「スターベース東京のブログ」に、高橋製作所の「FC-76D」に 「FC/FSマルチフラットナー1.04x」を使用した実写作例が公開されています。

スターベース東京のブログ・【FC-76D + FC/FSマルチフラットナー1.04x 実写画像】ついにFC-76Dシリーズがフルサイズ対応となりました!
https://starbase.hatenablog.jp/entry/2018/10/26/114533

天リフでもこれまで何度か書いてきたことですが、デジタルカメラの高感度性能が飛躍的に向上した昨今では、「F8」や「F5.6」といった「暗い光学系」でも、総露出時間をじゅうぶんにかけることで、美しい天体写真を撮影することが可能になってきています。



この作例で使用されている光学系は「焦点距離589mm / F7.75」、フィルム時代なら「これでは天体写真は無理!」ですが、ごらんの通り素晴らしい作品が得られています。

Fの明るさは必須ではない

この作例を撮影されたスターベース東京の新宿さんの先日の「小海星フェス」での講演から。「Fの明るさは必須ではない」というメッセージがここでも発信されています(こちらが元祖です)。εやFSQなどの明るい写真用鏡筒を多数リリースしてきた高橋製作所ですが、今夏に発売された「FC/FSマルチフラットナー1.04x」はそれとは逆の方向。



これまで写真用としては見放されていたF値の暗めのアポ鏡筒を、F値は暗いまま現在要求される写真品質である「フルサイズ対応、流れない周辺像」を実現したもの。しかも税抜2.1万円。

ネーチャーショップKYOEI 大阪店・タカハシ FC/FSマルチフラットナー1.04x
https://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/takahashi-fcfs-multiflatner.html

暗くてもいいなら低価格で高画質になる

スターベース東京のブログより。https://starbase.hatenablog.jp/entry/2018/10/26/114533

「Fの暗いは七難隠す」といいますが、わずか3群4枚のシンプルな光学系で実現された星像がこれ。リンク先で拡大して眼を皿のようにして見てください。フルサイズ周辺まで良像で色収差も極小。星像も割れることなく周辺光量も豊富。「F7.75」と明るさを妥協するだけで、ここまでの画質が実現可能なのです。

小型軽量機材の存在意義

ネイチャーショップKYOEI 大阪店 タカハシ FC-76DCU鏡筒
https://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/takahashi-fc76dcu.html

暗い機材にはもう一つメリットがあります。それは比較的低価格であること。今回の作例で使用された「FC-76DCU」は税抜価格13.2万。フラットナーと合わせても15.3万(リング・カメラアダプタ除く)。かなり高性能なカメラレンズくらいの価格ではありますが、比較的お値頃といえるでしょう。

また、焦点距離589mm、鏡筒重量1.9kgは小型の赤道儀でもなんとか運用できる範囲です。「F値が暗い」ということは、おのずと口径が小さく機材も小型軽量になります。400〜600mmという焦点距離は、カメラレンズも含めて明るい光学系を手に入れるには、なかなか現実的でない価格と重量になります。

作例のように6分露出で流れないようにするにはかなりの使いこなしは必要になりますが、「Fの暗い」小型軽量機材でも、工夫と努力次第で大口径の明るい機材と遜色のないディープスカイが狙えるのは大きなことではないでしょうか。

まとめ・明るさは正義だけれど・・

「正義に屈服しない」もうひとつのアプローチ、ニュートン反射望遠鏡。写真はSky-WatcherのBKP130。コマコレクターとセットでも5万円ほど。フルサイズは無理ですが、650mmF5と明るいです^^ 赤道儀はビクセンのAP赤道儀。こちらも小型軽量。

明るさは正義。F2.8ならF5.6の1/4の露出時間で済む。ないしは4倍露出をかせいで2倍S/Nを良くすることができる。これは厳然たる事実です。でもちょっと待ってください。逆に4倍露出をかければF5.6でもOK。Fの暗さは挽回可能なのです。

明るさは正義。投資総額も正義。でも「正義」に屈服するのはつまらない。私たち天文マニアは正義のために天体写真をやっているではないのですから・・・

そんな意味でも、高橋製作所の「FC/FSマルチフラットナー1.04x」には大いなる期待を抱くものです。 「Fの明るさは必須ではない」FC76+マルチフラットナー1.04xhttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/10/e69c89638bd138ee757ead1e40203901.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/10/e69c89638bd138ee757ead1e40203901-150x150.jpg編集部天体写真「スターベース東京のブログ」に、高橋製作所の「FC-76D」に 「FC/FSマルチフラットナー1.04x」を使用した実写作例が公開されています。 スターベース東京のブログ・【FC-76D + FC/FSマルチフラットナー1.04x 実写画像】ついにFC-76Dシリーズがフルサイズ対応となりました! https://starbase.hatenablog.jp/entry/2018/10/26/114533 天リフでもこれまで何度か書いてきたことですが、デジタルカメラの高感度性能が飛躍的に向上した昨今では、「F8」や「F5.6」といった「暗い光学系」でも、総露出時間をじゅうぶんにかけることで、美しい天体写真を撮影することが可能になってきています。 この作例で使用されている光学系は「焦点距離589mm / F7.75」、フィルム時代なら「これでは天体写真は無理!」ですが、ごらんの通り素晴らしい作品が得られています。 Fの明るさは必須ではない https://twitter.com/tenmonReflexion/status/1051042052597723137 この作例を撮影されたスターベース東京の新宿さんの先日の「小海星フェス」での講演から。「Fの明るさは必須ではない」というメッセージがここでも発信されています(こちらが元祖です)。εやFSQなどの明るい写真用鏡筒を多数リリースしてきた高橋製作所ですが、今夏に発売された「FC/FSマルチフラットナー1.04x」はそれとは逆の方向。 これまで写真用としては見放されていたF値の暗めのアポ鏡筒を、F値は暗いまま現在要求される写真品質である「フルサイズ対応、流れない周辺像」を実現したもの。しかも税抜2.1万円。 ネーチャーショップKYOEI 大阪店・タカハシ FC/FSマルチフラットナー1.04x https://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/takahashi-fcfs-multiflatner.html 暗くてもいいなら低価格で高画質になる 「Fの暗いは七難隠す」といいますが、わずか3群4枚のシンプルな光学系で実現された星像がこれ。リンク先で拡大して眼を皿のようにして見てください。フルサイズ周辺まで良像で色収差も極小。星像も割れることなく周辺光量も豊富。「F7.75」と明るさを妥協するだけで、ここまでの画質が実現可能なのです。 小型軽量機材の存在意義 ネイチャーショップKYOEI 大阪店 タカハシ FC-76DCU鏡筒 https://www.kyoei-osaka.jp/SHOP/takahashi-fc76dcu.html 暗い機材にはもう一つメリットがあります。それは比較的低価格であること。今回の作例で使用された「FC-76DCU」は税抜価格13.2万。フラットナーと合わせても15.3万(リング・カメラアダプタ除く)。かなり高性能なカメラレンズくらいの価格ではありますが、比較的お値頃といえるでしょう。 また、焦点距離589mm、鏡筒重量1.9kgは小型の赤道儀でもなんとか運用できる範囲です。「F値が暗い」ということは、おのずと口径が小さく機材も小型軽量になります。400〜600mmという焦点距離は、カメラレンズも含めて明るい光学系を手に入れるには、なかなか現実的でない価格と重量になります。 作例のように6分露出で流れないようにするにはかなりの使いこなしは必要になりますが、「Fの暗い」小型軽量機材でも、工夫と努力次第で大口径の明るい機材と遜色のないディープスカイが狙えるのは大きなことではないでしょうか。 まとめ・明るさは正義だけれど・・ 明るさは正義。F2.8ならF5.6の1/4の露出時間で済む。ないしは4倍露出をかせいで2倍S/Nを良くすることができる。これは厳然たる事実です。でもちょっと待ってください。逆に4倍露出をかければF5.6でもOK。Fの暗さは挽回可能なのです。 明るさは正義。投資総額も正義。でも「正義」に屈服するのはつまらない。私たち天文マニアは正義のために天体写真をやっているではないのですから・・・ そんな意味でも、高橋製作所の「FC/FSマルチフラットナー1.04x」には大いなる期待を抱くものです。編集部発信のオリジナルコンテンツ