今年のペルセウス座流星群はいかがでしたか?
編集部のある福岡では幸い好天に恵まれ、流星の動画撮影を試してみました!

動画で流星を撮ると、緑色の「尾」のような光跡が実に美しいんです。
以下そのレポートです。

動画でとらえた明るい流星の色の変化

こちらの動画は今年のペルセウス座流星群をSONY α7Sで撮影したもの。露出時間は1/15秒、ISO感度は64000です。



この動画をフレーム単位で分割した連続写真。

光り始め、オレンジ色っぽい流星が、緑の「短痕」と呼ばれる継続時間の短い「尾」のような光跡を牽きながら、流れて行くさまがよくわかります。

静止画による流星の色の判別の限界

EOS5D3 EF8-15mmF4L 15mm F4 ISO3200 30秒 Lee No3

1枚撮りでとらえた同じ流星。
1枚撮りでは流星本体の軌跡と短痕の緑の軌跡が混じり合ってしまい、この写真では緑色の成分がまったく不明瞭になってしまっています。

ペルセウス座流星群など対地速度の速い流星群は1枚撮りでも緑色の成分がある程度明瞭に確認できることがよく知られています。特に、流星本体がまだ暗く、相対的に緑の短痕の成分が優位になる「流れ始め」の軌跡が緑になる場合が多いようです。

「短痕」の色を明瞭に分離できる動画撮影

こちらは翌8/12の晩の動画。はくちょう座付近です。右上から右下に向かって流れているのがペルセウス座流星群に属する流星。

動画撮影によって流星本体と短痕の色の違いが一目瞭然です。動画中、ペルセウス座流星群に属さない流星(右から左に流れるのでは「ない」流星)に、緑の短痕が見られないこともわかります。

流星の動画撮影はカメラの性能が鍵



こちらは同じ日、輻射点付近の流星。短く暗い流星が多いですが、それでも緑の短痕が特徴的。

これら2つの動画はそれぞれ1時間分程度の動画から編集したものですが、どちらもけっこうな数の流星が写っています。

実は、動画による流星撮影は、1枚撮りの固定撮影と比較して、より暗い流星までが明瞭に写ります。1フレーム当たりの露出時間を短く(上記例の場合1/15秒)して極端にISO感度を上げている(ISO64000〜80000)のがその理由。

α7Sのような低感度の動画撮影に強いカメラを使用すれば、静止画ではとらえにくかった流星の色の変化ばかりでなく、数的にもかなりの流星を一晩でとらえることができるのです。

高フレームレート撮影の可能性

上記作例では、星空の品質をある程度確保するため1/15秒(15fps)・ISO64000〜80000としていますが、若干中途半端だったかもしれません。流星本体に特化して、もっとフレームレートを上げてもよかったかも。

一方、流星本体はけっこう速いので、30fpsでも点像にはならなかったでしょう。60fpsで撮れれば、また違う世界が見えてくるかもしれません。思い切った長焦点で「追尾」できると凄いんでしょうけどね・・

動画によるスペクトル撮影

日本流星研究会HP
流れ星ギャラリー
https://www.web-nms.com/ギャラリー/

天文回報2016年3月号裏表紙「オリオン座群火球のスペクトル」 by 前田幸治

流星の本体のオレンジ色の正体はナトリウムの輝線、緑色の正体は酸素によるものと言われています。それの根拠が上記のようなスペクトル写真。

ではスペクトルを動画で撮ったらどうなるのか?
短痕と本体の発光メカニズムがより明確になるのではないでしょうか?

こちらの方面の進展にも期待したいと思います。

まとめ

いかがでしたか。想像以上に流星動画は良く写る、これが実感です。特に緑の短痕の美しさは神秘的です。

高感度の動画撮影が可能なカメラをお持ちの方は、ぜひお試しください!

 

 

  https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2017/08/thum-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2017/08/thum-150x150.jpg編集部天体写真今年のペルセウス座流星群はいかがでしたか? 編集部のある福岡では幸い好天に恵まれ、流星の動画撮影を試してみました! 動画で流星を撮ると、緑色の「尾」のような光跡が実に美しいんです。 以下そのレポートです。 動画でとらえた明るい流星の色の変化 https://youtu.be/elJ2CWXEE3o こちらの動画は今年のペルセウス座流星群をSONY α7Sで撮影したもの。露出時間は1/15秒、ISO感度は64000です。 この動画をフレーム単位で分割した連続写真。 光り始め、オレンジ色っぽい流星が、緑の「短痕」と呼ばれる継続時間の短い「尾」のような光跡を牽きながら、流れて行くさまがよくわかります。 静止画による流星の色の判別の限界 EOS5D3 EF8-15mmF4L 15mm F4 ISO3200 30秒 Lee No3 1枚撮りでとらえた同じ流星。 1枚撮りでは流星本体の軌跡と短痕の緑の軌跡が混じり合ってしまい、この写真では緑色の成分がまったく不明瞭になってしまっています。 ペルセウス座流星群など対地速度の速い流星群は1枚撮りでも緑色の成分がある程度明瞭に確認できることがよく知られています。特に、流星本体がまだ暗く、相対的に緑の短痕の成分が優位になる「流れ始め」の軌跡が緑になる場合が多いようです。 「短痕」の色を明瞭に分離できる動画撮影 https://youtu.be/VIZ3hiDO5DM こちらは翌8/12の晩の動画。はくちょう座付近です。右上から右下に向かって流れているのがペルセウス座流星群に属する流星。 動画撮影によって流星本体と短痕の色の違いが一目瞭然です。動画中、ペルセウス座流星群に属さない流星(右から左に流れるのでは「ない」流星)に、緑の短痕が見られないこともわかります。 流星の動画撮影はカメラの性能が鍵 https://www.youtube.com/watch?v=EOZmeL0DPDA こちらは同じ日、輻射点付近の流星。短く暗い流星が多いですが、それでも緑の短痕が特徴的。 これら2つの動画はそれぞれ1時間分程度の動画から編集したものですが、どちらもけっこうな数の流星が写っています。 実は、動画による流星撮影は、1枚撮りの固定撮影と比較して、より暗い流星までが明瞭に写ります。1フレーム当たりの露出時間を短く(上記例の場合1/15秒)して極端にISO感度を上げている(ISO64000〜80000)のがその理由。 α7Sのような低感度の動画撮影に強いカメラを使用すれば、静止画ではとらえにくかった流星の色の変化ばかりでなく、数的にもかなりの流星を一晩でとらえることができるのです。 高フレームレート撮影の可能性 上記作例では、星空の品質をある程度確保するため1/15秒(15fps)・ISO64000〜80000としていますが、若干中途半端だったかもしれません。流星本体に特化して、もっとフレームレートを上げてもよかったかも。 一方、流星本体はけっこう速いので、30fpsでも点像にはならなかったでしょう。60fpsで撮れれば、また違う世界が見えてくるかもしれません。思い切った長焦点で「追尾」できると凄いんでしょうけどね・・ 動画によるスペクトル撮影 日本流星研究会HP 流れ星ギャラリー https://www.web-nms.com/ギャラリー/ 天文回報2016年3月号裏表紙「オリオン座群火球のスペクトル」 by 前田幸治 流星の本体のオレンジ色の正体はナトリウムの輝線、緑色の正体は酸素によるものと言われています。それの根拠が上記のようなスペクトル写真。 ではスペクトルを動画で撮ったらどうなるのか? 短痕と本体の発光メカニズムがより明確になるのではないでしょうか? こちらの方面の進展にも期待したいと思います。 まとめ いかがでしたか。想像以上に流星動画は良く写る、これが実感です。特に緑の短痕の美しさは神秘的です。 高感度の動画撮影が可能なカメラをお持ちの方は、ぜひお試しください!      編集部発信のオリジナルコンテンツ