場合2709kmとなり、光度は2等級暗くなります。高度が高くなるほどこの差は大きくなり、高度1150kmの場合は2.2等、高度340kmの場合は1.5等暗くなります。

ただし、これは同じ輝度の同じ角面積の場合です。実際には輝度は太陽との位置角で変動し、太陽との離角が小さいほど暗く、大きいほど明るくなるでしょう。

結論:素人計算ではなかなか難しい

大体の傾向は見えてきましたが、正確な計算にはほど遠いものです。きちんとした専門家の計算が必要でしょう。明らかに言えることをまとめておきます。

  • 満月と同じ輝度で2m 角の物体が光るとき、距離550kmでの光度は3.9等級
  • 衛星が天頂にあるとき、高度550kmの衛星と比較して1150kmの衛星は0.8等級暗く、340kmの衛星は0.5等明るい
  • 衛星が地平線上にあるとき、距離の影響だけを見ると衛星は高度340km、550km、1150kmでそれぞれ2.2等級,2.0等級,1.5等級暗い
  • 衛星が月と同じ反射率と仮定すると、太陽との離角が180度のとき(満月と同じ)よりも、離角が90度のとき(半月と同じ)の明るさは2.7等暗くなる。
  • 月の反射率は7%。衛星が白塗り(反射率70%)と黒塗り(反射率2%)で塗った場合、明るさは2.9等暗くなる。逆に、反射防止素材による寄与は最大でも2.9等程度。

ネット上の声

ネット上の声を集めています。以下は前記事と同じです。新規のピックアップがあれば上に書き足してゆきます。