みなさんこんにちは!梅雨入りの声も聞こえ始めた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。「最近面白い鏡筒がない」なんてぶつぶついいながら、望遠鏡販売店のサイトを徘徊されていませんか?!

そんなあなたのために、今回はとっておきの鏡筒をご紹介します。笠井トレーディングから販売されている、GS-150CC(CCは「クラシック・カセグレン」の略)です。

笠井トレーディング・GS-150CC
http://www.kasai-trading.jp/gs150cc.html

「純カセグレン」鏡筒の立ち位置とは

純カセグレンの特徴

https://ja.wikipedia.org/wiki/カセグレン式望遠鏡 主鏡は放物面、副鏡は凸の双曲面です。

「(純)カセグレン式」の反射望遠鏡は、古くから「ニュートン式」と双璧をなしていたクラシックな形式です。主鏡はニュートン式反射と同じ放物面、副鏡は凸双曲面。設計上は光軸上では色収差・球面収差ともゼロ。しかもコマ収差が比較的少なく同一F値のニュートン反射と同程度で、F値が大きい場合でも鏡筒を短くできるのが特徴です。

RC(リッチー・クレチアン)、純カセグレン、ダルカーカムのスポット図の比較。RCはコマ収差の補正が良好で補正レンズと組み合わせて明るいF値と広い視野が得やすいのが特徴。ダルカーカムはコマ収差が大きく周辺の悪化が大きいですが、副鏡が球面であるため製造・調整が比較的容易で安定した品質を実現しやすいのが特徴です。 http://www.kasai-trading.jp/gs150cc.htmlより引用。

このため、中型以上の反射望遠鏡、特に公共施設や観測用途の反射望遠鏡の多くに採用されてきました。その一方で、曲率の大きな非球面の副鏡の製造や、光軸などの調整が難しいことから、小口径の反射望遠鏡としては長い間廃れてしまっていたのが現状でした。

反射望遠鏡の歴史とカセグレン再登場の理由

古来「反射望遠鏡」を高価なものにしていた最大の理由は「非球面」の反射鏡の製造の難しさでした。職人技で大口径の放物面鏡を研磨する技術は確立していたものの、安定した品質で安価に製造することが可能になったのは近年(21世紀以降)のことです。しかし、今では30cmクラスであっても高精度の放物面鏡は数万円程度で入手が可能なくらいにまでなっています。

また、放物面の主鏡だけでなく、高次の非球面鏡を主鏡・副鏡に配したRC(リッチー・クレチアン)のような反射望遠鏡も、同じGSO社のGS-200RCなど比較的安価に供給されるようになっています。現代においては非球面を多用した天体望遠鏡は「普通に」製造できるようになってきているのです。

そんな中、現代に再生したクラシックな光学系が「純カセグレン」であるといえます。非球面鏡も、光軸がほとんど狂わない堅牢な鏡筒も、もう普通に作れる時代になってきています。純カセグレンを難しくしていた技術的な壁はもうクリアされているのです。しかも、F値を大きく取れば補正レンズを使用しなくても良好な周辺像が得られるという特徴は、最新のデジタル天体写真の方向性とも一致します。

GSO社のクラシックカセグレンがなぜ今ようやく登場したのかは、単純に、マーケティング的な事情であると推測します。さまざまな製品が存在する中で(*)、クラシックカセグレンはどんなポジションに置かれるのか。どんなユーザーの使用用途にマッチするのか。それが明確になった時が「純カセグレン」がリバイバルする時でしょう。そしてそれが「今」であると確信しています。

(*)F12〜F10のドールカーカム・F10クラスのシュミカセ・F8クラスのRC・F6〜F4のニュートン反射+コマコレクタ、F2.8クラスのε、F2クラスのRASAまで、反射望遠鏡のラインナップは多岐におよんでいます。その中で「F12」の領域に再登場したのが純カセグレンであるといえます。

以下、編集部で使用した結果をふまえ、「純カセグレン」が他の製品と比較してより魅力的になるであろうケースを、順にご紹介していきます。

長焦点のディープスカイ撮影鏡筒として

コスパ最強!純カセグレン伝説

GS-150CCでの撮影風景。福岡市中心部から10キロ程度離れた中程度の光害地です。Fの暗い鏡筒で輝度の高いディープスカイを撮る場合、それなりに光害があってもちゃんと作品になってくれます。光害カットフィルターはあえて使用せず光量を確保する作戦で撮影しました。

補正レンズを使用しない「素」の状態でもフルサイズでの撮影が十分に可能。このことはGSO社のクラシックカセグレンの最大の特徴として特筆するべきでしょう。純カセグレンはニュートン反射と比較して、コマ収差がほぼ同じで像面湾曲がやや大きくなるのですが、F値が12と大きいため、実用上ほぼ問題ない範囲に収まるのです。

GS-150CCの場合は口径152mmF12。焦点距離は1824mmとかなりの長焦点になります。このスペックでフルサイズ対応の反射望遠鏡は他には存在しません。しかも価格は5.8万円(税抜)です。補正レンズなしの鏡筒ぽっきりで(*)焦点ディープスカイの撮影システムが完成するのです。

(*) 光学系のみ。赤道儀・カメラアダプタ等は当然ですが別途必要です。

ただし「F12」と暗いため、淡い対象には向きません。明るいメジャー天体や、輝度の高い惑星状星雲・銀河などが主なターゲットになります。一昔前はF12という「暗い鏡筒」は撮影用途では見向きもされなかったのですが、最近の高感度のデジタルカメラであれば、対象を適切に選べばF値=12は総露出時間でカバー可能な範囲なのです。

では、能書きはこのくらいにして作例を見ていきましょう。

作例1.木星状星雲

α7S(改) GS-150CC(D=152mm,fl=1824mm、F12)直焦点 ISO8000 10sec*85 フラットあり、ダークなし DSSでDrizzle x3 、トリミング SXPノーガイド 福岡県今津  月齢8.7

まずはファーストライト。「NGC 3242(木星状星雲)」です。総露出時間はわずか14分ほどですが、それなりに満足のいく解像感の仕上がりになりました。重量5.3kgという比較的コンパクトな鏡筒でありながら、焦点距離は1824mm。5.8万円(税抜)の鏡筒のお手軽撮影でこのリザルト。これは画期的かもしれません。

惑星状星雲は、長焦点の反射光学系でラッキーイメージング的に撮られることが増えています。小さな対象を日の丸構図で取る場合は、周辺像の悪化の問題はあまり問題にならず中心像一本勝負。補正レンズなしのシュミカセやドールカーカム光学系でも十分撮影が可能な対象ですが、「お手軽さ」「低価格」という点で、惑星状星雲はGS-150CCのメリットを大きく発揮できる対象のひとつといえるでしょう。

作例2.M42

α7S(改) GS-150CC(D=152mm fl=1824mm F12)直焦点 5秒×900 ISO12800 フラットあり、ダークなし、Lフィルターのみ SXPノーガイド 福岡市今津 月齢8.7

セカンドライトは、周辺像を確認する意味でM42をフルサイズいっぱいで撮影してみました。総露出75分ですが、1コマあたり5秒露出の短秒撮影です。大星雲の中心部の細かな構造や羽根を広げたようなヒダ、M43の周囲の暗黒部の切れ込みなど、短焦点鏡筒では得られない解像感はおおいに迫力があります。

周辺にいくほど星像がやや楕円形になってはいますが、汚い流れではなくじゅうぶんに許容範囲です。純反射の光学系なので色ハロ・色コマが皆無であるのも、写真撮影的には大きなメリット。強く強調してもハロの色が浮いたりすることがありません。

ただし、F12の光学系では「エアリーディスク(*)」径が15μ程度にもなるため「針の先で突いたような像」にはなりません。あまりピクセルピッチの小さなセンサーのカメラを使用しても効果は少なく、ピクセルの大きめのカメラで広いイメージサークルを生かす戦略が有効でしょう。その点、ピクセルピッチ8μで高感度に強いα7Sはベストマッチかもしれません。

(*)光の回折による像の滲み(ボケ)を考慮した点像の大きさ。F値によってのみ決まり、F値が小さいほど径が小さくなります。

上の画像は、フラットなしの撮って出し画像をレベル切り詰めしたもの。周辺減光もマイルドで、フルサイズでも十分な周辺光量です。ただし、F12であるがゆえにセンサーのゴミは相当に目立ってしまいます。フラットは非常に素直なのでPSの周辺減光補正でも十分可能ですが、センサーゴミ補正の意味でフラットはむしろ必須でしょう(*)。

(*)参考までに使用したフラット(LEDパネルを撮像して生成したDSSのマスターフラット)を以下に置いています。http://reflexions.jp/test/GS150CC_MasterFlat_ISO400.tif

上の画像を見てもわかるように、M42のような明るい天体の場合、F12という暗いF値の短秒露出であっても、十分に対象を捉えることができることがわかります。デジタルカメラならISOを、CMOSカメラならゲインを高めに設定するのがポイント。そのかわり枚数を増やすことで総露出時間を稼ぎます。

作例3.しし座トリオ

GS-150CC(D-152mm fl=1824 F12) α7S ISO12800 20秒*335) flat*32、ダークなし DSSでrawファイルをコンポジット、FlatAidProでレベル自動補正+対数現像 EQ5GOTO赤道儀 ノーガイド 福岡市今津

3つ目の作例はしし座のトリオ銀河。フルサイズ対応のGS-150CCの広いイメージサークルが生きる対象です。淡いNGC 3628の「しっぽ」はさすがにこの露出時間では出てこないので潔くあきらめて、写野一杯に3つの銀河をおさめてみました。M65とM66の腕のディテール、NGC 3628のゴワゴワした暗黒帯をとらえることができました。総露出時間は110分ほど、もう3倍〜5倍くらい撮り増しすれば、もっと滑らかな画像になるでしょう。

GS-150CCの「1824mm」という焦点距離を数字だけで見ると「オートガイド必須」「オフアキ必須」と思われるかもしれませんが、星像径が大きめなので実は意外とガイド精度には寛容です(*1)。しかも20秒という短秒露出なので、オートガイドすらしていません。使用した赤道儀は10万円を切るSky-WatcherのEQ5GOTO赤道儀。鏡筒と合わせても15万円を切ります(*)。ディープスカイ撮影用のコスパ最強の組み合わせといえるでしょう。

(*1)ただしシャッターショックのないカメラが必須です。EOS6Dでも撮影したのですが、シャッター・ミラーショックでブレ画像を量産してしまい、α7Sのサイレントモードで撮影しました。

(*2)使用したカメラ「α7S」も、中古品を探せば10万〜13万程度で入手することが可能です。

コンポジット直後の画像をレベル調整・カラーバランス補正のみしたもの。ダメージ系の処理は一切行っていません。

しし座トリオの作例の等倍拡大画像を参考までに添えておきます。主に像面湾曲により、周辺にいくほど星像径は大きくなります。これをもって「フルサイズでも使用可能」というのは筆者の主観です(*)。最終的な判断はご自身でお願いいたします。

(*)周辺の星像は像面湾曲のため確かに大きくなるので完璧ではありませんが、色コマもなく形状が非常に素直であること、中心像の2倍程度に収まっていること、周辺光量が十分にあることから、フルサイズでもじゅうぶん使用可能であると判断しました。

眼視性能を評価する

お手軽観望

ペンタックスXW20mm90倍でカストルを観望中。バックフォーカスが175mmもあるため、2枚構成の正立ミラー(MATSUMOTO EMS-US)でもピントが出ます。写真のファインダーはビクセン互換の手持ちのもので製品には付属しません。架台はビクセンのAPマウント経緯台バージョン。

では、眼視性能はどうでしょうか。

お手軽観望のコンセプトで経緯台マウントに載せてみました。重量5.3kgのGS-150CCは、少し無理すればポルタIIやAZ-GTiなどの経緯台に搭載できなくもない重量(*)。今回は耐荷重8kgのビクセンAPZマウントを使用しました。

(*)若干無理目ではあります。自己責任でお願いいたします。

まず、ふたご座の二重星カストルを見てみました。かつては離角1.5秒角ほどだったカストルA,Bも、現時点での離角は10秒角ほど。楽勝で分離できるのですが、合焦位置では2つの星にジフラクションリングがとりかこんでいるのがわかります。2枚のミラーのみの望遠鏡なので視野中心では色づきも全くありません。焦点内・外像もほぼ対称。早春(3月)の普通のシーイングで極限の解像力は確認できませんでしたが、光学系の完成度的にはじゅうぶんに満足できるものだと感じました。

眼視観望の場合、GS-150CCの焦点距離1824mmなのでそれなりに高倍率寄りです。40mmアイピースで45倍あたりが最低倍率となるでしょう。導入するにはちょっと高めなのですが、こぶりな星雲星団を観望するにはちょうどいい感じでしょう。

GS-150CCのサイズは、お手軽観望というには若干大きめですが、口径152mmの集光力は8cmクラスの屈折と比較すればやっぱり強力。そのほか、M42、M35、しし座トリオなどの観望を楽しみました。それに、なんといっても5.8万円(税抜)はおサイフに優しいですね^^

シュミカセ・3枚玉アポ・ニュートン反射と比較してみた

上:GS-150CCとイーソス6mm、下左:奥が203mmシュミカセ、下中:104mm3枚玉アポ、下右:13cmニュートン反射

ベランダから同一夜に木星・月・土星を観望してみました。GS-150CCに加えて、口径203mmのシュミットカセグレン望遠鏡、口径104mmの3枚玉アポクロマート屈折望遠鏡、口径130mmのニュートン反射望遠鏡の4台を並べて比較です。

結果は単純明快。まず、コントラストが一番高く木星の縞模様が一番すっきり見えるのは、歴然と3枚玉104mmアポ屈折です。一般の人に「どれが一番良く見える?」と訊けば、だれもがこれだと言うでしょう。副鏡遮蔽のないアポ屈折のアドバンテージはすごいものです(*)。一方で、反射の3台はコントラストという意味ではどれも同じくらいに感じました。

(*)高倍率を得るために2.5倍のバローレンズを使用しましたが、それでも差は明らかでした。

しかし、シーイングが落ち着いた瞬間の解像力は口径の順番です。このとき、ちょうど木星のガニメデの影が木星面に落ちていたのですが、そのエッジの鋭さは比較した4台で、明らかに口径の順で違いました。大口径の反射では鋭く見える影のエッジが、104mmアポ屈折では若干ボケたように感じます。ただし、この違いはじっくり眺め続けて、シーイングが落ち着いた瞬間にしかわかりません(*)。

(*)いわゆる「色にじみ(軸上色収差)」はどれも感じられないのですが、地平高度が低いためか、どれも大気の屈折による色づきが気になります。また、視野の中心にしっかり導入しておかないと、周辺になるにつれアイピースの収差で色づきが出てきます。

当然ですが光量の違いも口径順です。木星や月面は比較的明るいのであまり差は感じないのですが、表面輝度の低い土星を見ると、大口径ほど光量の分だけ良く見えるように感じます。

まとめると「眼視の場合は」「コントラストなら屈折」「解像力は口径で決まる」「明るいのは大口径」という、まあ考えてみると当たり前の結論になりました。しかし、この「当たり前」が実現しているのは「きちんと製造され設計通りの性能を発揮している」ことにほかなりません。

越えられない壁、反射望遠鏡の中央遮蔽

GS-150CCの副鏡とスパイダー(支持金具)。解放鏡筒の反射望遠鏡では、この2つの存在は宿命でもあります。

「コントラストなら屈折」というところを補足しておきます。反射望遠鏡の場合、いくつかの理由でコントラスト的には屈折よりも不利です。その中で構造上避けることができないのが副鏡による「中央遮蔽」です。

一般的に反射望遠鏡はこの副鏡(とその支持金具)による回折がコントラストを低下させる大きな要因となります(*)。中央遮蔽(副鏡)が小さいほどその影響は小さくなりますが、逆にイメージサークルも小さくなります。また、特にカセグレン系では副鏡を極端に小さくすることが困難。反射望遠鏡の宿命でもあります。

(*)眼視用では主鏡径の1/4から1/3、写真用で1/3から1/2程度の製品が多いようです。一般的にカセグレン系の反射望遠鏡では、同じイメージサークルを確保するためにはニュートン式反射望遠鏡と比較して、より大きな副鏡が必要になります。

小型反射望遠鏡の口径・焦点距離・F値・副鏡遮蔽率。ε180ED、BKP130はニュートン系、他はカセグレン系です。

GS-150CCの場合、主鏡径152mm、斜鏡径は57.5mm。中央遮蔽率は38%とやや大きめですが、同口径のシュミットカセグレンと同じくらいの大きさです(*)。一般に中央遮蔽率が1/4より小さくなると回折によるコントラスト低下はほぼ気にならないと言われていますが、1/3を越えると明らかに差を感じるようになり、1/2ともなると眼視用には不適とされています。その意味では、GS-150CCは中央遮蔽が大きい割には健闘しているといってもよいかもしれません。

(*)カセグレン系の望遠鏡、特に小口径の場合は、副鏡遮蔽が大きめになるのは仕方のないことだといえます。

設計上「軸上完全無収差」である純カセグレン光学系は、「最高の出来なら最高の見え味だろう!」と過度に期待してしまうかもしれませんが、このような副鏡遮蔽率を考慮すると一定の限界があることは心に留めておいたほうがよいと思います(*)。

(*)ニュートン反射の場合は、副鏡を可能な限り小さくし究極の眼視性能を目指す方向性もあるはずなのですが、実際にはそのような製品がほとんど存在しないのがちょっと残念です。

惑星を撮影してみた

シュミカセと比較してみた

左が203mmシュミカセ、右がGS-150CC。いずれもバロー・ADCなしの直焦点。大きさは焦点距離の差です。ASI294MCで撮像した1分間の動画から60%をスタック、同一パラメータでWavelet処理

木星を撮影して比較してみました。眼視の場合と異なり、写真の場合は画像処理でコントラストを調整することができるため、眼視の際に歴然だったコントラストの違いは簡単に埋めることができ、口径による解像度の違いがより優位になってきます。写真では屈折鏡筒の「コントラスト優位」はあまり効いてこないのです(*)。

(*)多数枚の動画をコンポジットする撮影法においては、口径による「光量」の差も大きな違いになって現れてきます。大口径ほどゲイン(感度)を下げて(ないしはシャッタースピードを短くして)撮影でき、wavletのような強い強調に耐える画像となるからです。

上の画像は左が203mmシュミカセ、右がGS-150CCです。スタック後の画像に対して全く同じ画像処理をかけています。筆者の浅い惑星撮像経験では、両鏡筒ともに本来の能力を発揮できていないとは思うのですが、どのくらいの違いがあるのかを見ていただければと思います。

惑星撮像では口径とシーイングが決定的要素

惑星や月の撮影のように、解像力の限界性能が問題になる場合、同じ製造品質であれば決定的な要因は「口径」です。光軸上での設計上の解像力は、同じ口径であればシュミカセ・ニュートン・純カセグレン・3枚玉アポいずれも大きくは変わらないはずです(*)。

(*)もちろん「コントラスト」は異なります。

その意味では、より大口径を安価に手に入れられること、温度順応や光軸など本来の性能を発揮しやすいことが重要です。GS-150CCは惑星撮像においても高いコストパフォーマンスを発揮するといってよいと思います(*)。

(*)上記画像を撮像した日は「まあまあ普通」のシーイングでした。最高レベルのシーイングで比較するとどうなるかは今回の結果ではなんともいえませんが。。

外観インプレッション

順序が逆になりましたが、製品の外観を見ていきましょう。

低膨張率の溶融石英を使用した主鏡と副鏡

溶融石英が使用された主鏡と副鏡。ミラーの反射率は1面97%の増反射メッキです。右の画像の奥に見える○は副鏡のセンターマーク。

GSO社の反射望遠鏡の多くでは、熱膨張率が小さく(青板ガラスの1/20、パイレックスの1/8程度)、温度による変形が少ない「溶融石英」が使用されています。これはGS-150CCでも同様で、より精密な研磨加工が可能になる、運用時の鏡材に温度ムラが残っていたとしても鏡面の狂いがより少なくなる、などのメリットがあります。

また、光学系の研磨精度は波面誤差PVが1/6λ以内、RMSが1/30λ以内とされており、これはGSO社のRC鏡筒やニュートン反射と同じスタンダード。この精度であれば、実視のインプレッションでも触れたとおり、純カセグレンというシンプルで優れた設計のメリットを発揮できているものと思います。

鏡筒内部のバッフル

鏡筒内部には8枚の遮光環が入っていて内面反射を防止しています。4本のスパイダーは肉厚1.5mmでがっちり固定されています。

鏡筒内部にはGSO社の他の鏡筒と同様、多数の遮光板が入っていて内面反射を抑制しています。副鏡部は太いスパイダーで支えられていて光軸の安定性を担保しています。後述しますが、使用開始から3ヶ月の間で全く狂うことはありませんでした。

接眼部

接眼部(右)と主鏡セル部(左)は大きな取付リングを介してねじ込む形になっています。接眼部の銀色のリングを緩めると、接眼部を自由に回転させることができます。ピント調節はクレイフォード式。主鏡セル部には3組の押し引きネジがありますが、これらには基本的にはノータッチ。

接眼部は精密感のある高品位なもの。オプションでより堅牢な接眼部を選択することもできますが、軽量なデジタル一眼を装着しあまり長時間の露出をしない範囲では標準構成でも十分ではないかと感じました。

Fが12と暗いこともあり焦点深度が深く、デュアルスピードフォーカサーの微動側ではピークを掴むのが逆に難しいかもしれません。ディープスカイ撮影の場合はバーティノフマスクが有効でしょう。

空に向けて接眼部をのぞいたところ。
主鏡バッフル(接眼部から副鏡へと伸びる遮光用の筒)には遮光環は入っていませんが、カセグレン系の写真鏡筒の場合、イメージサークルを広く確保する上では内径を絞ってしまうような大きな遮光環を入れることができません。このあたりも反射望遠鏡のデザインとしてなかなか悩ましいところですが、写真メインで使うのであればこちらの方が良いかもしれません。

接眼部の繰り出しストロークは約35mm。もう少しストロークが欲しいところではありますが(*)、その代わりとして長さ最大100mmとなる延長筒が3つ付属していて、機材に合わせて接眼部のバックフォーカスを調整できるようになっています。この付けはずしはねじ込みで行うのですが、それなりに面倒。写真と眼視・直視と90度視を切り替えるような場合には延長筒の付け外しが必要です。

(*)この点、主鏡全体を前後に動かして合焦を行うシュミットカセグレン形式はストロークが大きく、「ミラーシフト(合焦機構のわずかなクリアランスのために主鏡が動いてしまいピント合わせ時に対象がわずかにズレてしまうことがある)」という別の問題もあるものの、使い勝手では一長があるといえます。

手前の3つのリングが光路長調整用のM90リング。25mmが2個、50mmが1個付属します。接眼部の内筒、M90mリングともに内面反射防止処理は丁寧で、細かなスジが入った上につや消し黒塗装がされています。

光軸調整とメンテナンス

光軸調整は「不要」という前提

主鏡(左)、副鏡(右)の調整ネジ。手を触れていないので光軸調整についてはよくわかりません^^;; シンプルな構造なので、基本的には筐体側で精度を保ち、この2つの機構で追い込むという製造方法なのでしょうか。

主鏡・副鏡がともに非球面の反射光学系は、一般に光軸調整が難しいといわれています。ニュートン式のように自分で分解して組立直すようなことは基本的には想定されておらず、メーカー側できちんと調整した上で出荷し、基本的には「狂わないという想定」になります。一般に「(主鏡も斜鏡も非球面である)純カセグレンは光軸調整が大変」といわれていますが、こちらはタカハシのミューロンやGSO社のRC鏡筒と同様、自分で調整するものではないと考えるべきでしょう。

1000km走破しても狂わなかった光軸

商品発送時の梱包。厚肉のスチロールと2重の段ボール。日常使用のケースとして使うには、延長筒が50mm以上になると収納できないのが残念なところ。ただし、外箱を別に確保すればスチロールはそのまま簡単に流用できるでしょう。

今回使用した製品では、光軸の狂いはなくきっちり調整されていました。また、出荷時の段ボール・発泡スチロール梱包(上の画像)のまま車の後部座席に積んで1000kmほど走っていますが、現在も狂うことなく光軸はきっちり合っています。まだ3ヶ月程度の使用ではありますが、通常の使用で光軸の狂いを心配する必要はなさそうです。

なお、仮に強い衝撃を与えるなどで光軸が狂ってしまった場合は、販売店でのオーバーホール対応となります。(*)。

(*)新品で正規販売店で購入した場合、基本料金5000円(税抜)+往復送料、納期は受領後数日から1週間程度。中古品、並行輸入品は別価格になります。詳細はこちらをご参照ください。

「解放鏡筒」の注意点とメリット

解放鏡筒は収納時にも使用時にも気を遣います。使わないときは付属のキャップをまめにかぶせるくらいしかやることはないのですが^^

筒先が閉じていない「解放鏡筒」の反射光学系の場合、長期間の使用においては主鏡の汚れ対策が問題になります。自分で分解して主鏡を清掃するわけにはいかないからです(こちらも光軸調整と同様にオーバーホール対応となります)。

使用しない際はまめにキャップをすることや、海辺などの水しぶきが多い場所での使用を避ける、花粉や黄砂の多い季節はなるべく使わないなどの気をつかった方がよいかもしれません。

一方で、温度順応が早いという解放鏡筒のメリットもあります(*)。熱伝導率の低いガラス材は、外気よりも冷えるのが遅く、空気の対流を引き起こす熱源になります。解放鏡筒の場合は主鏡で暖められた空気が筒先から逃げてくれるため、より「冷えやすい」といえます。

(*)シュミカセのような「閉鎖鏡筒」の方が筒内気流が少ない、という記述も見かけますが、主鏡温度が外気より高い場合に「冷えにくい」というデメリットの方がむしろ大きいのではないか、という認識が最近では多いようです。

どんな用途に向いているか

久しぶりの登場、脳内ユーザーの声です。年齢、コメントは編集部が創作したもので、登場する人物とは全く関係ありません。フリー素材「PAKUTASO」を使用しています。https://www.pakutaso.com

長焦点ディープスカイ撮影を手軽に楽しむ

GS-150CCが一番「はまる」のは、既に小型・短焦点距離の望遠鏡と赤道儀をお持ちの方でしょう。そんな方ならこの鏡筒を一つ買い足すだけで、カメラレンズや小型鏡筒よりも安い投資で、ディープスカイの拡大撮影が体験できます。「焦点距離1800mmのガイドなんてできるかなあ」と思われるかも知れませんが、赤道儀に合わせて露出時間を短くすればノーガイド(ノータッチガイド)でもぜんぜんOKです(*)。

(*) ただし・・赤道儀によっては風が吹くとお手上げですが–;;

初めての眼視鏡筒として

撮影派全盛の昨今ですが、たまには星を肉眼でじっくり眺めるのもよいものです。でも「観望専用」に新しい筒が「生える」のはなんだかもったいない気もしますね。でもGS-150CCなら、眼視・撮影の「両刀」をバランス良く楽しむことができます。まあ上を見ればキリがないのがこの世界ですが、エントリ6万円なら「ポチッ」と届く範囲かも?!

他製品との比較

前節の内容と若干かぶりますが、GS-150CCと他の製品の比較を簡単にまとめてみました。

GS-200CCとGS-150CC

左がGS-200CC、右がGS-150CC。200CCはアリガタがビクセン互換・ロスマンディ互換の2本が上下に付いています。笠井トレーディングHPより。

GS-150CCには口径203mmのモデルGS-200CCもあります。F値は同じ12、全長は10cm長い620mm、重量は8.1kg。価格は11.8万円(税抜)です。サイズ的にはやや大きくなりますが、価格的には口径20cmとしてはやはりお値頃。口径分の光量・分解能の向上が見込めるので、8kgの鏡筒を安定して運用できる架台があれば、ワンサイズ上のGS-200CCという選択も大いにアリでしょう(*)。

(*)個人的には手軽に長焦点を楽しめるのは150のような気がしますが、低価格・大口径のクラシックカセグレンは20cmでもなかなか魅力的です。

シュミカセとの比較

セレストロンC8(口径203mmF10)とGS-150CC。口径は1ランク異なるのでGS-150CCの方が細身です。

眼視用途メインなら口径150mmクラスのシュミカセやマクストフとの比較になります。上の画像は1ランク口径の大きなC8との比較ですが、長さは同じくらいで太さはやや細身。GS-150CCは光軸の狂いにくい反面、同一口径であればややシュミカセよりも重く、大きいようです。

光学性能の違いは同一口径モデル同士で比べたわけではないので断定はできませんが、同一口径であれば価格はGS-150CCの方がより安価。ディープスカイ撮影用途であれば、F値はやや暗くなるものの補正レンズ要らずでイメージサークルが広く周辺像がより良好な150CCが適していると感じました。

GS-200RCとの比較

左がリッチー・クレチアンのGS-200RC、右がGS-150CC。

笠井トレーディングからは同じくGSO社の「リッチー・クレチアン鏡筒」GS-200RCが販売されています。F値はF8と明るく、全長は同じ520mm、重量はカーボン素材が採用されていることもあり比較的軽量な6.4kg。価格は15.2万円(税抜)です。

RCとCCは1文字違いですが、まったく性格の異なる鏡筒です。RCは副鏡遮蔽が46.8%もあるので、解像力を要求される惑星などの眼視や撮影には不向きですが、フラットナー・レデューサとの組み合わせて使うディープスカイ撮影専用鏡筒、といえるでしょう。

RCシリーズには口径15cmのモデルはありません。汎用性・お手軽・低価格を求めるなら150CCの一択だと思います。逆により本格的にディープスカイ撮影をしたいなら、GS-200RCの選択も有力でしょう。

短焦点ニュートン反射との比較

Sky-Watcher BKP130(口径130mmF5)とGS-150CC。ニュートン式とはまったく位置づけの異なる鏡筒です。

これも全く用途の異なる鏡筒です。眼視にせよ写真にせよ、そもそも向いている対象が全く違う製品で、広角レンズと望遠レンズくらいに違います。撮影対象に応じて使い分けるというのが適切でしょう(*)。

(*)悪魔のささやき的には、焦点距離がかぶらないので両方持っていても損はありません。お手軽な価格であるGS-150CCなら「ニュートン反射に加えてもう1本!」いかがでしょうか^^

まとめ

GS-150CCで西に傾いたオリオン大星雲を撮影中。50mmの延長筒、タカハシの2インチスリーブカメラアダプタを付け、この位置でピントが出ています。架台はSXP赤道儀。

いかがでしたか?

GS-150CCは、非常にコスパに優れた鏡筒です。光学設計的に優れた特長をもった「純カセグレン」を現代の技術で製造すればここまで安価で高品質になる。これが第一の存在意義だと感じました。

税込6万円強で口径15cm・焦点距離1800mmの世界が手に入る。反射式固有の取り扱いのデリケートさはあるものの、それさえ厭わなければ8cmクラスの小型アポ鏡筒以下の価格で、はるかに集光力と分解能に優る鏡筒が手に入るのです。

しかも、補正レンズなしの素のママでフルサイズの撮影が楽しめます。屈折鏡筒の場合、優れたレデューサ・フラットナーはけっこうな価格。高級レデューサよりも安い汎用鏡筒と見なせば、これほどお買い得感のある鏡筒はないのではないでしょうか。

さらに「再度の(^^)悪魔のささやき」的には、F12・焦点距離1800mmというレンジは、短・中焦点の機材とはまったくかぶりません。同じような焦点域の鏡筒やレンズを追加してしまうくらいなら、思い切って長焦点に振ってみるのもアリかもしれません(*)。

(*)もちろん、それが「沼への入り口」にすぎないことは全く否定しません。でも「やらぬ沼よりお安い沼」の方がより幸せ・・・ではないでしょうか^^

GS-150CCの登場で「お手頃な天体望遠鏡」「長焦点の反射望遠鏡」の選択肢がさらに広がったと感じました。


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http://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/06/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-1024x538.jpghttp://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/06/fc6927a4cd7fc6f068de9eb5d3ae4aff-1-150x150.jpg編集部新着天文機材・動画みなさんこんにちは!梅雨入りの声も聞こえ始めた今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。「最近面白い鏡筒がない」なんてぶつぶついいながら、望遠鏡販売店のサイトを徘徊されていませんか?! そんなあなたのために、今回はとっておきの鏡筒をご紹介します。笠井トレーディングから販売されている、GS-150CC(CCは「クラシック・カセグレン」の略)です。 笠井トレーディング・GS-150CC http://www.kasai-trading.jp/gs150cc.html 「純カセグレン」鏡筒の立ち位置とは 純カセグレンの特徴 「(純)カセグレン式」の反射望遠鏡は、古くから「ニュートン式」と双璧をなしていたクラシックな形式です。主鏡はニュートン式反射と同じ放物面、副鏡は凸双曲面。設計上は光軸上では色収差・球面収差ともゼロ。しかもコマ収差が比較的少なく同一F値のニュートン反射と同程度で、F値が大きい場合でも鏡筒を短くできるのが特徴です。 このため、中型以上の反射望遠鏡、特に公共施設や観測用途の反射望遠鏡の多くに採用されてきました。その一方で、曲率の大きな非球面の副鏡の製造や、光軸などの調整が難しいことから、小口径の反射望遠鏡としては長い間廃れてしまっていたのが現状でした。 反射望遠鏡の歴史とカセグレン再登場の理由 古来「反射望遠鏡」を高価なものにしていた最大の理由は「非球面」の反射鏡の製造の難しさでした。職人技で大口径の放物面鏡を研磨する技術は確立していたものの、安定した品質で安価に製造することが可能になったのは近年(21世紀以降)のことです。しかし、今では30cmクラスであっても高精度の放物面鏡は数万円程度で入手が可能なくらいにまでなっています。 また、放物面の主鏡だけでなく、高次の非球面鏡を主鏡・副鏡に配したRC(リッチー・クレチアン)のような反射望遠鏡も、同じGSO社のGS-200RCなど比較的安価に供給されるようになっています。現代においては非球面を多用した天体望遠鏡は「普通に」製造できるようになってきているのです。 そんな中、現代に再生したクラシックな光学系が「純カセグレン」であるといえます。非球面鏡も、光軸がほとんど狂わない堅牢な鏡筒も、もう普通に作れる時代になってきています。純カセグレンを難しくしていた技術的な壁はもうクリアされているのです。しかも、F値を大きく取れば補正レンズを使用しなくても良好な周辺像が得られるという特徴は、最新のデジタル天体写真の方向性とも一致します。 GSO社のクラシックカセグレンがなぜ今ようやく登場したのかは、単純に、マーケティング的な事情であると推測します。さまざまな製品が存在する中で(*)、クラシックカセグレンはどんなポジションに置かれるのか。どんなユーザーの使用用途にマッチするのか。それが明確になった時が「純カセグレン」がリバイバルする時でしょう。そしてそれが「今」であると確信しています。 (*)F12〜F10のドールカーカム・F10クラスのシュミカセ・F8クラスのRC・F6〜F4のニュートン反射+コマコレクタ、F2.8クラスのε、F2クラスのRASAまで、反射望遠鏡のラインナップは多岐におよんでいます。その中で「F12」の領域に再登場したのが純カセグレンであるといえます。 以下、編集部で使用した結果をふまえ、「純カセグレン」が他の製品と比較してより魅力的になるであろうケースを、順にご紹介していきます。 長焦点のディープスカイ撮影鏡筒として コスパ最強!純カセグレン伝説 補正レンズを使用しない「素」の状態でもフルサイズでの撮影が十分に可能。このことはGSO社のクラシックカセグレンの最大の特徴として特筆するべきでしょう。純カセグレンはニュートン反射と比較して、コマ収差がほぼ同じで像面湾曲がやや大きくなるのですが、F値が12と大きいため、実用上ほぼ問題ない範囲に収まるのです。 GS-150CCの場合は口径152mmF12。焦点距離は1824mmとかなりの長焦点になります。このスペックでフルサイズ対応の反射望遠鏡は他には存在しません。しかも価格は5.8万円(税抜)です。補正レンズなしの鏡筒ぽっきりで(*)長焦点ディープスカイの撮影システムが完成するのです。 (*) 光学系のみ。赤道儀・カメラアダプタ等は当然ですが別途必要です。 ただし「F12」と暗いため、淡い対象には向きません。明るいメジャー天体や、輝度の高い惑星状星雲・銀河などが主なターゲットになります。一昔前はF12という「暗い鏡筒」は撮影用途では見向きもされなかったのですが、最近の高感度のデジタルカメラであれば、対象を適切に選べばF値=12は総露出時間でカバー可能な範囲なのです。 では、能書きはこのくらいにして作例を見ていきましょう。 作例1.木星状星雲 まずはファーストライト。「NGC 3242(木星状星雲)」です。総露出時間はわずか14分ほどですが、それなりに満足のいく解像感の仕上がりになりました。重量5.3kgという比較的コンパクトな鏡筒でありながら、焦点距離は1824mm。5.8万円(税抜)の鏡筒のお手軽撮影でこのリザルト。これは画期的かもしれません。 惑星状星雲は、長焦点の反射光学系でラッキーイメージング的に撮られることが増えています。小さな対象を日の丸構図で取る場合は、周辺像の悪化の問題はあまり問題にならず中心像一本勝負。補正レンズなしのシュミカセやドールカーカム光学系でも十分撮影が可能な対象ですが、「お手軽さ」「低価格」という点で、惑星状星雲はGS-150CCのメリットを大きく発揮できる対象のひとつといえるでしょう。 作例2.M42 セカンドライトは、周辺像を確認する意味でM42をフルサイズいっぱいで撮影してみました。総露出75分ですが、1コマあたり5秒露出の短秒撮影です。大星雲の中心部の細かな構造や羽根を広げたようなヒダ、M43の周囲の暗黒部の切れ込みなど、短焦点鏡筒では得られない解像感はおおいに迫力があります。 周辺にいくほど星像がやや楕円形になってはいますが、汚い流れではなくじゅうぶんに許容範囲です。純反射の光学系なので色ハロ・色コマが皆無であるのも、写真撮影的には大きなメリット。強く強調してもハロの色が浮いたりすることがありません。 ただし、F12の光学系では「エアリーディスク(*)」径が15μ程度にもなるため「針の先で突いたような像」にはなりません。あまりピクセルピッチの小さなセンサーのカメラを使用しても効果は少なく、ピクセルの大きめのカメラで広いイメージサークルを生かす戦略が有効でしょう。その点、ピクセルピッチ8μで高感度に強いα7Sはベストマッチかもしれません。 (*)光の回折による像の滲み(ボケ)を考慮した点像の大きさ。F値によってのみ決まり、F値が小さいほど径が小さくなります。 上の画像は、フラットなしの撮って出し画像をレベル切り詰めしたもの。周辺減光もマイルドで、フルサイズでも十分な周辺光量です。ただし、F12であるがゆえにセンサーのゴミは相当に目立ってしまいます。フラットは非常に素直なのでPSの周辺減光補正でも十分可能ですが、センサーゴミ補正の意味でフラットはむしろ必須でしょう(*)。 (*)参考までに使用したフラット(LEDパネルを撮像して生成したDSSのマスターフラット)を以下に置いています。http://reflexions.jp/test/GS150CC_MasterFlat_ISO400.tif 上の画像を見てもわかるように、M42のような明るい天体の場合、F12という暗いF値の短秒露出であっても、十分に対象を捉えることができることがわかります。デジタルカメラならISOを、CMOSカメラならゲインを高めに設定するのがポイント。そのかわり枚数を増やすことで総露出時間を稼ぎます。 作例3.しし座トリオ 3つ目の作例はしし座のトリオ銀河。フルサイズ対応のGS-150CCの広いイメージサークルが生きる対象です。淡いNGC 3628の「しっぽ」はさすがにこの露出時間では出てこないので潔くあきらめて、写野一杯に3つの銀河をおさめてみました。M65とM66の腕のディテール、NGC 3628のゴワゴワした暗黒帯をとらえることができました。総露出時間は110分ほど、もう3倍〜5倍くらい撮り増しすれば、もっと滑らかな画像になるでしょう。 GS-150CCの「1824mm」という焦点距離を数字だけで見ると「オートガイド必須」「オフアキ必須」と思われるかもしれませんが、星像径が大きめなので実は意外とガイド精度には寛容です(*1)。しかも20秒という短秒露出なので、オートガイドすらしていません。使用した赤道儀は10万円を切るSky-WatcherのEQ5GOTO赤道儀。鏡筒と合わせても15万円を切ります(*)。ディープスカイ撮影用のコスパ最強の組み合わせといえるでしょう。 (*1)ただしシャッターショックのないカメラが必須です。EOS6Dでも撮影したのですが、シャッター・ミラーショックでブレ画像を量産してしまい、α7Sのサイレントモードで撮影しました。 (*2)使用したカメラ「α7S」も、中古品を探せば10万〜13万程度で入手することが可能です。 しし座トリオの作例の等倍拡大画像を参考までに添えておきます。主に像面湾曲により、周辺にいくほど星像径は大きくなります。これをもって「フルサイズでも使用可能」というのは筆者の主観です(*)。最終的な判断はご自身でお願いいたします。 (*)周辺の星像は像面湾曲のため確かに大きくなるので完璧ではありませんが、色コマもなく形状が非常に素直であること、中心像の2倍程度に収まっていること、周辺光量が十分にあることから、フルサイズでもじゅうぶん使用可能であると判断しました。 眼視性能を評価する お手軽観望 では、眼視性能はどうでしょうか。 お手軽観望のコンセプトで経緯台マウントに載せてみました。重量5.3kgのGS-150CCは、少し無理すればポルタIIやAZ-GTiなどの経緯台に搭載できなくもない重量(*)。今回は耐荷重8kgのビクセンAPZマウントを使用しました。 (*)若干無理目ではあります。自己責任でお願いいたします。 まず、ふたご座の二重星カストルを見てみました。かつては離角1.5秒角ほどだったカストルA,Bも、現時点での離角は10秒角ほど。楽勝で分離できるのですが、合焦位置では2つの星にジフラクションリングがとりかこんでいるのがわかります。2枚のミラーのみの望遠鏡なので視野中心では色づきも全くありません。焦点内・外像もほぼ対称。早春(3月)の普通のシーイングで極限の解像力は確認できませんでしたが、光学系の完成度的にはじゅうぶんに満足できるものだと感じました。 眼視観望の場合、GS-150CCの焦点距離1824mmなのでそれなりに高倍率寄りです。40mmアイピースで45倍あたりが最低倍率となるでしょう。導入するにはちょっと高めなのですが、こぶりな星雲星団を観望するにはちょうどいい感じでしょう。 GS-150CCのサイズは、お手軽観望というには若干大きめですが、口径152mmの集光力は8cmクラスの屈折と比較すればやっぱり強力。そのほか、M42、M35、しし座トリオなどの観望を楽しみました。それに、なんといっても5.8万円(税抜)はおサイフに優しいですね^^ シュミカセ・3枚玉アポ・ニュートン反射と比較してみた ベランダから同一夜に木星・月・土星を観望してみました。GS-150CCに加えて、口径203mmのシュミットカセグレン望遠鏡、口径104mmの3枚玉アポクロマート屈折望遠鏡、口径130mmのニュートン反射望遠鏡の4台を並べて比較です。 結果は単純明快。まず、コントラストが一番高く木星の縞模様が一番すっきり見えるのは、歴然と3枚玉104mmアポ屈折です。一般の人に「どれが一番良く見える?」と訊けば、だれもがこれだと言うでしょう。副鏡遮蔽のないアポ屈折のアドバンテージはすごいものです(*)。一方で、反射の3台はコントラストという意味ではどれも同じくらいに感じました。 (*)高倍率を得るために2.5倍のバローレンズを使用しましたが、それでも差は明らかでした。 しかし、シーイングが落ち着いた瞬間の解像力は口径の順番です。このとき、ちょうど木星のガニメデの影が木星面に落ちていたのですが、そのエッジの鋭さは比較した4台で、明らかに口径の順で違いました。大口径の反射では鋭く見える影のエッジが、104mmアポ屈折では若干ボケたように感じます。ただし、この違いはじっくり眺め続けて、シーイングが落ち着いた瞬間にしかわかりません(*)。 (*)いわゆる「色にじみ(軸上色収差)」はどれも感じられないのですが、地平高度が低いためか、どれも大気の屈折による色づきが気になります。また、視野の中心にしっかり導入しておかないと、周辺になるにつれアイピースの収差で色づきが出てきます。 当然ですが光量の違いも口径順です。木星や月面は比較的明るいのであまり差は感じないのですが、表面輝度の低い土星を見ると、大口径ほど光量の分だけ良く見えるように感じます。 まとめると「眼視の場合は」「コントラストなら屈折」「解像力は口径で決まる」「明るいのは大口径」という、まあ考えてみると当たり前の結論になりました。しかし、この「当たり前」が実現しているのは「きちんと製造され設計通りの性能を発揮している」ことにほかなりません。 越えられない壁、反射望遠鏡の中央遮蔽 「コントラストなら屈折」というところを補足しておきます。反射望遠鏡の場合、いくつかの理由でコントラスト的には屈折よりも不利です。その中で構造上避けることができないのが副鏡による「中央遮蔽」です。 一般的に反射望遠鏡はこの副鏡(とその支持金具)による回折がコントラストを低下させる大きな要因となります(*)。中央遮蔽(副鏡)が小さいほどその影響は小さくなりますが、逆にイメージサークルも小さくなります。また、特にカセグレン系では副鏡を極端に小さくすることが困難。反射望遠鏡の宿命でもあります。 (*)眼視用では主鏡径の1/4から1/3、写真用で1/3から1/2程度の製品が多いようです。一般的にカセグレン系の反射望遠鏡では、同じイメージサークルを確保するためにはニュートン式反射望遠鏡と比較して、より大きな副鏡が必要になります。 GS-150CCの場合、主鏡径152mm、斜鏡径は57.5mm。中央遮蔽率は38%とやや大きめですが、同口径のシュミットカセグレンと同じくらいの大きさです(*)。一般に中央遮蔽率が1/4より小さくなると回折によるコントラスト低下はほぼ気にならないと言われていますが、1/3を越えると明らかに差を感じるようになり、1/2ともなると眼視用には不適とされています。その意味では、GS-150CCは中央遮蔽が大きい割には健闘しているといってもよいかもしれません。 (*)カセグレン系の望遠鏡、特に小口径の場合は、副鏡遮蔽が大きめになるのは仕方のないことだといえます。 設計上「軸上完全無収差」である純カセグレン光学系は、「最高の出来なら最高の見え味だろう!」と過度に期待してしまうかもしれませんが、このような副鏡遮蔽率を考慮すると一定の限界があることは心に留めておいたほうがよいと思います(*)。 (*)ニュートン反射の場合は、副鏡を可能な限り小さくし究極の眼視性能を目指す方向性もあるはずなのですが、実際にはそのような製品がほとんど存在しないのがちょっと残念です。 惑星を撮影してみた シュミカセと比較してみた 木星を撮影して比較してみました。眼視の場合と異なり、写真の場合は画像処理でコントラストを調整することができるため、眼視の際に歴然だったコントラストの違いは簡単に埋めることができ、口径による解像度の違いがより優位になってきます。写真では屈折鏡筒の「コントラスト優位」はあまり効いてこないのです(*)。 (*)多数枚の動画をコンポジットする撮影法においては、口径による「光量」の差も大きな違いになって現れてきます。大口径ほどゲイン(感度)を下げて(ないしはシャッタースピードを短くして)撮影でき、wavletのような強い強調に耐える画像となるからです。 上の画像は左が203mmシュミカセ、右がGS-150CCです。スタック後の画像に対して全く同じ画像処理をかけています。筆者の浅い惑星撮像経験では、両鏡筒ともに本来の能力を発揮できていないとは思うのですが、どのくらいの違いがあるのかを見ていただければと思います。 惑星撮像では口径とシーイングが決定的要素 惑星や月の撮影のように、解像力の限界性能が問題になる場合、同じ製造品質であれば決定的な要因は「口径」です。光軸上での設計上の解像力は、同じ口径であればシュミカセ・ニュートン・純カセグレン・3枚玉アポいずれも大きくは変わらないはずです(*)。 (*)もちろん「コントラスト」は異なります。 その意味では、より大口径を安価に手に入れられること、温度順応や光軸など本来の性能を発揮しやすいことが重要です。GS-150CCは惑星撮像においても高いコストパフォーマンスを発揮するといってよいと思います(*)。 (*)上記画像を撮像した日は「まあまあ普通」のシーイングでした。最高レベルのシーイングで比較するとどうなるかは今回の結果ではなんともいえませんが。。 外観インプレッション 順序が逆になりましたが、製品の外観を見ていきましょう。 低膨張率の溶融石英を使用した主鏡と副鏡 GSO社の反射望遠鏡の多くでは、熱膨張率が小さく(青板ガラスの1/20、パイレックスの1/8程度)、温度による変形が少ない「溶融石英」が使用されています。これはGS-150CCでも同様で、より精密な研磨加工が可能になる、運用時の鏡材に温度ムラが残っていたとしても鏡面の狂いがより少なくなる、などのメリットがあります。 また、光学系の研磨精度は波面誤差PVが1/6λ以内、RMSが1/30λ以内とされており、これはGSO社のRC鏡筒やニュートン反射と同じスタンダード。この精度であれば、実視のインプレッションでも触れたとおり、純カセグレンというシンプルで優れた設計のメリットを発揮できているものと思います。 鏡筒内部のバッフル 鏡筒内部にはGSO社の他の鏡筒と同様、多数の遮光板が入っていて内面反射を抑制しています。副鏡部は太いスパイダーで支えられていて光軸の安定性を担保しています。後述しますが、使用開始から3ヶ月の間で全く狂うことはありませんでした。 接眼部 接眼部は精密感のある高品位なもの。オプションでより堅牢な接眼部を選択することもできますが、軽量なデジタル一眼を装着しあまり長時間の露出をしない範囲では標準構成でも十分ではないかと感じました。 Fが12と暗いこともあり焦点深度が深く、デュアルスピードフォーカサーの微動側ではピークを掴むのが逆に難しいかもしれません。ディープスカイ撮影の場合はバーティノフマスクが有効でしょう。 空に向けて接眼部をのぞいたところ。 主鏡バッフル(接眼部から副鏡へと伸びる遮光用の筒)には遮光環は入っていませんが、カセグレン系の写真鏡筒の場合、イメージサークルを広く確保する上では内径を絞ってしまうような大きな遮光環を入れることができません。このあたりも反射望遠鏡のデザインとしてなかなか悩ましいところですが、写真メインで使うのであればこちらの方が良いかもしれません。 接眼部の繰り出しストロークは約35mm。もう少しストロークが欲しいところではありますが(*)、その代わりとして長さ最大100mmとなる延長筒が3つ付属していて、機材に合わせて接眼部のバックフォーカスを調整できるようになっています。この付けはずしはねじ込みで行うのですが、それなりに面倒。写真と眼視・直視と90度視を切り替えるような場合には延長筒の付け外しが必要です。 (*)この点、主鏡全体を前後に動かして合焦を行うシュミットカセグレン形式はストロークが大きく、「ミラーシフト(合焦機構のわずかなクリアランスのために主鏡が動いてしまいピント合わせ時に対象がわずかにズレてしまうことがある)」という別の問題もあるものの、使い勝手では一長があるといえます。 光軸調整とメンテナンス 光軸調整は「不要」という前提 主鏡・副鏡がともに非球面の反射光学系は、一般に光軸調整が難しいといわれています。ニュートン式のように自分で分解して組立直すようなことは基本的には想定されておらず、メーカー側できちんと調整した上で出荷し、基本的には「狂わないという想定」になります。一般に「(主鏡も斜鏡も非球面である)純カセグレンは光軸調整が大変」といわれていますが、こちらはタカハシのミューロンやGSO社のRC鏡筒と同様、自分で調整するものではないと考えるべきでしょう。 1000km走破しても狂わなかった光軸 今回使用した製品では、光軸の狂いはなくきっちり調整されていました。また、出荷時の段ボール・発泡スチロール梱包(上の画像)のまま車の後部座席に積んで1000kmほど走っていますが、現在も狂うことなく光軸はきっちり合っています。まだ3ヶ月程度の使用ではありますが、通常の使用で光軸の狂いを心配する必要はなさそうです。 なお、仮に強い衝撃を与えるなどで光軸が狂ってしまった場合は、販売店でのオーバーホール対応となります。(*)。 (*)新品で正規販売店で購入した場合、基本料金5000円(税抜)+往復送料、納期は受領後数日から1週間程度。中古品、並行輸入品は別価格になります。詳細はこちらをご参照ください。 「解放鏡筒」の注意点とメリット 筒先が閉じていない「解放鏡筒」の反射光学系の場合、長期間の使用においては主鏡の汚れ対策が問題になります。自分で分解して主鏡を清掃するわけにはいかないからです(こちらも光軸調整と同様にオーバーホール対応となります)。 使用しない際はまめにキャップをすることや、海辺などの水しぶきが多い場所での使用を避ける、花粉や黄砂の多い季節はなるべく使わないなどの気をつかった方がよいかもしれません。 一方で、温度順応が早いという解放鏡筒のメリットもあります(*)。熱伝導率の低いガラス材は、外気よりも冷えるのが遅く、空気の対流を引き起こす熱源になります。解放鏡筒の場合は主鏡で暖められた空気が筒先から逃げてくれるため、より「冷えやすい」といえます。 (*)シュミカセのような「閉鎖鏡筒」の方が筒内気流が少ない、という記述も見かけますが、主鏡温度が外気より高い場合に「冷えにくい」というデメリットの方がむしろ大きいのではないか、という認識が最近では多いようです。 どんな用途に向いているか 長焦点ディープスカイ撮影を手軽に楽しむ GS-150CCが一番「はまる」のは、既に小型・短焦点距離の望遠鏡と赤道儀をお持ちの方でしょう。そんな方ならこの鏡筒を一つ買い足すだけで、カメラレンズや小型鏡筒よりも安い投資で、ディープスカイの拡大撮影が体験できます。「焦点距離1800mmのガイドなんてできるかなあ」と思われるかも知れませんが、赤道儀に合わせて露出時間を短くすればノーガイド(ノータッチガイド)でもぜんぜんOKです(*)。 (*) ただし・・赤道儀によっては風が吹くとお手上げですが--;; 初めての眼視鏡筒として 撮影派全盛の昨今ですが、たまには星を肉眼でじっくり眺めるのもよいものです。でも「観望専用」に新しい筒が「生える」のはなんだかもったいない気もしますね。でもGS-150CCなら、眼視・撮影の「両刀」をバランス良く楽しむことができます。まあ上を見ればキリがないのがこの世界ですが、エントリ6万円なら「ポチッ」と届く範囲かも?! 他製品との比較 前節の内容と若干かぶりますが、GS-150CCと他の製品の比較を簡単にまとめてみました。 GS-200CCとGS-150CC GS-150CCには口径203mmのモデルGS-200CCもあります。F値は同じ12、全長は10cm長い620mm、重量は8.1kg。価格は11.8万円(税抜)です。サイズ的にはやや大きくなりますが、価格的には口径20cmとしてはやはりお値頃。口径分の光量・分解能の向上が見込めるので、8kgの鏡筒を安定して運用できる架台があれば、ワンサイズ上のGS-200CCという選択も大いにアリでしょう(*)。 (*)個人的には手軽に長焦点を楽しめるのは150のような気がしますが、低価格・大口径のクラシックカセグレンは20cmでもなかなか魅力的です。 シュミカセとの比較 眼視用途メインなら口径150mmクラスのシュミカセやマクストフとの比較になります。上の画像は1ランク口径の大きなC8との比較ですが、長さは同じくらいで太さはやや細身。GS-150CCは光軸の狂いにくい反面、同一口径であればややシュミカセよりも重く、大きいようです。 光学性能の違いは同一口径モデル同士で比べたわけではないので断定はできませんが、同一口径であれば価格はGS-150CCの方がより安価。ディープスカイ撮影用途であれば、F値はやや暗くなるものの補正レンズ要らずでイメージサークルが広く周辺像がより良好な150CCが適していると感じました。 GS-200RCとの比較 笠井トレーディングからは同じくGSO社の「リッチー・クレチアン鏡筒」GS-200RCが販売されています。F値はF8と明るく、全長は同じ520mm、重量はカーボン素材が採用されていることもあり比較的軽量な6.4kg。価格は15.2万円(税抜)です。 RCとCCは1文字違いですが、まったく性格の異なる鏡筒です。RCは副鏡遮蔽が46.8%もあるので、解像力を要求される惑星などの眼視や撮影には不向きですが、フラットナー・レデューサとの組み合わせて使うディープスカイ撮影専用鏡筒、といえるでしょう。 RCシリーズには口径15cmのモデルはありません。汎用性・お手軽・低価格を求めるなら150CCの一択だと思います。逆により本格的にディープスカイ撮影をしたいなら、GS-200RCの選択も有力でしょう。 短焦点ニュートン反射との比較 これも全く用途の異なる鏡筒です。眼視にせよ写真にせよ、そもそも向いている対象が全く違う製品で、広角レンズと望遠レンズくらいに違います。撮影対象に応じて使い分けるというのが適切でしょう(*)。 (*)悪魔のささやき的には、焦点距離がかぶらないので両方持っていても損はありません。お手軽な価格であるGS-150CCなら「ニュートン反射に加えてもう1本!」いかがでしょうか^^ まとめ いかがでしたか? GS-150CCは、非常にコスパに優れた鏡筒です。光学設計的に優れた特長をもった「純カセグレン」を現代の技術で製造すればここまで安価で高品質になる。これが第一の存在意義だと感じました。 税込6万円強で口径15cm・焦点距離1800mmの世界が手に入る。反射式固有の取り扱いのデリケートさはあるものの、それさえ厭わなければ8cmクラスの小型アポ鏡筒以下の価格で、はるかに集光力と分解能に優る鏡筒が手に入るのです。 しかも、補正レンズなしの素のママでフルサイズの撮影が楽しめます。屈折鏡筒の場合、優れたレデューサ・フラットナーはけっこうな価格。高級レデューサよりも安い汎用鏡筒と見なせば、これほどお買い得感のある鏡筒はないのではないでしょうか。 さらに「再度の(^^)悪魔のささやき」的には、F12・焦点距離1800mmというレンジは、短・中焦点の機材とはまったくかぶりません。同じような焦点域の鏡筒やレンズを追加してしまうくらいなら、思い切って長焦点に振ってみるのもアリかもしれません(*)。 (*)もちろん、それが「沼への入り口」にすぎないことは全く否定しません。でも「やらぬ沼よりお安い沼」の方がより幸せ・・・ではないでしょうか^^ GS-150CCの登場で「お手頃な天体望遠鏡」「長焦点の反射望遠鏡」の選択肢がさらに広がったと感じました。 本記事は笠井トレーディング様より機材の貸与を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の費用と判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。 記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。 製品の購入およびお問い合わせは各販売店様にお願いいたします。 本記事によって読者様に発生した事象については、その一切について編集部では責任を取りかねますことをご了承下さい。 特に注記のない画像は編集部で撮影したものです。 記事中の製品仕様および価格は執筆時(2019年6月)のものです。製品仕様および価格は、今後変更される場合があります。 記事中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。    編集部発信のオリジナルコンテンツ