↓↓↓↓2023/6/6追記 重要・必ずお読み下さい。

本記事および天文リフレクションズにおけるFOT85/104に関する一連の記事は過去のアーカイブ記事です。現在時点(2023年6月)では、以下の点で一連の記事に書かれた内容とは異なる状況になっています。

読者様におかれましてはその点にご留意いただき、あくまで「過去のアーカイブ記事である」ことを前提に情報をご判断いただくようお願い申し上げます。

  1. 記事制作時点の販売元である星見屋.comおよびスタークラウド合同会社(以下、旧販売元)において、FOT85/FOT104(以下、旧製品)の販売は終了しています。
  2. 2023年5月より、サイトロンジャパン社(以下、新販売元)において、台湾Founder Optics社の製品「FOT86/FOT106(以下、新製品)」の販売が開始されています。新製品は光学設計が旧製品と異なるとのことです。
  3. 新製品FOT86/FOT106は、本記事で紹介されている旧製品「FOT85/FOT104」とは分離式3枚玉アポクロマートであるなど多くの点で共通点がありますが、光学設計・日本での受け入れ検査の方法が異なるなど、基本的に別製品であるとお考えください。
  4. 旧製品を旧販売元でお買い上げになられた方を除き、旧販売元に対する新旧製品に関するお問い合わせはお控えください。
  5. 新販売元に対する旧製品に関するお問い合わせはお控えください。

↑↑↑↑2023/6/6追記 重要・必ずお読み下さい。




 

星見屋.com PresentsED硝材を2枚使用した口径85mmの「分離式3枚玉」小型望遠鏡、Founder Optics FOT85。今回は各部の外観を中心としたレビューです。

 

星見屋.com FOT85
http://www.hoshimiya.com/?pid=126042047

大きさと重量

FOT85は2インチスリーブアダプタを付けた収納状態で全長約46cm、重量3.6kg(鏡筒バンド・ファインダー含まず(*))。グリップをつかんで持ち上げてみると、ずっしりとした重さです。

(*)2019/9/11 重量の表記に誤りがありました。初出時は「鏡筒バンド込」となっていました。訂正してお詫び申し上げます。

鏡筒の外径は90mm。高橋のFSQ85やFC-100が95mmですからそれよりはやや細め。

鏡筒末端、接眼部を支える台座部にはグリップが着いています。ちなみに、このグリップはアリガタ状になっている「4X21AO ミリタリー規格」と呼ばれるもので、ライフルスコープなどを付けることができるそうです。

2018/4/3訂正とお詫び)

このグリップは「ピカティニー・レール」ではないか、とのご指摘をいただきました。また「4X21AO ミリタリー規格」というのは「口径21mm倍率4倍のスコープ」の意味でした。訂正してお詫びいたします。また「ピカティニー・レール」であるかどうかについては現在確認中です。
4/27追記)製造元より確認がとれました。ピカティーニ・レール規格(MIL-STD-1913)であるとのことです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ピカティニー・レール

使ったこともないものをご紹介して恐縮ですが、上のリンクはライフルスコープの例。一般にライフルスコープは銃の反動で眼を怪我しないようにアイポイントがとても長くなっています。ドットファインダー的に明るい対象が確認できればいいと割り切れば、選択肢の一つになるかもしれませんね。

鏡筒バンド

(鏡筒バンド画像)

堅牢な2分割式の鏡筒バンドが付属します(2つで重量約720g)。内側には薄いフェルトが貼ってありますが、ごく薄いものなのでこの部分が原因でたわむ心配はあまりなさそうです。

2分割式なので2つの鏡筒バンドの間隔はある程度自由に変更できます。こちらはGEOPTIK社製のビクセン規格アリガタ(*)を装着し間隔を広めにした例。

星見屋.com GEOPTIKアリガタ170mm
http://hoshimiya.com/?pid=60705036

(*)アリガタは付属しません。この記事のアリガタは鏡筒とセットで借用したものです。

こちらは同じくGEOPTIK社製のロスマンディ規格アリガタを使用し、狭めにした例。

GEOPTIK ・SLITTA CARBON LOOK
http://www.geoptik.com/index.php?route=product/product&path=93&product_id=957

自分の機材に適した間隔に設定しておけば、バンドを付けたままケースに収納できるのであまり頻繁に付け替えすることはないでしょう。

鏡筒バンドの上部・下部ともに1/4インチメスネジが切られているので、クランプ・プレート類が装着できます。

上の画像は、長めのアルカスイスクランプを装着したところ。今回のレポートでは、ガイド鏡(GT40)をここに装着して使用しました。

鏡筒バンドにアリガタを装着する際は、フードとの干渉に注意が必要です。うっかり上の図のように装着してしまうと、フードが鏡筒バンドよりわずかに背が高いためスライドさせることができなくなる上、締め混んでしまうとフードに無理な力がかかることになります。

鏡筒バンドとアリガタの間にスペーサを入れればその心配はなくなるのですが。改良が望まれる点でしょう。

長めのアリガタを使用する場合、鏡筒側は縮めたフードとの干渉、接眼部側はクランプとの干渉に注意が必要です。

ちなみに写真のアリガタは、オレンジ色の部分の長さが170mmです。

対物レンズ

対物レンズ側から鏡筒内部を覗いたところ。対物レンズの最後面のすぐ後に、後述する4つの遮光環があるのが確認できます。

対物レンズは当然ですが全面マルチコート、反射率も低く上質なものです。レンズもコバ黒染め済み。フード内面は写真では露出をかなりオーバー補正しているので白っぽく見えますが、普通のつや消し黒の塗装です。反射防止用に細かな筋が入っているとなおよいのでしょうが。

押さえリングの刻印は今後変更される可能性があります。

ちょっと賛否がわかれそうなのがねじ込み式のキャップ。しっかり固定できるのはいいのですが、取り外しに時間がかかります。外に出してしばらく使用しない時など、キャップは露よけの意味でもまめに付け外ししたいもの。かぶせ式の方が便利だと思うのですが・・・

フードの収納時・伸長時の比較。フードは約64mm引っ張り出すことができ、スライドの動作はスムーズ。遮光用にはまあ十分な深さですが、決して深いとはいえません。何らかの夜露対策は当然ながら必要です。ヒーターのよこたさんの「タイプ9M 出眼金」を使用してみましたが、ややパワー不足でした。気象条件にも大きく影響しますが、もうすこし発熱量が大きいほうが良いかもしれません。

ヒーターのよこた タイプ9M出目金
http://www.geocities.jp/tpkkagato/syouhin/hi-ta-.htm


超広角レンズ、いわゆる出目金レンズ用に特別に製作しました。直径10cmまでで、基本的にフードに巻きます。
タイプ7Mより少し強力なタイプになっています。幅は3cmです。
持続時間 10,000mAh使用時 約8.5時間

内面反射

鏡筒の内面反射対策は、明るい対象を見る場合や背景が明るいときのコントラストを大きく左右します。
上はFOT85の断面図。対物レンズの後方に4つの遮光環があります。

ドロチューブ後方から、空をバックに露出オーバーで撮影したのが上の画像。4つの遮光環、鏡筒内面、ドロチューブが見えます。鏡筒内面は特に反射防止処理がされていないようですが、後述するようにドロチューブ先端で遮られるため、少なくとも再周辺部以外では問題にはならなそうです。

40mmのアイピースを装着した状態で、青空に向けたときの射出瞳の像をFSQ106EDと比較してみました。露出条件は左右同じ、4段ほどプラス補正をかけています。外の円が正立プリズムのスリーブ端の内面反射です。

ドロチューブ先端が遮光環の役割を果たしているのか、FOT85の方が内面反射が少ないように感じられます。口径も違うので一概にはいえませんが。

いずれにしても、定評あるFSQとあまり違いがないのですから、十分高い品質の遮光処理がされていると考えていいでしょう。

2018/4/27補足)

コメントで読者の方より「ドロチューブ先端によって有効口径がケラている、ということはないのでしょうか?」というご質問がありましたので確認してみました。



正立プリズムと装着し、合焦位置でアイピース(SW40mm)を取り外し、2インチスリーブ後端にスマホを置いて撮像。すこしわかりにくいですが、ドロチューブ先端はレンズ外周より少しだけ大きくなっています。少なくとも中心ではケラレていないと思われます。

こちらは純正の固定バックフォーカスのフラットナーを装着して6Dを装着、合焦後ドロチューブをフランジバック分の44ミリ繰り出してマウント位置にスマホを置いて撮像。こちらもドロチューブ先端部はレンズより大きくなっています。

ただし、周辺部のケラレは主にドロチューブ先端によって発生します。連載第3回でフラットを公開予定です。

接眼部

ピント合わせはラックピニオン方式。1:11の減速微動装置(マイクロフォーカサー)も付属しているので、細かなピント合わせが可能です。写真撮影の際でも、FSQ106EDのものと比べて操作感は全く遜色ありませんでした。

ピント位置はクランプで固定できます。またラックピニオンの硬さそのものを調整することも可能です。当初やや緩めだったので少し締めて堅くして使用しました。

接眼部の末端のM54x0.75Pメスに装着する2インチのチャック式アダプタが付属します(*)。ネジ式よりも安定して固定できるので安心でしょう。

(*)先行販売されている一部のロットはネジ式のものがありますが、これから納品されるものはすべてチャック式になります。

このM54x0.75Pの規格は一般に天体望遠鏡で使用されているものの一つですが、天体望遠鏡のネジ規格は様々あり、接続する機材によっては変換アダプタが必要になる場合があります。

星見屋.com M54アダプター
http://hoshimiya.com/?mode=srh&sort=n&cid=&keyword=M5475-&x=0&y=0

 

接眼部は360度回転することができます。回転はとてもスムーズ。固定はネジ1個ですが、ゆるみ・ガタツキはありませんでした。撮影の際に縦横を変更してもピント位置はバーティノフマスクでの目視の範囲では変わりありませんでした。

接眼部のストロークは約96mm。眼視用途を考えるとこれは大変便利。FSQ106EDの短いストロークとは対照的です。

一方で写真用にはあまり伸ばすとスケアリングが心配になります。こればかりはFSQ106EDの太くて短い接眼部とは直球勝負は無理でしょう。デジカメ(6D)を使用する限りは問題は感じませんでしたが、2キロ越えの冷却CCDを載せたときに大丈夫かどうかは正直いってわかりません。

合焦位置の例

無限遠でピントの合った状態の位置を並べてみました。

2インチ正立プリズム+ペンタックスXW20の場合、63mm繰り出した位置で合焦(*)

(*)合焦位置は眼視の場合特に個人差があります。

XW20で直視の場合。高橋の延長筒を付けて86mm繰り出し状態で合焦。かなりぎりぎりです。

1.25インチプリズムの場合、96mmぎりぎりで合焦。もうすこし光路長のある2インチ・1.25インチアダプタを使った方が良さそう。ドロチューブのストロークが長いとはいっても、眼視の場合は光学系に応じて適切光路長のアダプタを使った方が良さそうです。

写真の場合。補正レンズなしですが、高橋のカメラアダプタを使用してこの位置。ちがみに、フラットナー・レデューサを使用した場合は延長筒は必要ありませんでした。

ファインダー

ドットファインダーが付属します。編集子は初めて使いましたが、思いのほか便利なものでした(ほぼ自動導入オンリーなのでアライメントの時にしか使わないのですが)。

短焦点(fl=560mm)でもあり、眼視用・手動導入で使う場合もこれで問題になることはないでしょう。もちろん、台座の規格が合うものであれば普通にファインダーは装着可能です(ビクセン、タカハシ規格のものはそのままでは装着できません)。

スタークラウド SCレッドドットファインダー
http://www.starcloud.jp/SHOP/rdf.html

使用例

今回のレビューで使用した構成例のご紹介。

左。写真撮影用の構成。
SXPにロスマンディアリガタで装着したところ。この状態だとウェイトは1.3kgでOK。赤緯・赤経とも、この状態でバランスが取れています。

中。FSQ106EDと親子亀。
眼視の比較レビューではこの構成で使用しました。赤経方向はウェイト不足。

右。C8と親子亀。
C8にビクセンアリミゾで親子亀にした眼視用構成。低倍率はFOT85で、高倍率はC8という贅沢な構成^^

上記以外にも、重量3.6kgの軽量さを生かして、眼視ならポルタIIに搭載したり、大型のジンバルに載せる方法もあるでしょう。

収納ケース

手前右のレデューサは付属しません。

最後に。FOTにはアルミ製トランクが付属します。タカハシにせよビクセンにせよ、鏡筒にはケースが付属しないものが大半です。自分で最適なものを選べ、というのも一つの考え方ではありますが、ケース付きはとてもありがたく便利です。

ケースの緩衝材は硬めの発泡素材。必要に応じて自分で切り込みを作ってアイピースを収納できるようにしてもよいかもしれませんね(ただし自己責任で!)

まとめ

いかがでしたか。FOT85の気になるところを全てご紹介したつもりです。

今回使用して感じたのは、各部の造りの良さと仕上げの美しさ。かつては日本以外のアジア各国で製造された製品には悪いイメージがつきものでしたが、それを完全に払拭するものでした。

良いものは良い」、そして「(生産国にかかわらず)良いものを選ぶ」という時代になったことを強く感じました。


↓↓↓↓2023/6/6追記 重要・必ずお読み下さい。

本記事および天文リフレクションズにおけるFOT85/104に関する一連の記事は過去のアーカイブ記事です。現在時点(2023年6月)では、以下の点で一連の記事に書かれた内容とは異なる状況になっています。

読者様におかれましてはその点にご留意いただき、あくまで「過去のアーカイブ記事である」ことを前提に情報をご判断いただくようお願い申し上げます。

  1. 記事制作時点の販売元である星見屋.comおよびスタークラウド合同会社(以下、旧販売元)において、FOT85/FOT104(以下、旧製品)の販売は終了しています。
  2. 2023年5月より、サイトロンジャパン社(以下、新販売元)において、台湾Founder Optics社の製品「FOT86/FOT106(以下、新製品)」の販売が開始されています。新製品は光学設計が旧製品と異なるとのことです。
  3. 新製品FOT86/FOT106は、本記事で紹介されている旧製品「FOT85/FOT104」とは分離式3枚玉アポクロマートであるなど多くの点で共通点がありますが、光学設計・日本での受け入れ検査の方法が異なるなど、基本的に別製品であるとお考えください。
  4. 旧製品を旧販売元でお買い上げになられた方を除き、旧販売元に対する新旧製品に関するお問い合わせはお控えください。
  5. 新販売元に対する旧製品に関するお問い合わせはお控えください。

↑↑↑↑2023/6/6追記 重要・必ずお読み下さい。


・本記事は星見屋.com様にご協力いただき、天文リフレクションズ編集部が独自の判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。

・記事中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。

第1回レビューはこちらです。

http://reflexions.jp/blog/ed_tenmon/archives/3494 https://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/04/deddede9756b282a58f00658d85f1447-1024x538.jpghttps://reflexions.jp/tenref/orig/wp-content/uploads/sites/4/2018/04/deddede9756b282a58f00658d85f1447-150x150.jpg編集部レビュー望遠鏡望遠鏡FOT85↓↓↓↓2023/6/6追記 重要・必ずお読み下さい。 本記事および天文リフレクションズにおけるFOT85/104に関する一連の記事は過去のアーカイブ記事です。現在時点(2023年6月)では、以下の点で一連の記事に書かれた内容とは異なる状況になっています。 読者様におかれましてはその点にご留意いただき、あくまで「過去のアーカイブ記事である」ことを前提に情報をご判断いただくようお願い申し上げます。 記事制作時点の販売元である星見屋.comおよびスタークラウド合同会社(以下、旧販売元)において、FOT85/FOT104(以下、旧製品)の販売は終了しています。 2023年5月より、サイトロンジャパン社(以下、新販売元)において、台湾Founder Optics社の製品「FOT86/FOT106(以下、新製品)」の販売が開始されています。新製品は光学設計が旧製品と異なるとのことです。 新製品FOT86/FOT106は、本記事で紹介されている旧製品「FOT85/FOT104」とは分離式3枚玉アポクロマートであるなど多くの点で共通点がありますが、光学設計・日本での受け入れ検査の方法が異なるなど、基本的に別製品であるとお考えください。 旧製品を旧販売元でお買い上げになられた方を除き、旧販売元に対する新旧製品に関するお問い合わせはお控えください。 新販売元に対する旧製品に関するお問い合わせはお控えください。 ↑↑↑↑2023/6/6追記 重要・必ずお読み下さい。   星見屋.com PresentsED硝材を2枚使用した口径85mmの「分離式3枚玉」小型望遠鏡、Founder Optics FOT85。今回は各部の外観を中心としたレビューです。   星見屋.com FOT85 http://www.hoshimiya.com/?pid=126042047 大きさと重量 FOT85は2インチスリーブアダプタを付けた収納状態で全長約46cm、重量3.6kg(鏡筒バンド・ファインダー含まず(*))。グリップをつかんで持ち上げてみると、ずっしりとした重さです。 (*)2019/9/11 重量の表記に誤りがありました。初出時は「鏡筒バンド込」となっていました。訂正してお詫び申し上げます。 鏡筒の外径は90mm。高橋のFSQ85やFC-100が95mmですからそれよりはやや細め。 鏡筒末端、接眼部を支える台座部にはグリップが着いています。ちなみに、このグリップはアリガタ状になっている「4X21AO ミリタリー規格」と呼ばれるもので、ライフルスコープなどを付けることができるそうです。 2018/4/3訂正とお詫び) このグリップは「ピカティニー・レール」ではないか、とのご指摘をいただきました。また「4X21AO ミリタリー規格」というのは「口径21mm倍率4倍のスコープ」の意味でした。訂正してお詫びいたします。また「ピカティニー・レール」であるかどうかについては現在確認中です。 4/27追記)製造元より確認がとれました。ピカティーニ・レール規格(MIL-STD-1913)であるとのことです。 https://ja.wikipedia.org/wiki/ピカティニー・レール 使ったこともないものをご紹介して恐縮ですが、上のリンクはライフルスコープの例。一般にライフルスコープは銃の反動で眼を怪我しないようにアイポイントがとても長くなっています。ドットファインダー的に明るい対象が確認できればいいと割り切れば、選択肢の一つになるかもしれませんね。 鏡筒バンド (鏡筒バンド画像) 堅牢な2分割式の鏡筒バンドが付属します(2つで重量約720g)。内側には薄いフェルトが貼ってありますが、ごく薄いものなのでこの部分が原因でたわむ心配はあまりなさそうです。 2分割式なので2つの鏡筒バンドの間隔はある程度自由に変更できます。こちらはGEOPTIK社製のビクセン規格アリガタ(*)を装着し間隔を広めにした例。 星見屋.com GEOPTIKアリガタ170mm http://hoshimiya.com/?pid=60705036 (*)アリガタは付属しません。この記事のアリガタは鏡筒とセットで借用したものです。 こちらは同じくGEOPTIK社製のロスマンディ規格アリガタを使用し、狭めにした例。 GEOPTIK ・SLITTA CARBON LOOK http://www.geoptik.com/index.php?route=product/product&path=93&product_id=957 自分の機材に適した間隔に設定しておけば、バンドを付けたままケースに収納できるのであまり頻繁に付け替えすることはないでしょう。 鏡筒バンドの上部・下部ともに1/4インチメスネジが切られているので、クランプ・プレート類が装着できます。 上の画像は、長めのアルカスイスクランプを装着したところ。今回のレポートでは、ガイド鏡(GT40)をここに装着して使用しました。 鏡筒バンドにアリガタを装着する際は、フードとの干渉に注意が必要です。うっかり上の図のように装着してしまうと、フードが鏡筒バンドよりわずかに背が高いためスライドさせることができなくなる上、締め混んでしまうとフードに無理な力がかかることになります。 鏡筒バンドとアリガタの間にスペーサを入れればその心配はなくなるのですが。改良が望まれる点でしょう。 長めのアリガタを使用する場合、鏡筒側は縮めたフードとの干渉、接眼部側はクランプとの干渉に注意が必要です。 ちなみに写真のアリガタは、オレンジ色の部分の長さが170mmです。 対物レンズ 対物レンズ側から鏡筒内部を覗いたところ。対物レンズの最後面のすぐ後に、後述する4つの遮光環があるのが確認できます。 対物レンズは当然ですが全面マルチコート、反射率も低く上質なものです。レンズもコバ黒染め済み。フード内面は写真では露出をかなりオーバー補正しているので白っぽく見えますが、普通のつや消し黒の塗装です。反射防止用に細かな筋が入っているとなおよいのでしょうが。 押さえリングの刻印は今後変更される可能性があります。 ちょっと賛否がわかれそうなのがねじ込み式のキャップ。しっかり固定できるのはいいのですが、取り外しに時間がかかります。外に出してしばらく使用しない時など、キャップは露よけの意味でもまめに付け外ししたいもの。かぶせ式の方が便利だと思うのですが・・・ フードの収納時・伸長時の比較。フードは約64mm引っ張り出すことができ、スライドの動作はスムーズ。遮光用にはまあ十分な深さですが、決して深いとはいえません。何らかの夜露対策は当然ながら必要です。ヒーターのよこたさんの「タイプ9M 出眼金」を使用してみましたが、ややパワー不足でした。気象条件にも大きく影響しますが、もうすこし発熱量が大きいほうが良いかもしれません。 ヒーターのよこた タイプ9M出目金 http://www.geocities.jp/tpkkagato/syouhin/hi-ta-.htm 超広角レンズ、いわゆる出目金レンズ用に特別に製作しました。直径10cmまでで、基本的にフードに巻きます。 タイプ7Mより少し強力なタイプになっています。幅は3cmです。 持続時間 10,000mAh使用時 約8.5時間 内面反射 鏡筒の内面反射対策は、明るい対象を見る場合や背景が明るいときのコントラストを大きく左右します。 上はFOT85の断面図。対物レンズの後方に4つの遮光環があります。 ドロチューブ後方から、空をバックに露出オーバーで撮影したのが上の画像。4つの遮光環、鏡筒内面、ドロチューブが見えます。鏡筒内面は特に反射防止処理がされていないようですが、後述するようにドロチューブ先端で遮られるため、少なくとも再周辺部以外では問題にはならなそうです。 40mmのアイピースを装着した状態で、青空に向けたときの射出瞳の像をFSQ106EDと比較してみました。露出条件は左右同じ、4段ほどプラス補正をかけています。外の円が正立プリズムのスリーブ端の内面反射です。 ドロチューブ先端が遮光環の役割を果たしているのか、FOT85の方が内面反射が少ないように感じられます。口径も違うので一概にはいえませんが。 いずれにしても、定評あるFSQとあまり違いがないのですから、十分高い品質の遮光処理がされていると考えていいでしょう。 2018/4/27補足) コメントで読者の方より「ドロチューブ先端によって有効口径がケラている、ということはないのでしょうか?」というご質問がありましたので確認してみました。 正立プリズムと装着し、合焦位置でアイピース(SW40mm)を取り外し、2インチスリーブ後端にスマホを置いて撮像。すこしわかりにくいですが、ドロチューブ先端はレンズ外周より少しだけ大きくなっています。少なくとも中心ではケラレていないと思われます。 こちらは純正の固定バックフォーカスのフラットナーを装着して6Dを装着、合焦後ドロチューブをフランジバック分の44ミリ繰り出してマウント位置にスマホを置いて撮像。こちらもドロチューブ先端部はレンズより大きくなっています。 ただし、周辺部のケラレは主にドロチューブ先端によって発生します。連載第3回でフラットを公開予定です。 接眼部 ピント合わせはラックピニオン方式。1:11の減速微動装置(マイクロフォーカサー)も付属しているので、細かなピント合わせが可能です。写真撮影の際でも、FSQ106EDのものと比べて操作感は全く遜色ありませんでした。 ピント位置はクランプで固定できます。またラックピニオンの硬さそのものを調整することも可能です。当初やや緩めだったので少し締めて堅くして使用しました。 接眼部の末端のM54x0.75Pメスに装着する2インチのチャック式アダプタが付属します(*)。ネジ式よりも安定して固定できるので安心でしょう。 (*)先行販売されている一部のロットはネジ式のものがありますが、これから納品されるものはすべてチャック式になります。 このM54x0.75Pの規格は一般に天体望遠鏡で使用されているものの一つですが、天体望遠鏡のネジ規格は様々あり、接続する機材によっては変換アダプタが必要になる場合があります。 星見屋.com M54アダプター http://hoshimiya.com/?mode=srh&sort=n&cid=&keyword=M5475-&x=0&y=0   接眼部は360度回転することができます。回転はとてもスムーズ。固定はネジ1個ですが、ゆるみ・ガタツキはありませんでした。撮影の際に縦横を変更してもピント位置はバーティノフマスクでの目視の範囲では変わりありませんでした。 接眼部のストロークは約96mm。眼視用途を考えるとこれは大変便利。FSQ106EDの短いストロークとは対照的です。 一方で写真用にはあまり伸ばすとスケアリングが心配になります。こればかりはFSQ106EDの太くて短い接眼部とは直球勝負は無理でしょう。デジカメ(6D)を使用する限りは問題は感じませんでしたが、2キロ越えの冷却CCDを載せたときに大丈夫かどうかは正直いってわかりません。 合焦位置の例 無限遠でピントの合った状態の位置を並べてみました。 2インチ正立プリズム+ペンタックスXW20の場合、63mm繰り出した位置で合焦(*)。 (*)合焦位置は眼視の場合特に個人差があります。 XW20で直視の場合。高橋の延長筒を付けて86mm繰り出し状態で合焦。かなりぎりぎりです。 1.25インチプリズムの場合、96mmぎりぎりで合焦。もうすこし光路長のある2インチ・1.25インチアダプタを使った方が良さそう。ドロチューブのストロークが長いとはいっても、眼視の場合は光学系に応じて適切光路長のアダプタを使った方が良さそうです。 写真の場合。補正レンズなしですが、高橋のカメラアダプタを使用してこの位置。ちがみに、フラットナー・レデューサを使用した場合は延長筒は必要ありませんでした。 ファインダー ドットファインダーが付属します。編集子は初めて使いましたが、思いのほか便利なものでした(ほぼ自動導入オンリーなのでアライメントの時にしか使わないのですが)。 短焦点(fl=560mm)でもあり、眼視用・手動導入で使う場合もこれで問題になることはないでしょう。もちろん、台座の規格が合うものであれば普通にファインダーは装着可能です(ビクセン、タカハシ規格のものはそのままでは装着できません)。 スタークラウド SCレッドドットファインダー http://www.starcloud.jp/SHOP/rdf.html 使用例 今回のレビューで使用した構成例のご紹介。 左。写真撮影用の構成。 SXPにロスマンディアリガタで装着したところ。この状態だとウェイトは1.3kgでOK。赤緯・赤経とも、この状態でバランスが取れています。 中。FSQ106EDと親子亀。 眼視の比較レビューではこの構成で使用しました。赤経方向はウェイト不足。 右。C8と親子亀。 C8にビクセンアリミゾで親子亀にした眼視用構成。低倍率はFOT85で、高倍率はC8という贅沢な構成^^ 上記以外にも、重量3.6kgの軽量さを生かして、眼視ならポルタIIに搭載したり、大型のジンバルに載せる方法もあるでしょう。 収納ケース 最後に。FOTにはアルミ製トランクが付属します。タカハシにせよビクセンにせよ、鏡筒にはケースが付属しないものが大半です。自分で最適なものを選べ、というのも一つの考え方ではありますが、ケース付きはとてもありがたく便利です。 ケースの緩衝材は硬めの発泡素材。必要に応じて自分で切り込みを作ってアイピースを収納できるようにしてもよいかもしれませんね(ただし自己責任で!) まとめ いかがでしたか。FOT85の気になるところを全てご紹介したつもりです。 今回使用して感じたのは、各部の造りの良さと仕上げの美しさ。かつては日本以外のアジア各国で製造された製品には悪いイメージがつきものでしたが、それを完全に払拭するものでした。 「良いものは良い」、そして「(生産国にかかわらず)良いものを選ぶ」という時代になったことを強く感じました。 ↓↓↓↓2023/6/6追記 重要・必ずお読み下さい。 本記事および天文リフレクションズにおけるFOT85/104に関する一連の記事は過去のアーカイブ記事です。現在時点(2023年6月)では、以下の点で一連の記事に書かれた内容とは異なる状況になっています。 読者様におかれましてはその点にご留意いただき、あくまで「過去のアーカイブ記事である」ことを前提に情報をご判断いただくようお願い申し上げます。 記事制作時点の販売元である星見屋.comおよびスタークラウド合同会社(以下、旧販売元)において、FOT85/FOT104(以下、旧製品)の販売は終了しています。 2023年5月より、サイトロンジャパン社(以下、新販売元)において、台湾Founder Optics社の製品「FOT86/FOT106(以下、新製品)」の販売が開始されています。新製品は光学設計が旧製品と異なるとのことです。 新製品FOT86/FOT106は、本記事で紹介されている旧製品「FOT85/FOT104」とは分離式3枚玉アポクロマートであるなど多くの点で共通点がありますが、光学設計・日本での受け入れ検査の方法が異なるなど、基本的に別製品であるとお考えください。 旧製品を旧販売元でお買い上げになられた方を除き、旧販売元に対する新旧製品に関するお問い合わせはお控えください。 新販売元に対する旧製品に関するお問い合わせはお控えください。 ↑↑↑↑2023/6/6追記 重要・必ずお読み下さい。 ・本記事は星見屋.com様にご協力いただき、天文リフレクションズ編集部が独自の判断で作成したものです。文責は全て天文リフレクションズ編集部にあります。記事に関するご質問・お問い合わせなどは天文リフレクションズ編集部宛にお願いいたします。 ・記事中の社名、商品名等は各社の商標または登録商標です。 第1回レビューはこちらです。 http://reflexions.jp/blog/ed_tenmon/archives/3494編集部発信のオリジナルコンテンツ