はくちょう座γ星(サドル)付近
梨本閑流さんの作品。天リフギャラリーFB分室へのご投稿です。はくちょう座γ星「サドル」付近を小型の屈折望遠鏡FL55SSで撮影されたものです。
はくちょう座のこの領域から北アメリカ星雲までの間は、天の川銀河の中でも最も活動的な領域の一つで、どこを切り取っても複雑な暗黒星雲と赤いHII領域のるつぼ。その中にも「クレセント星雲」のような小さな構造もあり、誰もが毎年撮ってしまう人気のエリアです。
逆に「どこをどう切り取るのか」に頭を悩ませる領域でもあります。定番の構図がいくつかある中で、この作品はサドル(はくちょう座γ星)を中心に持ってくるという王道の構図。バランスの取れたほっとする切り取りです。
露出時間は8分。雲の晴れ間の中での撮影だそうですが、短い露出時間でもしっかり撮れるのがこの領域の楽しいところ。ガチに2時間、4時間と露出すればもっと淡いところも出てくるでしょうが、短時間露出でも対象を選べば天体写真は楽しめるという好例ではないでしょうか。
ちなみに、サドルの北西、上の画像の円内のあたりには「はくちょう座OB2」とよばれる太陽質量の90倍、天の川銀河最大級の恒星があります。絶対等級はなんとマイナス10.6等。距離は約5000光年と遠いのですが、手前にある濃い星間塵がなければ、デネブと同じくらいの1.5等級に見えているはずです。デネブも距離1400光年・絶対等級マイナス6.9等とかなりの大質量星なのですが、それよりもはるかに巨大な星なのです。
このはくちょう座OB2星をはじめ、この付近には大質量星に満ちているのですが、どれもが濃い星間塵に遮られその本来の輝きを見ることはできません。しかしそれらの星々が星間物質を電離したのがこのサドル付近のHII領域なのです。
この作品の中に登場するさまざまな要素の成り立ちを知ると、その見方も少し変わってくるのではないでしょうか。筆者は少なくとも萌え萌えです^^
https://reflexions.jp/tenref/gallery/2019/08/27/6261/https://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2019/08/19f6cf994e5295b6c9fd63f0e598e3d8.jpghttps://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2019/08/19f6cf994e5295b6c9fd63f0e598e3d8-150x150.jpg散光星雲梨本閑流さんの作品。天リフギャラリーFB分室へのご投稿です。はくちょう座γ星「サドル」付近を小型の屈折望遠鏡FL55SSで撮影されたものです。 はくちょう座のこの領域から北アメリカ星雲までの間は、天の川銀河の中でも最も活動的な領域の一つで、どこを切り取っても複雑な暗黒星雲と赤いHII領域のるつぼ。その中にも「クレセント星雲」のような小さな構造もあり、誰もが毎年撮ってしまう人気のエリアです。 逆に「どこをどう切り取るのか」に頭を悩ませる領域でもあります。定番の構図がいくつかある中で、この作品はサドル(はくちょう座γ星)を中心に持ってくるという王道の構図。バランスの取れたほっとする切り取りです。 露出時間は8分。雲の晴れ間の中での撮影だそうですが、短い露出時間でもしっかり撮れるのがこの領域の楽しいところ。ガチに2時間、4時間と露出すればもっと淡いところも出てくるでしょうが、短時間露出でも対象を選べば天体写真は楽しめるという好例ではないでしょうか。 ちなみに、サドルの北西、上の画像の円内のあたりには「はくちょう座OB2」とよばれる太陽質量の90倍、天の川銀河最大級の恒星があります。絶対等級はなんとマイナス10.6等。距離は約5000光年と遠いのですが、手前にある濃い星間塵がなければ、デネブと同じくらいの1.5等級に見えているはずです。デネブも距離1400光年・絶対等級マイナス6.9等とかなりの大質量星なのですが、それよりもはるかに巨大な星なのです。 このはくちょう座OB2星をはじめ、この付近には大質量星に満ちているのですが、どれもが濃い星間塵に遮られその本来の輝きを見ることはできません。しかしそれらの星々が星間物質を電離したのがこのサドル付近のHII領域なのです。 この作品の中に登場するさまざまな要素の成り立ちを知ると、その見方も少し変わってくるのではないでしょうか。筆者は少なくとも萌え萌えです^^ 編集部山口 千宗kojiro7inukai@gmail.comAdministrator天文リフレクションズ編集長です。天リフギャラリー
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