伊藤正樹さんの作品。天リフギャラリーFB分室へのご投稿です。300mmの望遠レンズを使用して「固定撮影」でとらえたオリオン大星雲です。

「天体写真には赤道儀が必要」というかつての常識は、今やいろんな意味で修正が必要になっています。この作品では、わずか1秒露出の画像を600枚(総露出時間10分)コンポジットすることで、赤道儀を使用した場合とほとんど変わりないオリオン大星雲の姿をとらえることができました。

K-3 (HKIR), FA☆300F2.8 / ISO6400, F2.8, 1sec×600 / processed in Sequator, GIMP, NikCollection, RawTherapee

この伊藤さんの作品のような「短秒多数枚コンポジット」の手法は、必ずしもベストの手法であるとはいえません。数多くの画像をコンポジットする作業が発生しますし、コンポジットする際にも画像の回転や歪みによる周辺像の流れを最小にする工夫(*)も必要になります。

(*)Sequatorのようなソフトを使えば「ほぼ一発」ではありますが。

しかし「やりようによっては、無理っぽいことでもやってしまえる」「工夫で常識を覆す」というのも、趣味の醍醐味の一つです。別の観点では、このような撮影を経験することで「ガイドエラー(星の流れ)が実際に最終画像にどんな影響を与えるのか」とか「コンポジットソフトはどんな原理と仕組みで星の位置合わせを行っているのか」など、天体写真の技術的プロセスに対する理解を深めることもできます。そこで得た知識や経験は、さまざまな局面で応用の効くものとなるでしょう。

天体写真に何を求めるのかは人それぞれ。その多様性こそが天文趣味クラスタの最大の財産です。たとえ超高性能のAIと自動撮影システムが完成して、何もしなくても夜空の写真が自動で出力される時代が来たとしても、それがある限りは飽きることなく楽しめる趣味でありつづけるはずです。

https://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2020/01/6b4240d499644512d882b6fefa5cc569-1024x683.jpghttps://reflexions.jp/tenref/gallery/wp-content/uploads/sites/3/2020/01/6b4240d499644512d882b6fefa5cc569-150x150.jpg編集部新着散光星雲オリオン座,M42伊藤正樹さんの作品。天リフギャラリーFB分室へのご投稿です。300mmの望遠レンズを使用して「固定撮影」でとらえたオリオン大星雲です。 「天体写真には赤道儀が必要」というかつての常識は、今やいろんな意味で修正が必要になっています。この作品では、わずか1秒露出の画像を600枚(総露出時間10分)コンポジットすることで、赤道儀を使用した場合とほとんど変わりないオリオン大星雲の姿をとらえることができました。 この伊藤さんの作品のような「短秒多数枚コンポジット」の手法は、必ずしもベストの手法であるとはいえません。数多くの画像をコンポジットする作業が発生しますし、コンポジットする際にも画像の回転や歪みによる周辺像の流れを最小にする工夫(*)も必要になります。 (*)Sequatorのようなソフトを使えば「ほぼ一発」ではありますが。 しかし「やりようによっては、無理っぽいことでもやってしまえる」「工夫で常識を覆す」というのも、趣味の醍醐味の一つです。別の観点では、このような撮影を経験することで「ガイドエラー(星の流れ)が実際に最終画像にどんな影響を与えるのか」とか「コンポジットソフトはどんな原理と仕組みで星の位置合わせを行っているのか」など、天体写真の技術的プロセスに対する理解を深めることもできます。そこで得た知識や経験は、さまざまな局面で応用の効くものとなるでしょう。 天体写真に何を求めるのかは人それぞれ。その多様性こそが天文趣味クラスタの最大の財産です。たとえ超高性能のAIと自動撮影システムが完成して、何もしなくても夜空の写真が自動で出力される時代が来たとしても、それがある限りは飽きることなく楽しめる趣味でありつづけるはずです。読者の傑作画像をピックアップ