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Commented by HUQ at 2015-11-13 09:18 x
開発思想も聞かされずにいきなりJILVA-170試作機を渡されて「使ってみてくれ」と言われたとき、まずはこれまで SWAT でやっていたように1軸オートガイド前提で使い始めてみました。
それからほどなく、STAR速度のデバッグや、様々な状況下におけるP-Motionの測定を行っているうちに、「ひょっとしてこれは、高画素デジカメが発達してきた現在においても、想定されている f=200~300mm 程度のレンズなら赤経1軸オートガイドの必要が無いものかもしれない」と思うようになりました。
事実、FS-60CB(レデューサー)の鋭像 + D810Aにおいて、P-Motionはほぼ感じられません。
ポラリエに広角レンズを付けて、適当に極軸を合わせて撮りっぱなしにしておけば、ほぼ100%追尾誤差の無い写真が得られます。
ここに至り、JILVA-170 の本懐は、ポラリエ+標準レンズで出来ていたことを、f=200~300mmまでの望遠レンズで同じよう撮ることだ、と悟りました。
元々 Ta さんはそういうことをやりたい、と仰っていたのですが、デジカメが高画素化した現在、google map のようにピクセル等倍で広大な星野を見る愉しみ方をしようと思ったら、望遠では1軸オートガイドが必須だ、というのが私の自論でした。
どうせ1軸オートガイドが要るなら、もっと小さく、もっと積載可能重量が大きいものが良い、と思っていたのです。
しかしそんな私の常識は、良い意味で覆されました。
ノータッチガイドはなんせ、楽なのです。(笑)
「ケーブル地獄」からの解放も大きな利点ですが、ガイド星が必要無いので薄雲が通過しようが霧が出ようが、撮りっぱなしで済みます。
Commented by HUQ at 2015-11-13 09:41 x
しかし、そんな望遠ノータッチガイドを実現するには、如何に正確に極軸を合わせるかが鍵となります。
不幸にして、私は「まともな外付け極望」に出会ったことがありませんでした。或いは出会っていたのかもしれませんが、既存の極望の構造に対する無知により扱いが荒く、あっという間に光軸をずらしてしまっていたのかもしれません。
殆ど全てのポタ赤用極望は、スカイメモに内蔵されていた極望の構造をそのまんまパクっています。
このタイプは、製造時の光軸調整箇所が鏡筒のネジ込み部分だけで済むというシンプルさと引き替えに、鏡筒に僅かに力が加わっただけで光軸が狂ってしまうという欠点があります。
ポラリエ極望もケンコー極望も、対物側を1ヒットすればお釈迦です。対物側を掴んで少し力を加えただけでも光軸はずれ、設置精度は10分角以上の単位で落ちてしまいます。
くれぐれもベンチバーで極望をヒットすることが無いよう、お気を付けください。
従来の極望こんなにも丁寧に扱わねばならない、ということを理解した時点で、「ポタ赤に向いた『外付け』極望は存在していない」ことに気付きました。
スカイメモ等の内蔵極望のポタ赤では、極望が赤経軸自体に守られているので光軸がズレる可能性が少ないのです。
しかしこれをそのまま外付けにしたのでは、扱いが繊細すぎて、ポータビリティから程遠い梱包が必要です。
実際、私は Ta さんところで再調整してもらったポラリエ極望に対し、原発並の格納容器が欲しいと半分本気で思いました。(^^;
この問題に対するTaさんの回答が、「ナンチャッテ極望」です。
他社の製品の流用は Ta さん的にはあまりやりたくないことのようで(他社製品の仕様変更に伴い、自社製品として成り立たなくなることが往々にしてあるから)、「ナンチャッテ」などというバッタモン臭い商品名になっていますが、私はこれこそ究極の「ポタ赤用外付け極望」だと思います。
・多少手荒に扱っても、光軸が狂わない
(光軸が狂う要素を洗い出すのに3ヶ月ほど掛かりましたが…)
・オートコリメーションにより、実星を使うより2倍の精度で光軸を出せる
(明視野照明でどうやってオートコリメーションを実現するか、方法確立まで4ヶ月掛かりました…)
・前に出っ張らないので、赤経のターンテーブル上に載せた機材と干渉しない
以上が利点です。
Commented by HUQ at 2015-11-13 09:42 x
しかし、まだ問題が残っています。
このナンチャッテ極望は、対物セルをどうやってステーに面で密着させるかが鍵です。
ナンチャッテ極望の対物セル面は、鏡筒に対して垂直ではありません。光軸に対して垂直なのです。
また、このベースであるケンコー単眼鏡はピントリングが対物側にあります。
これらの要因により、ステーへの固定が非常に難しいのです。
現在ナンチャッテ極望と共にセットになっているステーはネジ1点留めですが、ネジを締めれば締めるほど対物セルがステーから浮いてしまう欠点があります。
固定具合が非常に難しく、使いにくい(私は使えないと思っている)のです。
simhuq.sytes.net/astro/kisei/NCT_fixProblem.png
そこで更に議論を重ね、やっと「安価に作れる構造で」「対物セルとステーを密着し」「時角の調整も可能な」治具が試作段階にあります。
これが成功なら…ナンチャッテ極望は究極の「外付け極望」になると思います。
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自分のは、ポラリエもSXPも、極望のレチクルを回転するとセンターが微妙にずれているのがわかります。まあこの程度の誤差で合わすもんなんだなと。本当に追い込むならドリフト法でちゃんとやるべきだなと。
でも自分はもっぱら短時間露光・多数枚派(ソニーではいたしかたないというのもある)なんで、極軸合わせはいつもざっくりです。分点はほぼ気にしてません^^
しかも、スカイメモの場合はディザリングは極軸をずらすことでやってます。^^;;
しかしナンチャッテ極望興味津々です。
昔の人間は極望に信仰のようなあこがれがあったのですが、最適な現実解がナンチャッテ極望だとしたら、これが実は一番商売になるのかも^^
Commented by HUQ at 2016-01-11 09:28 x
今朝4時頃、Taさん宅にてナンチャッテ極望ステーの最終仕様が決まりました。
2ch-dc.net/v6/src/1452470475888.jpg
2ch-dc.net/v6/src/1452470160961.jpg
写真は最終ベータのアルミ厚板ステーですが、取り付け面を整地する小さなアルミ厚板を介せばステンレス薄板でも精度に問題がないことを確認できたので、製品版はステンレス薄板になりそうです。
このステーは、赤経軸と垂直が保証されている面に取り付けることで性能を100%発揮します。
SWAT-3xxやJILVA-170の筐体がこれに相当します。
SWAT-200やPanHeadEQ, MusicEQ等は筐体が出来合いの箱なので精度が落ちますが、SWAT-200ではノータッチガイドでそのP-Motionが許す範囲の露出を掛ける分には十分な精度が出ました。
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バネ入り三点止めネジですか。素晴らしい。
日本のKAIZENパワーですね。
ポラリエ極望うっぱらってこっちに切り替えたくなります。
あれ、無駄にかさばるんですよね。いかにも精密機械っぽくて大事に扱わないといけないような気になるしw
この極望、運送時のショックに比較的強いほか、取り付けた状態で天局側への飛び出し量が小さいため、付けっぱなしにしていてもベンチバー等に干渉しないのも利点です。(URL写真)
購入された際は…一度3本のネジを外して単眼鏡を取り外し、対物セルの切削面とアルミステー切削面を柔らかい布にレンズクリーナーを染み込ませたもので拭って、色んな種類の切り子やゴミをシッカリ除去してください。(^^;
僅かな異物の混入により、数十分角単位で狂うことがあります。
一度異物が除去された状態になれば、以降は面と面で密着しているため、後から異物が入る可能性はほとんどありません。
(単眼鏡を思いっきり後部に引っ張ったりすると隙間が出来るため、ゴミが入りうる余地がありますが…)
単眼鏡対物セルの周りは強い力で弄らないでください。単眼鏡鏡筒に対する切削面の角度がわずかでもズレると、対物セルを「研ぎ直す」必要があります。
ふむふむ。情報ありがとうございます。
なかなかよさげですね。
高い物でもないしひとつ買って見ますか。
Commented by ムササビWAT01 at 2016-02-25 06:36 x
HUQさんのコメントを興味深く拝見させていただきました
先日、Taさんから見せ頂いた図面が新しいナンッチャッテ極軸望遠鏡のものだとわかったつもりでしたが このようなウンチクが込められていると気がつきませんでした
楽しみです