少し古いですが(10/25)、ZWO社のASI AIR Facebookグループに、次期リリース予定のバージョン1.07(β)の機能強化点紹介動画が掲載されています。

編集部でも早速導入していますが、今回はASI AIRの特筆すべき2つの機能について、簡単にご紹介したいと思います。



メジャー天体の導入機能

現バージョンでは、ASI AIRはアプリ単体では「赤緯・赤経を指定したGOTO(自動導入)機能」のみが実装されていますが、1.07からは直接対象を一覧から選んでGOTOすることが可能になりました。

SkySafariなどのアプリを使用することで、これまでも自動導入は簡単に使用できるのですが、ASI AIR単体での自動導入が可能になると、大いに利便性が向上します。アプリをいちいち切り替える手間がなくなるからです(*)。

(*)タブレットとアプリで望遠鏡を操作するようになると、このような「(無駄な)ほんの一手間」ですら面倒になってくるもの。例えば、撮影地の経度緯度や正確な時刻はスマホと接続すれば一発自動なのですが、そうでない架台は個別に入力・設定が必要になります。一度簡単な操作を体験すると元に戻れなくなります。

Plate Solve機能

もうひとつ。Plate Solve(*) を使えば、長焦点であってもほぼ完璧に中心に導入できます。

(*)Plate Solveとは、撮像画像から星を抽出し、星図データベースと照合して写野の中心の位置と視野の傾きを自動計算する機能です。要素技術としては、とうに完成し一般化しています。ASI AIRでは、この機能をカメラ・赤道儀を含めた撮像システムのソリューションとして統合されていることに意義があります。

フォマルハウトを導入したところ。極軸を目分量で合わせ、アライメントも行わない状態。こんな設置レベルでも、Plate Solveを2回反復するだけでこのくらいの精度で導入できます。

Plate Solveのメリットが一番生きるのは、ベランダ撮影ではないでしょうか。北極星が見えないベランダ。極軸望遠鏡は使用できない。ドリフト法で追い込むのは面倒だ。そんな時は「極軸をだいたい北に向けて」設置し、アライメントも省略して鏡筒を「だいたい」目標に向ける。ピントを合わせてまずPlate Solve。



 

Plate Solveを実行すると、星の写り方にもよるのですが、早いときは数秒、遅くても1分くらいで画面の中心の赤緯と赤経が算出されます。この値を「Sync Mount」で架台に反映。その後、目標の対象にGOTOします。

この導入で、極軸が極端にずれていない限りは、対象は視野に入っているはず(極軸のずれの分、中心からはずれています)。そこでもう一度Plate Solveして、Sync Mount、もう一度GOTO。この手順を踏めば、ほぼ完璧に対象を視野に導入できます(*)。

(*)バージョン1.07では、現バージョンにあった分点関連のバグが改修され、さらに導入精度が向上しています。

Plate Solveについては、協栄産業東京店のブログにも詳しい使用レポートがあります。ぜひご参照ください。

バージョン1.0.7は、本日11/14時点ではβ版として提供されています。所定の手順を踏めば誰でも使用することが可能ですが、βバージョンは積極的にバグ出し・機能評価するためのものであり、一般の使用はオススメしません。近日リリースされる1.0.7をお待ちください!

 

https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/11/IMG_1622-1024x768-1024x768.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/11/IMG_1622-1024x768-150x150.jpg編集部天体用カメラ少し古いですが(10/25)、ZWO社のASI AIR Facebookグループに、次期リリース予定のバージョン1.07(β)の機能強化点紹介動画が掲載されています。 編集部でも早速導入していますが、今回はASI AIRの特筆すべき2つの機能について、簡単にご紹介したいと思います。 メジャー天体の導入機能 現バージョンでは、ASI AIRはアプリ単体では「赤緯・赤経を指定したGOTO(自動導入)機能」のみが実装されていますが、1.07からは直接対象を一覧から選んでGOTOすることが可能になりました。 SkySafariなどのアプリを使用することで、これまでも自動導入は簡単に使用できるのですが、ASI AIR単体での自動導入が可能になると、大いに利便性が向上します。アプリをいちいち切り替える手間がなくなるからです(*)。 (*)タブレットとアプリで望遠鏡を操作するようになると、このような「(無駄な)ほんの一手間」ですら面倒になってくるもの。例えば、撮影地の経度緯度や正確な時刻はスマホと接続すれば一発自動なのですが、そうでない架台は個別に入力・設定が必要になります。一度簡単な操作を体験すると元に戻れなくなります。 Plate Solve機能 もうひとつ。Plate Solve(*) を使えば、長焦点であってもほぼ完璧に中心に導入できます。 (*)Plate Solveとは、撮像画像から星を抽出し、星図データベースと照合して写野の中心の位置と視野の傾きを自動計算する機能です。要素技術としては、とうに完成し一般化しています。ASI AIRでは、この機能をカメラ・赤道儀を含めた撮像システムのソリューションとして統合されていることに意義があります。 Plate Solveのメリットが一番生きるのは、ベランダ撮影ではないでしょうか。北極星が見えないベランダ。極軸望遠鏡は使用できない。ドリフト法で追い込むのは面倒だ。そんな時は「極軸をだいたい北に向けて」設置し、アライメントも省略して鏡筒を「だいたい」目標に向ける。ピントを合わせてまずPlate Solve。   Plate Solveを実行すると、星の写り方にもよるのですが、早いときは数秒、遅くても1分くらいで画面の中心の赤緯と赤経が算出されます。この値を「Sync Mount」で架台に反映。その後、目標の対象にGOTOします。 この導入で、極軸が極端にずれていない限りは、対象は視野に入っているはず(極軸のずれの分、中心からはずれています)。そこでもう一度Plate Solveして、Sync Mount、もう一度GOTO。この手順を踏めば、ほぼ完璧に対象を視野に導入できます(*)。 (*)バージョン1.07では、現バージョンにあった分点関連のバグが改修され、さらに導入精度が向上しています。 Plate Solveについては、協栄産業東京店のブログにも詳しい使用レポートがあります。ぜひご参照ください。 http://kyoei-tokyo-astrodivision.hatenablog.jp/entry/2018/10/31/183508 バージョン1.0.7は、本日11/14時点ではβ版として提供されています。所定の手順を踏めば誰でも使用することが可能ですが、βバージョンは積極的にバグ出し・機能評価するためのものであり、一般の使用はオススメしません。近日リリースされる1.0.7をお待ちください!  編集部発信のオリジナルコンテンツ