みなさんこんにちは!

ビクセンのフラッグシップ鏡筒VSD90SS、「天リフ読者レビュー企画」が始まりました!天リフ読者の方々で天文機材を順にレビューいただく「リレーレビュー企画」です。

12/12更新)リレーレビュー完結しました!12/15配信予定のこちらのレビューアー様座談会動画もぜひごらんください!



本記事では10月中旬まで、計5名の方にリレーされていくプロセスと同時並行で、それぞれのレビューア様が発信された情報を随時更新していきます。ぜひお見守りください!!

12月12日更新)蒼月城さんのレビュー結果更新!

10月30日更新)hiroponさんのレビュー結果更新!

9月30日更新)alrichaさんのレビュー結果更新!

9月19日更新)horoさんのレビュー結果更新!

8月3日更新)mituさんのレビュー結果更新、hiroさんのレビュー開始!

広告)Vixen天体望遠鏡  VSD90SS鏡筒

レビューアー様ご紹介とレビュー状況

「蒼月城」さん(9月下旬〜12月上旬)

12月12日更新)蒼月城さんのレビューが終了しています!以下蒼月城さんのTwitter(現X)からご紹介します!

諸般の事情で少し期間を延長する結果となりましたが、無事蒼月城さんのレビューが終了しました。YouTubeでもおなじみのPixInsightの名手、蒼月城さん。どんなリザルトが得られたのでしょうか?

リザルトの数々

Date: 00:10JST Nov. 29, 2024 Location: Asagiri Arena, Shizuoka Pref., Japan Cloud Coverage: < 5% Wind: Calm Optics: Vixen VSD90SS + V0.71x (fl:351mm, F:3.9) Mount: RainbowAstro RST-135 Autoguider: QHY5L-II, SV165, PHD2 Camera: Canon EOS 6D (mod/SEO-SP4) ISO speed: 3200 Exposure: 65x120sec. + 15x30sec. Processing: PixInsight, Affinity Photo 2 Cropped

1周遅れのVSD90SSリレーレビュー第2弾! ちぎれ雲襲来の後、意外にも快晴となった朝霧で今度はオリオン座の中心部を レデューサーV0.71xで撮影。フラットに大失敗したのが痛恨ですが、なんとか形にすることができました 高解像度版はいつもの通り Flickr にて flic.kr/p/2qxxJuG

蒼月城さんのカメラはEOS 6D天体改造。赤道儀は波動ギア式のRST-135で、総露光130分です。F3.9と明るいレデューサーV0.71x構成でオリオン座中心部を広くとらえた作品。

こちらは同じ日に撮影されたM45すばる。F5.5の直焦点構成、総露光は123分です。2時間露光で1つの作品が仕上がるなら、冬場なら一晩3〜4対象撮ることも可能。リモート撮影による100時間クラスの超・長時間露光が幅をきかせつつあるディープスカイ天体写真界隈ですが、「月イチ遠征で一晩4対象」なら年間36対象(*)。四季折々の自然の中でいろいろな天体を撮影し、丁寧に画像処理しながら星空の下の体験を反芻するのは、特に忙しい社会人にとっては鉄板の天文ライフの楽しみ方^^

(*)そんなにうまくいくのかよ、という声もありますが^^;;

IC1396(F3.9、総露光142分)とM31アンドロメダ銀河(F5.5、総露光165分)。秋冬のメジャー天体総ざらえです。

星像評価

F3.9、レデューサーV0.71構成での中央四隅の200%拡大画像です。まさに「ほぼパーフェクト」。四隅と中央の結像状態がほとんど区別できないほど均質なVSD90SSは素晴らしい光学系です。

蒼月城さんのご紹介(レビュー開始前のご紹介)

蒼月城と申します。
自身は大した機材を持ち合わせておらず、普段は他人様から頂戴したデータを基に肩身の狭い思ひで画像処理の解説動画を YouTubeで垂れ流している不届き者なので、ここいらで究極の屈折望遠鏡と噂されるVSD90SSを使って自分で撮影した画像を是が非でも手に入れ、気のすむまで画像処理したいと思いまして応募させていただきました。
カメラも架台もソフトウェアも中国製が世界を席巻している昨今、光学系だけは最高性能品がメイド・イン・ジャパンであることを肌で実感し、その感動を広く世の中にお伝えしたいと思っています。

YouTube 蒼月城
https://www.youtube.com/@sougetsu

リレーレビューのトリは蒼月城さん。「イケボ」なPixInsight解説のYouTube動画は、皆さん一度はご視聴されたことがあるのではないでしょうか。

↑の意気込みでは若干ご謙遜されていますが、氏が天体画像処理の第一人者であるのは周知の通り。「金棒」であるVSD90SSで、さらにパワーアップしたリザルトが拝見できるかと期待しています!


限られた時間でのご使用でしたが、素晴らしいリザルトを頂戴しました。蒼月城さん、ありがとうございました!

「HIROPON」さん(9月上旬〜9月中旬)[終了]

10月30日更新)HIROPONさんのレビューが終了しています!以下HIROPONさんのブログからご紹介します!

プロローグ〜VSD90SSという鏡筒について

実際のレビュー期間は来月からになる予定ですが、そのプロローグとして、この「VSD90SS」という鏡筒の成り立ちについて簡単にまとめておこうと思います。余談も余談なので*1、暇つぶしにでも眺めていただければ幸いです。

国内随一のビクセンユーザー&ウォッチャーのHIROPONさんですから、レビューが濃い・熱いものになることは予想していましたが、ここまでとは・・・と天リフ編集長は嬉しい悲鳴。プロローグからまとめまで、なんと8本ものブログ記事を執筆いただきました。

こちらの記事はその第一弾。VSD90SSのルーツを探る、ともいうべき、ペンタックス時代に遡る「高性能フォトビジュアルの系譜」の解説。ビクセン・ペンタックス様の公式見解ではないので「天体望遠鏡フリークの手による読み物」としてごらん頂ければと思います!

天リフ編集長が補足することがあるとすると、一つめはペンタックスは時代をリードする素晴らしい天体望遠鏡を提供していたという事実。天リフ編集長はチリのリモート環境で「PENTAX125SDP」を使用しているのですが、これは非常に素晴らしい性能で現代の基準でも最高レベルだと感じています(*)

(*)さすがに最周辺の点像性能はVSD90SSに負けますが・・

もう一つは、VSD90/70SSは、「VSD100F3.8」でビクセン技術陣が「やり残した(*)」ことをほぼ全て実現し、「ペンタックスからの系譜」から離れ「ビクセンフラッグシップの系譜」を新たにスタートする「渾身の作」であること。

(*)高い眼視性能(=高精細センサーでの高い限界性能)、ビクセン的コンセプトによる「使いやすさ」の実現など

このことは、HIROPONさんはじめ、レビューアー様の感想で実証された/されるものと感じています。

VSD90SSレビュー(外観編)

自分としては前代未聞の高級機材です。

ご尊顔を拝し奉り恐悦至極に存じ奉り……( ゚д゚)ハッ!

ありがたさのあまり神棚に祀り上げておきたくなりましたが、そういうわけにもいかないので、以前からの予告通りレビューを始めていきたいと思います。性能は後回しで、まずは外観から。

外観のレビューだけでも細かいところも全て網羅されています。購入検討者必読の書です^^ フード・キャップなどに対する辛口?な意見も大いに拝聴に値しますね。ぜひ今後の製品開発に取り入れられることを天リフ編集長は願っております。

VSD90SSレビュー(フラット&星像編)

今回はフラット画像、および実際の星空を撮影してみて、どのような結果になるかを確認してみようと思います。あちこちですでに立派な結果が発表されているのでいまさらですが、普及価格帯の鏡筒との比較という面も含めて見ていただければ……。

HIROPONさん所有の「ビクセンED103S(SD103SII相当にアップグレード改造済み)」と「Askar FRA300pro」との星像・周辺光量の比較です。結論のみピックアップすると周辺光量では「特にレデューサーの結果は驚異的」「フラット補正が不要というのもあながち嘘とは言い切れない」とのご感想。星像では「文句のつけようがありません」「積極的にトリミングを使ったとしても十二分に楽しめそう」とのご感想でした。

天リフ編集長の補足は、HIROPONさんの「今どきの鏡筒はどれをとっても本当に優秀ですね」の一言。天体望遠鏡の性能は、昨今大いに向上しています。その中のトップクラスが「VSD90SS」ですが、おそらく今後は「非常に高性能な鏡筒」がさらに増え、天体写真のクオリティはますます上がってくることでしょう。

VSD90SSレビュー(番外編) L-Ultimateの特性について

撮影テストを行うにあたり、「明るくできる鏡筒を使うのだから、淡い対象を狙いたいよね」ということで、せっかくなので「レデューサーV0.71x」と手持ちの高性能デュアルナローバンドフィルター「L-Ultimate」を使ってやろうと目論みました。

VSD90SSでナローバンド。レデューサーV0.71でF値を「3.9」まで明るくして使用する場合「斜入射光」によるフィルターの特性変化が気になるところですが、海外の英文によるレポートを紐解き、影響はある(OIII, Hαの透過率はそれぞれ74%, 80%)ものの「なんとか問題なく使うことができそう」との結論。

ナローバンドフィルターは個体差もあるので上記結論が全てにあてはまるとは限りませんが「F3.9」というF値であれば半値幅3nmであっても実用範囲と考えていいでしょう。

VSD90SSレビュー(実写編)

さて、いよいよお待ちかねの「実写」です。(中略)

せっかく撮るなら今まで撮っていない対象を撮ってみたいもの。そこで、ステラナビゲータで画角とにらめっこした結果、「M52~バブル星雲(NGC7635)~クワガタ星雲(Sh2-157)」の領域を撮ってみることにしました。

2024年9月5日, 6日 VSD90SS+レデューサーV0.71x(D90mm, f351mm) SXP赤道儀 ZWO ASI2600MC Pro, 0℃ カラー画像その1:Gain100, 60秒×32, ZWO IRカットフィルター使用 カラー画像その2:Gain100, 60秒×32, ZWO IRカットフィルター&ケンコー・トキナー プロソフトン クリアフィルター使用 ナローバンド画像:Gain350, 300秒×51, Optolong L-Ultimateフィルター使用 ペンシルボーグ25(D25mm, f175mm)+ASI120MM+PHD2によるオートガイド PixInsight、ステライメージVer.9.0oほかで画像処理

いつもの「東京都心の公園」での撮影。ナローバンド+ブロードバンドカラー、ソフトフィルターも併用して、星の色も星雲も描出した力作。さすが光害地での天体写真のパイオニアのHIROPONさん!

VSD90SSレビュー(眼視編)

ひとまず実写もしたし……ということで、一昨日はVSD90SSを眼視目的で引っ張り出してみました。

当たり前ですが、VSD90SSは基本的に写真向きの鏡筒で、眼視目的に使うような鏡筒ではありません。とはいえカタログ上は、ストレール比で比較すると同社の2枚玉EDアポクロマート「SD81S II」の95.7%を上回り、「AX103S」に次いで社内2番目(96.7%)の数値を叩きだすという高性能ぶり。ご先祖たるペンタックスの100EDUFからビクセンのVSD100F3.8に至るまで、眼視性能は二の次だった系譜からは一線を画します。

ストレール比「96.7%(*)」という「眼視でも(超)高性能」のVSD90SSは、「自分はほとんど眼視はしない」とのHIROPONさんをして「月見」に向かわせたのですね^^

(*)ストレール比:肉眼の波長感度特性を考慮した、点光源の対象の光の何%が回折による最小星像内に収まるかを数値化したもの。95%を越えると「超高性能」と評価できると言われています。

結果は・・「眼視経験は極めて乏しい自分ですが、この鏡筒、見え味としてはトップクラスと評していいでしょう」とのこと。天リフ編集長の感想ですが、VSD90SSを「写真向きの鏡筒」と評してしまうと、実機にとっても開発担当者様にとっても若干不憫ではあります。写真性能が特に素晴らしいのであって、眼視性能もまさに「トップクラスと評していい」のです!

眼視でじゅうぶんな高倍率が得られる接眼レンズの選択肢が少ない、ビクセンのHRシリーズがディスコンになったのは残念、というご指摘はまったくその通り。ぜひ高性能なバローレンズやエクステンダーの製品化を期待したいですね!

VSD90SSレビュー(月・惑星撮影編)

月が南中する前後を狙ってVSD90SSをセッティングしました。直焦点で撮影すれば、その真価が見えるかもしれません。また、この日は月のすぐ近くに土星も浮かんでいます。ついでなのでこの際、土星の拡大撮影にもチャレンジしてみましょう。

上)VSD90SS(D90mm, f495mm) SXP赤道儀 L画像:ZWO ASI290MM, Gain=0, 0.6ms, 約1830フレームをスタック RGB画像:Canon EOS KissX5, ISO100, 1/800秒×8コマ 下)VSD90SS0+NLV 10mm SXP赤道儀 L画像:ZWO ASI290MM, Gain=400, 30ms, 2250フレームをスタック RGB画像:ZWO ASI290MC, Gain=460, 30ms, 2250フレームをスタック ※オリジナルをレベル調整で少し明るくしています。

VSD90SSがいくら高性能とはいっても「口径90mm」なのでガチな月・惑星撮影には力不足は否めませんが、天リフ編集長の感想としては「口径90mmとしては、十二分に良く写っている」と感じました(*)。

(*)惑星撮影も月面撮影も名手のHIROPONさんならでは、ではあります。

また、記事中の「フリップミラーを使用した際のシステム構成」や、接眼レンズ「NLV10mm」を使用した拡大撮影は大いに参考になるかと思います。

VSD90SSレビュー まとめ

こまごま不満点も書きましたが、総じて非常によくできた鏡筒だと思います。初心者でも扱いやすいユーザビリティと、難しいことを考えずとも十二分に性能を発揮してくれるだろうという安心感は大きくて、使っていて楽しい鏡筒でした。これが他の鏡筒だと、どうしてもどこかに「これで大丈夫かな?うまく撮れるかな?」という懸念が湧きがちで、なかなか「楽しむ」まで行かないのです。ほぼ全幅の信頼を置けるという意味で、道具として非常に優秀だと感じました。もちろん価格は非常に高いわけですが、それに見合うだけの性能は確かにあると思います

まとめ記事です。「フードおよびキャップの仕様」や「(設置収納の際に)本体のつかみどころがない」「写真性能を保ったまま焦点距離を伸ばす手段がない」など辛口評価もあるものの、長所短所含めきっちりと、そしてわかりやすいレビューをご執筆いただけたと感じています。HIROPONさん、ありがとうございました!

天リフ編集長的には「ここにきて各社の競争ステージがさらに一段上がった感じがします」という業界動向の所見(そしてビクセンへのエール)が印象に残りました。VSD90SSというフラッグシップに続く次の製品群にも、大いに期待したいですね!

HIRIPONさんのご紹介(レビュー開始前のご紹介)

せっかくなので「ED103S(SD103SII相当改造済)+SDレデューサーHDキット」との比較に加え、光害地での適性を見てみたいと思います。一般の評判が良くても、光害地だと内面反射が気になる例もあるので……。

レビュー四番手、HIROPONさん。天リフ・Twitter界隈ではもはや知らない人がいないほど、活発に活動されています。ビクセン製品ではSD103SIIなどを所有され、ご自宅近くの東京都心で撮影されています。市街地での天体撮影」の先鞭をつけられた方といってもよいでしょう。



CP+などでの「ビクセンウォッチャー」ぶりもディープ。こちらは本年のCP+2024のレポートですが、真っ先にビクセン、そして熱く濃い。ビクセン愛?溢れるHIROPONさんのレポートに期待です!

「Alricha」さん(8月中旬〜8月下旬)[終了]

自分のレビューがお役に立つか分かりませんが、是非いつも使用しているFSQ-106EDとの違いを実感してみたい。

レビュー三番手はAlrichaさん。主砲のタカハシFSQ-106EDで、主にディープスカイ撮影を楽しんでいらっしゃいます。天リフでもライブ配信やイベント等でいつもお世話になっています!

名機として名高いFSQ-106EDですが、VSD90SSとの直接対決?はどんな結果になるでしょうか?!

リザルト・網状星雲

望遠鏡 Vixen VSD90SS 495mm F5.5 QBPフィルターを使用 カメラ ZWO ASI2600MC Pro -5℃ Gain100 5min×20枚 画像処理 Pixinsight(BXT), Photoshop @千葉県荒木根ダム

雲が通過しているフレームもあったので、本来はもっとクッキリ写るはずです。また、下弦の月が昇ってきてQBPフィルターを使用したので、色バランスとかは合わせ切れていませんが、星像の小ささや周辺でも収差が無いのは確認できると思います。(星像はフィルターの効果もあると思いますが)

台風を含むこの夏の天候不順もあり、使用できたのは1回だけだったのは残念でした。レビュー期間が約3週間しかないのは本企画の担当としては心苦しい限りですが、VSD90SSの高性能ぶりに少しでも触れていただくことができてよかったです。

ビクセン社のVSD90SS開発担当様からは「ビクセンが作る以上は使いやすくなければならない。初心者でも性能を引き出せるように腐心した」旨のことを伺っていましたが、「とても扱いやすい機材」という評価をいただけたことは、開発者の思いがユーザーに届いたということの証ではないかと思います^^

Alrichaさん、本企画にご参加いただきありがとうございました!

「hiro」さん(7月下旬〜8月上旬)[終了]

9月19日更新)hiroさんのレビューが終了しています!以下hiroさんのブログからインプレッションをご紹介します!※更新が遅くなり申し訳ありませんでした!

手持ちの同じ仕様の鏡筒(KOWA Prominer 500mm F5.6)との性能比較をしてみたいです

hiroのフィールドノート plus
https://bloghiro.exblog.jp/

2番手のhiroさんは愛知県にお住まいで、野鳥・天体撮影を広く楽しまれていらっしゃいます。hiroさんのブログは「hiroのフィールドノート plus」ですが、天リフ編集長は天リフ開設以前より時折拝見させていただいていました。

VSD90SSの第一印象

hiroのフィールドノート plus・ビクセンVSD90SS 試用開始https://bloghiro.exblog.jp/33894259/

開梱して製品を見た印象は「でかい」でした。これはプロミナーやBORGといったコンパクトなカメラレンズを主に使ってき小生の個人的感想です。

実機が到着して初セットアップ。現在使用されているコーワ・プロミナーとほぼ同口径・焦点距離ですが、まったく違うスケール感にびっくりされた様子。理論的な限界性能まで発揮するための天体望遠鏡と、小型軽量と両立させるためのカメラレンズの違いといったところでしょうか。

眼視観望でアルビレオや月をご覧になられたとのことですが「星の像の鋭さと立体感」が極めて高いのも、天体望遠鏡ならではでしょう。イメージセンサーのピクセルピッチよりも小さな解像力は必要とされないカメラレンズでは、ある程度の収差の発生は妥協可能な要素だからです。

VSD90SSとプロミナーの比較

VSD90SSファーストライト
https://bloghiro.exblog.jp/33896256/
露出時間の不足によりプロミナーの写真よりも星雲の写りが良くない ですが、こういうワイド画像では一見、プロミナーとVSDに大きな違いは 見いだせません。

プロミナーで同じ対象を撮影されていて、両者の比較です。フルサイズ・トリミングなしの「ワイド画像」では、実際のところVSD90SSとプロミナーには顕著な差はなかったようです。しかし・・・

VSD90SS試用 NGC6888の再切り出し
https://bloghiro.exblog.jp/33899235/
星雲画像の高い精細度に驚きました。

トリミングで切り出すと両者の違いがはっきりしてきます。VSD90SSなら、大幅にトリミングして切り出しても、じゅうぶん「作品レベル」に仕上げられるとのご感想。VSD90SSの本領発揮ですね!

1インチセンサーでM27亜鈴星雲を撮影

VSD90SS 作例 M27
https://bloghiro.exblog.jp/33902971/
1″のセンサーに替えて小さな星雲を撮りました。トリミング1100mm相当。高い解像度を維持しています。ただこの鏡筒は広い画角で撮った方が気持ちいいみたいです。

非常に高い解像度を誇るVSD90SS。トリミング前提でフルサイズカメラで撮るのであれば、小センサーカメラで撮影しても同じ結果が得られるはず、との考え方で1インチセンサーのASI533MCでの作例。

上の作例はさらにトリミングしていますが、素晴らしい写りですね!どんなセンサーサイズのカメラを使用しても、それぞれに合った楽しみ方ができるのがVSD90SSのいいところです。

hiroさんの「広い画角で撮った方が気持ちいい」とのご感想には、天リフ編集長もまったく同感です。この「気持ちよさ」こそ、最大のVSD90SSの良いところだと感じています。

網状星雲

VSD90SS 作例 網状星雲
https://bloghiro.exblog.jp/33903641/
NGC6992(トリミング)まさに「網状星雲」。精細なベール構造がよく写りました。
NGC6960(トリミング)

こちらは網状星雲。元画像は両方が写っていますが、東西それぞれトリミングで切り出し。0.71xのレデューサーを使用して焦点距離350mm、カメラはAPS-CのASI2600MCPです。

APS-Cサイズのカメラで使用する場合、直焦点だと若干画角が狭くなります。レデューサーV0.71xを使用すれば、画角・明るさともに、ベストマッチになるようですね!

チューリップ星雲・ダークもフラットもなし!

VSD90SS 作例 チュ-リップ星雲 sh2-101
https://bloghiro.exblog.jp/33904533/
ASI2600MC DUOはノイズが少ないためDARKは撮っていません。デザリングやっていれば十分。 VSDではAPS-Cを使う限り周辺減光対策は不要と思い、FLATなしです。 これらは良い機材の恩恵ですね。

こちらの作例は、なんとダークもフラットもなし。ノイズの少ない冷却CMOSカメラであれば、ダークを省略しても充分な画質が得られるようです。しかもAPS-Cに直焦点なら、フラットもほぼ不要。まさに「よい機材の恩恵」!

まとめ・「さよならするのは寂しかったです」

VSD90SS試用 まとめ
https://bloghiro.exblog.jp/33919228/
本日で試用終了となりました。8月に入って天候不良で使えなかったのがすこし残念。 ただ撮影、眼視共に広く浅く試せました。 使いやすく周辺機器ともすっかり馴染んでいたため、さよならするのは寂しかったです。

撮影に眼視に広く試していただき、楽しんでいただけたようで何よりです。さよならするには寂しすぎる鏡筒ですが、、、ぜひ「いつかはVSD90SS」で!

(全体評価)
非常に丁寧なモノづくりで、高度な光学性能とも相まって、「所有する喜び」をいつまでも感じさせてくれる望遠鏡です。高額ですがその価値は十分と思います。
手持ちのPROMINARは仕様は同じですがカメラレンズであり、眼視はできないので、撮影も眼視も高度に楽しめる天体望遠鏡はいいものだと感じました。

大変高い評価をいただきました。ビクセンの渾身のフラッグシップ鏡筒「VSD90SS」が、ユーザー様にしっかりと刺さったといえるでしょう!

hiroさん、大変有益なレビューと作例をありがとうございました!

「mitu」さん(6月下旬〜7月中旬)[終了]

8月3日更新)mituさんのレビューが終了しました!以下頂戴したインプレッションをまとめています。

似たようなレンズ構成のTeleVue NP-101、似たような口径のTeleVue TV-85、高ストレール謳うFOA-60での過剰倍率星像比較(主に接近している二重星や月面)、また広視野低倍率観望比較(視野フラット度合い)とかやってみたいです。

性能評価

トップバッターはmituさん。今回の5名のレビューアーの中では随一の眼視派。高性能な屈折鏡筒を複数お持ちで、VSD90SSの眼視性能を評価いただくには最適任の方。

VSD90SSの美しい焦点内外像。キレイな真円、極めて少ない軸上色収差、内外像の対称性、どれをとっても一級品です。スマホでこのように焦点内外像を記録できるとは、イイ時代になりましたね!

眼視機材としての使い勝手

VSD90SSの接眼部は写真用途を想定した大きく頑丈なもの。眼視用途では「ライト感覚」とはいきませんが、逆にピントを動かしても視野がズレにくいメリットがありそうです。

眼視用途にはピントの調整幅が約33mmと短いのが気になるところです。延ばすには延長リングを入れればよいのですが、繰り込む側が足りるかがポイント。メガネのマツモト製の正立ミラーシステムEMS-UMBとイーソス13mmでも合焦したとこのことで一安心。

予想どおり、、フードの使い勝手には要望が。フードを装着した状態でキャップができないのはやはり不便なようです。簡単に外れるとはいえ、、1アクション操作が増えるのは大きな違い。ぜひ改良を検討いただきたいところですね。

こちらはフードを装着しキャップを外した状態。この状態でキャップを嵌めるのは簡単なのですが、キャップを外すのが微妙に難しい。キャップに取っ手があるといいのですが。

別売の専用キャリングケースの評価は眼視用途にも高いようです。外径が大きく横に飛び出た正立ミラーシステム(EMS)を装着状態で収納可能。一方で鏡筒ハンドルを外付けするとケースに収納できない問題は、なんとか解決してほしいものです。

「映える」機材画像

mituさんの「ブツ撮り」はハイレベル^^ こんなヤバい画像を見せられると物欲を刺激しますね・・(煽

なんとAZ-GTi(最大搭載重量5kg)に搭載。若干過積載ですが(VSD90SSハ鏡筒本体4.3kg、鏡筒バンド・接眼レンズ・正立プリズムを含めると5kgを越えます)載らないことはないようです。ただし自己責任で!

VSD90SSによる天体スケッチ

mituさんは天体スケッチの名手でもあります。最後の晩に、月面スケッチ!月面の見え味にもご満足いただけたようで、よかったです!

まとめ

しよういただいた期間はもろに梅雨中で心苦しいのですが、複数の晴れ間があったことは不幸中の幸いでした。眼視派のmituさんに使用いただけてよかったです。ありがとうございました!

広告)Vixen レデューサーV0.71x VSD90SS_70SS対応

VSD90SSとは?

VSD90SSは2023年11月に発売された、株式会社ビクセンの天体望遠鏡です。SDレンズ(スーパーEDレンズ)を2枚、EDレンズを1枚使用した高性能な5枚玉構成で、収差を徹底的に補正し非常に高い写真撮影性能と眼視観測性能を両立させています。

【フラッグシップ】ビクセンVSD90SS鏡筒レビュー【Underエアリーディスク収差補正】

VSD90SSの詳細については、この天リフレビュー記事をぜひご参照ください!

今回のレビュー企画の概要

ざっくり今回のレビュー企画の流れは以下のようなものです。

  1. メーカー様は、レビュー対象製品を一定期間天リフに貸与する
  2. 天リフが対象製品に対するレビューアーを募る
  3. 天リフからレビューアーに一定期間製品を貸与
  4. レビューアーはレビュー結果を自分のブログ・SNS等にアップ、ないしはレビュー結果を天リフにレポート
  5. 天リフはレビューアーのリザルトを適宜記事化する

メーカー様のメリットは「評価してほしい製品を貸し出す」だけで、様々な視点のレビュー記事がネットに放流されること。レビューアー様のメリットは、興味のある製品を実際に試すことができること。天リフのメリットは、読者に広く製品紹介を発信できることです。まさに「win-win-win」のスキーム!(*)

(*)このようなレビュー企画の実施をご希望されるメーカー・販売店様、ご興味がございましたら天リフ編集部までお問い合わせください!

まとめ

いかがでしたか?

ビクセン渾身のフラッグシップ天体望遠鏡VSD90SSが、5人のレビューアーにどんな体験をもたらすのか?レビューアー様のご紹介文ではずいぶん煽ってハードルを上げてしまったかもしれませんが(汗)、本レビューの趣旨はレビューアー様の率直な感想と体験をお伝えするのが目的です。フラッグシップだからといってフラッグシップな「リザルト」を求めているのでは全くありません。

せひ、最高の望遠鏡で素晴らしい体験をしていただけることをお祈りしています! Clear Sky!

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  • 本記事は株式会社ビクセン様より機材貸与と協賛を受け、天文リフレクションズ編集部が独自の判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。
  • 記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。
  • 製品の購入およびお問い合わせはメーカー様・販売店様にお願いいたします。
  • 本記事によって読者様に発生した事象については、その一切について編集部では責任を取りかねますことをご了承下さい。
  • 記事中の製品仕様および価格は執筆時(2024年7月)のものです。
  • 記事中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。
https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2024/07/90c65e5eb81c63becd743604d221c149-1024x576.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2024/07/90c65e5eb81c63becd743604d221c149-150x150.jpg編集部望遠鏡望遠鏡みなさんこんにちは! ビクセンのフラッグシップ鏡筒VSD90SS、「天リフ読者レビュー企画」が始まりました!天リフ読者の方々で天文機材を順にレビューいただく「リレーレビュー企画」です。 12/12更新)リレーレビュー完結しました!12/15配信予定のこちらのレビューアー様座談会動画もぜひごらんください! 本記事では10月中旬まで、計5名の方にリレーされていくプロセスと同時並行で、それぞれのレビューア様が発信された情報を随時更新していきます。ぜひお見守りください!! 12月12日更新)蒼月城さんのレビュー結果更新! 10月30日更新)hiroponさんのレビュー結果更新! 9月30日更新)alrichaさんのレビュー結果更新! 9月19日更新)horoさんのレビュー結果更新! 8月3日更新)mituさんのレビュー結果更新、hiroさんのレビュー開始! レビューアー様ご紹介とレビュー状況 「蒼月城」さん(9月下旬〜12月上旬) 12月12日更新)蒼月城さんのレビューが終了しています!以下蒼月城さんのTwitter(現X)からご紹介します! 諸般の事情で少し期間を延長する結果となりましたが、無事蒼月城さんのレビューが終了しました。YouTubeでもおなじみのPixInsightの名手、蒼月城さん。どんなリザルトが得られたのでしょうか? リザルトの数々 1周遅れのVSD90SSリレーレビュー第2弾! ちぎれ雲襲来の後、意外にも快晴となった朝霧で今度はオリオン座の中心部を レデューサーV0.71xで撮影。フラットに大失敗したのが痛恨ですが、なんとか形にすることができました 高解像度版はいつもの通り Flickr にて https://flic.kr/p/2qxxJuG 蒼月城さんのカメラはEOS 6D天体改造。赤道儀は波動ギア式のRST-135で、総露光130分です。F3.9と明るいレデューサーV0.71x構成でオリオン座中心部を広くとらえた作品。 1周遅れのVSD90SSリレーレビュー!ちぎれ雲が時々襲来した朝霧でまずは「すばる(M45)」を撮影。フルサイズ四隅の星像の素晴らしさは既にご覧いただいた通りですが、星が非常にシャープに写りますね。千年前も今も、やっぱり星はすばる。高解像度版は Flickrにてhttps://t.co/mN4lf2y2Q9 pic.twitter.com/yCnNFBxvNt — 蒼月城@7七の地点が光って見えた(谷川浩司十七世名人) (@astroimageproc) December 1, 2024 こちらは同じ日に撮影されたM45すばる。F5.5の直焦点構成、総露光は123分です。2時間露光で1つの作品が仕上がるなら、冬場なら一晩3〜4対象撮ることも可能。リモート撮影による100時間クラスの超・長時間露光が幅をきかせつつあるディープスカイ天体写真界隈ですが、「月イチ遠征で一晩4対象」なら年間36対象(*)。四季折々の自然の中でいろいろな天体を撮影し、丁寧に画像処理しながら星空の下の体験を反芻するのは、特に忙しい社会人にとっては鉄板の天文ライフの楽しみ方^^ (*)そんなにうまくいくのかよ、という声もありますが^^;; このところほとんど晴れない関東地方ですが、10/1の夜、ど平日でしたがこっそりみずがき湖に行ってVSD90SSで撮影してきました。ビジターセンターでお会いした皆さん、大変お世話になりました。VSDの印象については今は言うまい😐高解像度版は Flickrにて↓https://t.co/zv5IbnHGY4#Vixen #VSD90SS pic.twitter.com/2mswxTf5kL — 蒼月城@7七の地点が光って見えた(谷川浩司十七世名人) (@astroimageproc) October 4, 2024 みずがき湖ビジターセンターにてもう1対象。ド定番のアンドロメダ銀河です。ただ、撮影中に曇られて少し滲んでしまいました。露光時間も予定の70%ほど。う~ん、残念😒VSDの印象は後日。高解像度版は Flickrにて↓https://t.co/Xv9TzWDqIQ#Vixen #VSD90SS #Andromeda #M31 pic.twitter.com/lwnyznSqto — 蒼月城@7七の地点が光って見えた(谷川浩司十七世名人) (@astroimageproc) October 4, 2024 IC1396(F3.9、総露光142分)とM31アンドロメダ銀河(F5.5、総露光165分)。秋冬のメジャー天体総ざらえです。 星像評価 1周遅れのVSD90SSリレーレビュー! VSD90SS+V0.71x での四隅の星像はどうだったんだというお声が聞こえてきそうなので、30秒一枚撮りの中央と最四隅の200%拡大星像をご覧いただきましょう。もちろんBXT無し。こちらもほぼパーフェクト。F3.9でこの星像は確かに見たことないかも。 pic.twitter.com/erlspvXPka — 蒼月城@7七の地点が光って見えた(谷川浩司十七世名人) (@astroimageproc) December 4, 2024 F3.9、レデューサーV0.71構成での中央四隅の200%拡大画像です。まさに「ほぼパーフェクト」。四隅と中央の結像状態がほとんど区別できないほど均質なVSD90SSは素晴らしい光学系です。 蒼月城さんのご紹介(レビュー開始前のご紹介) 蒼月城と申します。自身は大した機材を持ち合わせておらず、普段は他人様から頂戴したデータを基に肩身の狭い思ひで画像処理の解説動画を YouTubeで垂れ流している不届き者なので、ここいらで究極の屈折望遠鏡と噂されるVSD90SSを使って自分で撮影した画像を是が非でも手に入れ、気のすむまで画像処理したいと思いまして応募させていただきました。カメラも架台もソフトウェアも中国製が世界を席巻している昨今、光学系だけは最高性能品がメイド・イン・ジャパンであることを肌で実感し、その感動を広く世の中にお伝えしたいと思っています。 YouTube 蒼月城https://www.youtube.com/@sougetsu リレーレビューのトリは蒼月城さん。「イケボ」なPixInsight解説のYouTube動画は、皆さん一度はご視聴されたことがあるのではないでしょうか。 ↑の意気込みでは若干ご謙遜されていますが、氏が天体画像処理の第一人者であるのは周知の通り。「金棒」であるVSD90SSで、さらにパワーアップしたリザルトが拝見できるかと期待しています! 限られた時間でのご使用でしたが、素晴らしいリザルトを頂戴しました。蒼月城さん、ありがとうございました! 「HIROPON」さん(9月上旬〜9月中旬) 10月30日更新)HIROPONさんのレビューが終了しています!以下HIROPONさんのブログからご紹介します! プロローグ〜VSD90SSという鏡筒について https://hpn.hatenablog.com/entry/2024/08/27/190611 実際のレビュー期間は来月からになる予定ですが、そのプロローグとして、この「VSD90SS」という鏡筒の成り立ちについて簡単にまとめておこうと思います。余談も余談なので*1、暇つぶしにでも眺めていただければ幸いです。 国内随一のビクセンユーザー&ウォッチャーのHIROPONさんですから、レビューが濃い・熱いものになることは予想していましたが、ここまでとは・・・と天リフ編集長は嬉しい悲鳴。プロローグからまとめまで、なんと8本ものブログ記事を執筆いただきました。 こちらの記事はその第一弾。VSD90SSのルーツを探る、ともいうべき、ペンタックス時代に遡る「高性能フォトビジュアルの系譜」の解説。ビクセン・ペンタックス様の公式見解ではないので「天体望遠鏡フリークの手による読み物」としてごらん頂ければと思います! 天リフ編集長が補足することがあるとすると、一つめはペンタックスは時代をリードする素晴らしい天体望遠鏡を提供していたという事実。天リフ編集長はチリのリモート環境で「PENTAX125SDP」を使用しているのですが、これは非常に素晴らしい性能で現代の基準でも最高レベルだと感じています(*) (*)さすがに最周辺の点像性能はVSD90SSに負けますが・・ もう一つは、VSD90/70SSは、「VSD100F3.8」でビクセン技術陣が「やり残した(*)」ことをほぼ全て実現し、「ペンタックスからの系譜」から離れ「ビクセンフラッグシップの系譜」を新たにスタートする「渾身の作」であること。 (*)高い眼視性能(=高精細センサーでの高い限界性能)、ビクセン的コンセプトによる「使いやすさ」の実現など このことは、HIROPONさんはじめ、レビューアー様の感想で実証された/されるものと感じています。 VSD90SSレビュー(外観編) https://hpn.hatenablog.com/entry/2024/09/08/192726 自分としては前代未聞の高級機材です。 ご尊顔を拝し奉り恐悦至極に存じ奉り……( ゚д゚)ハッ! ありがたさのあまり神棚に祀り上げておきたくなりましたが、そういうわけにもいかないので、以前からの予告通りレビューを始めていきたいと思います。性能は後回しで、まずは外観から。 外観のレビューだけでも細かいところも全て網羅されています。購入検討者必読の書です^^ フード・キャップなどに対する辛口?な意見も大いに拝聴に値しますね。ぜひ今後の製品開発に取り入れられることを天リフ編集長は願っております。 VSD90SSレビュー(フラット&星像編) https://hpn.hatenablog.com/entry/2024/09/11/191242 今回はフラット画像、および実際の星空を撮影してみて、どのような結果になるかを確認してみようと思います。あちこちですでに立派な結果が発表されているのでいまさらですが、普及価格帯の鏡筒との比較という面も含めて見ていただければ……。 HIROPONさん所有の「ビクセンED103S(SD103SII相当にアップグレード改造済み)」と「Askar FRA300pro」との星像・周辺光量の比較です。結論のみピックアップすると周辺光量では「特にレデューサーの結果は驚異的」「フラット補正が不要というのもあながち嘘とは言い切れない」とのご感想。星像では「文句のつけようがありません」「積極的にトリミングを使ったとしても十二分に楽しめそう」とのご感想でした。 天リフ編集長の補足は、HIROPONさんの「今どきの鏡筒はどれをとっても本当に優秀ですね」の一言。天体望遠鏡の性能は、昨今大いに向上しています。その中のトップクラスが「VSD90SS」ですが、おそらく今後は「非常に高性能な鏡筒」がさらに増え、天体写真のクオリティはますます上がってくることでしょう。 VSD90SSレビュー(番外編) L-Ultimateの特性について https://hpn.hatenablog.com/entry/2024/09/13/190641 撮影テストを行うにあたり、「明るくできる鏡筒を使うのだから、淡い対象を狙いたいよね」ということで、せっかくなので「レデューサーV0.71x」と手持ちの高性能デュアルナローバンドフィルター「L-Ultimate」を使ってやろうと目論みました。 VSD90SSでナローバンド。レデューサーV0.71でF値を「3.9」まで明るくして使用する場合「斜入射光」によるフィルターの特性変化が気になるところですが、海外の英文によるレポートを紐解き、影響はある(OIII, Hαの透過率はそれぞれ74%, 80%)ものの「なんとか問題なく使うことができそう」との結論。 ナローバンドフィルターは個体差もあるので上記結論が全てにあてはまるとは限りませんが「F3.9」というF値であれば半値幅3nmであっても実用範囲と考えていいでしょう。 VSD90SSレビュー(実写編) https://hpn.hatenablog.com/entry/2024/09/15/190254 さて、いよいよお待ちかねの「実写」です。(中略) せっかく撮るなら今まで撮っていない対象を撮ってみたいもの。そこで、ステラナビゲータで画角とにらめっこした結果、「M52~バブル星雲(NGC7635)~クワガタ星雲(Sh2-157)」の領域を撮ってみることにしました。 いつもの「東京都心の公園」での撮影。ナローバンド+ブロードバンドカラー、ソフトフィルターも併用して、星の色も星雲も描出した力作。さすが光害地での天体写真のパイオニアのHIROPONさん! VSD90SSレビュー(眼視編) https://hpn.hatenablog.com/entry/2024/09/16/190507 ひとまず実写もしたし……ということで、一昨日はVSD90SSを眼視目的で引っ張り出してみました。 当たり前ですが、VSD90SSは基本的に写真向きの鏡筒で、眼視目的に使うような鏡筒ではありません。とはいえカタログ上は、ストレール比で比較すると同社の2枚玉EDアポクロマート「SD81S II」の95.7%を上回り、「AX103S」に次いで社内2番目(96.7%)の数値を叩きだすという高性能ぶり。ご先祖たるペンタックスの100EDUFからビクセンのVSD100F3.8に至るまで、眼視性能は二の次だった系譜からは一線を画します。 ストレール比「96.7%(*)」という「眼視でも(超)高性能」のVSD90SSは、「自分はほとんど眼視はしない」とのHIROPONさんをして「月見」に向かわせたのですね^^ (*)ストレール比:肉眼の波長感度特性を考慮した、点光源の対象の光の何%が回折による最小星像内に収まるかを数値化したもの。95%を越えると「超高性能」と評価できると言われています。 結果は・・「眼視経験は極めて乏しい自分ですが、この鏡筒、見え味としてはトップクラスと評していいでしょう」とのこと。天リフ編集長の感想ですが、VSD90SSを「写真向きの鏡筒」と評してしまうと、実機にとっても開発担当者様にとっても若干不憫ではあります。写真性能が特に素晴らしいのであって、眼視性能もまさに「トップクラスと評していい」のです! 眼視でじゅうぶんな高倍率が得られる接眼レンズの選択肢が少ない、ビクセンのHRシリーズがディスコンになったのは残念、というご指摘はまったくその通り。ぜひ高性能なバローレンズやエクステンダーの製品化を期待したいですね! VSD90SSレビュー(月・惑星撮影編) https://hpn.hatenablog.com/entry/2024/09/18/193029 月が南中する前後を狙ってVSD90SSをセッティングしました。直焦点で撮影すれば、その真価が見えるかもしれません。また、この日は月のすぐ近くに土星も浮かんでいます。ついでなのでこの際、土星の拡大撮影にもチャレンジしてみましょう。 VSD90SSがいくら高性能とはいっても「口径90mm」なのでガチな月・惑星撮影には力不足は否めませんが、天リフ編集長の感想としては「口径90mmとしては、十二分に良く写っている」と感じました(*)。 (*)惑星撮影も月面撮影も名手のHIROPONさんならでは、ではあります。 また、記事中の「フリップミラーを使用した際のシステム構成」や、接眼レンズ「NLV10mm」を使用した拡大撮影は大いに参考になるかと思います。 VSD90SSレビュー まとめ https://hpn.hatenablog.com/entry/2024/09/20/195943 こまごま不満点も書きましたが、総じて非常によくできた鏡筒だと思います。初心者でも扱いやすいユーザビリティと、難しいことを考えずとも十二分に性能を発揮してくれるだろうという安心感は大きくて、使っていて楽しい鏡筒でした。これが他の鏡筒だと、どうしてもどこかに「これで大丈夫かな?うまく撮れるかな?」という懸念が湧きがちで、なかなか「楽しむ」まで行かないのです。ほぼ全幅の信頼を置けるという意味で、道具として非常に優秀だと感じました。もちろん価格は非常に高いわけですが、それに見合うだけの性能は確かにあると思います まとめ記事です。「フードおよびキャップの仕様」や「(設置収納の際に)本体のつかみどころがない」「写真性能を保ったまま焦点距離を伸ばす手段がない」など辛口評価もあるものの、長所短所含めきっちりと、そしてわかりやすいレビューをご執筆いただけたと感じています。HIROPONさん、ありがとうございました! 天リフ編集長的には「ここにきて各社の競争ステージがさらに一段上がった感じがします」という業界動向の所見(そしてビクセンへのエール)が印象に残りました。VSD90SSというフラッグシップに続く次の製品群にも、大いに期待したいですね! HIRIPONさんのご紹介(レビュー開始前のご紹介) せっかくなので「ED103S(SD103SII相当改造済)+SDレデューサーHDキット」との比較に加え、光害地での適性を見てみたいと思います。一般の評判が良くても、光害地だと内面反射が気になる例もあるので……。 星のつぶやきhttps://hpn.hatenablog.com/ レビュー四番手、HIROPONさん。天リフ・Twitter界隈ではもはや知らない人がいないほど、活発に活動されています。ビクセン製品ではSD103SIIなどを所有され、ご自宅近くの東京都心で撮影されています。市街地での天体撮影」の先鞭をつけられた方といってもよいでしょう。 CP+などでの「ビクセンウォッチャー」ぶりもディープ。こちらは本年のCP+2024のレポートですが、真っ先にビクセン、そして熱く濃い。ビクセン愛?溢れるHIROPONさんのレポートに期待です! 「Alricha」さん(8月中旬〜8月下旬) 自分のレビューがお役に立つか分かりませんが、是非いつも使用しているFSQ-106EDとの違いを実感してみたい。 レビュー三番手はAlrichaさん。主砲のタカハシFSQ-106EDで、主にディープスカイ撮影を楽しんでいらっしゃいます。天リフでもライブ配信やイベント等でいつもお世話になっています! 名機として名高いFSQ-106EDですが、VSD90SSとの直接対決?はどんな結果になるでしょうか?! リザルト・網状星雲 雲が通過しているフレームもあったので、本来はもっとクッキリ写るはずです。また、下弦の月が昇ってきてQBPフィルターを使用したので、色バランスとかは合わせ切れていませんが、星像の小ささや周辺でも収差が無いのは確認できると思います。(星像はフィルターの効果もあると思いますが) 台風を含むこの夏の天候不順もあり、使用できたのは1回だけだったのは残念でした。レビュー期間が約3週間しかないのは本企画の担当としては心苦しい限りですが、VSD90SSの高性能ぶりに少しでも触れていただくことができてよかったです。 ビクセン社のVSD90SS開発担当様からは「ビクセンが作る以上は使いやすくなければならない。初心者でも性能を引き出せるように腐心した」旨のことを伺っていましたが、「とても扱いやすい機材」という評価をいただけたことは、開発者の思いがユーザーに届いたということの証ではないかと思います^^ Alrichaさん、本企画にご参加いただきありがとうございました! 「hiro」さん(7月下旬〜8月上旬) 9月19日更新)hiroさんのレビューが終了しています!以下hiroさんのブログからインプレッションをご紹介します!※更新が遅くなり申し訳ありませんでした! 手持ちの同じ仕様の鏡筒(KOWA...編集部発信のオリジナルコンテンツ