クラウドファンディングサイトKickstarterで、中国の三脚メーカー「BENRO」が「世界初のオートレベリングトラベル三脚」を謳う「THETA Tripod」のプロジェクトが進行中で、現在バッカー(支援者)を募集しています。

4月9日14:24(JST)時点で3514人のバッカーから約2.5億円の支援が集まっています。プロジェクトの終了は4月21日 (金曜) の19:59 UTC +09:00です。

Kickstarter Benro Theta: the Intelligent Modular Travel Tripod
https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi
  • 本プロジェクトは通常の商品の販売ではありません。プロジェクト主催者からバッカーに支援額に応じたリターンが提示されていますが、リターンは保証されません。
  • 天文リフレクションズはBENRO社より本プロジェクトの広告を出広いただいています。また本記事はBENRO社から広報資料を提供いただいていますが、記事に対する金銭・サンプルの供与を伴わない天リフ独自記事となります。

オートレベリング三脚THETAとは



Thetaはカテゴリとしては「トラベル三脚」に属します。小型版の「Theta」が重量1.25kg、最大地上高155cm、縮長44cm、最大パイプ径29mm。大型版の「Theta Max」が同1.65kg、170cm、53cm、32.5mmです。脚パイプの材質はカーボン。価格は「Theta」が349ドル(希望小売価格の42%off)、「Theta Max」が399ドル(同43%off)です。いずれも雲台(ボールヘッド)込み。

※この割引価格は「Theta デビュー キャンペーン」の間のみです。キャンペーンが終了すると割引きも終了します。

https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi

しかし、ただの三脚とは大きな違いがあります。上のアニメGif画像をごらんいただければ一目瞭然なのですが、なんと脚が自動で伸び縮みすることで自動的に水平に調整してくれるのです。

https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi

この自動レベリング機構を生かすべく、自由雲台(ボールヘッド)には完全フリーになるモードに加えて、パンとチルト方向のみが動作できる「パン&チルトモーション」モードを備えています。

https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi 

脚の伸縮はワンタッチ。レバーロックでもナットロックでもない機構で、ロックを解除(石突を回す)して引き出すだけ。石突を反対に回してロック。この内部のロック機構は自動で制御できるようになっているようで「完全にロックされていない状態で立てると、脚が緩んでいることを検知し、脚が自動的にロックされ、三脚が倒れることを防止」するそうです。

https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi

Thetaは電動である以上は電源が必要ですが、上の画像のように畳んだ状態の脚ヘッド部に3個までのバッテリーモジュールがセットできるようになっています。この電池はモバイルバッテリとしても使えるそうです(*)。

(*)パイプの中にバッテリーセルを収納してくれたら便利なのに・・と思ったことのある人は少なくないでしょう。それに近い形といえるかもしれません。



https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi

カメラコントロールモジュール(標準付属ではないことに注意)を使用すれば、スマートフォンをコントローラにして最大約45m離れた場所からカメラをコントロールして撮影をすることができます。

https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi

カメラコントロールモジュールがあれば、上の画像のようにライブビュー画面を表示しながら遠隔で構図を微調整することも可能。

https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi

さらに。別売の「GoLiveモジュール」を使用すれば、HDMIでカメラと接続し映像をスマホ経由でライブ配信することも可能。

 

 

ごくかいつまんで説明してきましたが、より詳しい解説はKickstaterのサイト(英文)または、日本の三脚のインフルエンサーである「ハク」さんによる公式和訳記事がオススメです。

未来の三脚がすぐそこに!Benro Theta オートレベリング トラベル三脚(和訳)/カメラと三脚とアルカスイスとときどきMac
https://arcarrsgitzo.com/benro-theta-tripod/

公式の資料を和訳しただけでなく、気になった点をBENRO社とQAされていて、大変参考になります。

プロジェクトのリターンとスケジュール

Kickstarterのプロジェクトは前述のとおり4月21日まで実施中。この〆切日までに「ファンディングゴール(当初設定した目標数に支援者が達すること)」に達した場合のみ、プロジェクトが実行されます。「Theta」「Theta Max」ともに残数はあとわずか(*)。

(*)逆に、この残数がクリアされないとプロジェクトは開始しません。

価格は「Theta」が349ドル、「Theta Max」が399ドル。それぞれ希望小売価格(MSRP)の「42%OFF」「43%OFF」と謳われています。



※この割引価格は「Theta デビュー キャンペーン」の間のみです。キャンペーンが終了すると割引きも終了します

量産開始と発送(Mass production and shipping)は2023年6月と予定されています。筆者の感想ですが、野心的なクラウドファンディングほどスケジュールは遅延する傾向があるようです。また「量産」の過程で遅延が発生し、最初の発送から最後の発送までに時間を要することも普通に起きうること。このあたりも、くどいようですがあくまで「予定」である、と考える必要があります。

※なお、Kickstarter の支援者に対しては通常 3 年間の保証期間が6年間に延長されます。

新時代のスマート雲台・BENRO Polarisレビュー

 

ひとつ注目なのは、同社の「Polaris」のAstro エディションとのセット品。個人的には・・今からでも欲しい感じ。このセットでサクサク撮れるなら「夢のパノラマ自動追尾撮影」が総重量3.25kg(Theta 1.25kg、Polaris+アストロキットで2kg)で実現することに(*)。4/9 16:13現在、残り数は「8個」です。

(*)ボールヘッドの付け根の径が若干細めで、総合的な剛性が気になるところです。

まとめ・これからのスマート三脚とは

いかがでしたか?!

個人的には「三脚がインテリジェントになる」日が来ようとは、夢にしか思っていませんでした。天文マニアの中では「三脚を自動で伸び縮みさせれば極軸が自動で合わせられるかも?」といったアイデアもありましたが、少し考えるだけでも「無理だね^^;;」という感覚でした。

しかし、機械駆動・電子制御の技術は飛躍的に進歩しています。カメラが完全にデジタル化し無線通信でデバイス間が通信できるようになった今、ついにその流れが「ただのパイプと可動軸の結合体」であった「三脚」にまでやってきたのです。

これまでの三脚は「カメラを固定しブレないように撮影する」ためのものでした。カメラの高感度化と手振れ補正機構の進化で、三脚を必要とするケースは大幅に減ったかのように見えていたのが今。それが「単に固定する」だけではなく、撮影者の意のままにカメラを動かしたり、スマートフォンとの組み合わせでライブストリーミングすることすら射程範囲になったのです。

とはいえ、Thetaは現時点では完成して市場に流通している製品ではありません。Kickstarterという「商品化リスクを出資者が受け入れる前提で商品化を支援する」という枠組みです。貴方がBENRO社の「Theta」に対して今できることは「期待」と「支援」であり、BENRO社から製品が「保証」されているものではないことを繰り返しておきます(*)。

(*)前述の「Polaris」もたいへん意欲的なコンセプトの製品で、素晴らしい性能を叩き出してはいますが、プロジェクトは何度も遅延したり、ファームウェアの完成が遅れたりしています。しかし、クラウドファンディングによる商品開発は、本来はそういうリスクを内包する意欲的な製品化を「支援」するための枠組みであると考えています。

天リフ編集部でも「Theta+Polaris」を、機会があればぜひ試用したいと考えています。

 

 

 

 

  https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2023/04/735fd26b64da7c5bad9333573ea5304d-1024x675.pnghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2023/04/735fd26b64da7c5bad9333573ea5304d-150x150.png編集部特選ピックアップマウントクラウドファンディングサイトKickstarterで、中国の三脚メーカー「BENRO」が「世界初のオートレベリングトラベル三脚」を謳う「THETA Tripod」のプロジェクトが進行中で、現在バッカー(支援者)を募集しています。 4月9日14:24(JST)時点で3514人のバッカーから約2.5億円の支援が集まっています。プロジェクトの終了は4月21日 (金曜) の19:59 UTC +09:00です。 Kickstarter Benro Theta: the Intelligent Modular Travel Tripod https://www.kickstarter.com/projects/benropolaris/benro-theta?ref=167rfi 本プロジェクトは通常の商品の販売ではありません。プロジェクト主催者からバッカーに支援額に応じたリターンが提示されていますが、リターンは保証されません。 天文リフレクションズはBENRO社より本プロジェクトの広告を出広いただいています。また本記事はBENRO社から広報資料を提供いただいていますが、記事に対する金銭・サンプルの供与を伴わない天リフ独自記事となります。 オートレベリング三脚THETAとは Thetaはカテゴリとしては「トラベル三脚」に属します。小型版の「Theta」が重量1.25kg、最大地上高155cm、縮長44cm、最大パイプ径29mm。大型版の「Theta Max」が同1.65kg、170cm、53cm、32.5mmです。脚パイプの材質はカーボン。価格は「Theta」が349ドル(希望小売価格の42%off)、「Theta Max」が399ドル(同43%off)です。いずれも雲台(ボールヘッド)込み。 ※この割引価格は「Theta デビュー キャンペーン」の間のみです。キャンペーンが終了すると割引きも終了します。 しかし、ただの三脚とは大きな違いがあります。上のアニメGif画像をごらんいただければ一目瞭然なのですが、なんと脚が自動で伸び縮みすることで自動的に水平に調整してくれるのです。 この自動レベリング機構を生かすべく、自由雲台(ボールヘッド)には完全フリーになるモードに加えて、パンとチルト方向のみが動作できる「パン&チルトモーション」モードを備えています。 脚の伸縮はワンタッチ。レバーロックでもナットロックでもない機構で、ロックを解除(石突を回す)して引き出すだけ。石突を反対に回してロック。この内部のロック機構は自動で制御できるようになっているようで「完全にロックされていない状態で立てると、脚が緩んでいることを検知し、脚が自動的にロックされ、三脚が倒れることを防止」するそうです。 Thetaは電動である以上は電源が必要ですが、上の画像のように畳んだ状態の脚ヘッド部に3個までのバッテリーモジュールがセットできるようになっています。この電池はモバイルバッテリとしても使えるそうです(*)。 (*)パイプの中にバッテリーセルを収納してくれたら便利なのに・・と思ったことのある人は少なくないでしょう。それに近い形といえるかもしれません。 カメラコントロールモジュール(標準付属ではないことに注意)を使用すれば、スマートフォンをコントローラにして最大約45m離れた場所からカメラをコントロールして撮影をすることができます。 カメラコントロールモジュールがあれば、上の画像のようにライブビュー画面を表示しながら遠隔で構図を微調整することも可能。 さらに。別売の「GoLiveモジュール」を使用すれば、HDMIでカメラと接続し映像をスマホ経由でライブ配信することも可能。     ごくかいつまんで説明してきましたが、より詳しい解説はKickstaterのサイト(英文)または、日本の三脚のインフルエンサーである「ハク」さんによる公式和訳記事がオススメです。 未来の三脚がすぐそこに!Benro Theta オートレベリング トラベル三脚(和訳)/カメラと三脚とアルカスイスとときどきMac https://arcarrsgitzo.com/benro-theta-tripod/ 公式の資料を和訳しただけでなく、気になった点をBENRO社とQAされていて、大変参考になります。 プロジェクトのリターンとスケジュール Kickstarterのプロジェクトは前述のとおり4月21日まで実施中。この〆切日までに「ファンディングゴール(当初設定した目標数に支援者が達すること)」に達した場合のみ、プロジェクトが実行されます。「Theta」「Theta Max」ともに残数はあとわずか(*)。 (*)逆に、この残数がクリアされないとプロジェクトは開始しません。 価格は「Theta」が349ドル、「Theta Max」が399ドル。それぞれ希望小売価格(MSRP)の「42%OFF」「43%OFF」と謳われています。 ※この割引価格は「Theta デビュー キャンペーン」の間のみです。キャンペーンが終了すると割引きも終了します。 量産開始と発送(Mass production and shipping)は2023年6月と予定されています。筆者の感想ですが、野心的なクラウドファンディングほどスケジュールは遅延する傾向があるようです。また「量産」の過程で遅延が発生し、最初の発送から最後の発送までに時間を要することも普通に起きうること。このあたりも、くどいようですがあくまで「予定」である、と考える必要があります。 ※なお、Kickstarter の支援者に対しては通常 3 年間の保証期間が6年間に延長されます。 https://reflexions.jp/tenref/orig/2022/06/30/13844/   ひとつ注目なのは、同社の「Polaris」のAstro エディションとのセット品。個人的には・・今からでも欲しい感じ。このセットでサクサク撮れるなら「夢のパノラマ自動追尾撮影」が総重量3.25kg(Theta 1.25kg、Polaris+アストロキットで2kg)で実現することに(*)。4/9 16:13現在、残り数は「8個」です。 (*)ボールヘッドの付け根の径が若干細めで、総合的な剛性が気になるところです。 まとめ・これからのスマート三脚とは いかがでしたか?! 個人的には「三脚がインテリジェントになる」日が来ようとは、夢にしか思っていませんでした。天文マニアの中では「三脚を自動で伸び縮みさせれば極軸が自動で合わせられるかも?」といったアイデアもありましたが、少し考えるだけでも「無理だね^^;;」という感覚でした。 しかし、機械駆動・電子制御の技術は飛躍的に進歩しています。カメラが完全にデジタル化し無線通信でデバイス間が通信できるようになった今、ついにその流れが「ただのパイプと可動軸の結合体」であった「三脚」にまでやってきたのです。 これまでの三脚は「カメラを固定しブレないように撮影する」ためのものでした。カメラの高感度化と手振れ補正機構の進化で、三脚を必要とするケースは大幅に減ったかのように見えていたのが今。それが「単に固定する」だけではなく、撮影者の意のままにカメラを動かしたり、スマートフォンとの組み合わせでライブストリーミングすることすら射程範囲になったのです。 とはいえ、Thetaは現時点では完成して市場に流通している製品ではありません。Kickstarterという「商品化リスクを出資者が受け入れる前提で商品化を支援する」という枠組みです。貴方がBENRO社の「Theta」に対して今できることは「期待」と「支援」であり、BENRO社から製品が「保証」されているものではないことを繰り返しておきます(*)。 (*)前述の「Polaris」もたいへん意欲的なコンセプトの製品で、素晴らしい性能を叩き出してはいますが、プロジェクトは何度も遅延したり、ファームウェアの完成が遅れたりしています。しかし、クラウドファンディングによる商品開発は、本来はそういうリスクを内包する意欲的な製品化を「支援」するための枠組みであると考えています。 天リフ編集部でも「Theta+Polaris」を、機会があればぜひ試用したいと考えています。          編集部発信のオリジナルコンテンツ