【頒布販売は10/31まで!】狭スリット化で性能アップ・トライバーティノフマスクプロト2
2017/10/24追記)
2017/10/7追記)

目次
トライバーティノフマスクとはどんなもの?
こちらが以前ご紹介した「トライバーティノフマスクとは何ぞや?」の記事。光軸を客観的に可視化できる、光条と調節ネジが対応するので合わせやすい、ピント合わせも同時に行える、などのメリットをご紹介しました。
その後、現在星見屋.com様で製品開発が進んでいて、現在プロト2まできています。
狭スリット化とそのメリット
狭スリット化の追求
左がプロト1、右がプロト2。開発が進むにつれ、スリット幅がどんどん狭くなっていることに注目です。
その理由についてお話しましょう。
トライバーティノフマスクの回折像

トライバーティノフマスクは、上の画像のように中心像をとりかこんだ六本の光条で光軸とピントを合わせます。
それぞれの光条は中心側から一次、二次、三次・・・n次の回折像からなり、中心に一番近い一次回折像が最も明るく、以降急速に暗くなってゆきます。
暗星での回折像比較
トライバーティノフマスクでのピント・光軸の合わせやすさのキモはこの光条の明るさと明瞭さ。スリット幅を狭くするほど、光条が明るく・大きく・そして明瞭になります。
上の画像は、光軸はまだ合わせていない状態ですが、比較的暗い星の回折像。拡大倍率は同じ。左が広スリット、右が狭スリット。
暗めの星の場合、一番明るい1次回折像で合わせることになるのですが、右の狭スリット型の方が光条が大きく、見やすくなっていることは明らか。スリット幅が狭い方が、1次回折像の半径が大きく、明るくなるのです。
輝星での回折像比較
こちらはかなり明るい星の場合。同じく、左が広スリット、右が狭スリット。狭スリットの回折像の方が明るく長く見えます。1次回折像だけでなく、nの大きな回折像の明るさも、狭スリット側が勝ります。
「狭スリット化」の課題
このようにスリットを狭くするほど回折像が見やすくなるのですが、逆に製造上の問題が出てきます。自動制御の「レーザーカッター」で加工するのですが、こんなに細い溝が果たして実用に耐えうるのか・・・試行錯誤が続きました。
上はプロトタイプ1。厚手のアクリル樹脂を加工しました。細めのスリットでも問題なく加工でき、厚みもあって安定してはいるのですが、材質が堅くはめ込みにくいこと、衝撃に弱いことなどがわかりました。
そこでプロトタイプ2では薄手のABS樹脂板を採用。しなやかで軽く、さらにスリットを狭くしても問題ありませんでした。
スリットが細かくなると、熱によるダレなど切断面の品質も問題になる可能性があります。レーザーカッターの切断面は写真のようにややザラついていることが心配されましたが、実使用では特に問題はありませんでした。
シュミカセ鏡筒への装着
トライバーティノフマスクは、シュミカセの筒と中央遮蔽部にすっぽりとかぶせて使用します。
薄手のしなやかな材質を使用することで、装着もより簡単になりました。
セレストロンのシュミカセは内側にキャップをはめ込むための出っ張りが付いています。
上の動画のように、マスクを出っ張りの反対側に当てて、回転させながら切り欠きに合わせて落とし込むだけ。
外すときも簡単。スリットが細いのでややつまみにくいのですが、ごらんのようにスポッっと外せます。
このように輪ゴムを通せば取り外しがさらに簡単になりました。
光軸とピント合わせの実践例
編集部で実際に使用してみました。
内外像とトライバーティノフマスク像の比較
まず、一般的な内外像で光軸を合わせてみました。(左)
その状態でトライバーティノフマスクを入れてピントを合わせてみると、微妙なずれが残っていることが分かります。(右)
内外像ではなんとなく合っているように見えても、トライバーティノフマスクを入れるとずれが露わになるのです。
光軸とピントの追い込み
このずれを調節ネジを回して追い込んでいきます。
トライバーティノフマスクの場合、回すべきネジが明らかなのでその点が楽です。
ただし、使用したシュミカセでは、あるネジを回した際にその方向「だけ」動くわけでもないようなので、何往復かは追い込みが必要でした。
光軸を追い込む際は、当然ですが対象の星が中央になるように架台を常に調整すること、ピントも同時に調整しながら行うことに注意です。
シーイングの影響
もうひとつ、シーイングによる影響も無視できません。
上の動画を見ると、星像だけでなく光条も回転軸方向にゆらいでいるのが分かります。
光条を撮影画像で確認する場合は短時間露出は避け、少なくとも数秒以上の露出でゆらぎを平均化する必要があると思われます。
プロト版限定頒布のお知らせ
(2017/10/23追記)
頒布販売の申込は2017年10月31日24時をもって終了します。
(2017/10/7追記、訂正)
・限定頒布が開始しました。価格を追記しました。
・今回の販売はプロト2です。訂正させていただきます。
・お申し込みの際は商品ページをよくお読みの上お願いいたします。
本製品を開発中の星見屋様より、製品化に向けて現在開発中のプロト3版プロト2版(C6、C8、C9.25、C11の4種類)が、数量限定30個で頒布販売の受付が開始されました。ほぼそのまま最終製品になる可能性が高いバージョンです。
おまけ)せっかくなので撮影してみました!
編集部の機材はC8。フラットナーもレデューサもないのでこれまで眼視専用だったのですが、せっかくトライバーティノフマスクで光軸とピントをばっちり合わせたので、大胆にもフルサイズで撮影してみました^^
オリオン大星雲中心部。
シーイングも悪くガイド精度も良くなかったので短秒(1秒露出)の120枚コンポジットです。若干トリミングしていますが、素のシュミカセでもなんとかなるものですね!
シュミカセでの初撮影でしたが、光軸を合わせた時点でピントも合っているというのはとても便利!
今後はシュミカセを撮影でも活用してみるつもりです。
https://reflexions.jp/tenref/orig/2017/10/04/2280/https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2017/10/sparkles4.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2017/10/sparkles4-150x150.jpgレビューアクセサリアクセサリ2017/10/24追記)
トライバーティノフマスク(正式商品名:Sparkles)の頒布販売は2017年10月末日で締め切りとなります。!関連情報を追記しています。
2017/10/7追記)
トライバーティノフマスク(正式商品名:Sparkles)の頒布受付が開始されました!関連情報を追記しています。
この記事の概要シュミカセの光軸・ピント合わせの新兵器「トライバーティノフマスク」。現在プロトタイプ開発が進んでおり、「狭スリット」のメリットを最大に生かしたプロトタイプが完成しています。本記事では「狭スリット型」のメリット、実戦的な光軸合わせ方法、装着の注意点などを作例画像とともにご紹介します!
トライバーティノフマスクとはどんなもの?
こちらが以前ご紹介した「トライバーティノフマスクとは何ぞや?」の記事。光軸を客観的に可視化できる、光条と調節ネジが対応するので合わせやすい、ピント合わせも同時に行える、などのメリットをご紹介しました。
http://reflexions.jp/blog/ed_tenmon/archives/949
その後、現在星見屋.com様で製品開発が進んでいて、現在プロト2まできています。
狭スリット化とそのメリット
狭スリット化の追求
左がプロト1、右がプロト2。開発が進むにつれ、スリット幅がどんどん狭くなっていることに注目です。
その理由についてお話しましょう。
トライバーティノフマスクの回折像
トライバーティノフマスクは、上の画像のように中心像をとりかこんだ六本の光条で光軸とピントを合わせます。
それぞれの光条は中心側から一次、二次、三次・・・n次の回折像からなり、中心に一番近い一次回折像が最も明るく、以降急速に暗くなってゆきます。
暗星での回折像比較
トライバーティノフマスクでのピント・光軸の合わせやすさのキモはこの光条の明るさと明瞭さ。スリット幅を狭くするほど、光条が明るく・大きく・そして明瞭になります。
上の画像は、光軸はまだ合わせていない状態ですが、比較的暗い星の回折像。拡大倍率は同じ。左が広スリット、右が狭スリット。
暗めの星の場合、一番明るい1次回折像で合わせることになるのですが、右の狭スリット型の方が光条が大きく、見やすくなっていることは明らか。スリット幅が狭い方が、1次回折像の半径が大きく、明るくなるのです。
輝星での回折像比較
こちらはかなり明るい星の場合。同じく、左が広スリット、右が狭スリット。狭スリットの回折像の方が明るく長く見えます。1次回折像だけでなく、nの大きな回折像の明るさも、狭スリット側が勝ります。
「狭スリット化」の課題
このようにスリットを狭くするほど回折像が見やすくなるのですが、逆に製造上の問題が出てきます。自動制御の「レーザーカッター」で加工するのですが、こんなに細い溝が果たして実用に耐えうるのか・・・試行錯誤が続きました。
上はプロトタイプ1。厚手のアクリル樹脂を加工しました。細めのスリットでも問題なく加工でき、厚みもあって安定してはいるのですが、材質が堅くはめ込みにくいこと、衝撃に弱いことなどがわかりました。
そこでプロトタイプ2では薄手のABS樹脂板を採用。しなやかで軽く、さらにスリットを狭くしても問題ありませんでした。
スリットが細かくなると、熱によるダレなど切断面の品質も問題になる可能性があります。レーザーカッターの切断面は写真のようにややザラついていることが心配されましたが、実使用では特に問題はありませんでした。
シュミカセ鏡筒への装着
トライバーティノフマスクは、シュミカセの筒と中央遮蔽部にすっぽりとかぶせて使用します。
薄手のしなやかな材質を使用することで、装着もより簡単になりました。
https://youtu.be/Zv8laiXe17I
セレストロンのシュミカセは内側にキャップをはめ込むための出っ張りが付いています。
上の動画のように、マスクを出っ張りの反対側に当てて、回転させながら切り欠きに合わせて落とし込むだけ。
https://youtu.be/5Ai102uHdnU
外すときも簡単。スリットが細いのでややつまみにくいのですが、ごらんのようにスポッっと外せます。
このように輪ゴムを通せば取り外しがさらに簡単になりました。
光軸とピント合わせの実践例
編集部で実際に使用してみました。
内外像とトライバーティノフマスク像の比較
まず、一般的な内外像で光軸を合わせてみました。(左)
その状態でトライバーティノフマスクを入れてピントを合わせてみると、微妙なずれが残っていることが分かります。(右)
内外像ではなんとなく合っているように見えても、トライバーティノフマスクを入れるとずれが露わになるのです。
光軸とピントの追い込み
このずれを調節ネジを回して追い込んでいきます。
トライバーティノフマスクの場合、回すべきネジが明らかなのでその点が楽です。
ただし、使用したシュミカセでは、あるネジを回した際にその方向「だけ」動くわけでもないようなので、何往復かは追い込みが必要でした。
光軸を追い込む際は、当然ですが対象の星が中央になるように架台を常に調整すること、ピントも同時に調整しながら行うことに注意です。
シーイングの影響
https://youtu.be/L5qqrA0Hz6M
もうひとつ、シーイングによる影響も無視できません。
上の動画を見ると、星像だけでなく光条も回転軸方向にゆらいでいるのが分かります。
光条を撮影画像で確認する場合は短時間露出は避け、少なくとも数秒以上の露出でゆらぎを平均化する必要があると思われます。
プロト版限定頒布のお知らせ
(2017/10/23追記)
頒布販売の申込は2017年10月31日24時をもって終了します。
(2017/10/7追記、訂正)
・限定頒布が開始しました。価格を追記しました。
・今回の販売はプロト2です。訂正させていただきます。
・お申し込みの際は商品ページをよくお読みの上お願いいたします。
本製品を開発中の星見屋様より、製品化に向けて現在開発中のプロト3版プロト2版(C6、C8、C9.25、C11の4種類)が、数量限定30個で頒布販売の受付が開始されました。ほぼそのまま最終製品になる可能性が高いバージョンです。
正式商品名は「Sparkles」になります。
送料・税込みで価格は以下の通りです。
セレストロン C6用 : 5,700円
セレストロン C8/Edge HD800用 : 6,750円
セレストロン C9.25/Edge HD925用 : 8,300円
セレストロン C11/Edge HD1100用 : 9,850円
頒布予定数は各30個、納期は年内となります。
頒布販売の申込は2017年10月31日24時をもって終了します。
●星見屋.com商品紹介ページ
http://hoshimiya.com/?pid=123235076
・このページからは購入できません。価格0円のダミー商品になっています。
・商品内容、頒布販売の詳細をこちらでご確認ください。
・今回の頒布対象は、天リフでご紹介したものと同じ「プロト2」となります。
●頒布販売申込みページ
https://goo.gl/forms/SB9Lepga96vAsolH2
・星見屋様の通常商品とは異なり、このページからのみの申込となります。
・こちらに必要情報をご入力いただき、送信ください。
おまけ)せっかくなので撮影してみました!
編集部の機材はC8。フラットナーもレデューサもないのでこれまで眼視専用だったのですが、せっかくトライバーティノフマスクで光軸とピントをばっちり合わせたので、大胆にもフルサイズで撮影してみました^^
オリオン大星雲中心部。
シーイングも悪くガイド精度も良くなかったので短秒(1秒露出)の120枚コンポジットです。若干トリミングしていますが、素のシュミカセでもなんとかなるものですね!
シュミカセでの初撮影でしたが、光軸を合わせた時点でピントも合っているというのはとても便利!
今後はシュミカセを撮影でも活用してみるつもりです。編集部山口
千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
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