【天文ショップ訪問】(16)テレスコ工作工房(長野県小海町)
全国の天文ショップをお訪ねする「天文ショップ訪問」。
第16回は長野県小海町の「テレスコ工作工房」です!
テレスコ工作工房
http://telesco-factory.ocnk.net
都会の天文ショップには無い「星の日本一綺麗な松原湖高原」でないとできない新たなサービスを展開していきます。当店では「星空の風景撮影をするための機材」をメインに扱う日本唯一のプロショップを目指しています。
目次
ユニークなリアル店舗
テレスコ工作工房は、元はネット専業のカスタムパーツやオリジナルアイテムの製造・販売がメインでしたが(後述)、昨年より長野県小海町にリアル店舗をオープンされ、ユニークな取り組みを始められています。
ごらんのとおり、広く明るいフローリングの店舗は大小さまざまの天体望遠鏡が並び、段ボール箱もほぼ皆無。壁面には斉藤店長の撮影された美しい星景写真が飾られています。
この店舗は、写真右の「薪ストーブ」をはじめ、斉藤店長がコツコツと手作りされてきたもの。HPに『都会の天文ショップには無い「星の日本一綺麗な松原湖高原」でないとできない新たなサービスを展開』とあるように、「モノを売ること」が主目的と言うよりも「星空の風景撮影をする」という「コト」を支援する「プロサービスショップ」。例えて言えば、シーサイドのダイビングショップのようなものでしょうか。
都会のショップとは全く違って、道行く人が興味本位でやってくるわけでも、何かを買う気満々で商品を物色する人が来るわけでもありません。展示されている望遠鏡は販売用というよりも、主に訪れたお客様に実際に使って試してもらうモニター用だそうです。「この場所に来れば素晴らしい星空を見られる」「星空をカメラに収めるための機材に触れ、実際に使うことができる」そんな「体験」を売っていくコンセプトだと感じました。
そんなコンセプトに沿って、店内は細かなインテリアまで気が配られています。カーテンは星柄、入り口のテーブルには全天星図のクロスが。
店舗内に工作機械が置かれているわけでもなく、カスタムパーツの企画・製造・販売などのこれまでの「テレスコ工作工房」のイメージはありません。細かなパーツ類はショーケースの中、表には幾種類ものポータブル赤道儀が並べられ、実際に触れることができます。
オリジナル商品の開発とネットショップ
ポラリエ雲台ベースと微動雲台
立ち上げ期から昨年まで、テレスコ工作工房の主な事業領域は「ユーザーの細かなニーズに応えるカスタム工作品やその延長としてのカスタム商品」や「大手があまり取り扱わない細かなニーズに応える商品」の製造や販売でした。もちろん今でもそれが柱であり、数々のヒット商品を世に送り出してきました。
実は筆者も1ユーザとしてテレスコ工作工房にはいろいろお世話になっていました。上の画像は筆者が使用してきたテレスコ工作工房のヒット商品「ポラリエ雲台ベース」「微動雲台」など。ポラリエの強化パーツは今ではビクセン社が純正のものを出していますが、テレスコ工作工房の製品が元祖です。
上の画像は最新バージョンではなくは2014年ごろに購入した旧モデルですが、これらの製品はバージョンアップを繰り返して現在に至っています。最新の製品ラインナップは以下のリンクからごらんください。
テレスコ工作工房・ポータブル赤道儀用機材
http://telesco-factory.ocnk.net/product-list/10
テレスコ工作工房のオリジナル製品は、限定数を製造し完売したら少し時間を置いてニーズを見ながら再生産やバージョンアップを行うスタイルが中心。「SOLD OUT」表示の製品もありますが、再生産の際にはHPまたはブログで告知されるので、興味がある製品があれば時折チェックしておくとよいでしょう。
ペットボトルアダプタ
もうひとつ、ロングセラー・ベストセラー商品の「ペットボトルウェイトアダプター」。末端がM6ネジ仕様のウェイト軸にねじ込んで、ペットボトルをバランスウェイトにしてしまうというアイデア商品です。
大人気 New ペットボトル ウェイトアダプター TK-PetBW2 M6シャフト仕様 在庫品
http://telesco-factory.ocnk.net/product/642
実は今回、筆者もこの商品を購入しました。海外遠征も想定するのですが、むしろ「バランスウェイトを忘れた」時の対策です^^;; いざ現場でウェイトの数が足りなくなることが最近しばしば。ウェイト軸の止めネジの代わりに常時このパーツを持参し、万一(十一?)の際にはペットボトルを接続!という作戦です(*)。
(*)このパーツ、なくしやすいウェイト軸の止めネジの代わりだと思って手持ちに置いておくだけでも価値があると思います。止めネジをなくすことがこの先あれば、こちらを追加購入します^^
そのほかの製品
テレスコ工作工房のネットショップを見ればわかるとおり、現在ではビクセンなどの新品の製品販売もされており、「星空撮影」のニーズにより広くワンストップで応えられる品揃えになっています。
Telescope_Factory・TeleGizmosの日本初のディーラーになります
https://blog.goo.ne.jp/tkfactory-japan2014/e/2e3206eb8c35aa6fcea5efef1535239c
TeleGizmos 全天候型 365シリーズ 20cm反射赤道儀用 T3N8
http://telesco-factory.ocnk.net/product/689
その中での注目の一つが「TeleGizmos」のテレスコープカバー。ベランダなど屋外に架台・鏡筒を出しっぱなしにし、丈夫で水を全く通さないカバーをかけて保管するコンセプト。最大の特徴は耐久性と耐候性。裏地はアルミでラミネートされ、紫外線による劣化や炎天下で高熱になることを防ぎます(*)。
(*)編集部でもそろそろベランダに赤道儀を常設したいのですが・・・導入を検討中です。
斉藤店長とテレスコ工作工房
テレスコ工作工房を立ち上げるまで
斉藤店長と天文の出会いは高校生のころ。大阪電気科学館の東亜天文学会の例会で、火星の観測で有名な故-
「テレスコ工作工房」のきっかけは、そんな中で海外遠征(*)で必要になる、既製品にない機材を自分で製作してブログに掲載していたところ、欲しいという希望が寄せられそれに応じているうちに、徐々に注文が増えて今の業務形態につながってゆきました。
(*)ニュージーランドに魅せられた斉藤さんの渡航歴は20回以上。このリコーイメージング公式サイトの記事もご参照ください。
そして、機材のテストや星の撮影のために「星が身近にある」環境が必要と感じたことが転機。家族を説得し拠点を神戸から長野県佐久穂町に移されました。今の小海町稲子の古民家を購入し移られたのは5年前。やはり理由は「星がよく見える環境」を求めてのこと。長野時代の初期はリゾートホテルでサービスのお仕事や、天文雑誌の執筆や撮影などもされていたそうです(*)。ホテルでの経験はスターウォッチングの開催にとても役立っているそうです。
(*)天文雑誌の原稿執筆は現在もされています。直近では2018年11月号の星ナビ記事「世界の星絶景5」に「カリフォルニア星空絶景ルート395」を執筆されています。
おやじ猫とリアル猫
そんな斉藤店長ですが、原村や小海の星祭りで斉藤店長を見かけたり会話された方も多いかもしれません。遠目では気むずかしそうな風貌ですが(失礼!)、実際にお話ししてみると気さくで1本太い芯の通った方です。
斉藤店長の人となりを示すもう一つの要素が「猫」。上の画像はブログのプロフィールにある「おやじ猫」です。
ショップの入り口にはバリ島産の猫の置物が。これだけでも斉藤店長が「猫好き」であることが推察できます。
さらに、ショップの隣の部屋には猫が10匹(*1)。実はこの部屋は猫専用の部屋。「猫にストレスを与えないように、猫の生活空間と人間の生活空間をきっちり分けたい」という考えで、この部屋には原則的に人は入らない(入れない)そうです。ウッドデッキの前に立つと、猫たちが興味津々で目線をくれたり、次の瞬間には走り回ったり。まさに猫の楽園(*2)。
(*1)実は猫はもう一匹いるのですが「どうしても集団の中になじめなかった」とのことで、その猫だけは庭先で飼われています。
(*2)テレスコ工作工房は猫カフェではありません。猫ちゃんを遠巻きに見ることはできますが、触れて遊んだりすることはできません。
斉藤店長の猫に対する接し方に、その人となりを見た気がしました。
読者へのメッセージ
斉藤店長から、天リフ読者へのメッセージいただきました。以下、全文を掲載させていただきます。
長野県小海町とともに
信州こうみまち星空ガイド
訪問したその日の信濃毎日新聞に、斉藤店長が監修・撮影を手がけられた「信州こうみまち星空ガイド」の記事が。斉藤店長は地元小海町を「星空の町 小海」として盛り上げるためのさまざまな活動を手がけられていますが、このパンフレットはその一つ。
信州こうみまち星空ガイド
http://www.koumi-kankou.jp/?p=5953
上のリンクから「信州こうみまち星空ガイド」のPDFがダウンロードできます。オールカラー表紙込20ページの美しいガイドブック、必見です。
北八ヶ岳・小海 星と自然のフェスタ
一昨年から開催されている「日本で一番星がよく見える星まつり」、北八ヶ岳・小海 星と自然のフェスタ。上の写真は筆者も参加した昨年のもの。小海町の「小海リエックスホテル」を会場にした「星と自然のお祭り」です。
斉藤店長はこの運営に深く携わられていて、悪天時でも開催できる屋内でのセミナーの実施、スワップ&ミートコーナー(参加者によるフリーマーケット)など、様々な新しい試みを盛り込まれています。今年も10月の25,26,27の3日間で開催予定で、いろいろと新しい試みや前回のノウハウを生かしたリニュアルがあるとのこと。年々進化していく「小海星フェス」、今年も楽しみですね!
北八ヶ岳・小海 星と自然のフェスタ
https://koumi-starfes.com
11月5日発売の星ナビ12月号71ページに星フェスのレポートが掲載されています
ちなみに昨年の「星ナビ」誌上のレポートは筆者によるものです^^
地元に密着した活動
店舗前のウッドデッキに置かれた3本の巨砲。Sky-Watcherの40cmドブソニアンです。この望遠鏡はヤフオクで落札された中古品。主鏡はこの後ジオマテック社に再メッキへと旅だってゆきました。
実はこの3本のドブの活用方法として、地元の観光スポットに常設したり、標高2000mの麦草峠などで観望会を行うことを検討されているそうです。「大口径のドブのパワーを本当の意味で生かせるこの場所で、本物の素晴らしい星空を多くの人に見てもらいたいですね。(麦草峠でやれば)間違いなく『日本で一番良く星が見える観望会』でしょう。」と斉藤店長。
暗い空の下・大口径の望遠鏡で、ディープスカイの圧倒的迫力を体験できる機会は、現状では一般の人にとっては皆無といってよいのではないでしょうか。この企画で、そんな体験がより多くの一般の人に届けられるといいですね。(というか筆者もぜひ見てみたいです^^)
斉藤店長の活動は天文関係だけにとどまりません。この日は「子供たちが山に野鳥の巣箱を設置する企画」のための、トライアルの巣箱が軽トラックに。ハシゴはこのために調達されたとか。
ブログ「Telescope_Factory」
天リフ読者にはおなじみですが、テレスコ工作工房様のブログ「Telescope_Factory」は2009年の開設からはや10年以上。さまざまなオリジナルパーツ・カスタム製作品の紹介から、地元での普及活動、海外遠征・出張期など盛り沢山の内容です。こちらをウォッチしていただければ、テレスコ工作工房様の最新情報が網羅できます。ぜひごらんになってください。
Telescope_Factory
http://blog.goo.ne.jp/tkfactory-japan2014
アクセス
テレスコ工作工房の地図。八ヶ岳の東、R141から山側に2km弱。東京方面からは上信越自動車道〜中部横断自動車道経由、または中央道須玉IC〜R141。関西方面からは中央道小淵沢IC〜R141が最短です。無雪期なら茅野ICからR299経由のアクセスも可能。アプローチはほかにも色々とれるので、ドライブプランの中で適宜ご検討ください^^
アクセスの詳細と駐車場の場所はこちらから。
営業:土日のみAM10:00~AM17:00、不定休あり。
※事前に連絡してアポイントをとられることをオススメします。カーナビでは番地入力では正しい場所が表示されない場合があります。筆者も最初わからず行きすぎましたが、GoogleMapなら「テレスコ工作工房」で正しい位置が表示されるのでこちらがオススメ。
まとめ
いかがでしたか?
テレスコ工作工房様は、ユーザーの細かいニーズに応えるカスタム製品の企画・製造・販売を土台にしつつ、これまでにない新しいショップのあり方とユーザーの掘り起こしにチャレンジされていると感じました。お店の内装・外装から陳列の一つ一つまで、斉藤店長が目指す方向をなんとなく感じた気がします。今後のテレスコ工作工房がますます楽しみになりました!
長野・八ヶ岳方面に出かけたら天文ショップ、天文ショップなら小海町のテレスコ工作工房を、ぜひ訪ねたいものですね!
※本記事はテレスコ工作工房様に取材協力いただき、天文リフレクションズ編集部が独自に制作したものです。出典のない写真は編集部で撮影したものです。
また本記事に掲載した情報は取材時(2019/5/12)・執筆時のものです。掲載した商品の価格・展示・在庫を保証するものではありませんのでご了承下さい。・文中の会社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。
https://reflexions.jp/tenref/orig/2019/05/22/8604/https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/05/IMG_5933-1-1024x683.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2019/05/IMG_5933-1-150x150.jpg天文ショップ天文ショップ訪問全国の天文ショップをお訪ねする「天文ショップ訪問」。 第16回は長野県小海町の「テレスコ工作工房」です! テレスコ工作工房 http://telesco-factory.ocnk.net 都会の天文ショップには無い「星の日本一綺麗な松原湖高原」でないとできない新たなサービスを展開していきます。当店では「星空の風景撮影をするための機材」をメインに扱う日本唯一のプロショップを目指しています。 ユニークなリアル店舗 テレスコ工作工房は、元はネット専業のカスタムパーツやオリジナルアイテムの製造・販売がメインでしたが(後述)、昨年より長野県小海町にリアル店舗をオープンされ、ユニークな取り組みを始められています。 ごらんのとおり、広く明るいフローリングの店舗は大小さまざまの天体望遠鏡が並び、段ボール箱もほぼ皆無。壁面には斉藤店長の撮影された美しい星景写真が飾られています。 この店舗は、写真右の「薪ストーブ」をはじめ、斉藤店長がコツコツと手作りされてきたもの。HPに『都会の天文ショップには無い「星の日本一綺麗な松原湖高原」でないとできない新たなサービスを展開』とあるように、「モノを売ること」が主目的と言うよりも「星空の風景撮影をする」という「コト」を支援する「プロサービスショップ」。例えて言えば、シーサイドのダイビングショップのようなものでしょうか。 都会のショップとは全く違って、道行く人が興味本位でやってくるわけでも、何かを買う気満々で商品を物色する人が来るわけでもありません。展示されている望遠鏡は販売用というよりも、主に訪れたお客様に実際に使って試してもらうモニター用だそうです。「この場所に来れば素晴らしい星空を見られる」「星空をカメラに収めるための機材に触れ、実際に使うことができる」そんな「体験」を売っていくコンセプトだと感じました。 そんなコンセプトに沿って、店内は細かなインテリアまで気が配られています。カーテンは星柄、入り口のテーブルには全天星図のクロスが。 店舗内に工作機械が置かれているわけでもなく、カスタムパーツの企画・製造・販売などのこれまでの「テレスコ工作工房」のイメージはありません。細かなパーツ類はショーケースの中、表には幾種類ものポータブル赤道儀が並べられ、実際に触れることができます。 オリジナル商品の開発とネットショップ ポラリエ雲台ベースと微動雲台 立ち上げ期から昨年まで、テレスコ工作工房の主な事業領域は「ユーザーの細かなニーズに応えるカスタム工作品やその延長としてのカスタム商品」や「大手があまり取り扱わない細かなニーズに応える商品」の製造や販売でした。もちろん今でもそれが柱であり、数々のヒット商品を世に送り出してきました。 実は筆者も1ユーザとしてテレスコ工作工房にはいろいろお世話になっていました。上の画像は筆者が使用してきたテレスコ工作工房のヒット商品「ポラリエ雲台ベース」「微動雲台」など。ポラリエの強化パーツは今ではビクセン社が純正のものを出していますが、テレスコ工作工房の製品が元祖です。 上の画像は最新バージョンではなくは2014年ごろに購入した旧モデルですが、これらの製品はバージョンアップを繰り返して現在に至っています。最新の製品ラインナップは以下のリンクからごらんください。 テレスコ工作工房・ポータブル赤道儀用機材 http://telesco-factory.ocnk.net/product-list/10 テレスコ工作工房のオリジナル製品は、限定数を製造し完売したら少し時間を置いてニーズを見ながら再生産やバージョンアップを行うスタイルが中心。「SOLD OUT」表示の製品もありますが、再生産の際にはHPまたはブログで告知されるので、興味がある製品があれば時折チェックしておくとよいでしょう。 ペットボトルアダプタ もうひとつ、ロングセラー・ベストセラー商品の「ペットボトルウェイトアダプター」。末端がM6ネジ仕様のウェイト軸にねじ込んで、ペットボトルをバランスウェイトにしてしまうというアイデア商品です。 大人気 New ペットボトル ウェイトアダプター TK-PetBW2 M6シャフト仕様 在庫品 http://telesco-factory.ocnk.net/product/642 実は今回、筆者もこの商品を購入しました。海外遠征も想定するのですが、むしろ「バランスウェイトを忘れた」時の対策です^^;; いざ現場でウェイトの数が足りなくなることが最近しばしば。ウェイト軸の止めネジの代わりに常時このパーツを持参し、万一(十一?)の際にはペットボトルを接続!という作戦です(*)。 (*)このパーツ、なくしやすいウェイト軸の止めネジの代わりだと思って手持ちに置いておくだけでも価値があると思います。止めネジをなくすことがこの先あれば、こちらを追加購入します^^ そのほかの製品 テレスコ工作工房のネットショップを見ればわかるとおり、現在ではビクセンなどの新品の製品販売もされており、「星空撮影」のニーズにより広くワンストップで応えられる品揃えになっています。 Telescope_Factory・TeleGizmosの日本初のディーラーになります https://blog.goo.ne.jp/tkfactory-japan2014/e/2e3206eb8c35aa6fcea5efef1535239c TeleGizmos 全天候型 365シリーズ 20cm反射赤道儀用 T3N8 http://telesco-factory.ocnk.net/product/689 その中での注目の一つが「TeleGizmos」のテレスコープカバー。ベランダなど屋外に架台・鏡筒を出しっぱなしにし、丈夫で水を全く通さないカバーをかけて保管するコンセプト。最大の特徴は耐久性と耐候性。裏地はアルミでラミネートされ、紫外線による劣化や炎天下で高熱になることを防ぎます(*)。 (*)編集部でもそろそろベランダに赤道儀を常設したいのですが・・・導入を検討中です。 斉藤店長とテレスコ工作工房 テレスコ工作工房を立ち上げるまで 斉藤店長と天文の出会いは高校生のころ。大阪電気科学館の東亜天文学会の例会で、火星の観測で有名な故-佐伯恒夫先生や宇宙イラストレーターの岩崎一彰氏と出会い、神戸のプラネタリウムで仕事をされるようになりました。その後、天体望遠鏡の製作所「ミカゲ光器研究所」に勤務され天文の世界にさらに入り込むようになったそうです。 「テレスコ工作工房」のきっかけは、そんな中で海外遠征(*)で必要になる、既製品にない機材を自分で製作してブログに掲載していたところ、欲しいという希望が寄せられそれに応じているうちに、徐々に注文が増えて今の業務形態につながってゆきました。 (*)ニュージーランドに魅せられた斉藤さんの渡航歴は20回以上。このリコーイメージング公式サイトの記事もご参照ください。 そして、機材のテストや星の撮影のために「星が身近にある」環境が必要と感じたことが転機。家族を説得し拠点を神戸から長野県佐久穂町に移されました。今の小海町稲子の古民家を購入し移られたのは5年前。やはり理由は「星がよく見える環境」を求めてのこと。長野時代の初期はリゾートホテルでサービスのお仕事や、天文雑誌の執筆や撮影などもされていたそうです(*)。ホテルでの経験はスターウォッチングの開催にとても役立っているそうです。 (*)天文雑誌の原稿執筆は現在もされています。直近では2018年11月号の星ナビ記事「世界の星絶景5」に「カリフォルニア星空絶景ルート395」を執筆されています。 おやじ猫とリアル猫 そんな斉藤店長ですが、原村や小海の星祭りで斉藤店長を見かけたり会話された方も多いかもしれません。遠目では気むずかしそうな風貌ですが(失礼!)、実際にお話ししてみると気さくで1本太い芯の通った方です。 斉藤店長の人となりを示すもう一つの要素が「猫」。上の画像はブログのプロフィールにある「おやじ猫」です。 ショップの入り口にはバリ島産の猫の置物が。これだけでも斉藤店長が「猫好き」であることが推察できます。 さらに、ショップの隣の部屋には猫が10匹(*1)。実はこの部屋は猫専用の部屋。「猫にストレスを与えないように、猫の生活空間と人間の生活空間をきっちり分けたい」という考えで、この部屋には原則的に人は入らない(入れない)そうです。ウッドデッキの前に立つと、猫たちが興味津々で目線をくれたり、次の瞬間には走り回ったり。まさに猫の楽園(*2)。 (*1)実は猫はもう一匹いるのですが「どうしても集団の中になじめなかった」とのことで、その猫だけは庭先で飼われています。 (*2)テレスコ工作工房は猫カフェではありません。猫ちゃんを遠巻きに見ることはできますが、触れて遊んだりすることはできません。 斉藤店長の猫に対する接し方に、その人となりを見た気がしました。 読者へのメッセージ 斉藤店長から、天リフ読者へのメッセージいただきました。以下、全文を掲載させていただきます。 「たぶん多くの方々は、”なぜ人も来ないような場所に店舗を構えた?”と思われるかもしれませんが、敢えてこの場所に作ったのは、星が綺麗な場所に来て”星を見たい!”、”星を撮りたい”、'星について知りたい”という欲求を叶えられる環境がここにあるからです。実店舗は作りましたが、まだまだ勉強すべきところが沢山あります。星や自然を愛する人たちに本当に必要とされるお店作りをこれから皆さんと共にやっていきたいと考えています。」 長野県小海町とともに 信州こうみまち星空ガイド 訪問したその日の信濃毎日新聞に、斉藤店長が監修・撮影を手がけられた「信州こうみまち星空ガイド」の記事が。斉藤店長は地元小海町を「星空の町 小海」として盛り上げるためのさまざまな活動を手がけられていますが、このパンフレットはその一つ。 信州こうみまち星空ガイド http://www.koumi-kankou.jp/?p=5953 上のリンクから「信州こうみまち星空ガイド」のPDFがダウンロードできます。オールカラー表紙込20ページの美しいガイドブック、必見です。 北八ヶ岳・小海 星と自然のフェスタ 一昨年から開催されている「日本で一番星がよく見える星まつり」、北八ヶ岳・小海 星と自然のフェスタ。上の写真は筆者も参加した昨年のもの。小海町の「小海リエックスホテル」を会場にした「星と自然のお祭り」です。 斉藤店長はこの運営に深く携わられていて、悪天時でも開催できる屋内でのセミナーの実施、スワップ&ミートコーナー(参加者によるフリーマーケット)など、様々な新しい試みを盛り込まれています。今年も10月の25,26,27の3日間で開催予定で、いろいろと新しい試みや前回のノウハウを生かしたリニュアルがあるとのこと。年々進化していく「小海星フェス」、今年も楽しみですね! 北八ヶ岳・小海 星と自然のフェスタ https://koumi-starfes.com https://twitter.com/koumi_starfes/status/1059730683453554688 ちなみに昨年の「星ナビ」誌上のレポートは筆者によるものです^^ 地元に密着した活動 店舗前のウッドデッキに置かれた3本の巨砲。Sky-Watcherの40cmドブソニアンです。この望遠鏡はヤフオクで落札された中古品。主鏡はこの後ジオマテック社に再メッキへと旅だってゆきました。 実はこの3本のドブの活用方法として、地元の観光スポットに常設したり、標高2000mの麦草峠などで観望会を行うことを検討されているそうです。「大口径のドブのパワーを本当の意味で生かせるこの場所で、本物の素晴らしい星空を多くの人に見てもらいたいですね。(麦草峠でやれば)間違いなく『日本で一番良く星が見える観望会』でしょう。」と斉藤店長。 暗い空の下・大口径の望遠鏡で、ディープスカイの圧倒的迫力を体験できる機会は、現状では一般の人にとっては皆無といってよいのではないでしょうか。この企画で、そんな体験がより多くの一般の人に届けられるといいですね。(というか筆者もぜひ見てみたいです^^) 斉藤店長の活動は天文関係だけにとどまりません。この日は「子供たちが山に野鳥の巣箱を設置する企画」のための、トライアルの巣箱が軽トラックに。ハシゴはこのために調達されたとか。 ブログ「Telescope_Factory」 天リフ読者にはおなじみですが、テレスコ工作工房様のブログ「Telescope_Factory」は2009年の開設からはや10年以上。さまざまなオリジナルパーツ・カスタム製作品の紹介から、地元での普及活動、海外遠征・出張期など盛り沢山の内容です。こちらをウォッチしていただければ、テレスコ工作工房様の最新情報が網羅できます。ぜひごらんになってください。 Telescope_Factory http://blog.goo.ne.jp/tkfactory-japan2014 アクセス テレスコ工作工房の地図。八ヶ岳の東、R141から山側に2km弱。東京方面からは上信越自動車道〜中部横断自動車道経由、または中央道須玉IC〜R141。関西方面からは中央道小淵沢IC〜R141が最短です。無雪期なら茅野ICからR299経由のアクセスも可能。アプローチはほかにも色々とれるので、ドライブプランの中で適宜ご検討ください^^ アクセスの詳細と駐車場の場所はこちらから。 営業:土日のみAM10:00~AM17:00、不定休あり。 ※事前に連絡してアポイントをとられることをオススメします。 カーナビでは番地入力では正しい場所が表示されない場合があります。筆者も最初わからず行きすぎましたが、GoogleMapなら「テレスコ工作工房」で正しい位置が表示されるのでこちらがオススメ。 まとめ いかがでしたか? テレスコ工作工房様は、ユーザーの細かいニーズに応えるカスタム製品の企画・製造・販売を土台にしつつ、これまでにない新しいショップのあり方とユーザーの掘り起こしにチャレンジされていると感じました。お店の内装・外装から陳列の一つ一つまで、斉藤店長が目指す方向をなんとなく感じた気がします。今後のテレスコ工作工房がますます楽しみになりました! 長野・八ヶ岳方面に出かけたら天文ショップ、天文ショップなら小海町のテレスコ工作工房を、ぜひ訪ねたいものですね! ※本記事はテレスコ工作工房様に取材協力いただき、天文リフレクションズ編集部が独自に制作したものです。出典のない写真は編集部で撮影したものです。 また本記事に掲載した情報は取材時(2019/5/12)・執筆時のものです。掲載した商品の価格・展示・在庫を保証するものではありませんのでご了承下さい。 ・文中の会社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。 編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
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