アストロアーツHPで星ナビ2021年9月号の内容が告知されています。発売は8月5日木曜日です。

今月の内容は!?

特集では「ペルセウス座流星群」の流星数予想と画像処理術を紹介。さらに、「アルマ望遠鏡」10年の軌跡を辿ります。

星ナビ9月号は「ペルセウス座流星群」と「アルマ望遠鏡の10年」
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/12119_hoshinavi

■表紙

アルマ望遠鏡山頂施設で撮影した「アンテナの上に輝く天の川」です。2021年9月、アルマ望遠鏡は初期科学観測の開始から10年を迎えました。

表紙はESOのB.Tafreshiさん提供のアルマのアンテナの上に輝く天の川(*)です。数多くの宇宙の謎を解き明かすと同時に新しい謎を多くもたらしたアルマ望遠鏡については、特集でもたっぷり解説されています。

(*)天の川銀河の中心が「星ナビ」の「ナ」の字の交点に隠されているという大胆なレイアウト^^ あえて中心に星ナビを配置したのでしょうか^^



■8年ぶりの好条件 ペルセ群出現予想 何個見える?流れ星

今年のペルセウス座流星群は好条件での観測が期待されていますが、一体いくつの流れ星を見ることができるのでしょうか。月明かり、流星数の推移、空のコンディションなどを考慮しながら予想してみましょう。

先月に引き続き、ペルセウス座流星群の特集です。流星群の出現数予測でおなじみの佐藤幹哉さんの解説記事。今回が「8年ぶりの好条件」であること、流星の出現数(HR、CHR、ZHRなど)を極めて科学的な見地から解説。特に放射点が天頂にあるとしたときの「ZHR」の補正については、ガチ天諸氏はあらためてこの機会に認識を確認しておくのもよいかもしれません。

さらに「流星が多く見られるのは天頂付近なのか、地平線付近なのか」「長経路の流星を見たいときはどこを見るのがよいのか」という疑問にも、明快な回答を示されています。なるほど!!

■流星雨に魅せられて・赤道儀で追尾して比較明合成 流星群の放射点写真を撮る

今年のペルセ群こそ憧れの写真を撮影してみませんか? ひとつづつ写真を確認しながら作る「流星雨写真」の作成は大変だけど楽しいもの。そんな、憧れの流星雨写真を作るための画像処理の手順を紹介します。

先月に続き、「流星雨」のイメージを写真で再現するための川村浩輝さんによるディープな解説。天文雑誌でもここまで高度な画像処理テクニックが特集される時代になったのか、と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。川村さんご自身も「私の悩み1〜3」という囲み枠の中で、「切り貼り」的な処理など、どこまでの画像処理を己に許すかの悩みを綴られています。

しかし、その原点は「あのしし座流星群の感動と、それを写真に残さなかった後悔」から来るチャレンジ精神です。テクニックだけでなく、ぜひスピリットも読み取っていただければと思います。

■新発見と深まる謎 ALMA 魂の10年

南米チリ、標高5000mのアタカマ砂漠。この厳しい環境でアルマ望遠鏡は観測を始めて10年になります。驚くべき観測成果や進化を続ける「アルマの10年」を辿ります。

 

アルマの10年。国立天文台の平松正顕さんによるこれまでの成果と今後の展望を振り返る特集10ページ。「天文学的な視力」が飛躍的に向上したアルマ望遠鏡は、「原始惑星円盤」の撮像(2014年)をはじめ、めざましい成果をあげて「電波観測黄金時代」を築いてきました。その「視力獲得」も地道な研究者たちの努力の賜物です。2011年当時は「視力260」に過ぎなかったアルマは現在「視力6000」。今後それをさらに「倍(*)」にすることで、さらなる多くの謎を解き明かそうとしています。

(*)「感度(より弱い電波を捉える)」「解像度(より細かな対象を見分ける)」「同時観測可能な周波数帯域(広い波長で同時に観測)」のそれぞれを2倍にする計画

記事では2030年代の光学望遠鏡による赤外線観測との連携、低周波電波干渉計、次世代大型電波干渉計(ngVLA)との連携まで触れられています。今後10年にわたっても出続けるであろうアルマの大きな成果に期待です。

◎天リフ独断ピックアップ

■今も未知の星を求め続けて

関勉さんの名著「未知の星を求めて」。この本は多くの人を彗星捜索の道に誘っただけでなく、天文分野にとどまらない多くの人に生きる勇気を与えました。それが今年の9月19日、池谷・関彗星発見56年目の日を目標に、「新改訂版」の出版準備が進められています。時代に合わせた表記の修正や新章の追加もあるそうです。本書をお持ちの方もお持ちでない方も(*)、ぜひお楽しみに!

■ネットよ今夜もありがとう

今月は久保田宏さんの「天体写真ギャラリー」と、ざくたさんの「昼焼けに向かって」です。

久保田宏さんは天文歴50年超。筆者の観測範囲(ブログやSNS)ではあまりお名前を見かけない方ですが、フィルム時代から現在まで、非常にクオリティの高い作品を多数撮影されている、今なお現役の大ベテランのお一人でしょう。

ざくたさんは天リフブログではおなじみ。筋金入りの双眼派・眼視派で、しかも「自動導入架台は一切使わない」というスタイル。ブログにはさまざまな眼視機材に対する鋭いレビュー記事が満載です。



■星ナビギャラリー

今月のトップ下はIさんの「残雪と夏の天の川」。蔵王の「お釜」の上に横たう天の川、街灯りに照らされた雲と残雪の輝きが印象的な1枚。

筆者のイチオシは、1作品以外は全てナローバンドが占めるという、新時代の「見開き」。ナローバンドは最近ではごく普通になりましたが、RGBカラーと複合的に組み合わせるナローバンド撮影も広まってきました。見開き右ページの3作品はいずれもRGB+ナローのハイブリッドカラー合成です。

■天体撮影お悩み相談 第2回 星像のピント合わせをマスターしよう

手探りで天体写真を始めたけど、いまひとつ期待通りに撮れないことがありませんか? 初心者がミスしやすいポイントを事前に知っておけば失敗が少なくなるはず。今回は「星像のピント合わせ」をテーマにお悩みを解決します。

連載第2回。今回はピント合わせ。初心者向けの基本から、なんと「割り箸」を使ったピント合わせ補助ツールの紹介も。筆者もこの記事で書かれているような失敗をやったことがあり「あるある!」と思いながら拝見しました(*)。この連載が1年、2年と続けば良い入門書ができあがりそうですね!

(*)ニュートン反射+CMOSカメラのファーストライトをぶっつけ本番でやって、ピントが出なかったのは私です^^;;;

■エーゲ海の風 第24回 有名星座のウソ・ホント⁉︎ ギリシア神話の定説検査

星空を眺める楽しみに彩りを与えてくれる星の神話や伝承たち。しかし、よく知られているエピソードの中にも誤ったものがあります。古代の星座解説書をひもといて解明していきましょう。

「修正が必要と思われる星空神話」。世界的なもの、日本だけで広まっているもの、これって本当にこのままでいいの?という早水さんの問題提起の数々。

うしかい座のモデルはアトラスではなかった、リボンでつながったうお座やおおいぬ座ケルベロス説は主に日本だけの認識、いて座のモデルは本当にケイローンなのか、等々。

文末には「神話そのものが現在進行中」「若干の誤解があったとしても、我々はその魅力を享受している」とあり、決して「誤った認識はよくない」という指摘ではありません。 「変遷の事実を知っておくことは、豊かな文化の一部として有益」という認識には大いに共感するものです。

まとめ

いかがでしたか?

好条件の今年のペルセウス座流星群は、静かに眺めて「ゆく夏」を感じたいものですね。星空を眺めて幸せな気分になれることは、やっぱり最高の幸せです。夏バテに気をつけて、よい夏休みをお過ごしください!

先月から始まった星ナビ中の人の動画紹介。こちらもぜひごらんください!

星ナビ9月号は「ペルセウス座流星群」と「アルマ望遠鏡の10年」
http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/12119_hoshinavi

※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。

天文ガイドも合わせて読みたいですね!!

 

  https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2021/08/911920a53a2689cad659d711ef31fffb-1024x576.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2021/08/911920a53a2689cad659d711ef31fffb-150x150.jpg編集部雑誌・書籍アストロアーツHPで星ナビ2021年9月号の内容が告知されています。発売は8月5日木曜日です。 今月の内容は!? 特集では「ペルセウス座流星群」の流星数予想と画像処理術を紹介。さらに、「アルマ望遠鏡」10年の軌跡を辿ります。 星ナビ9月号は「ペルセウス座流星群」と「アルマ望遠鏡の10年」 http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/12119_hoshinavi ■表紙 表紙はESOのB.Tafreshiさん提供のアルマのアンテナの上に輝く天の川(*)です。数多くの宇宙の謎を解き明かすと同時に新しい謎を多くもたらしたアルマ望遠鏡については、特集でもたっぷり解説されています。 (*)天の川銀河の中心が「星ナビ」の「ナ」の字の交点に隠されているという大胆なレイアウト^^ あえて中心に星ナビを配置したのでしょうか^^ ■8年ぶりの好条件 ペルセ群出現予想 何個見える?流れ星 先月に引き続き、ペルセウス座流星群の特集です。流星群の出現数予測でおなじみの佐藤幹哉さんの解説記事。今回が「8年ぶりの好条件」であること、流星の出現数(HR、CHR、ZHRなど)を極めて科学的な見地から解説。特に放射点が天頂にあるとしたときの「ZHR」の補正については、ガチ天諸氏はあらためてこの機会に認識を確認しておくのもよいかもしれません。 さらに「流星が多く見られるのは天頂付近なのか、地平線付近なのか」「長経路の流星を見たいときはどこを見るのがよいのか」という疑問にも、明快な回答を示されています。なるほど!! ■流星雨に魅せられて・赤道儀で追尾して比較明合成 流星群の放射点写真を撮る 先月に続き、「流星雨」のイメージを写真で再現するための川村浩輝さんによるディープな解説。天文雑誌でもここまで高度な画像処理テクニックが特集される時代になったのか、と感じられる方もいらっしゃるかもしれません。川村さんご自身も「私の悩み1〜3」という囲み枠の中で、「切り貼り」的な処理など、どこまでの画像処理を己に許すかの悩みを綴られています。 しかし、その原点は「あのしし座流星群の感動と、それを写真に残さなかった後悔」から来るチャレンジ精神です。テクニックだけでなく、ぜひスピリットも読み取っていただければと思います。 ■新発見と深まる謎 ALMA 魂の10年   アルマの10年。国立天文台の平松正顕さんによるこれまでの成果と今後の展望を振り返る特集10ページ。「天文学的な視力」が飛躍的に向上したアルマ望遠鏡は、「原始惑星円盤」の撮像(2014年)をはじめ、めざましい成果をあげて「電波観測黄金時代」を築いてきました。その「視力獲得」も地道な研究者たちの努力の賜物です。2011年当時は「視力260」に過ぎなかったアルマは現在「視力6000」。今後それをさらに「倍(*)」にすることで、さらなる多くの謎を解き明かそうとしています。 (*)「感度(より弱い電波を捉える)」「解像度(より細かな対象を見分ける)」「同時観測可能な周波数帯域(広い波長で同時に観測)」のそれぞれを2倍にする計画 記事では2030年代の光学望遠鏡による赤外線観測との連携、低周波電波干渉計、次世代大型電波干渉計(ngVLA)との連携まで触れられています。今後10年にわたっても出続けるであろうアルマの大きな成果に期待です。 ◎天リフ独断ピックアップ ■今も未知の星を求め続けて 関勉さんの名著「未知の星を求めて」。この本は多くの人を彗星捜索の道に誘っただけでなく、天文分野にとどまらない多くの人に生きる勇気を与えました。それが今年の9月19日、池谷・関彗星発見56年目の日を目標に、「新改訂版」の出版準備が進められています。時代に合わせた表記の修正や新章の追加もあるそうです。本書をお持ちの方もお持ちでない方も(*)、ぜひお楽しみに! 関勉氏の著書『未知の星を求めて』。ブログ主様のこの本との出会いから現在まで、人生を淡く照らし続けた一冊の本。「不可能に挑戦したいと考えています。」 「Blue Stars」よりピックアップ。https://t.co/2KWFwkACXK 写真は編集部の蔵書。amazonでは中古が異常に高くなっている。 pic.twitter.com/t1NL2gQwme — 天リフ編集部 (@tenmonReflexion) June 1, 2018 ■ネットよ今夜もありがとう 今月は久保田宏さんの「天体写真ギャラリー」と、ざくたさんの「昼焼けに向かって」です。 久保田宏さんは天文歴50年超。筆者の観測範囲(ブログやSNS)ではあまりお名前を見かけない方ですが、フィルム時代から現在まで、非常にクオリティの高い作品を多数撮影されている、今なお現役の大ベテランのお一人でしょう。 ざくたさんは天リフブログではおなじみ。筋金入りの双眼派・眼視派で、しかも「自動導入架台は一切使わない」というスタイル。ブログにはさまざまな眼視機材に対する鋭いレビュー記事が満載です。 ■星ナビギャラリー 今月のトップ下はIさんの「残雪と夏の天の川」。蔵王の「お釜」の上に横たう天の川、街灯りに照らされた雲と残雪の輝きが印象的な1枚。 筆者のイチオシは、1作品以外は全てナローバンドが占めるという、新時代の「見開き」。ナローバンドは最近ではごく普通になりましたが、RGBカラーと複合的に組み合わせるナローバンド撮影も広まってきました。見開き右ページの3作品はいずれもRGB+ナローのハイブリッドカラー合成です。 ■天体撮影お悩み相談 第2回 星像のピント合わせをマスターしよう 連載第2回。今回はピント合わせ。初心者向けの基本から、なんと「割り箸」を使ったピント合わせ補助ツールの紹介も。筆者もこの記事で書かれているような失敗をやったことがあり「あるある!」と思いながら拝見しました(*)。この連載が1年、2年と続けば良い入門書ができあがりそうですね! (*)ニュートン反射+CMOSカメラのファーストライトをぶっつけ本番でやって、ピントが出なかったのは私です^^;;; ■エーゲ海の風 第24回 有名星座のウソ・ホント⁉︎ ギリシア神話の定説検査 「修正が必要と思われる星空神話」。世界的なもの、日本だけで広まっているもの、これって本当にこのままでいいの?という早水さんの問題提起の数々。 うしかい座のモデルはアトラスではなかった、リボンでつながったうお座やおおいぬ座ケルベロス説は主に日本だけの認識、いて座のモデルは本当にケイローンなのか、等々。 文末には「神話そのものが現在進行中」「若干の誤解があったとしても、我々はその魅力を享受している」とあり、決して「誤った認識はよくない」という指摘ではありません。 「変遷の事実を知っておくことは、豊かな文化の一部として有益」という認識には大いに共感するものです。 まとめ いかがでしたか? 好条件の今年のペルセウス座流星群は、静かに眺めて「ゆく夏」を感じたいものですね。星空を眺めて幸せな気分になれることは、やっぱり最高の幸せです。夏バテに気をつけて、よい夏休みをお過ごしください! https://youtu.be/4Zxxb94NeUQ 先月から始まった星ナビ中の人の動画紹介。こちらもぜひごらんください! 星ナビ9月号は「ペルセウス座流星群」と「アルマ望遠鏡の10年」 http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/12119_hoshinavi ※アストロアーツ様より告知文・内容サンプル画像の転載許可をいただいています。 天文ガイドも合わせて読みたいですね!!    編集部発信のオリジナルコンテンツ