タカハシからTSA-120Nが40本限定発売
タカハシから口径120mmの3枚玉アポクロマート鏡筒「TSA-120N」が12月13日に発売になります。「TSA」シリーズの発売10週年を記念した40本の限定品で、税抜価格は35.5万円です。
TSAとはどんな望遠鏡か
TSAほど「通好み」の望遠鏡はないでしょう。特に眼視マニアからは極めて評価が高く「TSAは本当に良く見える良い望遠鏡だ」という声しか聞かれません。上の画像は収差図ですが、眼視の際に重要になる黄色のe線と青緑のF線に対して特に良好に収差が補正され、ストレール比の設計値は99.2%。これはHPの言葉によると「上位クラスのTOAとほぼ同等のパーフェクトな性能」です。
TSAは1枚のEDガラスの両側をクラウンガラスでサンドイッチ(*)した「3枚玉」の構成。上位クラスのTOAが、レンズ間隔を大きく離すことでより高度な収差補正を目指したのに対して、よりシンプルで製造公差の影響が少なく、コストパフォーマンスを追求した設計となっています。
(*)レンズ間は薄い錫箔でわずかに分離されています。
ここから先は風聞の話になりますが、TSAはTOAほど温度に敏感ではなく安定した性能を発揮し「TOAよりも良く見える」という評価すらあるほどです。
眼視だけでなく、写真性能も高いものを持っています。上はHPに掲載されているスポット図ですが、フラットナー使用の場合は周辺でも星像は10μ以下、レデューサ使用の場合でも中心星像10μ以下、周辺でも20μ以下です。しかし・・・TSAでディープスカイを撮る人は少ないんですよね・・・今なら自分だったらFSQ106EDではなくてTSA120を買った、かも。
「悲運の鏡筒」TSA物語
以下、あまり客観的ではない文章ですので、聞き流してください^^
かつてタカハシには、口径100mmクラスの望遠鏡が3種類ありました。「2枚玉のFC100」「4枚玉のFSQ106ED」そして「TSA100」です。しかし、TSA100は数年前に製造終了となりました。売れ筋が、高価格だが写真用として評価の高いFSQ106EDと、お手頃な価格のFC100に分かれてしまい、その間に位置するTSA100があまりユーザーの支持を得られなかった(*)からと推測します。
(*)一番売れなかったと言う方が正確かもしれません。
多くのマニアがTSA100の製造終了を残念がりました。でも自分も含めて、TSA100を買わなかった人が大半。申し訳ございません。買いもしないでディスコンを憂うのはマニアの悪い癖です・・・
TSAの発売が2008年というデジタル天体写真の黎明期であったのもTSAの不幸の一つでしょう。当時のデジタルカメラの高感度性能はいまほど高くなく、ユーザーは「よりノイズの少ない画像」を求めて「より明るい鏡筒=FSQ」に流れたのでしょう(*)。
(*)現在では少し事情が変わってきていて、タカハシ自身が「明るい鏡筒は必須ではない」というメッセージを市場に送りはじめています。
しかし。口径120mmの「TSA120」はまだ販売されています。TSAをこの世に送り出したこと、TSA120の製造販売を継続していることこそ、和風総本家「タカハシの良心」です。限定40本とはいえ、今回TSA120の「N」バージョンが発売されることは、大変素晴らしいことです。2分割でpaypay決済(*)できるなら、実質30万を切る価格で手に入るTSA120。ああ、欲しい。口径120mmでわずか6.2kgのTSA120N。2本でも12.4kg、TOA130とあまり重さも変わらない。老後はAXJにTSAをツインで乗せて、眼視も撮影もできるシステムを組んでみたい。
(*)12/12の本稿執筆時で、paypay決済の20%ポイント還元はまだ継続しているようです。
妄想はこのくらいにしておきます^^
限定モデルTSA120Nの特徴
TSA120 | TSA120N | |
重量 | 6.7kg | 6.2kg |
全長(収納時) | 870mm | 1020mm |
フード | 伸縮式 | 固定式 |
価格(税別) | 393,000円 | 355,000円 |
今回発売される「TSA120N」のスペックを、従来品の「TSA120」と比較しておきましょう。違いは4点。500g軽い。フードが固定式で、収納時の全長が150mm長い、価格が3万8千円安い(*)、です。
(*)セルの材質が一部変更されているという情報もありますが、当方は未確認です。
訂正)セルではなくフードの受け部のようです。
おっと、もう一つ。「TSA120N」は40本の限定販売です。
まとめ
いかがでしたか?
別に「TSAを買え」と煽るつもりはありませんが、今回発売される40本のTSA120Nが購入者にもたらすであろう、素晴らしい天文ライフを祝福したいと思います。
また、心の中に「TSA」という素晴らしい望遠鏡の存在をしかと刻み、これからの天体望遠鏡業界のベンチマークの一つとして記憶しておこうと思います。また、いつの日か手に入れてみたいと願う今日この頃であります^^ https://reflexions.jp/tenref/orig/2018/12/13/7331/タカハシからTSA-120Nが40本限定発売https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/12/TSA-120N_K.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/12/TSA-120N_K-150x150.jpg望遠鏡タカハシから口径120mmの3枚玉アポクロマート鏡筒「TSA-120N」が12月13日に発売になります。「TSA」シリーズの発売10週年を記念した40本の限定品で、税抜価格は35.5万円です。 TSAとはどんな望遠鏡か TSAほど「通好み」の望遠鏡はないでしょう。特に眼視マニアからは極めて評価が高く「TSAは本当に良く見える良い望遠鏡だ」という声しか聞かれません。上の画像は収差図ですが、眼視の際に重要になる黄色のe線と青緑のF線に対して特に良好に収差が補正され、ストレール比の設計値は99.2%。これはHPの言葉によると「上位クラスのTOAとほぼ同等のパーフェクトな性能」です。 TSAは1枚のEDガラスの両側をクラウンガラスでサンドイッチ(*)した「3枚玉」の構成。上位クラスのTOAが、レンズ間隔を大きく離すことでより高度な収差補正を目指したのに対して、よりシンプルで製造公差の影響が少なく、コストパフォーマンスを追求した設計となっています。 (*)レンズ間は薄い錫箔でわずかに分離されています。 ここから先は風聞の話になりますが、TSAはTOAほど温度に敏感ではなく安定した性能を発揮し「TOAよりも良く見える」という評価すらあるほどです。 眼視だけでなく、写真性能も高いものを持っています。上はHPに掲載されているスポット図ですが、フラットナー使用の場合は周辺でも星像は10μ以下、レデューサ使用の場合でも中心星像10μ以下、周辺でも20μ以下です。しかし・・・TSAでディープスカイを撮る人は少ないんですよね・・・今なら自分だったらFSQ106EDではなくてTSA120を買った、かも。 「悲運の鏡筒」TSA物語 以下、あまり客観的ではない文章ですので、聞き流してください^^ かつてタカハシには、口径100mmクラスの望遠鏡が3種類ありました。「2枚玉のFC100」「4枚玉のFSQ106ED」そして「TSA100」です。しかし、TSA100は数年前に製造終了となりました。売れ筋が、高価格だが写真用として評価の高いFSQ106EDと、お手頃な価格のFC100に分かれてしまい、その間に位置するTSA100があまりユーザーの支持を得られなかった(*)からと推測します。 (*)一番売れなかったと言う方が正確かもしれません。 多くのマニアがTSA100の製造終了を残念がりました。でも自分も含めて、TSA100を買わなかった人が大半。申し訳ございません。買いもしないでディスコンを憂うのはマニアの悪い癖です・・・ TSAの発売が2008年というデジタル天体写真の黎明期であったのもTSAの不幸の一つでしょう。当時のデジタルカメラの高感度性能はいまほど高くなく、ユーザーは「よりノイズの少ない画像」を求めて「より明るい鏡筒=FSQ」に流れたのでしょう(*)。 (*)現在では少し事情が変わってきていて、タカハシ自身が「明るい鏡筒は必須ではない」というメッセージを市場に送りはじめています。 しかし。口径120mmの「TSA120」はまだ販売されています。TSAをこの世に送り出したこと、TSA120の製造販売を継続していることこそ、和風総本家「タカハシの良心」です。限定40本とはいえ、今回TSA120の「N」バージョンが発売されることは、大変素晴らしいことです。2分割でpaypay決済(*)できるなら、実質30万を切る価格で手に入るTSA120。ああ、欲しい。口径120mmでわずか6.2kgのTSA120N。2本でも12.4kg、TOA130とあまり重さも変わらない。老後はAXJにTSAをツインで乗せて、眼視も撮影もできるシステムを組んでみたい。 (*)12/12の本稿執筆時で、paypay決済の20%ポイント還元はまだ継続しているようです。 妄想はこのくらいにしておきます^^ 限定モデルTSA120Nの特徴 TSA120 TSA120N 重量 6.7kg 6.2kg 全長(収納時) 870mm 1020mm フード 伸縮式 固定式 価格(税別) 393,000円 355,000円 今回発売される「TSA120N」のスペックを、従来品の「TSA120」と比較しておきましょう。違いは4点。500g軽い。フードが固定式で、収納時の全長が150mm長い、価格が3万8千円安い(*)、です。 (*)セルの材質が一部変更されているという情報もありますが、当方は未確認です。 訂正)セルではなくフードの受け部のようです。 おっと、もう一つ。「TSA120N」は40本の限定販売です。 まとめ いかがでしたか? 別に「TSAを買え」と煽るつもりはありませんが、今回発売される40本のTSA120Nが購入者にもたらすであろう、素晴らしい天文ライフを祝福したいと思います。 また、心の中に「TSA」という素晴らしい望遠鏡の存在をしかと刻み、これからの天体望遠鏡業界のベンチマークの一つとして記憶しておこうと思います。また、いつの日か手に入れてみたいと願う今日この頃であります^^編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフOriginal
すみません!TSA120Nの対物セルの材質については、多分、自分のミスリードでした。ブログのほうを訂正させていただきました。
TSAは眼視ではTOAに迫り、撮影性能では明るさとイメージサークルの広さを除けばFSQを上回るシャープな星像のアストロカメラにもなります。良い光学系だと思います。